従来、カラー画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して独立した感光体を有し、各感光体に走査光学装置によってレーザ光を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像を各色のトナーで現像するタンデム型の装置が知られている。各感光体上に形成されたトナー画像は中間転写ベルトに順次転写されて重ね合わせた後、シート状の記録媒体上に一括転写してカラー画像を得るようになっている。
走査光学装置は、レーザ光を発光する光源と、レーザ光を偏向走査する回転多面鏡と、偏向走査されたレーザ光をスポット結像させる結像光学系と、回転多面鏡に反射されたレーザ光を受光してビーム検出信号を発生させるビーム検出センサとを有している。
結像光学系は、fθレンズおよびレーザ光を反射する反射ミラーを備えた構成となっており、上記光源、回転多面鏡、結像光学系およびビーム検出センサが筐体内に設けられ、筐体内のスリット状の開口部より感光体にレーザ光を露光するようになっている。
このような走査光学装置において、低コスト化、小型化を図るために、各感光ドラムへレーザ光を偏向走査する回転多面鏡を複数の光源で共通化し、1つの回転多面鏡で複数の光源からのレーザ光を同時に偏向走査して露光を行う走査光学装置がある。また、小型化を図るために、筐体内で光束を折り返し、感光体と走査光学装置を近接配置する構成のものが提案されている。
そして、これらの走査光学装置に要求されるのは、光学性能を確保し、各走査線のずれを防止すると共に、小型・低コストを実現することである。特に、タンデム型のカラー画像形成装置においては、各走査線間に発生する色ズレを防止する必要がある。
ところで走査線のズレは、図10に示すように、(A)のトップマージン、(B)のサイドマージン、(C)の倍率、(D)の左右倍率差、(E)の走査線傾き(Skew)、(F)の走査線湾曲(Bow)といった主に6つの要因から発生する。
しかし、トップマージンとサイドマージンによるズレは、画像データの書き出しタイミングを電気的に補正することで、1dot以下の高い精度に抑えることが可能である。また近年では、倍率要因による色ズレについても、画像クロック周波数を微小に変化させることで、各色光ビームの倍率を一致させることも可能となっている。
一方、Bowについては、光走査装置の小型化のため、光ビームを偏向器へ斜め入射させ、複数回折り返して光路長を確保する構成の光学系で特に問題となる。すなわち、偏向器への入射光学系と偏向後の光学系を分離する、各光ビームを偏向器反射面に対し副走査方向断面で斜めから入射させるためBowが発生し、これをフルカラー画像形成装置に適用するには、Bowを補正して色ズレを最小限に抑える必要がある。
このBowを補正する方法は、特許文献1において、平面ミラーを撓ませることによりBowを補正することが提案されている。
この特許文献1の光走査装置の構成を、図を参照して説明する。
図11乃至13に示した光走査装置100は、半導体レーザ111、121から出射された波長の異なるビームB1、B2が、それぞれ、集光レンズ112、122、シリンドリカルレンズ113、123を透過する。その後、合成ミラー114により各ビームが合成され、同一光路を辿って、回転駆動するポリゴンミラー115に入射する。
このポリゴンミラー115によって偏向走査された合成ビームは、トーリックfθレンズ116を透過し、第1ミラー117によって分離フィルタ118方向へ反射される。分離フィルタ118では、合成ビームをもとのビームB1、B2に分離し、各ビームは、それぞれ、第2ミラー119、第3ミラー129を介して感光体ドラム130に照射され、走査線131、132に沿った露光が行われる。
これら第1ミラー117、分離フィルタ118、第2ミラー119、第3ミラー129は、それぞれミラーホルダに取り付けられている。図13に示す第1ミラー117の例では、ミラーホルダ141の両端部に形成されたミラー当接面151に反射面を向けて載置し、背面側の両側部を板ばね152により押圧して固定している。
そして、この第1ミラー117の背面・中央部に、一端部を固定した圧電素子153を取付け、図示しない制御装置により所定電圧を印加して駆動させることで第1ミラー117を撓み変形させており、これによってBowを補正している。
すなわち、図12に示すように、第1ミラー117を矢印A方向に変位するよう湾曲させると、ビームB1、B2の光路は、それぞれ同図の破線で示すように変わり、走査線131、132の湾曲(以下、Bowと記載する)が補正されるわけである。
また、走査線位置ずれやSkewについては、以下の手順で行われる。まず、ミラーホルダ141をフレーム144に固定しているねじ157、および、スライダ158を固定しているねじ159を緩める。その後、ミラーホルダ141とスライダ158とを一体的にガイド溝144Aの方向に移動させ、位置ずれを補正する。さらに、スライダ158をねじ159で固定する。ミラーホルダ141をスライダ158に立設されたピン158Bの軸心まわりに回動させることでSkewを補正することが可能となる。最後に、ねじ1
57を締付けて、ミラーホルダ141をフレーム144に固定する。
しかしながら、特許文献1のように、平面ミラーを撓ませることによりBowを補正すると、主走査方向の反射位置が均等に変化せずに、部分倍率が異なってしまうため、主走査方向の色ズレが悪化してしまうという問題がある。この部分倍率ズレは、画像クロック周波数を微小に変化させることで、各色光ビームの倍率を一致させることができても、補正しきれないものである。
また、Bowを補正する他の方法として、副走査方向にパワー(屈折力)を有するレンズの前に設けられた反射ミラーの反射角度を調整することによりBowを補正することが考えられる。
しかし、反射ミラーの反射角度を調整する場合、反射ミラーの保持方法により、走査線の傾き(Skew)が発生してしまう。これは、反射ミラーを反射面側で3点支持する際の支持部材に付勢する付勢部材を主走査方向の両側で同一の部材で行うために引き起こされるものである。多くの場合において、反射ミラーの主走査方向で一方側を副走査方向に2点で支持し、その中央部を付勢部材が付勢を行い、他方側では前記2点の副走査方向で
略中央の1点で支持され、付勢部材が1点の支持部材上を付勢する構成において顕著に見られる。
特開平4−264417号公報
図1乃至図6は、本発明の実施例1に係る走査光学装置を備えた画像形成装置としてのタンデム型カラープリンタを示している。
