以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る力学量検出装置は、力学量として圧力を検出するように構成されたものである。
図1は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図2は、図1のA−A’断面図である。以下、図1および図2を参照して力学量検出装置の構造について説明する。
図2に示されるように、力学量検出装置は、半導体基板100の上に絶縁層200が形成され、この絶縁層200の一面201に電極層300が形成された積層構造となっている。このうち、半導体基板100は支持基板であり、例えば単結晶シリコン基板が採用される。
絶縁層200は、第1絶縁層210とこの第1絶縁層210の上に形成された第2絶縁層220との間に複数の配線パターン202、203を有する積層構造をなしている。
第1絶縁層210は半導体基板100の上に形成されている。また、配線パターン202、203は高濃度に不純物が含まれた低抵抗のポリシリコン、金属(W、Mo、Al等)等が所定のパターンにパターニングされた配線である。そして、第2絶縁層220は配線パターン202、203を覆うように第1絶縁層210の上に形成されている。第1絶縁層210および第2絶縁層220として、例えばSiO2等の絶縁体が採用される。
電極層300は、力学量を検出するための第1電極301と第2電極302とが形成された層である。このような電極層300は、第1半導体層310と、第2半導体層320と、金属層330と、を備えて構成されている。
第1半導体層310は、絶縁層200の一面201の上に形成されている。そして、図1に示されるように、第1半導体層310は、接続部311、312、ダミー接続部313、第1壁部340、第2壁部350、ダミー壁部314、および周辺部315が画定されている。
接続部311、312は、各電極301、302と外部とをそれぞれ電気的に接続するための中継部分である。例えば、一方の接続部311は配線パターン202を介して第1電極301に電気的に接続され、他方の接続部312は配線パターン203を介して第2電極302に電気的に接続されている。
ダミー接続部313は、周辺部315の幅を一定にするために必要な部分であり、接続部311、312と共に並べられている。したがって、絶縁層200の一面201において一方の外縁側には2つの接続部311、312と3つのダミー接続部313がそれぞれ並べられている。
第1壁部340は中空筒状をなしており、絶縁層200の一面201の面方向に交差する方向に設けられ対向配置された2つのダイヤフラム341、342を含んでいる。また、対向配置された2つのダイヤフラム341、342はその両端で連結部343、344により連結されている。これにより、第1壁部340は一周して閉じた筒型の壁となり、各ダイヤフラム341、342が絶縁層200の一面201の面方向にそれぞれ変形可能になっている。
そして、各連結部343、344のうちの一方の連結部343は、図1および図2に示されるように、コンタクト部345を介して一方の配線パターン202に電気的に接続されている。このため、一方の連結部343は他方の連結部344よりも厚く形成されている。この配線パターン202には、一方の接続部311がコンタクト部316を介して電気的に接続されている。したがって、第1壁部340は配線パターン202を介して一方の接続部311に電気的に接続され、配線パターン202および一方の接続部311を介して外部回路に電気的に接続される。
同様に、第2壁部350は中空筒状をなしており、絶縁層200の一面201に交差する方向に設けられ対向配置された2つのダイヤフラム351、352を含んでいる。また、対向配置された2つのダイヤフラム351、352はその両端で連結部353、354により連結されている。これにより、第2壁部350は一周して閉じた筒型の壁となり、各ダイヤフラム351、352が絶縁層200の一面201の面方向にそれぞれ変形可能になっている。
そして、各連結部353、354のうちの一方の連結部353は、コンタクト部355を介して他方の配線パターン203に電気的に接続されている。このため、一方の連結部353は他方の連結部354よりも厚く形成されている。この配線パターン203には、他方の接続部312がコンタクト部317を介して電気的に接続されている。したがって、第2壁部350は配線パターン203および他方の接続部312を介して外部回路に電気的に接続される。
ここで、「絶縁層200の一面201の面方向に交差する方向」とは、絶縁層200の一面201に対して垂直な方向である。したがって、第1壁部340のダイヤフラム341、342および第2壁部350のダイヤフラム351、352は、図2に示されるように、それぞれ絶縁層200の一面201に垂直に立てられて設けられている。
上記第1壁部340および第2壁部350において、第1壁部340の一方のダイヤフラム341と第2壁部350の一方のダイヤフラム351とが所定の間隔で対向配置されている。
ダミー壁部314は、ダミー接続部313と同様に、周辺部315の幅を一定にするために必要な部分である。そして、ダミー壁部314は、ダミー壁部314と第1壁部340とで第2壁部350を挟むように第2壁部350の隣に並べられている。
そして、本実施形態では、第1半導体層310には、各壁部314、340、350、2つの接続部311、312、および3つのダミー接続部313という組み合わせが2つ設けられている。すなわち、図1に示される平面構造は、実質的に点対称や線対称の構造になっている。なお、配線パターン202、203も上記各組み合わせに対してそれぞれ設けられている。
周辺部315は、並べられた2つの接続部311、312と3つのダミー接続部313の周囲を一周して囲むと共に、各壁部314、340、350の周囲を一周して囲むように形成された部分である。この周辺部315は、絶縁層200に形成されたコンタクト部318を介して半導体基板100に電気的に接続されている。これにより、半導体基板100は周辺部315を介して外部回路に電気的に接続される。
なお、接続部311、312、ダミー接続部313、ダミー壁部314、および周辺部315についても各壁部340、350と同様に、それぞれ絶縁層200の一面201に垂直に立てられて設けられている。
第2半導体層320は、図2に示されるように、第1半導体層310に形成された接続部311、312、ダミー接続部313、各壁部314、340、350、および周辺部315の上に同じ形状にパターニングされている。
また、第2半導体層320のうち第1壁部340の上に形成された部分は第1蓋部321とされている。そして、第1蓋部321は、第1壁部340のうち絶縁層200側とは反対側の開口部346を閉じている。つまり、第1蓋部321は、第1壁部340の開口部346を塞いでいる。これにより、第1壁部340の内部の中空部347は絶縁層200、各ダイヤフラム341、342、各連結部343、344、および第1蓋部321により気密封止され、第1壁部340の外部の空間と分離されている。
同様に、第2半導体層320のうち第2壁部350の上に形成された部分は第2蓋部322とされている。そして、第2蓋部322は、第2壁部350のうち絶縁層200側とは反対側の開口部356を閉じている。これにより、第2壁部350の内部の中空部357は各ダイヤフラム351、352、各連結部353、354、および第2蓋部322により気密封止され、第2壁部350の外部の空間と分離されている。
各壁部340、350の各中空部347、357は同じ気圧とされ、圧力を検出する際の基準圧室となる。本実施形態では、各中空部347、357は真空とされている。なお、各中空部347、357は真空に限らず、所定の圧力とされていても良い。
また、第1半導体層310および第2半導体層320として、ポリシリコン等の半導体材料が採用される。したがって、各壁部340、350と各蓋部321、322とがそれぞれ半導体材料で形成されるので、壁部340、350と蓋部321、322とで構成された電極301、302の各物性が安定する。
金属層330は、各接続部311、312および周辺部315に対応する第2半導体層320の上にパターニングされている。これにより、金属層330にはパッド331〜333が形成されている。パッド331は一方の接続部311に対応して設けられ、パッド332は他方の接続部312に対応して設けられている。また、パッド333は周辺部315に対応して設けられている。これら各パッド331〜333に図示しないボンディングワイヤが接続されることで力学量検出装置と外部回路とが電気的に接続される。
上記の構造において、力学量として圧力を検出する方法について、図3を参照して説明する。図3は、各電極301、302に対する圧力印加の前後の各ダイヤフラム341、342、351、352の断面図である。
まず、図3(a)に示されるように、各電極301、302に圧力が印加されていない場合、各ダイヤフラム341、342、351、352は変形していない。そして、対向配置された第1壁部340のダイヤフラム341と第2壁部350のダイヤフラム351との間の距離に応じた第1電極301と第2電極302との間の静電容量が検出される。
続いて、図3(b)に示されるように、第1電極301および第2電極302に対して圧力が印加されると、各ダイヤフラム341、342、351、352は各壁部340、350の中空部347、357と各壁部340、350の外部との圧力差に応じて絶縁層200の一面201の面方向に沿って変形する。
具体的には、第1電極301の各ダイヤフラム341、342は互いの距離が短くなるように変形し、第2電極302の各ダイヤフラム351、352は互いの距離が短くなるように変形する。このように各ダイヤフラム341、342、351、352が変形することにより、第1電極301のダイヤフラム341と第2電極302のダイヤフラム351との距離が長くなる。このため、第1電極301および第2電極302に対して圧力が印加されない場合に対して、第1電極301と第2電極302との間の静電容量が変化する。このように、対向配置された第1壁部340のダイヤフラム341と第2壁部350のダイヤフラム351とがそれぞれ変形することにより変化する第1電極301と第2電極302との間の静電容量に基づいて圧力が検出される。
すなわち、第1電極301と第2電極302とで構成されたコンデンサの静電容量の変化が力学量検出装置の外部に設けられた外部回路に出力される。そして、外部回路にて静電容量の変化が電圧に変換され、圧力のデータとして利用される。
以上が、本実施形態に係る力学量検出装置の全体構成である。なお、上記の力学量検出装置の各部の材料・材質等は、以下の製造方法で詳しく述べる。
次に、図1および図2に示された力学量検出装置の製造方法について、図4〜図9を参照して説明する。図4〜図9は図1のA−A’断面に相当する。また、力学量検出装置を製造するに当たっては、ウェハの状態で製造し、最後に各チップに分割することで力学量検出装置を得る。したがって、以下で示される各工程はウェハの状態で製造していく。このため、上記の半導体基板100等はウェハの一部である。
図4(a)に示す工程では、まず、半導体基板100を用意する。半導体基板100として、例えば高濃度にP、As、Sb等の不純物を含み、比抵抗が0.001〜0.1Ω・cmのn+型の(100)面を有する単結晶シリコン基板が採用される。半導体基板100の厚さは例えば200〜600μmである。
この半導体基板100の表面を熱酸化するかまたはCVD法により、半導体基板100の上に第1絶縁層210として0.1〜2μmの厚さのSiO2膜を形成する。
この後、高濃度の不純物を含むn+型の第1のポリシリコン層を0.1〜2μmの厚さで形成する。そして、第1壁部340の一方の連結部343と一方の接続部311を繋ぐように、また、第2壁部350の一方の連結部353と他方の接続部312を繋ぐように、第1のポリシリコン層をフォトリソグラフィ・エッチング手法によりパターニングすることにより、配線パターン202、203を形成する。
図4(b)に示す工程では、第1絶縁層210の上に、配線パターン202、203を覆うように第2絶縁層220としてSiO2膜をCVD法等により形成する。このままでも良いが必要に応じCMP法等によりSiO2膜の表面を平坦化しても良い。これにより、半導体基板100に絶縁層200が形成された状態となる。
図5に示す工程では、絶縁層200のうち周辺部315に対応する位置に半導体基板100の一部が露出するようにコンタクト穴204を形成する。また、絶縁層200のうち第1壁部340の連結部343、第2壁部350の連結部353、および接続部311、312に対応する位置に配線パターン202、203の一部が露出するようにコンタクト穴204を形成する。
そして、各コンタクト穴204にポリシリコンを埋め込むことにより、コンタクト部316〜318、345、355を形成すると同時に絶縁層200の上に高濃度の不純物を含む第1半導体層310としての第2のポリシリコン層を5〜200μmの厚さで形成する。
図6に示す工程では、フォトリソグラフィ・エッチング手法により第2のポリシリコン層にトレンチ360を形成することにより、絶縁層200の一面201に交差する方向に中空筒状の第1壁部340、中空筒状の第2壁部350、接続部311、312、ダミー接続部313、ダミー壁部314、および周辺部315を形成する。ここで、「絶縁層200の一面201に交差する方向」は、上述のように絶縁層200の一面201に対して垂直な方向である。
第1壁部340については、2つのダイヤフラム341、342が対向配置されると共に2つの連結部343、344により連結された中空筒状に形成する。また、第2壁部350については、2つのダイヤフラム351、352が対向配置されると共に2つの連結部343、344により連結された中空筒状に形成する。さらに、第1壁部340の一方のダイヤフラム341と第2壁部350の一方のダイヤフラム351とが所定の間隔で対向配置されるように、各壁部340、350を形成する。
このように、第2のポリシリコン層をパターニングする場合、トレンチ360の幅を一定としている。すなわち、各ダイヤフラム341、342、351、352の離間距離も、周辺部315と接続部311、312との離間距離も、その他各部の離間距離は一定である。したがって、周辺部315の幅を一定にするために、第2のポリシリコン層にトレンチ360を形成することで、ダミー接続部313やダミー壁部314も形成している。
