JP5206983B2 - Itoスパッタリングターゲットとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タッチパネル等を構成する透明導電膜をスパッタリング法にて形成する際に用いられるITOスパッタリングターゲットに係り、特に、酸化錫の含有量が3.5質量%以下と低濃度であるにも拘わらず割れによる収率の低下が起こり難いITOスパッタリングターゲットとその製造方法に関するものである。
酸化物透明導電膜は、高い導電性と可視光領域での高い透過率を有するため、太陽電池や液晶表示素子、その他各種受光素子の電極等に利用されているばかりでなく、近赤外線領域の波長での反射吸収特性を生かして、自動車や建築物の窓ガラス若しくはフィルム等に用いる熱線反射膜や各種の帯電防止膜、冷凍ショーケース等の防曇用の透明発熱体としても利用されている。
そして、この種の酸化物透明導電膜には、アンチモンやフッ素をドーパントとして含む酸化錫、アルミニウムやガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛、および、錫をドーパントとして含む酸化インジウム等が広範に利用されている。特に、錫をドーパントとして含む酸化インジウム膜はITO(Indium Tin Oxide)膜と称され、特に、低抵抗の酸化物透明導電膜が容易に得られることから頻繁に用いられている。
また、この種の酸化物透明導電膜の形成方法としては、真空中で蒸発源を加熱し、蒸発した原料を基板上に堆積させて形成する真空蒸着法、ターゲットにアルゴンイオンを衝突させてターゲットを構成する物質をたたき出し、対向する基板に堆積させて形成するスパッタリング法、および、透明導電層形成用塗液を塗布して形成する方法等が用いられている。この中で、真空蒸着法やスパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を使用する際や精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、かつ、操作が非常に簡便であるため、工業的に広く利用されており、特に、スパッタリング法は、短時間に効率良く薄膜を生成できることから最も広く利用されている。
ところで、スパッタリングターゲット材(焼結体)には、長時間安定したスパッタリング成膜が行なえるようにするため、相対密度で98%を越える高い密度が求められる。ここで、上記「相対密度」とは、ターゲット材の出発原料である各混合粉末の真密度から求めた計算真密度に対する焼結体(ターゲット材)の密度の比率(%)のことで、(上記焼結体の密度/計算真密度)×100=焼結体の相対密度(%)という式により求められる値である。尚、計算真密度は、ITOであれば、計算真密度=100/[酸化インジウムの配合比(質量%)/酸化インジウムの真密度+酸化錫の配合比(質量%)/酸化錫の真密度]で計算される。また、通常、上記ITOターゲットとしては、酸化錫の含有量が10質量%のものが用いられるが、タッチパネル等の用途においては、高抵抗で膜硬度の高い透明導電膜が要求されることから、酸化錫の含有量が上記10質量%より少なく高抵抗で膜硬度の高い結晶性の膜が得られるITOターゲットが適用されている。
そして、特開平7−166341号公報、特開平8−35062号公報、および、特開2004−323877号公報においては、酸化錫の含有量が10質量%未満である低濃度錫のITOスパッタリングターゲットを製造する方法が提案され、これ等公報に記載された方法により高密度で結晶相が単相のITOスパッタリングターゲット(焼結体)が得られている。
特開平7−166341号公報 特開平8−35062号公報 特開2004−323877号公報
しかし、上記公報に記載された方法によりITOスパッタリングターゲット(焼結体)を製造した場合でも、酸化錫の含有量が3.5質量%を下回るあたりから、酸化錫の含有量が10質量%の焼結体(ITOスパッタリングターゲット)と較べ、焼結後において焼結体の割れる比率が高くなり、酸化錫の含有量が2.5質量%以下においては、焼結体(ITOスパッタリングターゲット)の収率が著しく悪化してしまう問題が存在した。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、酸化錫の含有量が3.5質量%以下と低濃度であるにも拘わらず、焼結後の割れによる収率低下が起こり難いITOスパッタリングターゲットとその製造方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者は、酸化インジウムと酸化錫とで構成さる複合粉末と、酸化インジウムおよび酸化錫の一種または二種との混合粉末を用いる特開平7−166341号公報、特開平8−35062号公報等に記載されたITOスパッタリングターゲットの製造方法を参考にし、酸化錫の含有量が3.5質量%以下の場合でも割れによる収率の低下が起こり難いターゲットの製造方法を開発するため鋭意研究を行なった結果、発明者が開発した方法により製造された焼結体の相対密度、焼結体の平均結晶粒径、焼結体表面部における最大結晶粒径に対する焼結体中心部における最大結晶粒径の比(すなわち、焼結体中心部における最大結晶粒径を焼結体表面部における最大結晶粒径で割った数値)、焼結体の曲げ強度等が所定の条件を満たす場合、焼結後の割れによる収率の低下が起こり難いことを見出すに至った。
