JP5204419B2 - 建材の含有水分の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に住宅等の建物を建設する際に使用される建材の含有水分の除去方法に係り、より詳細には建設工事中などに吸収した建材の余剰水分を建設工事中に放出させる方法に関する。
また本発明は、揮発性有機化合物濃度の低減等のために住宅を一時的に換気する方法に関する。
更に本発明は、上記建材の含有水分の除去方法及び一時的換気方法に用いる好適な強制換気装置に関する。
住宅などの建物に使用される建材のなかで例えば工場成型されるコンクリートパネルやサイディングパネルなどは吸水性を有し、現場施工において、モルタルなど水分を含有する材料と接触するとその水分を吸収して水分を含んだ状態となる。
また、建物の建設方法により、建材の現場搬入後、降雨などにさらされることによって吸水する。特に、陸屋根などのフラットな屋根面やベランダのフラットな床面など排水勾配の小さい建物部位では、屋根床面の水はけが悪く、防水工事の施工完了前の降雨により建材が吸水することがある。
更に、技術革新により住宅などの建物の建設工事の期間は短縮される傾向にあり、吸水した建材が自然乾燥によって水分を放出することができる期間も短くなってきている。また、省エネルギー居住性向上の観点から特に気密性が高く設計された建物の建設も増えており、工事中の室内の自然換気量が十分ではなく、建材からの水分の放出が妨げられる傾向がある。
上記のような理由から建材が工事中に吸水しその水分の放出が十分になされなかった場合、建物の内部に結露が生じたり、建物の居住者に高湿感をもたらす原因となる。また建材中に余剰水分が存在していると、建材の耐久性にも影響を与える可能性もある。
従来、住宅の室内空気の除湿や換気を行うための装置としては様々なものが開発されているが、上記の問題を解決できる方法は見あたらない。例えば、特許文献1には、床下乾燥のために外気を加熱して床下に吹き込む換気除湿装置が開示され、特許文献2には、床下乾燥のために基礎換気口に換気扇を設置した床下空気の除湿用換気装置が開示されており、また特許文献3には、居住する建物内の換気を促進し入居者に嫌悪感を与えない住宅の換気システムが開示されている。しかしながら、これらの技術は全て完成した住宅において換気を如何にして行うかに関する技術であって、建築工事中に建材の余剰な含有水分を吸収してしまう問題を解決できるものではない。
特開平09−22251号公報 登録実用新案第3036520号公報 特開平11−247316号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、建材が建設工事中に吸水してしまう問題を効果的に解決する方法を提供するものであり、工事中に吸水した建材を、その含有水分を効果的に放出させて本来の気乾状態に戻す建材の含有水分の除去方法を提供する。
また本発明は、上記含有水分の除去方法と同様の方法で実施できる一時的換気方法を提供する。
更に本発明は、上記含有水分の除去方法及び一時的換気方法に用いる好適な強制換気装置を提供する。
第一の発明によれば、建物の建設工事中に建物の上部躯体構造の少なくとも壁と床に用いられた工場成型のコンクリートパネルの含有水分を除去する方法であって、
上部躯体構造を基礎構造の上に構築する躯体工事が完了した後に、
基礎構造の内部空間に連通する上部躯体構造の開口部に強制換気装置を設置し、
当該強制換気装置は、羽根部材と、該羽根部材を回転させる駆動軸とを備えて、少なくとも1000m/時の換気能力を有するものであって、前記開口部に垂直に前記駆動軸を設けると共に前記羽根部材を前記開口部に対向させた状態で設置され、且つ、
該強制換気装置を、吸気側を前記上部躯体構造の内部空間に臨ませ、排気側を前記基礎構造の内部空間に臨ませて、上部躯体構造の防水完了後から前記開口部の仕上げ施工までの間の一定期間連続して運転し、上部躯体構造の内部空間に外気を導入して上記建材の含有水分の放出を促進する
ことを特徴とする建材の含有水分の除去方法が提供される。
上部躯体構造を構成する建材のうち吸湿性のものは建設工事中において種々の理由により吸湿してしまうが、第一の発明の方法では、強制換気装置が外気を上部躯体構造の内部空間に導き、基礎構造を経由して外部に排出する際に、その外気の流れが吸湿している建材を乾燥させ、建設工事中に建材の除湿が促進される。
ここで、上部躯体構造とは、基礎構造(基礎や土台)より上部に構築される躯体部分全体を指す。躯体は、柱梁で構成される軸組の骨組に屋根・床スラブや外壁で覆われた躯体や壁式構造の躯体など特に限定されるものではない。
上部躯体構造の内部空間を形成する屋根・床スラブや外壁は、建物の設計の基準となるモジュール寸法に基いた規格化された寸法を有する建材であり、例えばコンクリートパネルやサイディングパネルなどを用いて構成され、躯体が完成すれば(棟上げ工事段階)、外部から雨水等が流入しない一定の内部空間が構成されているが、窓、換気扇等の開口部や建材間の間隙等を通じて外気が導入されうる。