このカラープリンタ100には、4つの画像形成部(画像形成ユニット)が備わっている。それぞれ、ブラック色の画像を形成する画像形成部81Bkと、シアン色の画像を形成する画像形成部81Cと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部81Mと、イエロー色の画像を形成する画像形成部81Y、となっている。これらの4つの画像形成部81Bk,81C,81M,81Yは、カラープリンタ100の設置面に対して、画像形成部81Bkが設置面に最も近い状態で傾斜して一列に一定間隔で配置される。このため、画像形成部の占有空間が左右の幅方向や、上下の高さ方向に大型化せず、カラープリンタ100を小型化することができる。
各画像形成部81Bk,81C,81M,81Yには、それぞれドラム型の感光体(以下、感光ドラムという)82a,82b,82c,82dが設置されている。各感光ドラム82a,82b,82c,82dには、一次帯電器83a,83b,83c,83d、現像装置84a,84b,84c,84d、転写ローラ85a,85b,85c,85d、ドラムクリーナ装置86a,86b,86c,86dが配置されている。また、一次帯電器83a,83b,83c,83dと現像装置84a,84b,84c,84d間の下
方には走査光学装置50が設置されている。
各現像装置84a,84b,84c,84dには、それぞれブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーが収納されている。
各感光ドラム82a,82b,82c,82dは、負帯電のOPC感光体でアルミニウム製のドラム基体上に光導電層を有しており、駆動装置(不図示)によって矢印方向(図1における時計回り方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。
一次帯電手段としての一次帯電器83a,83b,83c,83dは、帯電バイアス電源(不図示)から印加される帯電バイアスによって各感光ドラム82a,82b,82c,82d表面を負極性の所定電位に均一に帯電する。
現像装置84a,84b,84c,84dは、トナーを内蔵し、それぞれ各感光ドラム82a,82b,82c,82d上に形成される各静電潜像に各色のトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
転写手段としての転写ローラ85a,85b,85c,85dは、各一次転写ニップ部にて中間転写ベルト87を介して各感光ドラム82a,82b,82c,82dに当接している。
ドラムクリーナ装置86a,86b,86c,86dは、感光体ドラム上で一次転写時の残留した残留トナーを、感光体から除去するためのクリーニングブレード等で構成されている。
中間転写ベルト87は、一対のベルト搬送ローラ88,89間に張架されており、矢印A方向(図1における反時計回り方向)に回転(移動)される。中間転写ベルト87は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等のような誘電体樹脂によって構成されている。
ベルト搬送ローラ88は、中間転写ベルト87を介して二次転写ローラ90と当接して
、二次転写部を形成している。中間転写ベルト87の外側でベルト搬送ローラ89近傍には、中間転写ベルト87表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置91が設置されている。
92はシート状の記録媒体である転写用紙を格納する給紙カセットで、給紙カセット92内の転写用紙は給紙ローラ93により1枚ずつ給紙される。その後、レジストローラ対94に搬送されると、いったん停止し、前記二次転写部で所定位置にトナー像を転写されるようにタイミングを合わせて搬送が開始される。二次転写部でトナー像を転写された転写用紙は定着器95によりトナー像を熱により定着され、搬送ローラ対96、排紙ローラ対97により、排紙トレイ98上に搬送、排紙される。
走査光学装置50は、4つの半導体レーザ2,3,12,13と(図3,図4参照)、光束を偏向走査するポリゴンミラー10と、光束を被走査体としての各感光体に結像する4つの結像光学系51,52,53,54とを有する構成となっている。
ポリゴンミラー10は、ポリゴンミラー10の回転軸を挟んだ双方向に、それぞれ同一の反射面で複数、この実施例では左右2本ずつ計4本の光束を4つの感光体82a,82b,82c,82dに振り分けて偏向走査する構成となっている。半導体レーザ2,3から出射された光束は、ポリゴンミラー10に対して図中右側に反射され、結像光学系51,52を介して感光体82a,82bに偏向走査される。また、半導体レーザ12,13から出射された光束は、ポリゴンミラー10に対して図中左側には反射され、結像光学系53,54を介して感光体82c,82dに偏向走査される。また、ポリゴンミラー10と結像光学系51,52の間に第1結像レンズ21が、ポリゴンミラー10と結像光学系53,54の間に第1結像レンズ31が設けられている。
これらの走査光学装置50を構成する半導体レーザ2,3,12,13、ポリゴンミラー10、第1結像レンズ21,31、各光束毎に設けられる結像光学系51,52,53,54は、1つの筐体としての光学ケース40内に取り付けられている。第1結像レンズ21および結像光学系51,52の光学部品群と、第1結像レンズ31および結像光学系53,54の光学部品群は、ポリゴンミラー10に対して左右反対側に配置されている。
41は光学ケース40に取り付けられる上フタで、この上フタ41によって走査光学装置50を密封し、走査光学装置50内への埃やトナー等の進入を防止している。上フタ41には、各感光ドラム82a,82b,82c,82dに対応した位置にスリット状の開口部が設けられており、透明部材である防塵ガラス43a,43b,43c,43dが取り付けられている。このため、防塵ガラス43a,43b,43c,43dを通して各感光ドラム82a,82b,82c,82dに走査光を露光することが可能であり、加えて走査光学装置50内に埃やトナー等の進入を防止することができる。
図3,図4には、走査光学装置50に装着される光源部の構造が示されている。図3は、感光体82a,82bに露光するレーザ光の光源部を示す。
図3において、1はレーザホルダで、光源である半導体レーザ(シングルビームレーザ)2,3を鏡筒保持部1a,1bに圧入して保持している。鏡筒保持部1a,1bは半導体レーザ2,3の光路を互いに副走査方向に所定角度θを持ってポリゴンミラー10近傍で交差するように光軸を傾斜させて設けられており、鏡筒の外形の一部が一体化されている。このため、半導体レーザ2,3の間隔を近接して保持することが可能である。鏡筒保持部1a,1bの先端側には各半導体レーザ2,3に対応する絞り部1c,1dが設けられ、半導体レーザ2,3から射出された光束を所望の最適なビーム形状に成形している。鏡筒保持部1a,1bのさらに先端には、絞り部1c,1dを通過した各光束を略平行光
