本発明の実施の形態に係る車両1について、図1を参照しながら説明する。車両1は、ハイブリッド自動車であり、エンジン2と電動機3とを有し、エンジン2による走行、電動機3による走行、またはエンジン2と電動機3とが協働する走行のいずれかにより走行する。さらに、エンジン2または電動機3を動力源とする補機としての塵芥装置Gを有する。
エンジン2と電動機3との間には、クラッチ4が設けられる。クラッチ4は、運転者の操作によって接断するものとは異なる。クラッチ4は、ハイブリッドECU(Electric Control Unit)5によって、自動的に接断制御される。なお、ハイブリッドECU5は、以降、HVECU5と記す。
車両1のハイブリッドシステム8は、電動機3、インバータ6、バッテリ7、およびHVECU5によって構成される。
車両1がハイブリッド自動車であることから、電動機3とバッテリ7を有しており、その電力を塵芥装置Gの駆動に利用することができる。すなわちハイブリッド自動車では、塵芥装置Gのために別な電動機を設ける必要がないので、容易に、塵芥装置Gの電動の動力源を得ることができる。
エンジン2は、エンジンECU9によって制御される。なお、エンジンECU9は、以降、ENGECU9と記す。ENGECU9は、エンジン2の燃料噴射量を主に制御する。また、ENGECU9は、HVECU5と連系する。これによりENGECU9およびHVECU5によって、ハイブリッドシステム8とエンジン2が協調して動作するように制御することができる。
また、このときにHVECU5は、電動機3、インバータ6、およびバッテリ7の他に、クラッチ4についても制御する。たとえばクラッチ4が締結されていると、車両1は、エンジン2による走行またはエンジン2と電動機3とが協働する走行のいずれかが可能になる。または、クラッチ4が締結されていると、エンジン2が電動機3によって始動が可能になる。あるいは、クラッチ4が締結されていると、エンジン2によって電動機3を発電機として動作させ、バッテリ7に充電を行うことが可能になる。また、クラッチ4が締結されていると、塵芥装置Gは、エンジン2の動力またはエンジン2と電動機3とが協働する動力によって動作が可能になる。一方、クラッチ4が切り離されていると、車両1は、エンジン2を連れ回すことなく、エンジン2のフリクションの影響を受けずに電動機3のみによる走行が可能になる。また、クラッチ4が切り離されていると、塵芥装置Gは、エンジン2を連れ回すことなく、エンジン2のフリクションの影響を受けずに電動機3のみによる動力による動作が可能になる。
電動機3の出力軸には、トランスミッション10が接続される。トランスミッション10は、トランスミッションECU11によって制御されて自動変速を行う。なお、トランスミッションECU11は、以降、TMECU11と記す。TMECU11は、HVECU5と連系する。たとえばTMECU11がトランスミッション10をローギア(発進段)に制御するとき、HVECU5は、発進時に多量に排出される排気ガスを無くすためなどの理由により、電動機3による発進となるように、エンジン2、電動機3、およびクラッチ4を制御する。また、TMECU11がトランスミッション10をトップギア(走行段)に制御するとき、HVECU5は、バッテリ7のSOCを回復させるためなどに理由により、エンジン2による走行、またはエンジン2と電動機3とが協働する走行になるように、エンジン2、電動機3、およびクラッチ4を制御する。
PTO装置12は、トランスミッション10に入力される動力を補機である塵芥装置Gの側に取り出すものである。PTO装置12は、車両1が停車中、且つトランスミッション10がニュートラル状態であるなどの諸条件を満たすときに、トランスミッション10に入力される動力を補機である塵芥装置Gの側に取り出すことができる。
塵芥装置Gは、PTO装置12の出力によって動作する油圧ポンプ13と、油圧ポンプ13から送り出される油圧によって動作する積込機14と、塵芥装置Gを制御する塵芥ECU15と、モード切替スイッチ16とを有する。
モード切替スイッチ16は、スイッチ部17と表示部18とを有する。モード切替スイッチ16は、塵芥ECU15に接続される。スイッチ部17の出力信号は、塵芥ECU15の入力信号になる。また、表示部18は、塵芥ECU15によって制御される。
