JP5206979B2 - レーザcvdによる薄膜形成方法、及び同方法に好適なガスウィンドウ - Google Patents

レーザcvdによる薄膜形成方法、及び同方法に好適なガスウィンドウ Download PDF

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Description

本発明は、FPD基板の断線修復やフォトマスクの欠陥修復等々の用途に使用されるレーザCVDによる薄膜形成方法及び同方法に好適なガスウィンドウに関する。
FPD基板の断線修復やフォトマスクの欠陥修復等々の用途には、レーザCVDによる薄膜形成装置が、従来より使用されいる。
このレーザCVDによる薄膜形成装置は、レーザ光源を備えるレーザユニットと、レーザ光を薄膜形成対象物(例えば、FPD基板やフォトマスク等)の表面に導く光学系と観察装置を備えるレーザ照射観察ユニットと、CVDガスやパージガスなどのガス供給排気ユニットと、薄膜形成対象物が載置されるXYステージと、これらを制御する制御ユニットと、薄膜形成対象物表面に近接して配置されると共に、ガスの供給、排気ノズルを備え、ガスを保持し、レーザ光を導入させるガスウィンドウ(ウィンドウポートとも称される)とを有している。
従来のガスウィンドウにあっては、ガスウィンドウの中心空所内において、パージガスを薄膜形成面に向けて上から下へと流す一方、同中心空所を取り囲む壁面下部に設けられたCVD原料供給口から薄膜形成対象物の表面と平行にCVD原料ガスを吹き出すと言った気流形成手法が採用されていた。
その理由は、ガスウィンドウの中心空所内において、CVD原料供給口から薄膜形成対象物の表面へと上から下へと原料ガスを流す気流形成手法では、パージガスの流れによってCVDガスの流れが乱されて、レーザ光照射部に十分な濃度のCVD原料ガス雰囲気を形成できないことがあるからである(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−207267号公報
しかしながら、このような従来のレーザCVDによる薄膜形成装置にあっては、ガスウィンドウのガス導入空間部内のCVD原料ガス吹出し口が1箇所であったため、原料ガスに拡散方向性があり、CVD原料の堆積の方向性による強弱の傾向が見られ、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合、この原料拡散の方向性が強調されるようになり、上下左右方向での堆積厚さのバラツキが生ずると言った問題点があった。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合、上下左右方向でのCVD薄膜の堆積厚さを可及的に均一化することができるレーザCVDによる薄膜形成方法及び同方法に好適なガスウィンドウを提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、従来の速度の数倍程度の高速で、レーザCVDによる欠陥修復を行うことにより、多くの欠陥を短時間で処理することが可能なレーザCVDによる薄膜形成方法及び同方法に好適なガスウィンドウを提供することにある。
本発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上述の発明が解決しようとする課題は、以下の構成を有するレーザCVDによる薄膜形成方法により解決することができるものと考えられる。
すなわち、このレーザCVDによる薄膜形成方法は、薄膜形成対象物の表面を僅かの隙間を介してガスウィンドウで覆って、それらの間にCVD原料ガスの雰囲気を形成すると共に、前記ガスウィンドウと前記薄膜形成対象物とを、前記薄膜形成対象物の表面に沿って相対的に移動させながら、前記ガスウィンドウのレーザ光導入窓から前記ガスウィンドウ内へと導入されたレーザ光を前記薄膜形成対象物の表面に照射して、所定形状の照射スポットを形成することにより、前記薄膜形成対象物の表面に、前記移動軌跡に沿って、CVD薄膜を連続的に形成するようにしたレーザCVDによる薄膜形成方法であって、
