JP5206947B2 - 微細繊維状セルロース系物質及びその製造方法 - Google Patents

微細繊維状セルロース系物質及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、微細繊維状セルロース系物質、微細繊維状セルロース系物質の製造方法及び糖の製造方法に関する。
木材や草木等の植物体の主要な化学成分はセルロース、ヘミセルロース及びリグニン等のセルロース系物質である。セルロース系物質のうち、セルロースとヘミセルロースは糖類が直鎖状又は枝分かれした鎖状に繋がった高分子物質である。
このセルロース系物質は、加水分解により糖に変換されることが知られている。かかる加水分解方法としては、酸加水分解法と酵素加水分解法が挙げられる。
ところが、セルロース系物質を効率よく加水分解することは、容易ではない。
例えば、酸を用いる加水分解においては、分単位の極めて短い時間で反応が進行するものの、発熱が起こるので、反応制御が困難である。
また、たとえ反応制御ができたとしてもセルロース系物質中の成分が過分解や炭化が起きやすいため、十分な収率で糖を得ることができない。
酵素を用いる加水分解においては、セルロース系物質中の成分の過分解は生じないものの、加水分解反応の進行が遅く、48時間以上必要な場合もある。
また、得られる糖の収率や加水分解速度を向上させるために、酵素を大量に用いる方法も考えられるが、この場合は、コスト高になる欠点がある。
これに対し、セルロース系物質を酵素分解する前に、何らかの処理を行い、リグニンとセルロース及びヘミセルロースとの交絡を解く方法が研究されている。
例えば、木材を微粉砕してから、それを酵素分解する方法(例えば、特許文献1又は2参照)、リグノセルロース含有植物体に酸を加え、マイクロ波で加熱して酸加水分解する方法(例えば、特許文献3参照)、セルロース含有物質を、窒素酸化物を含むジメチルホルムアミド溶液で処理した後、酵素分解する方法(例えば、特許文献4参照)、リグノセルロース系バイオマスを加圧熱水で処理し、機械的粉砕してから酵素分解する方法(例えば、特許文献5参照)等が開示されている。
特開昭55―9758号公報 特開昭63―137690号公報 特開昭59―146594号公報 特開昭61―242591号公報 特開2006−136263号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜5に記載の方法では、セルロース系物質を細かくすることはできるものの、リグニンとセルロース及びヘミセルロースとの交絡を十分に解くことはできない。
したがって、上述した特許文献1〜5に記載の方法では、セルロース系物質を加水分解しても、十分な収率で糖を得ることができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加水分解により、高収率で糖を製造することができる微細繊維状セルロース系物質、並びに、微細繊維状セルロース系物質の製造方法、及び、微細繊維状セルロース系物質を用いた糖の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、セルロース系物質は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンのそれぞれの集合単位がブロックを形成し、それらが混ざり合って、強固なネットワーク構造を形成していることがわかった。
具体的には、セルロースは生体内で生合成直後にその分子鎖が規則正しく自己集合して数ナノメートル幅の結晶性のセルロースミクロフィブリルを形成しており、非晶性のヘミセルロース及びリグニンと共に集合して繊維状となっている。
また、セルロースミクロフィブリルは特定の方向に規則的に並び、細胞壁を形成しており、ヘミセルロース及びリグニンは、セルロースミクロフィブリルの周囲を覆い、又は、セルロースミクロフィブリル間を充填し、接着剤の役割を果たしている。
そして、本発明者等は、これらの事実を踏まえ、更に鋭意検討の結果、セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが5000μm以下の微細繊維状とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、(1)加水分解による糖化反応に用いられ、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質と、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質とを混合した混合物に対して、機械的粉砕を行い、セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが50μm以下の微細繊維状セルロース系物質とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法であって、解繊物質が脂肪酸類である微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、(2)加水分解による糖化反応に用いられ、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質と、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質とを混合した混合物に対して、機械的粉砕を行い、セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが50μm以下の微細繊維状セルロース系物質とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法であって、解繊物質が水と、脂肪酸類とからなり、脂肪酸類の配合割合が、解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%である微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、(3)加水分解による糖化反応に用いられ、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質と、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質とを混合した混合物に対して、機械的粉砕を行い、セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが50μm以下の微細繊維状セルロース系物質とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法であって、解繊物質が水と、無機アルカリとからなり、無機アルカリの配合割合が、解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%である微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、(4)機械的粉砕が、ボールミル、ロッドミル、ビーズミル、ディスクミル又はミキサで行われる上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、(5)機械的粉砕が、バッチ式又は連続式エクストルーダーで行われる上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、(6)機械的粉砕が20〜350℃の温度、及び/又は、0.1〜20MPaの圧力条件下で行われる上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、(7)セルロース系物質を予備的に粉砕してチップ状、繊維状又は粉末状の微細セルロース系物質とした後に、解繊物質と混合し、機械的粉砕を行う上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、(8)解繊物質の混合割合が、セルロース系物質1質量部に対して、0.01〜200質量部である上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法に存する。
本発明は、()上記()〜()のいずれか一つに記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法により得られた微細繊維状セルロース系物質に対して、酸加水分解又は酵素加水分解を行うことにより、糖とする糖の製造方法に存する。
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)〜()を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
本発明の微細繊維状セルロース系物質においては、セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが5000μm以下とすることにより、加水分解(糖化反応)速度が向上し、得られる糖の収率が向上する。
このように、得られる糖の収率が向上する理由については、定かではないが、微細繊維状セルロース系物質を、所定の幅、長さ又はアスペクト比(以下これらを総じて「サイズ」という。)とすることにより、表面積が増大し、酸や酵素が微細繊維状セルロース系物質に付着しやすくなると共に、加水分解できる酵素や酸の反応点が増えるためと考えられる。なお、要因はこれに限定されない。
ここで、上記アスペクト比とは、長辺(長さ)と短辺(幅)との比率を意味する。
上記微細繊維状セルロース系物質においては、上記サイズとすることにより、リグニンとセルロース及びヘミセルロースとの交絡を十分に解くことが可能となる。
したがって、かかる微細繊維状セルロース系物質を加水分解した場合、加水分解が促進され、高収率で糖が得られることになる。
ここで、上記加水分解が酵素加水分解であることが好ましい。
この場合、比較的少量の酵素で十分にセルロース系物質の加水分解ができるので、低コストで糖を得ることができる。
また、酵素加水分解の場合、低温で加水分解させることができるので、過分解物が発生せず、副反応も起こりにくい。
本発明の微細繊維状セルロース系物質が製造方法においては、セルロース系物質を解繊物質と混合した混合物に対して、機械的粉砕を行い、上述した幅が1μm以下、長さが5000μm以下の微細繊維状セルロース系物質が得られる。
このとき、上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロース系物質と解繊物質とを混合した混合物に対して、機械的粉砕を行うことにより、解繊物質がセルロースのミクロフィブリルの間に進入してこれらの隙間を広げ、同時に組織が破壊され、セルロースミクロフィブリルに付着したヘミセルロース及びリグニンが剥がされる。
これにより、セルロース系物質は、セルロース分子鎖の最小集合単位であるミクロフィブリルにまで解かれることになる。
したがって、上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法によれば、セルロース系物質が加水分解反応に阻害がない固体状態のままで、加水分解反応に最も効率的な純粋な形のセルロースミクロフィブリルまで解繊された微細繊維状セルロース系物質が得られる。
さらに、上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロースミクロフィブリルが集合して形成されているセルロース系物質の束が解れて1つ1つのセルロースミクロフィブリルになるため、得られる微細繊維状セルロース系物質はセルロース系物質独自の結晶性が維持される。すなわち、表面や内部のセルロース分子は分子鎖配列・配向の乱れや化学的な変性をほとんど受けていない結晶性を有するセルロースミクロフィブリルが得られる。
したがって、上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法によれば、結晶性が高いセルロースであっても、加水分解反応が進行しやすい微細繊維状セルロース系物質が得られる。特に、加水分解が酵素加水分解の場合、セルロースミクロフィブリル表面が強い変性を受けていないので、酵素の基質特異性を阻害することなく容易に加水分解が進行する。
さらにまた、上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロース系物質を解繊されたセルロースミクロフィブリルとするので、得られる微細繊維状セルロース系物質は、硫酸等の強い化学薬品や高圧高温熱水のように厳しい条件下で加水分解を行わなくてもよい。
このため、反応制御が容易であり、過分解物を生成させることなく、かつ多大な粉砕エネルギーを投入することなく微細繊維状セルロース系物質を効率的に糖とすることができる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロース系物質が植物(藻類も含む)由来であり、セルロース系物質の形状がチップ状、繊維状又は粉末状であると、機械的粉砕をする前に、植物組織が部分的に破壊されるので、比較的短時間で効率よく微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、上記機械的粉砕が、ボールミル、ロッドミル、ビーズミル、ディスクミル又はミキサで行われることで、比較的容易に微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