図7に示す工程では、第1半導体層310の上に、第2半導体層320としてn+型の第3のポリシリコン層を2〜10μmの厚さで例えばLPCVD法等により形成する。このようにして、図6に示されるように、トレンチ360の開口部が閉塞するように第3のポリシリコン層を例えば真空中(真空に近い状態を含む)で形成する。また、この第2半導体層320の形成により、各壁部340、350のうち絶縁層200側とは反対側の開口部346、356を閉じ、各壁部340、350の中空部347、357を封止する。こうして、各壁部340、350の中空部347、357は基準圧室(真空)として機能する。
続いて、図8に示す工程では、第2半導体層320の上に金属層330としてAl層を0.1〜2μmの厚さで形成し、フォトリソグラフィ・エッチング手法によりパターニングすることで接続部311、312や周辺部315のパッド331〜333を形成する。この後、第2半導体層320のうち各壁部340、350等の上に形成された部分が残されるように第2半導体層320をレジスト361で被覆する。
このように第2半導体層320をレジスト361で覆う場合、第2半導体層320のうち各壁部340、350に対応する部分については、各壁部340、350の端面に対応した部分だけでなく、各壁部340、350の外周で覆われた領域全体を覆うようにレジスト361を形成する。つまり、第2半導体層320のうち各中空部347、357に対応する部分もレジスト361で覆う。
そして、図9に示す工程では、第2半導体層320のうちレジスト361から露出した部分、すなわち第1半導体層310に形成されたトレンチ360に対応した部分を除去する。これにより、第1壁部340の開口部346を第1蓋部321で閉じた第1電極301と、第2壁部350の開口部356を第2蓋部322で閉じた第2電極302とが構成される。
この後、第2半導体層320の上のレジスト361を除去する。そして、ウェハの状態で複数の力学量検出装置を形成しているので、ウェハを力学量検出装置毎に分割する。こうして、図1および図2に示される力学量検出装置が完成する。チップとなった力学量検出装置は、パッド331〜333に例えば図示しないボンディングワイヤが接続されることで外部回路と電気的に接続されて動作する。上述のように、各壁部340、350の基準圧室は真空なので、力学量検出装置は絶対圧センサとして用いられることとなる。
なお、上記では、半導体材料としてn+型の例で説明したが、例えばボロン等を高濃度に含むp+型で形成しても良い。また、第1電極301と第2電極302との組が2組設けられた構造を示したが、各電極301、302の組を多数設けることで圧力検出の感度を向上させることもできる。この場合、各電極301、302の組のダイヤフラム341、342、351、352の厚みを各組で数段階変化させることで、圧力検出の感度を数段階変化させることも可能である。
以上説明したように、本実施形態では、絶縁層200の上に第1電極301と第2電極302とがそれぞれ形成されていることが特徴となっている。このように、電極層300に形成された第1電極301および第2電極302は絶縁層200の上でそれぞれが独立し、それぞれが電気的に分離されているので、第1半導体層310に形成された各壁部340、350のダイヤフラム341、342、351、352に電極として機能させるための半導体領域が不要となる。すなわち、各電極301、302に各電極301、302を構成する半導体材料とは異なる導電型の半導体材料が形成されない構成である。このように、各電極301、302にPN接合部が形成されることはないので、PN接合部によって容量検出特性が不安定になることもなく、力学量検出装置の温度や外部雰囲気等の外乱に対して非常に安定した容量検出特性を維持することができる。
また、各ダイヤフラム341、342、351、352は、絶縁層200の一面201に垂直に立てられているので、絶縁層200の一面201の面方向に対する力学量検出装置の幅が大きくならないようにすることができる。各電極301、302の組を多数設ける場合にも、各電極301、302の組が絶縁層200の一面201の面方向に並べられることにより1つの力学量検出装置に多数のダイヤフラム341、342、351、352を設けることができる。この場合、各ダイヤフラム341、342、351、352は絶縁層200の一面201にそれぞれ垂直に立てられているので、1つの力学量検出装置に多数のダイヤフラム341、342、351、352が設けられているにもかかわらず、力学量検出装置の幅が大きくならずに済むという利点がある。
なお、本実施形態で記載した例では第1壁部340、および第2壁部350の両方が中空筒状をなしているとして説明したが、圧力センサ等として機能するにおいては少なくとも第1壁部340、第2壁部350のどちらか一方が中空筒状であり、ダイヤフラムを形成していれば良い。すなわち、他方は中空筒状を有しない壁部になっていて対向の電極として機能すれば良い。また、以下に説明する実施形態においても同様である。
そして、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、第1半導体層310および第2半導体層320が特許請求の範囲の「半導体層」に対応する。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図10は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図であり、図1のA−A’断面に相当する図である。
図10に示されるように、絶縁層200は、第3絶縁層230と、第4絶縁層240と、配線パターン202、203と、第5絶縁層250と、が積層された積層構造になっている。
第3絶縁層230は、第1半導体層310の上に形成されている。また、第3絶縁層230は、第1壁部340の連結部343、第2壁部350の連結部353、および接続部311、312に対応する位置が開口するようにパターニングされている。第3絶縁層230として、SiO2膜等が採用される。
第4絶縁層240は、第3絶縁層230を覆うと共に第1壁部340の連結部343、第2壁部350の連結部353、および接続部311、312が露出するようにパターニングされた層である。
そして、配線パターン202、203は、第4絶縁層240の上に形成されると共に、第1壁部340の一方の連結部343と一方の接続部311を繋ぐように、また、第2壁部350の一方の連結部353と他方の接続部312を繋ぐように、それぞれパターニングされている。
第5絶縁層250は、配線パターン202、203を覆うと共に、第4絶縁層240の上に形成されている。この第5絶縁層250の上に半導体基板100が設けられている。
このような絶縁層200の構造により、配線パターン202、203は、コンタクト部316〜318、345、355を介さずに第1壁部340の連結部343、第2壁部350の連結部353、および接続部311、312にそれぞれ直接接触すると共に電気的に接続される。
また、本実施形態では、第1電極301および第2電極302は、それぞれ単結晶シリコンで形成されている。このため、各電極301、302の物性および特性が安定すると共に、各ダイヤフラム341、342、351、352の強度を大きくすることができる。
次に、図10に示された力学量検出装置の製造方法について、図11〜図16を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
図11(a)に示す工程では、第1半導体層310として、高濃度の不純物を含むn+型の(100)面を有する単結晶シリコン基板を用意する。この第1半導体層310の上に第3絶縁層230としてSiO2膜を0.1〜2μmの厚さで形成し、第1半導体層310のうち第1壁部340の連結部343、第2壁部350の連結部353、および接続部311、312に対応した場所に第1半導体層310の一部が露出するようにコンタクト穴231を形成する。
また、第3絶縁層230の上にLPCVD法等で第4絶縁層240としてSi3N4膜を0.01〜0.2μmの厚さで形成する。そして、第3絶縁層230のコンタクト穴231に形成した第4絶縁層240から第1半導体層310の一部が露出するようにコンタクト穴241を形成する。
図11(b)に示す工程では、第4絶縁層240のコンタクト穴241を埋めるように、第4絶縁層240の上にn+型のポリシリコン層を0.1〜2μmの厚さで形成する。そして、図4(a)に示す工程と同様に、ポリシリコン層をフォトリソグラフィ・エッチング手法によりパターニングすることにより、配線パターン202、203を形成する。これにより、各配線パターン202、203が第1半導体層310に直接接触すると共に電気的に接続される。
図12に示す工程では、配線パターン202、203を覆うように、第4絶縁層240の上にCVD法等で第5絶縁層250として1〜3μmの厚さのSiO2膜を形成する。この後、必要に応じCMP法により第5絶縁層250の表面を鏡面研磨する。これにより、第1半導体層310の上に絶縁層200が形成された状態となる。
続いて、図13に示す工程では、半導体基板100として、高濃度不純物を含むn+型の(100)面を有する単結晶シリコン基板を用意する。そして、鏡面研磨した第5絶縁層250の表面と半導体基板100の表面とをアルゴンイオン等でそれぞれ活性化し、いわゆる室温〜500℃における常温直接接合を行う。
なお、常温直接接合以外にも1000℃〜1200℃の高温接合を行うこともできる。常温接合を行った場合は、熱応力によるウェハの反り等の不具合を低減することができる。
そして、第1半導体層310を研削、研磨、エッチング等により5〜200μmの厚さにする。これにより、第1半導体層310は図13に示される破線の厚さまで薄くなる。
図14に示す工程では、図6に示す工程と同様に、第1半導体層310にトレンチ360を形成する。この場合、各ダイヤフラム341、342、351、352の面が(110)面となるように形成する。
図15に示す工程では、LPCVD法により、シリコンソースガス(例えばSiH2Cl2等)によりエピタキシャル成長させる。具体的には、800〜1150℃、真空度20〜100Torrで不純物供給ガスとしてPH3等を流すことにより、第1半導体層310の上に第2半導体層320としてn+型単結晶シリコンを2〜10μmの厚さでエピタキシャル成長させる。これにより、各壁部340、350の中空部347、357が封止され、基準圧室となる。
このように第2半導体層320を形成する場合、トレンチ360の壁面が(110)面になっていると、第1半導体層310の表面のみに第2半導体層320が成長する。そして、早い段階でトレンチ360を覆うn+型単結晶シリコンの第2半導体層320を形成できる。
また、図8に示す工程と同様に、第2半導体層320の上に金属層330としてAl層を形成し、パターニングすることで接続部311、312や周辺部315のパッド331〜333を形成する。さらに、第2半導体層320のうち各壁部340、350等に対応した部分が残されるように第2半導体層320をレジスト361で被覆する。
そして、図16に示す工程では、図9に示す工程と同様に、第2半導体層320のうちレジスト361から露出した部分を除去し、第1壁部340と第1蓋部321とで構成された第1電極301と、第2壁部350と第2蓋部322とで構成された第2電極302とを得る。
この後、第2半導体層320の上のレジスト361を除去し、ウェハを力学量検出装置毎に分割する。こうして、図11に示される力学量検出装置が完成する。
なお、上記では第2半導体層320を単結晶シリコンで形成していたが、n+型のポリシリコン層で形成しても良い。また、n+型の単結晶シリコンではなく、p+型の単結晶シリコンを採用しても良い。このように、第2半導体層320がポリシリコンであっても、各電極301、302を構成する各壁部340、350は単結晶シリコンで形成されているので、ダイヤフラム341、342、351、352の強度の確保や各電極301、302の特性は安定する。
以上説明したように、本実施形態では、第1半導体層310の各部に配線パターン202、203が直接電気的に接続されるように、絶縁層200に配線パターン202、203を設けたことが特徴となっている。これにより、コンタクト部316〜318、345、355が不要となり、絶縁層200に単結晶シリコン基板を直接接合することが可能となり、ひいては各電極301、302を単結晶シリコンで構成することができる。このため、各電極301、302の容量検出特性を安定させることができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図17は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図であり、図1のA−A’断面に相当する図である。
図17に示されるように、絶縁層200は、第3絶縁層230と、第4絶縁層240と、金属層260と、第5絶縁層250と、が積層された積層構造になっている。このうち、第3絶縁層230および第4絶縁層240は第2実施形態で示された構造と同じである。
また、金属層260は、上述の配線パターン202、203と、配線パターン205と、配線パターン206と、が形成された層である。
配線パターン205は、各電極301、302と各接続部311、312を繋ぐ配線パターン202、203およびダミーの配線パターン206の周囲を一周して囲むと共に、周辺部315に対応する位置にパターニングされた環状のパターンである。本実施形態では、環状の配線パターン205は周辺部315に電気的に接続されている。また、配線パターン206は、第4絶縁層240と第5絶縁層250との間に配置されたダミーパターンである。このダミーパターン接合強度を高めるために気密空間内に配設されている。
このようにパターニングされた金属層260としては、Al、W、Ni、Au、Cu等の金属やこれらの化合物や積層膜が採用される。本実施形態では、金属層260としてAl膜が採用される。
次に、図17に示された力学量検出装置の製造方法について、図18〜図24を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
