JP5205223B2 - 人体用デオドラント剤 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを含む人体用デオドラント剤に関する。
紫外線や赤外線の遮断、抗菌、及び消臭等を目的として、酸化亜鉛を含む様々な皮膚外用材が開発されている。
例えば、大粒子径の酸化亜鉛を含有させることにより赤外線を遮蔽する赤外線遮断物質含有化粧料(特許文献1参照)や、抗菌・消臭剤成分として塩基性炭酸亜鉛及び/又は酸化亜鉛とオキシカルボン酸を用いた抗菌・消臭剤組成物(特許文献2参照)などが存在する。
とりわけ、出発物質として酸化亜鉛微粒子を用い、これをシリカゲル等の母粒子と複合化させた微粒子を含む皮膚外用材は、透明性を有し、紫外線を遮断することから、該複合粒子やその製法について様々な研究が行われている。
例えば、触媒活性が実質的に無く、可視光線域においては高透明性で、かつ紫外線域においては高遮蔽性を有するものとして、一次粒子がその形状を保持したまま凝集してなる母粒子(二次粒子)と、該母粒子内に分散・固定化された子粒子よりなる紫外線遮蔽性複合微粒子が開示されている(特許文献3及び4参照)。
また、紫外線遮蔽能に優れ、かつ可視光透過性良好なものとして、無機物質の表面が結晶性の酸化亜鉛膜で被覆されてなる複合顔料が開示されている。該顔料は、有機亜鉛および不飽和脂肪酸を含有する有機溶媒に無機物質を分散させ、該溶媒を留去後、400〜700℃で焼成して得るものとされ、例えば、二次粒子のシリカに酸化亜鉛を被覆した複合顔料が開示されている(特許文献5参照)。
また、金属酸化物の分散性が高く、紫外線防御能と透明性が十分得られるものとして、二次粒子であるシリカゾルを含有する分散体と、一次粒子である微粒子金属酸化物又は金属酸化物ゾルを混合して得られることを特徴とする金属酸化物/シリカ複合体が開示されている(特許文献6参照)。
しかしながら、これらの二次粒子に対して金属微粒子を複合化させた粉体を含む皮膚外用剤は、消臭性を有する人体用デオドラント剤として日常的に用いるには使用感触が悪いという問題がある。
なお、透明感と紫外線遮蔽能を併せ持つものとして、超微粒子酸化亜鉛をシリカの原料であるテトラエトキシシランで表面被覆してなることを特徴とするシリカ被覆超微粒子酸化亜鉛粉体が開示されている(特許文献7参照)。
ところで、シリカヒドロゲル(一次粒子)を用いた微粒子シリカゲルの製造方法として、次の製法が開示されている。まず、シリカヒドロゲルのSiO2 に対する水の量を特定の質量比としたスラリーを水熱処理することにより水熱微粉砕処理し、これをスプレードライヤ等の手段で乾燥する。次に、金属化合物微粒子をこのスラリーに加えて乾燥することにより金属化合物微粒子が内包されたシリカゲルを得る微粒子シリカゲルの製造方法が開示されている(特許文献8参照)。
しかしながら、前記製造方法により製造された微粒子シリカゲルは、主として紫外線遮断剤として用いられるものであった。
また、平均粒子径が1μm〜200μm、吸湿率が20質量%以下、金属化合物含量が5〜80質量%の微小粒子状シリカゲル等が開示されている(特許文献9参照)。
しかしながら、前記微粒子状シリカゲル等は、一般的な吸油量を保持しつつ、空気中の水分吸着を改善し、易崩壊性を有するものとして利用されるものであり、消臭効果を与える人体用デオドラント剤として用いられるものではなかった。
よって、出発物質として酸化亜鉛微粒子を用い、これをシリカゲルと複合化させた複合粉体を、デオドラント剤として人体に用いた場合の諸効果は検討されていない状況であり、該複合粉体を人体用デオドラント剤として用いたものは存在しないというのが現状である。
特開2005−162695号公報 特開平10−328280号公報 特開平09−100112号公報 特開平08−12961号公報 特開平09−40884号公報 国際公開第02/24153号パンフレット 国際公開第00/46152号パンフレット 特開2000−327320号公報 特開2001−31414号公報
本発明の目的は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、使用感触が良好で、かつ、消臭効果が高い人体用デオドラント剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決する手段は、以下のとおりである。即ち、