束に変換するコリメータレンズ6,7の接着部1e,1fが主走査方向に各2箇所設けられている。ここで、コリメータレンズ6,7は照射位置やピントをレーザ光の光学特性を検出しながら調整を行い、位置が決定すると紫外線硬化形の接着剤を紫外線照射することで接着部1e,1fに接着固定される。
図2における光学ケース40の側壁には、上記レーザホルダ1を位置決めするための嵌合穴部(図示せず)が副走査方向に設けられており、レーザホルダ1の鏡筒保持部1a,1bの外形部に設けられた嵌合部を嵌合させて取り付けられるようにしている。このように、半導体レーザ2,3を保持する鏡筒保持部1a,1bの外形部に設けられた嵌合部を嵌合させて光学ケース40にレーザホルダ1を取り付ける為、半導体レーザ2,3と光学ケース40内の各光学部品との位置関係を精度良く保証することができる。
図4は、感光体82c,82dに露光するレーザ光の光源部を示している。図4において、11はレーザホルダで、レーザホルダ1と同一部品であり、半導体レーザ12,13を鏡筒保持部11a,11bに圧入して保持している。ここで、鏡筒保持部11a,11bは半導体レーザ12,13の光路を互いに副走査方向に所定角度θを持ってポリゴンミラー10近傍で交差するように光軸を傾斜させて設けられており、鏡筒の外形の一部が一体化されている。鏡筒保持部11a,11bの先端側には各半導体レーザ12,13に対応する絞り部11c,11dが設けられ、半導体レーザ12,13から射出された光束を所望の最適なビーム形状に成形している。鏡筒保持部11a,11bのさらに先端には、絞り部11c,11dを通過した各光束を略平行光束に変換するコリメータレンズ16,17の接着部11e,11fが主走査方向に各2箇所設けられている。ここで、コリメータレンズ16,17はコリメータレンズ6,7と同様に、照射位置やピントの調整を行い、接着部11e,11fに接着固定される。
このレーザホルダ11の光学ケース40に対する位置決めも、レーザホルダ1と同様になされている。このため、半導体レーザ12,13と光学ケース40に格納された各光学部品との位置関係を精度良く保証することができる。
ポリゴンミラー10は、不図示のモータを一定速度で回転させることで、上記半導体レーザ2,3,12,13から射出された光束を偏向走査する。ここで、半導体レーザ2、12は下側から上側に向けて副走査方向に角度θを持ってポリゴンミラー10に斜入射するため、ポリゴンミラー10によって偏向走査される際、副走査方向に角度θを持って上側に射出される。つまり、感光ドラム側の光束となる。一方、半導体レーザ3、13は上側から下側に向けて副走査方向に角度θを持ってポリゴンミラー10に斜入射されるため、ポリゴンミラー10によって偏向走査される際、副走査方向に角度θを持って下側に射出される。すなわち設置面側の光束となる。
結像光学系51は、第1の反射ミラーとしての折り返しミラー24と、第2の反射ミラーとしての折り返しミラー25と、副走査方向のパワーを有する第2結像レンズ22と、を備えている。ここで折り返しミラー24は、回転多面鏡10から偏向走査された光束を感光体82aから遠ざける方向に一旦反射させるものであり、折り返しミラー25は、光束を折り返しミラー24の入射側を通るように感光体82aに光束を導くものである。また、第2結像レンズ22は、折り返しミラー24と25の間に位置するものである。
結像光学系52は、第1の反射ミラーとしての折り返しミラー26と、第2の反射ミラーとしての折り返しミラー27と、副走査方向のパワーを有する第2結像レンズ23と、を備えている。ここで折り返しミラー26は、回転多面鏡10から偏向走査された光束を感光体82bから遠ざける方向に一旦反射させるものであり、折り返しミラー27は、光束を折り返しミラー26の入射側を通るように感光体82bに光束を導くものである。ま
た、第2結像レンズ26は、折り返しミラー26と27の間に位置するものである。
折り返しミラー26は半導体レーザ3の光束E2に対して配置された分離用折り返しミラーで、半導体レーザ2の光束E1と分離する際、半導体レーザ2の光束E1との干渉を避けるための面取りを設けている。
このように、折り返しミラー24、26で光束を感光ドラム82a,82bと反対の設置面側に一旦反射させてから、最終折り返しミラー25、27で、折り返しミラー24、26の入射側を通るように、感光ドラム82a,82bに向けて折り返している。そのため、少ないスペースを有効活用して半導体レーザ2、3の光束E1,E2を同一の光路長にしながら、走査光学装置50を感光ドラム82a,82bに近接配置することができる。
加えて、感光ドラム側の光束である半導体レーザ2は、ポリゴンミラー10によって偏向走査された後、感光ドラム側の光束である半導体レーザ2の光束E1を最も設置面に近い感光ドラム82aに照射するようなっている。その結果、折り返しミラー24、最終折り返しミラー25の位置は感光ドラム82aに近づけることが可能となり、走査光学装置50の設置面側の突出量が少なくなり、カラープリンタ100を薄型化することができる。
ポリゴンミラー10と結像光学系51,52間に設けられる第1の結像レンズ21は、第2の結像レンズ22,23と共に、半導体レーザ2,3から射出されたレーザ光を等速走査および感光ドラム82a,82b上でスポット結像させるfθレンズである。第1の結像レンズ21は主走査方向にのみパワーを有し、副走査方向には半導体レーザ2,3から射出された光束が互いに異なる角度で入射するためシリンダーレンズで構成されている。このため副走査方向の結像は、半導体レーザ2の光束に対して配置した第2の結像レンズ22および半導体レーザ3の光束に対して配置した第2の結像レンズ23に副走査方向のパワーを持たせて行っている。
一方、ポリゴンミラー10の反対側には、半導体レーザ12,13に対応した第1の結像レンズ31と、2つの結像光学系53,54が配置されている。
結像光学系53は、第1の反射ミラーとしての折り返しミラー34と、第2の反射ミラーとしての折り返しミラー35と、副走査方向のパワーを有する第2結像レンズ32と、を備えている。ここで折り返しミラー34は、回転多面鏡10から偏向走査された光束を感光体82cから遠ざける方向に一旦反射させるものであり、折り返しミラー35は、光束を折り返しミラー34の入射側を通るように感光体82cに光束を導くものである。また、第2結像レンズ32は、折り返しミラー34と35の間に位置するものである。
