まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のハイブリッド車両の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータ/ジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RLと、右後輪RRと、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御やフューエルカット制御等が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
前記第1クラッチCL1は、前記エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、締結・スリップ締結(半クラッチ状態)・開放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力にて完全締結を保ち、ピストン14aを有する油圧アクチュエータ14を用いたストローク制御により、スリップ締結から完全開放までが制御されるノーマルクローズの乾式単板クラッチが用いられる。
前記モータ/ジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータ/ジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータ/ジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この動作状態を「力行」と呼ぶ)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータ/ジェネレータMGのロータは、ダンパーを介して自動変速機ATの変速機入力軸に連結されている。
前記第2クラッチCL2は、前記モータ/ジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間に介装されたクラッチであり、ATコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、締結・スリップ締結・開放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できるノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキが用いられる。なお、第1クラッチ油圧ユニット6と第2クラッチ油圧ユニット8は、自動変速機ATに付設されるAT油圧コントロールバルブユニットCVUに内蔵している。
前記自動変速機ATは、例えば、前進7速/後退1速等の有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える有段変速機であり、前記第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、トルク伝達経路に配置される最適なクラッチやブレーキを選択している。そして、前記自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
実施例1のハイブリッド駆動系は、電気車両走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、駆動トルクコントロール走行モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有する。
前記「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。前記「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、モータアシスト走行モード・走行発電モード・エンジン走行モードの何れかにより走行するモードである。前記「WSCモード」は、「HEVモード」からのP,N→Dセレクト発進時、あるいは、「EVモード」や「HEVモード」からのDレンジ発進時等において、モータ/ジェネレータMGの回転数制御により第2クラッチCL2のスリップ締結状態を維持し、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start clutch」の略である。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
前記モータコントローラ2は、モータ/ジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標MGトルク指令および目標MG回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータ/ジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリSOCを監視していて、このバッテリSOC情報は、モータ/ジェネレータMGの制御情報に用いられると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