<1> シリカヒドロゲルを、SiO2 濃度が5.0質量%〜15.0質量%のスラリー状態で、攪拌下水熱処理し、平均粒子径が100μm以下の微細化シリカヒドロゲルのスラリーとする水熱微粉砕工程を含む微細化シリカヒドロゲルスラリーの調製工程と、前記微細化シリカヒドロゲルスラリー中に平均粒子径が0.1μm〜0.5μmで一次粒子状の酸化亜鉛微粒子を導入し、シリカヒドロゲル微粒子と前記酸化亜鉛微粒子との混合スラリーを得る混合スラリー化工程と、前記混合スラリーを乾燥する乾燥工程と、を含む製造方法により製造された、前記酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを含むことを特徴とする人体用デオドラント剤である。
<2> 微粒子状シリカゲルの全質量に対する酸化亜鉛の含有量が、20質量%〜70質量%である前記<1>に記載の人体用デオドラント剤である。
<3> 微粒子状シリカゲルの平均粒子径が、1μm〜30μmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の人体用デオドラント剤である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、使用感触が良好で、かつ、消臭効果が高い人体用デオドラント剤を提供することができる。
(人体用デオドラント剤)
本発明は、酸化亜鉛微粒子を内包する粒子状シリカゲルの製造方法により製造された、酸化亜鉛微粒子を内包する粒子状シリカゲルを含む人体用デオドラント剤である。
<酸化亜鉛微粒子を内包する粒子状シリカゲルの製造方法>
前記酸化亜鉛微粒子を内包する粒子状シリカゲルの製造方法は、微細化シリカヒドロゲルスラリーの調製工程と、混合スラリー化工程と、乾燥工程とを含み、その他必要な工程とからなる。
―微細化シリカヒドロゲルスラリーの調製工程―
微細化シリカヒドロゲルスラリーの調製工程は、前記シリカヒドロゲルを、SiO2 濃度が5.0質量%〜15.0質量%のスラリー状態で、攪拌下水熱処理し、平均粒子径100μm以下の微細化シリカヒドロゲルのスラリーとする水熱微粉砕工程と、その他必要な工程を含む。
その他必要な工程としては、制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式微粉砕工程が挙げられる。
前記微細化シリカゲルスラリー中のシリカゲル粒子の平均粒子径としては、100μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、3μm以下が最も好ましい。
平均粒子径が100μmを超えると、後述する混合スラリー工程において、酸化亜鉛微粒子を十分内包することが困難である。
一方、前記微細化シリカゲルスラリー中のシリカゲル粒子の平均粒子径が、1μm未満にする事は長時間の機械的粉砕処理を必要とし、また最終的な人体用デオトラント剤の性能向上に与える影響は少ない事から、技術的・経済的に無意味である。また、酸化亜鉛微粒子を十分内包することが困難である場合がある。
なお、明細書中、平均粒子径は、体積平均径、すなわちMV値(Mean Volume Diameter)を意味し、体積で重み付けされた平均粒径を意味する。
粒径の測定方法は、上記に定義した平均粒径を測定できるものであれば、特に限定はない。例として、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920型)、コールターカウンター(ベックマン・コールター社製、MALTISIZER 3)を用いることができる。
−−水熱微粉砕工程−−
前記水熱微粉砕工程は、シリカヒドロゲルを、SiO2 濃度が5.0質量%〜15.0質量%のスラリー状態で、攪拌下水熱処理し、平均粒子径100μm以下の微細化したシリカヒドロゲルスラリーとする工程である。
水熱処理装置としては、通常、攪拌羽根付きの高圧装置であるオートクレーブが使用される。
なお、オートクレーブに仕込むシリカヒドロゲルの平均粒子径が0.1μm〜5mmであれば、液攪拌下の水熱処理のみにより平均粒子径100μm以下、さらに好ましくは20μm以下1μm以上の粒子径まで容易に微粒子化できる。
また、シリカヒドロゲルスラリー中のSiO濃度は、5.0質量%〜15.0質量%が好ましい。SiO濃度が15.0質量%を超えると、オートクレーブ槽内で十分にスラリーを攪拌することが困難になる。一方、SiO濃度が5.0質量%未満であると、得られるシリカスラリー中の水の量が多く、後工程の乾燥工程での水分蒸発負荷が大きくなるので好ましくない。