前記薄膜形成対象物の表面と前記ガスウィンドウとの間におけるCVDガス雰囲気の形成は、前記照射スポット予定位置を取り巻くようにその周囲に配置された3個以上の複数個のガス吹出し口から、前記照射スポット予定位置に向けて集中するように、前記薄膜形成対象物の表面と平行に、前記CVD原料ガスを吹き出すことにより行われる、ことを特徴とするものである。
このような構成によれば、前記薄膜形成対象物の表面と前記ガスウィンドウとの間におけるCVDガス雰囲気の形成は、前記照射スポット予定位置を取り巻くようにその周囲に配置された3個以上の複数個のガス吹出し口から、前記照射スポット予定位置に向けて集中するように、前記薄膜形成対象物の表面と平行に、前記CVD原料ガスを吹き出すことにより行われることから、個々のガス吹出し口から吹き出される原料ガスには拡散方向性があったとしても、それらが集中する前記照射スポット予定位置においては、それらの拡散方向性が互いに打ち消されて、高濃度かつ高均一な原料ガスが得られることとなり、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合にあっても、上下左右方向でのCVD薄膜の堆積厚さを可及的に均一化することができる。
上述の方法の好ましい実施の形態としては、前記複数個のガス吹出し口は、等角度間隔で前記照射スポット予定位置の周囲に配置されていてもよい。
このような構成によれば、個々のガス吹出し口から吹き出される原料ガスの拡散方向性は、全ての方位について均等に影響を及ぼすことから、それらが集中する前記照射スポット予定位置においては、それらの拡散方向性がより一層相殺されて、より一層高濃度かつ高均一な原料ガスが得られることとなり、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合にあっても、上下左右方向でのCVD薄膜の堆積厚さをより一層に均一化することができる。
このとき、前記複数個が偶数個であって、それらのガス吹出し口が、前記照射スポット予定位置を通りかつ前記相対移動方向へ延びる直線に対して線対称に配置されていると、移動方向と同一方向又は逆方向へガスを吹き出すガス吹出し口が1つも存在しないことに加えて、相対移動方向へ延びる直線に対して線対称となる各左右一対のガス吹出し口から吹き出されるガスの拡散方向性は、すべて相対移動方向に対して左右対称的となると共に、左右方向へ延びる直線に対しても前後対称的なものとなり、これにより相対移動速度やガスの吹き出し強度に拘わらず、常に、いずれの方向についても高濃度かつ高均一な膜厚を保証することができる。このとき、前記複数個が4個であると、最低のコストで上述の作用効果を実現することができる。
上述の方法及び各実施形態において、前記照射スポットの形状が長方形であると、より一層、配線修復作業等の効率を向上させることができ、FPD基板の断線修復作業の効率化を実現することができる。
上述の発明が解決しようとする課題は、別の一面からみると、新規な構成を有するガスウィンドウとして実現することもできる。
すなわち、このガスウィンドウは、薄膜形成対象物の表面と、前記薄膜形成対象物の表面に対して所定断面輪郭を有するレーザ光を照射するレーザ光照射装置との間にあって、前記薄膜形成対象物の表面に近接して配置され、それにより前記レーザ照射装置から前記薄膜形成対象物の表面に対するレーザ光の通過を許容しつつ、前記薄膜形成対象物の表面との間にCVD原料ガスの雰囲気を形成するガスウィンドウであって、
内部に形成されたガス導入用空所と、
前記ガス導入用空所の上部にあって、前記レーザ光照射装置から到来するレーザ光を前記ガス導入用空所内へと導入するレーザ光導入窓と、
前記ガス導入用空所の下部にあって、前記薄膜形成対象物側へと開口され、前記レーザ光導入窓から導入されたレーザ光を前記薄膜形成対象物の表面へと通過させる底部開口と、
前記ガス導入用空所の壁面にあって、前記ガス導入用空所内へとパージガスを導入するためのパージガス吹出し口と、
前記ガス導入用空所の壁面にあって、前記ガス導入用空所内へとCVD原料ガスを導入するための原料ガス吹出し口と、
前記底部開口を取り巻くその周囲の底面にあって、ガスを排気するためのガス吸込み口とを有し、
前記原料ガス吹出し口は、3個以上の複数個の原料ガス吹出し口からなると共に、それら複数個の原料ガス吹出し口は、前記ガス導入用空所の底部開口近傍にあって、前記ガス導入用空所の中心を取り巻くように、前記ガス導入用空所の壁面に分散配置されており、かつそれらの原料ガス吹出し口からは、前記ガス導入用空所の中心に向けてかつ前記薄膜形成対象物の表面と平行に、前記原料ガスが吹き出すように構成されている、ことを特徴とするものである。