前記第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14のピストン14aのストローク位置を検出する第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標CL1トルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・スリップ締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
前記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18(変速機入力回転数センサ、インヒビタースイッチ等)からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる運転点がシフトマップ上で存在する位置により最適な変速段を検索し、検索された変速段を得る制御指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。なお、シフトマップとは、アクセル開度と車速に応じてアップシフト線とダウンシフト線を書き込んだマップをいう。上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2のスリップ締結を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。また、統合コントローラ10から変速制御変更指令が出力された場合、通常に変速制御に代え、変速制御変更指令にしたがった変速制御を行う。
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21や他のセンサ・スイッチ類22からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク指令、モータコントローラ2へ目標MGトルク指令および目標MG回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標CL1トルク指令、ATコントローラ7へ目標CL2トルク指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
図2は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。図3は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でのモード選択処理を行う際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。図4は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充電制御を行う際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。以下、図2〜図4に基づき、実施例1の統合コントローラ10にて実行される演算処理を説明する。
前記統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400とを有する。
前記目標駆動力演算部100では、目標駆動力マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
前記モード選択部200では、図3に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、「EVモード」または「HEVモード」を目標走行モードとして選択する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEVモード」を目標走行モードとする。また、「HEVモード」からのP,N→Dセレクト発進時等においては、車速VSPが第1設定車速VSP1になるまで「WSCモード」を目標走行モードとして選択する。
前記目標充放電演算部300では、図4に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。すなわち、目標充放電演算部300は、現在のバッテリSOCが、バッテリSOCが有する充電量下限値と充電量上限値との間に位置するように目標充放電電力tPを演算する。
前記動作点指令部400では、アクセル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標走行モードと、車速VSPと、目標充放電電力tP等の入力情報に基づき、動作点到達目標として、目標エンジントルクと目標MGトルクと目標MG回転数と目標CL1トルクと目標CL2トルクを演算する。そして、目標エンジントルク指令と目標MGトルク指令と目標MG回転数指令と目標CL1トルク指令と目標CL2トルク指令を、CAN通信線11を介して各コントローラ1,2,5,7に出力する。
図5は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両に搭載された自動変速機ATの一例を示すスケルトン図である。
前記自動変速機ATは、前進7速後退1速の有段式自動変速機であり、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGのうち、少なくとも一方からの駆動力が変速機入力軸Inputから入力され、4つの遊星ギアと7つの摩擦締結要素とによって回転速度が変速されて変速機出力軸Outputから出力される。次に、変速機入力軸Inputと変速機出力軸Outputとの間の変速ギア機構について説明する。