よって、上部躯体構造は、外部に対して換気の必要のないほど開放された構造ではないし、内部空間が外部に対して密閉された構造でもなく、外部との自然換気が可能となる開口面積等(隙間相当面積)を具備し、躯体構造の建材の除湿に必要な換気量に相当する換気回数が確保される構造であり、換気の空気の流れ(内部空間を対流する)によって水分が運搬されるものである。
また、基礎構造は、上部躯体構造を含んだ建物の上部荷重を地盤に伝える基礎や土台で構成される下部構造であるが、その内部空間の換気のための換気口が外周基礎の立上り部の要所に適宜形成されているものである。
上部躯体構造に設置する強制換気装置の位置は、強制換気装置の運転により、上部躯体構造の内部空間に導入せしめられた外気が、上部躯体構造の建材の周辺を対流して、再び外部に排出されるならば、何処であっても構わない。
また、建材は、モルタルなどの水分を含有する資材と接触したり、雨水などにさらされることにより吸湿する建材を必須に含み、かかる吸湿性の建材としては、工場成型される例えばALCなどのコンクリートパネル、サイディングパネルなどが特に例示される。
更に、躯体工事が完了するとは、いわゆる棟上げ又は建前が完了したことをいい、屋根パネル面の防水工事や外壁パネルの塗装、外壁パネル板間の隙間のシールを施工する前、内部工事が完了する前である。
また、このような構成によれば、吸湿建材が用いられている上部躯体構造の内部空間に外気が導かれ、その間に吸湿建材の除湿が図られる一方、外気との換気量が十分に確保された基礎構造の内部空間を経由して外部に排気される。ここで、強制換気装置が設置される上記開口部は、強制換気装置の設置のために専用に形成され、強制換気装置が撤去される場合に塞がれる開口部であっても、他の設備等が配置される前に開口となっている開口部であってもよいし、上部躯体構造に本来的に備わっている開口部を流用してもよい。
さらに、吸気側を上部躯体構造内部空間に向け、排気側を基礎構造内部空間に向けて一階床開口部に強制換気装置を設置することにより、上部躯体構造から基礎構造への外気の円滑な流れが生じ、除湿が効果的になされる。
また、このような構成により、除湿のための換気装置の運転期間を十分に確保することができる。
ここで、上部躯体構造とは、基礎構造(コンクリート基礎や土台)より上部に構築される躯体部分全体を指す。躯体は、柱梁で構成される軸組の骨組に屋根・床スラブや外壁で覆われた躯体や壁式構造の躯体など特に限定されるものではない。
上部躯体構造の内部空間を形成する屋根・床スラブや外壁は、建物の設計の基準となるモジュール寸法に基いた規格化された寸法を有する建材であり、例えばコンクリートパネルやサイディングパネルなどを用いて構成され、躯体が完成すれば(棟上げ工事段階)、外部から雨水等が流入しない一定の内部空間が構成されているが、窓、換気扇等の開口部や建材間の間隙等を通じて外気が導入されうる。
よって、上部躯体構造は、外部に対して換気の必要のないほど開放された構造ではないし、内部空間が外部に対して密閉された構造でもなく、外部との自然換気が可能となる開口面積等(隙間相当面積)を具備し、躯体構造の建材の含有水分の放出に必要な換気量に相当する換気回数が確保される構造であり、換気の空気の流れ(内部空間の空気を強制換気扇により循環させて、内部の空気を外気に置換する)によって水分が運搬されるものである。
また、基礎構造は、上部躯体構造を含んだ建物の上部荷重を地盤に伝える基礎や土台で構成される下部構造であるが、その内部空間の換気のための換気口が外周基礎の立上り部の要所に適宜形成されているものである。
の発明によれば、第又は第の発明において、上記強制換気装置の上部躯体構造内部空間に臨む側に、該強制換気装置を保護する保護部材を設けたことを特徴とする建材の除湿方法が提供される。
このような構成によれば、作業者は保護部材の上を行き来することができ、また資材を強制換気装置の上に落下させても保護部材によって事故を防止することができる。
の発明によれば、基礎構造の上に構築された上部構造に該上部構造の内部空間を基礎構造の内部空間に連通させる開口部が設けられた建物において該開口部に一時的に設置される強制換気装置であって、
上記開口部の開口縁部を形成する枠材に載置される箱状枠体からなる支持部材と、
該支持部材に取り付けられ、上部構造の内部空間の空気を吸引して基礎構造の内部空間に排気する少なくとも1000m /時の換気能力を有する換気扇本体と、
該換気扇本体の上方に配設されて換気扇本体を保護する保護部材とを備え、
該保護部材の設置高さが前記開口部の室内側開口縁と略同じレベルに設定されており、
前記支持部材は、前記換気扇本体を支持する底部を備えると共に、前記換気扇本体の下方に一定間隔をおいて配されて前記換気扇本体から軸方向下方に排気された空気の流れを水平方向に風向を変更する邪魔板を支持している
ことを特徴とする強制換気装置が提供される。
このような構成によれば、第一から第の発明において、好適に使用される強制換気装置が提供される。特に、保護部材により強制換気装置の上部においても作業が可能であり、また風量変更部材により基礎構造内部空間も除湿がなされる。
