JP5202885B2 - 耐熱耐油絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

耐熱耐油絶縁電線及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機械的強度、耐熱性、耐油性、加工性、作業性、及び、端子圧着強度に優れた耐熱耐油絶縁電線及びその製造方法に関する。
フッ素ゴムは、耐熱性、耐油性、耐薬品性、難燃性、可撓性に優れていることから、例えば自動車、産業ロボット、電気機器、熱機器等の各種の用途で使用される電線・ケーブルの被覆材料として幅広く使用されている。又、フッ素樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐油性、耐薬品性、難燃性に特に優れていることから、例えば自動車の高温部分やオイル浸漬部分といった過酷な条件下での電線・ケーブルの被覆材料として幅広く使用されている。
近年においては、これらフッ素ゴムやフッ素樹脂を複合して被覆材料に使用することで、更なる特性を付加した電線が開発されている。例えば、特許文献3には、導体周上に種々のフッ素ゴムを2層構造で形成した電線が開示されている。又、特許文献4には、導体周上に種々のフッ素樹脂を2層構造で形成した電線が開示されている。又、特許文献1,2には、導体周上にフッ素ゴムを被覆して内層とし、その外周にフッ素樹脂を被覆して外層とした電線が開示されている。
特開平9−288914号公報 実用新案第2561072号公報 特開2000−30535号公報 特開平8−255513号公報
近年、自動車のオートマチックトランスミッション(AT)装置内に配置されるような電線においては、高温やATフルードに対する耐性に加え、優れた機械的強度が必要となっている。特に、この機械的強度に関しては、特許文献3のようなフッ素ゴムのみを被覆材料とした電線では、不十分となる場面が多くなっている。又、フッ素ゴムのみを被覆材料とした電線では、電線としてコシがなく、容易に撓んでしまうため、配線する際の取り回しが難しくなり、作業性が劣るようになるという別の問題もある。かといって、特許文献4のように被覆材料を全てフッ素樹脂としてしまうと、今度は逆に、可撓性が劣ることになるため、やはり配線を行う際の取り回しが難しくなり、作業性が劣るようになってしまう。
又、フッ素ゴム電線をフッ素樹脂チューブで保護する対応も考えられるが、この場合は、フッ素樹脂チューブによりコストが高くなるとともに、煩雑な工程が増えてしまう。そのため、特許文献1,2のようなフッ素ゴム電線の周上にフッ素樹脂にて被覆を行う方法が考えられるが、この特許文献1,2による電線はフッ素ゴムとフッ素樹脂が接着していないため、次に示すような別の問題が生じることになる。電線を加工、配線する際には、電線端末を機械にてストリップし、電線をゴムブッシュに通して配線が行われる。この際には、上記した可撓性に加え、ストリップ加工性やゴムブッシュへの挿入のし易さといった点についても必要となる。上記したようなフッ素樹脂で被覆したものの場合、フッ素ゴムの被覆とフッ素樹脂の被覆が容易にずれてしまうため、ストリップ加工時にストリップ寸法が安定せず加工性に劣り、ゴムブッシュへの挿入も困難極まるものとなり作業性に劣るものとなる。
更に、上記の特許文献1,2のように内層と外層が接着されていないと、電線を端子圧着加工した後、インシュレーションバレルから外層が抜けて端子圧着強度が大きく低下し、断線に至る恐れがある。又、電線の片端から内層と外層の隙間に毛細管現象によって油等が入りこみ、逆の端に達してしまい、周辺装置に悪影響を与えてしまうことも考えられる。更に、小さい曲げ半径で曲げた際や、屈曲を繰り返した際には、外層にしわが発生し、そのしわを基点にクラック等が発生する恐れがある。そのために、電線の加工時や配線時には、制約が加わることになり、加工性や作業性が低下してしまうことになる。このしわの発生をおさえるためには、内層と外層との硬さの差を減少させることも考えられるが、その場合は、外層の機械的強度が低下して内層の保護機能が低下するし、それであっても、しわ発生を完全に抑えられるわけではなく、抜本的な対策にはなり得ない。