また、得られる微細繊維状セルロース系物質のサイズのバラツキが小さくなる。そうすると、加水分解反応が進行しやすくなる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、上記機械的粉砕が、バッチ式又は連続式エクストルーダーで行われることで、より短時間で効率よく微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、上記機械的粉砕が20〜350℃の温度、及び/又は、0.1〜20MPaの圧力条件下、で行われることで、より短時間で効率よく微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロース系物質を予備的に粉砕して微細セルロース系物質とした後に、解繊物質と混合し、機械的粉砕を行うと、アスペクト比が小さくなったスラリー状の微細繊維状セルロース系物質が得られる。
かかる微細繊維状セルロース系物質は、流動性が高く、ポンプでの輸送等が容易であり、取扱い性に優れる。
また、流動性が高くなると、加水分解が進行しやすくなる。なお、従来のセルロース系物質においては、スラリーの粘度が高くなり流動性が低下しやすい傾向にある。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、解繊物質の混合割合が、セルロース系物質1質量部に対して、0.01〜200質量部であると、確実にセルロース系物質を機械的粉砕し、所定形状の微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
本発明の糖の製造方法は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質、及び、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質、に酵素を混合させ、機械的粉砕により、セルロース系物質から一度に糖を高収率で得ることができる。
また、上記糖の製造方法においては、セルロール系物質の微細繊維化によりヘミセルロース及びリグニンが剥がされて、セルロースミクロフィブリルが表面に現われ、これに酵素が接近・吸着して微細繊維状セルロース系物質を加水分解する。
そして、加水分解によりセルロースミクロフィブリルに新たな隙間が形成され、そこに解繊物質が入り込み、更に、解繊が進む。
このように、上記糖の製造方法によれば、解繊と酵素加水分解を同時に行うことによって、互いの相乗効果が認められる。
本発明の糖の製造方法は、上述した微細繊維状セルロース系物質を用いて、酸加水分解又は酵素加水分解を行うので、高収率で糖を製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る微細繊維状セルロース系物質は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース物質からなり、微細な繊維状となっている。
ここで、本実施形態において、セルロース系物質とは、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含む混合物を意味する。
かかるセルロース系物質は、木材、草木、農産物、綿花等の植物等から得られる。
微細繊維状セルロース系物質は、幅が1μm以下、好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは3〜5nmであり、長さが5000μm以下、好ましくは50μm以下である。
微細繊維状セルロース系物質においては、サイズを上記範囲内とすることにより、リグニンとセルロース及びヘミセルロースとの交絡を十分に解くことができる。
これにより、加水分解(糖化反応)速度が向上し、得られる糖の収率が向上する。
上記微細繊維状セルロース系物質を加水分解による糖化反応に用いる場合、加水分解が酵素加水分解であることが好ましい。
上記微細繊維状セルロース系物質は、酵素が接近・吸着して加水分解しやすい表面が多く露出し、且つ、酵素が移動しやすい空間がまわりに形成されている。
このため、比較的少量の酵素で十分にセルロース系物質の加水分解ができ、低コストで糖を得ることができる。なお、加水分解の詳細については後述する。
次に、微細繊維状セルロース系物質の製造方法について説明する。
上記微細繊維状セルロース系物質は、セルロース系物質と、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質とを混合した混合物に対し、機械的粉砕を行うことにより製造方法される。すなわち、セルロース系物質と解繊物質とを混合して、これを機械的粉砕することにより、解繊物質がセルロースミクロフィブリルの間に進入してこれらの隙間を広げ、同時にセルロース系物質の組織が破壊され、上述した所定のサイズの微細繊維状セルロース系物質が得られる。
ここで、上記セルロース系物質は、植物由来であることが好ましい。
植物由来のセルロース系物質は、生合成直後に、自己集合してセルロースミクロフィブリルを形成するので、セルロースミクロフィブリルに解繊することにより、セルロース分子鎖の配向はそのままで、極めて大きな表面積を有することになる。
上記解繊物質は、セルロース系物質を解繊させる媒体としての機能を発揮する。
かかる解繊物質としては、特に限定されないが、水、低分子化合物、高分子化合物、脂肪酸類又は無機アルカリが好適に用いられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。なお、後述するように、無機アルカリは水と共に用いられる。
上記解繊物質が水であると、水の分子が小さいため、組織が持っている細孔や隙間に進入しやすく、更に、セルロースやヘミセルロースのように水と親和性が高い成分が多い細胞壁の間に容易に進入するので、組織を膨潤させることができる。
また、機械的粉砕による粉砕エネルギーにより更にセルロースミクロフィブリル間にも進入して、解繊が進行しやすくなるという利点がある。
上記解繊物質が低分子化合物であると、低分子化合物が組織や細胞壁の間に進入するとともに、低分子化合物がクサビのように作用して、解繊が進行しやすくなるという利点がある。
上記解繊物質が高分子化合物であると、機械的粉砕の際の圧力やせん断力又は熱により、一部の組織が溶融したり流動性が高くなる。
そうすると、組織や細胞壁表面に付着して引きはがす作用がより働き、更に、高分子化合物が形成された隙間に進入して、解繊が進行しやすくなるという利点がある。
上記解繊物質が脂肪酸類であると、脂肪酸類が構成糖の側鎖がアセチル基を持っているヘミセルロースに親和性を示して組織や細胞壁の間に進入しやすい。
また、機械的粉砕の際の圧力やせん断力又は熱によりセルロース、ヘミセルロース又はリグニンの水酸基の一部がエステル化され、それにより組織間が広がりやすくなり、解繊が進行しやすくなるという利点がある。
これらの中でも、解繊物質は、水と、低分子化合物、高分子化合物、脂肪酸類又は無機アルカリとを混合して用いることが好ましい。なお、このとき上記低分子化合物、高分子化合物及び脂肪酸類は水溶性であることが好ましい。
上記低分子化合物は、アルコール類、エーテル類、ケトン類、スルホキシド類、アミド類、アミン類、芳香族類及びモルフォリン類からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール等のアルキレングリコール、トリメチレンプロパノール、ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記エーテル類としては、1,4−ジオキサン等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ステアリルケテンダイマー等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド、ビスフェニルスルホキシド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,3−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5−クロロ−2,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホキシド等のビスヒドロキシフェニルスルホキシド類等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記アミン類としては、アンモニア、アニリン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記芳香族類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、p−クレゾール、o−クレゾール、カテキン類、テルペン類等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記モルフォリン類としては、N−メチルモルフォリン、N−メチルモルフォリン−N−オキシド等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、上記低分子化合物にはイオン性液体が含まれる。ここで、イオン性液体とは、室温でも液体で存在する塩を意味する。
かかる上記イオン性液体としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート、1−エチル−3−メチルピリジニウムエチルスルファート、1,3−ジメチルイミダゾリウムジメチルホスファート等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記高分子化合物は、アルコール系高分子類、エーテル系高分子類、アミド系高分子類、アミン系高分子類及び芳香族系高分子類からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
上記アルコール系高分子類としては、ポリエチレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコール、アミロース、アミロペクチン、ソルビトル、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリブチロラクトン、ポリグリコール、ポリ乳酸等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記エーテル系高分子類としては、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記アミド系高分子類としては、ポリアクリルアミド、キチン、キトサン、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクタム等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記アミン系高分子類としては、ポリアリルアミン、ポリリジン、各種のアミン変性アクリルコポリマー等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記芳香族系高分子類としては、ポリフェニレンオキサイド、カテキン、タンニン、テルペン等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記脂肪酸類は、飽和脂肪酸類、不飽和脂肪酸類及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
上記飽和脂肪酸類としては、蟻酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、プロピオン酸、酪酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記不飽和脂肪酸類としては、安息香酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記無機アルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上述したこれらの解繊物質は、常温で固体であっても、液体であってもよい。なお、常温で固体である場合は、後述する機械的粉砕時の温度条件下で液体となるものであることが好ましい。換言すると、解繊物質は、融点が後述する機械的粉砕時の温度よりも低いことが好ましい。
この場合、セルロース系物質のセルロースのミクロフィブリル間に解繊物質が入り込むようになるため、リグニンとセルロース及びヘミセルロースとの交絡を十分に解くことが可能となる。
セルロース系物質と解繊物質との混合割合は、セルロース系物質1質量部に対して、解繊物質が0.01〜200質量部であることが好ましく、0.01〜100質量部であることがより好ましく、0.1 〜20質量部であることがより一層好ましい。