図18(a)に示す工程では、図11(a)に示す工程と同様に、n+型の単結晶シリコン基板で構成された第1半導体層310の上に第3絶縁層230を形成してコンタクト穴231を形成する。また、第3絶縁層230の上に第4絶縁層240を形成し、第1半導体層310の一部が露出するようにコンタクト穴241を形成する。
図18(b)に示す工程では、第4絶縁層240のコンタクト穴241を埋めるように、第4絶縁層240の上にAl層を0.1〜2μmの厚さで形成する。また、必要に応じてAl層の表面を鏡面研磨する。そして、図4(a)に示す工程と同様に、Al層をフォトリソグラフィ・エッチング手法によりパターニングすることにより、配線パターン202、203、205、206を形成する。
続いて、図19に示す工程では、半導体基板100としてn+型の(100)面を有する単結晶シリコン基板を用意し、この単結晶シリコン基板の表面を熱酸化するかCVD法等により第5絶縁層250としてSiO2膜を0.1〜2μmの厚さで形成する。
この後、配線パターン202、203、205、206と第5絶縁層250とを向かい合わせ、配線パターン202、203、205、206の表面と第5絶縁層250の表面とをアルゴンイオン等でそれぞれ活性化して常温直接接合を行う。上述のように、配線パターン205は周辺部315に対応して環状の閉じたパターンになっているので、配線パターン202、203やダミーの配線パターン205は第4絶縁層240と第5絶縁層250との間に気密封止される。これにより、配線パターン202、203は各電極301、302の特性の安定化に寄与する。
この後、図20に示す工程では、図13に示す工程と同様に、第1半導体層310を研削等することにより図20に示される破線の厚さまで第1半導体層310を薄くする。
図21に示す工程では、図6に示す工程と同様に、第1半導体層310にトレンチ360を形成する。これにより、第1半導体層310に各壁部340、350等の各部を形成する。
図22に示す工程では、450℃程度の低温で第2半導体層320としてポリシリコンまたはアモルファスシリコンを形成する。これにより、第1半導体層310に形成したトレンチ360の各開口部に蓋をし、各壁部340、350の中空部347、357を封止する。
また、第2半導体層320にイオン注入を行うことにより、第2半導体層320にn+型不純物を導入する。この後、ランプアニール等でn+型不純物の活性化を行う。
さらに、図8に示す工程と同様に、第2半導体層320の上に金属層330としてAl層を形成してパターニングすることでパッド331〜333を形成する。そして、第2半導体層320のうち各壁部340、350等に対応した部分が残されるように第2半導体層320をレジスト361で被覆し、第2半導体層320のうちレジスト361を被覆していない部分を除去する。
この後、図23に示す工程では、図9に示す工程と同様に、第2半導体層320のうちレジスト361から露出した部分を除去し、各電極301、302を得る。
以上説明したように、本実施形態では、絶縁層200において第4絶縁層240と第5絶縁層250との間に配線パターン202、203、205、206を設け、この配線パターン202、203、205、206をAl等の金属材料で形成している。これにより、配線パターン202、203、205、206と第5絶縁層250とを常温直接接合により比較的簡単かつ安定して行うことができる。
なお、支持基板である半導体基板100の上に設けられる第5絶縁層250の上に配線パターン202、203、205、206と同じパターンをAlで形成しておくと、Al−Al常温直接接合となり、さらに接合の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態では、環状の配線パターン205は周辺部315に電気的に接続されているので、周辺部315を介して配線パターン205に例えばグランド電位等の所定の電位を与えることにより、外乱に対して配線パターン202、203が受ける影響を低減することができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。図24は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図であり、図1のA−A’断面に相当する図である。この図に示されるように、本実施形態では半導体基板100ではなくシリコンと熱膨張係数がほぼ等しいガラス基板400が採用されている。
ガラスはシリコンと熱膨張係数がほぼ等しいので、第1半導体層310に形成された各電極301、302に熱膨張係数の差に基づく応力が加わりにくくなる。また、各電極301、302とガラス基板400との間の寄生容量が低減し、ノイズが減少するので、各電極301、302の容量変化を検出する力学量検出装置の精度向上および容量検出特性を安定させることができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1〜第4実施形態と異なる部分について説明する。図25は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図である。この図に示されるように、電極層300は、第1半導体層310、第2半導体層320、第3半導体層370、および金属層330による積層構造になっている。絶縁層200については、第1実施形態で示された構成と同じである。
第3半導体層370は、絶縁層200の一面201の上に形成され、この第3半導体層370の上に第1半導体層310が形成されている。また、第1半導体層310の上に第2半導体層320が形成されている。第3半導体層370としてポリシリコンが採用される。なお、第1半導体層310および第2半導体層320もポリシリコンで形成されている。
そして、第3半導体層370は、第1半導体層310に形成された接続部311、312、各壁部314、340、350、周辺部315等の下に、各部と同じレイアウトにパターニングされている。すなわち、第3半導体層370は第2半導体層320と同様に、第1半導体層310の各部の形状にパターニングされている。
また、第3半導体層370のうち、第1壁部340の下に形成された部分は第1底部371とされている。この第1底部371は、第1壁部340のうち絶縁層200側の開口部348を閉じている。ここで、第1底部371の上には絶縁膜372が形成され、この絶縁膜372の外縁部を覆うように第1底部371の上に第1壁部340が設けられている。これにより、第1壁部340と第1底部371とが電気的に接続されている。また、第1壁部340の両側の開口部346、348は第1蓋部321と第1底部371とで塞がれ、第1壁部340の中空部347が例えば真空とされている。
第1底部371は、絶縁層200に形成されたコンタクト部373を介して配線パターン202に電気的に接続されている。また、第3半導体層370のうち接続部311の下部に形成された部分は、絶縁層200に形成されたコンタクト部374を介して配線パターン202に電気的に接続されている。これにより、第1電極301は配線パターン202を介して接続部311に電気的に接続されている。
同様に、第3半導体層370のうち、第2壁部350の下に形成された部分は第2底部375とされている。この第2底部375は、第2壁部350のうち絶縁層200側の開口部358を閉じている。そして、第2底部375の上に絶縁膜372が形成され、この絶縁膜372の外縁部を覆うように第2底部375の上に第2壁部350が設けられている。これにより、第2壁部350と第2底部375とが電気的に接続されている。また、第2壁部350の両側の開口部356、358は第2蓋部322と第2底部375とで塞がれ、第2壁部350の中空部357が例えば真空とされている。
なお、図25では図示していないが、第2底部375および第3半導体層370のうち接続部312の下部の部分にもコンタクト部が設けられ、それぞれ配線パターン203に電気的に接続されている。これにより、第2電極302は配線パターン203を介して接続部312に電気的に接続されている。
このように、各電極301、302は中空箱状に構成されている。また、各半導体層310、320、370はすべてポリシリコンで形成されているので、基準圧室となる各中空部347、357はすべて同じ半導体材料で囲まれている。このため、基準圧室の信頼性をさらに向上させることができる構成となっている。なお、上記各電極301、302に設けられた絶縁膜372は、各電極301、302を形成するために用いられる膜である。絶縁膜372としては例えばSi3N4膜が採用される。
また、第3半導体層370のうち周辺部315の下部に形成された部分は、絶縁層200に形成されたコンタクト部376を介して半導体基板100に電気的に接続されている。これにより、半導体基板100は周辺部315を介して外部回路に電気的に接続可能になっている。
次に、図25に示された力学量検出装置の製造方法について、図26〜図33を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
図26(a)に示す工程では、半導体基板100として、n+型単結晶シリコン基板を用意し、この単結晶シリコン基板の上に第1絶縁層210としてSiO2膜を形成する。そして、図26(b)に示す工程では、第1絶縁層210の上にn+型のポリシリコン層を0.1〜2μmの厚さで形成し、各配線パターン202、203にパターニングする。
続いて、図27(a)に示す工程では、図4(b)に示す工程と同様に、第1絶縁層210の上に第2絶縁層220としてSiO2膜をCVD法等により形成することで絶縁層200を構成する。また、図5に示す工程と同様に、絶縁層200のうち周辺部315、第1壁部340の連結部343、第2壁部350の連結部353、および接続部311、312に対応する位置にコンタクト穴204を形成する。
図27(b)に示す工程では、コンタクト穴204を形成した絶縁層200の上にコンタクト穴204を埋めるようにn+型のポリシリコン層を0.1〜2μmの厚さで形成することで、第3半導体層370とコンタクト部373、374、376とを形成する。
また、第3半導体層370の上に、CVD法等により絶縁膜372としてSiO2、Si3N4等、または金属のタングステン、モリブデン膜等のエッチングストッパ層を形成する。本実施形態では、絶縁膜372としてSi3N4膜をLPCVD法により0.01〜2μmの厚さで形成し、少なくとも将来各壁部340、350の中空部347、357(基準圧室)の底面となる部分が残るように四角形状にパターニングする。
この後、図28に示す工程では、第3半導体層370の上に、絶縁膜372を覆うように第1半導体層310としてn+型のポリシリコン層を5〜200μmの厚さで形成する。
図29に示す工程では、ドライエッチング等により第1半導体層310にトレンチ360を形成することにより、各壁部340、350、接続部311、312、周辺部315等を形成する。このとき、第1半導体層310に対するエッチングはエッチングストッパ層である絶縁膜372で停止するが、第3半導体層370の上に絶縁膜372を形成していない領域では第1半導体層310だけでなく第3半導体層370もエッチングする。
これにより、第3半導体層370のうち各壁部340、350の下部の部分はエッチングされずに残り、第1底部371および第2底部375となる。このため、第1底部371が第1壁部340のうち絶縁層200側の開口部348を塞ぎ、第2底部375が第2壁部350のうち絶縁層200側の開口部358を塞いだ構造となる。このようにして、第1底部371の上に対向配置された2つのダイヤフラム341、342を含む中空筒状の第1壁部340を形成すると共に、対向配置された2つのダイヤフラム351、352を含む中空筒状の第2壁部350を形成する。
一方、第3半導体層370のうち絶縁膜372を形成していない領域は接続部311、312や周辺部315に画定される。
なお、絶縁膜372であるSi3N4膜を基準圧室外側の幅よりも小さく形成しておけば、基準圧室の垂直の壁(つまりダイヤフラム341、342、351、352)で形成される第1壁部340と第1底部371とを電気的に接続することができる。第2壁部350と第2底部375についても同様である。
図30に示す工程では、図7に示す工程と同様に、第1半導体層310の上に第2半導体層320としてn+型のポリシリコン層を真空中で形成する。これにより、各壁部340、350の各中空部347、357を各蓋部321、322で封止する。この後、図31に示す工程では、図8に示す工程と同様に、第2半導体層320の上に金属層330としてAl層を形成してパターニングすることでパッド331〜333を形成する。
図32に示す工程では、図8に示す工程と同様に、第2半導体層320のうち各壁部340、350等の上に形成された部分が残されるように第2半導体層320をレジスト361で被覆する。そして、図33に示す工程では、図9に示す工程と同様に、第2半導体層320のうちレジスト361から露出した部分を除去し、第2半導体層320の上のレジスト361を除去することで各電極301、302等を得る。
この後、ウェハを力学量検出装置毎に分割することで、図25に示される力学量検出装置が完成する。
以上説明したように、各電極301、302に各底部371、375を設けてそれぞれ中空箱状とし、電極全体を同じ材料で形成することで電極の物性を安定させることができる。したがって、各中空部347、357(基準圧室)の信頼性をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、絶縁膜372が特許請求の範囲の「ストッパ膜」に対応する。また、第3半導体層370が特許請求の範囲の「第1の半導体層」に対応し、第1半導体層310が特許請求の範囲の「第2の半導体層」に対応し、第2半導体層320が特許請求の範囲の「第3の半導体層」に対応する。
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について説明する。図34は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図35は、図34のB−B’断面図である。
図35に示されるように、半導体基板100の上に設けられた絶縁層200は、第6絶縁層270の上に第7絶縁層280が形成され、第7絶縁層280の上に第8絶縁層290と配線パターン202、203とが形成された積層構造となっている。