このような構成によれば、前記原料ガス吹出し口は、3個以上の複数個の原料ガス吹出し口からなると共に、それら複数個の原料ガス吹出し口は、前記ガス導入用空所の底部開口近傍にあって、前記ガス導入用空所の中心を取り巻くように、前記ガス導入用空所の壁面に分散配置されており、かつそれらの原料ガス吹出し口からは、前記ガス導入用空所の中心に向けてかつ前記薄膜形成対象物の表面と平行に、前記原料ガスが吹き出すように構成されていることから、このようなガスウィンドウを使用してレーザCVDによる薄膜形成を行えば、上述した方法と同様な作用効果を得ることができる。
上述のガスウィンドウの好ましい実施の形態にあっては、前記複数個のガス吹出し口は、前記ガス導入用空所の中心を取り巻くように、前記ガス導入用空所の壁面に等角度間隔で分散配置されていてもよい。このとき、前記複数個が偶数個であって、それらのガス吹出し口が、前記ガス導入用空所の中心を通りかつ前記ガスウインドウと前記薄膜形成対象物との予定された記相対移動方向へ延びる直線に対して線対称に配置されていてもよい。ことを特徴とする請求項8に記載のガスウィンドウ。このとき、前記複数個が4個であってもよい。
また、上述のガスウィンドウにおいて、好ましい実施の形態にあっては、前記レーザ光の所定断面輪郭が長方形であり、かつその長手方向が前記相対移動方向と整合している、ものであってもよい。
さらに、上述の外ウィンドウは、FPD基板の断線修復のために使用される、ものであってもよい。
本発明によれば、前記薄膜形成対象物の表面と前記ガスウィンドウとの間におけるCVDガス雰囲気の形成は、前記照射スポット予定位置を取り巻くようにその周囲に配置された3個以上の複数個のガス吹出し口から、前記照射スポット予定位置に向けて集中するように、前記薄膜形成対象物の表面と平行に、前記CVD原料ガスを吹き出すことにより行われることから、個々のガス吹出し口から吹き出される原料ガスには拡散方向性があったとしても、それらが集中する前記照射スポット予定位置においては、それらの拡散方向性が互いに打ち消されて、高濃度かつ高均一な原料ガスが得られることとなり、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合にあっても、上下左右方向でのCVD薄膜の堆積厚さを可及的に均一化することができる。
レーザCVD法による薄膜形成装置の全体を示す構成図である。 ガスウィンドウの底面図である。 ガスウィンドウの断面図である。 ガスウィンドウ底面の要部拡大図(本発明)である。 ガスウィンドウ底面の要部拡大図(従来例)である。
以下に、本発明に係るレーザCVDによる薄膜形成方法、及び同方法に好適なガスウインドウ(「ウィンドウポート」とも称される)の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
レーザCVDによる薄膜形成装置10の全体を示す構成図が、図1に示されている。図において、符号7は、断線部分のある液晶FPD基板等のような薄膜形成対象物6を薄膜形成予定面を上に向けて載置するXYステージである。このXYステージ7の上には、薄膜形成対象物6との間に僅かな間隔をおいて、ガスウィンドウ1が支持されている。
ガスウインドウ1は、内部に形成されたガス導入用空所と、ガス導入用空所の上部にあって、レーザ光照射装置から到来するレーザ光を前記ガス導入用空所内へと導入するレーザ光導入窓と、ガス導入用空所の下部にあって、薄膜形成対象物側へと開口され、レーザ光導入窓から導入されたレーザ光を前記薄膜形成対象物の表面へと通過させる底部開口と、ガス導入用空所の壁面にあって、前記ガス導入用空所内へとパージガスを導入するためのパージガス吹出し口と、ガス導入用空所の壁面にあって、前記ガス導入用空所内へとCVD原料ガスを導入するための原料ガス吹出し口と、底部開口を取り巻くその周囲の底面にあって、ガスを排気するためのガス吸込み口とを有する(詳細は後述)。