塵芥ECU15は、HVECU5、ENGECU9、およびTMECU11と連系し、油圧ポンプ13、積込機14、およびモード切替スイッチ16の表示部18を制御する。
スイッチ部17は、電動機3によって塵芥装置Gを動作させるか否かを選択するためのスイッチである。たとえばスイッチ部17がOFF状態のときには、電動機3によって塵芥装置Gを動作させず、エンジン2によって塵芥装置Gを動作させる。一方、スイッチ部17がON状態のときには、動作が可能であれば電動機3によって塵芥装置Gを動作させる。
このようなモード切替スイッチ16を有するので、運転者等(たとえば運転者または塵芥収集作業者)が塵芥装置Gをエンジン2によって動作させるか、または電動機3によって動作させるかを選択することができる。たとえば車両1が早朝に塵芥収集作業を実施するとき、または車両1が、換気が不十分な地下室などで塵芥収集作業を実施するときには、騒音および排気ガスを減らすために、電動機3によって塵芥装置Gを動作させるモードを選択することができる。
また、表示部18は、塵芥ECU15の制御によって、塵芥装置Gが電動機3により動作が可能であるか否か、および動作が可能である場合にはバッテリ7のSOCを表示する。表示パターンについては、詳しく後述する。
トランスミッション10の出力は、ディファレンシャルギア19に伝達される。ディファレンシャルギア19の出力は、駆動輪20に伝達される。
制御装置21は、上述したHVECU5、ENGECU9、TMECU11、および塵芥ECU15によって構成される。これらの各ECUは、互いに連系しながら制御を実施する。このときに、どのECUがどの役割をどの程度の割合で分担するかなどは、各ECUの設計上のポリシによって様々に変更が可能である。あるいは、各ECUの複数または全部の機能を1つのECUによって実現することも可能である。よって、以下の説明においては、個々のECUの動作を単独で説明する必要が無い場合には、各ECUを1つにまとめて制御装置21として説明することとする。
なお、制御装置21からその被制御対象への制御信号の伝達経路、および後述するPTOメインスイッチおよび当該PTOメインスイッチからPTO装置12への信号伝達経路については、図示を省略する。たとえば当該伝達経路は、車両1の車内におけるCAN(Control Area Network)通信等により行われる。
次に、トランスミッション10およびPTO装置12の内部構成を図2に模式的に示す。トランスミッション10の内部構成は、電動機3の出力軸(これはトランスミッション10の入力軸“インプットシャフト”でもあり、以下、インプットシャフト30gと称する。)に設けられるドライブギア30と、メインシャフト31に設けられる1stギア30a,2ndギア30b,3rdギア30c,5thギア30d,およびRevギア30eと、インプットシャフト30gとメインシャフト31とを結合または切り離す直結機構30fと、結合機32を介してメインシャフト31に結合されるアウトプットシャフト33とを有して第一の系が構成される。さらにアウトプットシャフト33はディファレンシャルギア19に接続される。なお、ドライブギア30およびカウンタギア35を介し、インプットシャフト30gの回転は、カウンタシャフト34に伝達される。
メインシャフト31に設けられる1stギア30a,2ndギア30b,3rdギア30c,および5thギア30dは、変速操作に応じてメインシャフト31の回転に対し、自由状態または固定状態となる。すなわちメインシャフト31に設けられるあるギアが自由状態であると、メインシャフト31に設けられるこのギアは、メインシャフト31の回転の如何に係わらずに自由な状態になる。メインシャフト31の回転の如何に係わらず自由な状態となっているギアは、これに嵌合するカウンタギアを介してカウンタシャフト34の回転をメインシャフト31に伝達しない状態になる。一方、メインシャフト31に設けられるあるギアが固定状態であると、メインシャフト31に設けられるこのギアは、メインシャフト31の回転と共に回転する。メインシャフト31の回転に対し、固定状態となっているギアは、これに嵌合するカウンタギアを介してカウンタシャフト34の回転をメインシャフト31に伝達する。