該シリカヒドロゲルスラリー中のpH値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
水熱処理の温度範囲は、130℃〜230℃、好ましくは150℃〜230℃が望ましい。温度が130℃未満と低い場合には、水熱処理によるシリカヒドロゲルの粒子径微細化の効果が乏しく、230℃を超える場合には、温度レベルの増大に見合う水熱処理によるシリカヒドロゲルの粒子径微細化の促進効果が少なく、技術的・経済的に無意味である。
水熱微粉砕処理の時間は、水熱処理温度によって変わりうるが、通常0.2hr〜24hrが適当である。水熱処理時間が0.2hrに満たない場合には、水熱処理による粒子径微細化の十分な効果が得られず、また水熱処理時間が24hrを超えると、粒子の再凝集現象が生じるようになる。
−−湿式微粉砕工程−−
前記湿式微粉砕工程は、前記水熱微粉砕工程で微細化された微細化シリカヒドロゲルスラリーを、機械的に湿式粉砕して、さらに微細化する工程である。
シリカヒドロゲルスラリーを乾燥して得られる微小球状シリカゲルの目標平均粒子径が100μm以下、好ましくは10μm以下のより小さな粒子を得るためには、水熱微粉砕処理により平均粒子径20μm以下に微細化したシリカヒドロゲルスラリーを、機械的に湿式粉砕して、シリカヒドロゲルの平均粒子径を、1μm〜3μmまでさらに微細化することが好ましい。このような粉砕処理により、噴霧乾燥等で得られる微小球状シリカゲルが、一層真球形状に近く、また粒子表面がより滑らかなものが得られる。
ここで用いられる湿式粉砕機としては、粒子径1mm以下のビーズを用いる湿式媒体攪拌ミルであるビーズミル、粒子径数mmのボールを用いる湿式媒体攪拌粉砕機や湿式ボールミルなどが適用される。
−混合スラリー化工程−
前記混合スラリー化工程は、前記微細化シリカヒドロゲルスラリー中に平均粒子径0.1μm〜0.5μmで一次粒子状の酸化亜鉛微粒子を導入し、シリカヒドロゲル微粒子と酸化亜鉛微粒子との混合スラリーを得る工程である。
−−酸化亜鉛微粒子−−
本発明における酸化亜鉛微粒子は、一次粒子状であり、その一次粒子の大きさ( 粒径 )が、0.1μm〜0.5μmのものである。0.1μm未満では、比表面積が増大してはじめから凝集状態にあり、微粒子を十分分散した状態でシリカヒドロゲルスラリー中に導入することができない。また0.5μmを超えると、シリカゲルの粒子径に比較して相対的に大きすぎて、シリカゲル粒子内に良好に分散した状態で内包されることが困難になり好ましくない。
酸化亜鉛微粒子を内包させるには、水熱微粉砕工程により微細化されたシリカヒドロゲルスラリー中に、または必要に応じてさらに湿式粉砕によりいっそう微細化されたシリカヒドロゲルスラリー中に、平均粒子径0.1μm〜0.5μmの酸化亜鉛微粒子を、SiO2 質量に対して、20質量%〜70質量%添加導入して十分に分散させ、シリカヒドロゲル微粒子と酸化亜鉛微粒子との混合スラリーを得るのである。この分散は、前記したように水熱微粉砕処理を行うオートクレーブや湿式粉砕機中で行うことが好ましい。
−乾燥工程−
前記乾燥工程は、前記シリカヒドロゲル微粒子と酸化亜鉛微粒子との混合スラリーを乾燥する工程である。
該混合スラリーを、乾燥して、単分散した微小酸化亜鉛微粒子を内包した微小粒子状シリカゲルを得る乾燥装置としては、粒子同志の凝集を防止するため固定層を形成しないで粒子や液滴が熱風中で分散する形式が好ましく、例えば噴霧乾燥機、媒体流動層乾燥機、気流乾燥機などが適している。特に、噴霧乾燥機が適している。
特に、微小球状のシリカゲルを得ようとする場合には、乾燥装置としては、噴霧乾燥機が適しており、噴霧乾燥機のスラリー液の噴霧微粒化の方式としては、特に限定するものではないが、高速回転円盤、一流体圧力ノズル、二流体ノズル、超音波ノズルなどが適用される。
噴霧乾燥機を用いる場合のスラリー供給量、加熱温度等の諸条件としては、亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルが製造できればよいため、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲル−
前記酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲル中における酸化亜鉛の内包率としては、全質量に対して20質量%〜70質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