電極層300は、第1半導体層310、第2半導体層320、第3半導体層370、および金属層330による積層構造になっている。図34に示されるように、第1半導体層310には、1つの第1壁部340と、2つの第2壁部350と、1つの接続部311と、2つの接続部312と、周辺部315とが画定されている。
第2半導体層320および第3半導体層370は、各電極301、302、各接続部311、312、および周辺部315のレイアウトに合わせてパターニングされている。この場合、図35に示されるように、第2半導体層320および第3半導体層370のうち各壁部340、350に対応する部分については、第2半導体層320は第1壁部340の第2半導体層320側の開口部346および第2壁部350の第2半導体層320側の開口部356を塞ぐようにパターニングされている。また、第3半導体層370は第1壁部340の第3半導体層370側の開口部348および第2壁部350の第3半導体層370側の開口部358を塞ぐようにパターニングされている。これにより、各電極301、302の中空部347、357は例えば真空に封止されている。なお、第5実施形態と同様に、各底部371、375の上には、エッチングストッパ層である絶縁膜372が残されている。
そして、図34に示されるように、第1電極301を2つの第2電極302で挟むように各電極301、302が配置されている。これにより、第1壁部340の一方のダイヤフラム341と一方の第2壁部350の一方のダイヤフラム351とが対向配置されている。また、第1壁部340の他方のダイヤフラム342と他方の第2壁部350の一方のダイヤフラム351とが対向配置されている。これにより、対向配置された第1壁部340のダイヤフラム341と一方の第2壁部350のダイヤフラム351との間の距離に応じた第1電極301と一方の第2電極302との間の静電容量が検出される。また、対向配置された第1壁部340のダイヤフラム342と他方の第2壁部350のダイヤフラム351との間の距離に応じた第1電極301と他方の第2電極302との間の静電容量が検出される。
また、電極層300つまり第1〜第3半導体層310、320、370には第1支持部303と第2支持部304とが形成されている。このうち第1支持部303は、第1電極301の各連結部343、344側に設けられ、各連結部343、344に連結されている。各連結部343、344と第1支持部303との間は梁で繋がっている。一方、第2支持部304は、第2電極302の各連結部353、354側に設けられ、各連結部353、354に連結されている。各連結部353、354と第2支持部304との間は梁で繋がっている。
このように各電極301、302が各支持部303、304でそれぞれ支持されていることにより、図35に示されるように、各電極301、302が絶縁層200に対して離間している。つまり、各底部371、375の下部の第8絶縁層290が除去され、各電極301、302が絶縁層200から浮いている。このため、各電極301、302が絶縁層200に接触していることによって形成される寄生容量の影響が低減される。
そして、第1支持部303は、絶縁層200に形成されたコンタクト部373を介して配線パターン202に電気的に接続されている。また、第3半導体層370のうち接続部311の下部に形成された部分は、絶縁層200に形成されたコンタクト部374を介して配線パターン202に電気的に接続されている。これにより、図34に示されるように、第1電極301は第1支持部303および配線パターン202を介して接続部311に電気的に接続されている。
同様に、第2支持部304は絶縁層200に形成されたコンタクト部373を介して配線パターン202に電気的に接続され、接続部312はコンタクト部374を介して配線パターン203に電気的に接続されている。これにより、第2電極302は第2支持部304および配線パターン203を介して接続部312に電気的に接続されている。
さらに、周辺部315は、各電極301、302の周囲および各接続部311、312の周囲を一周して囲むようにレイアウトされている。そして、第3半導体層370のうち周辺部315の下部に形成された部分は、絶縁層200に形成されたコンタクト部376を介して半導体基板100に電気的に接続されている。
第2半導体層320のうち各接続部311、312および周辺部315に対応する部分の上には、外部と電気的に接続するためのパッド331〜333が設けられている。以上が、本実施形態に係る力学量検出装置の構成である。
次に、図34および図35に示された力学量検出装置の製造方法について、図36〜図40を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
まず、図36(a)に示す工程では、半導体基板100として、n+型単結晶シリコン基板を用意し、この単結晶シリコン基板の上に第6絶縁層270としてSiO2膜をCVD法や熱酸化により形成する。また、第6絶縁層270の上に第7絶縁層280としてSi3N4膜をLPCVD法により形成する。さらに、第7絶縁層280の上にn+型のポリシリコン層を形成してパターニングすることにより、各配線パターン202、203を形成する。
図36(b)に示す工程では、図27(a)に示す工程と同様に、第7絶縁層280の上に第8絶縁層290としてSiO2膜をCVD法等により形成することで絶縁層200を構成する。また、絶縁層200のうち周辺部315、各壁部340、350に連結された各支持部303、304、および接続部311、312に対応する位置にコンタクト穴204を形成する。
図37(a)に示す工程では、図27(b)に示す工程と同様に、コンタクト穴204を埋めるように絶縁層200の上にn+型のポリシリコン層を形成することで、配線パターン202、203に電気的に接続されるコンタクト部373、374、376と第3半導体層370とを形成する。また、第3半導体層370の上に、CVD法等により絶縁膜372としてSi3N4膜を形成し、各壁部340、350の中空部347、357の底面となる部分が残るようにパターニングする。
そして、図37(b)に示す工程では、図28に示す工程と同様に、第3半導体層370の上に、絶縁膜372を覆うように第1半導体層310としてn+型のポリシリコン層を形成する。
図38に示す工程では、例えば図29に示す工程と同様に、ドライエッチング等により第1半導体層310および第2半導体層320にトレンチ360を形成する。そして、各壁部340、350を形成する際のエッチングはエッチングストッパ層である絶縁膜372で停止し、各壁部340、350の下部に各底部371、375が残された状態となる。また、第1半導体層310および第2半導体層320は、絶縁層200に達するトレンチ360により、各壁部340、350、各支持部303、304、各接続部311、312、および周辺部315に画定される。
図39に示す工程では、例えば図30に示す工程と同様に、真空中で第1半導体層310の上に第2半導体層320としてn+型のポリシリコン層を形成し、各壁部340、350の各中空部347、357を封止する。また、図31および図32に示す工程と同様に、第2半導体層320の上に金属層330を形成してパターニングすることによりパッド331〜333を形成し、第2半導体層320のうち各壁部340、350等に対応する部分が残されるように第2半導体層320をレジスト361で被覆する。
図40に示す工程では、まず、図33に示す工程と同様に、第2半導体層320のうちレジスト361から露出した部分を除去する。続いて、レジスト361をマスクとして利用して、第1〜第3半導体層310、320、370に形成されたトレンチ360を介して、絶縁層200のうち第8絶縁層290をエッチングする。この場合、第8絶縁層290のうち各底部371、375の下部に位置する部分を除去する。これにより、第1壁部340、第1底部371、および第1蓋部321で構成される第1電極301を絶縁層200から離間させると共に、第2壁部350、第2底部375、および第2蓋部322で構成される第2電極302を絶縁層200から離間させる。
この後、ウェハを力学量検出装置毎に分割することで、図34および図35に示される力学量検出装置が完成する。
以上説明したように、本実施形態では、第1電極301および第2電極302を絶縁層200に接触させずに絶縁層200から浮遊させている。このため、第1電極301と絶縁層200とが接触していることによって形成される寄生容量の影響を低減でき、第2電極302と絶縁層200とが接触していることによって形成される寄生容量の影響を低減できる。また、第1電極301および第2電極302に対する周辺部分の応力からの影響を低減できる。
(第7実施形態)
本実施形態では、第1〜第6実施形態と異なる部分について説明する。特に、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
図41は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図42は、図41のC−C’断面図である。
まず、図41に示されるように、各接続部311、312および周辺部315に対応する部分にはパッド331〜333が設けられていない。すなわち、本実施形態では電極層300側ではなく、半導体基板100側と外部とを接続する構造となっている。このため、第1半導体層310に形成された接続部311、312は外部と電気的に接続されることはなく、各接続部311、312はダミーの部分となっている。
具体的には、図42に示されるように、半導体基板100は、絶縁層200が形成された面とは反対側の面に絶縁膜110を有している。そして、半導体基板100および絶縁膜110のうち配線パターン202に対応した部分に配線パターン202に達する孔部101が設けられ、この孔部101の壁面に絶縁膜111が形成されている。そして、この絶縁膜111の上に一端が配線パターン202に電気的に接続された第1貫通電極部112が設けられている。また、第1貫通電極部112の他端には、ボンディングボールバンプ113が形成されている。
同様に、半導体基板100および絶縁膜110のうち配線パターン203に対応した部分に配線パターン203に達する孔部102が設けられ、この孔部102の壁面に絶縁膜114が形成されている。そして、この絶縁膜114の上に一端が配線パターン203に電気的に接続された第2貫通電極部115が設けられている。また、第2貫通電極部115の他端には、ボンディングボールバンプ116が形成されている。
そして、絶縁膜110のうち周辺部315に対応した部分に半導体基板100に達する孔部103が設けられ、この孔部103に一端が半導体基板100に電気的に接続された第3貫通電極部117が設けられている。また、第3貫通電極部117の他端には、ボンディングボールバンプ118が形成されている。
さらに、絶縁膜110のうち周辺部315に対応した部分にダミーボールバンプ119が形成されている。このダミーボールバンプ119は、各ボンディングボールバンプ113、116、118をセラミックモジュール基板やプリント配線基板等に直接実装する際に力学量検出装置が傾いてしまうのを防止するためのバランス用バンプである。図41に示されるように、ダミーボールバンプ119は周辺部315や接続部311、312等の上に複数形成されている。
上記の各貫通電極部112、115、117やボンディングボールバンプ113、116、118およびダミーボールバンプ119は、半導体基板100の上に絶縁層200を形成した後に形成しても良いし、絶縁層200の上に各電極301、302等を形成した後に形成しても良い。
以上のように、半導体基板100側に貫通電極部112、115、117を設けることで、力学量検出装置を配線基板等に直接実装することが可能となる。
(第8実施形態)
本実施形態では、第7実施形態と異なる部分について説明する。図43は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図44は、図43のD−D’断面図である。
図44に示されるように、本実施形態では、絶縁膜110のうち周辺部315に対応した部分において、ダミーボールバンプ119よりも外側に気密リング120が形成されている。この気密リング120は、図43に示されるように、ダミーボールバンプ119の他、第1半導体層310に形成された各接続部311、312や各電極301、302等を一周して囲んだ環状になっている。
これにより、力学量検出装置を配線基板等に実装すると、気密リング120がボンディングボールバンプ113、116、118を外部雰囲気から保護することができる。
なお、第7実施形態や第8実施形態では、第1貫通電極部112および第2貫通電極部115を各配線パターン202、203に電気的に接続していたが、絶縁層200に配線パターン202、203を設けずに第1貫通電極部112および第2貫通電極部115を各電極301、302の連結部343、353に直接電気的に接続しても良い。これによると、接続部311、312等を形成しなくても良いので、製造コストを低減することができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、第1〜第8実施形態と異なる部分について説明する。特に、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
図45は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図46は図45のE−E’断面図であり、図47は図45のF−F’断面図である。
図46および図47に示されるように、本実施形態では電極層300の上にキャップ500が設けられている。キャップ500は、各電極301、302への水や異物等の混入を防止するものである。キャップ500のうち各電極301、302が設けられた領域に対向する部分すなわち電極層300に向けられた面の一部が凹んだ凹部510が設けられている。
この凹部510は、キャップ500が電極層300に接合された際にキャップ500が各電極301、302に接触してしまうことを防止するために設けられている。そして、キャップ500の一面が周辺部315に貼り合わされることで、各電極301、302がキャップ500の凹部510と周辺部315と絶縁層200とで構成された空間部600に配置される。キャップ500としては例えばn+型の単結晶シリコン基板が採用される。