結像光学系52は、第1の反射ミラーとしての折り返しミラー36と、第2の反射ミラーとしての折り返しミラー37と、副走査方向のパワーを有する第2結像レンズ33と、を備えている。ここで折り返しミラー36は、回転多面鏡10から偏向走査された光束を感光体82dから遠ざける方向に一旦反射させるものであり、折り返しミラー37は、光束を折り返しミラー36の入射側を通るように感光体82dに光束を導くものである。また、第2結像レンズ33は、折り返しミラー36と37の間に位置するものである。
このように、折り返しミラー34、36で光束を感光ドラム82c,82dと反対の設置面側に一旦反射させてから、最終折り返しミラー35、37で、折り返しミラー34、36の入射側を通るように、感光ドラム82c,82dに向けて折り返している。そのため、少ないスペースを有効活用して半導体レーザ12、13の光束を同一の光路長にしな
がら、走査光学装置50を感光ドラムに近接配置することができる。
さらに、ポリゴンミラー10によって偏向走査された後、設置面側の光束である半導体レーザ13の光束を最も設置面から遠い感光ドラム82dに照射するようにしている。よって、半導体レーザ12の光束はポリゴンミラー10によって偏向走査された後、半導体レーザ13の光束より感光体側にあることになる。その結果、折り返しミラー34で光束を感光ドラムと反対の設置面側に一旦反射させる際、折り返しミラー34に半導体レーザ13の光束との干渉防止の面取りを設ける必要がない。このため、結像光学系51,52と結像光学系53,54をポリゴンミラー10に対して対称的に構成した場合より、ローコストにすることができる。
ポリゴンミラー10と結像光学系53,54間に設けられる第1の結像レンズ31は、第2の結像レンズ32,33と共に、半導体レーザ12,13から射出されたレーザ光を等速走査および感光ドラム82c,82d上でスポット結像させるfθレンズである。第1の結像レンズ31は主走査方向にのみパワーを有し、副走査方向には半導体レーザ12,13から射出された光束が互いに異なる角度で入射するためシリンダーレンズで構成されている。このため副走査方向の結像は、半導体レーザ12の光束に対して配置した第2の結像レンズ32および半導体レーザ13の光束に対して配置した第2の結像レンズ33に副走査方向のパワーを持たせて行っている。
ここで、図5を用いて折返しミラーの調整部の構成を説明する。
図5(A)は折返しミラーの主走査方向で一方側の支持部を示した断面図で、図5(B)は折返しミラーの主走査方向で他方側の支持部を示した断面図、図5(C),(D)は折り返しミラーの概略斜視図である。
折り返しミラー24と最終折り返しミラー25はそれぞれ、主走査方向SAで同一側の一方側を副走査方向SBに2点で、他方側を前記2点の副走査方向SBで略中央の1点で支持される構成となっている。また、折り返しミラー24と最終折り返しミラー25は、それぞれ、主走査方向SAで一方側の2点の内、副走査方向SBに互いに逆側の一点が調整機構としての調整ビス24a,25bによって調整自在に支持される構成となっている。
すなわち、折り返しミラー24は、反射面を調整ビス24a、光学ケース40に設けられたミラー支持部24b、24cによって3点で支持され、反射面と垂直方向の端面がミラー支持部24d、24eによって支持されている。調整ビス24aおよびミラー支持部24b、24dは、主走査方向SAでレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられている。調整ビス24aは副走査方向SBで図5中上側に、ミラー支持部24bは副走査方向SBで図5中下側に折り返しミラー24の幅方向(反射面の短手方向)の中央部から略同一距離に配置されている。ミラー支持部24dは折り返しミラー24の厚み方向(反射面と垂直方向)の略中央部に設けられている。
一方、ミラー支持部24c、24eは、主走査方向SAでレーザホルダ1、11と同一側に設けられている。また、副走査方向SBで調整ビス24aとミラー支持部24bの略中央で、折り返しミラー24の幅方向の中央部に配置されており、ミラー支持部24eは折り返しミラー24の厚み方向の略中央部に設けられている。
そして、同形状の付勢バネ241、242に設けられた付勢部241a、242aにより、折り返しミラー24の幅方向の中央部を調整ビス24a、ミラー支持部24b、24cに対して付勢している。この付勢バネ241、242に設けられた付勢部241b、2
42bにより、折り返しミラー24の厚み方向の略中央部をミラー支持部24d、24eに対して付勢した状態で取り付けられている。
このため、折り返しミラー24は常に安定した状態で、調整ビス24a、ミラー支持部24b、24c、24d、24eに支持されており、調整ビス24aを回転させて出し入れすることで、反射面角度を変更可能である。このため、副走査方向にパワーを有する第2の結像レンズ22に入射する角度を調整することで、走査線のBowを調整可能である。そして、付勢バネ241、242が同一形状であるため、部品点数が増加せず、組立てしやすくなる。
また、最終折り返しミラー25は、反射面を調整ビス25b、光学ケース40に設けられたミラー支持部25a、25cによって支持され、反射面と垂直方向をミラー支持部25d、25eによって支持されている。調整ビス25bおよびミラー支持部25a、25dは、主走査方向SAでレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられている。ミラー支持部25aは副走査方向SBで図5中上側に、調整ビス25bは副走査方向SBで図5中下側に最終折り返しミラー25の幅方向(反射面の短手方向)の中央部から略同一距離に配置されている。ミラー支持部25dは最終折り返しミラー25の厚み方向(反射面と垂直方向)の略中央部に設けられている。
一方、ミラー支持部25c、25eは、主走査方向SAでレーザホルダ11、21と同一側に設けられており、副走査方向SBで調整ビス25bとミラー支持部25aの略中央で、最終折り返しミラー25の幅方向の中央部に配置されている。また、ミラー支持部25eは最終折り返しミラー25の厚み方向の略中央部に設けられている。
そして、同形状の付勢バネ251、252に設けられた付勢部251a、252aにより、最終折り返しミラー25の幅方向の中央部を調整ビス25b、ミラー支持部25a、25cに対して付勢する。また、付勢バネ251、252に設けられた付勢部251b、252bにより、最終折り返しミラー25の厚み方向の略中央部をミラー支持部25d、25eに付勢した状態で取り付けられている。