本発明はこのような技術的発見により完成されたものである。
すなわち、請求項1に係る発明は、
酸化錫を含有する酸化インジウムの焼結体により構成されるITOスパッタリングターゲットにおいて、
酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下、上記焼結体の相対密度が98%以上、上記焼結体の結晶相が単相で、平均結晶粒径が10μm以下であり、上記焼結体の表面部における最大結晶粒径に対する焼結体の厚み方向における中心部の最大結晶粒径の比が0.5〜1、かつ、上記焼結体の曲げ強度が70MPa以上であることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、
酸化錫と酸化インジウムから成る原料粉に、水と有機バインダーおよび分散剤を混合してスラリーを得、かつ、得られたスラリーを乾燥噴霧して酸化錫と酸化インジウムから成る造粒粉とし、この造粒粉を加圧成形した後、得られた成形体を焼成することによりITOスパッタリングターゲットを製造する方法において、
酸化錫の含有量が質量比で0%以上1%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第一造粒粉と、酸化錫の含有量が質量比で3%以上6%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第二造粒粉を、質量比で2:1から1:2の比率で混合して、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下となる混合粉を調製した後、第一造粒粉と第二造粒粉から成る上記混合粉を加圧成形することを特徴とする。
請求項1に記載の発明に係るITOスパッタリングターゲットによれば、
酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下、ターゲットである焼結体の相対密度が98%以上、上記焼結体の結晶相が単相で、平均結晶粒径が10μm以下であり、上記焼結体の表面部における最大結晶粒径に対する焼結体の厚み方向における中心部の最大結晶粒径の比が0.5〜1、かつ、上記焼結体の曲げ強度が70MPa以上であるため、酸化錫の含有量が3.5質量%以下と低濃度であるにも拘わらず割れ難く、焼結後の割れによる収率低下が起こり難い。
また、請求項2に記載の発明に係るITOスパッタリングターゲットの製造方法によれば、
酸化錫の含有量が質量比で0%以上1%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第一造粒粉と、酸化錫の含有量が質量比で3%以上6%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第二造粒粉を、質量比で2:1から1:2の比率で混合して、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下となる混合粉を調製し、次いで第一造粒粉と第二造粒粉から成る上記混合粉を加圧成形した後、この成形体を焼成してITOスパッタリングターゲットを得ているため、酸化錫の含有量が3.5質量%以下と低濃度であるにも拘わらず、焼結後の割れによる収率の低下が起こり難い請求項1に係るITOスパッタリングターゲットを安定してかつ効率よく製造することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、酸化錫を含有する酸化インジウムの焼結体により構成される本発明のITOスパッタリングターゲットは、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下、上記焼結体の相対密度が98%以上、上記焼結体の結晶相が単相で、平均結晶粒径が10μm以下であり、上記焼結体の表面部における最大結晶粒径に対する焼結体の厚み方向における中心部の最大結晶粒径の比が0.5〜1、かつ、上記焼結体の曲げ強度が70MPa以上であることを特徴とする。
また、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末を用いて本発明に係る上記ITOスパッタリングターゲットを製造する際、好ましくは、平均粒径が0.5μm以下でかつ粒径0.1μm以上0.8μm以下の粉末の占める割合が85質量%以上である酸化インジウム粉末と、平均粒径が2.5μm以下でかつ粒径7.0μm以上の粉末の占める割合が10質量%以下の酸化錫粉末を用いるとよく、更に好ましくは、平均粒径が0.4μm以下でかつ粒径0.1μm以上0.8μm以下の粉末の占める割合が95質量%以上である酸化インジウム粉末と、平均粒径が2.0μm以下でかつ粒径7.0μm以上の粉末の占める割合が3質量%以下の酸化錫粉末を用いるとよい。