第一の発明によれば、工事中に強制換気装置を設置して運転するようにしたので、建材が建設工事中に吸湿してしまっても、建材を短い建設工期中に効果的に除湿して気乾状態に戻すことができる。また、1000m/時の換気能力を有する強制換気装置を基礎構造に通じる開口部に設け、基礎構造を通して上部躯体構造の内部空間の排気するようにしたので、上部躯体構造を隅々まで除湿することができる。さらに、吸湿した建材の除湿を確実に行うことができる。
第二の発明によれば、除湿の完了後に強制換気装置を撤去するようにしたので、建物に余分な設備を付加する必要はなく、また同様の建物の建設工事に同一の強制換気装置を繰り返し利用することができ、経済的である。
の発明によれば、一階床開口部に吸気側を上部躯体構造内に臨ませ排気側を基礎構造内に臨ませて強制換気装置を設置したので、外部からの空気の流れが円滑になり、建材の除湿を効果的に実施することができる。
の発明によれば、強制換気装置の上方に保護部材を設けたので、強制換気装置の上での作業、行き来が可能になるとともに、資材が強制換気装置内に落下して事故となる恐れもない
第四の発明によれば、建設工事においても邪魔にならないように設置することができ、また効率的に換気を行うことができる強制換気装置が得られる。
第一の発明によれば、工事中に強制換気装置を設置して運転するようにしたので、建材が建設工事中に吸水してしまっても、建材を短い建設工期中に効果的に含有水分の放出して気乾状態に戻すことができる。
第二の発明によれば、含有水分の除去方法を一定期間行った後に強制換気装置を撤去するようにしたので、建物に余分な設備を付加する必要はなく、また同様の建物の建設工事に同一の強制換気装置を繰り返し利用することができ、経済的である。
第三の発明によれば、基礎構造を通して排気するようにしたので、上部躯体構造を構成する建材の含有水分の放出を隅々まですることができる。
第四の発明によれば、有圧型換気扇を開口部に取外し自在に設置するようにしたので、住宅等の建物の建材の含有水分の放出を工期中に確実に行うことができ、また換気装置の撤去が容易である。
第五の発明によれば、一階床開口部に吸気側を上部躯体構造内に臨ませ排気側を基礎構造内に臨ませて強制換気装置を設置したので、外部からの空気の流れが円滑になり、建材の含有水分の放出を効果的に実施することができる。
第六の発明によれば、強制換気装置の上方に保護部材を設けたので、強制換気装置の上での作業、行き来が可能になるとともに、資材が強制換気装置内に落下して事故となる恐れもない。
第七の発明によれば、風向変更手段により基礎構造内部空間に導かれた空気が換気口に円滑に導かれ、基礎構造内部の含有水分の放出も図られる。
第八の発明によれば、外部にさらされ降雨を受けやすい屋根材、床材、外壁材の含有水分の放出が効果的になされる。
第九の発明によれば、強制換気装置を設置するための開口部をわざわざ設けなくてもよいので、工期が短縮され、経済的であり、また工業化住宅などの部材が規格化された建物では、その床下点検口も同一の規格になっているので、個々に建設される各建物に同一支持部材や換気装置を使用することができる。
第十の発明によれば、吸水した建材の含有水分の放出を確実に行うことができる。
第十一の発明によれば、建物の換気を一時的に大容量で行いたいときに、換気を効果的に行うことが可能になる。
第十二の発明によれば、揮発性有機化合物濃度を効果的に低減させることができる。
第十三の発明によれば、建設工事においても邪魔にならないように設置することができ、また効率的に換気を行うことができる強制換気装置が得られる。
第十四の発明によれば、建築作業に支障を来すことなく含有水分の放出を行うことができる。
本発明の第一の実施形態に係る建材の含有水分の除去方法は、建物の建設工事中に建物の上部躯体構造に用いられた建材の含有水分を放出するに当り、上部躯体構造を基礎構造の上に構築する躯体工事が完了した後に、上部躯体構造に強制換気装置を設置して一定期間運転し、上部躯体構造の内部空間に外気を導入して、建設工事中に吸水した建材を乾燥させるものである。
ここで対象とされる上部躯体構造は、基礎構造の上に構築される通常の一階建て、二階建て、三階建て等の上部躯体構造であり、建材の少なくとも一部に吸水性の建材が使用されていて、該建材が建築工事中に吸水してしまう可能性がある構造のものであれば、本発明の含有水分の除去方法を適用することができる。上部躯体構造は、好適には、工場成型されるコンクリートパネル等の建材により壁、床、屋根が構築されたもので、上部躯体構造の構築工事が完了した時点では、壁、床、屋根等が組み上げられて一定の内部空間が形成され、雨水等が流入しないように屋根部等に防水工事が施される一方、窓サッシ、換気扇用貫通穴、建材間の隙間等が密閉(シール)されていないか、外形的にはシールされていてもまだ不完全な状態であり、壁等に一定の開口部、貫通穴、隙間等が存在し、ある程度外気が流入する状態のものである。すなわち、上部躯体構造は、防水工事等が完了して雨水等により建材が更に吸水することはない構造であるが、部材及び部材間に隙間を有し、後記する必要な換気量に相当する換気回数が確保される構造である。