このような問題に対して、内層と外層とを接着剤によって接着することは容易に考えられるが、AT装置の近傍などに配置されると、ATフルードの影響により、接着剤が膨潤や溶解を起こしてしまう。接着剤が膨潤を起こすと、電線の外形が変形してしまい、又、接着剤が溶解を起こすと、内層と外層が剥離してしまうとともに、溶解した接着剤が周辺の機器に悪影響を及ぼすため、好ましくない。
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、フッ素ゴム混和物の周上にフッ素樹脂を被覆することにより、フッ素樹脂の機械的強度を備えつつ、フッ素ゴムの可撓性をも備えた、機械的強度、耐熱性、耐油性、加工性、作業性、及び、端子圧着強度に優れた耐熱耐油絶縁電線及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1による耐熱耐油絶縁電線は、導体周上に、フッ素ゴムとポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和したフッ素ゴム混和物からなる第一層が被覆され、該第一層の外周にフッ素樹脂からなる第二層が被覆され、上記第一層と上記第二層とが、接着剤を介さずに接着されていることを特徴とするものである。
又、請求項記載の耐熱耐油絶縁電線は、上記フッ素ゴム混和物を構成するフッ素ゴムが、フッ化ビニリデン系共重合体を含有することを特徴とするものである。
又、請求項記載の耐熱耐油絶縁電線は、上記第二層のフッ素樹脂が、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体であることを特徴とするものである。
又、請求項記載の耐熱耐油絶縁電線は、上記第一層のフッ素ゴム混和物、及び、第二層のフッ素樹脂が、架橋されていることを特徴とするものである。
又、請求項記載の耐熱耐油絶縁電線の製造方法は、導体周上に、フッ素ゴムとポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和したフッ素ゴム混和物からなる第一層を押出被覆し、上記第一層を押出被覆した後又は上記第一層を押出被覆すると同時に、上記フッ素ゴム混和物が未架橋の状態で、上記第一層の外周にフッ素樹脂からなる第二層を押出被覆することを特徴とするものである。
又、請求項記載の耐熱耐油絶縁電線の製造方法は、導体周上に、フッ素ゴムとポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和したフッ素ゴム混和物からなる第一層を押出被覆し、上記第一層を押出被覆した後又は上記第一層を押出被覆すると同時に、上記第一層の外周にフッ素樹脂からなる第二層を押出被覆し、上記第一層のフッ素ゴム混和物及び上記第二層のフッ素樹脂を一括して架橋することを特徴とするものである。
を特徴とするものである。
本発明による電線は、第一層がフッ素ゴム混合物、第二層がフッ素樹脂で構成されていることから、機械的強度、耐熱性、耐油性に優れるとともに、十分な可撓性があるとともに、電線としてのコシもあるため、作業性にも優れるものである。更に、第一層と第二層とが接着されているため、端子圧着強度を保持しつつ、ストリップ時の加工性や、ブッシュへの挿入時の作業性について優れたものとなる。又、本願のように、第一層が柔軟なフッ素ゴム、第二層が固いフッ素樹脂と、層ごとの固さが大きく異なる場合や、例えば、第二層の厚さを薄くした際などは、第二層にしわが発生し易くなる。しかし、この接着により、小さい曲げ半径で曲げたり屈曲を繰り返したりした場合でも、第二層にしわが発生することは無い。そのため、電線の加工時や配線時における制約が除かれ、加工性や作業性も良好なものとなる。又、接着は接着剤を介していないため、接着剤の膨潤や溶解による影響もない。
又、フッ素ゴム混和物とポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和することで、フッ素ゴムが持つ耐熱性、耐油性を損なわずにフッ素ゴム混和物とフッ素樹脂の接着性とコスト削減効果が期待できる。
又、フッ素ゴムをフッ化ビニリデン系共重合体とすることで、耐熱性を更に向上させることができるともに、耐油性についても向上させることができる。