そして、酸化インジウムに対する酸化錫の割合が質量比で3%以上6%以下となるように、酸化インジウム粉末と酸化錫粉末を混合した原料粉末と、水、有機バインダー、分散剤とを混合してスラリーを調製する。尚、有機バインダーとしてPVAが挙げられる。
得られたスラリーを、スプレードライヤー装置を用いて噴霧・乾燥させることにより、酸化錫の含有量が質量比で3%以上6%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第二造粒粉を得る。上記噴霧・乾燥処理の際、乾燥温度を80℃以上にすることが望ましい。乾燥温度が80℃未満になると、十分に乾燥した造粒粉を得ることができない。また、乾燥が不十分で水分量が多い造粒粉の場合、次の成形、焼結工程で割れが発生する可能性が高くなる。
同様の方法により、酸化インジウムに対する酸化錫の割合が質量比で0%以上1%以下の割合で混合した原料粉末を用いて、酸化錫の含有量が質量比で0%以上1%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第一造粒粉を得る。
そして、酸化錫の含有量が質量比で0%以上1%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る上記第一造粒粉と、酸化錫の含有量が質量比で3%以上6%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る上記第二造粒粉を、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下となるように秤量し、かつ、3次元揺動を行う攪拌機により30分以上攪拌を行う。
混合時間が30分未満になると、混合が不十分で不均一になり、後工程の焼結、加工工程で割れが発生する可能性が高くなる。また、造粒粉を投入する攪拌機の混合容器には、造粒粉が混合容器の半分程度を占めるように粉末を入れる。混合容器内の空間が少なくなると十分に混合できなくなる。また、上記第一造粒粉と第二造粒粉の混合比率は、求める最終製品(ITOスパッタリングターゲット)の酸化錫の含有量によって決定されるが、質量比で2:1から1:2の比率とする。一方の造粒粉の質量比が1/3以下になると、均一に混合できなくなる。
そして、第一造粒粉と第二造粒粉の混合粉を成形型に入れ、294MPa(3ton/cm)以上の圧力で加圧成形して成形体を得る。成形圧力が294MPa(3ton/cm)未満になると、成形体の強度が弱く、成形時または成形体を取り扱う際に割れる可能性が高くなる。
次に、得られた成形体を焼結炉内のセッターおよび敷粉上に設置し、炉床から成形体下面までの距離および成形体上面から天井板までの距離を5mm以上30mm以下、好ましくは、7mm以上20mm以下となるように調整する。空間をこの範囲にすると、焼結炉内に導入する空気または酸素ガスによる脱バインダーの効率が良く、また、均一に焼結することができる。
そして、800℃以上の温度で常圧の酸素気流を成形体の上部および下部の表面に流し、焼結保持温度を1500℃に保持した後、冷却することによりITO焼結体を製造する。
得られたITO焼結体は、平面研削等により所望の大きさに加工し、所定の寸法に加工後、バッキングプレートに貼り付けることにより、最終製品のITOスパッタリングターゲットとすることができる。必要により数枚のタイルを並べた分割形状でも良い。
上記方法により製造されたITOスパッタリングターゲット(すなわち、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が、質量比で1.5%以上3.5%以下のITOスパッタリングターゲット)は、相対密度が98%以上で、結晶相が単相で、平均結晶粒径が10μm以下であり、焼結体表面部における最大結晶粒径に対する焼結体の厚み方向における中心部の最大結晶粒径の比が0.5〜1、かつ、焼結体の曲げ強度が70MPa以上になっている。このため、酸化錫の含有量が3.5質量%以下と低濃度であるにも拘わらず割れ難く、焼結後の割れによる収率低下が起こり難い。
ここで、上記「平均結晶粒径」は、以下の測定方法で求めたものである。
すなわち、製造されたITOスパッタリングターゲットについて、5000倍のSEM(走査電子顕微鏡)観察写真を求め、得られた観察写真の一方の端縁から他方の端縁まで複数本の直線を引く。ここで、直線の数は4本以上とすることが定量精度の観点から望ましく、また、直線の引き方は井桁状や放射状とすることができる。
次に、SEM観察写真の直線上に存在する結晶粒界の数nを測定し、以下の数式(1)から平均結晶粒径dを求め、かつ、複数本の直線からそれぞれ求められた平均結晶粒径dから平均値を求めたものである。
数式 d=L/n/m (1)
[数式(1)中、dは1本の直線から求めた平均結晶粒径を示し、Lは1本の直線の長さを示し、nは1本の直線上の結晶粒界の数を示し、また、mは倍率を示す]
また、上記「最大結晶粒径」は、製造されたITOスパッタリングターゲットについて、5000倍のSEM観察写真を任意に5箇所以上撮影し、得られたSEM観察写真から最大の結晶を特定し、特定された結晶の粒径を円相当直径に換算して求めたものである。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