強制換気装置は、上部躯体構造の内部空間に外気を導入できる位置であれば、何処に設置しても構わず、例えば窓等の開口部に設置することが可能である。よって、窓等の開口部に強制換気装置を設置して運転する形態も本発明の実施形態である。しかしながら、例えば窓の開口部に設置すると、幾つかの問題が生じる場合がある。すなわち、窓に強制換気装置を設備すると、雨天時に雨水の吹込みがありうること、開口部周辺の施工に障害が多いこと、防犯上の問題があること、サッシを傷つける恐れがあること、排気や騒音が隣家に迷惑をかける恐れがあることなどの不具合がある。
そこで、本発明の好適な実施形態に係る方法では、これらの問題を回避するために、一階床に強制換気装置を設置し、基礎構造の内部空間を通じて外部に排気する。
上部躯体構造を支持する基礎構造は、換気口が備えられている通常の基礎構造であれば如何なるものでもよい。基礎構造は、例えば鉄筋コンクリート連続布基礎であり、外周部と内周部が全て一体化されたものを考えることができ、その場合、外周部の基礎構造の立上り部には複数の換気口が長手方向に沿って適宜間隔を開けて設けられ、また内周部の基礎構造の立上り部にも基礎グリッド間を互いに連通させる複数の換気口が長手方向に沿って適宜間隔をあけて設けられており、これら換気口を通じて基礎構造の内部空間の自然換気がなされる。この基礎立上り部の換気口は、例えば概ね4mおきに約300cmの見付け面積(基礎立上り面に設ける)を有し、強制換気装置による排気に十分な開口面積を得ることができる。
空気を基礎構造の内部空間を通じて排出するには、強制換気装置を、基礎構造の内部空間に連通する上部躯体構造の開口部に設置する。この開口部は、例えば一階床スラブの一部を未施工としておいて利用し、含有水分の放出作業の終了後に、その部分を仕上げるということも考えられるが、戸建住宅等の一階床には、通常、床下点検口などの床開口部が存在する。そこで、例えばその床下点検口を、工事期間中の一定の期間、強制換気装置を設置する開口部として利用することができる。
ここで、強制換気装置により建材の含有水分の放出を行う場合に必要な換気量等について検討する。
図1は、基礎構造の上に二階建て家屋の上部躯体構造が構築された状態を示しており、一階床に設置された強制換気装置の運転により、上部躯体構造の開口部、隙間等から外気が一階、二階の室内に導入され、上部躯体構造の壁、床、天井、屋根を構成する吸水した建材の乾燥を行い、一階に導入された外気はそのまま一階の床下点検口に設置した強制換気装置を経由し、二階に導入された外気は吹き抜け等を経てやはり一階の床下点検口に設置した強制換気装置によって吸引され、床下の基礎構造の内部空間に導かれ、基礎構造の換気口から再び外部に排気される。なお、一般的に設計された住宅の場合、一階の床下空間である基礎構造の内部空間の気積は、上部躯体構造の内部空間の気積の約1/10程度以上で、換気回数としては上部躯体構造の内部空間の約10倍以上に相当する。
本発明に係る建材の含有水分の除去方法の作用、効果は以下の通りである。
強制換気装置を運転する前の状態は、降雨によって吸収した水分を含む建材の含有水分と内部空間の空気が含む水蒸気が平衡状態となり高湿度状態になっている。
先ず、強制換気装置の運転開始により徐々に上部躯体構造の内部空間の空気の除湿が行われる。即ち強制換気装置の吸引作用により、高湿度の空気が床下を経由して建物外部に排気され、高湿度の空気が一階床下の基礎構造の内部空間を経由して、強制的に外部に追い出される。
これに伴い、外部の湿度の低い新しい空気が建物の上部躯体構造の内部空間に導入され、上部躯体構造の内部空間中の高湿度の空気が湿度の低い空気(外気)に置換される。ここで、「除湿」とは空気中の湿り気を取り除くことをいい、建材が吸収する水分の除去(水分の放出)と区別される。
次に、建材の吸収する水分を上部躯体構造の内部空間の空気に放出する。即ち内部空間の高湿度の空気の水蒸気と平衡状態であった建材の含有水分が、上述の通り空気の置換によりその平衡状態が崩され、建材の表面(壁面や床面)から余剰水分(建材が降雨によって吸収した水分)が前記外部から導入された湿度の低い新しい空気に放出され、徐々にその空気も湿度が上昇する。このような作用を繰り返すことにより、徐々に建材からその含有水分が除去される。
また外部から外気を導入して上部躯体構造の内部空間の空気を強制循環させるために必要な換気量は、建材から除去したい水分量に基いて設定することができ、その換気量は約2回/時以上の換気回数が好ましい。なお、この換気量は、工事中としては許容される量であるものの実居住環境での換気量(基準値:0.5回/時)に比べて大きすぎるレベルである。
一例として、上部躯体構造を構成する建材が含んでいる水分重量のうち2tを強制換気により除去するための換気量は次のようにして試算される。
先ず、上部躯体構造の内部空間に流入する外気が、例えば、東京の4月の月平均である気温が15.1℃、相対湿度が61%RHであると仮定する。そして、このときの上部躯体構造の内部空間の相対湿度が100%RHとし、流入外気が上部躯体構造の内部空間を強制循環した後、床下の基礎構造の内部空間に吸引されるときの相対湿度を、前記流入外気(61%RH)と上部躯体構造の内部空間(100%RH)の相対湿度値の中央値である80.5%RHと仮定する。ここで、簡易計算のため温度は変化しないものと仮定する。