変速機入力軸Input側から変速機出力軸Output側までの軸上に、順に第1遊星ギアG1と第2遊星ギアG2による第1遊星ギアセットGS1及び第3遊星ギアG3と第4遊星ギアG4による第2遊星ギアセットGS2が配置されている。また、摩擦締結要素として第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、第4ブレーキB4が配置されている。また、第1ワンウェイクラッチF1と第2ワンウェイクラッチF2が配置されている。
前記第1遊星ギアG1は、第1サンギアS1と、第1リングギアR1と、両ギアS1,R1に噛み合う第1ピニオンP1を支持する第1キャリアPC1と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記第2遊星ギアG2は、第2サンギアS2と、第2リングギアR2と、両ギアS2,R2に噛み合う第2ピニオンP2を支持する第2キャリアPC2と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記第3遊星ギアG3は、第3サンギアS3と、第3リングギアR3と、両ギアS3,R3に噛み合う第3ピニオンP3を支持する第3キャリアPC3と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記第4遊星ギアG4は、第4サンギアS4と、第4リングギアR4と、両ギアS4,R4に噛み合う第4ピニオンP4を支持する第4キャリアPC4と、を有するシングルピニオン型遊星ギアである。
前記変速機入力軸Inputは、第2リングギアR2に連結され、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの少なくとも一方からの回転駆動力を入力する。前記変速機出力軸Outputは、第3キャリアPC3に連結され、出力回転駆動力を、ファイナルギア等を介して駆動輪(左右後輪RL,RR)に伝達する。
前記第1リングギアR1と第2キャリアPC2と第4リングギアR4とは、第1連結メンバM1により一体的に連結される。前記第3リングギアR3と第4キャリアPC4とは、第2連結メンバM2により一体的に連結される。前記第1サンギアS1と第2サンギアS2とは、第3連結メンバM3により一体的に連結される。
前記第1遊星ギアセットGS1は、第1遊星ギアG1と第2遊星ギアG2とを、第1連結メンバM1と第3連結メンバM3とによって連結することで、4つの回転要素を有して構成される。また、第2遊星ギアセットGS2は、第3遊星ギアG3と第4遊星ギアG4とを、第2連結メンバM2によって連結することで、5つの回転要素を有して構成される。
前記第1遊星ギアセットGS1では、トルクが変速機入力軸Inputから第2リングギアR2に入力され、入力されたトルクは第1連結メンバM1を介して第2遊星ギアセットGS2に出力される。前記第2遊星ギアセットGS2では、トルクが変速機入力軸Inputから直接第2連結メンバM2に入力されると共に、第1連結メンバM1を介して第4リングギアR4に入力され、入力されたトルクは第3キャリアPC3から変速機出力軸Outputに出力される。
前記第1クラッチC1(インプットクラッチI/C)は、変速機入力軸Inputと第2連結メンバM2とを選択的に断接するクラッチである。前記第2クラッチC2(ダイレクトクラッチD/C)は、第4サンギアS4と第4キャリアPC4とを選択的に断接するクラッチである。前記第3クラッチC3(H&LRクラッチH&LR/C)は、第3サンギアS3と第4サンギアS4とを選択的に断接するクラッチである。
また、前記第2ワンウェイクラッチF2は、第3サンギアS3と第4サンギアS4の間に配置されている。これにより、第3クラッチC3が開放され、第3サンギアS3よりも第4サンギアS4の回転速度が大きい時、第3サンギアS3と第4サンギアS4とは独立した回転速度を発生する。よって、第3遊星ギアG3と第4遊星ギアG4が第2連結メンバM2を介して接続された構成となり、それぞれの遊星ギアが独立したギア比を達成する。
前記第1ブレーキB1(フロントブレーキFr/B)は、第1キャリアPC1の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。また、第1ワンウェイクラッチF1は、第1ブレーキB1と並列に配置されている。前記第2ブレーキB2(ローブレーキLOW/B)は、第3サンギアS3の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。前記第3ブレーキB3(2346ブレーキ2346/B)は、第1サンギアS1及び第2サンギアS2を連結する第3連結メンバM3の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。前記第4ブレーキB4(リバースブレーキR/B)は、第4キャリアPC4の回転をトランスミッションケースCaseに対し選択的に停止させるブレーキである。
図6は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両に搭載された自動変速機ATでの変速段ごとの各摩擦締結要素の締結状態を示す締結作動表である。なお、図6において、○印は当該摩擦締結要素が締結状態であることを示し、(○)印は少なくともエンジンブレーキ作動時に当該摩擦締結要素が締結状態であることを示し、無印は当該摩擦締結要素が開放状態であることを示す。