また、図47に示されるように、半導体基板100および絶縁層200のうちキャップ500の凹部510に対応する位置に、半導体基板100および絶縁層200を貫通する下部圧力導入孔130が設けられている。さらに、周辺部315には、下部圧力導入孔130と空間部600とを繋ぐ下部圧力導入孔319が設けられている。
このうち、周辺部315に設けられた下部圧力導入孔319は、図45に示されるように、各電極301、302を画定するトレンチ360が各電極301、302から離れた周辺部315に延長された孔である。また、半導体基板100および絶縁層200に設けられた下部圧力導入孔130は、周辺部315に設けられた下部圧力導入孔319に対応する位置に設けられている。
このような構造では、下部圧力導入孔130、319を介して外部の圧力が空間部600に導入されるので、空間部600と各電極301、302の中空部347、357との圧力差に応じて、圧力を検出することができる。
上記の下部圧力導入孔130、319は以下のように形成することができる。まず、周辺部315の下部圧力導入孔319については、上述のように第1半導体層310および第2半導体層320に各壁部340、350等を形成する際に同時に形成する。
一方、半導体基板100および絶縁層200の下部圧力導入孔130については、半導体基板100のうち絶縁層200とは反対側の面に所定のマスクを形成し、例えばKOH液等による異方性エッチングにより単結晶シリコン基板である半導体基板100をエッチングする。半導体基板100として(100)面の基板を使用した場合、ピラミッド状の孔を形成できる。この後、半導体基板100から露出した絶縁層200をエッチングすることにより、半導体基板100および絶縁層200の下部圧力導入孔130を周辺部315の下部圧力導入孔319に繋げることができる。
また、キャップ500については、予め凹部510を形成したキャップ500を用意する。キャップ500についてもウェハで形成するので、多数の凹部が形成されたウェハを用意することとなる。ウェハはn+型の単結晶シリコン基板である。そして、キャップ500を周辺部315に常温直接接合することにより、各電極301、302をキャップ500で覆うことができる。
キャップ500は周辺部315つまり第1半導体層310および第2半導体層320と同電位となるので、シールド層として機能する。これにより、各電極301、302を外部ノイズから保護することができる。
以上のように、周辺部315にキャップ500を設け、半導体基板100側から圧力媒体を空間部600に導入することにより、圧力媒体の圧力を検出することができる。なお、半導体基板100、絶縁層200および周辺部315に下部圧力導入孔130、319を設けずにキャップ500に空間部600と外部とを繋ぐ貫通孔を設けても良い。この構造については、後で説明する。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、下部圧力導入孔130、319が特許請求の範囲の「貫通孔」に対応する。
(第10実施形態)
本実施形態では、第9実施形態と異なる部分について説明する。特に、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
図48は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図49は図48のG−G’断面図である。本実施形態において、電極層300側の平面構造は第1実施形態と同様である。また、図49に示されるように周辺部315にキャップ500が設けられた構造は第9実施形態と同様である。しかしながら、本実施形態では、空間部600は真空等、所定の圧力となるようにキャップ500により気密封止されている。なお、本実施例では図面が複雑になるのでキャップ500の部分は図示していないが図45のキャップ500と同等である。
そして、図49に示されるように、半導体基板100は、絶縁層200に達する下部圧力導入孔130を有している。この下部圧力導入孔130は、図48に示されるように、半導体基板100のうち各電極301、302が設けられた領域に対応する部分に設けられている。
また、絶縁層200は、各電極301、302と半導体基板100の下部圧力導入孔130とを繋ぐ下部圧力導入孔207を有している。これにより、各電極301、302の中空部347、357は下部圧力導入孔130、207を介して外部とそれぞれ接続される。したがって、各電極301、302は、空間部600と各壁部340、350の中空部347、357との圧力差に応じて圧力を検出することとなる。上述のように、空間部600は真空とされているので、本実施形態に係る力学量検出装置を絶対圧型の圧力センサとして用いることができる。
次に、図48および図49に示された力学量検出装置の製造方法について、図50を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。なお、製造方法の各工程については第1実施形態で詳しく述べたので、ここでは主に要点を説明する。
図50(a)に示す工程では、上述のように、半導体基板100の上に絶縁層200を形成する。この場合、第1絶縁層210および第2絶縁層220をプラズマSiN膜で形成する。これにより、絶縁層200に掛かる応力を0近辺に設定できる。または、第1絶縁層210および第2絶縁層220として、引っ張り応力となるSi3N4膜をLPCVD法で形成しても良い。
そして、絶縁層200の上に第1半導体層310を形成し、第1半導体層310にトレンチ360を形成して各壁部340、350等を形成する。さらに、第1半導体層310の上に、各壁部340、350の中空部347、357に通じるフィルムレジスト等のマスク362を形成する。
続いて絶縁層200のうちマスク362で覆われていない部分、すなわち各壁部340、350の中空部347、357に露出する部分を除去する。これにより、絶縁層200に下部圧力導入孔207を形成する。そして、図50(b)に示す工程ではマスク362を除去する。この後、また、第1半導体層310の上に第2半導体層320を形成してパターニングすることにより、各壁部340、350に各蓋部321、322を形成する。
そして、図51に示す工程では、半導体基板100のうち絶縁層200を形成した面とは反対側の面にアルカリエッチング等により所定の深さの孔を形成し、続いてドライエッチング等により残りの部分を除去する2段階のエッチングを行う。これにより、絶縁層200に達すると共に絶縁層200の下部圧力導入孔207に通じる下部圧力導入孔130を半導体基板100に形成する。
また、真空中で周辺部315にキャップ500を常温直接接合し、各電極301、302等を空間部600に気密封止する。この後、ウェハを個々の力学量検出装置に分割することで、図48および図49に示される構造が完成する。なお、キャップ500の接合は下部圧力導入孔130の形成前に作製しておいても良い。
以上説明したように、キャップ500で各電極301、302を真空の空間部600に気密封止すると共に、各電極301、302の中空部347、357に半導体基板100側から下部圧力導入孔130、207を介して圧力媒体を導入することができる。これにより、力学量検出装置により絶対圧を検出することができる。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、絶縁層200の下部圧力導入孔207が特許請求の範囲の「貫通孔」に対応する。
(第11実施形態)
本実施形態では、第10実施形態と異なる部分について説明する。図52は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図である。この図に示されるように、第10実施形態で示された構造に対して、キャップ500には空間部600と外部とを繋ぐ圧力導入孔520が設けられている。
このような構造によると、キャップ500の圧力導入孔520を介して外部の圧力が空間部600に導入される一方、半導体基板100および絶縁層200の下部圧力導入孔130、207を介して外部の圧力が各電極301、302の中空部347、357に導入される。したがって、各電極301、302は、空間部600と各電極301、302の中空部347、357との圧力差に応じて圧力を検出することができる。このように、本実施形態に係る力学量検出装置を相対圧型の圧力センサとして用いることができる。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、キャップ500の圧力導入孔520が特許請求の範囲の「貫通孔」に対応する。
(第12実施形態)
本実施形態では、第11実施形態と異なる部分について説明する。図53は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図であり、図48のG−G’断面に相当する図である。
図53に示されるように、キャップ500には複数のアコースティックホール530が形成されている。このアコースティックホール530は、第11実施形態で示されたキャップ500の圧力導入孔520と同様に、空間部600と外部とを繋ぐ孔である。
このような構成によると、力学量検出装置をマイクロフォンとして用いることができる。具体的には、キャップ500側から音声等の音響振動がアコースティックホール530を介して空間部600に伝達され、各電極301、302で音響振動が検出される。
上述のように、各電極301、302を構成する各ダイヤフラム341、342、351、352は、絶縁層200の一面201に対して垂直に立てられているので、小型のマイクロフォンとして利用することができる。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、キャップ500のアコースティックホール530が特許請求の範囲の「貫通孔」に対応する。
(第13実施形態)
本実施形態では、第12実施形態と異なる部分について説明する。図54は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図である。この図に示されるように、第1電極301および第2電極302が交互に複数設けられている。これにより、隣同士の電極で圧力を検出する構成となる。
また、絶縁層200には各電極301、302の中空部347、357と下部圧力導入孔130とを繋ぐ下部圧力導入孔207がそれぞれ設けられている。
そして、本実施形態では、周辺部315とこの周辺部315の下部の絶縁層200とを貫通し、半導体基板100の下部圧力導入孔130と空間部600とを繋ぐベントホール305が設けられている。ベントホール305は各電極301、302の周囲に配置され、ドット状またはライン状に設けられている。
また、キャップ500のうちベントホール305に対向する部分にはアコースティックホール530は設けられていない。このため、半導体基板100側からベントホール305に音響振動が伝達されると、キャップ500の凹部510が音響振動の壁となるので、音響抵抗を高くすることができる。これにより、低周波特性を向上させることができる。
(第14実施形態)
本実施形態では、第13実施形態と異なる部分について説明する。図55は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図である。この図に示されるように、交互に配置された複数の各電極301、302のうちの一部の各蓋部321、322が開口している。これにより、蓋部321、322が開口した壁部340、350の中空部347、357が半導体基板100の下部圧力導入孔130だけでなく空間部600にも通じる。つまり、蓋部321、322が開口した電極301、302がベントホール305として機能する。
そして、キャップ500のうち開口した蓋部321、322に対向する部分にはアコースティックホール530が形成されていない。このため、半導体基板100側からベントホール305である中空部347、357を通じて伝達した音響振動はキャップ500の凹部510に当たるので、音響抵抗を高くすることができ、低周波特性を向上させることができる。
また、上述のように、各電極301、302の各ダイヤフラム341、342、351、352を絶縁層200の一面201に対して垂直方向に形成しているので、絶縁層200の一面201の面方向に形成するダイヤフラムよりも面積を大きくとることができ、力学量検出装置の小型化が可能である。さらに、各電極301、302の各ダイヤフラム341、342、351、352の厚さを変えたもの、ダイヤフラム341、342、351、352の振動膜の大きさ(つまり変形する領域)を変えたもの等を電極層300に形成することができるので、音響周波数の最適設計が可能となる。さらに、電極層300に同じ特性のダイヤフラム341、342、351、352を複数個設けることで1つの装置でステレオ録音、指向性向上、ノイズキャンセル等が可能となる。
(第15実施形態)
本実施形態では、第1〜第14実施形態と異なる部分について説明する。特に、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
図56は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図57は図56のH−H’断面図である。そして、図58(a)は各電極301、302の斜視図であり、図58(b)は各電極301、302の上面図である。
図57に示されるように、絶縁層200の上に設けられた電極層300は、第1半導体層310と金属層330とで構成されている。
また、図56に示されるように、本実施形態では第1電極301はダイヤフラム341および連結部343で構成され、第2電極302はダイヤフラム351および連結部353で構成されている。各ダイヤフラム341、351は、図57に示されるように、絶縁層200の一面201に垂直に立てられて設けられている。
そして、図58(b)に示されるように、第1電極301のダイヤフラム341と第2電極302のダイヤフラム351とは対向配置されており、第1電極301のダイヤフラム341の端部と第2電極302とダイヤフラム351の端部とが対向配置された第1絶縁壁部305および第2絶縁壁部306で連結されている。つまり、各ダイヤフラム341、351が各絶縁壁部340、350の間に並行に位置して各絶縁壁部340、350に接続されている。これにより、第1電極301のダイヤフラム341、第2電極302とダイヤフラム351、第1絶縁壁部305、および第2絶縁壁部306により中空筒状の第3壁部380が構成されている。