この場合、建物に流入する前の外気は気温15.1℃、相対湿度61%RHの状態であるから、7.869g/mの水分を有していることになるが、上部躯体構造の内部空間に入った新しい湿度の低い空気が余剰水分を含有する建材に接することにより平衡状態が崩れて、水分が建材から室内空気に移動する。そして、その空気が床下の基礎構造の内部空間に吸引される際には、気温15.1℃、相対湿度80.5%RHであり、10.385g/mの水分を含有している状態となる。したがって、計算上、流入外気は、上部躯体構造の内部空間を対流して、基礎構造の内部空間を経て外部に戻る間に、10.385g/m−7.869g/m=2.51g/mの水分を移動させることができることになる。
ここで、強制排気を実施できる工事期間を40日間として、上部躯体構造の内部空間を構成する建材から2tの水分を排出するには、
2,000,000g/(40日×24時間)/(2.5g/m)=833m/時
の換気量が必要となる。
そこで、1000m/時の換気能力を有する換気設備を使用すれば十分と考えられる。
ちなみに1000m/時の換気能力を有する換気設備を使用した場合の東京の月別の水分重量を試算すると、強制排気を実施できる工事期間40日で、1月は、1.8tの水分重量、4月は、2.4tの水分重量、7月は、2.4tの水分重量、10月は、3.0tの水分重量の排出が期待できる。
実際には、換気装置の設置初期は、上部躯体構造内が高湿度のため、排出量が大きく、乾燥が進むにつれて、上部躯体構造内の相対湿度は低下し、水分排出量は減少する。また、現場での作業のため、換気装置の運転時間が減少することはあり得るので、その点を見込む必要がある。
以上説明した1000m/時の換気量は、例えば延べ床面積が40坪の住宅(階数は2階でも3階でもよい)の換気回数としては3.3回/時に相当し、現場における躯体を構成する建材の含有水分の放出を行うためには、通常の換気を行う場合に比して多くの換気量が必要となる。その換気回数は、実居住環境での換気に比べて大きすぎるレベルである。
ちなみに、一般に、住宅内では、2003年の建築基準法改正により、室内空気質の観点から0.5回/時の換気設備の設置が義務づけられているが、居住する環境下、特に冬期において、換気量が多い場合、気流感により快適性が損なわれる場合があり、このため1.0回/時を超える場合が過換気とされる。なお、窓開けにより通風換気を行う場合の換気量は概ね30回/時以上である。
上記のように強制換気装置は、風量が多いものが使用され、好適には2〜10回/時の換気回数を達成できるものが選択され、特に、内外差圧が大きくとも排気量が落ち難い有圧型換気扇が用いられる。
次に本発明に係る強制換気装置9の設置構造について説明する。
強制換気装置9は、箱状の支持部材17に収納して支持部材17ごと床下点検口8から床下に落とし込まれ、支持部材17が床下点検口8において一階床面より下側に納められ突出することがない。また、強制換気装置9の上は、床下点検口8の周縁を利用して載置した格子状の保護部材19で保護する。すなわち、保護部材19は、床下点検口8周縁に沿って支持部材17のフランジ状縁部17b上に嵌め込まれ、その設置高さは、一階床面とほぼ同じレベルになっている。
図2は、有圧型換気扇からなる強制換気装置を一階床下点検口に設置した例を示すもので、図中1は連続布基礎の外周部の立上り部と内周部の立上り部が一体化された基礎構造で、外周部には複数の換気口2が長手方向に沿って適宜間隔を開けて設けられ、また内周部にも基礎グリッド間を互いに連通させる複数の換気口が長手方向に沿って適宜間隔をあけて設けられており、基礎構造内の換気が可能な構造とされている。この換気口2は、例えば概ね4mおきに配され、例えば約300cmの見付け面積を有しており、強制換気装置による排気に十分な開口面積を得ることができる。また図中3は基礎構造1の上に構築された上部躯体構造であり、4は一階床スラブ、4aは床パネルの表面、5は二階床スラブ、6は一階と二階を連通させる吹き抜け部、7は窓等が設置されている開口部である。
上記上部躯体構造3の一階床スラブ4には、床下点検口8が設けられており、この床下点検口8に、有圧型換気扇からなる強制換気装置9が、吸気側を一階居室側に、排気側を基礎構造3の内部空間に向けて取外し自在に設置される。
そして、この強制換気装置9を運転することにより、上部躯体構造3の開口部7や図示しない部材間の隙間等から外気が室内に導入され、強制換気装置9によって吸引されて、基礎構造1の内部空間に導かれ、換気口2から再び外部に排出されて換気がなされ、その間の空気の強制循環により、上部躯体構造3を構成する建材が乾燥せしめられ、また基礎構造1内の含有水分も放出されるようになっている。
図3は、一階の床下点検口8への強制換気装置9の設置構造を更に詳細に示す一階床の断面図である。床下点検口8は、一階床スラブ4に形成された矩形の貫通口であり、貫通口は、該貫通口を設けるべき1枚の床パネル領域に断面視L字状の部材で構成された床敷設用鋼製枠部材11を敷設し、部分的に床パネルを敷設することにより形成される。
そして、貫通口の内周縁部には、その鋼製枠部材11に沿って床開口枠部材10が固定して取り付けられている。すなわち、該床開口枠部材10は、鋼製枠部材11の断面視L字状の立上り片に当接させ、一階床スラブ4側の水平片に当接させて取り付けられている。