上記のように構成された変速ギア機構に設けられた各摩擦締結要素のうち、締結していた1つの摩擦締結要素を開放し、開放していた1つの摩擦締結要素を締結するという掛け替え変速を行うことで、下記のように、前進7速で後退1速の変速段を実現することができる。
すなわち、「1速段」では、第2ブレーキB2のみが締結状態となり、これにより第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2が係合する。「2速段」では、第2ブレーキB2及び第3ブレーキB3が締結状態となり、第2ワンウェイクラッチF2が係合する。「3速段」では、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3及び第2クラッチC2が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2はいずれも係合しない。「4速段」では、第3ブレーキB3、第2クラッチC2及び第3クラッチC3が締結状態となる。「5速段」では、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3が締結状態となる。「6速段」では、第3ブレーキB3、第1クラッチC1及び第3クラッチC3が締結状態となる。「7速段」では、第1ブレーキB1、第1クラッチC1及び第3クラッチC3が締結状態となり、第1ワンウェイクラッチF1が係合する。「後退速段」では、第4ブレーキB4、第1ブレーキB1及び第3クラッチC3が締結状態となる。
ここで、図1に示す第2クラッチCL2としては、各変速段にて締結される摩擦締結要素を選択可能であるが、例えば、「1速段〜3速段」で第2ブレーキB2、「4速段」で第2クラッチC2、「5速段」で第3クラッチC3、「6速段と7速段」で第1クラッチC1が用いられる。
図7A及び図7Bは、実施例1の統合コントローラにて実行される充放電制御処理の流れを示すフローチャートである(充放電制御手段)。以下、図7A及び図7Bに示すフローチャートの各ステップについて説明する。
ステップS1では、各コントローラ1,2,5,7,9からのデータを受信し、バッテリSOC、自動変速機ATの選択変速段(シフト位置)、第2クラッチCL2の入力回転数検出値や出力回転数検出値等を読み込み、ステップS2へ進む。
ステップS2では、各センサ12,13,15〜22からの信号に基づいてアクセル開度APO、車速VSP、エンジン水温、その他NAVI情報、GPS情報、交通情報、車両相互間情報、外気温情報等を読み込み、ステップS3へ進む。
ステップS3では、今後の想定される走行パターンの演算を行い、ステップS4へ進む。ここで、走行パターンは、エンジン水温推移のパターンごとに分類分けされる。エンジン水温推移は、ステップS1及びステップS2で読み込んだ車速VSPやアクセル開度APO、ブレーキ操作量、NAVI情報等から予測されるドライバーごとの運転スタイルや走行環境等により異なる。つまり、走行パターンは、例えば渋滞、市外、郊外、高速、登坂といった環境モードごとに、各ドライバーのエンジン負荷運転、EV走行等に分類する。なお、走行パターンの演算は、走行パターンと各種要因との相関を示すマップを予め用意しておき、探索により求めてもよい。
ステップS4では、ステップS2で読み込んだ外気温度情報と、ステップS3で演算した走行パターンとから、暖房要求予測時刻Tを演算し、ステップS5へ進む。ここで、暖房要求予測時刻とは、暖房要求(空調装置の暖房の必要性からエンジン始動要求を行うこと及びエンジン暖機の必要性からエンジン始動要求を行うこと)が発生すると予測される時刻と現在時刻との差であり、エンジン水温が予め定めた閾値(暖房要求によりエンジン始動するときの水温)以下になると予測される時刻である。
なお、エンジン水温の推移は、同一走行パターン且つ同一外気温であっても、エンジンEngの種類、サイズ、車両スペック等により異なるため、エンジンEng及び車両ごとに異なるエンジン水温推定マップ(図8参照)を予め作成しておき、暖房要求予測時刻Tは、このマップと外気温情報及び走行パターンとに基づいて探索により求める。
ステップS5では、ステップ4で演算した暖房要求予測時刻Tが閾値ΔT_th未満であるか否かを判断し、YES(閾値未満)の場合はステップS6へ進み、NO(閾値以上)の場合はリターンへ進む。すなわち本発明は、外気温が低く、暖房要求によってエンジン始動し、暖房終了に伴ってエンジン停止した後に再度エンジン水温が下がって暖房要求がなされてエンジン始動する、といったことを繰り返すケースで効果が出るため、ステップS5では、次回暖房要求が本発明の効果を期待できない程度に先の時刻であるか否かを判断し、効果が期待できなければ本充放電制御を実施しない(リターンへ進む)。このステップS5が、エンジンEngを駆動して暖房させる暖房要求の入力を予測する暖房予測手段に相当する。
ステップS6では、ステップS5での暖房要求予測時刻が閾値未満との判断に続き、エンジン始動要求を判定するバッテリSOCの充電量下限値(充電開始閾値)を引き下げ、ステップS7へ進む。このステップS6が、暖房要求の入力が予測された場合に、暖房要求の入力が予測されていない場合に比して、充電開始閾値を引き下げる充電開始閾値設定手段に相当する。なお、充電量下限値の引き下げは、車両の基本動力性能を含めた他性能への影響がない範囲で行う。例えば、充電量下限値を引き下げることは、定性的にバッテリ4からのアシスト出力が減少するということである。このようなことを踏まえると共に、適用車両のエンジンスペックや、バッテリ出力量、ステップS3で求めた走行パターン等を考慮し、従来に対し影響を与えない範囲で引き下げ可能範囲を設定する。