又、フッ素樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレンであれば、架橋させることができる。フッ素ゴム混和物とフッ素樹脂を架橋させることで、耐熱性を向上させることができる。
又、フッ素樹脂は元来接着し難い材料であるが、本発明の製造方法によれば、フッ素ゴム混和物からなる第一層と、フッ素樹脂からなる第二層とを接着することができる。これにより、ストリップ時の加工性や、端子圧着強度の保持、ブッシュへの挿入時の作業性について優れた電線とすることができる。
本発明ではフッ素ゴム混和物が未架橋の状態で、その周上にフッ素樹脂を被覆することにより、接着剤を使用することなく優れた接着性を得ることができる。フッ素ゴム混和物がフッ素樹脂被覆を行う前に架橋されている場合はフッ素ゴム混和物とフッ素樹脂との接着性が十分に得られない。
以下、本発明による電線の各構成について説明する。
導体としては、従来公知のものが使用できる。材料としては、例えば、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等やこれらの表面に、ニッケル、スズ、銅、銀等がコーティングされたものなどが考えられる。又、その構成についても、1本の線材からなるものでも良いし、複数本を引き揃え又は撚り合せたものなどを使用しても良い。
本発明で第一層として使用されるフッ素ゴム混和物は、フッ素ゴムが主体となるものである。フッ素ゴムとしては、例えば、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン3元共重合体、フルオロシリコーン系ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン3元共重合体のようなフッ化ビニリデン系共重合体であれば、耐熱性を向上させることができるとともに、油に対して膨潤し難いため耐油性を向上させることができる。
フッ素ゴム混和物には、ポリオレフィンが混和されていても良い。本発明で使用されるポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらは単一及び2種類以上を混合して使用することもできる。このポリオレフィンを混和していれば、フッ素ゴム混和物とフッ素樹脂との接着性をより高めることができる。又、高価なフッ素ゴムの使用量が少なくなり、コスト削減を図ることができる。又、第一層の被覆と第二層の被覆を別工程で行う際には、フッ素ゴムに補強効果をもたらし、型崩れや変形等を防止することができる。
フッ素ゴムとポリオレフィンの混和量について、フッ素ゴムとポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和したものであることが好ましい。フッ素ゴムの混和量がこの範囲より少ない場合は、耐熱性や耐油性の低下を招く可能性がある。又、フッ素ゴムの混和量がこの範囲より多い場合は、フッ素ゴム混和物とフッ素樹脂の接着性がやや劣ることとなり、コスト削減効果も得られない。
上記フッ素ゴム混和物においては、本発明の目的を阻害しない範囲内で、従来、電線、ケーブルの被覆材料において一般的に使用されている各種の添加剤を配合しても良い。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、増量剤、難燃剤、老化防止剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、軟化剤、分散剤、着色剤などが挙げられる。特に、押出成形性を向上させることを目的として、金属炭酸塩粉末及び/又は金属ケイ酸塩粉末を配合することが好ましい。金属炭酸塩粉末としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、などが挙げられ、金属ケイ酸塩粉末としては、例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムなどが上げられ、これらの中でもケイ酸マグネシウムやケイ酸アルミニウムが好適に使用される。これらは単独で用いても複数を混合して用いても構わない。金属炭酸塩粉末や金属ケイ酸塩粉末を配合する場合、これらの合計の添加量は、フッ素ゴム或いはフッ素ゴムとポリオレフィンの混和物100重量部に対し、1〜100重量部が好ましい。1重量部以下だと十分な押出成形性が得られず、又、100重量部を超える添加量だと機械的強度や耐熱性といった特性が悪化してしまう。
