以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は、本実施形態に係る測定機器用架台1の斜視図である。また、図2は、架台1の正面の二重壁構造4Bを取り外した状態を示す斜視図であり、図3は、枠体3を主として示す背面斜視図であり、図4は、主として枠体3に内装パネル4A1を取りつけた状態を示す斜視図である。図5は、送風機構8からの気体流を示す架台1の模式的断面図である。図6は、枠体3及び二重壁構造4を示す断面図である。図7は、パネル部材6の正面斜視図であり、図8は、パネル部材6の背面斜視図である。図9は、パネル部材6の断面図であり、図10は、パネル部材6の組み立て分解図である。
<装置構成>
本実施形態に係る測定機器用架台1は、測定対象物である半導体ウエハWの表面の膜厚や異物、欠陥の有無などを検査する半導体検査装置に用いられるものである。
この測定機器用架台の基本的構成は、図1〜図6に示すように、照射光学系101、検出光学系102及び試料ステージ103等が載置される基台2と、当該基台2に設けられて、前記光学系101、102等が内部に配置される枠体3と、当該枠体3に設けられ、前記照射光学系101及び前記検出光学系102の少なくとも側方を囲み、内部に空気層を有する二重壁構造4と、を備えている。
以下各部2〜4について説明する。
照射光学系101は、半導体ウエハWに斜め上方から検査光であるレーザ光を照射するものであり、レーザ光源、光ファイバ及びレンズ等を有する。
検出光学系102は、検査光が照射された半導体ウエハWからの反射光及び/又は散乱光を検出するものであり、光検出器及びレンズ等を有する。
これら照射光学系101及び検出光学系102は、予め決められた位置関係(相対位置が所定関係)となるように、共通のベース部材21に固定されている。このベース部材21は基台2上に固定されている。照射光学系101,検出光学系102及びベース部材21により測定機器が構成されている。
試料ステージ103は、半導体ウエハWが載置され、その半導体ウエハWをXYZ方向に移動させるものであり、XY方向に移動させるXYステージ部と、Z方向に移動させるZステージ部と、を備えている。なお、XYZ方向に移動する1つのステージを用いても良いし、それぞれX、Y、Z方向に移動するステージを組み合わせたものであっても良い。
枠体3は、特に図2及び図3等に示すように、直方体形状に構成された主枠体31と、その主枠体31に設けられ、主枠体31の少なくとも前後左右の開口部を複数に区画する副枠体32と、からなる。
主枠体31は、基台2の基端部に固定され、矩形状を成す下枠311と、その下枠311の四つ角上面にそれぞれ立設された4本の支柱312と、その支柱312の上端部に横架されて形成された矩形状を成す上枠313と、からなる。
副枠体32は、主枠体31の隣接する支柱312に横架されて、主枠体31の開口を上下に分割する横梁321と、その横梁321及び主枠体31の下枠311又は上枠313に連結される縦梁322と、からなる。これにより、主枠体31の各面に形成された開口部は、概略格子状に区画される。
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面に向かって右側には、照射光学系101及び検出光学系102などを操作等するための操作ユニット5が内蔵されている。
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面に向かって左側面は、副枠体32により3つに区画されている(図3参照)。
枠体3における、照射光学系101及び検出光学系102のメンテナンス面は、照射光学系101及び検出光学系102のほぼ全てを正面から視認可能な開口(以下、メンテナンス用開口部3Aという)が形成されている(図2参照)。具体的には、このメンテナンス用開口部3Aは、上枠313と、支柱312、横梁321及び縦梁322から形成されている。
ここで、本実施形態におけるメンテナンス面とは、メンテナンスの際の架台内部への開口が設けられる面である。図2では、少なくとも測定機器である照射光学系101及び検出光学系102の調節部位RSに対向する面であり、本実施形態では、枠体3において、後述するポートPが設けられた背面と反対側の正面である。なお、調節部位RSに対向する面が複数あるときには、いずれか1つをメンテナンス面としても良い。