このように変速操作に応じてメインシャフト31の回転に対し、メインシャフト31に設けられる1stギア30a,2ndギア30b,3rdギア30c,または5thギア30dを自由状態または固定状態とする機構は、一般的に、シンクロメッシュと呼ばれる機構である。なお、図2においては、シンクロメッシュの図示は省略する。
一方、Revギア30eは、メインシャフト31に固定され、メインシャフト31と共に回転する。
さらに、上述の第一の系に対向し、カウンタシャフト34に設けられるカウンタギア35〜35eを有して第二の系が構成される。カウンタギア35〜35eは、カウンタシャフト34に固定され、カウンタシャフト34と共に回転する。
さらに、上述の第二の系に対向し、PTO駆動用シャフト36に設けられるPTO駆動用ギア37を有して第三の系が構成される。PTO駆動用シャフト36は、結合機38を介して補機用アウトプットシャフト39に結合される。さらに補機用アウトプットシャフト39は油圧ポンプ13に接続される。PTO駆動用ギア37は、PTO駆動用シャフト36に固定され、PTO駆動用シャフト36と共に回転する。
図2において、ドライブギア30とカウンタギア35、1stギア30aとカウンタギア35a、2ndギア30bとカウンタギア35b、3rdギア30cとカウンタギア35c、および5thギア30dとカウンタギア35dは、嵌合している。ただし、1stギア30a,2ndギア30b,3rdギア30c,および5thギア30dは、変速操作に応じてメインシャフト31に対し、自由状態または固定状態とされる。また、Revギア30eとカウンタギア35eとの間には、リバース操作に応じてヘリカルギア40が挿入または抜去される。
たとえば、1stギア30aとカウンタギア35a、2ndギア30bとカウンタギア35b、3rdギア30cとカウンタギア35c、および5thギア30dとカウンタギア35dを全て自由状態とし、Revギア30eとカウンタギア35eとの間にヘリカルギア40が未挿入(すなわち抜去状態)であれば、トランスミッション10は、ニュートラル状態になる。
また、1stギア30aを固定状態とすれば、1stギア30aを介してカウンタシャフト34の回転がメインシャフトア31に伝達されるので、トランスミッション10のギア段数は1段目(1st)になる。また、2ndギア30bを固定状態とすれば、2ndギア30bを介してカウンタシャフト34の回転がメインシャフトア31に伝達されるので、トランスミッション10のギア段数は2段目(2nd)になる。また、3rdギア30cを固定状態とすれば、3rdギア30cを介してカウンタシャフト34の回転がメインシャフトア31に伝達されるので、トランスミッション10のギア段数は3段目(3rd)になる。また、直結機構30fによりインプットシャフト30gとメインシャフト31とを直結状態とすれば、トランスミッション10のギア段数は4段目(4th)になる。また、5thギア30dを固定状態とすれば、5thギア30dを介してカウンタシャフト34の回転がメインシャフトア31に伝達されるので、トランスミッション10のギア段数は5段目(5th)になる。また、Revギア30eとカウンタギア35eとの間にヘリカルギア40を挿入すれば、トランスミッション10はリバース状態(Rev)になる。
車両1は、図1に示す構成の他に、図示は省略するが運転席の付近にPTOメインスイッチを有する。車両1が停車状態、且つ不図示のシフトレバーの位置がニュートラルまたはパーキングに操作されることによって、トランスミッション10がニュートラル状態になっているなどの諸条件を満たしているときに、PTOメインスイッチがON状態に操作されると、PTO接続用ヘリカルギア41がカウンタギア35bとPTO駆動用ギア37との間に挿入され、PTO駆動用シャフト36にエンジン2または電動機3の出力軸から動力が伝達されて油圧ポンプ13が動作する。その後、塵芥装置Gの始動スイッチ(不図示)がON状態に操作されると、塵芥装置Gが作業を開始する。