解繊物質の混合割合が0.01質量部未満であると、混合割合が上記範囲内にある場合と比較して、セルロース系物質を十分に解繊されない傾向にあり、混合割合が200質量部を超えると、混合割合が上記範囲内にある場合と比較して、粉砕エネルギーの多くが解繊物質に吸収され、セルロース系物質の解繊に使われる粉砕エネルギーの割合が少なくなり、解繊が効率的に進みにくくなる傾向にある。
解繊物質が水と、低分子化合物、高分子化合物、脂肪酸類又は無機アルカリの媒体とからなる場合、媒体の配合割合が、解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%であることが好ましく、0.1〜50質量%であることがより好ましい。
解繊物質が水と、低分子化合物とからなる場合、低分子化合物の配合割合が、解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%であると、水分子と共に低分子化合物も組織や細胞壁の間に進入し、組織を膨潤させる。
そして、機械的粉砕による粉砕エネルギーにより、更にセルロースミクロフィブリル間に進入し、相乗効果で解繊が進行しやすくなるという利点がある。
解繊物質が水と、高分子化合物とからなる場合、高分子化合物の配合割合が、解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%であると、水分子による膨潤効果及び解繊効果に加え、水に溶けることにより高分子化合物分子のフレキシビリティーが高くなり、さらに水和構造を取った高分子化合物であると、水と親和性の高いセルロースやヘミセルロースの隙間に進入しやすくなるので、相乗効果で解繊が進行しやすくなるという利点がある。
解繊物質が水と、脂肪酸類とからなる場合、脂肪酸類の配合割合が、解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%であると、水分子による膨潤効果及び解繊効果に加え、低級脂肪酸の場合は水と同様に組織や細胞壁の間に進入し、相乗効果で解繊が進行しやすくなる。
また、高級脂肪酸の場合は、水に溶けることにより分子のまわり水分子がとりつき水和状態となり、水と親和性の高いセルロースやヘミセルロースの隙間に進入しやすくなるので、相乗効果で解繊が進行しやすくなるという利点がある。
解繊物質が水と、無機アルカリとからなる場合、添加媒体がアルカリ性になるためセルロース系物質中のセルロースやヘミセルロースが部分的に加水分解を起こして、強固な細胞壁などが脆弱になり、粉砕エネルギーにより容易に組織が壊されて解繊が進行しやすくなるという利点がある。
また、アルカリイオンは水和構造を取っていため組織や細胞壁の間に進入してセルロースやヘミセルロースのネットワークを広げて相乗効果で解繊が進行しやすくなるという利点がある。
更に、アルカリ濃度への依存はあるがセルロースはアルカリ性媒体中で天然型のセルロースI型結晶からセルロースII型結晶に結晶構造転換することが知られている。このようなアルカリ処理はマーセル化処理と呼ばれている。セルロースII型結晶は化学的・生物的な反応性が高く加水分解が進行しやすくなる。
上記機械的粉砕の方法は、特に限定されず、媒体を共存させてせん断力をセルロース系物質に印可できる方法が好ましい。
例えば、ボールミル、ロッドミル、ハンマーミル、インペラーミル、高速ミキサ、ディスクミル(バッチ式又は連続式)、ミキサ、高圧ホモジナイザー、機械式ホモジナイザー又は超音波ホモジナイザー等が挙げられる。
これらの中でも、機械的粉砕の方法は、ボールミル、ロッドミル、ビーズミル、ディスクミル又はミキサであることが好ましく、ボールミル、ディスクミル又はミキサで行われることがより好ましい。
この場合、比較的容易に微細繊維状セルロース系物質を製造できる。また、得られる微細繊維状セルロース系物質のサイズのバラツキが小さくなる。
特に好ましくは、機械的粉砕の方法が、ディスクミルの場合である。
この場合、圧力やせん断力を印可することにより、セルロースミクロフィブリルが集合した太いセルロース系物質の束を、より細いセルロース系物質に解くことができ、且つ、連続的にこの処理ができるという利点がある。
また、加熱しながら粉砕処理を行うことも可能であり、ディスクの直径を大きくすることにより、処理量を増やすこともできる。
機械的粉砕は、バッチ式又は連続式エクストルーダーで行われることが好ましい。
この場合、より短時間で効率よく微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
これらの中でも、2軸エクストルーダーで行われることが好ましい。
2軸エクストルーダーは、スクリュー間の物質にせん断力や圧力を印可しながら押し出し、連続的に処理することができる。このため、解繊物質がセルロース系物質全体に均一に分散・浸透しやすくなり、結果として、少量の解繊物質でもセルロース系物質を十分に解繊できる。
また、2軸エクストルーダーは、加熱しながら処理できるので、比較的容易に、溶融した熱可塑性ポリマーを解繊物質として用いることができる。
この場合、溶融後の粘性が高くなるので、セルロース系物質全体に強い圧力やせん断力を伝搬させて印可でき、セルロース系物質に対して少量の解繊物質でも解繊が可能となる。
さらに、機械的粉砕を高圧で行う場合、圧力を出口で一気に開放させることによる爆砕効果が得られ、より効果的に解繊可能となる。
機械的粉砕は、20〜350℃の温度条件下で行われることが好ましい。
温度が20℃未満であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、解繊物質を少量用いる場合、セルロース系物質全体に均一に分散・浸透されず、セルロース系物質が十分に解繊されない傾向にあり、温度が350℃を超えると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、セルロース系物質の熱分解や酸化による変性が起こる場合がある。
機械的粉砕は、0.1〜20MPaの圧力条件下で行われることが好ましい。
圧力が1MPa未満であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、低沸点の解繊物質を添加した場合、解繊物質の一部が気化して粉砕エネルギーの伝達を阻害するため、セルロース系物質が十分に解繊されない傾向にあり、圧力が20MPaを超えると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、セルロース系物質や解繊物質の分解や変性が起こる場合がある。
なお、機械的粉砕は、20〜350℃の温度、及び、0.1〜20MPaの圧力の条件下で行うことがより好ましい。
この場合、より短時間で効率よく微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
上記機械的粉砕において、セルロース系物質を解繊物質と共に機械的にせん断力や圧力を印可して粉砕すると、セルロース系物質はセルロースミクロフィブリルにまで解繊される。
このとき、セルロースミクロフィブリルのアスペクト比が大きい場合、セルロース系物質と解繊物質との混合物は、セルロースミクロフィブリル間に解繊物質(媒体)が取り込まれて粘度が高くなる傾向にある。
この場合、セルロース系物質を予備的に粉砕(以下「予備的粉砕」という。)してチップ状、繊維状又は粉末状の微細セルロース系物質としておくことが好ましい。
そうすると、アスペクト比が小さくなったスラリー状の微細繊維状セルロース系物質が得られる。
かかる微細繊維状セルロース系物質は、流動性が高く、ポンプでの輸送等が容易であり、取扱い性に優れる。
また、流動性が高くなると、加水分解が進行しやすくなる。
そして、解繊物質と混合し、機械的粉砕を行い、幅が1μm以下、長さが5000μm以下の微細繊維状セルロース系物質とする。
以上の微細繊維状セルロースの製造方法によれば、より短時間で効率よく微細繊維状セルロース系物質を製造できる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロース系物質が加水分解反応に阻害がない固体状態のままで、加水分解反応に最も効率的な純粋な形のセルロースミクロフィブリルまで解繊された微細繊維状セルロース系物質が得られる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロースミクロフィブリルが集合して形成されているセルロース系物質の束が解れて1つ1つのセルロースミクロフィブリルになるため、得られる微細繊維状セルロース系物質はセルロース系物質独自の結晶性が維持される。すなわち、表面や内部のセルロース分子は分子鎖配列・配向の乱れや化学的な変性をほとんど受けていない結晶性を有するセルロースミクロフィブリルが得られる。
したがって、上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法によれば、結晶性が高いセルロースであっても、加水分解反応が進行しやすい微細繊維状セルロース系物質が得られる。特に、加水分解が酵素加水分解の場合、セルロースミクロフィブリル表面が強い変性を受けていないので、酵素の基質特異性を阻害することなく容易に加水分解が進行する。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法においては、セルロース系物質を解繊されたセルロースミクロフィブリルとするので、得られる微細繊維状セルロース系物質は、硫酸等の強い化学薬品や高圧高温熱水のように厳しい条件下で加水分解を行わなくてもよい。
このため、反応制御が容易であり、過分解物を生成させることなく、かつ多大な粉砕エネルギーを投入することなく微細繊維状セルロース系物質を効率的に糖とすることができる。
こうして得られる微細繊維状セルロースは、糖の製造、又は、その糖からのエタノールの製造のみならず、分子構造的に極めて大きな強度を持っているため、樹脂等へフィラーとして複合化して高強度材料としても用いることができる。
また、微細繊維状セルロースは、自己凝集力が強いため、接着剤を用いたり、化学的に変性させる等の操作をすることなく、そのまま高強度材料に転換することもできる。
さらに、微細繊維状セルロースは天然物であり無味無臭、無毒生であり、微細繊維のため舌触りに異物感を感じないため、食品に添加して、保水性、保油性、テクスチャー、形態安定性又はダイエット性を付与することができる。
次に、上述した微細繊維状セルロースから糖を製造する方法について説明する。
糖は微細繊維状セルロースを加水分解することにより得られる。
加水分解する方法としては、硫酸、塩酸、フッ酸等の酸を用いる酸加水分解やセルラーゼ等の酵素を用いる酵素加水分解等が挙げられる。
これらの中でも加水分解が酵素加水分解であることが好ましい。
この場合、比較的少量の酵素でセルロース系物質の加水分解ができるので、低コストで糖を得ることができる。
また、酵素加水分解は、副反応が起こらず、過分解物の発生もない。
上記セルラーゼは大別するとエンド型とエキソ型に分かれ、エンド型セルラーゼは、非晶性セルロースをよく加水分解し、エキソ型セルラーゼは結晶性セルロースをよく加水分解する。
したがって、微細繊維状セルロース系物質を加水分解する場合、エンド型セルラーゼ及びエキソ型セルラーゼの混合物を用いると、これら酵素の効果が相乗的に発揮されることになる。
酵素加水分解する場合において、上述した微細繊維状セルロースの製造過程で得られる微細繊維状セルロースと解繊物質との混合物中に、酵素反応を阻害したり酵素を失活させたりする物質を含んでいない場合、混合物をそのまま酵素と混合して、加水分解させることができる。
一方、混合物中に、酵素反応を阻害したり酵素を失活させたりする物質を含んでいる場合は、その物質の効果が低下するまで希釈してから酵素加水分解すればよい。
また、洗浄や溶媒置換、減圧等により、上記(阻害)物質を除去した後に、酵素加水分解してもよい。
こうして糖が得られる。なお、セルロースからはグルコースが得られ、ヘミセルロースからは、キシロース、マンノース、アラビノース、ガラクトース等が得られる。
これらの糖を糖化液(糖を水又は緩衝液に溶かし、酵母菌等が作用しやすいpHに調製したもの)としたものは、発酵によりエタノールに変換することができる。
このエタノールは、化成品原料、溶媒又は自動車用燃料等に用いられる。また、エタノールを含む水溶液は、アルコール系飲料とすることもできる。
上記糖化液は有用物資のバイオ生産のための培地原料又は炭素源として用いられる。
また、糖化液は、その糖類を化学的に変換して、化成品、高分子原料、生理活性物質等の有用物質に用いられる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態に係る微細繊維状セルロース系物質は、植物由来でなくともよい。
具体的には、ホヤ、酢酸菌等由来の微細繊維状セルロース系物質であってもよい。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法において、機械的粉砕を行う前に、無機アルカリ性水溶液にセルロース系物質を数時間から数日間浸漬させることが好ましい。
この場合、セルロース系物質が膨潤等により解れやすくなると同時に、セルロースやヘミセルロースが加水分解して分子量が低下する。