二重壁構造4は、枠体3において、照射光学系101及び検出光学系102の少なくとも側方を囲むように設けられている。つまり、後述するポートPや窓などの二重壁以外の部分を除いて、測定機器である照射光学系101及び検出光学系102の側方を囲んでいる。そして、二重壁構造4は、照射光学系101及び検出光学系102の左側面及び背面に設けられる二重壁構造4Aと、照射光学系101及び検出光学系102の正面(メンテナンス面)に設けられる二重壁構造4Bとの構成が異なる。
照射光学系101及び検出光学系102の左側面及び背面に設けられる二重壁構造4Aは、内装パネル4A1及び外装パネル4A2から構成される。内装パネル4A1及び外装パネル4A2はそれぞれ独立して枠体3に取り付けられる。図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102のある空間と操作ユニット5(電気系)のある空間との間に二重壁構造4Aが形成されており、各光学系101、102は、外部の温度影響だけでなく、操作ユニット5(電気系)から受ける温度影響も可及的に小さくすることができる。
内装パネル4A1は、図4及び図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102に対向して設けられる矩形状を成すものであり、枠体3の上枠313、支柱312、横梁321、縦梁322又は下枠311において、枠体3の開口部を形成する内面にねじ等によって固定される。
そのため、内装パネル4A1の4辺には、上枠313、支柱312、横梁321、縦枠又は下枠311に取り付け固定するための取付部4A11が、その辺のほぼ全域に亘って起立して設けられている(図6の拡大図参照)。なお、図4においては、図中右上の内装パネル4A1の一部の取付部にのみ符号を付している。
そして、枠体3に形成された複数の開口に嵌め込んで、取付部4A11を枠体3(枠体3を形成する各部材(上枠313、支柱312、横梁321、縦枠又は下枠311))にねじ固定する。
また、図4及び図6に示すように、照射光学系101及び検出光学系102の背面及び左右側面における上段等の内装パネル4A1は、外装パネル4A2をねじ固定するための固定部4A3が複数個設けられている。この固定部4A3は、断面略門形状を成すものであり、内装パネル4A1に上下方向に等間隔に設けられている。なお、図4においては、図中右上の内装パネル4A1の一部の固定部4A3にのみ符号を付している。
外装パネル4A2は、内装パネル4A1との間に空気層を形成して、内装パネル4A1との関係で二重壁構造4Aを形成する矩形状を成すものである。
外装パネル4A2には、内装パネル4A1に設けられた固定部4A3に固定されるものと、枠体3に固定されるものとがある。
枠体3に固定される外装パネル4A2は、枠体3の内面に取り付けられた取付補助具33に取り付けられる。取付補助具33は、側面視において概略L字状をなすものである。また、外装パネル4A2には、枠体3への着脱操作を容易にするための取っ手が設けられている。
なお、図4及び図5に示すように、照射光学系101及び検出光学系102の背面に設けられた二重壁構造4Aには、図示しない半導体ウエハ搬送装置により、搬送される半導体ウエハWが搬入出されるポートPが設けられている。
照射光学系101及び検出光学系102の正面(メンテナンス面)、具体的には、枠体3のメンテナンス用開口部3Aに設けられた二重壁構造4Bは、枠体3に対して着脱可能な一体型のパネル部材6からなる。ここで、一体型とは、内壁及び外壁からなる二重壁構造4Bを有しており、枠体3に対して二重壁構造4Bを同時に着脱できるものをいう。
このパネル部材6は、図7及び図8に示すように、矩形状を成すものであり、照射光学系101及び検出光学系102に対向する内面板61と、その内面板61との間に空気層を形成する外面板62と、を備えている。パネル部材6は、メンテナンス面以外の設けられた二重壁構造4Aよりも薄い構造としている。つまり、パネル部材6は、枠体3を形成する各部材(上枠313、支柱312、横梁321、縦枠322)の厚さよりも薄い構造である。これにより、パネル部材6を枠体3に取り付けたときに、パネル部材6が架台1内部に突き出す構造とはならず、架台1内部を流れる気体流を乱すことが無い。