一方、PTO接続用ヘリカルギア41は、不図示のPTOメインスイッチがON状態からOFF状態になると、少なくともトランスミッション10がニュートラル状態から離脱する以前に、PTO駆動用ギア37とカウンタギア35bとの間から抜去される。これにより、PTO駆動用シャフト36には、電動機3の出力軸からの動力は伝達されなくなり、塵芥装置Gと電動機3との間の動力伝達経路が切り離される。これにより油圧ポンプ13は動作できない状態になる。なお、PTO接続用ヘリカルギア41の挿入抜去機構はソレノイドなどによって実現される。また、PTOメインスイッチがON状態のときには、運転室内などには、塵芥装置Gと電動機3との間で動力伝達が可能になったことが表示ランプの点灯または点滅あるいはスピーカからの音声出力(たとえば「ピーティーオーはオンです。」)などによって通知される。同様に、PTOメインスイッチがOFF状態のときには、運転室内などには、塵芥装置Gと電動機3との間で動力伝達が不可能になったことが表示ランプの消灯あるいはスピーカからの音声出力(たとえば「ピーティーオーはオフです。」)などによって通知される。
次に、制御装置21の制御手順を、図3〜図7を参照しながら説明する。
バッテリ7の目標SOCを変更する制御について、図3および図4を参照しながら説明する。目標SOCとは、制御装置21がバッテリ7の充放電を制御する際に、目標とするSOCである。バッテリ7のSOCは、バッテリ7が複数のセルから構成される場合、各セルの充電量とそのバラツキの程度など、複数のパラメータによって値が決められるが、ここでは説明を分かり易くするために、単純に、バッテリ7を単セルとみなし、その充電量がSOCであるとして説明する。すなわち、ここでの目標SOCは、充電目標値である。
たとえばバッテリ7の寿命に配慮すれば、バッテリ7の温度上昇をなるべく抑える観点から、目標SOCは、低めに設定することが好ましい。一方、塵芥装置Gを電動機3により長い時間動作させることを考えた場合、目標SOCは、なるべく高いことが好ましい。
このように、塵芥装置Gを電動機3によって動作させることを前提とした目標SOCと、塵芥装置Gに係わらない目標SOCとでは、互いに異なる目標SOCとすることが好ましい。そこで、制御装置21は、図3に示すように、2つの目標SOC#1および#2を、状況に応じて設定するように制御する。
図3において、時刻t0〜t1および時刻t3以降は、塵芥装置Gを電動機3によって動作させることを前提としない目標SOC#1が設定され、時刻t1〜t3は、塵芥装置Gを電動機3によって動作させることを前提とした目標SOC#2が設定されている。なお、「塵芥装置Gを電動機3によって動作させることを前提とする」という状況は、実際に塵芥装置Gを電動機3によって動作させている状況だけではなく、これから塵芥収集作業を実施するために現場に向かっている状況も含むものである。なお、以下の説明では、塵芥装置Gを電動機3の動力によって動作させるモードを「電動モード」と称し、塵芥装置Gをエンジン2の動力によって動作させるモードを「エンジンモード」と称することとする。
たとえば図3において、時刻t1〜t2は、車両1は、これから塵芥収集作業を実施するために現場に向かっている時間である。また、時刻t2〜t3は、車両1は、現場に到着し、実際に塵芥装置Gを電動機3によって動作させている時間である。
図3の下図の曲線は、目標SOCに対するバッテリ7の実際のSOC(すなわち、ここでは充電量)の変化を示している。図3の下図によれば、時刻t0〜t1では、バッテリ7のSOCは、ほぼ目標SOC#1を満たしている。
時刻t1で、車両1の運転者等がスイッチ部17をON状態(すなわち電動モード設定)にしたことを制御装置21が認識すると、目標SOCを#1から#2に変更する。目標SOCが#1から#2に上昇すると、制御装置21は、バッテリ7のSOCを高くするように制御するので、時刻t1aで、SOCは、目標SOC#2に達する。
続いて、制御装置21は、時刻t1a〜t2まで、目標SOC#2を保つようにバッテリ7の充放電を制御する。
やがて車両1が塵芥収集現場に到着し、時刻t2〜t3まで、電動機3により塵芥装置Gを動作させて塵芥収集作業を実施する。これにより時刻t2〜t3の間に、バッテリ7のSOCは、徐々に低減する。