これにより、セルロース系物質が脆弱になる。すなわち、セルロースミクロフィブリルが部分的に切れたり、外力によって切れ易くなる。
そうすると、セルロース系物質の解繊が速やかに進行し、結果として加水分解性が向上することになる。なお、得られる微細繊維状セルロース系物質は、短くなり流動性が高くなる。
ここで、上記無機アルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法において、機械的粉砕を行う前に、セルロース系物質を、オートクレーブ等を用いて水熱処理することが好ましい。
この場合、セルロース系物質が膨潤等により解れやすくなると同時に、セルロースやヘミセルロースが加水分解して分子量が低下する。
これにより、セルロース系物質が脆弱になる。すなわち、セルロースミクロフィブリルが部分的に切れたり、外力によって切れ易くなる。
そうすると、セルロース系物質の解繊が速やかに進行し、結果として加水分解性が向上することになる。なお、得られる微細繊維状セルロース系物質は、短くなり流動性が高くなる。
上記微細繊維状セルロース系物質の製造方法において、機械的粉砕を行った後に、水、エタノール及び/又は酢酸を加えて、加熱処理することが好ましい。
この場合、ヘミセルロースやリグニンが部分的に溶解脱離することにより、加水分解性が著しく向上する。
上述した実施形態の糖の製造方法においては、微細繊維状セルロース系物質を製造した後に、加水分解を行っているが、微細繊維状セルロース系物質の製造と共に加水分解を行ってもよい。
すなわち、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質、及び、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質、に酵素を混合させ、機械的粉砕により、セルロース系物質から一度に糖を高収率で得ることができる。
かかる方法においては、セルロール系物質の微細繊維化によりヘミセルロース及びリグニンが剥がされて、セルロースミクロフィブリルが表面に現われ、これに酵素が接近・吸着して微細繊維状セルロース系物質を加水分解する。
そして、加水分解によりセルロースミクロフィブリルに新たな隙間が形成され、そこに解繊物質が入り込み、更に、解繊が進む。
このように、上記糖の製造方法によれば、解繊と酵素加水分解を同時に行うことによって、互いの相乗効果が認められる。
以下、本発明の微細繊維状セルロース系物質の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
セルロース系物質として、広葉樹であるユーカリを原料とし、機械的粉砕に遊星型ボールミルを用いた例を示す。
ユーカリとしては製紙用ユーカリチップを用い、カッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕した。得られたユーカリ木粉20gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積500ml、P−5型、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径20mmのジルコニアボールを25個充填した。
次に、媒体として水(解繊物質)を200ml(ユーカリ木粉−水10倍量)加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数120rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返した。合計処理時間33時間で機械的粉砕(以下「解繊処理」ともいう。)を行い、褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギー(重力加速度)を120rpmで1.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料1(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.07μm、長さ平均4μm)を得た。なお、試料1のアスペクト比はSEM観察像から計測したものである。
(実施例2)
ユーカリ木粉を13.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、試料2(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04μm、長さ平均7μm)を得た。なお、ユーカリ木粉に対して水が15倍量であり、解繊処理の結果、得られた混合物は粘性の低い褐色のスラリー状であった。
(比較例1)
ユーカリとしては製紙用ユーカリチップを用い、カッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕し、試料A(セルロース系物質、幅平均50μm、長さ平均250μm)を得た。なお、解繊処理は行わなかった。
[評価1、粒度分布]
100mgの試料1及び2を、水30mlにそれぞれ分散させたのち、LMS−24型レーザー回折式粒度分布計(セイシン企業社製)にて、水媒体循環セルにより粒度分布を測定した。
得られた測定結果を表1に示す。なお、表1に示す値は、微細繊維状セルロース系物質の軽い凝集物の大きさを示している。
Figure 0005206947
表1の結果から、平均粒径は、ユーカリ木粉に対する水の割合が少ない程、平均粒径が小さくなることがわかった。
[評価2、顕微鏡観察]
試料2の形状を調べるため、走査型電子顕微鏡観察を行った。
試料2を極少量、アルミ製走査型電子顕微鏡試料台に両面テープを用いて載せ、白金蒸着により表面導電性処理を行った後、S−3400型走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製)により、加速電圧25kVで観察した。
得られた試料2の観察結果の電子顕微鏡写真を図1に示す。
図1に示すように、100nm程度から微細な部分では10nm程度の繊維状セルロースが観察できた。なお、図示しないが実施例1で得られた試料1についても観察結果は同様であった。
[評価3、結晶性]
試料2及び試料Aの結晶性を、粉末X線回折法により評価した。すなわち、100mgの試料2及び試料Aをそれぞれ直径13mmのダイスで円盤状ペレットに成形し、RINT−TTR3型粉末X線回折装置(リガク社製)を用いて、CuKα線、50kV−300mAで回折パターンを測定した。
得られた測定結果を図2に示す。なお、一般に、ユーカリ等の木材や多くの植物体では、セルロース成分のみが結晶性を持ち回折ピークを与え、ヘミセルロース及びリグニンは非晶質ため20度付近に山を持つハローパターンを与える。
図2に示すように、試料2の結晶性は、試料Aと同一で、結晶性はほとんど変化していないことが示された。なお、図示しないが試料1についても観察結果は同様であった。
このことから、試料1及び試料2は、解繊が上手くいっているといえる。
[評価4、加水分解]
試料1,2及びAを用いて酵素加水分解を行った。すなわち、50mgの試料1,2及びAをそれぞれ15mlの酢酸緩衝液(pH5.0、50mM)に懸濁させ、これに、メイセラーゼ(酵素、明治製菓社製)50mgを50mlのpH5.0の酢酸緩衝液に溶解した酵素液2ml(酵素量2mg)を加えて、全量17mlの酵素加水分解試験液1,2及びAとした。なお、酵素液添加後は、直ちに、45℃のドライインキュベーターにセットし、120rpmで、酵素加水分解を進行させた。
そして、酵素加水分解試験液1,2及びAからは、一定時間毎(時間は表2に示す)に200μLを取り出し、遠心分離後の上清を、グルコーステストワコー(和光純薬工業社製)にて発色させ、分光光度計を用いて吸光度を測定した。得られた吸光度から予め作製した検量線に基づきグルコース濃度を算出した。なお、グルコース濃度は、固体分50mgに換算した値で示す。
表2に試料1,2及びAから得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。また、表3に、フェノール硫酸法により求めた試料1,2及びAの全糖濃度を示す。
Figure 0005206947
Figure 0005206947
表2の結果から、試料1及び2では、試料Aと比較して、グルコース濃度が10倍程度高くなっていることがわかった。
これは、試料1,2のセルロースの酵素加水分解が進行しているためと考えられる(酵素加水分解が進行していることを示している)。なお、用いた酵素にはヘミセルロースを加水分解する酵素も含まれており、ヘミセルロースはセルロースよりも加水分解し易いため、グルコース濃度が高い場合には、ヘミセルロースの加水分解も同時に進行しているといえる。
表3の結果から、48時間後の全糖濃度についても、試料1,2では、試料Aと比較して、グルコース濃度が2倍程度高くなっていることがわかった。
このことはセルロースの他、ヘミセルロースの加水分解も進行していることを示している。
(実施例3)
セルロース系物質として、針葉樹である製紙用米松チップを原料とし、機械的粉砕に遊星型ボールミルを用いた例を示す。
製紙用米松チップをカッターミルにより0.2mmパスの米松木粉に粗粉砕した。得られた米松木粉2.3gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、P−7型、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填した。
次に、媒体として水(解繊物質)を23ml(米松木粉−水10倍量)加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数200rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返し、合計処理時間33時間で解繊処理を行い、乳白色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを1.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料3(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均15μm)を得た。
(実施例4)
米松木粉を3.3gとしたこと以外は、実施例3と同様にして、試料4(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.07μm、長さ平均10μm)を得た。なお、米松木粉に対して水が7倍量であり、解繊処理の結果、得られた混合物は乳白色のクリーム状であった。
(比較例2)
製紙用米松チップを用い、カッターミルにより0.2mmパスの米松木粉に粗粉砕し、試料B(セルロース系物質、幅平均50μm、長さ平均250μm)を得た。なお、解繊処理は行わなかった。
[評価5、粒度分布]
試料1及び2の代わりに、試料3及び4を用いたこと以外は評価1と同様にして、粒度分布を測定した。
得られた測定結果を表4に示す。
Figure 0005206947
[評価6、顕微鏡観察]
試料2の代わりに、試料4を用いたこと以外は評価2と同様にして、走査型電子顕微鏡観察を行った。
得られた試料4の観察結果の電子顕微鏡写真を図3に示す。
図3に示すように、100nm程度から微細な部分では10nm程度の繊維状セルロースが観察できた。なお、図示しないが実施例3で得られた試料3についても観察結果は同様であった。
[評価7、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料3,4及びBを用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表5に試料3,4及びBから得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。また、表6に、フェノール硫酸法により求めた試料3,4及びBの全糖濃度示す。
Figure 0005206947
Figure 0005206947
表5の結果から、試料3及び4では、試料Bと比較して、グルコース濃度が2〜4倍程度高くなっていることがわかった。
これは、試料3,4のセルロースの酵素加水分解が進行しているためと考えられる(酵素加水分解が進行していることを示している)。なお、ヘミセルロースはセルロースよりも加水分解し安いため、グルコース濃度が高い場合には、ヘミセルロースの加水分解も同時に進行しているといえる。
表6の結果から、48時間後の全糖濃度についても、試料3,4では、試料Bと比較して、全糖濃度が1.5〜2倍程度高くなっていることがわかった。このことはセルロースの他,ヘミセルロースの加水分解も進行していることを示している。
(実施例5)
製紙用米松チップをカッターミルにより2mmパスの米松木粉に粗粉砕した。得られた米松木粉13.5gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積500ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径20mmのジルコニアボールを25個充填した。