ステップS7では、ステップ4で演算した暖房要求予測時刻Tと、現在のバッテリSOCに基づいて、SOC推移のコントロール関連制御定数の補正係数Kを設定し、ステップS8へ進む。ここで、補正係数Kとは、暖房要求が生じると予測した時刻(暖房要求予測時刻T)近傍において、バッテリSOCを充電量下限値近傍まで減らしておくためのいわゆるSOC減らし係数であり、暖房要求予測時刻Tと現在のバッテリSOCとに基づいて狙いとしたバッテリSOCの減少の傾きを決める係数である。ここでは、図9(a)に示す補正係数設定マップと、暖房要求予測時刻T及び現在のバッテリSOCとに基づいて探索により設定する。暖房要求予測時刻Tが小さければ(暖房要求発生までの時間が短いと予測されていれば)、短時間でバッテリSOCを低減させる必要があるため、補正係数Kは大きくなる。
ステップS8では、ステップS7で設定した補正係数Kに基づいて、エンジン回転数指令値及びトルク指令値、モータ回転数指令値及びトルク指令値を演算し、演算した各指令値に基づいてエンジンEng及びモータ/ジェネレータMGを運転し、ステップS9へ進む。ここで、エンジン回転数指令値及びトルク指令値、モータ回転数指令値及びトルク指令値は、バッテリSOC推移をコントロールする主要制御パラメータである。
なお、バッテリSOCを通常時よりも高い割合で低減する方向へ制御するには、例えば下記に列挙するいずれかの制御を行う。
・バッテリSOC量に応じて決定されるエンジンEngへの充放電要求マップの値を、変更前と同じバッテリSOC量であれば、充電量を減らす方向に変更、又は放電量を増やす方向に変更し、制御で中央値狙いにしているバッテリSOC値を下げる方向に変更する。なお、このマップの変更概念は図9(b)に示す。ここで、実線が変更後の充放電要求マップであり、破線が変更前の充放電要求マップである。
・モータ走行を行っている範囲をさらに拡大し、バッテリ4からの持ち出し(放電量)を増加する。
・エンジンEngに要求するトルク配分を決定する際、必要な駆動トルクに上乗せして、エアコン用パワーや補機消費電力や、各種損失パワー等をエンジン出力に負担させる。又は、上記補正係数KによりエンジンEngへの要求トルク配分を低減し、減らした分をバッテリ放電により負担させる。
・通常、ハイブリッド車両のシステムとしてもっとも効率良く運転するために、エンジン運転の効率の他、モータ作動点の電気的効率や、上乗せして発電充電した電力分などを総合的に加味している。本制御ではバッテリSOCを下げたいので、電気的効率を考慮して若干のエンジン動作点効率を悪くしていた制御や、上乗せ発電等により充電して後々の電力として使うための制御などを、エンジン運転効率を優先とする側へ変更する。但し、この場合、ハイブリッド車両のシステム全体としての総合効率は若干悪くなる方向であるため、その後の暖房要求時においてエンジン負荷運転を拡大したことによる燃費向上効果によって総合的な燃費向上効果があると見込まれる場合のみ実行する。
ステップS9では、ステップS3で演算した走行パターンごとに予測したエンジン水温推移(予測エンジン水温推移)と、実際のエンジン水温の推移(実推移)との乖離度合いが閾値Y_th未満であるか否かを判断し、YES(閾値未満)の場合は乖離が小さいとしてステップS10へ進み、NO(閾値以上)の場合は乖離が大きいとしてリターンへ進む。つまり、実推移が予測に沿わなければ、実際の走行パターンがステップS3で演算した走行パターンではないとして本充放電制御を実施しない(リターンへ進む)。
ステップS10では、ステップS9でのエンジン推移予測通りとの判断に続き、暖房要求がONされたか否かを判断し、YES(暖房要求ON)の場合はステップS11へ進み、NO(暖房要求OFF)の場合はステップS9へ戻る。ここで、この暖房要求のON/OFF判断は、空調装置の暖房要求に基づいてエンジン運転始動指令が出力されたか否かにより行う。
ステップS11では、ステップS10での暖房要求によるエンジン運転始動との判断に続き、エンジン出力に上乗せする発電量を演算し、ステップS12へ進む。この発電量は、暖房要求を満足するに必要と思われるエンジン運転予測時間と、充電可能なSOC量(充電量上限値と負荷運転開始時バッテリSOC量との差値)に基づき、車両トータルとしての燃費効率が最高になる量である。なお、発電量を上乗せしすぎることによるエンジンこもり音領域になる程度までは上乗せせず、他性能へは影響を与えないようにする。
ステップS12では、ステップS11で演算した発電量と暖房性能とを実現する出力トルクでエンジン運転を行い、発電と暖房とを両立するいわゆる負荷運転を開始する。
ステップS13では、バッテリSOCが充電量上限値以上であるか否かを判断し、YES(充電量上限値以上)の場合はステップS16へ進み、NO(充電量上限値未満)の場合はステップS14へ進む。
ステップS14では、ステップS13でのバッテリSOC充電量上限値未満との判断に続き、暖房要求がOFFされたか否かを判断し、YES(暖房要求OFF)の場合はステップS15へ進み、NO(暖房要求ONのまま)の場合はステップS12へ戻って負荷運転を続ける。
ステップS15では、ステップS14での暖房要求OFFとの判断に続きエンジンEngをアイドリングストップし、リターンへ進む。