時刻t3に車両1は塵芥収集作業を終了し、事務所に帰還を開始する。このとき時刻t3で、車両1の運転者等がスイッチ部17をOFF状態(すなわち電動モード解除)にしたことを制御装置21が認識すると、目標SOCを#2から#1に変更する。時刻t4に車両1は事務所に帰還を完了する。車両1の帰還途中には、エンジン2による発電と回生発電とが実施されるので、時刻t4では、バッテリ7のSOCは、目標SOC#1まで回復する。
車両1は、事務所に帰還後は、その日の作業は全て終了したので、時刻t4以降は、運行を休止する。したがって、バッテリ7のSOCは、目標SOC#1のままである。
図3の制御手順を図4のフローチャートを参照しながら説明する。
なお、制御装置21を構成するHVECU5、ENGECU9、TMECU11、および塵芥ECU15などの各ECUは、情報処理装置の一例であり、予めインストールされている所定のプログラムを情報処理装置が実行することによって、その情報処理装置にECUの機能が実現される。たとえば情報処理装置は、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、情報処理装置には、ECUの機能が実現される。なお、上述したCPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。
図4のフローチャートにおいて、「START」の条件は、車両1のキースイッチがON状態であり、制御装置21は稼動中であるという条件である。「START」の条件が整っているときに、フローは、ステップS1に進む。なお、図4の「START」から「END」までのフローは1周期分のフローであり、「END」までフローが進んだときに、「START」の条件が整っているときには、フローは、再度開始される。
ステップS1において、制御装置21は、スイッチ部17は電動モード(すなわちON状態に操作されている)か否かを判定する。ステップS1において、スイッチ部17は電動モードであると判定されると、フローは、ステップS2に進む。一方、ステップS1において、スイッチ部17は電動モードでない(すなわちOFF状態に操作されている)と判定されると、フローは、ステップS4に進む。
ステップS2において、制御装置21は、目標SOCは#1か否かを判定する。ステップS2において、目標SOCは#1であると判定されると、フローは、ステップS3に進む。一方、ステップS2において、目標SOCは#1ではない(すなわち#2)と判定されると処理を終了する(END)。
ステップS3において、制御装置21は、目標SOCを#2に引き上げて処理を終了する(END)。
ステップS4において、制御装置21は、目標SOCは#2か否かを判定する。ステップS4において、目標SOCは#2であると判定されると、フローは、ステップS5に進む。一方、ステップS4において、目標SOCは#2でない(すなわち#1)であると判定されると、フローは、ステップS1に戻る。
ステップS5において、制御装置21は、目標SOCを#1に引き下げて処理を終了する(END)。
このようにして、制御装置21は、スイッチ部17の操作にしたがって目標SOCを#1から#2に引き上げる。なお、ステップS1において、スイッチ部17が電動モード(すなわちON状態)であっても不図示のPTOメインスイッチがOFF状態であれば、塵芥装置Gは動作しない状態である。
次に、目標SOC#2に対する実際のバッテリ7のSOCが現在どれくらいであるかを表示部18に表示させる制御手順について、図5および図6を参照しながら説明する。塵芥装置Gの操作者は、以下に説明する表示部18の表示パターンを確認することによって、現在のバッテリ7のSOCを認識することができる。
これによれば、未だ塵芥収集作業を行う以前であれば、これからの塵芥収集作業に際し、電動機3による塵芥装置Gの動作が可能か否かを判断することができる。また、現在、塵芥収集作業中であり、電動機3により塵芥装置Gを動作中であれば、今後どれくらいの回数、電動機3による塵芥装置Gの動作が可能であるのかを推定することができる。