次に、媒体として水(解繊物質)を200ml加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数120rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返し、合計処理時間33時間で解繊処理を行い、乳白色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを120rpmで1.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料5(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.08μm、長さ平均10μm)を得た。
(比較例3)
製紙用米松チップを用い、カッターミルにより2mmパスの米松木粉に粗粉砕し、試料C(セルロース系物質、幅平均1500μm、長さ平均3500μm)を得た。なお、解繊処理は行わなかった。
[評価8、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料5及びCを用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表7に試料5及びCから得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表7の結果から、試料5では、試料Cと比較して、グルコース濃度が8倍程度高くなっていることがわかった。
これは、試料5のセルロースの酵素加水分解が進行しているためと考えられる(酵素加水分解が進行していることを示している)。なお、ヘミセルロースはセルロースよりも加水分解し安いため、グルコース濃度が高い場合には、ヘミセルロースの加水分解も同時に進行しているといえる。
(実施例6)
製紙用米松チップをカッターミルにより0.2mmパスの米松木粉に粗粉砕した。得られた米松木粉2.0を、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填した。
次に、媒体として水(解繊物質)を全体の20質量%となるように加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数400rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを6回繰り返し、合計処理時間2時間で解繊処理を行い、淡黄白色の粉末状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを400rpmで7.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させたアスペクト比の小さい試料6(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.9μm、長さ平均3μm)を得た。
(実施例7)
水の代わりに、酢酸(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、試料7(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.8μm、長さ平均5μm)を得た。
(実施例8)
水の代わりに、ポリエチレングリコール400(分子量400、PEG400)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、アスペクト比の小さい試料8(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.9μm、長さ平均5μm)を得た。
(実施例9)
水の代わりに、1、4−ジオキサン(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、アスペクト比の小さい試料9(微細繊維状セルロース系物質、幅平均1μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例10)
水の代わりに、ジメチルスルホキシド(DMSO)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、アスペクト比の小さい試料10(微細繊維状セルロース系物質、幅平均1μm、長さ平均3μm)を得た。
(実施例11)
水の代わりに、ジメチルアセトアミド(DMAc)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、試料11(微細繊維状セルロース系物質、幅平均1μm、長さ平均3μm)を得た。
(実施例12)
水の代わりに、エタノール(EtOH)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、試料12(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.9μm、長さ平均3μm)を得た。
[評価9、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料6〜12を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表8に試料6〜12から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表8の結果から、試料6〜12において、解繊物質によりグルコース生成量に違いはあるが、全ての場合でグルコース生成量が増大することがわかった。
(実施例13)
加えた水の量を30質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして、試料13(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.9μm、長さ平均3μm)を得た。
(実施例14)
水の代わりに、グリセリンを30質量%用いたこと以外は、実施例6と同様にして、試料14(微細繊維状セルロース系物質、幅平均1μm、長さ平均2μm)を得た。
(実施例15)
水の代わりに、エチレングリコールを30質量%用いたこと以外は、実施例6と同様にして、試料15(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.9μm、長さ平均3μm)を得た。
[評価10、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料13〜15を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表9に試料13〜15から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表9の結果から、試料13〜15において、解繊物質によりグルコース生成量に違いはあるが、全ての場合でグルコース生成量が増大することがわかった。
(実施例16)
製紙用米松チップをカッターミルにより0.2mmパスの米松木粉に粗粉砕した。得られた米松木粉1.5gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填した。
次に、媒体として水(解繊物質)を23ml加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数400rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを6回繰り返し、合計処理時間2時間で解繊処理を行い、乳白色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを400rpmで7.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料16(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均7μm)を得た。
(実施例17)
水の代わりに、メタノール(MeOH)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料17(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均5μm)を得た。
(実施例18)
水の代わりに、エタノール(EtOH)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料18(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.07μm、長さ平均5μm)を得た。
(実施例19)
水の代わりに、1−プロパノール(1−PrOH)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料19(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.12μm、長さ平均5μm)を得た。
(実施例20)
水の代わりに、2−プロパノール(2−PrOH)(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料20(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.3μm、長さ平均5μm)を得た。
(実施例21)
水の代わりに、トルエン(解繊物質)を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料21(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.3μm、長さ平均2μm)を得た。
[評価11、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料16〜21を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表10に試料16〜21から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表10の結果から、試料16〜21において、解繊物質によりグルコース生成量に違いはあるが、全ての場合でグルコース生成量が増大することがわかった。
(実施例22)
水の代わりに、20wt%のポリエチレングリコール400(分子量400、PEG400)水溶液を23ml用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料22(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.15μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例23)
水の代わりに、20wt%の酢酸水溶液を23ml用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料23(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例24)
水の代わりに、20wt%の1、4−ジオキサン水溶液を23ml用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料24(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.2μm、長さ平均20μm)を得た。
(実施例25)
水の代わりに、20wt%のジメチルスルホキシド(DMSO)水溶液を23ml用いたこと以外は、実施例16と同様にして、試料25(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.1μm、長さ平均10μm)を得た。
[評価12、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料22〜25を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表11にフェノール硫酸法により求めた試料22〜25の全糖濃度示す。
Figure 0005206947
表11の結果から、試料22〜25において、解繊物質により糖の生成量に違いはあるが、全ての場合で全糖量が増大することがわかった。
(実施例26)
セルロース系物質として、精製木材パルプであるW−100(日本製紙ケミカル社製)1.5gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填した。
次に、媒体として水(解繊物質)を23ml加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数400rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを6回繰り返し、合計処理時間2時間で解繊処理を行い、褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを400rpmで7.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料26(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均10μm)を得た。なお、上記精製パルプ(W−100)は、製造過程で種々の薬品処理や粉砕処理を受けているため、ある程度解繊されている。