酸化亜鉛の内包率が20質量%未満では、消臭効果、抗菌効果等の酸化亜鉛の効果を十分に奏することができない。また、これが70質量%を超えると、シリカゲルにより酸化亜鉛粒子を十分内包することが困難になり、当該酸化亜鉛微粒子が直接配合されるべき人体用デオドラント剤に含まれるマトリクス成分と接触してこれを変質させたり分解するおそれがある。また、70質量%を超えると、ゴロゴロ、ざらざらといった違和感を生じ、使用感触が悪くなる。
前記酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルにおける酸化亜鉛微粒子の一次粒子の大きさ( 粒径 )としては、0.1μm〜0.5μmのものである。即ち、該酸化亜鉛微粒子は、混合スラリー化工程で導入される際の形状が維持され、凝集することなく一次粒子のまま前記酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルに内包される。
前記酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルの平均粒子径としては、1μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜25μmであることがより好ましい。0.1μm〜0.5μmの酸化亜鉛微粒子を用いる場合、微粒子状シリカゲルの平均粒子径を1μm未満に製造することが困難であり、また、30μmを超えると、ゴロゴロ、ざらざらといった違和感を生じ、使用感触が悪くなる。
シリカゲル中に内包された酸化亜鉛微粒子は、その粒径がシリカゲル粒子の粒径に対して微小なものであり、一個のシリカゲル中に一個以上、通常数個好ましくは多数の酸化亜鉛微粒子が分散した状態で包含されている。本発明に云う「内包」とは、このような状態で酸化亜鉛微粒子がシリカゲル粒子中に含まれていることを意味する。
おそらく、多数の細孔を有するシリカゲル粒子においては、シリカゲル粒子が乾燥する過程において、当該細孔内を満たしているスラリーの液相のみが揮発して乾燥し、不揮発の酸化亜鉛微粒子がシリカゲル内部の細孔に担持された状態で残留するものと推定される。これがシリカゲル粒子中に酸化亜鉛微粒子が内包されている態様ではないかと考えられる。
<人体用デオドラント剤>
前記人体用デオドラント剤は、前記酸化亜鉛微粒子を内包するする微粒子状シリカゲルを含み、必要に応じて他の成分を含む。
−他の成分−
前記人体用デオドラント剤の他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、制汗成分及び殺菌成分の少なくともいずれかを配合することが、優れた消臭効果を発現する上で好ましい。
前記制汗成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、ブロムヒドロキシアルミニウム、アルミニウムクロライド、フェノールスルホン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、アルミニウムジルコニウム錯体、クロルヒドロキシジルコニウム、クロルヒドロキシアルミニウムジルコニウム、レシノレンサン亜鉛、スメクタイト、タンニン酸などが挙げられる。また、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記殺菌成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、3,4,4−トリクロロカルバニリド(T.C.C)、トリエチルサイトレート(T.E.C)、塩化ベンゾトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、ハロカルバン、ヒノキチオール、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、サリチル酸、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、銀担持ゼオライト、銀担持シリカなどが挙げられる。また、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、一般に人体用デオドラント剤に用いられる任意成分として、例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、増粘剤、溶剤、噴射剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、清涼剤、抗炎症剤、ビタミン類、アミノ酸類、水等を目的に合わせて適宜配合することができる。