なお、第1電極301のダイヤフラム341の端部および第2電極302とダイヤフラム351の端部は、各ダイヤフラム341、351において絶縁層200の一面201に垂直な側面のうち各ダイヤフラム341、351が並べられた方向に対して平行な側面部分である。
そして、図57に示されるように、第3壁部380のうち絶縁層200側とは反対側の開口部381を閉じる第3蓋部382が設けられ、第3壁部380の中空部383が例えば真空に封止されている。
これにより、図58(a)に示されるように、第1電極301および第2電極302は、それぞれが絶縁層200、各絶縁壁部340、350、および第3蓋部382により囲まれた状態となる。このため、各電極301、302は物体として分離され、電気的にも分離されている。このため、各電極301、302に電極として機能させるための不純物領域を形成する必要はない。
そして、絶縁層200には、上述のように、第1電極301の連結部343と一方の接続部311とを繋ぐようにパターニングされた配線パターン202と、第2電極302の連結部353と他方の接続部312とを繋ぐようにパターニングされた配線パターン203とが設けられている。図56および図57に示されるように、各連結部343、353はコンタクト部345、355を介してそれぞれ配線パターン202、203に電気的に接続されている。また、各接続部311、312はコンタクト部316、317を介してそれぞれ配線パターン202、203に電気的に接続されている。そして、各接続部311、312のパッド331、332にワイヤ等が接続されることで、各電極301、302は配線パターン202、203および接続部311、312を介して外部回路と電気的に接続可能になっている。
本実施形態では、図56に示されるように、上記のような各電極301、302の組み合わせが2組設けられ、点対称に配置されている。各組の間にはダミー壁部314が設けられている。また、周辺部315は第3壁部380の周囲を一周して囲むように環状に設けられ、図57に示されるように、コンタクト部318を介して半導体基板100に電気的に接続されている。そして、周辺部315はパッド333を介して外部に接続される。なお、接続部311、312の隣には上述のようにダミー接続部313も設けられている。
ここで、各絶縁壁部340、350は、各電極301、302を連結しているが、周辺部315にも接触している。言い換えると、周辺部315は各絶縁壁部340、350を保持した状態になっている。これにより、各絶縁壁部340、350の強度を維持することができる。
このような構成によると、各電極301、302に圧力が加わったとき、第3壁部380の中空部383と第3壁部380の外部との圧力差に応じて、対向配置された各ダイヤフラム341、351がそれぞれ変形する。この様子を図59に示す。この図に示されるように、各ダイヤフラム341、351は絶縁層200の一面201の面方向に沿って変形する。したがって、この各ダイヤフラム341、351が変形したことにより変化する第1電極301と第2電極302との間の静電容量に基づいて圧力を検出することとなる。
次に、図56〜図58に示された力学量検出装置の製造方法について、図60〜図65を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
まず、図60に示す工程では、図4、図5に示す工程と同様に、絶縁層200の上に第1半導体層310を形成し、第1半導体層310の上に金属層330を形成し、各パッド331〜333にパターニングする。
この後、図61に示す工程では、第1半導体層310のうち各絶縁壁部340、350の形成予定位置に絶縁層200に達する第1トレンチ363を形成する。この後、この第1トレンチ363に例えばSiO2膜やSiN膜等の絶縁材料をCVD法等で埋め込む。そして、第1半導体層310上の絶縁材料を除去することで第1トレンチ363内のみに絶縁材料を残す。これにより、第1絶縁壁部340および第2絶縁壁部350が形成される。
なお、図61では各絶縁壁部340、350の部分に斜線ハッチングを付けてある。また、各パッド331〜333を省略している。図63についても同様である。
続いて、図62に示す工程では、第1半導体層310に第2トレンチ364を形成する。これにより、図63に示されるように、第1半導体層310が各ダイヤフラム341、351や接続部311、312等に画定される。すなわち、第1半導体層310の一部が第2トレンチ364によって分離され、各絶縁壁部340、350の間に配置されると共に各絶縁壁部340、350に接続されて各ダイヤフラム341、351となる。各ダイヤフラム341、351は対向配置され、絶縁層200の一面201に対して垂直方向に形成される。こうして、各ダイヤフラム341、351と各ダイヤフラム341、351を連結する各絶縁壁部340、350とで中空筒状の第3壁部380を得る。そして、各絶縁壁部340、350は周辺部315に接触することで保持された状態となる。
図64に示す工程では、第1半導体層310の表面全体にプラズマCVD法等により絶縁膜384としてSiN膜を真空中で形成し、第1半導体層310のうち第2トレンチ364によって開口した部分を塞ぐ。これにより、第3壁部380の中空部383は真空に封止される。この後、絶縁膜384のうち第3壁部380で囲まれた中空部383を覆う部分の上にレジスト361を形成する。
そして、図65に示す工程では、このレジスト361をマスクとして絶縁膜384をエッチングすることにより、第3壁部380のうち絶縁層200側とは反対側の開口部381を閉じる第3蓋部382を形成する。
この後、レジスト361を除去し、ウェハを力学量検出装置毎に分割することで、図56〜図58に示される力学量検出装置が完成する。
なお、本実施形態に係る構造についても、図66に示されるように周辺部315に常温直接接合等でキャップ500を設けることで、各電極301、302を保護することができる。
また、第9実施形態と同様に、絶縁層200および周辺部315に空間部600と外部とを繋ぐ下部圧力導入孔130、319を設け、空間部600と第3壁部380の中空部383との圧力差に応じて絶対圧を検出することができる。
一方、空間部600をキャップ500で真空等に気密封止し、半導体基板100および絶縁層200に第3壁部380の中空部383と外部とをそれぞれ繋ぐ下部圧力導入孔130、207を設け、空間部600と第3壁部380の中空部383との圧力差に応じて絶対圧を検出するもできる。
他方、図66に示されるようにキャップ500に空間部600と外部とを繋ぐ圧力導入孔520を設けると共に、半導体基板100および絶縁層200に第3壁部380の中空部383と外部とをそれぞれ繋ぐ下部圧力導入孔130、207を設ける。そして、空間部600と第3壁部380の中空部383との圧力差に応じて相対圧を検出しても良い。この場合、キャップ500にアコースティックホール530を設けることで力学量検出装置をマイクロフォンとして利用することもできる。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、第1半導体層310が特許請求の範囲の「半導体層」に対応する。また、第3壁部380が特許請求の範囲の「壁部」に対応し、第3蓋部382が特許請求の範囲の「蓋部」に対応する。
(第16実施形態)
本実施形態では、第15実施形態と異なる部分について説明する。図67は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。この図に示されるように、本実施形態では、各絶縁壁部340、350は周辺部315に接触しておらず、各絶縁壁部340、350と周辺部315との間は第2トレンチ364により分離されている。これによると、各絶縁壁部340、350は周辺部315の影響を全く受けなくなるので、各電極301、302に対する周辺部315からの応力を緩和することができる。
(第17実施形態)
本実施形態では、第1〜第16実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、各電極301、302は接続部311、312を介して外部回路と電気的に接続される構造になっていたが、本実施形態では連結部343、353を介して外部回路と直接電気的に接続される構造となっている。
図68は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図69は、図68のI−I’断面図である。
本実施形態では絶縁層200に配線パターン202、203は不要となるので、図69に示されるように、絶縁層200は例えばSiO2膜等の1つの膜で構成されている。そして、絶縁層200の一面201に電極層300として第1半導体層310および第2半導体層320が形成され、各壁部340、350および周辺部315に画定されている。例えば、各電極301、302の組は2組設けられている。
そして、図68に示されるように、第1電極301において各ダイヤフラム341、342を連結する一方の連結部343の上にパッド331が設けられている。また、第2電極302において各ダイヤフラム351、352を連結する一方の連結部353の上にパッド332が設けられている。各パッド331、332にはワイヤ等が接続され、各電極301、302は連結部343、353から外部に電気的に接続されるようになっている。
また、周辺部315は、図69に示されるように、コンタクト部318を介して半導体基板100に電気的に接続されている。また、図68に示されるように、周辺部315の上にパッド333が設けられている。これにより、パッド333にボンディングワイヤ等が接続され、周辺部315および半導体基板100が外部に電気的に接続されるようになっている。
次に、図68および図69に示された力学量検出装置の製造方法について、図70および図71を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
まず、図70(a)に示す工程では、例えば図4および図5に示す工程と同様に、半導体基板100として単結晶シリコン基板を用意し、この半導体基板100の上に絶縁層200としてSiO2膜を形成する。そして、絶縁層200のうち周辺部315に対応した位置に半導体基板100に達するコンタクト穴204を形成する。
続いて、図70(b)に示す工程では、例えば図5に示す工程と同様に、コンタクト穴204にポリシリコンを埋め込むと共に、絶縁層200の上に第1半導体層310としてポリシリコン層を形成する。
この後、図70(c)に示す工程では、例えば図6に示す工程と同様に、第1半導体層310にトレンチ360を形成することにより、各壁部340、350および周辺部315を形成する。
図71(a)に示す工程では、例えば図7に示す工程と同様に、第1半導体層310の上に、第2半導体層320としてポリシリコン層を例えばLPCVD法等により形成する。これにより、トレンチ360の開口部が閉塞するように第2半導体層320を形成でき、各壁部340、350のうち絶縁層200側とは反対側の開口部346、356を閉じて各壁部340、350の中空部347、357を封止する。
また、例えば図8に示す工程と同様に、第2半導体層320の上に金属層330としてAl層を形成し、各パッド331〜333にパターニングする。この後、第2半導体層320のうち各壁部340、350および周辺部315の上に形成された部分が残されるように第2半導体層320をレジスト361で被覆する。この場合、第2半導体層320のうち各中空部347、357に対応する部分もレジスト361で覆う。
次に、図71(b)に示す工程では、例えば図9に示す工程と同様に、第2半導体層320のうちレジスト361から露出した部分を除去する。これにより、第1壁部340の開口部346を塞ぐ第1蓋部321と第2壁部350の開口部356を塞ぐ第2蓋部322とを形成でき、第1電極301および第2電極302が構成される。
この後、第2半導体層320の上のレジスト361を除去し、ウェハを力学量検出装置毎に分割することで、図68および図69に示される力学量検出装置が完成する。
以上のような構成によると、絶縁層200に配線パターン202、203が不要となり、もちろん第1半導体層310に各接続部311、312も不要となる。このため、構造の簡素化や小型化が可能となる。また、構造が簡素化されるので、製造コストを低減することもできる。
(第18実施形態)
本実施形態では、第17実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、第1半導体層310として単結晶シリコン基板を用いて力学量検出装置を製造する。
すなわち、図70(a)に示す工程の後、図72(a)に示す工程では、絶縁層200の上に第1半導体層310として(100)面の単結晶シリコン基板を直接接合し、所定の厚さまで研削等する。これにより、絶縁層200に設けられたコンタクト穴204は第1半導体層310で覆われる。
続いて、図72(b)に示す工程では、第1半導体層310をエッチングする。このとき、各ダイヤフラム341、342、351、352がそれぞれ対向する面が(110)面となるようにエッチングする。また、第1半導体層310のうちコンタクト穴204に対応する位置にもトレンチ360を形成し、トレンチ360とコンタクト穴204とが通じるようにする。このときのエッチングにより、コンタクト穴204に露出する半導体基板100も少しエッチングされる。
この後、図72(c)に示す工程では、図71(a)に示す工程と同様に、第2半導体層320を形成する。本工程では、第2半導体層320として単結晶シリコンを形成する。これにより、各壁部340、350の中空部347、357を塞ぐ。
図73(a)に示す工程では、第2半導体層320のうち絶縁層200のコンタクト穴204に通じるトレンチ360を覆う部分を開口する。そして、例えば図8に示す工程と同様に、第2半導体層320の上に金属層330としてAl膜を形成する。このAl膜は、コンタクト穴204に通じるトレンチ360の壁面、コンタクト穴204の壁面、およびコンタクト穴204に露出する半導体基板100の上にも形成される。このように、コンタクト穴204の壁面に形成されたAl膜が周辺部315のパッド333となる。