この結果、最終折り返しミラー25は常に安定した状態で、調整ビス25b、ミラー支持部25a、25c、25d、25eに支持されており、調整ビス25bを回転させて出し入れすることで、反射面角度を変更可能である。したがって、折り返しミラー24の反射面角度を変更して走査線のBowを調整した際に生じる照射位置の変化に応じて、ドラム82aに向けた反射角度を変更することで照射位置を調整可能である。
また、第2の結像レンズ22は、支持座面22aを光学ケース40に設けられた不図示の支持部に当接した状態で、同一形状の付勢バネ221、222により付勢されている。そして、図6中矢印Z方向に移動することで、照射位置調整が可能であり、矢印Y方向に移動することで、主走査左右倍率差調整が可能であり、矢印R方向の回転移動をすることで、Skew調整が可能である。
次に、走査光束E1の走査線調整に関して説明する。まず、走査光学装置50では、照射位置、左右倍率差、Skew、Bowの調整を行う。走査光学装置50を、不図示の調整治具に取り付ける。調整治具は、感光体82a相当位置の主走査方向両端部および中央部の3箇所に副走査方向SBの位置を測定するCCDセンサおよび走査時間を測定するための走査時間検出センサが配置されている。この際、折り返しミラー24の反射面角度を調整する調整ビス24aと最終折り返しミラー25の反射面角度を調整する調整ビス25b、第2の結像レンズ22は初期位置に設定されている。
まず、図7(A)に示すような走査線の初期状態の副走査位置を測定し、調整ビス24aにより折り返しミラー24の反射面角度を変更し、図7(B)に示すようにBowの調整を行う。この際、折り返しミラー24はミラー支持部24b、24cを結ぶ線分を中心にして反射面角度が変化する。このため、照射位置、Skew、主走査左右倍率差が変化する。
次に、調整ビス25bにより最終折り返しミラー25の反射面角度を変更して図7(C)に示すように、照射位置の粗調整を行う。これは、第2の結像レンズ22の移動量を低減させるためである。また、この際、最終折り返しミラー25はミラー支持部25a、25cを結ぶ線分を中心にして反射面角度が変化するため、図7(C)に示すように、Skew量もほぼ初期状態となる。このため、第2の結像レンズ22を、図6中R方向へ移動させる量も低減させることができる。
次に、CCDセンサによる副走査位置および走査時間検出センサによる左右時間差を測定しながら、第2の結像レンズ22を図6のY方向に移動させる。それにより、走査時間検出センサによる左右時間差が同じになるように主走査左右倍率差調整を、Z方向に移動させることで照射位置調整を、R方向に回転移動させることでSkew調整を同時に行う。
こうして、図7(D)に示すように、走査線位置の調整が完了すると、第2の結像レンズ22は、紫外線硬化形の接着剤を紫外線照射することで光学ケース40に設けられた不図示の接着部に接着固定される。
このように、折り返しミラー24を支持する主走査方向SAの一方側に設けられた2点の内の1点を調整し、最終折り返しミラー25を支持する主走査方向SAの一方側に設けられた2点の内の1点と副走査方向SBで上下逆側の1点を調整している。その結果、Bowを調整した時の照射位置変化を調整する際に、Skew変化も低減することができる。
この際、第2の結像レンズ22の移動量が少なくてすむため、不図示の接着部を大きくとる必要が無く、走査光学装置50を小型化することができ、最も難しい第2の結像レンズ22の調整時間を短縮することが可能である。また、調整ビス24a、25bが主走査方向SA同一側にあるため、調整ビスへのアクセスが行いやすい。
折返しミラー26,34,36および最終折返しミラー27,35,37の支持構造についても、上記折り返しミラー24および最終折り返しミラー25と全く同一である。
折り返しミラー26と最終折り返しミラー27については、図5(C)に括弧書きの符号に示すように、それぞれ、主走査方向SAで同一側の一方側を副走査方向SBに2点で、他方側を前記2点の副走査方向SBで略中央の1点で支持される。主走査方向SAで一方側の2点の内、副走査方向SBに互いに逆側の一点が調整機構としての調整ビス26a,27bによって調整自在に支持される構成となっている。
すなわち、折り返しミラー26および最終折り返しミラー27は、反射面を調整ビス26a,27b、光学ケース40に設けられたミラー支持部26b,27a、26c,27cによって3点で支持される。
折り返しミラー34,36と最終折り返しミラー35,37についても、図5(D)に示すように、それぞれ、主走査方向SAで同一側の一方側を副走査方向SBに2点で、他方側を前記2点の副走査方向SBで略中央の1点で支持される。主走査方向SAで一方側
の2点の内、副走査方向SBに互いに逆側の一点が調整機構としての調整ビス34a,35b;36a,37bによって調整自在に支持される構成となっている。
これにより、折り返しミラー34,36および最終折り返しミラー35,37は、反射面を調整ビス34a,35b;36a,37bと光学ケース40に設けられたミラー支持部34b,35a;34c,35c;36b,37a;36c,37cとの3点で支持される。
折返しミラー26、34、36についても、調整ビス26a,34a,36aは、主走査方向SAでレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられ、副走査方向SBで図5の上側に設けられる。
また、最終折返しミラー27、35、37についても、対応する調整ビス27b,35b,37bが主走査方向SAでレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられ、副走査方向SBで図5の下側に設けられている。
このため、その他の光束E2〜E4に関しても、同様に走査線調整が可能である。ここで、全ての調整ビスが主走査方向SA同一側にあるため、調整ビスへのアクセスが行いやすい。さらに、全ての調整ビスが、レーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられているので、調整中に入射光束を遮光することがなく、調整ビスの配置自由度が増す為、調整部を大きくする必要がなく、走査光学装置50を小型化することができる。
次に、半導体レーザ2,3,12,13から射出された光束E1,E2,E3,E4が各感光ドラム82a,82b,82c,82dに走査光として露光されるまでの流れを説明する。