前記人体用デオドラント剤の具体的な形態例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、皮膚外用剤として幅広く適用することが可能であり、例えば、エアゾール、液状、固体、パウダー等として広く適用可能であるが、良好な使用感触が得られる観点から、エアゾールの態様で用いるのが好ましい。
前記エアゾールの態様で使用する場合の噴射剤成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロパン、ブタン等の液化石油ガス、イソペンタン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。該噴射剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記噴射剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記制汗デオドラント剤組成物全体に対し、50質量%〜99質量%が好ましく、70質量%〜95質量%がより好ましい。前記含有量が、50質量%未満であると、前記原液が肌に多く付着し、肌上で液だれを起こすなど、使用感が悪くなることがあり、99質量%を超えると、前記原液の肌への付着量が少なくなることにより、充分な効果が得られないことがある。一方、前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、前記原液が適度な量で肌に付着するために、より使用感触に優れ、所望の効果が得やすい点で、有利である。
このような酸化亜鉛内包微小粒子状シリカゲルは人体用デオドラント剤として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例と比較例に基づき、より具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<製造方法1>
−水熱微粉砕処理工程−
シリカヒドロゲルを、ロールクラッシャーを用いて、平均粒子径1.0mmに粗粉砕した。アンカー型攪拌羽根を備えた内容量50リッターのオートクレーブに前記の粗粉砕されたシリカヒドロゲル22,000gおよび水18,000gを仕込み、SiO濃度10.0質量%のスラリー状態で、温度200℃で5時間、攪拌回転数90rpmで水熱微粉砕処理を行った。シリカヒドロゲルスラリーのpHは6であった。
水熱処理後のスラリー中のシリカヒドロゲル粒子は、微細化され、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920型)による粒子径測定では、平均粒子径15.0μmであった。また、水熱処理後のスラリー中のSiO濃度は、10.2質量%であった。
−湿式粉砕工程−
次いで、前記スラリーを、その濃度のまま湿式粉砕機(シンマルエンタープライゼス社製ダイノ−ミル、直径0.5mmビーズ使用)を用いて、さらに微粉砕した。微粉砕後のスラリー中のシリカヒドロゲル粒子のコールターカウンター(ベックマン・コールター社製、MALTISIZER 3、アパーチャーチューブ径50μm使用)による平均粒子径は、1.7μmであった。
−混合スラリー化工程−
前記湿式粉砕後のシリカヒドロゲルスラリー12,745gに、本荘ケミカル株式会社製の酸化亜鉛(品名 微細酸化亜鉛、平均粒子径0.3μm)700gを添加し、前記と同じ湿式粉砕機を用いて、シリカヒドロゲル及び酸化亜鉛を混合・分散させた。なお、酸化亜鉛の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920型)で測定した。
−乾燥工程−
前記分散後のスラリーを、その濃度のまま小型のスプレードライヤー(ヤマト科学社製GA32型)を用いて、スラリー供給量13mL/min、噴霧圧力117,680N/m(=1.2kg/cm(G))、熱風温度180℃で噴霧乾燥を行い、実施例1の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。得られた粒子形状は、ほぼ真球状で、粒子表面は、滑らかであった。
(実施例2)
<製造方法2>