内面板61は、図8に示すように、矩形状の平板部611及びこの平板部611の四辺にそれぞれ立設された側壁部612によって形成された、上面が開口した箱状を成すものである。
そして、内面板61の平板部611の外面板62と対向する面(内面)611aには、図8に示すように、外面板62を固定するための固定片63が等間隔に複数個設けられている。この固定片63は、断面略門形状を成すものであり、内面板61に溶接されている。また、内面板61と外面板62とを重ね合わせた状態において、固定片63の当接面63aが外面板62の内面621aに当接するように形成されている。その当接面63aには、外面板62をねじ固定するための貫通孔が形成されている。
外面板62は、図8及び図9に示すように、内面板61の一方の開口よりも広い開口を有する箱状をなすものであり、矩形状の平板部621及びこの平板部621の4片にそれぞれ立設された側壁部622及びその側壁部622の先端部から内側に延出した上壁部623により形成された、上面が開口した箱状を成すものである。
また、外面板62の平板部621の内面板61と対向する面621aと反対面(外面)621bの中央部には、パネル部材6の着脱操作を容易にするために取っ手64が設けられている(図7等参照)。
そして、図10に示すように、内面板61の開口及び外面板62の開口を重ね合わせて、内面板61を外面板62の内部に収容し、内面板61の固定片63に外面板62をねじ固定することにより一体型のパネル部材6が構成される。このとき、内面板61の側壁部612の先端面と外面板62の平板部内面621aとは接触するようにしている。つまり、固定片63の高さと内面板61の側壁部612の平板部611からの高さが同じとなるようにしている。
また、本実施形態の測定機器用架台1は、パネル部材6を簡単に枠体3に取り付け、取り外しを行うための着脱機構7が設けられている。
この着脱機構7は、パネル部材6が取りつけられる横梁321に上方に延出して設けられた係止ピンと、外面板62の下部側壁部622に設けられ、前記係合ピン71が嵌り込む係止孔と、外面板62の平板部621の上部に、その平板部621に垂直に設けられ、平板部621に対して回転可能に取り付けられた係合凸部71と、上枠313に設けられ、前記係合凸部に係合する係合凹部と、から構成される。
係合凸部71は、外面板62の平板部621に垂直に取りつけられ、90度回転可能な回転軸711と、その回転軸711の先端部に取りつけられた係合片712とを備えている。そして、回転軸711が90度回転することにより、係合片712が係合凹部に係合する。
このように構成した着脱機構7により、係合凸部71の回転軸711を90度回転させるだけでパネル部材6の着脱が可能となるので、パネル部材6の枠体3に対する着脱を極めて簡単に行うことができる。
なお、係止ピン、係止孔、係合凸部71及び係合凹部の設ける部材は、上記に限定されず、それぞれ逆に設けるようにしても良い。
このようにメンテナンス面は、他の面とは異なる設置方法でパネル部材6が枠体3に設けられる。
このように構成したパネル部材6の着脱動作(メンテナンス用開口部3Aの開閉動作)について説明する。
パネル部材6と取りつける動作(メンテナンス用開口部3Aの閉める動作)について説明する。先ず、メンテナンス用開口部3Aが開いている状態において、パネル部材6の取っ手64を持ち、外面板62の下側側壁部621に設けた係止孔を横梁321に設けた係止ピンに嵌め合わせて係止させる。そして、パネル部材6を支柱312又は縦梁322に当接させた後、外面板62に設けた係合凸部71を90度回転させて、上枠313に設けた係合凹部に係合させる。これにより、パネル部材6が枠体3に密着固定される。なお、パネル部材6メンテナンス用開口部3Aを開ける場合には、上記手順の反対の手順を行えば良い。
しかして、本実施形態に係る測定機器用架台1は、特に図5に示すように、架台1内部に送風を行うための送風機構8と、その送風機構8からの気体流(風)を分配して、照射光学系101及び検出光学系102と半導体ウエハWとに送風を行う流量分配構造9と、を備えている。
送風機構8は、測定機器用架台1の外部に設けられた外部温調機(図示しない)からの温度調節された空気を洗浄化して、測定機器用架台1内部に吹き出すクリーンファンである。この送風機構8は、枠体3の上部に設けられ、上から下に送風を行うものである。図5中、8aは外部温調機からの気体送風管が連結される連結口である。