また該枠部材10の略水平な上面には、枠部材10と略同じ外周寸法であるが幅が枠部材10よりも小さい外枠部材12が固定して取り付けられ、これによって枠部材10の上面で外枠部材12の内側部分に受け座13が形成されている。この構造は、通常の工業化住宅において施工される床下点検口の床開口部構造で、規格化された複数のコンクリートパネルを基礎、土台又は梁に設けた床スラブである。
強制換気装置9は、フレーム14と、駆動部15と羽根部材16とからなる換気扇本体とで構成され、支持部材17の矩形の開口部が形成された底部17aに載せられている。フレーム14は、着座部がフランジ状に外方に広がった矩形のフレーム枠14a上に複数のタスキ状のアーム部14bが設けられ、駆動部15は、駆動軸15aがフレーム枠14aの略中心側を向く状態でアーム部14bに支持され、羽根部材16は、駆動軸15aに取り付けられてフレーム枠14aに囲まれた位置に配されて、支持部材17に取り付けられて支持部材17ごと、上記受け座13に載置されている。
本発明では、床下開口部に対する前記支持部材17や前記支持部材17に対する前記強制換気装置9の着脱が容易に可能となるように構成されているので、建物の工事中の任意に時期に、工程や職種にかかわらず、だれでも強制換気装置の設置や撤去が可能である。
また、この強制換気装置9は、建物の建設工事中に仮設で設置する換気扇装置であり、また換気装置装置9の着脱作業は、床スラブ面4aの上側から行うワンサイド作業であるため、上下両側から作業しなければならないボルトなどによる固定を排除している。この場合、換気装置運転時に振動が発生することが問題となるが、これを抑制するべく床敷設用の鋼製枠部材11と支持部材17間のクリアランスを3〜5mm程度に設定し、支持部材17が横ずれしないように外枠部材12の内側部分の受け座13枠に嵌め込んだ形にしている。
図4に示されるように、支持部材17は、矩形の開口部が形成されて底部17aが帯状とされた矩形の箱状枠体であり、強制換気装置9は、この底部17aにフレーム枠14aのフランジ状部分が着座せしめられてボルト・ナット等の締結手段18で締結され、支持部材17に取り付けられている。
また、支持部材17の上縁部は、外側方に折曲されてフランジ状に形成され、このフランジ状縁部17bが上記受け座13に着座されて、支持部材17が強制換気装置9ごと、上記枠部材10に載置されている。更に、支持部材17の床下側方向の長さ(深さ)は、強制換気装置9の頂部である駆動部15が、枠部材10の上面の高さよりも低い位置に位置せしめられるような深さが確保されている。
そして、図5に示すように、支持部材17の上には、矩形の周部材19aに複数の棒状の格子19bが設けられてなる矩形の保護部材19が、周部材19aを、上記枠部材10の受け座13に着座された支持部材17のフランジ状縁部17b上に当接させて載置され、この保護部材19の上面は、上記外枠部材12の上面とほぼ同一高さとされている。この保護部材19は、好ましくは、床面との段差が0〜30mmとなるように設置される。
また強制換気装置9は、設置状態で上方に当たる上部躯体構造側を吸気側とし、下方に当たる基礎構造1の内部空間側を排気側とするもので、有圧型であり、排気は軸方向下方に向けてなされる。よって、強制換気装置9には、風向変更手段が設けられている。すなわち、強制換気装置9が取り付けられた上記支持部材17には、風向変更手段を構成する邪魔板20が、強制換気装置9の羽根部材16から下方に一定間隔をおいて配され、複数のボルト・ナット等からなる連結手段21によって固定されており、軸方向下方に排気された空気の流れはこの邪魔板20に当たって水平方向に風向を変更して流れていく構成とされている。
以上のような強制換気装置9は、箱状の支持部材17に収納して支持部材17ごと一階床面に設けられた床下点検口8から一階床下に落とし込むことにより、簡便に設置でき、また装置の自重があるため、設置状態も安定である。また、含有水分の放出作業が完了した段階では、支持部材17ごと床下点検口8から引き上げることによって容易に撤去でき、例えば窓等に設置した場合のように、撤去時に建物や他の設備に損傷を与えることはない。
更に、支持部材17が床下点検口8において一階床面より下側に納められ突出することがないので、強制換気装置9の上は、床下点検口8の周縁を利用して載置した(嵌め込んだ)格子状の保護部材19で保護する。すなわち、保護部材19は、その設置高さは、一階床面とほぼ同じレベルにするようにしている。
強制換気装置9の上に床下点検口8の周縁を利用して載置した格子状の保護部材19で保護することができ、空気の流入を確保しながら強制換気装置9の上に工事資材等が落下することを未然に防止することができ、また保護部材19は、床下点検口8周縁に沿って支持部材17のフランジ状縁部17b上に嵌め込まれ、その設置高さを一階床面とほぼ同じレベルにするようにしたので、作業者は強制換気装置9の上を自由に歩行でき、荷物の移動時にも換気装置を引っ掛けたりすることはなく、現場での良好な作業性が担保される。