ガスウィンドウ1の真上には、レーザ照射観察ユニット2が設置される。レーザ照射観察ユニット2は、レーザ光の照射パワーを変えるアッテネータや照射するレーザ光の形状を変化させる可変アパーチャ機構と、対物レンズを上下させて焦点位置を調整する機構と、レーザ光照射部のパターン形状を観察する顕微鏡機構を備える公知の構成(図示せず)を有する。レーザCVD用のレーザ光源を備えるレーザユニット4から出射されたレーザ光は、レーザ照射観察ユニット2とガスウインドウ1を介して薄膜形成対象物6上の所定部分に照射される。
薄膜形成装置10には、この他に、ガス供給排気ユニット3と制御ユニット5が含まれる。ガス供給排気ユニット3は、ガスウインドウ1に供給するCVD用ガス及びパージガスを必要なタイミングで供給し、かつガスウインドウ1から吸引された排気ガスの無害化処理をする機構などを備える。
制御ユニット5は、レーザ光の出射タイミングの制御、XYステージ7の動作、ガス供給排気ユニット3のガス開閉弁のタイミング制御、レーザ照射観察ユニット2の照明、アパーチャ制御、アッテネータの減衰率制御などの薄膜形成装置10内の各ユニットの動作を制御する。
次に、図2及び図3を参照しながら、ガスウィンドウ1の構成例について説明する。図2はガスウィンドウの底面図、図3は同ガスウィンドウの断面図である。
それらの図から明らかなように、ガスウィンドウ1は、上部円板101と下部円板102とを接合してなる基本構造を有する。
上部円板101の中心部には、円形の開口にガラス板を嵌め込んでなにるレーザ光導入窓103が形成されている。レーザ光導入窓103の真下に相当する下部円板102の中心部には、逆円錐台形状を有するガス導入用空所109が形成されている。
下部円板103の下面中心部には、ガス導入用空所109を下面側へと開口する中心開口119が形成されると共に、これを取り巻くようにして、内側環状突条105が形成されている。また、下部円板102の下面側には、内側環状突条105を取り巻くようにして、外側環状突条104が形成されている。
内側環状突条105の外縁部には、ガスウインドウ1と薄膜形成対象物6との間に外部から供給されたガスを排気するための内側環状吸込み口107が形成されると共に、外側環状突条104の内縁部には、同様にガスを排気するための外側環状吸込み口106が形成されている。これらの環状吸い込み口106,107の存在により、外部から導入された各種ガスの排気と、ガスウィンドウ1の中心部へと空気を侵入させないためのシールド作用が達成される。
図3(a)のA−A線断面図に示されるように、ガス導入用空所109と上部円板101の上面との間には、ガス導入用空所109内へとパージガスを導入するためのパージガス通路108が設けられ、その入口108aは上部円板101の上面に設けられ、その出口(パージガス吹出し口)108bはガス導入用空所109の壁面109aの上部に設けられている。そのため、薄膜形成対象物6となる基板表面に対するパージガスの流れは、ガス導入用空所109の上部から下部に向けて下向きに行われる。
図3(c)のC−C線断面図に示されるように、図2において、正方向に角度45°回転した断面位置には、CVD原料ガスをガス導入用空所109内へと導入するための第1の原料ガス通路110と第3の原料ガス通路112が設けられている。
第1の原料ガス通路110の出口(第1の原料ガス吹出し口)110aは、ガス導入用空所109の底部に位置する中心開口119の近傍の壁面109aに設けられ、同様にして、第3の原料ガス通路112の出口(第3の原料ガス吹出し口)112aは、ガス導入用空所109の底部に位置する中心開口119近傍の壁面109aに設けられている。
それら第1及び第3の原料ガス吹出し口110a,112aからは、ガス導入用空所109の中心に向けて、かつ薄膜形成対象物6の表面と平行(水平)に、原料ガスが吹き出すように構成されている。
図3(b)のB−B線断面図に示されるように、図2において、負方向に角度45°回転した断面位置には、CVD原料ガスをガス導入用空所109内へと導入するための第2の原料ガス通路111と第4の原料ガス通路113が設けられている。
第1の原料ガス通路111の出口(第2の原料ガス吹出し口)111aは、ガス導入用空所109の底部に位置する中心開口119の近傍の壁面109aに設けられ、同様にして、第4の原料ガス通路113の出口(第4の原料ガス吹出し口)112aは、ガス導入用空所109の底部に位置する中心開口119近傍の壁面109aに設けられている。