次に、所定のSOC(MIN,ALT)に対するバッテリ7のSOCの変化の例を図5に示す。図5は、図3における時刻t2〜t4に対応する部分を示している。図5では、目標SOC#1および#2に加え、所定のSOCとして「ALT(ALART:警報)」および「MIN(MINIMUM:下限)」が設定されている。所定のSOCとしての「MIN」は、バッテリ7のSOCの下限であり、SOCがこれ以下になることはバッテリ7の性能維持のために避けなければならない。また、所定のSOCとしての「ALT」は、「MIN」よりもSOCが少し高く、バッテリ7のSOCが「MIN」に近いことをユーザに通知することが必要と考えられるSOCである。
図5において、バッテリ7のSOCが目標SOC#2以下であり#1以上であるときには、表示部18は連続的に点灯状態である。図5において、バッテリ7のSOCが目標SOC#1未満であり「ALT」以上であるときには、表示部18はゆっくり点滅する。図5において、バッテリ7のSOCが「ALT」未満であり「MIN」以上であるときには、表示部18は、速く点滅する。さらに、バッテリ7のSOCが「MIN」未満となるときには、電動モードで塵芥装置Gが動作中であれば、電動モードを強制終了する。
以上の制御手順を図6のフローチャートを参照しながら説明する。図6のフローチャートにおいて、「START」の条件は、車両1のキースイッチがON状態であり、制御装置21は稼動中であるという条件である。「START」の条件が整っているときに、フローは、ステップS10に進む。なお、図6の「START」から「END」までのフローは1周期分のフローであり、「END」までフローが進んだときに、「START」の条件が整っているときには、フローは、再度開始される。
ステップS10において、制御装置21は、SOC以外の条件は、電動モードに切替えが可能か否かを判定する。ここで、SOC以外の条件とは、たとえばバッテリ7の温度、インバータ6の温度、または電動機3の温度などの条件であり、これらの条件に基づいて制御装置21は、電動モードに切替えが可能か否かを判定する。たとえばバッテリ7の温度、インバータ6の温度、または電動機3の温度のいずれもが上限値を超えていなかったら、制御装置21は、電動モードに切替えが可能であると判定する。ステップS10において、SOC以外の条件は、電動モードに切替えが可能であると判定されると、フローは、ステップS11に進む。一方、ステップS10において、SOC以外の条件は、電動モードに切替えが可能でないと判定されると、フローは、ステップS16に進む。
ステップS11において、制御装置21は、バッテリ7のSOCが目標SOC#1以下か否かを判定する。ステップS11において、バッテリ7のSOCが目標SOC#1以下であると判定されると、フローは、ステップS12に進む。一方、ステップS11において、バッテリ7のSOCが目標SOC#1以下ではないと判定されると、フローは、ステップS17に進む。
ステップS12において、制御装置21は、バッテリ7のSOCが「ALT」以下か否かを判定する。ステップS12において、バッテリ7のSOCが「ALT」以下であると判定されると、フローは、ステップS13に進む。一方、ステップS12において、バッテリ7のSOCが「ALT」以下ではないと判定されると、フローは、ステップS18に進む。
ステップS13において、制御装置21は、バッテリ7のSOCが「MIN」以下か否かを判定する。ステップS13において、バッテリ7のSOCが「MIN」以下であると判定されると、フローは、ステップS14に進む。一方、ステップS13において、バッテリ7のSOCが「MIN」以下ではないと判定されると、フローは、ステップS19に進む。
ステップS14において、制御装置21は、塵芥装置Gが現在、電動モードで動作中か否かを判定する。ステップS14において、塵芥装置Gが現在、電動モードで動作中であると判定されると、フローは、ステップS15に進む。一方、ステップS14において、塵芥装置Gが現在、電動モードで動作中ではないと判定されると、フローは、ステップS20に進む。
ステップS15において、制御装置21は、塵芥装置Gの電動モードを強制終了して処理を終了する(END)。
ステップS16において、制御装置21は、表示部18がこれまで点灯していたら消灯し、または表示部18が消灯していたらそのまま消灯の状態とし、フローは、ステップS10に戻る。