上記のような構造の強制換気装置9は、有圧型であるので、空気の除湿に必要な多量の風量を一基で確保できる。上記強制換気装置9を運転すると、上部躯体構造3の内部空間は、減圧気味になり、ALC建材等の建材からの余剰水分の放出が促進される。その場合、一定の気流感は生じるが、建設工事中であるためそれが問題となることはない。
更に、床下点検口8への設置なので、窓に設置する場合のように、作業者が不在の夜間でも防犯上の問題を生じさせることはなく、また排気や騒音等で隣家に迷惑をかけることもない。
以上のように、強制換気装置9を運転して、外気を上部躯体構造3の内部空間に導き、上部躯体構造3の内部空間において強制循環させて、基礎構造1の内部空間を経由してその換気口2から再び外部に排出するが、その流通せしめられる外気が、種々の理由により吸水している上部躯体構造3の建材周辺を通過して、建材の表面から水分を吸収し、これを乾燥させ、建設工事中において建材の含有水分の放出が促進される。強制換気装置9の運転は、上部躯体構造3の防水工事が完了した後、含有水分の放出が完了するまで、もしくは床下点検口8の仕上げ施工が必要となり、強制換気装置9を外さなければならない時期までの間、実施することができ、作業者がいる日中のみならず、夜間でも実施することができる。
含有水分の放出が完了した時点で、強制換気装置9は、支持部材17ごと、床下点検口8から引き上げて撤去する。その際、強制換気装置9は床下点検口8に落とし込んでいるだけであるので、後片付けが容易であり、設置場所周辺を損傷させることもない。また、床下点検口8は寸法が通常は規格化されているので、取り外した強制換気装置9を他の住宅の建築現場においてそのまま何度も使用することができる。
本発明の第二の実施形態は、建物の一時的換気方法である。すなわち、上述したように、工事中に吸水した建材を工事中に乾燥させるために本発明の含有水分の除去方法を実施することができるが、その好適な実施形態である床下点検口から基礎構造を通しての大容量の換気方法は、建材の含有水分の除去目的以外にも利用できる。その一例は、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物を除去する方法である。すなわち、建物の完成後に、シックハウス対策として、室内を加熱し、揮発性有機化合物等の汚染物質の発生を加速させる。例えば、新築住宅において放射式暖房機等により室内を例えば約30℃、24時間から72時間加熱し、内装建材等に含まれる揮発性有機化合物の発生を促進させる。ついで、発生した揮発性有機化合物を換気により排気させるが、その際の換気は徹底して行わなければならず、住宅に設備されている風量の換気装置では不十分となることが考えられる。よって、このような場合に、本発明の一時的換気方法を利用すると、汚染空気を確実に排気することができる。
このような目的の換気方法又は何らかの他の理由により迅速なもしくは大容量の換気を一時的に行うことが必要となった場合に、床下点検口に、前述のものと同様の構造の強制換気装置を設置し、換気回数を確保するために開口部を適度に開放して、換気を実施することができる。
以下、本発明の方法を、実施例(検証例)によって更に詳細に説明する。
[検証例1]
三階建ての住宅において、一階床の床下点検口に換気風量1020m/時の有圧型換気扇を設置し、該換気扇を一定期間連続運転して、一階床全体にわたって撥水処理ALC床パネルがどのように乾燥させられるかを調べた。
(比較例1)
比較のために、ALC床パネル床を構築した住宅において、先ず、換気扇を設置しない状態で、ALC床パネルの表面重量含水率を測定した。図6はこの場合の表面重量含水率を、一階床の床パネル上面、二階床の床パネル下面、三階床の床パネル下面、屋上階床の床パネル下面について初日(6月8日)、11日目(6月18日)、22日目(6月29日)に測定した結果をグラフで示している。
図6のグラフから分かるように、測定初日では、一階床のALC床パネルの含水率は39重量%で、他の箇所では20重量%前後であったところ、日数が経過すると共に、含水率は、元々高かった一階床の床パネルについては下がっているが、それでも30重量%近くはある。一方、含水率の低かった上階のALC床パネルは、含水率が逆に上昇している。
(本発明例1)
次に、ALC床パネルを用いて床を構築した住宅において、その床下点検口に換気風量1020m/時の有圧型換気扇を設置し、該換気扇を連続運転して、上記と同様にして、ALC建材の表面重量含水率を、一階床の床パネル上面、二階床の床パネル下面、三階床の床パネル下面、屋上階の床パネル下面について測定した。図7はその結果を示すもので、初日(7月8日)、10日目(7月17日)、19日目(7月26日)、26日目(8月2日)に測定したALC建材の表面重量含水率が示されている。
図7のグラフから分かるように、測定初日では、一階床のALC床パネルの含水率は28重量%、他の階では20重量%前後であったところ、日数が経過すると共に、含水率は、一階床については11重量%に減少し、他の階も15重量%以下に減少した。
これらの結果から、床下点検口に換気扇を設置して運転した換気によって、建材の乾燥が大幅に促進されていることが分かる。
[検証例2]
検証例1と同様の三階建ての住宅において、検証例1と同様にその床下点検口に換気風量1020m/時の有圧型換気扇を設置し、該換気扇を一定期間連続運転して、一階床全体にわたってALC床パネルがどのように乾燥しているかを調べた。