流量分配構造9は、1つの送風機構8からの1つのまとまった気体流を2つに分流する分流機構を有し、当該分流機構により分流された一方の流れを照射光学系101及び検出光学系102に当てるように流し、他方の流れを流速を上げて半導体ウエハWに一方向の側方から当てるように流すものである。分流機構により分流された一方の流れは、照射光学系、検出光学系及びベース部材21の温度調節を行うものであり、分流機構により分流された他方の流れは、半導体ウエハWの清浄化を行うものである。ここで、半導体ウエハWの側方とは、半導体ウエハ表面の法線方向以外の方向、つまり、その法線方向から傾いた方向をいう。より詳細には、本実施形態の半導体ウエハWは試料ステージ103上に水平に載置されるので、側方とは鉛直方向以外の方向である。このようにすれば、半導体ウエハWの表面に沿う流れができるので、ウエハW表面のパーティクルを除去しやすい。
具体的には、流量分配構造9は、図5に示すように、送風機構8と、照射光学系101及び検出光学系102との間に介在して設けられ、送風機構8からの風を導入する導入口9aと、当該導入口9aから入ってきた気体流を二分する分流機構としての分流板9bと、当該分流板9bにより分流された一方の流れをそのまま照射光学系101及び検出光学系102に導く第1流路9cと、分流板9bにより分流された他方の流れを、その流速を大きくして半導体ウエハWに導く第2流路9dと、を備えている。
分流板9aは、導入口9aから入ってきた気体流の流れに沿って設けられている。
第1流路9cは、その断面積が同一であり、前記分流板9bをその側周壁の一部として形成された直方体形状をなすものである。その出口は、照射光学系101及び検出光学系102の上方で開口している。
第2流路9dは、その断面積が連続的又は段階的に狭まるものであり、前記分流板9bをその側周壁の一部として形成された側面視概略L字形状をなすものである。具体的には、第2流路9dは、枠体2の長手方向に沿って設けられ、メンテナンス面に向かって気体流を流すものである。つまり、第2流路9dは、ベース部材21の背面において、内装パネル4A1に沿って設けられ、その出口は、半導体ウエハWの斜め上方で開口している。このように第2流路9dは、その断面積が連続的又は段階的に狭まっているので、流速を上げることができる。また、長手方向に沿って設けられているので、短手方向に気体流を送る場合、効率よく気体流を当てることができる。例えば長手方向に直交する方向に沿って設けた場合において、長手方向に気体流を送る場合、第2流路9の出口から半導体ウエハWまでの距離が長くなってしまい、充分な気体流を送ることができないという問題がある。
また、メンテナンス面に向かって流すことで、第2流路9d及び流れ方向制御板10がメンテナンス面以外に設けられるので、メンテナンスの際に邪魔にならない。
第1流路9c及び第2流路9dは、分流板9bを介して並列に連続して設けられており、流量分配構造9は、全体として側面視概略L字形状をなす中空長尺体である。
そして、測定機器用架台1は、図5に示すように、前記流量分配構造9からの他方の分流の流れ方向を制御する流れ方向制御機構である流れ方向制御板10をさらに備えている。
この流れ方向制御板10は、第2流路9dからの流れを半導体ウエハWにより一層効率よく当てるために、第2流路9dからの流れの方向を半導体ウエハW側に向けるものであり、流量分配構造9と半導体ウエハWとの間において、第2流路9dの出口の下流に設けられている。
より詳細には、流れ方向制御板10は、断面V字状を成す長尺体であり、逆V字となるように、その一方の側板が枠体3の縦梁322に固定されている。これにより、他方の側板10aが、流量分配構造9の第2流路9dの出口及び半導体ウエハWの両方に面することになる。
また、流れ方向制御板10は、縦梁322に設けられる高さ位置、及び第2流路9dからの流れを変える前記他方の側板10aの角度を可変としている。このようにすれば、気体流の調整が可能となり、設計に誤差がある場合など多少の変更が必要になった場合でも対応することができる。