それら第2及び第4の原料ガス吹出し口111a,113aからは、ガス導入用空所109の中心に向けて、かつ薄膜形成対象物6の表面と平行(水平)に、原料ガスが吹き出すように構成されている。
上部円板101と下部円板102との接合面には、図2に波線で示されるように、第1の原料ガス通路110と第2の原料ガス通路111とを連通する弧状の連絡通路が形成されており、この連絡通路の中程には上部円板101の上面側に開口する第1の原料ガス入口(原料ガス供給口)114が設けられている。同様に、上部円板101と下部円板102との接合面には、図2に波線で示されるように、第3の原料ガス通路112と第4の原料ガス通路113とを連通する弧状の連絡通路が形成されており、この連絡通路の中程には上部円板101の上面側に開口する第2の原料ガス入口(原料ガス供給口)115が設けられている。
そのため、それらの第1及び第2の原料ガス入口114,115から原料ガスを供給することで、ガス導入用空所119の壁面119aの下部内周に90°間隔で配置された4個の原料ガス吹出し口110a,111a,112a,113aから、ガス導入用空所109の中心へ向けて、水平方向へと原料ガスを吹き出させることができるように構成されている。
制御ユニット5は、XYステージ7を制御することで、図4に矢印118で示される図中左右方向へと、ガスウィンドウ1と薄膜形成対象物(基板等)6を相対的に移動させるようになっている。ここで、図4から明らかなように、4個の原料ガス吹出し口110a,111a,112a,113aは、いずれも矢印118で示される相対移動方向に対して45°傾けた位置に設けられ、先に説明したように、それぞれの角度でガス導入用空所109の中心へ向けて、水平方向へと原料ガスを吹き出すように構成されている。
また、制御ユニット5は、レーザ照射観察ユニット2をアパーチャ制御することにより、レーザ光の断面輪郭を長方形状に整形することで、図4に示されるように、ガス導入用空所109の中心部分、すなわちレーザスポット形成予定位置に、長方形照射スポット116を形成するように構成されている。ここで、この長方形照射スポット116の長辺の方向は、矢印118で示される相対移動方向と整合するように構成されている。なお、比較のために、従来のレーザスポットの形状が図5に例示されている。同図に示されるように、従来のレーザスポットは、正方形照射スポット119とされている。
このように、上述のガスウィンドウ1は、薄膜形成対象物6の表面と、薄膜形成対象物6の表面に対して所定断面輪郭を有するレーザ光を照射するレーザ照射観察ユニット2との間にあって、前記薄膜形成対象物6の表面に近接して配置され、それによりレーザ照射観察ユニット2から薄膜形成対象物6の表面に対するレーザ光の通過を許容しつつ、薄膜形成対象物6の表面との間にCVD原料ガスの雰囲気を形成するものである。
そして、このガスウィンドウ1は、内部に形成されたガス導入用空所109と、ガス導入用空所109の上部にあって、レーザ照射観察ユニット2から到来するレーザ光をガス導入用空所内109へと導入するレーザ光導入窓103と、ガス導入用空所109の下部にあって、薄膜形成対象物6側へと開口され、レーザ光導入窓103から導入されたレーザ光を薄膜形成対象物6の表面へと通過させる底部開口119と、ガス導入用空所109の壁面109aにあって、ガス導入用空所109内へとパージガスを導入するためのパージガス吹出し口108bと、ガス導入用空所109の壁面109aにあって、ガス導入用空所109内へとCVD原料ガスを導入するための原料ガス吹出し口110a,111a,112a,113aと、底部開口119を取り巻くその周囲の底面にあって、ガスを排気するためのガス吸込み口106,107とを有するものである。
さらに、原料ガス吹出し口は、3個以上の複数個(この例では4個)の原料ガス吹出し口110a,111a,112a,113aからなると共に、それら複数個の原料ガス吹出し口は、前記ガス導入用空所109の底部開口119近傍にあって、ガス導入用空所109の中心を取り巻くように、ガス導入用空所109の壁面109aに分散配置されており、かつそれらの原料ガス吹出し口110a,111a,112a,113aからは、ガス導入用空所109の中心に向けてかつ薄膜形成対象物6の表面と平行に、原料ガスが吹き出すように構成されているのである。