ステップS16では、ステップS13でのバッテリSOC充電量上限値以上との判断に続き、暖房要求がOFFされたか否かを判断し、YES(暖房要求OFF)の場合はステップS15へ進み、エンジンEngをアイドリングストップし、リターンへ進む。また、NO(暖房要求ONのまま)の場合はステップS17へ進む。
ステップS17では、ステップS16での暖房要求ONとの判断に続き、バッテリ4への充電(発電)は行わず、暖房性能を満足させるためにのみエンジン運転して発電を行わない自立運転を実行しステップS13へ戻る。
次に、作用を説明する。
まず、「バッテリ充電量上限値を引き上げる充放電制御とその課題」の説明を行い、続いて、実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置におけるバッテリ充放電制御作用を説明する。
[バッテリ充電量上限値を引き上げる充放電制御とその課題]
図11は、バッテリ充電量上限値を引き上げる充放電制御(比較例)を説明するタイムチャートである。なお、図11中、バッテリ充電量上限値を引き上げる充放電制御(比較例1制御)におけるSOC量を実線で示し、バッテリ充電上限値を引き上げない充放電制御(比較例2制御)におけるSOC量を一点鎖線で示す。
時刻tA以前では、暖房要求がONであると共に、比較例1制御及び比較例2制御においてともにSOC量が充電量上限値未満であるので、エンジンEngは、発電と暖房とを両立する負荷運転状態になる。これにより、バッテリSOC(以下SOC量という)は、比較例1制御及び比較例2制御において共に増加する。
時刻tA時点で、SOC量が引き上げ前バッテリ充電上限値(以下、第1上限という)S4に達すると、比較例2制御ではこれ以上充電することができないため、SOC量は増加しない。しかしながら、暖房要求は引き続きONであるので、エンジンEngは発電に寄与せず暖房のためにのみ運転する自立運転状態になる。一方、比較例1制御では、バッテリ充電上限値を第2上限S5にまで引き上げているので、バッテリへの充電が可能となる。そのため、エンジンEngは負荷運転状態になる。
時刻tB時点で、比較例1制御におけるSOC量が第2上限S5に達すると、比較例1制御においてもこれ以上充電することができないため、SOC量は増加しない。しかしながら、暖房要求は引き続きONであるので、エンジンEngは自立運転状態になる。
時刻tC時点で、暖房要求がOFFになるとエンジンEngは停止する。これにより、SOC量は次第に低減する。なお、このときの低減率は比較例1制御と比較例2制御で同等である。
時刻tD時点で、再び暖房要求がONになるとエンジン運転が再開し、エンジンEngは負荷運転状態になってSOC量は徐々に増加する。
時刻tE時点で、比較例1制御におけるSOC量が第2上限S5に達し、比較例2制御におけるSOC量が第1上限S4に達すると、両方ともこれ以上充電することができないのでSOC量は増加しないが、暖房要求はONのままなので、いずれの制御においてもエンジンEngは共に自立運転になる。
このように、バッテリ充電上限値を引き上げることで、充電可能量を増大し、エンジンEngの負荷運転時間の延長を図る充放電制御(比較例1制御)では、エンジン運転終了時(時刻tC時点)にはSOC量が高くなっている。そのため、次回の暖房要求ON時(時刻tD時点)では、時刻tD時点のSOC量と第2上限S5との差(Δ1)が、比較例2制御における時刻tD時点のSOC量と第1上限S4との差(Δ2)とほぼ同じになってしまい、SOC量と充電量上限値との差を大きく確保することができなかった。そのため、燃費性能の向上を図ることが十分にできないという問題があった。
[バッテリ充放電制御作用]
図10は、実施例1のハイブリッド車両制御装置による充放電制御(本制御)と、通常の充放電制御(比較例制御)とを説明するタイムチャートである。なお、図10中、本制御におけるSOC量を実線で示し、比較例制御におけるSOC量を一点鎖線で示す。
時刻t0時点で、SOC量は本制御と比較例制御とで同一とする。また、このとき暖房要求はOFFであり、エンジンEngは停止している。
そして、本制御では、図7Aに示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進み、暖房要求予測時刻Tを演算する。この暖房要求予測時刻T(ここでは時刻t1)が閾値ΔT_th未満であれば、つまり、所定時間以内に暖房要求の入力があることが予測されれば、ステップS5→ステップS6へと進み、充電量下限値を引き下げる。これにより、第1下限値S2は第2下限値S3へと引き下げられる。なお、この第2下限値S3は、第1下限値S2よりは小さいが、車両の基本動力性能を含めた他性能への影響がない値である。そのため、バッテリ充電可能量は増大するが、車両の動作性能には支障はない。
さらに、ステップS7に進み、SOCコントロール関連制御定数の補正係数Kを設定し、ステップS8へと進んで上記補正係数Kに基づいてエンジン回転数指令値及びトルク指令値、モータ回転数指令値及びトルク指令値を演算し、演算した各指令値に基づいてエンジンEng及びモータ/ジェネレータMGを運転する。
そして、予測エンジン水温推移と実推移とか乖離せず、予測どおり時刻t1時点で、暖房要求がONになると、本制御では、図7Bに示すフローチャートにおいてステップS11→ステップS12へと進み、暖房要求OFFになる予測時間にSOC量が満充電となるように演算された発電量を満足する出力でエンジンEngが運転され、エンジンEngは暖房と発電とを両立する負荷運転状態になる。SOC量は次第に増加する。