平均粒径が0.4μm以下でかつ粒径0.1μm以上0.8μm以下の粉末の占める割合が95質量%以上である酸化インジウム粉末と、平均粒径が2.0μm以下でかつ粒径7.0μm以上の粉末の占める割合が3質量%以下である酸化錫粉末とを、酸化インジウムに対する酸化錫の割合が質量比で3%となるように混合した原料粉末に、水、1質量%のPVAバインダー、0.5質量%の分散剤を添加し、ビーズミル(アシザワ・ファインテック株式会社製:LMZ型)にて混合してスラリーを調製した。
得られたスラリーを、スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製:ODL−20型)を用い、供給速度140ml/min、熱風温度140℃、熱風量8Nm/minで乾燥造粒して、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で3%である第二造粒粉を得た。
同様にして、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1%である第一造粒粉も調製した。
次に、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で3%である第二造粒粉と、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1%である第一造粒粉を、各1200g計量し、攪拌機(アシザワ・ファインテック社製:HSV10)にて30分間攪拌混合を行った。用いた第二造粒粉と第一造粒粉、および、混合した混合粉中の酸化インジウムに対する酸化錫の含有量を、それぞれ表1に示す。
次に、2種類の上記造粒粉を混合した混合粉を成形型に入れ、冷間静水圧プレス(株式会社神戸製鋼製)にて3ton/cmの圧力で成形し、長さ380mm、幅130mm、厚さ10mmの成形体を得た。
得られた成形体を、焼結炉(丸祥電器株式会社製)に入れ、大気中にて600℃まで0.5℃/分の速度で昇温した。次に、酸素ガスを10リットル/分の流速で焼結炉内に導入しながら、800〜1500℃の温度範囲を3℃/分の速度で昇温した。その後、1500℃にて30時間、焼結した後、室温まで冷却し、焼結体を取り出した。
得られた焼結体(ITOスパッタリングターゲット)を平面研削盤で長さ300mm、幅100mm、厚さ6mmに加工し、相対密度を測定した。
次に、加工体の一部を切断し、切断面を鏡面研磨した後、熱腐食して結晶粒界を析出させ、SEM観察によって平均結晶粒径および最大結晶粒径を測定した。
更に、上記加工体から、長さ80mm、幅10mm、厚さ6mmの試料を切り出し、曲げ強度試験(JIS R1601に準拠)を実施した。
これ等の結果を他の実施例、比較例1と共に表2に示す。
実施例1と同様の方法により、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で3%である第二造粒粉と、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で0%(すなわち、酸化インジウムのみ)である第一造粒粉をそれぞれ調製し、第二造粒粉1600gと第一造粒粉800gをそれぞれ計量し、かつ、第二造粒粉と第一造粒粉を混合して加工体まで作製した後、実施例1と同じ測定、試験を実施した。
実施例1と同様の方法により、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で5%である第二造粒粉と、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で0%(すなわち、酸化インジウムのみ)である第一造粒粉をそれぞれ調製し、第二造粒粉960gと第一造粒粉1440gをそれぞれ計量し、かつ、第二造粒粉と第一造粒粉を混合して加工体まで作製した後、実施例1と同じ測定、試験を実施した。
実施例1と同様の方法により、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で6%である第二造粒粉と、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で0%(すなわち、酸化インジウムのみ)である第一造粒粉をそれぞれ調製し、第二造粒粉800gと第一造粒粉1600gをそれぞれ計量し、かつ、第二造粒粉と第一造粒粉を混合して加工体まで作製した後、実施例1と同じ測定、試験を実施した。
実施例1と同様の方法により、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で3%である第二造粒粉と、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で0%(すなわち、酸化インジウムのみ)である第一造粒粉をそれぞれ調製し、第二造粒粉1200gと第一造粒粉1200gをそれぞれ計量し、かつ、第二造粒粉と第一造粒粉を混合して加工体まで作製した後、実施例1と同じ測定、試験を実施した。