そのため、この実施形態によれば、薄膜形成対象物6の表面とガスウィンドウ1との間におけるCVDガス雰囲気の形成は、図4に示されるように、照射スポット予定位置116を取り巻くようにその周囲に配置された4個のガス吹出し口110a,111a,112a,113aから、照射スポット予定位置に向けて集中するように、薄膜形成対象物6の表面と平行に、CVD原料ガスを吹き出すことにより行われることから、個々のガス吹出し口から吹き出される原料ガスには拡散方向性があったとしても、それらが集中する前記照射スポット予定位置においては、それらの拡散方向性が互いに打ち消されて、高濃度かつ高均一な原料ガスが得られることとなり、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合にあっても、上下左右方向でのCVD薄膜の堆積厚さを可及的に均一化することができる。
また、この例にあっては、4個のガス吹出し口は、等角度間隔で前記照射スポット予定位置の周囲に配置されているため、個々のガス吹出し口110a,111a,112a,113aから吹き出される原料ガスの拡散方向性は、全ての方位について均等に影響を及ぼすことから、それらが集中する前記照射スポット予定位置においては、それらの拡散方向性がより一層相殺されて、より一層高濃度かつ高均一な原料ガスが得られることとなり、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合にあっても、上下左右方向でのCVD薄膜の堆積厚さをより一層に均一化することができる。
さらに、複数個が偶数個であって、それらのガス吹出し口が、照射スポット予定位置116を通りかつ前記相対移動方向118へ延びる直線に対して線対称に配置されていることから、移動方向と同一方向又は逆方向へガスを吹き出すガス吹出し口が1つも存在しないことに加えて、相対移動方向へ延びる直線に対して線対称となる各左右一対のガス吹出し口から吹き出されるガスの拡散方向性は、すべて相対移動方向に対して左右対称的となると共に、左右方向へ延びる直線に対しても前後対称的なものとなり、これにより相対移動速度やガスの吹き出し強度に拘わらず、常に、いずれの方向についても高濃度かつ高均一な膜厚を保証することができる。
加えて、照射スポット116の形状が長方形であるため、より一層、配線修復作業等の効率を向上させることができ、FPD基板の断線修復作業の効率化を実現することができ、これにより、従来の速度の数倍程度の高速で、レーザCVDによる欠陥修復を行うことにより、多くの欠陥を短時間で処理することが可能となる。
本発明は、FPD基板の断線修復やフォトマスクの欠陥修復等々の用途に使用されるレーザCVDによる薄膜形成方法において、高速でガスウィンドウを移動させながら原料を堆積させる場合、上下左右方向でのCVD薄膜の堆積厚さを可及的に均一化することができる。
1 ガスウィンドウ
2 レーザ照射観察ユニット
3 ガス供給排気ユニット
4 レーザユニット
5 制御ユニット
6 薄膜形成対象物
7 XYステージ
10 薄膜形成装置
101 上部円板
102 下部円板
103 レーザ光導入窓
104 外側環状突条
105 内側環状突条
106 外側環状吸込み口
107 内側環状吸込み口
108 パージガス通路
109 ガス導入用空所
109a ガス導入用空所の壁面
110 第1の原料ガス通路
110a 第1の原料ガス吹出し口
111 第2の原料ガス通路
111a 第2の原料ガス吹出し口
112 第3の原料ガス通路
112a 第3の原料ガス吹出し口
113 第4の原料ガス通路
113a 第4の原料ガス吹出し口
114 第1の原料ガス入口
115 第2の原料ガス入口
116 長方形照射スポット
117 単一吹出し口
118 ガスウィンドウの移動方向を示す矢印
119 正方形照射スポット

Claims (8)

  1. 薄膜形成対象物の表面を僅かの隙間を介してガスウィンドウで覆って、それらの間にCVD原料ガスの雰囲気を形成すると共に、前記ガスウィンドウと前記薄膜形成対象物とを、前記薄膜形成対象物の表面に沿って相対移動させながら、前記ガスウィンドウのレーザ光導入窓から前記ガスウィンドウ内へと導入されたレーザ光を前記薄膜形成対象物の表面に照射して、所定形状の照射スポットを形成することにより、前記薄膜形成対象物の表面に、前記移動軌跡に沿って、CVD薄膜を連続的に形成するようにしたレーザCVDによる薄膜形成方法であって、