図73(b)に示す工程では、図71(a)に示す工程と同様に、第2半導体層320のうち各壁部340、350および周辺部315の上に形成された部分が残されるように第2半導体層320をレジスト361で被覆し、第2半導体層320のうちレジスト361から露出した部分を除去する。これにより、第1電極301および第2電極302が構成される。
この後、第2半導体層320の上のレジスト361を除去し、ウェハを力学量検出装置毎に分割する。こうして、図68および図69に示される力学量検出装置が完成する。
このように、半導体基板100に達するようにAl膜を形成することで、半導体基板100を確実に外部に電気的に接続できる。また、トレンチ360を完全に埋め込まなくても良いので、半導体基板100に接触するパッド333を容易に形成することができる。
(第19実施形態)
本実施形態では、第1〜第18実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、第1半導体層310の上に絶縁体で構成された蓋となる層を設け、第1半導体層310を絶縁層200とこの蓋の層とで挟んだ構造となっている。
図74は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図75は、図74のJ−J’断面図である。
図74に示されるように、力学量検出装置の平面構造つまり第1半導体層310の平面構造は第17実施形態で示された構造(図68参照)とほぼ同じである。しかしながら、本実施形態では、第9実施形態と同様に、周辺部315に下部圧力導入孔319が設けられている。このため、周辺部315は図68に示された周辺部315の幅よりも少し広げられている。
また、図75に示されるように、第1半導体層310の上にはSiO2膜等の絶縁蓋層390が形成されている。これにより、第1壁部340のうち絶縁層200側とは反対側の開口部346を閉じられると共に第2壁部350のうち絶縁層200側とは反対側の開口部356が閉じられている。これによると、第1壁部340のみで第1電極が構成され、第2壁部350のみで第2電極302が構成される。
さらに、第1半導体層310の上に絶縁蓋層390が形成されたことにより、第1半導体層310のトレンチ360が塞がれ、絶縁層200と絶縁蓋層390との間に各電極301、302の中空部347、357とは異なる空間部610が形成されている。そして、絶縁蓋層390には、空間部610と外部とを繋ぐ圧力導入孔391が設けられている。これにより、絶縁蓋層390の圧力導入孔391および周辺部315の下部圧力導入孔319を介して空間部610に外部圧力が導入される。そして、トレンチ360が圧力導入通路となる。
なお、図74に示されるように、周辺部315の下部圧力導入孔319および絶縁蓋層390の圧力導入孔391はそれぞれ2箇所設けられている。一方の下部圧力導入孔319および圧力導入孔391は空間部610に導入された圧力媒体の逃げ穴として機能する。もちろん、下部圧力導入孔319および圧力導入孔391は1個でも良いし、3個以上設けても良い。
また、図75に示されるように、絶縁蓋層390のうち各電極301、302の連結部343、353および周辺部315に対応する部分にコンタクト穴392が設けられ、このコンタクト穴392を埋めるように各パッド331〜333が設けられている。
上記の構成によると、周辺部315の下部圧力導入孔319および絶縁蓋層390の圧力導入孔391を介して空間部610に圧力が導入されて各電極301、302に対して圧力が加わったとき、各電極301、302の中空部347、357と空間部610の圧力との圧力差に応じて、各電極301、302のダイヤフラム341、342、351、352がそれぞれ変形する。この各ダイヤフラム341、342、351、352の変形によって変化する第1電極301と第2電極302との間の静電容量を検出することにより圧力を検出できる。
次に、図74および図75に示された力学量検出装置の製造方法について、図76を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
まず、図70(a)および図70(b)に示す工程を行い、絶縁層200の上に第1半導体層310を形成する。なお、必要に応じて第1半導体層310に対してCMP等の鏡面化処理を行う。
続いて、図76(a)に示す工程では、図70(c)に示す工程と同様に、第1半導体層310にトレンチ360を形成することにより、各壁部340、350および周辺部315を形成する。このとき、周辺部315に下部圧力導入孔319となるトレンチ360も形成する。
図76(b)に示す工程では、第1半導体層310の上に、トレンチ360の開口部分を塞ぐように絶縁蓋層390としてSiO2膜等を真空中でプラズマCVD法等により形成する。これにより、各壁部340、350の中空部347、357を真空に気密封止する一方、絶縁層200と絶縁蓋層390との間に各電極301、302の中空部347、357とは異なる空間部610を形成する。
また、各連結部343、353および周辺部315にコンタクトを取るために絶縁蓋層390に各連結部343、353および周辺部315が露出するコンタクト穴392をそれぞれ形成する。
この後、図76(c)に示す工程では、絶縁蓋層390の上にコンタクト穴392を埋めるようにAl膜を形成してパターニングすることにより各パッド331〜333を形成する。そして、レジスト361を用いたフォトリソグラフィ・エッチング手法により絶縁蓋層390に下部圧力導入孔319に通じる圧力導入孔391を形成する。ここで、レーザ光によるアブレーション開口によって絶縁蓋層390に圧力導入孔391を形成しても良い。
そして、レジスト361を除去してウェハを力学量検出装置毎に分割すれば、図74および図75に示される力学量検出装置が完成する。
以上のように、第1半導体層310を絶縁蓋層390で覆っているので、この絶縁蓋層390をキャップとして機能させることができ、第1半導体層310に形成したエレメントを保護することができる。また、絶縁層200に配線パターン202、203を設けない構造であるので、コスト低減を図ることができる。
上記では絶縁蓋層390の形成をプラズマCVD法等で行ったが、シリコンと熱膨張係数の等しいガラス基板、セラミックス基板、表面に絶縁体膜(例えば熱酸化膜(SiO2))を形成したシリコン基板等を第1半導体層310に常温直接接合等で接合しても良い。絶縁蓋層390としてシリコン基板を用いた場合はパッド331〜333の形成時にコンタクト穴392の側壁を絶縁膜で被覆しておく必要がある。このようにシリコン基板を用いる場合にはシリコン基板にIC等の回路が形成されていても良い。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、第1半導体層310が特許請求の範囲の「半導体層」に対応する。また、第1壁部340および第2壁部350が特許請求の範囲の「第1電極および第2電極」に対応し、絶縁蓋層390の圧力導入孔391が特許請求の範囲の「貫通孔」に対応する。
(第20実施形態)
本実施形態では、第19実施形態と異なる部分について説明する。図77は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。上述のように、第1半導体層310の上には全体に絶縁蓋層390が設けられている。このため、絶縁蓋層390の上に配線パターン334、335を自由にレイアウトすることができる。
例えば、第1電極301と外部とを接続するためのパッド331から各電極301、302を横切って周辺部315まで配線パターン334をレイアウトすることができる。また、第2電極302と外部とを接続するためのパッド332同士を配線パターン335で接続することができる。
以上のように、絶縁蓋層390の上にパッド331〜333の他に配線パターン334、335を形成することができ、設計の自由度を上げることもできる。
(第21実施形態)
本実施形態では、第19、第20実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、第1半導体層310として単結晶シリコン基板を用いて力学量検出装置を製造する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
まず、図78(a)に示す工程では、例えば図70(a)に示す工程を行い、コンタクト穴204を設けた絶縁層200の上に第1半導体層310として(100)面の単結晶シリコン基板を直接接合し、所定の厚さまで薄膜化する。
図78(b)に示す工程では、図72(b)に示す工程と同様に、各ダイヤフラム341、342、351、352を形成するように第1半導体層310をエッチングする。この場合、第1半導体層310のうちコンタクト穴204に対応する位置にもトレンチ360を形成し、トレンチ360とコンタクト穴204とが通じるようにする。また、下部圧力導入孔319となるトレンチ360も形成する。
図78(c)に示す工程では、第1半導体層310の上に絶縁蓋層390としてプラズマCVD−SiO2膜やSiN膜等を真空中で形成する。これにより、各壁部340、350の中空部347、357を塞ぐ。また、絶縁層200と絶縁蓋層390との間に各壁部340、350の中空部347、357とは異なる空間部610を形成する。
次に、図79(a)に示す工程では、絶縁蓋層390のうち絶縁層200のコンタクト穴204に通じるトレンチ360を覆う部分と各パッド331〜333形成予定位置を開口する。この後、絶縁蓋層390の上に金属層330としてAl膜を形成する。この場合、コンタクト穴204とコンタクト穴204に通じるトレンチ360を埋めるようにAl膜を形成する。そして、絶縁蓋層390の上のAl膜をパターニングすることにより、各パッド331〜333を形成する。
図79(b)に示す工程では、例えばレーザ光によるアブレーション開口によって絶縁蓋層390に圧力導入孔391を形成する。そして、ウェハを力学量検出装置毎に分割すれば、力学量検出装置が完成する。
以上のように、半導体基板100のコンタクトを取るために、第1半導体層310にコンタクト穴204に対応するトレンチ360を設けてこのトレンチ360にAl膜を埋めることにより、確実に半導体基板100のコンタクトを取る構造が得られる。
(第22実施形態)
本実施形態では、第1〜第20実施形態と異なる部分について説明する。特に、本実施形態では、第17〜第20実施形態と異なる部分について説明する。
図80は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図81は、図80のL−L’断面図である。
図81に示されるように、本実施形態では絶縁蓋層390としてシリコンとほぼ熱膨張係数が等しいガラス等の絶縁体基板が用いられている。このため、図75に示された構造よりも本実施形態に係る絶縁蓋層390は厚いものである。また、図80に示されるように、絶縁蓋層390には当該絶縁蓋層390を貫通するコンタクト穴393が各パッド331〜333に対応する位置に設けられている。これにより、各パッド331〜333に対してワイヤ等の接続が可能となっている。
次に、図80および図81に示された力学量検出装置の製造方法について、図82および図83を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
図82(a)に示す工程では、図70(a)および図70(b)に示す工程を行い、絶縁層200の上に第1半導体層310を形成する。また、第1半導体層310の上に金属層330としてAl膜を形成し、各パッド331〜333にパターニングする。
図82(b)に示す工程では、例えば図6に示す工程と同様に、第1半導体層310にトレンチ360を形成することにより、各壁部340、350および周辺部315を形成する。
この場合、下部圧力導入孔319となるトレンチ360も形成する。ここで、上述のように、第1半導体層310の上には絶縁体基板である絶縁蓋層390が設けられるので、トレンチ360の幅を広くすることができる。すなわち、上記各実施形態では、第1半導体層310の上にトレンチ360を塞ぐように第2半導体層320や絶縁蓋層390を形成するためにトレンチ360の幅を狭くする必要があったが、本実施形態では絶縁体基板をこの後の工程で貼り付けるため、トレンチ360の幅を狭くする必要がない。このため、下部圧力導入孔319となるトレンチ360の幅を図80に示されるように広く形成できる。
続いて、図83(a)に示す工程では、絶縁蓋層390として絶縁体基板を用意し、各パッド331〜333に対応する部分にコンタクト穴393を形成すると共に、下部圧力導入孔319に対応する部分に圧力導入孔391を形成する。
そして、図83(b)に示す工程では、真空中で第1半導体層310の上に絶縁蓋層390を常温直接接合等で貼り付ける。これにより、各電極301、302の中空部347、357を真空に封止する。また、絶縁層200と絶縁蓋層390との間に各電極301、302の中空部347、357とは異なる空間部610を形成する。
この後、ウェハを力学量検出装置毎に分割し、図83(c)に示すようにAuやAl等のボンディングワイヤ620を各パッド331〜333に接合することで外部回路と力学量検出装置とが電気的に接続され、力学量検出装置が作動する。
以上のように、絶縁蓋層390として絶縁体基板を用いることで、第1半導体層310に形成するトレンチ360の幅を自由に設計することもできる。
(第23実施形態)
本実施形態では、第1〜第22実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、上記の電極301、302を利用して、物理量として加速度と圧力との両方を検出できるように構成したことが特徴となっている。
図84は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。また、図85は、図84のM−M’断面図である。
図85に示されるように、電極層300は第1〜第3半導体層310、320、370で構成されている。また、絶縁層200は第6〜第8絶縁層270、280、290で構成されている。
そして、図84に示されるように、電極層300には、可動部700と固定電極710と可変電極301とが形成されている。可変電極301は上記各実施形態で示された第1電極301に相当するものである。
