JP5206649B2 - スルホニルウレア化合物の合成法 - Google Patents
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実用的には、原料としてトシルイソシアナートおよび4,4’−ジアミノジフェニルメタンを用いる方法が用いられているが、この反応を効率的に行うためには、反応溶媒の選択が重要である。前述の複数の特許には、種々の溶媒がその中で効率的に反応が進行すると記載されており、それは反応の進行のみを考えた場合決して間違ってはいない。
しかし、実際の製造現場においては、製造コストを抑えるため、できるだけ安価な反応溶媒を用い、且つ溶媒の使用量をできるだけ少なくできる製造技術、或いは、反応溶液の粘度を抑えて、攪拌に使用される電力を抑え、反応液の送液や反応物の回収を短時間で行うことができる製造技術が要望されている。
トシルイソシアナートと4,4’−ジアミノジフェニルメタンを反応溶媒中で反応させる工程を含み、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る製造方法において、アセトニトリルと酢酸エチルを、アセトニトリル/酢酸エチルの質量比率において45/55〜70/30の範囲で混合した溶媒を前記反応溶媒として用いることを特徴とする4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンの製造方法。
(1)容器に入れたアセトニトリル/酢酸エチル混合溶媒中に一定量のトシルイソシアナートを攪拌溶解し、トシルイソシアナート溶液を作成する。
(2)トシルイソシアナート溶液にトシルイソシアナートと4,4’−ジアミノジフェニルメタンのモル当量で2:1となるように、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを徐々に攪拌分散を続けながら添加する。
(3)容器を加熱し、攪拌しながら一定時間保持する。
(4)溶媒の温度が室温になるまで容器を冷却する。
(5)析出した反応物をろ過、分離し、乾燥し、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
脂肪族系ハイドロカーボン系溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、或いは芳香族系ハイドロカーボン系溶媒、たとえばトルエン、キシレンなどを反応溶媒として用いた場合、反応物の生成とともに反応液の粘度が急激に上昇するため、実用的な濃度で製造することは極めて困難である。
アセトンやメチルエチルケトンのようなケトン系溶媒を用いた場合、反応物である4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンは、固体として析出せず、通常の乾燥方法では、分離回収することができない。
アセトニトリルの質量比率が70を超えると、合成工程時或いはその準備過程において、混合溶媒中に大気から取り込まれる水分量が多くなり、トシルイソシアナートが反応前に消費され、4,4’−ジアミノジフェニルメタンの未反応物の残留によって4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンの純度及び収率が低下する問題がある。また、酢酸エチルに比べてアセトニトリルは沸点が高いため、乾燥工程にかかる時間が長くなり製造効率が低下する問題がある。
一方、アセトニトリルの質量比率が45未満では、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンの生成とともに反応液の粘度が著しく上昇し、生成物のろ過、分離、回収が困難となる、或いは反応液の粘度を下げるためには、大量の混合溶媒を添加することとなり、一定量の反応容器で合成できる4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンの量が著しく低下する、などの問題が生じる。
3Lのセパラブルフラスコを用い、スリーワンモータに4本羽根の攪拌羽根を装着し、攪拌した。攪拌は200rpmで行った。セパラブルフラスコには、攪拌羽根のほか、リービッヒコンデンサ、コンデンサ出口には塩化カルシューム管を装着した。セパラブルフラスコは油浴につけ加熱が必要な時に加熱した。
<1回目合成>
820gのアセトニトリル/酢酸エチル(質量比で50/50)混合溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタンの添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)をすべて添加しても、このスラリーが緩やかに攪拌する状態は保たれている。反応を完結するために加熱し、80℃程度で1時間攪拌を行い、その後徐冷して室温に戻す。その間もスラリーは緩やかに攪拌している。室温に戻ったらろ過を行い、分離した固体を乾燥し、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
1回目合成において、ろ過により回収した混合溶媒を単蒸留にかけ、初溜から全体の6/7を回収する。後溜1/7は有機物が溶けているので、廃棄する。この溶媒に、新たにアセトニトリルと酢酸エチルを足して、再び質量比で50/50混合溶媒を820gに調整する。この混合溶媒を用いる以外は、上記実施例1の1回目合成と同様に合成を進め、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
<1回目合成>
820gのアセトニトリル/酢酸エチル(質量比で70/30)混合溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタンの添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)をすべて添加しても、このスラリーが緩やかに攪拌する状態は保たれている。反応を完結するために加熱し、80℃程度で1時間攪拌を行い、その後徐冷して室温に戻す。その間もスラリーは緩やかに攪拌している。室温に戻ったらろ過を行い、分離した固体を乾燥し、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
1回目合成において、ろ過により回収した混合溶媒を単蒸留にかけ、初溜から全体の6/7を回収する。後溜1/7は有機物が溶けているので、廃棄する。この溶媒に、新たにアセトニトリルと酢酸エチルを足して、再び質量比で70/30混合溶媒を840gに調整する。この混合溶媒を用いる以外は、上記実施例2の1回目合成と同様に合成を進め、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
<1回目合成>