実施例2では、混合スラリー化工程における湿式粉砕後のシリカヒドロゲルスラリーの添加量を12,745gに変えて9,709gとするとともに、酸化亜鉛の添加量を700gに変えて1,000gとし、また、乾燥工程における熱風温度を180℃に変えて200℃としたこと以外は、製造方法1と同様にして、実施例2の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
また、湿式粉砕工程におけるシリカヒドロゲル粒子の粒子径の測定は、コールターカウンター(ベックマン・コールター社製、MALTISIZER 3、アパーチャーチューブ径50μm使用)を用いて行った。湿式微粉砕後のスラリー中のシリカヒドロゲル粒子の平均粒子径は、1.6μmであった。
(実施例3)
実施例3では、混合スラリー化工程で添加する酸化亜鉛の量を700gに変えて500gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例4)
実施例4では、混合スラリー化工程で添加する酸化亜鉛の量を1,000gに変えて1,400gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例5)
実施例5では、混合スラリー化工程で添加する酸化亜鉛の量を1,000gに変えて1,600gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例5の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例6)
実施例6では、混合スラリー化工程で添加する酸化亜鉛の量を700gに変えて200gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例7)
実施例7では、混合スラリー化工程で添加する酸化亜鉛の平均粒子径を0.3μmに変えて0.1μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例7の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例8)
実施例8では、混合スラリー化工程で添加する酸化亜鉛の平均粒子径を0.3μmに変えて0.5μmとした以外は、実施例2と同様にして、実施例8の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例9)
実施例9では、乾燥工程において、スラリー供給量6mL/min、噴霧圧力294,200N/m(=3.0kg/cm(G))、熱風温度150℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例10)
実施例10では、乾燥工程において、スラリー供給量13mL/min、噴霧圧力78,453N/m(=0.8kg/cm(G))とした以外は、実施例1と同様にして、実施例10の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例11)
実施例11では、乾燥工程において、スラリー供給量13mL/min、噴霧圧力58,840N/m(=0.6kg/cm(G))とした以外は、実施例1と同様にして、実施例11の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例12)
実施例12では、乾燥工程において、スラリー供給量13mL/min、噴霧圧力39,227N/m(=0.4kg/cm(G))とした以外は、実施例1と同様にして、実施例12の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(実施例13)
実施例13では、乾燥工程において、スラリー供給量13mL/min、噴霧圧力19,613N/m(=0.2kg/cm(G))とした以外は、実施例1と同様にして、実施例13の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(比較例1)
比較例1では、酸化亜鉛の平均粒子径を0.3μmに変えて0.01μmとしたこと以外は実施例2と同様に実施したが、混合スラリー化工程で酸化亜鉛粒子が凝集したため、その後の混合・分散することができず、酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを製造することができなかった。
(比較例2)
比較例2では、酸化亜鉛の平均粒子径を0.3μmに変えて2.0μmとしたこと以外は実施例2と同様にして、混合スラリー化工程を実施したが、酸化亜鉛粒子が大きすぎ、シリカゲル粒子内に内包されず、酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを製造することができなかった。