(比較例2)
先ず、初日(7月8日)に一階床に敷設されているALC建材全てについて表面含水率を測定したところ、図8(a)に示す結果が得られた。この図は一階床に敷設されたALC建材を上から見た配置で、表面含水率が高いALC建材ほど色が濃く表されている。この検証例で、測定したALC建材(床パネル)の枚数は34枚であり、各パネル内に記載された数字は表面含水率(重量%)である。この図から、表面含水率は平均が28.3重量%であったが、一階床の場所によって表面含水率がかなりばらついていることが分かる。
(本発明例2)
ついで、換気扇を一定期間連続運転して含有水分の放出を行い、26日目(8月2日)に表面含水率を再度測定した。その結果を図8(b)に示す。この図によると、換気扇の運転による乾燥後は、表面含水率はほぼ均等に減少し、9〜14重量%の範囲になっている。また、表面含水率は、換気扇までの距離に無関係にほぼ均等に乾燥させられており、よどみは見られなかった。
以上の検証結果は、本発明の含有水分の放出方法によって、ALC建材の乾燥を効果的にかつ敷設面積に対して均等に達成できることを裏付けている。
本発明の建材の含有水分の放出方法は戸建住宅等の建物の建設時に利用することができる。本発明の建物の一時的換気方法は、一時的に大容量の換気を行うことが必要となった場合、特にシックハウス対策を実施する際に利用することができる。本発明の強制換気装置は、建材の含有水分の放出やシックハウス対策等のために行う建物の一時的換気に好適に利用できる。
本発明の含有水分の除去方法において必要とされる換気量を試算するために本発明の含有水分の除去方法を示した参考図である。 本発明の含有水分の除去方法に使用される強制換気装置を建物の床下点検口に取り付けた状態を示す模式図である。 本発明の含有水分の除去方法に使用される強制換気装置を建物の床下点検口に取り付け状態を示す断面図である。 強制換気装置が取り付けられる支持部材の平面図である。 強制換気装置の上に配置される保護部材の平面図である。 本発明の含有水分の除去方法の検証例を示すもので、換気対策を行わない場合のALC建材の乾燥状態を示すグラフである。 図6と同様の検証例を示すもので、換気促進を行った場合のALC建材の乾燥状態を示すグラフである。 一階床ALC建材の乾燥状態を示す図で、(a)は換気装置の運転を行う前の状態を示し、(b)は換気装置の運転を行った後の状態を示す。
符号の説明
1 基礎構造
2 換気口
3 上部躯体構造
4 一階床スラブ
8 床下点検口
9 強制換気装置
15 駆動部
17 支持部材
19 保護部材
20 邪魔板(風向変更手段)

Claims (4)

  1. 建物の建設工事中に建物の上部躯体構造の少なくとも壁と床に用いられた工場成型のコンクリートパネルの含有水分を除去する方法であって、
    上部躯体構造を基礎構造の上に構築する躯体工事が完了した後に、
    基礎構造の内部空間に連通する上部躯体構造の開口部に強制換気装置を設置し、
    当該強制換気装置は、羽根部材と、該羽根部材を回転させる駆動軸とを備えて、少なくとも1000m/時の換気能力を有するものであって、前記開口部に垂直に前記駆動軸を設けると共に前記羽根部材を前記開口部に対向させた状態で設置され、且つ、
    該強制換気装置を、吸気側を前記上部躯体構造の内部空間に臨ませ、排気側を前記基礎構造の内部空間に臨ませて、上部躯体構造の防水完了後から前記開口部の仕上げ施工までの間の一定期間連続して運転し、上部躯体構造の内部空間に外気を導入して上記建材の含有水分の放出を促進する
    ことを特徴とする建材の含有水分の除去方法。
  2. 含有水分の除去方法を一定期間行った後に上記強制換気装置を撤去する
    ことを特徴とする請求項1に記載の建材の含有水分の除去方法。
  3. 上記強制換気装置の上部躯体構造内部空間に臨む側に、該強制換気装置を保護する保護部材を設ける
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建材の含有水分の除去方法。
  4. 基礎構造の上に構築された上部構造に該上部構造の内部空間を基礎構造の内部空間に連通させる開口部が設けられた建物において該開口部に一時的に設置される強制換気装置であって、
    上記開口部の開口縁部を形成する枠材に載置される箱状枠体からなる支持部材と、
    該支持部材に取り付けられ、上部構造の内部空間の空気を吸引して基礎構造の内部空間に排気する少なくとも1000m /時の換気能力を有する換気扇本体と、
    該換気扇本体の上方に配設されて換気扇本体を保護する保護部材とを備え、
    該保護部材の設置高さが前記開口部の室内側開口縁と略同じレベルに設定されており、
    前記支持部材は、前記換気扇本体を支持する底部を備えると共に、前記換気扇本体の下方に一定間隔をおいて配されて前記換気扇本体から軸方向下方に排気された空気の流れを水平方向に風向を変更する邪魔板を支持している
    ことを特徴とする強制換気装置。
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