(実施例27)
水の代わりに、エタノール(EtOH)を用いたこと以外は、実施例26と同様にして、試料27(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.1μm、長さ平均7μm)を得た。
(実施例28)
W−100の代わりに、CF11(ワットマン社製)を用いたこと以外は、実施例26と同様にして、試料28(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均15μm)を得た。
(実施例29)
水の代わりに、エタノール(EtOH)を用いたこと以外は、実施例28と同様にして、試料29(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.1μm、長さ平均10μm)を得た。
[評価13、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料26〜29を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表12に試料26〜29から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表12の結果から、試料26及び27の精製木材パルプ、並びに、試料28及び29の精製綿花リンターは、精製過程でヘミセルロースやリグニンが除去され、セルロース含有量が90%以上であるため、酵素加水分解が進行すると、生成するグルコース量も木材の場合の2倍以上になった。
また、解繊物質によりグルコース生成量に違いはあるが、全ての場合でグルコース生成量が増大することがわかった。
(実施例30)
セルロース系物質として、製紙用ユーカリチップを用い、カッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕した。得られたユーカリ木粉1.5gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填した。
次に、媒体として23mlの酢酸緩衝液(pH5.0、50mM)と、メイセラーゼ(酵素)(明治製菓社製)150mgとを加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数200rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返し、合計処理時間33時間で解繊処理を行い、比較的流動性の高い褐色スラリー状の混合物、試料30を得た。
(参考例1)
メイセラーゼ(酵素)を用いなかったこと以外は、実施例30と同様にして試料Dを得た。
(実施例31)
製紙用ユーカリチップの代わりに、米松木粉を用いたこと以外は、実施例30と同様にして試料31を得た。
(参考例2)
メイセラーゼ(酵素)を用いなかったこと以外は、実施例31と同様にして試料Eを得た。
[評価14、グルコース濃度]
試料30,31,D及びEの試料それぞれにおいて、33時間後のグルコース濃度を測定した。すなわち、試料30,31,D及びE(これらはスラリー状又はクリーム状になっている)からそれぞれ200μLを取り出し、遠心分離後の上清を、グルコーステストワコー(和光純薬工業社製)にて発色させ、分光光度計を用いて吸光度を測定した。得られた吸光度から予め作製した検量線に基づきグルコース濃度を算出した。
表13に試料30,31,D及びEから得られたグルコース濃度を示す。
Figure 0005206947
表13の結果から、参考例1及び2の酵素を添加していない系ではグルコースはほとんど生成していないが、実施例30及び31の酵素を添加した系では、グルコース濃度が著しく高くなっており、解繊と同時に酵素加水分解が進行していることがわかった。
(実施例32)
セルロース系物質として、広葉樹であるユーカリを用い、カッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕し、更に、ユーカリ木粉に対して20分間、予備的に乾式粉砕し、粉末状の微細セルロース系物質とした。
次に、媒体として水(解繊物質)を200ml(ユーカリ木粉−水10倍量)加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数120rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返し、合計処理時間33時間で解繊処理を行い、褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギー(重力加速度)を120rpmで1.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料32(微細繊維状セルロース系物質、幅0.05μm、長さ5μm)を得た。
(実施例33)
製紙用ユーカリチップの代わりに、米松木粉を用いたこと以外は、実施例32と同様にして試料33(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.03μm、長さ平均5μm)を得た。
[評価15、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料32,33を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表14に試料32,33から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表14の結果から、乾式ボールミル粉砕した後に解繊物質として水を添加して解繊処理した場合、酵素加水分解が極めて高速に進行し、酵素加水分解反応6時間で、ほぼ完全に反応が進行していることがわかった。
(実施例34)
セルロース系物質として、製紙用米松チップをカッターミルにより3mmパスの米松木粉に粗粉砕した。得られた米松木粉500gを、水10リットルに分散させ、スーパーマスコロイダー(ディスクミル、ディスク材質:シリコンカーバイド、ディスク径:10インチ、ディスク回転数:1800rpm、ディスク間隔:200μm、増幸産業社製)に投入し、2分解繊処理した。かかる解繊処理を5回繰り返し(累計処理時間10分間)、褐色スラリー状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を45℃とした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料34(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.15μm、長さ平均15μm)を得た。
(実施例35)
解繊処理を10回(累計処理時間20分間)行ったこと以外は、実施例34と同様にして試料35(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.1μm、長さ平均10μm)を得た。
(比較例4)
製紙用米松チップを用い、カッターミルにより3mmパスの米松木粉に粗粉砕し、試料F(セルロース系物質、幅平均3200μm、長さ平均3200μm)を得た。なお、解繊処理は行わなかった。
[評価16、顕微鏡観察]
試料2の代わりに試料35を用いたこと以外は、評価2と同様にして、走査型電子顕微鏡観察を行った。
得られた試料35の観察結果の電子顕微鏡写真を図4に示す。
図4に示すように、100nm程度から微細な部分では10nm程度の繊維状セルロースが観察できた。なお、図示しないが実施例34で得られた試料34についても観察結果は同様であった。
[評価17、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料34,35及びFを用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表15に試料34,35及びFから得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表15の結果から、比較例4の試料Fでは、酵素加水分解はほとんど進行しないが、実施例34の試料34及び実施例35の試料35では、グルコース生成量が増大し、特に解繊処理回数を増やした試料35では、酵素加水分解性の向上効果が顕著に認められた。
(実施例36)
セルロース系物質として、製紙用米松チップをカッターミルにより2mmパスの米松木粉に粗粉砕した。得られた米松木粉100gと、エチレングリコール200gとを混合し、ラボプラストミル2軸エクストルーダー(東洋精機製作所)に投入した。なお、スクリューは二軸スクリュー多条フライト型2D20Sを用いた。30rpmの速度で連続的に押し出すことにより解繊処理をしたところ、得られた混合物は10分間で約20グラムであった。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料36(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.08μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例37)
米松木粉の代わりに、W−100を用いたこと以外は、実施例36と同様にして試料37(微細繊維状セルロース系物質)を得た。
(参考例3)
解繊処理を行わなかったこと以外は、実施例36と同様にして試料Gを得た。
(参考例4)
解繊処理を行わなかったこと以外は、実施例37と同様にして試料Hを得た。
[評価18、顕微鏡観察]
試料2の代わりに試料36を用いたこと以外は、評価2と同様にして、走査型電子顕微鏡観察を行った。
得られた試料36の観察結果の電子顕微鏡写真を図5に示す。
図5に示すように、100nm程度から微細な部分では10nm程度の繊維状セルロースが観察できた。
[評価19、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料36,37,G及びHを用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表16に試料36,37,G及びHから得られたグルコース濃度を示す。
Figure 0005206947
実施例36と参考例3とを比較すると、参考例3の試料Gでは、酵素加水分解はほとんど進行しないが、実施例36の試料36では、グルコース生成量が増大し、酵素加水分解性の向上効果が認められた。
同様に、実施例37と参考例4とを比較すると、参考例4の試料Hでは、酵素加水分解はある程度進行しているが、実施例37の試料37では、グルコース生成量がより増大し、酵素加水分解性の向上効果が認められた。
以上より、2軸エクストルーダーを用いた場合、木粉では著しくグルコース生成量が増大し、精製パルプでも2倍以上のグルコース生成量になっており、解繊による酵素加水分解性の向上効果が認められた。
(実施例38)
セルロース系物質として、製紙用米松チップをカッターミルにより2mmパスの米松木粉に粗粉砕した。得られた米松木粉100gと、ポリエチレングリコール(分子量20000)5gとを混合し、ラボプラストミル2軸エクストルーダーに投入した。なお、スクリューは二軸スクリュー多条フライト型2D20Sを用いた。120℃に加温し、50rpmの速度で連続的に押し出すことにより解繊処理を1回したところ、得られた混合物は10分間で約30グラムであった。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料38(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.3μm、長さ平均15μm)を得た。
(実施例39)
実施例38における解繊処理を2回行ったこと以外は、実施例38と同様にして、試料39(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.2μm、長さ平均15μm)を得た。
[評価20、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料38及び39を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表17に試料38及び39から得られたグルコース濃度を示す。
Figure 0005206947
表17の結果から、2軸エクストルーダー処理の回数が増えると、グルコース濃度が高くなっていることから、解繊による酵素加水分解性の向上効果が認められた。
(実施例40)
セルロース系物質として、製紙用ユーカリチップを用い、カッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕した。得られたユーカリ木粉1.5gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填した。