半導体レーザ2,3から射出された光束は、図3に示すように、レーザホルダ1の絞り部1c,1dによってその光束断面の大きさが制限され、コリメータレンズ6,7により略平行光束に変換され、不図示のシリンドリカルレンズに入射する。シリンドリカルレンズに入射した光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で透過され、副走査断面内においては収束してポリゴンミラー10の同一面にほぼ線像として結像する。この際、副走査方向に角度θを持ってポリゴンミラー10近傍で交差するように斜入射される。
そして、ポリゴンミラー10が回転することで偏向走査しながら、副走査方向に角度θを持って射出される。ポリゴンミラー10から射出された2本の光束E1,E2のうち、半導体レーザ2から射出した光束E1が不図示のBDセンサに受光される。BDセンサが半導体レーザ2から射出した光束を検知して同期信号を出力し、半導体レーザ2,3による画像端部の走査開始位置のタイミングを調整する。
ここで、半導体レーザ2,3が副走査方向に1つのレーザホルダ1に設けられているため、半導体レーザ3による画像端部の走査開始位置のタイミングは半導体レーザ2と同じタイミングとすることができる。
タイミング調整されて半導体レーザ2,3から射出された光束E1,E2は、第1の結像レンズ21を透過する。
その後、半導体レーザ2から射出した光束E1は折り返しミラー24により下側に反射された後、第2の結像レンズ22を透過して最終折り返しミラー25によって反射され、防塵ガラス43aを透過して感光ドラム82aに走査光として露光される。一方、半導体
レーザ3から射出した光束E2は分離用の折り返しミラー26により下側に反射された後、第2の結像レンズ23を透過して最終折り返しミラー27によって反射され、防塵ガラス43bを透過して感光ドラム82bに走査光として露光される。
また、半導体レーザ12,13から射出された光束E3,E4はレーザホルダ11の絞り部11c,11dによってその光束断面の大きさが制限され、コリメータレンズ16,17により略平行光束に変換され、不図示のシリンドリカルレンズに入射する。シリンドリカルレンズに入射した光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で透過され、副走査断面内においては収束してポリゴンミラー10の同一面にほぼ線像として結像する。この際、副走査方向に角度θを持ってポリゴンミラー10近傍で交差するように斜入射される。
そして、ポリゴンミラー10が回転することで偏向走査しながら、副走査方向に角度θを持って射出される。
ポリゴンミラー10から射出された2本の光束E3,E4のうち、半導体レーザ12から射出してポリゴンミラー10に反射された光束E3が不図示のBDセンサに受光される。BDセンサが半導体レーザ12から射出した光束を検知して同期信号を出力し、半導体レーザ12,13による画像端部の走査開始位置のタイミングを調整する。
ここで、半導体レーザ12,13が副走査方向に1つのレーザホルダ11に設けられているため、半導体レーザ13による画像端部の走査開始位置のタイミングは半導体レーザ12と同じタイミングとすることができる。
タイミング調整されて半導体レーザ12,13から射出された光束は、第1の結像レンズ31を透過する。
その後、半導体レーザ12から射出した光束は分離用折り返しミラー34により下側に反射された後、第2の結像レンズ32を透過して最終折り返しミラー35によって反射され、防塵ガラス43cを透過して感光ドラム82cに走査光E3として露光される。
一方、半導体レーザ13から射出した光束は折り返しミラー36により下側に反射された後、第2の結像レンズ33を透過して最終折り返しミラー37によって反射され、防塵ガラス43dを透過して感光ドラム82dに走査光E4として露光される。
次に、カラープリンタ100において画像形成を行う場合の動作を説明する。
プリントスタートの信号が入力されると、画像情報に基づいて走査光学装置50から各感光ドラム82a,82b,82c,82dにレーザ光束が走査光として露光される。
レーザ光束が露光されるまでの説明は、先述の半導体レーザ2,3,12,13から射出された光束E1,E2,E3,E4が各感光ドラム82a,82b,82c,82dに走査光として露光されるまでの流れの説明と同様のため省略する。
また、不図示の色ズレ量検知手段であるレジスト検知センサ(以下、レジセンサという)により、中間転写ベルト87上に形成される各色のレジ補正用パターンの色ズレ量を検知することで、各種色ズレを補正することが可能となる。具体的には、トップマージンとサイドマージンによる色ズレは、画像データの書き出しタイミングを電気的に補正し、倍率要因による色ズレについても、画像クロック周波数を微小に変化させることで、倍率を一致させている。
画像形成は、各感光ドラム82a,82b,82c,82dが露光されることで、一次帯電器83a,83b,83c,83dにより帯電された各感光ドラム82a,82b,82c,82d上に静電潜像を形成する。その後現像装置84a,84b,84c,84d内で摩擦帯電された各色のトナーを前記静電潜像に付着させることで各感光ドラム82a,82b,82c,82d上にトナー像が形成される。トナー像は各感光ドラム82a,82b,82c,82d上から各一次転写ニップ部にて中間転写ベルト87上に転写される。
一方、給紙カセット92から給紙ローラ93により転写用紙が1枚ずつ給紙され、レジストローラ対94に搬送されると、いったん停止し、前記二次転写部で所定位置にトナー像を転写されるようにタイミングを合わせて搬送が開始される。
二次転写部では、中間転写ベルト87上から転写用紙にトナー像を再度転写することで画像が転写用紙に形成される。画像が形成された転写用紙は定着器95によりトナー像を熱により定着され、搬送ローラ対96、排紙ローラ対97により、排紙トレイ98上に搬送、排紙される。
ここで、走査光E1〜E4は走査線調整がなされており、トップマージンとサイドマージン、倍率要因による色ずれは、電気的に補正しているため、排紙されたシートでは色ズレ量の少ない高品質の画像が得られる。
以上、説明したように、まず、ポリゴンミラー10によって偏向走査された光束を折返しミラー24によって感光ドラム82aから遠ざける方向に一旦反射させる。反射させた光束は折返しミラー24の入射側を通り感光ドラム82aに導く最終折返しミラー25との間に配置された、副走査方向にパワーを有する第2の結像レンズ22を通過する。ここで、折返しミラー24の反射角度は、調整ビス24a、25bが、主走査方向SAで同一側に設けられ、副走査方向で上下逆側に設けられているため、調整可能となっている。以上より、主走査方向の部分倍率を悪化させることなく、Bowの調整が可能となる。