ステップS17において、制御装置21は、表示部18を連続的に点灯させて、フローは、ステップS10に戻る。
ステップS18において、制御装置21は、表示部18をゆっくりと点滅させて、フローは、ステップS10に戻る。
ステップS19において、制御装置21は、表示部18を速く点滅させて、フローは、ステップS10に戻る。
ステップS20において、制御装置21は、表示部18がこれまで点灯していたら消灯し、または表示部18が消灯していたらそのまま消灯の状態とし、フローは、ステップS10に戻る。
このように、制御装置21は、表示部18の点灯または点滅の表示パターンを変更することにより、電動モードへの切替えの可否と共に、バッテリ7のSOCの状況を操作者に通知する。操作者は、表示部18の表示パターンを確認することによって、電動モードへの切替えの可否とバッテリ7のSOCの状態とを認識する。これにより、操作者は、塵芥装置Gを電動機3によって、動作させることができるか否か、または、塵芥装置Gを電動機3によって、動作させることができる場合、どれくらいの時間動作させることができるか、といったことを容易に推定することができる。さらに、バッテリ7のSOCが極端に低い場合(すなわち「MIN」以下)、電動モードを強制終了させることによって、バッテリ7を保護することができる。
なお、ステップS15で、電動モードを強制終了させてからの処理については、たとえばエンジンモードに自動的に切替えてもよいし、あるいは操作者が手動でエンジンモードに切替えるなどの措置を講じるようにしてもよい。
また、車両1は、塵芥装置Gを可能な限り電動機3によって動作させることを目指している。このため、バッテリ7が過充電になってしまう場合を除き、塵芥装置Gをエンジン2によって動作させているときにも、併せてエンジン2によって電動機3を発電機として動作させ、いつでも電動モードに切替えが可能なように、バッテリ7に充電を行うようにする。この充電の制御手順を図7のフローチャートを参照しながら説明する。
図7のフローチャートにおいて、「START」の条件は、車両1のキースイッチがON状態であり、制御装置21は稼動中であるという条件である。「START」の条件が整っているときに、フローは、ステップS20に進む。なお、図7の「START」から「END」までのフローは1周期分のフローであり、「END」までフローが進んだときに、「START」の条件が整っているときには、フローは、再度開始される。
ステップS30において、制御装置21は、塵芥装置Gが現在、エンジンモードで動作中か否かを判定する。ステップS30において、塵芥装置Gが現在、エンジンモードで動作中であると判定されると、フローは、ステップS31に進む。一方、ステップS30において、塵芥装置Gが現在、エンジンモードで動作中ではないと判定されると、フローは、ステップS30を繰り返す。
ステップS31において、制御装置21は、バッテリ7のSOCが目標SOC#2以下であるか否かを判定する。ステップS31において、バッテリ7のSOCが目標SOC#2以下であると判定されると、フローは、ステップS32に進む。一方、ステップS31において、バッテリ7のSOCが目標SOC#2以下ではないと判定されると、処理を終了する(END)。
このように、制御装置21は、エンジンモードで塵芥装置Gが動作している間もバッテリ7のSOCが目標SOC#2以下である場合には、電動機3による発電を実施し、バッテリ7に充電を行っている。これによれば、電動モードを常時スタンバイの状態とし、エンジンモードから電動モードへのモード切替えを任意のタイミングで行うことができる。
実際の運用では、通常の塵芥収集作業中には、スイッチ部17をON状態とすることで、目標SOC#2を維持させておき、PTOメインスイッチの開閉によって、塵芥装置GをON/OFFさせることにより、バッテリ7のSOCを高い状態に保つことができる。一方、塵芥作業のエリア変更等で、車両1が塵芥作業を行わずに長時間移動するようなときには、スイッチ部17をOFF状態とすることで、目標SOCは#1とされるので、バッテリ7のSOCは、目標SOC#1に近い低い状態を保ち、長時間移動中のおけるバッテリ7の温度上昇を抑えることができる。