実施例1と同様の方法により、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で5%である第二造粒粉と、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で0%(すなわち、酸化インジウムのみ)である第一造粒粉をそれぞれ調製し、第二造粒粉1440gと第一造粒粉960gをそれぞれ計量し、かつ、第二造粒粉と第一造粒粉を混合して加工体まで作製した後、実施例1と同じ測定、試験を実施した。
[比較例1]
実施例1と同様の方法により、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で2%である造粒粉を調製し、かつ、得られた造粒粉のみを用いて加工体を作製し、同様の測定、試験を行った。
Figure 0005206983
Figure 0005206983
「評 価」
(1)酸化錫の含有量が質量比で0%以上1%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第一造粒粉と、酸化錫の含有量が質量比で3%以上6%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第二造粒粉を、質量比で2:1から1:2の比率で混合し、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3%以下となる混合粉を調製して製造された実施例1〜6に係る焼結体(ITOスパッタリングターゲット)は、表2に示されているように相対密度が98%以上、平均結晶粒径が10μm以下、焼結体表面部における最大結晶粒径に対する焼結体の厚み方向における中心部の最大結晶粒径の比(すなわち、焼結体の厚み方向中心部における最大結晶粒径を焼結体表面部における最大結晶粒径で割った数値)が0.5〜1、かつ、焼結体の曲げ強度が70MPa以上になっており、実施例1〜6に係る10枚の焼結体(ITOスパッタリングターゲット)中の割れた枚数は全て0枚になっている。
すなわち、酸化錫の含有量が3質量%以下と低濃度であるにも拘わらず、実施例1〜6に係る焼結体は割れ難く、焼結後の割れによる収率低下が起こり難いことが確認される。
(2)他方、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で2%である造粒粉のみを用いて製造された比較例1に係る焼結体(ITOスパッタリングターゲット)は、表2に示されているように、相対密度が95.9%(すなわち、相対密度が98%未満)、平均結晶粒径が12μm(すなわち、平均結晶粒径が10μmを越える)、焼結体表面部における最大結晶粒径(15μm)に対する焼結体の厚み方向における中心部の最大結晶粒径(6μm)の比(6/15)が0.4(すなわち、上記比が0.5未満)、かつ、焼結体の曲げ強度が58MPa(すなわち、曲げ強度が70MPa未満)になっており、製造された比較例1に係る10枚の焼結体(ITOスパッタリングターゲット)中の割れた枚数は2枚になっている。
従って、焼結後の割れによる収率の低下が起こっていることが確認された。
本発明に係るITOスパッタリングターゲットは、酸化錫の含有量が3.5質量%以下と低濃度であるにも拘わらず割れによる収率の低下が起こり難いため、タッチパネル等を構成する透明導電膜をスパッタリング法にて形成する際に用いられる産業上の利用可能性を有している。

Claims (2)

  1. 酸化錫を含有する酸化インジウムの焼結体により構成されるITOスパッタリングターゲットにおいて、
    酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下、上記焼結体の相対密度が98%以上、上記焼結体の結晶相が単相で、平均結晶粒径が10μm以下であり、上記焼結体の表面部における最大結晶粒径に対する焼結体の厚み方向における中心部の最大結晶粒径の比が0.5〜1、かつ、上記焼結体の曲げ強度が70MPa以上であることを特徴とするITOスパッタリングターゲット。
  2. 酸化錫と酸化インジウムから成る原料粉に水と有機バインダーおよび分散剤を混合してスラリーを得、かつ、得られたスラリーを乾燥噴霧して酸化錫と酸化インジウムから成る造粒粉とし、この造粒粉を加圧成形した後、得られた成形体を焼成することによりITOスパッタリングターゲットを製造する方法において、
    酸化錫の含有量が質量比で0%以上1%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第一造粒粉と、酸化錫の含有量が質量比で3%以上6%以下である酸化インジウムと酸化錫から成る第二造粒粉を、質量比で2:1から1:2の比率で混合して、酸化インジウムに対する酸化錫の含有量が質量比で1.5%以上3.5%以下となる混合粉を調製した後、第一造粒粉と第二造粒粉から成る上記混合粉を加圧成形することを特徴とするITOスパッタリングターゲットの製造方法。
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