(比較例3)
微細酸化亜鉛(商品名、微細亜鉛華、平均粒子径0.3μm、本荘ケミカル株式会社製)の微粒子のみについての評価を行った。
(比較例4)
比較例4では、シリカゲル微粒子(商品名、サンスフェア H−121、平均粒子径12μm、AGCエスアイテック株式会社社製)を比較例4のシリカゲル微粒子とし、該シリカゲル微粒子のみについての評価を行った。
(比較例5)
<製造方法3>
比較例5では、特許文献3(特開平09−100112号公報)及び特許文献4(特開平8−12961号公報)に記載された下記製造方法3に基づき、比較例5の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
先ず、比較例5は、シリカゾル(日産化学工業(株)製ST−C、SiO
濃度20.5質量%)73g、酸化亜鉛超微粒子(堺化学工業(株)製FINEX75)0.8g及び水を混合して1Lとし、原料液とした。
次に、原料液の分散処理は、高圧分散機を用いて行った。
続いて当該原料液を超音波式ネブライザーによって噴霧し、平均径約5μmの微小な液滴とした。
そして、これをキャリアーガス(空気)に同伴させ、外部から電気炉によって500℃に加熱したセラミックチューブ製乾燥管内を通過させて乾燥し、比較例5の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(比較例6)
<製造方法4>
比較例6では、特許文献5(特開平09−40884号公報)に記載された製造方法4に基づき、比較例6の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
先ず、2−エチルヘキサン酸亜鉛100g、リノール酸50g、ジメチルポリシロキサン5gおよび有機溶媒としてキシレン300gを混合、攪拌して酸化亜鉛被膜用溶液を得た。
次に、該溶液を180℃〜200℃で2時間還留を行い、室温まで冷却し、ホモミキサーを用いて3,000rpmで1時間攪拌しながら、球状シリカ(粒径10.0μm)15gを分散させた。続いて、この分散液を6.7×10N/m〜26.7×10N/m(=5mmHg〜20mmHg)の減圧下で30分間で蒸留し、溶媒を留去した。
そして、得られた粘稠液を電気炉に入れ、500℃で2時間焼成することにより、比較例6の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
(比較例7)
<製造方法5>
比較例7では、特許文献6(国際公開第02/24153号パンフレット)に記載された製造方法5に基づき、比較例7の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
先ず、スノーテックスXL(日産化学製シリカゾル、シリカ含有量40%、一次粒子径40nm〜60nm)中に酸化亜鉛粉末(一次粒子径50nm〜100nm)を質量比で、シリカゾル:酸化亜鉛=25:75の割合になるように分散させた。
次に、分散体中に0.1M希塩酸を滴下し、ゲル状になったものを乾燥、粉砕した。
そして、この粉末を水洗し再び乾燥させ、比較例7の酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを得た。
<酸化亜鉛内包率の測定方法>
実施例1〜13における酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルの化学組成の測定は、以下のキレート滴定法を用いて行った。これにより微小球状粒子中の酸化亜鉛微粒子の内包率を次のように算出した。
キレート滴定法
(i)試料を850℃で恒量になるまで強熱し、デシケーター中で放冷する。
(ii)100mL白金皿へその試料を約0.4g取り、精確に秤量する。
(iii)硫酸、フッ酸を加え、バーナー上で蒸発乾固する。
(iv)乾固後、塩酸10mLを加えて加熱して溶かす。
(v)冷却後、水を加えて250mLとする。
(vi)この液10mLに20%酢酸アンモニウム水溶液10mLと水を加えて100mLとした後、薄めたアンモニア水でpH5.5に調整する。
(vii)pH調整後、0.01mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(EDTA)溶液で黄色になるまで滴定する。(指示薬:キシレノールオレンジ試薬)