また、枠体3の下面、特に枠体3の下端及び基台2の間には、間隙Hが設けられている。この間隙Hは、図5に示すように、基台2の正面を通過した気体流を外部に流出する間隙H1と、基台2の背面を通過した気体流を外部に流出する間隙H2とがある。基台2正面の間隙H1は、基台2背面の間隙H2よりも大きくしている。これにより、基台2の正面を通過する気体流の流量を基台2の背面を通過する気体流の流量よりも大きくすることができ、基台2の後ろから前に気体流を流すことできる。つまり、第2流路9dからの気体流を半導体ウエハWに当てることができる。各間隙H1、H2の大きさは、上方への乱流を防止するように、適宜設定することができる。
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る測定機器用架台1によれば、1つの送風機構からの気体流を、照射光学系101及び検出光学系102の温調用の気体流と、半導体ウエハWの清浄化用の気体流とに分流して、それぞれ照射光学系101及び検出光学系102と、半導体ウエハWとに送風を行うことができる。したがって、照射光学系101及び検出光学系102の温度安定性を向上させることができるとともに、架台3内部及び半導体ウエハWの清浄度を向上させることができる。
そして、半導体ウエハWの清浄化用の気体流を第2流路9d内で少なくとも一旦その流速を上げて当てるようにしているので、流速を上げなかった場合に比べて充分に半導体ウエハWの清浄度の向上を確実に行うことができる。
また、本実施形態の流量分配構造9を用いることにより、2つ以上の送風機構を用いることなく、1つの送風機構8によって照射光学系101及び検出光学系102の温調及び半導体ウエハWの清浄化を行うことができるので、コストを安価にすることができるとともに、クリーンルーム等における設置面積を小さくすることができる。
さらに、第2流路9dの下流側に流れ方向制御板10を設けているので、第2流路9dからの清浄化用の気体流を半導体ウエハWへ一層効率よく当てることができ、半導体ウエハWの清浄度を一層向上させることができる。
その上、架台1下部に間隙Hを設けているので、上方へ向かう乱流の発生を防ぎ、発塵を防ぐことができる。
また、枠体に二重壁構造4を設けているので、設置環境の温度変化に起因する装置架台1内部の温度安定性への悪影響を抑制することができる。その結果、温度変化に基づく測定データのずれ、又は測定ポイントのずれ等の測定誤差を低減することができる。また、装置架台1内部の温度安定性が向上するので、簡単かつ安価な送風機構8を用いることによっても高精度な温調を実現することができる。
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
例えば、前記実施形態では、メンテナンス用開口部3Aのみを、一体型のパネル部材6により二重壁構造を構成しているが、その他の面も同様に一体型のパネル部材6を用いて二重壁構造としても良い。
また、前記実施形態では、クリーンファン8が設けられている上面及び光学系101、102に温度影響を与えにくいと考えられる下面には、二重壁構造を形成していないが、上面及び下面に二重壁構造を形成するようにしても良い。これならば、一層温度安定性を向上させることができる。
さらに、パネル部材6は、二枚のパネルを間に矩形状の枠を挟み込んで固定することにより構成するようにしても良い。
その上、前記実施形態では、流れ方向制御板10を照射光学系101及び検出光学系102を固定しているベース部材21の背面に設けるようにしているが、照射光学系101及び検出光学系102の前方に設けるようにしても良い。この場合、光学系前方の枠体3には、パネル部材6が着脱されるので、流れ方向制御板10をパネル部材6に設けるようにしても良いし、枠体3に設けるようにしても良い。
加えて、流量分配構造9は、第2流路9dのみを有するものであっても良い。つまり、流量分配構造9は、送風機構8からの気体流の一部を導入する導入口9aと、その導入口9aに連なる第2流路9dとを備えている。第2流路9dは、前記実施形態と同様に、下流に行くに従って連続的又は段階的に断面積が狭まるものである。
さらに、流量分配構造9は、1つの送風機構8からの1つの気体流を3つに分流し、その内2つを前記実施形態と同様に照射光学系101及び検出光学系102と半導体ウエハWとに当てるとともに、もう1つをベース部材21に当てるようにしても良い。
また、流量分配構造9は、一方の流れを、照射光学系101及び検出光学系102ではなく、試料ステージ103に当てるものであっても良いし、また、照射光学系101、検出光学系102及び試料ステージ103の全てに当てるようにしても良い。