時刻t2時点で、比較例制御ではSOC量が充電量上限値S1に達してしまい、これ以上充電することができなくなってSOC量は増加しない。しかしながら、暖房要求は引き続きONであるので、エンジンEngは自立運転状態になる。一方、本制御では、時刻t2時点でSOC量が充電量上限値S1に達していないので、ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS12を繰り返し、エンジンEngは負荷運転状態を続行する。
時刻t3時点で、本制御において暖房要求がOFFになると同時にSOC量が充電量上限値S1に達し、ステップS13→ステップS16→ステップS15へと進み、エンジンは停止してSOC量は次第に低減する。なお、このときのSOC量の低減率(単位時間当たりのバッテリ残量の減り量)は、比較例制御と比べて増加している。
このように、所定時間内に暖房要求の入力が予測された場合(ステップS5においてYES)の場合には、予測されない場合(比較例制御)に比して単位時間当たりのバッテリ残量の減り量を増加する。つまり、予測されない場合よりもSOC量を多く減ずる方向に制御する。
これにより、暖房要求ONになった時点(時刻t1)におけるSOC量は、暖房要求が予測されない場合よりも小さい値になり、充電量上限値(S1)までの幅が大きくなる。そのため、充電可能時間(負荷運転可能時間)を長く確保することができ、エンジンの自立運転時間の短縮を図り、車両トータルでみた燃費性能の向上を図ることができる。
特に、実施例1のハイブリッド車両の制御装置では、負荷運転中のエンジンEngによる発電量が、暖房要求を満足するに必要と思われるエンジン運転予測時間と、充電可能なSOC量(充電量上限値と負荷運転開始時バッテリSOC量との差値)に基づき、車両トータルとしての燃費効率が最高になる量に設定されている。つまり、エンジンEngのスペックやモータ/ジェネレータMG、インバータ3の駆動効率によって、暖房に必要な熱量及び充電可能なバッテリSOC量が同一であっても、常に一定分の発電量をエンジンEngに上乗せする場合、運転初期の発電量を多くすると共に運転後期の発電量を少なくする場合、運転時間中に適宜発電量を変える場合等により、車両トータルとしての燃費効率は異なる。車両トータルとしての燃費効率が最高になる発電量で負荷運転することで、一層の燃費向上を図ることができる。
また、暖房要求予測時刻Tはエンジン水温の推移から予測するため、簡単で精度良く求めることができる。
さらに、実施例1のハイブリッド車両の制御装置では、暖房要求の入力が予測された場合(ステップS5においてYES)の場合には、予測されない場合(比較例制御)に比して、充電量下限値(充電開始閾値)を、第1下限値S2から第2下限値S3へと引き下げている。
そのため、暖房要求ONになった時点(時刻t1)におけるSOC量をさらに少なくすることが可能になり、負荷運転を継続可能な時間をさらに拡大することができて、車両トータルとしての燃費向上をさらに図ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) エンジンEngとモータジェネレータ(モータ/ジェネレータ)MGとを有する駆動源と、該駆動源により充電されるバッテリ4と、該バッテリ4の充放電を制御する充放電制御手段(図7A,図7B)と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンEngを駆動して暖房を行わせる暖房要求の入力を予測する暖房予測手段(ステップS5)を有し、前記充放電制御手段(図7A,図7B)は、前記暖気暖房要求の入力が予測された場合には、該暖機暖房要求の入力が予測されていない場合に比して、前記エンジンEngの停止中における単位時間当たりのバッテリ残量の減り量を増加する構成とした。このため、エンジンの自立運転時間の短縮を図り、車両トータルでみた燃費性能の向上を図ることができる。
(2) 前記バッテリ4の充電開始閾値(充電量下限値)を設定する充電開始閾値設定手段(ステップS6)を備え、該充電開始閾値設定手段(ステップS6)は、前記暖気暖房要求の入力が予測された場合には、該暖機暖房要求の入力が予測されていない場合に比して、前記充電開始閾値(充電量下限値)を引き下げる構成とした。これにより、暖房要求が入力されてエンジン始動する時点におけるバッテリ残量をさらに少なくし、負荷運転の継続可能時間をさらに拡大して車両トータルとしての燃費向上をさらに図ることができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、暖房要求が、空調装置における暖房の必要性からエンジン運転を始動する場合としているが、この「暖房要求」には、エンジンEngの暖機の必要性からエンジン運転を始動する場合も含む。
すなわち、本発明は、エンジンEngを駆動して暖機する暖機要求の入力が予測された場合には、暖機要求の入力が予測されていない場合に比して、単位時間当たりのバッテリ残量の減り量を増加する構成であってもよい。
また、実施例1では、暖房要求ON以前にエンジンEng及びモータ/ジェネレータMGが駆動しているHEVモードとなっており、ステップS8に示すようにエンジンEng及びモータ/ジェネレータMGの双方を制御することでバッテリSOCを通常時よりも高い割合で低減する。しかしながら、暖房要求ON以前においてエンジンEngは停止するEVモードであってもよく、この場合にはモータ/ジェネレータMGの制御だけでバッテリSOCを積極的に低減することとなる。