820gのアセトニトリル/酢酸エチル(質量比で45/55)混合溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタンの添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)をすべて添加しても、このスラリーが緩やかに攪拌する状態は保たれている。反応を完結するために加熱し、80℃程度で1時間攪拌を行い、その後徐冷して室温に戻す。その間もスラリーは緩やかに攪拌している。室温に戻ったらろ過を行い、分離した固体を乾燥し、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
1回目合成において、ろ過により回収した混合溶媒を単蒸留にかけ、初溜から全体の6/7を回収する。後溜1/7は有機物が溶けているので、廃棄する。この溶媒に、新たにアセトニトリルと酢酸エチルを足して、再び質量比で45/55混合溶媒を820gに調整する。この混合溶媒を用いる以外は、上記実施例2の1回目合成と同様に合成を進め、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
820gのトルエン溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)の添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。約1/2程度(65g)の4,4’−ジアミノジフェニルメタンを添加した段階でスラリーは流動困難になる。攪拌を300−400rpmに上げても、全体を攪拌することは困難となったので反応を中止した(試しに温度を上昇させたが攪拌は不可能であった)。
820gの酢酸エチル溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタンの添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。約2/3程度(85g)の4,4’−ジアミノジフェニルメタンを添加した段階でスラリーは流動困難になる。攪拌を300−400rpmに上げても、全体を攪拌することは困難となったので反応を中止した(試しに温度を上昇させたが攪拌は不可能であった)。
820gのメチルエチルケトン溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起きるが、全体は溶解した溶液状であり、固体の析出は見られない。130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を全量添加した段階で溶液はやや黄変するが固体の析出は見られない。70℃程度で1時間攪拌を行い、その後徐冷して室温に戻す。溶液の黄色は強くなる。その後、溶液をロータリーエバポレーターに移し、減圧して溶媒を溜去すると、黄色のペースト状物が得られる。これをさらに乾燥すると、無定形の黄色固体が得られ、これは顕色剤としては使用できないものであった。
<1回目合成>
820gのアセトニトリル/酢酸エチル(質量比で90/10)混合溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタンの添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)をすべて添加しても、このスラリーが緩やかに攪拌する状態は保たれている。反応を完結するために加熱し、80℃程度で1時間攪拌を行い、その後徐冷して室温に戻す。その間もスラリーは緩やかに攪拌している。室温に戻ったらろ過を行い、分離した固体を乾燥し、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
1回目合成において、ろ過により回収した混合溶媒を単蒸留にかけ、初溜から全体の6/7を回収する。後溜1/7は有機物が溶けているので、廃棄する。この溶媒に、新たにアセトニトリルと酢酸エチルを足して、再び質量比で90/10混合溶媒を820gに調整する。この混合溶媒を用いる以外は、上記実施例2の1回目合成と同様に合成を進め、やや黄色に着色した4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る。
820gのアセトニトリル/酢酸エチル(重量比で40/60)混合溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)を溶解し、これを攪拌する。この中に130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタンの添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。130gの4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)をすべて添加すると、スラリーは流動困難になる。攪拌を300−400rpmに上げても、全体を攪拌することは困難となったので反応を中止した。
820gのアセトニトリル/トルエン(重量比で50/50)混合溶媒中に273gのトシルイソシアナート(1.38mol)溶解し、これを攪拌する。この中に4,4’−ジアミノジフェニルメタン(0.66mol)を適宜分割添加していく。発熱反応が起き、白色の固体が析出してくる。4,4’−ジアミノジフェニルメタンの添加とともに、析出する固体も増え、反応液全体はスラリー状となる。約2/3程度の4,4’−ジアミノジフェニルメタン(85g)を添加した段階でスラリーは流動困難になる。攪拌を300−400rpmに上げても、全体を攪拌することは困難となったので反応を中止した。
実施例1〜3及び比較例4で得られた4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンの純度(液体クロマトグラフによる測定)及び収率(合成により得られた4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンのモル数÷原料である4,4’−ジアミノジフェニルメタンのモル数×100)を表1に示した。
Claims (1)
- トシルイソシアナートと4,4’−ジアミノジフェニルメタンを反応溶媒中で反応させる工程を含み、4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンを得る製造方法において、アセトニトリルと酢酸エチルを、アセトニトリル/酢酸エチルの質量比率において45/55〜70/30の範囲で混合した溶媒を前記反応溶媒として用いることを特徴とする4,4’−ビス(3−トシルウレイド)ジフェニルメタンの製造方法。
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