また、最終折返しミラー25の反射角度も調整可能となるため、Bow調整時に発生した照射位置変化を調整すると同時にSkew変化も低減させることができる。このため、光学性能を確保し、各走査線のずれによって発生する色ズレを防止するとともに、小型・低コストを実現可能な走査光学装置および画像形成装置を提供することが可能となる。
さらに、全ての調整ビスが主走査方向同一側にあるため、調整ビスへのアクセスが行いやすい。さらに、全ての調整ビスが、レーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられているので、調整中に入射光束を遮光することがない。よって、調整ビスの配置自由度が増すため、調整部を大きくする必要がなく、走査光学装置50を小型化することができる。
以下に、図8、図9を参照して、本発明の実施例2について説明する。以下の説明では、主として実施例1と異なる点についてのみ説明するものとし、実施例1と同じ構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
図8は実施例2である折返しミラーの調整部を示す断面図、図9は実施例2である走査光学装置を備えた画像形成装置の一部を示す部分概略斜視図である。
まず、図8を用いて折返しミラーの調整部の構成を説明する。(A)は折返しミラーの主
走査方向で一方側の指示部を示した断面図で、(B)は折返しミラーの主走査方向で他方側
の指示部を示した断面図である。
折り返しミラー24は、反射面を調整機構としての調整偏心カム24f、光学ケース40に設けられたミラー支持部24b、24cによって支持され、反射面と垂直方向をミラー支持部24d、24eによって支持されている。
調整偏心カム24fおよびミラー支持部24b、24dは、主走査方向でレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられている。また、調整偏心カム24fは副走査方向で図8中上側に、ミラー支持部24bは副走査方向で図8中下側に折り返しミラー24の幅方向(反射面の短手方向)の中央部から略同一距離に配置されている。ミラー支持部24dは折り返しミラー24の厚み方向(反射面と垂直方向)の略中央部に設けられている。
一方、ミラー支持部24c、24eは、主走査方向でレーザホルダ1、11と同一側に設けられており、24cは、副走査方向で調整偏心カム24fとミラー支持部24bの略中央で、折り返しミラー24の幅方向の中央部に配置されている。また、ミラー支持部24eは折り返しミラー24の厚み方向の略中央部に設けられている。
そして、同形状の付勢バネ241、242に設けられた付勢部241a、242aにより、折り返しミラー24の幅方向の中央部を調整偏心カム24f、ミラー支持部24b、24cに向かって付勢している。また、付勢バネ241、242に設けられた付勢部241b、242bにより、折り返しミラー24の厚み方向の略中央部をミラー支持部24d、24eに付勢した状態で取り付けられている。
また、24gは調整偏心カム24fを回転させるための調整ダイヤルであり、光学ケース40の主走査方向でレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側の壁に設けられている。この結果、折り返しミラー24は常に安定した状態で、調整偏心カム24f、ミラー支持部24b、24c、24d、24eに支持されている。また、調整ダイヤル24gを回転させることで、調整偏心カム24fが回転し、折り返しミラー24の反射面角度を変更可能である。
したがって、副走査方向にパワーを有する第2の結像レンズ22に入射する角度を調整することで、走査線のBowを調整可能である。そして、付勢バネ241、242が同一形状であるため、部品点数が増加せず、組立てしやすくなる。
また、最終折り返しミラー25は、反射面を調整偏心カム25f、光学ケース40に設けられたミラー支持部25a、25cによって支持され、反射面と垂直方向をミラー支持部25d、25eによって支持されている。調整偏心カム25fおよびミラー支持部25a、25dは、主走査方向でレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられている。ミラー支持部25aは副走査方向で図8中上側に、調整偏心カム25fは副走査方向で図8中下側に最終折り返しミラー25の幅方向(反射面の短手方向)の中央部から略同一距離に配置されている。また、ミラー支持部25dは最終折り返しミラー25の厚み方向(反射面と垂直方向)の略中央部に設けられている。
一方、ミラー支持部25c、25eは、主走査方向でレーザホルダ1、11と同一側に設けられており、ミラー支持部25cは、副走査方向で調整偏心カム25fとミラー支持部25aの略中央で、最終折り返しミラー25の幅方向の中央部に配置されている。そして、ミラー支持部25eは最終折り返しミラー25の厚み方向の略中央部に設けられている。
そして、同形状の付勢バネ251、252に設けられた付勢部251a、252aにより、最終折り返しミラー25の幅方向の中央部が調整偏心カム25f、ミラー支持部25a、25cに向かって付勢されている。また、付勢バネ251、252に設けられた付勢部251b、251bにより、最終折り返しミラー25の厚み方向の略中央部をミラー支持部25d、25eに付勢された状態で取り付けられている。また、25gは調整偏心カム25fを回転させるための調整ダイヤルであり、光学ケース40の主走査方向でレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側の壁に設けられている。
したがって、最終折り返しミラー25は常に安定した状態で、調整偏心カム25f、ミラー支持部25a、25c、25d、25eに支持されており、調整ダイヤル25gを回転させることで、調整偏心カム25fが回転し、反射面角度を変更可能である。また、折り返しミラー24の反射面角度を変更して走査線のBowを調整した際に生じる照射位置の変化に応じて、ドラム82aに向けた反射角度を変更することで照射位置を調整可能である。
また、第2の結像レンズ22は、支持座面22aを光学ケース40に設けられた不図示の支持部に当接した状態で、同一形状の付勢バネ221、222により付勢されている。これにより、図6中矢印Z方向に移動することで、照射位置調整が可能であり、矢印Y方向に移動することで、主走査左右倍率差調整が可能であり、矢印R方向の回転移動をすることで、Skew調整が可能である。