上記の各構成材料を適宜に配合したものを、ロール、ニーダー、バンバリー、一軸混練機、二軸混練機などの公知の混練機を使用して充分に混練りすることによって本発明のフッ素ゴム混和物を得ることができる。
本発明で第二層として使用されるフッ素樹脂としては、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフロロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。勿論、上記したフッ素樹脂を適宜混和しても良いし、通常使用される添加剤を配合しても良い。これらの中でも、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体であれば機械的強度が良好で、架橋させることにより耐熱性を向上させることできる。
上記フッ素ゴム混和物或いは上記フッ素樹脂を架橋させる際の架橋方法は、特に限定されず、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物や、ポリオール、アミンなどを架橋剤として使用した化学架橋法、X線、γ線、電子線、陽子線、重陽子線、α線、β線などの電離性放射線を使用した照射架橋法などが挙げられる。但し、照射架橋法を使用する場合は、フッ素樹脂として、放射線によって崩壊しないものを選定する必要がある。
架橋させる際には、上記のフッ素ゴム混和物を公知の方法によって導体周上に押出被覆して第一層とし、このフッ素ゴム混和物が未架橋の状態で、第一層の周上に上記フッ素樹脂を公知の方法によって押出被覆して第二層とし、この第一層と第二層を一括して架橋を施すことが生産性の面で好ましい。第二層を被覆した後に第一層を架橋するということさえ満たしていれば、例えば、第一層を化学架橋とし、第二層を照射架橋とするなど、第一層と第二層を別工程で架橋することも可能である。又、第一層のみ或いは第二層のみを架橋することも可能である。尚、押出被覆の際は、第一層の押出被覆と第二層の押出被覆を別の工程で行っても良いし、所謂、二層押出等の手法で第一層と第二層を同時に押出被覆しても良い。
尚、本発明においては、第一層或いは第二層という表現をしているが、第一層や第二層が単層であるものに限定されるわけではない。例えば、フッ素ゴム混和物を複数層に積層したものを総じて第一層としても良いし、フッ素樹脂を複数層に積層したものを総じて第二層としても良い。又、第二層の外周に別の第三層を被覆しても構わない。
以下に図1を参照して本発明の実施例を比較例と併せて説明する。この実施例で使用した各材料の詳細は表3に示す通りである。
表3に示した配合材料を表1,2に示した配合部数により2軸混練機で十分に混練し、得られたフッ素ゴム混和物を180℃×10分、60kgf/cmの条件にてプレス加硫し、厚さ約1mmのシート状サンプルを作製した。又、得られたフッ素ゴム混和物を素線径0.18mmのスズメッキ軟銅線を19本撚り合わせてなる外径約0.9mmの導体3の周上に厚さ約0.3mmにて被覆して第一層1とし、更にその周上にフッ素樹脂を被覆して第二層2とし、仕上がり外径1.9mmの電線サンプルを作製した。尚、架橋については、電離放射線による照射架橋とした。シート状サンプルについてはシート状にて架橋を行い、電線サンプルについては、実施例1〜5については、第一層1及び第二層2を一括して架橋し、実施例6については、架橋を行わず、比較例1については、第一層1を被覆した後に架橋し、その後、第二層2を被覆した後に更に架橋した。
ここで、この様にして得られた合計7種類のシート状サンプルについて、耐熱性、耐油性についてそれぞれ評価を行った。又、電線サンプルについて、機械的強度、可撓性、電線耐熱性、第一層1と第二層2の接着性について、それぞれ評価を行った。結果は各配合材料の配合部数と共に表1に併せて示した。
評価方法は以下の通りである。
(第一層耐熱性)
JIS3005に準拠して、250℃×4日加熱後の引張強度と伸びを測定する。
(第一層耐油性)