また、流れ方向制御板10の形状としては、断面V字状を成す長尺体に限られず、その他の形状であっても良い。具体的には、架台1内部の照射光学系101、検出光学系102及び半導体ウエハWが載置される試料ステージ103の位置関係に応じて、最適な形状とすることができる。
分流機構の構成としては、1つの気体流を2つ以上に分流するものであれば良く、分流板9bに限定されない。例えば、ダクト(風導管)等を用いても良い。
分流板9bの位置を変更可能にしても良い。つまり、第1流路9cと第2流路9dに流れ込む気体流の割合を変更可能に構成しても良い。これならば、気体流の調整が可能となり、設計に誤差がある場合など多少の変更が必要になった場合でも対応することができる。
また、流れ方向制御機構は、流れ方向制御板に限られない。例えばダクトを曲げて形成しても良い。さらに、流量分配構造と一体に、つまり連通させても良い。ダクトから流出する気体流の流れの方向を変更可能にしてもかまわない。例えば、ダクトをフレキシブルな素材で構成し、曲げた状態を固定できるようにすれば、気体流の流れ方向を調節することができる。
前記実施形態では、他方の流れをメンテナンス面に向かうように流したが、逆に、他方の流をメンテナンス面からその対向する面に向かって流しても良い。
さらに、前記実施形態では、枠体3の正面がメンテナンス面であったが、メンテナンス面をポートPが設けられた面(背面)以外の面としても良い。
前記実施形態の測定機器は、半導体ウエハに検査光を照射して、その半導体ウエハから生じる光を検出するものであったが、その他、例えば原子間力顕微鏡(AFM)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM)等であっても良い。このとき、半導体ウエハWの測定中に気体流を当てるとプローブ(探針)に気体流が当たって測定誤差を生じる可能性があり、測定中は送風を止めることが考えられる。
また、半導体の測定に用いられる測定装置用架台1は、通常、内部の圧力を陽圧にして、外部から気体が流入しないようにしているが、隣接する別の装置もまた同じように内部を陽圧に保っている。例えば、測定装置用架台1に隣接して設けられる測定試料を搬入出する搬送装置が、内部の圧力を測定装置用架台1の内部よりも高圧に保っていれば、ポートPを介して測定用試料を内部に搬入出するときに、搬送機構から流出した気体流が測定装置用架台1の内部に流入する場合がある。このような問題を防ぐために、前記実施形態の測定装置用架台1に外部からの気体流がポートPを介して内部に流れこむのを防ぐ流入防止機構を設けても良い。
図11に示すようにこの実施形態では、流入防止機構として、負圧に形成した吸い込み流路Sの一端開口S1をポートPの外側の近傍に臨ませて配置してある。吸い込み流路Sは図示しない真空源によってその内部が負圧に保たれている。
次に、気体流の流れについて説明する。測定対象物Wの搬入出時に、搬出機構Rからでた気体流はポートP側へ向かって進行し、前記開口S1に向かって、曲げられていき、吸い込み流路Sに吸い込まれていく。従って、陽圧に保たれている搬出機構Rから出た気体流を、ポートPを通過しないようにすることができ、測定装置用架台1の内部に外部の気体流が流入するのを防ぐことができる。このようにして、測定対象物の清浄度を保つことができ、外部からの空気が流入することによる架台内部の温度変化を防ぐことができる。
なお、流入防止機構は、このようなものだけに限られない。例えば、二重壁の内部空間を吸い込み流路として利用しても構わない。ポートPの外側の近傍に吸い込み流路Sの一端開口S1を臨ませて配置してある場合には、外部からの気体流がポートPを介して内部へ流れ込むのを完全に防ぐようにでき、最も好ましい形態であるが、ポートPの内側の近傍に吸い込み流路Sの一端開口S1を臨ませて配置してあっても構わない。この場合でも、外部からの気体流が架台の内部に流入することになるが、気体流は吸い込み流路Sによって吸い込まれるので、測定装置や測定対象物には外部からの気体流は当たらないようにして、測定に温度変化による影響やちりなどのごみによる影響が出るのを防ぐことができる。
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。