次に、媒体として2質量%の水酸化ナトリウム水溶液を23ml加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数200rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返し、合計処理時間33時間で解繊処理を行い、褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを1.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料40(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.06μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例41)
水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、水酸化リチウム水溶液を用いたこと以外は、実施例40と同様にして、試料41(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.07μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例42)
ユーカリ木粉の代わりに、米松木粉を用いたこと以外は、実施例40と同様にして試料42(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04μm、長さ平均15μm)を得た。
(実施例43)
水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、水酸化リチウム水溶液を用いたこと以外は、実施例42と同様にして、試料43(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均15μm)を得た。
[評価21、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料40〜43を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表18に試料40〜43から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表18の結果から、無機アルカリ性水溶液を添加することによりグルコース生成量が増大し、解繊による酵素加水分解性の向上効果が認められた。
(実施例44)
セルロース系物質として、製紙用ユーカリチップを用い、カッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕した。得られたユーカリ木粉13.5gを、ジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積500ml)に投入し、直径20mmのジルコニアボールを25個充填した。
次に、媒体として水200mlを加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数120rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返し、合計処理時間33時間で解繊処理を行い、褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギー(重力加速度)を120rpmで1.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料44(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04μm、長さ平均7μm)を得た。
(実施例45)
実施例44において、得られた混合物を洗浄、乾燥することなく、そのまま試料45(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04μm、長さ平均7μm)とした。
(実施例46)
ユーカリ木粉の代わりに、米松木粉を用いたこと以外は、実施例44と同様にして試料46(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均15μm)を得た。
(実施例47)
実施例46において、得られた混合物を洗浄、乾燥することなく、そのまま試料47(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均15μm)とした。
[評価22、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料44〜47を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表19に試料44〜47から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表19の結果から、洗浄及び乾燥後の試料も、未洗浄及び未乾燥の試料と同様の酵素加水分解結果を示し、解繊による酵素加水分解性の向上効果が認められた。
このことから、酵素加水分解の前に試料を洗浄、乾燥処理すると、解繊処理工程で水媒体中に混入する微量な変性物や不純物、解繊処理における混入物が除去されるものの、酵素加水分解性は、未洗浄、未乾燥の試料と、同様であり、解繊処理による酵素加水分解の阻害要因の発生は無いことが確認できた。
(実施例48)
小型セグメントミキサ(ラボプラストミルKF15V、東洋精機製作所社製)を用いた微細繊維化による木質バイオマスの酵素糖化向上の試験を行った。
図6の(a)及び(b)は、小型セグメントミキサの混練部を説明するための断面写真である。
図6に示すように、小型セグメントミキサ10は、混練部1において、セグメント式スクリュー2が同方向に回転し、内容物に高せん断及び圧力をかけて開放する方式である。これにより、セルロース系物質を水の中でナノスケールにまで解繊することができる。
図7の(a)は、セグメント式スクリューの正面図を示し、(b)は、セグメント式スクリューの側面図を示す。
図7に示すように、セグメント式スクリュー2は、6枚のセグメント羽を22.5度ずつ重ね合わせて組み合わせることで、高せん断がかけられるようになる。なお、組み合わせは種々の角度と形で行うことができ、図に示したものに限定することではない。
まず、2mmパスに粗粉砕した米松木粉を原料とし遊星型ボールミルを用いて5分間予備的に粉砕した。得られた予備的粉砕物100質量部に対して、水を233質量部混合し小型セグメントミキサに投入した。なお、解繊処理の条件は、温度40℃、圧力約0.5MPa、スクリュー速度95rpm、時間20分とした。
解繊処理により得られた混合物は洗浄、乾燥することなく、そのまま試料48とした。
(比較例5)
2mmパスに粗粉砕した米松木粉を試料I(セルロース系物質)とした。
[評価23、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料48、Iを用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表20に試料48、Iから得られたグルコース濃度を示す。
Figure 0005206947
表20の結果から、未処理の2mmの米松木粉ではグルコースはほとんど生成していないが、小型セグメントミキサで処理した処理物ではグルコース濃度が著しく高くなっており、解繊による酵素加水分解性の向上効果が認められた。
[評価24、顕微鏡観察]
試料2の代わりに、試料48を用いたこと以外は評価2と同様にして、走査型電子顕微鏡観察を行った。
得られた試料48の観察結果の電子顕微鏡写真を図8に示す。
図8に示すように、100nm以下の微細繊維が多く生成している様子がはっきり認められる。
(実施例49)
セルロース系物質として、製紙用ユーカリチップをカッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕した。得られたユーカリ木粉1.5gを、23mlの水に浸漬し24時間放置後、滅菌用オートクレーブを用いて121℃で60分間処理した。
これを室温まで放冷した後、全量をジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填し、フタをした。ボールミル処理は、自転回転数400rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを6回繰り返し、合計処理時間2時間で解繊処理を行い、比較的流動性の高い褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを400rpmで7.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料49(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04〜0.09μm、長さ平均3〜7μm)を得た。
(実施例50)
滅菌用オートクレーブで処理する時間を240分としたこと以外は、実施例49と同様にして試料50(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04〜0.09μm、長さ平均3〜7μm)を得た。
(実施例51)
滅菌用オートクレーブで処理する温度を135℃としたこと以外は、実施例49と同様にして試料51(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04〜0.09μm、長さ平均3〜7μm)を得た。
(実施例52)
滅菌用オートクレーブで処理する時間を240分としたこと以外は、実施例51と同様にして試料52(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04〜0.09μm、長さ平均3〜7μm)を得た。
(参考例5)
滅菌用オートクレーブで処理した後、解繊処理を行わなかったこと以外は、実施例49と同様にして試料Jを得た。
(参考例6)
滅菌用オートクレーブで処理した後、解繊処理を行わなかったこと以外は、実施例50と同様にして試料Kを得た。
(参考例7)
滅菌用オートクレーブで処理した後、解繊処理を行わなかったこと以外は、実施例51と同様にして試料Lを得た。
(参考例8)
滅菌用オートクレーブで処理した後、解繊処理を行わなかったこと以外は、実施例52と同様にして試料Mを得た。
[評価24、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料49〜52及びJ〜Mを用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表21に試料49〜52から得られたグルコース濃度を、表22に試料J〜Mから得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
Figure 0005206947
表21及び表22の結果から、滅菌用オートクレーブで水熱処理することにより、ユーカリ木粉の組織が、部分的に加水分解する等して強固な成分ネットワークが脆弱になり、ボールミル粉砕により容易に微細繊維化が進行すると共に、酵素糖化性が向上したといえる。
(実施例53)
セルロース系物質として、ワラをカッターミルにより3mmパスに粗粉砕した。得られたワラ粗粉砕物1.5gを23mlの水と共にジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径10mmのジルコニアボールを7個充填し、フタをした。ボールミル処理は、自転回転数400rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを6回繰り返し、合計処理時間2時間で解繊処理を行い、比較的流動性の高い褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギーを400rpmで7.8Gとした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料53(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.05μm、長さ平均6μm)を得た。
(実施例54)
ワラをカッターミルにより0.2mmパスに粗粉砕したものを用いたこと以外は、実施例53と同様にして試料54(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.04μm、長さ平均4μm)を得た。
[評価25、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料53,54を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表23に試料53,54から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表23の結果から、ワラを原料としても、解繊処理により微細繊維化でき酵素糖化性を向上できることが確認された。
(実施例55)