可動部700は、アンカー部701、錘部702、可動電極703、および梁部704を備えて構成されている。アンカー部701は、支持基板に対して錘部702を浮かせて支持するためのものであり、絶縁層200の上に2箇所設けられている。また、錘部702は、力学量検出装置に加速度が印加されたときに各アンカー部701に対して可動電極703を移動させる錘として機能するものである。可動電極703は、錘部702の長手方向に対して直角方向に延設され、複数本が設けられることで櫛歯状に配置されている。
梁部704は、アンカー部701と錘部702とを連結するものである。この梁部704は、平行な2本の梁がその両端で連結された矩形枠状をなしており、2本の梁の長手方向と直交する方向に変位するバネ機能を有するものである。このような梁部704により、錘部702がアンカー部701に一体に連結されて支持されている。本実施形態では、2つの梁部704がアンカー部701と錘部702とをそれぞれ連結している。
そして、梁部704、錘部702、および可動電極703の下部の第8絶縁層290が部分的に除去され、梁部704、錘部702、および可動電極703は第7絶縁層280の上に一定の間隔で浮遊した状態になっている。
固定電極710は、櫛歯状に設けられた可動電極703の間に配置されると共に、可動電極703に沿って延設されている。
可変電極301は、ダイヤフラム341とこのダイヤフラム341に対向配置された固定部349とを含む中空筒状の壁部340と、この壁部340のうち絶縁層200側とは反対側の開口部346を閉じる蓋部321と、を有している。すなわち、可変電極301は、上記各実施形態で示された第1電極301のダイヤフラム342がダイヤフラム341よりも厚く形成されて固定部349とされたものに相当する。
また、図85に示されるように、各可変電極301は、第5実施形態で示された各電極301、302と同じ構造になっている。すなわち、壁部340が蓋部321と底部371とで塞がれ、壁部340の中空部347が例えば真空とされている。底部371の上にはエッチングストッパ層である絶縁膜372が残されている。
さらに、可変電極301は、可動電極703と固定電極710との間に配置されている。また、可変電極301のダイヤフラム341と固定電極710とが対向配置され、可変電極301の固定部349と可動電極703とが対向配置されている。
絶縁層200には、アンカー部701、固定電極710、および可変電極301に接続された配線パターン208が設けられており、この配線パターン208を介して各部と外部回路とが電気的に接続される。
そして、各可変電極301のダイヤフラム341に圧力が印加されると、図86に示されるように、ダイヤフラム341が変形する。すなわち、可変電極301の中空部347とこの中空部347の外部との圧力差に応じてダイヤフラム341が変形することにより変化する可変電極301と固定電極710との間の静電容量に基づいて圧力が検出される。
一方、可動電極703に対して絶縁層200の一面201の面方向に加速度が加わると、可動電極703と固定部349との離間距離が変化することにより変化する可動電極703と固定部349との間の静電容量に基づいて加速度が検出される。
なお、このように圧力および加速度を検出する場合、実際には図86に示されるように固定電極710、可変電極301のダイヤフラム341、可変電極301の固定部349の3つの端子の切り替えによってそれぞれの出力を得ている。
以上のように、可変電極301の固定部349を加速度検出用の固定電極710として用いると共に、ダイヤフラム341を圧力検出用の電極として用いることにより、力学量として圧力と加速度(もしくは角速度)とをそれぞれ検出することができる。
(第24実施形態)
本実施形態では、第23実施形態と異なる部分について説明する。第23実施形態では、可動部700を錘部702と櫛歯状の可動電極703とで構成したが、本実施形態では可動部700を可動電極703のみで構成している。
図87は、本実施形態に係る力学量検出装置の平面図である。この図に示されるように、可動電極703は、力学量検出装置に加速度が印加されたときに各アンカー部701に対して変位する錘として機能すると共に電極として機能するように枠状になっている。
本実施形態では、図87に示されるように、1つの四角形の枠内に6個の領域が形成されるように直線部分によって当該1つの四角形の枠内の領域が分割されている。そして、各領域に固定電極710と可変電極301とが配置されている。これにより、梁部704の長手方向に可動電極703の一部と可変電極301の固定部349とが並行に配置されると共に対向配置され、2つの可変電極301に挟まれた固定電極710が各可変電極301のダイヤフラム341とそれぞれ対向配置されている。
したがって、可動電極703が加速度を受けて各アンカー部701が並べられた方向(すなわち梁部704の長手方向に対して直交する方向)に変位することにより、可動電極703のうち梁部704の長手方向に延びる直線部分と固定部349との間の距離が変化するため、加速度の検出が可能となる。また、可動電極703のうち梁部704の長手方向に対して直交する方向に延びる部分は錘として機能する。
以上のように、可動電極703の構造を枠状とすることもできる。なお、この場合、測定検出は例えば時分割検出により行う。
(第25実施形態)
本実施形態では、第1〜第24実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、各ダイヤフラム341、342、351、352は絶縁層200の一面201に垂直な方向に形成されていたが、本実施形態では各ダイヤフラム341、342、351、352は絶縁層200の一面201に対して傾けられて形成されていることが特徴となっている。なお、本実施形態では、第17実施形態で示された構造を例に説明する。
図88は、本実施形態に係る力学量検出装置の断面図であり、例えば図68のI−I’断面に相当する図である。図88に示されるように、第1壁部340のダイヤフラム341、342および第2壁部350のダイヤフラム351、352は、絶縁層200の一面201に対して傾けられて形成されている。
このような構造によると、第1半導体層310の厚さを大きくしなくても各ダイヤフラム341、342、351、352の面積を大きくすることができるので、上記各実施形態で示された力学量検出装置に対して出力を大きくすることができる。
次に、図88に示された力学量検出装置の製造方法について、図89を参照して説明する。本実施形態においても、ウェハの状態で製造していく。
まず、図70(a)および図70(b)に示す工程を行い、絶縁層200の上に第1半導体層310としてポリシリコン層を形成する。
続いて、図89(a)に示す工程では、第1半導体層310の上に図示しないレジストを形成してパターニングし、このレジストをマスクとしてトレンチ360を形成する。ここで、ClF3(三フッ化塩素)ガスを製造チャンバ内に導入することで急激に断熱膨張させ、ClF3ガスをクラスタ化して第1半導体層310に衝突させる。これにより、第1半導体層310に対して斜めエッチングを行う。そして、上述のように各ダイヤフラム341、342、351、352等が絶縁層200の一面201に対して傾けるため、ClF3ガスの導入方向に対してウェハを傾けて配置し、ClF3ガスにより第1半導体層310をエッチングする。これにより、絶縁層200の一面201に対して傾いた各壁部340、350等を形成することができる。なお、トレンチ360を形成した後、レジストを除去する。
図89(b)に示す工程では、例えば図71(a)に示す工程と同様に、第1半導体層310の上に第2半導体層320を形成する。また、第2半導体層320の上に金属層330を形成し、各パッド331〜333にパターニングする。
図89(c)に示す工程では、例えば図71(b)に示す工程と同様に、第2半導体層320のうち各蓋部321、322となる部分等が残るように第2半導体層320を斜めエッチングする。この蓋部321、322の形成のためのエッチングは蓋部321、322の厚さが薄いので斜めエッチングではなく通常のエッチングで行っても良い。この後、ウェハを力学量検出装置毎に分割することで、図88に示される力学量検出装置が完成する。
以上説明したように、第1半導体層310に形成される各ダイヤフラム341、342、351、352等を絶縁層200の一面201に対して傾けて形成することもできる。なお、このように各ダイヤフラム341、342、351、352等を傾けた構造は、上記各実施形態に適宜適用することができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された構造、構成は一例を示すものであり、各実施形態で示された構成要素は可能な限り各々任意に組み合わせることができる。
上記各実施形態では、各電極301、302のダイヤフラム341、342、351、352は同じ厚さとなっていたが、相手の電極と対向配置されないダイヤフラムを厚く形成しても良い。すなわち、第1壁部340のダイヤフラム341、342のうち第2壁部350のダイヤフラム351と対向配置されたダイヤフラム341とは反対側のダイヤフラム342を第2壁部350のダイヤフラム351と対向配置されたダイヤフラム341よりも厚くしても良い。同様に、第2壁部350のダイヤフラム351、352のうち第1壁部340のダイヤフラム341と対向配置されたダイヤフラム351とは反対側のダイヤフラム352を第1壁部340のダイヤフラム341と対向配置されたダイヤフラム351よりも厚くしても良い。また圧力により変形するダイヤフラムの厚さを変えることにより、例えば低圧、高圧測定用に適したダイヤフラムとすることができる。
このように、第1電極301のダイヤフラム342と第2電極302のダイヤフラム352を厚くすると、図90に示されるように、対向配置された第1電極301のダイヤフラム341と第2電極302のダイヤフラム351とがそれぞれ絶縁層200の一面201の面方向に沿って変形することとなる。このような構造によると、各壁部340、350をダイヤフラム342、352によって絶縁層200に確実に固定することができるので、各電極301、302が絶縁層200の上で安定する。
なお、図90では、各蓋部321、322を第2半導体層320で形成したものが示されているが、各蓋部321、322が絶縁蓋層390等で形成されたものについても同様に適用できる。
また、各ダイヤフラム341、342、351、352の形状は、上記各実施形態に限らず、他の形状とすることもできる。図91は、ダイヤフラムの形状のバリエーションを示した平面図であり、第1電極301のダイヤフラム341と第2電極302のダイヤフラム351とが第1絶縁壁部305および第2絶縁壁部306で連結された例について示している。
図91(a)に示される形状は、各ダイヤフラム341、351のうち第1絶縁壁部305および第2絶縁壁部306に対する連結部分を除いた領域が当該連結部分よりも厚くなっている。この場合、第1電極301のダイヤフラム341のうち第2電極302のダイヤフラム351と対向する面とは反対側の面が外側に突出することでダイヤフラム341が厚くなっている。第2電極302のダイヤフラム351についても同様である。これにより、各電極301、302に対する圧力の印加に応じて当該連結部分が曲がるが、各ダイヤフラム341、342の対向面は並行に保たれるので、静電容量検出の精度を向上させることができる。
図91(b)に示される形状は、図91(a)の場合とは逆に、第1電極301のダイヤフラム341のうち第2電極302のダイヤフラム351と対向する面が第2電極302側に突出することでダイヤフラム341が厚くなっている。第2電極302のダイヤフラム351についても同様である。このような形状でも、各ダイヤフラム341、351の平行度を維持できる。
図91(c)に示される形状は、第1電極301のダイヤフラム341が図91(a)に示される形状と同じである一方、第2電極302のダイヤフラム351が厚く形成されている。これにより、第1電極301のダイヤフラム341のみが変形するが、第2電極302のダイヤフラム351は厚いために変形しないので、各ダイヤフラム341、351の平行度を維持できる。
図91(d)に示される形状は、各電極301、302のダイヤフラム341、351は絶縁層200の一面201に平行な方向の断面が「H」の形状となっている。これにより、各ダイヤフラム341、351のうち各絶縁壁部340、350に連結される部分は曲がるが、各電極301、302の間に位置する部分の平行度を維持することができる。
図91(e)に示される形状は、各ダイヤフラム341、351の対向面に櫛歯が形成されており、各ダイヤフラム341、351の櫛歯がそれぞれ対向させられている。これにより、各ダイヤフラム341、351が変形することで、櫛歯の部分の面積が大きく変化する。このため、静電容量の変化を精度良く検出することができる。
上記図91に示した各ダイヤフラム341、351のバリエーションは、もちろん、図1に示されるように対向配置されたダイヤフラム341、342により構成された第1電極301や対向配置されたダイヤフラム351、352により構成された第2電極302にも適用することができる。したがって、上記各実施形態で示された各電極301、302に適宜適用することができる。
また、図92は第1電極301(第1壁部340)の平面図である。この図に示されるように、第1壁部340は、中空部347を構成する対向配置されたダイヤフラム341、342のうちの一方のダイヤフラム341の壁面に突起部307を有している。ここでいうダイヤフラム341の壁面は、ダイヤフラム342に対する対向面である。このように突起部307が設けられていることで、第1壁部340において対向配置されたダイヤフラム341、342同士が接触してくっついてしまうことを突起部307により防止することが可能となる。このような突起部307は第2電極302を構成するダイヤフラム351、352にも同様に設けることができる。
上記各実施形態では、半導体基板100の上に絶縁層200が設けられ、この絶縁層200の上に各電極301、302等が設けられていた。しかしながら、少なくとも絶縁層200の上に各電極301、302が設けられていれば力学量検出装置として成立するので半導体基板100を設けなくても良い。