なお、図7の例のように、目標SOCが#2以下であると自動的にバッテリ7の充電を行うように制御する他に、別途、バッテリ7の充電の実行を運転者等の操作により指示できるスイッチを設け、このスイッチの操作に応じてバッテリ7の充電を実行するようにしてもよい。あるいは、目標SOC#1,#2の他に、エンジンモードで動作中にバッテリ7の充電を行うか否かを判定するための閾値を別に設けてもよい。このような閾値は、たとえば目標SOC#1と目標SOC#2との間のいずれかに設けるとよい。
なお、上述の図4、図6、および図7のフローチャートの処理は、制御装置21によって、並列に処理されているものとする。
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、上述の実施の形態では、補機の一例として、塵芥装置Gを例示したが、補機の種類はどのようなものであってもよい。たとえば、塵芥装置Gの例では、油圧ポンプ13をPTO装置12によって駆動する例を示したが、補機がエアコンであればコンプレッサをPTO装置12によって駆動するように構成できる。その他にも、補機は、コンクリートミキサやクレーンなど、様々な種類とすることができる。
上述した表示部18の表示形態は、その他にもいろいろな表示形態とすることができる。たとえば、表示部18を構成するランプの消灯、点灯または点滅に代えて、多色の発光ダイオード等により表示色を変えてもよい。あるいは、表示部18を文字表示器で構成し、「電動モード可」、「電動モード不可」、「SOC高」、「SOC中」、または「SOC低」などと文字表示させてもよい。もしくは、表示部18をスピーカとし、音声情報によって、「電動モードは可能です。」、「電動モードは不可能です。」、「SOCは高いです。」、「SOCは中程度です。」、または「SOCは低いです。」などと合成音声で知らせてもよい。
また、上述の実施の形態では、「制御装置21は、スイッチ部17の操作にしたがって目標SOCを#1から#2に引き上げる。」と説明したが、これは一例であって、制御装置21が目標SOCを引き上げる契機を、スイッチ部17の操作に限定するものではない。たとえば目標SOCを変更するためのスイッチを別途設け、制御装置21は、このスイッチの操作にしたがって目標SOCを引き上げてもよい。
もしくは、塵芥収集作業のスケジュールが予め分かっている場合には、制御装置21は、運転者等による手動のスイッチの操作によらずに、タイマ等の装置に内蔵されている自動的なスイッチの入力にしたがって目標SOCを引き上げてもよい。たとえば1週間の中で、塵芥収集作業のスケジュールが予め決定している場合などでは、1週間の各曜日の時間帯毎にON/OFFの状態を設定できるスイッチを内蔵したタイマを設けておき、このタイマのスイッチがON状態では、目標SOCが#2となり、このタイマのスイッチがOFF状態では目標SOCが#1となるようにしておく。このタイマを用いて、たとえば1週間のうち月曜日から金曜日までの午前9時〜午後5時までは、目標SOCが#2(タイマON)となり、それ以外の曜日と時間帯には目標SOCが#1(タイマOFF)となるように、設定しておくようにしてもよい。
また、制御装置21を構成する情報処理装置が実行するプログラムは、制御装置21の出荷前に、情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、制御装置21の出荷後に、情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、プログラムの一部が、制御装置21の出荷後に、情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。制御装置21の出荷後に、情報処理装置のメモリなどに記憶されるプログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
また、プログラムは、情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
このように、情報処理装置とプログラムによって制御装置21の機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。