セルロース系物質として、製紙用ユーカリチップをカッターミルにより3mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕した。得られたユーカリ木粉1kgを、10リットルの水に浸漬し24時間放置後、滅菌用オートクレーブを用いて135℃で240分間処理した。
これを室温まで放冷した後、ユーカリ木粉の固形分濃度が5質量%になるように水を加え、得られた分散液20リットルをスーパーマスコロイダー(ディスクミル、ディスク材質:シリコンカーバイド、ディスク径:10インチ、ディスク回転数:1800rpm、ディスク間隔:20μm、増幸産業社製)に投入し、4分間解繊処理を行い、褐色スラリー状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を45℃とした。
そして、混合物中の水をt−ブチルアルコールに置換し、減圧乾燥して、乾燥させた試料55(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.1μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例56)
解繊処理を10回繰り返した(累計処理時間40分間)こと以外は、実施例55と同様にして試料56(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.1μm、長さ平均10μm)を得た。
(実施例57)
製紙用ユーカリチップをカッターミルにより0.2mmパスのユーカリ木粉に粗粉砕したこと、滅菌用オートクレーブを用いた処理を行わなかったこと、以外は、実施例55と同様にして試料57(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.15μm、長さ平均15μm)を得た。
(実施例58)
解繊処理を10回繰り返した(累計処理時間40分間)こと以外は、実施例57と同様にして試料58(微細繊維状セルロース系物質、幅平均0.15μm、長さ平均15μm)を得た。
[評価26、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料55〜58を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表24に試料55〜58から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表24の結果から、滅菌用オートクレーブで水熱処理することにより、ユーカリ木粉の組織が、部分的に加水分解する等して強固な成分ネットワークが脆弱になり、ディスクミル粉砕により短時間(少ない処理回数)で容易に微細繊維化が進行すると共に、酵素糖化性が向上することが確認された。
(実施例59)
セルロース系物質として、ワラをカッターミルにより3mmパスに粗粉砕した。得られたワラ粗粉砕物1.5gを23mlの水と共にジルコニア製遊星型ボールミルポット(内容積45ml、ドイツ・フリッチュ社製)に投入し、直径20mmのジルコニアボールを25個充填した。
次に、媒体として水300mlを加えて、ジルコニア製遊星型ボールミルポットのフタをした。ボールミル処理は、自転回転数120rpm、20分間処理−10分間停止のサイクルを100回繰り返し、合計処理時間33時間で解繊処理を行い、褐色クリーム状の混合物を得た。なお、解繊処理の条件は、温度を40℃、ボールミルの容器内のボールに付加できる粉砕エネルギー(重力加速度)を120rpmで1.8Gとした。
そして、混合物中の固形分を濃縮するため、7000rpm−15分の条件で遠心分離し、沈殿を集め、粘土状物を得た。なお、ハロゲン水分計より粘土状物の水分量は76%であった。
次に、粘土状物12.8gを内容積57mlの高圧オートクレーブに投入し、エタノール3.6g、酢酸0.14gを加え、密封した。なお、粘土状物が含有している水とエタノールの比は7.5/2.5であった。また、固形分と液体分の比は1/5であった。
次に、ヒーターにより180℃で15分間加熱処理を行った。その後、得られた処理物を濾過し、濾紙上の固形分について乾燥操作を行うことなく、乾燥重量50mg相当を計り取ることにより、試料59を得た。
(実施例60)
ヒーターによる加熱処理の時間を60分としたこと以外は、実施例59と同様にして試料60を得た。
[評価27、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料59,60を用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表25に試料59,60から得られたグルコース濃度を示す。なお、酵素反応時間0時間は、酵素を投入前の酢酸緩衝液に試料を懸濁させたときに溶解してくるグルコース量を示している。
Figure 0005206947
表25の結果から、解繊処理後に水、エタノール及び酢酸で加熱処理することにより、著しく酵素糖化性が向上した。
このことから、解繊処理後に、所定の液中で加熱処理を施すことは、極めて有効であるといえる。
(実施例61)
2mmサイズのスイッチグラス(牧草の一種)100Partに対し、水を300質量部混合して混合物とし、二軸エクストルーダー(Labo−Plastomill、東洋精機社製)内に投入した。そして、スクリューとして、二軸スクリュー多条フライト型2D20S用を用い、室温で30rpmの速度で連続的に運転させた。
次に、混合物を二軸エクストルーダーから取り出し、固形分換算で50mgを15mlの酢酸緩衝溶液に入れ、さらに、セルラーゼ(商品名:メイセラーゼ、明治製菓社製)2mgを酢酸緩衝溶液2mlに溶かした溶液を加えて、48時間45℃で酵素加水分解(糖化)を行い、試料61を得た。
(比較例6)
2mmパスに粗粉砕したスイッチグラスを試料Oとした。
[評価28、得られる糖の分析]
試料61を高速液体クロマトグラフ(日本分光LC−2000PulsHPLCシステム、試料注入量:20μl、検出:示差屈折計、カラム:Aminex HPX−87P(Bio−Rad)、カラム温度:80℃,流速:1.0ml/min)を用いて糖の同定及び標品を用いて作成した検量線からそれぞれの糖の濃度を定量した。
得られた結果を表26に示す。
Figure 0005206947
表26の結果から、スイッチグラスにα-セルロースは33.2%含まれており、米松やユーカリより低い数値であることがわかった。
[評価29、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料61,Oを用いたこと以外は、評価4と同様にして、グルコース濃度を算出した。
表27に試料61,Oから得られたグルコース濃度を示す。
Figure 0005206947
表27の結果から、二軸エクストルーダーを用いた実施例61の試料61は、比較例6の試料Oと比べて、約20倍の酵素糖化率が得られた。
[評価30、加水分解]
試料1,2及びAの代わりに、試料61,Oを用い、評価4の方法に準じて酵素加水分解反応を行い、評価28の方法によりキシロース濃度を算出した。
表28に試料61,Oから得られたキシロース濃度を示す。
Figure 0005206947
表27の結果から、二軸エクストルーダーを用いた実施例61の試料61は、ヘミセルラーゼが少ないメイセラーゼ(明治製菓)を使ったにもかかわらず、キシロース生成量は79.5mg/Lと高かった。
以上の結果より、本発明の微細繊維状セルロース系物質によれば、加水分解により、高収率で糖を製造することができることが確認された。
本発明の微細繊維状セルロースは、糖の製造、又は、その糖からのエタノールの製造のみならず、分子構造的に極めて大きな強度を持っているため、樹脂等へフィラーとして複合化して高強度材料としても用いることができる。
また、上記微細繊維状セルロースは、自己凝集力が強いため、接着剤を用いたり、化学的に変性させる等の操作をすることなく、そのまま高強度材料に転換することもできる。
さらに、上記微細繊維状セルロースは天然物であり無味無臭、無毒生であり、微細繊維のため舌触りに異物感を感じないため、食品に添加して、保水性、保油性、テクスチャー、形態安定性又はダイエット性を付与することができる。
図1は、実施例2で得られた試料2の走査型電子顕微鏡の写真である。 図2は、実施例2で得られた試料2及び比較例1で得られた試料Aの結晶性を、粉末X線回折法で測定した回折パターンを示すグラフである。 図3は、実施例4で得られた試料4の走査型電子顕微鏡写真である。 図4は、実施例35で得られた試料35の走査型電子顕微鏡写真である。 図5は、実施例36で得られた試料36の走査型電子顕微鏡写真である。 図6の(a)及び(b)は、実施例48で用いた小型セグメントミキサの混練部を説明するための断面写真である。 図7の(a)は、実施例48で用いた小型セグメントミキサのセグメント式スクリューを示す正面図であり、(b)は、その側面図である。 図8は、実施例48で得られた試料48の走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1・・・混練部
2・・・セグメント式スクリュー
10・・・小型セグメントミキサ

Claims (9)

  1. 加水分解による糖化反応に用いられ、
    セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質と、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質とを混合した混合物に対して、機械的粉砕を行い、前記セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが50μm以下の微細繊維状セルロース系物質とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法であって、
    前記解繊物質が脂肪酸類であることを特徴とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  2. 加水分解による糖化反応に用いられ、
    セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質と、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質とを混合した混合物に対して、機械的粉砕を行い、前記セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが50μm以下の微細繊維状セルロース系物質とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法であって、
    前記解繊物質が水と、脂肪酸類とからなり、
    前記脂肪酸類の配合割合が、前記解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%であることを特徴とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  3. 加水分解による糖化反応に用いられ、
    セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含むセルロース系物質と、該セルロース系物質を解繊するための解繊物質とを混合した混合物に対して、機械的粉砕を行い、前記セルロース系物質を幅が1μm以下、長さが50μm以下の微細繊維状セルロース系物質とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法であって、
    前記解繊物質が水と、無機アルカリとからなり、
    前記無機アルカリの配合割合が、前記解繊物質全量に対して、0.1〜99.9質量%であることを特徴とする微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  4. 前記機械的粉砕が、ボールミル、ロッドミル、ビーズミル、ディスクミル又はミキサで行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  5. 前記機械的粉砕が、バッチ式又は連続式エクストルーダーで行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  6. 前記機械的粉砕が20〜350℃の温度、及び/又は、0.1〜20MPaの圧力条件下で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  7. 前記セルロース系物質を予備的に粉砕してチップ状、繊維状又は粉末状の微細セルロース系物質とした後に、前記解繊物質と混合し、前記機械的粉砕を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  8. 前記解繊物質の混合割合が、セルロース系物質1質量部に対して、0.01〜200質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース系物質の製造方法により得られた微細繊維状セルロース系物質に対して、酸加水分解又は酵素加水分解を行うことにより、糖とすることを特徴とする糖の製造方法。
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