(viii)滴定量、試料採取量を下記式1に代入し、酸化亜鉛内包率を算出した。
<平均粒子径の測定方法>
実施例1〜13における酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルの平均粒子径の測定は、コールターカウンター(ベックマン・コールター社製、MALTISIZER 3、アパーチャーチューブ径100μm使用)を用いて行った。
なお、製造方法3〜5を用いた場合の酸化亜鉛微粒子の平均粒子径、酸化亜鉛内包率、微粒子状シリカゲルの平均粒子径については、製造方法1、2における測定方法と異なるため、測定を省略している。
<製剤の調整>
下記表1記載の組成例1の製剤を次のように調製し、消臭効果および使用感触の評価に用いた。
まず、粉体状の実施例1〜13及び比較例1〜7の微粒子状シリカゲルにおけるいずれかの微粒子状シリカゲル5質量%、クロルヒドロキシアルミニウム20質量%、無水ケイ酸5質量%、マグネシア・シリカ5質量%を樹脂製容器に入れ、よく振り混ぜ均一にし、粉体混合物とした。
次に、組成例1の原液において前記粉体混合物の調製に用いた組成物を除いた残りの組成物を均一に混合し、液体混合物とし、これに粉体混合物を均一に混合したものを組成例1に係る原液とした。
次に、アルミニウム製の缶に前記組成例1に係る原液を入れ、アルミニウム製バルブでクリンチし、その後、原液/噴射剤比が質量比で7/93になるように、下記表1の噴射剤組成物と混合して、組成例1の噴射剤を充填し、評価用の製剤を調製した。
<消臭効果(消臭率)の評価法>
ガスクロマトグラフ(以下、GC)による消臭効果
(i)各製剤をメンブランフィルターに3秒間スプレーする。
(ii)完全に乾いたら、フィルターに残った内容物を採取し、試料とする。
(iii)試料30mgをGCバイアル(100mL)に取る。
(iv)2%イソ吉草酸(IVA)水溶液300μLをGCバイアルに滴下した後、粉体をよく分散させ40℃、30min平衡化する。
(v)ヘッドスペース1mLをGCにて測定し、IVAのみのブランクとのピーク面積比より、下式で消臭率を算出した。
消臭率(%)= 1−(試料ピーク面積/ブランクピーク面積)×100
<使用感触の評価>
前腕内側部に、15cm離れたところから、各エアゾール型デオドラント剤組成物を約2秒間スプレーした際の使用感を、以下の各評価基準に従い、評価した。
結果は、専門パネラー10名の平均値から、下記基準に基づき示した。
〔評価基準〕
5点:使用感が非常によい
4点:使用感が良い
3点:使用感がやや良い
2点:使用感がやや良くない
1点:使用感が良くない
◎:平均値が、4以上5以下
○:平均値が、3以上4未満
△:平均値が、2以上3未満
×:平均値が、1以上2未満
前記実施例1〜13及び比較例1〜7に係る各粒子についての測定結果を下記表2にまとめた。
<人体用デオドラント剤の処方例>
また、下記表3に、本発明の酸化亜鉛微粒子を内包するシリカゲルを用いた人体用デオドラント剤の処方例1〜4を示す。これら例示される処方例により、使用感触が良好であり、かつ、消臭効果が高い人体用デオドラント剤が得られる。
本発明の人体用デオドラント剤は、使用感触が良好で、かつ、消臭効果が高いため、皮膚外用剤として好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. シリカヒドロゲルを、SiO2 濃度が5.0質量%〜15.0質量%のスラリー状態で、攪拌下水熱処理し、平均粒子径が100μm以下の微細化シリカヒドロゲルのスラリーとする水熱微粉砕工程を含む微細化シリカヒドロゲルスラリーの調製工程と、
    前記微細化シリカヒドロゲルスラリー中に平均粒子径が0.1μm〜0.5μmで一次粒子状の酸化亜鉛微粒子を導入し、シリカヒドロゲル微粒子と前記酸化亜鉛微粒子との混合スラリーを得る混合スラリー化工程と、
    前記混合スラリーを乾燥する乾燥工程と、
    を含む製造方法により製造された、前記酸化亜鉛微粒子を内包する微粒子状シリカゲルを含むことを特徴とする人体用デオドラント剤。
  2. 微粒子状シリカゲルの全質量に対する酸化亜鉛の内包率が、20質量%〜70質量%である請求項1に記載の人体用デオドラント剤。
  3. 微粒子状シリカゲルの平均粒子径が、1μm〜30μmである請求項1から2のいずれかに記載の人体用デオドラント剤。
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