    前記薄膜形成対象物の表面と前記ガスウィンドウとの間におけるCVDガス雰囲気の形成は、前記照射スポット予定位置を取り巻くようにその周囲に配置された3個以上の複数個のガス吹出し口から、前記照射スポット予定位置に向けて集中するように、前記薄膜形成対象物の表面と平行に、前記CVD原料ガスを吹き出すことにより行われ、
    前記複数個のガス吹出し口は、等角度間隔で前記照射スポット予定位置の周囲に配置されており、かつ
    前記複数個が偶数個であって、それらのガス吹出し口が、前記照射スポット予定位置を通りかつ前記相対移動の方向へ延びる直線に対して線対称に配置されている、ことを特徴とするレーザCVDによる薄膜形成方法。
  2. 前記複数個が4個である、ことを特徴とする請求項に記載のレーザCVDによる薄膜形成方法。
  3. 前記照射スポットの形状が長方形であり、かつその長手方向が前記相対移動方向と整合している、ことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザCVDによる薄膜形成方法。
  4. FPD基板の断線修復のために使用される、ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のレーザCVDによる薄膜形成方法。
  5. 薄膜形成対象物の表面と、前記薄膜形成対象物の表面に対して所定断面輪郭を有するレーザ光を照射するレーザ光照射装置との間にあって、前記薄膜形成対象物の表面に近接して配置され、それにより前記レーザ照射装置から前記薄膜形成対象物の表面に対するレーザ光の通過を許容しつつ、前記薄膜形成対象物の表面との間にCVD原料ガスの雰囲気を形成するガスウィンドウであって、
    内部に形成されたガス導入用空所と、
    前記ガス導入用空所の上部にあって、前記レーザ光照射装置から到来するレーザ光を前記ガス導入用空所内へと導入するレーザ光導入窓と、
    前記ガス導入用空所の下部にあって、前記薄膜形成対象物側へと開口され、前記レーザ光導入窓から導入されたレーザ光を前記薄膜形成対象物の表面へと通過させる底部開口と、
    前記ガス導入用空所の壁面にあって、前記ガス導入用空所内へとパージガスを導入するためのパージガス吹出し口と、
    前記ガス導入用空所の壁面にあって、前記ガス導入用空所内へとCVD原料ガスを導入するための原料ガス吹出し口と、
    前記底部開口を取り巻くその周囲の底面にあって、ガスを排気するためのガス吸込み口とを有し、
    前記原料ガス吹出し口は、3個以上の複数個の原料ガス吹出し口からなると共に、それら複数個の原料ガス吹出し口は、前記ガス導入用空所の底部開口近傍にあって、前記ガス導入用空所の中心を取り巻くように、前記ガス導入用空所の壁面に分散配置されており、かつそれらの原料ガス吹出し口からは、前記ガス導入用空所の中心に向けてかつ前記薄膜形成対象物の表面と平行に、前記原料ガスが吹き出すように構成され、
    前記複数個のガス吹出し口は、前記ガス導入用空所の中心を取り巻くように、前記ガス導入用空所の壁面に等角度間隔で分散配置されており、かつ
    前記複数個が偶数個であって、それらのガス吹出し口が、前記ガス導入用空所の中心を通りかつ前記ガスウインドウと前記薄膜形成対象物との予定された相対移動の方向へ延びる直線に対して線対称に配置されている、ことを特徴とするガスウィンドウ。
  6. 前記複数個が4個である、ことを特徴とする請求項に記載のガスウィンドウ。
  7. 前記レーザ光の所定断面輪郭が長方形であり、かつその長手方向が前記相対移動方向と整合している、ことを特徴とする請求項5または6に記載のガスウィンドウ。
  8. FPD基板の断線修復のために使用される、ことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のガスウィンドウ。
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