次に、走査光E1の走査線調整に関して説明する。すなわち、走査光学装置50では、照射位置、左右倍率差、Skew、Bowの調整を行う。走査光学装置50を、不図示の調整治具に取り付ける。調整治具は、感光体82a相当位置の主走査方向両端部および中央部の3箇所に副走査方向の位置を測定するCCDセンサおよび走査時間を測定するための走査時間検出センサが配置されている。この際、折り返しミラー24の反射面角度を調整する調整偏心カム24fと最終折り返しミラー25の反射面角度を調整する調整偏心カム25f、第2の結像レンズ22は初期位置に設定されている。
まず、図7(A)に示すような走査線の初期状態の副走査位置を測定し、調整ダイヤル24gを回転させることで、調整偏心カム24fを回転させ、折り返しミラー24の反射面角度を変更し、図7(B)に示すようにBowの調整を行う。この際、折り返しミラー24はミラー支持部24b、24cを結ぶ線分を中心にして反射面角度が変化する。このため、照射位置、Skew、主走査左右倍率差が変化する。
次に、調整ダイヤル25gを回転させることで、調整偏心カム25fを回転させ、最終折り返しミラー25の反射面角度を変更し、図7(C)に示すように、照射位置の粗調整を行う。これは、第2の結像レンズ22の移動量を低減させるためである。
また、この際、最終折り返しミラー25はミラー支持部25a、25cを結ぶ線分を中心にして反射面角度が変化するため、図7(C)に示すように、Skew量もほぼ初期状態となる。このため、第2の結像レンズ22を図6中R方向へ移動させる量も低減させることができる。
次に、CCDセンサによる副走査位置および走査時間検出センサによる左右時間差を測定しながら、第2の結像レンズ22を図6のY方向に移動させる。これにより、走査時間検出センサによる左右時間差が同じになるように主走査左右倍率差調整を、Z方向に移動させることで照射位置調整を、R方向に回転移動させることでSkew調整を同時に行うことが可能となる。
こうして、図7(D)に示すように、走査線位置の調整が完了すると第2の結像レンズ22は、紫外線硬化形の接着剤を紫外線照射することで光学ケース40に設けられた不図示の接着部に接着固定される。
このように、折り返しミラー24を支持し、副走査方向に設けられた2点の内の1点を調整し、最終折り返しミラー25を支持し、副走査方向に設けられた2点の内、折り返しミラー24を調整した1点と副走査方向で上下逆側の1点を調整している。この結果、Bowを調整した時の照射位置変化を調整する際に、Skew変化も低減することができる。
この際、第2の結像レンズ22の移動量が少なくてすむため、不図示の接着部を大きくとる必要が無く、走査光学装置50を小型化することができ、最も難しい第2の結像レンズ22の調整時間を短縮することが可能である。また、調整偏心カム24f、25fが主走査方向同一側にあるため、調整ダイヤル24g、25gを光学ケース40の同一壁面に設けることができ、調整時のアクセスが行いやすい。
また、折返しミラー26、35、36に対応する不図示の調整偏心カムが、主走査方向でレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられ、副走査方向で図8の上側に設けられている。また、最終折返しミラー27、35、37に対応する不図示の調整偏心カムが主走査方向でレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられ、副走査方向で図8の下側に設けられている。
ここで、26g、34g、36gは折返しミラー26、34、36の調整偏心カムをそれぞれ回転させる調整ダイヤルであり、27g、35g、37gは最終折返しミラー27、35、37の調整偏心カムをそれぞれ回転させる調整ダイヤルである。これらは、光学ケース40の主走査方向でレーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側の壁に設けられている。
このため、その他の走査光E2〜E4に関しても、同様に走査線調整が可能である。ここで、全ての調整偏心カムが主走査方向同一側にあるため、全ての調整ダイヤルを光学ケース40の同一壁面に設けることができ、調整時のアクセスが行いやすい。
さらに、全ての調整偏心カムが、レーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられているので、調整中に入射光束を遮光することがなく、調整偏心カムの配置自由度が増す。これにより、調整部を大きくする必要がなく、走査光学装置50を小型化することができる。
また、調整ダイヤルおよび調整偏心カムが、カラープリンタ100の手前側になるように走査光学装置50を配置しているため、カラープリンタ100も前扉101を開き、不図示の内カバーを外すことで、調整ダイヤルに簡単にアクセスができる。よって、経時変化等で副走査の色ズレ量が変化した時に、サービスマンが本体上でメンテナンスを行い、色ズレを低減させることができる。この際、Bow調整時に発生した照射位置変化やSkew変化は、最終折返しミラーの調整により低減させることが可能であり、かつSkew調整も、調整偏心カム24f、25fの調整量を加減することで、可能となる。
以上、説明したように、ポリゴンミラー10によって偏向走査された光束は、折返しミラー24によって、感光ドラム82aから遠ざける方向に一旦反射させられる。その後、反射させられた光束は、折返しミラー25に反射され、折返しミラー24の入射側を通り感光ドラム82aへ導かれる。ここで、折返しミラー24、25の間に配置され、副走査
方向にパワーを有する、第2の結像レンズ22を通過する。また、ミラー支持部を兼ねた調整機構が、主走査方向で同一側に設けられ、副走査方向で上下逆側に設けられているため、折返しミラー24の反射角度が調整可能となり、以上より、主走査方向の部分倍率を悪化させることなく、Bowの調整が可能となる。
さらに、最終折返しミラー25の反射角度も調整可能となるため、Bow調整時に発生した照射位置変化を調整すると同時にSkew変化も低減させることができる。このため、光学性能を確保し、各走査線のずれによって発生する色ずれを防止するとともに、小型・低コストを実現可能な走査光学装置および画像形成装置を提供することが可能となる。
さらに、全てのミラー調整機構が主走査方向同一側にあるため、調整部へのアクセスが行いやすい。さらに、全ての調整機構が、レーザホルダ1、11とポリゴンミラー10を挟んだ逆側に設けられているので、調整中に入射光束を遮光することがなく、調整部の配置自由度が増すため、調整部を大きくする必要がなく、走査光学装置50を小型化することができる。
さらに、調整機構を画像形成装置であるカラープリンタ100の手前側になるように走査光学装置50を配置することで、経時変化等で副走査の色ズレ量が変化した時に、サービスマンが簡単に本体上でメンテナンスを行い、色ズレを低減させることができる。