市販されているATフルードに165℃×5日浸漬後、JIS3005に準拠して引張強度、伸びを測定する。
(ブレード磨耗性)
JASO D 608に準拠して、荷重510g、R=0.125にてブレード摩耗性を測定し、これを機械的強度として評価する。
(可撓性)
長さ500mmの電線サンプルの中心と中心より100mmの部位に印をつけ、両端を繋ぎ円弧状にしたものを2φのマンドレルに中心があたるようにセットする。次いで、つなぎ目に100gの錘をつるし、30秒後中心より100mmの印をつけた部位の距離を測定する。
(耐熱性)
電線を自己径に巻きつけ、280℃×1時間で保持をする。その後、表面にクラックや溶融が発生しなかったものを○(合格)、クラックや溶融が発生したものを×(不合格)として評価する。
(内層と外層の接着性)
長さ5mm、幅25mmの電線サンプルにおいて、第一層1と第二層2の接着部位を速度50mm/minにて剥離試験を行う。合否の基準としては、第一層1と第二層2がきれいに剥がれず材料破壊したものを○、接着はしていたものの第一層1と第二層2の界面にて剥がれが生じたものを△、全く接着しなかったものを×とする。
尚、上記評価の内、ブレード磨耗性、可撓性、電線耐熱性については、参考として、フッ素ゴム(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン3元共重合体、架橋あり)のみの層からなる参考例1、フッ素樹脂(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、架橋あり)のみの層からなる参考例2についても、同様に試験を行った。
Figure 0005202885
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実施例1〜3によるサンプルは、耐熱性、耐油性及び接着性について合格する値を示しており、機械的強度、耐熱性、耐油性及び接着性に優れたものであることが確認された。
実施例1と比較例1を比較すると、第二層2の被覆時に第一層1が架橋されている比較例1は、実施例1と比べて接着性が劣るため、電線の加工性や配線の作業性が悪くなる懸念がある。検証のため、実際に、実施例1と比較例1について、ストリップ加工、及び、ブッシュへの挿入作業を行った。実施例1は、ストリップ寸法が一定し、ブッシュへの挿入も非常に容易だったが、比較例1は、ストリップ寸法が当初設定したものと異なってしまった上、ブッシュへの挿入は第二層がずれてしまうことにより非常に困難なものとなってしまった。又、比較例1は、端子圧着強度も十分ではないことが確認された。
実施例1〜3と実施例4を比較すると、フッ素ゴムの配合比が本発明の範囲(フッ素ゴム:ポリオレフィン=99:1〜45:55)を超えた量で配合されている実施例4は、実施例1〜3と比べて接着性がやや劣ることが確認された。又、実施例1〜3と実施例5を比較すると、ポリオレフィンの配合比が本発明の範囲(フッ素ゴム:ポリオレフィン=99:1〜45:55)を超えた量で配合されている実施例5は、実施例1〜3と比べて第一層の耐熱性や耐油性にやや劣ることが確認された。
実施例1〜3と実施例6を比較すると、実施例6は、第一層と第二層ともに架橋されていないため、実施例1〜3と比べて電線耐熱性がやや劣ることが確認された。
又、実施例1〜3と参考例1とを比べると、実施例1〜3の方が、機械的強度の面で大きく優れ、又、電線としてコシがある状態であったため、配線の作業性にも優れていた。又、実施例1〜3と参考例2とを比べると、実施例1〜3の方が可撓性に優れ、配線の作業性にも優れていた。
以上詳述したように本発明によれば、機械的強度、耐熱性、耐油性、加工性、作業性、及び、端子圧着強度に優れた耐熱耐油絶縁電線を得ることができる。その為、この電線は、例えば、電気機器内配線、自動車用ハーネスなどのような電線・ケーブルとして好適である。特に、自動車のAT装置内に配置されるような電線として最適なものである。又、使用用途としてはこれらに限定されることはなく、例えば、他の耐熱要求のある用途としても使用可能である。
本発明の実施例による電線の構成を示す一部切欠斜視図である。
符号の説明
1 第一層
2 第二層
3 導体

Claims (6)

  1. 導体周上に、フッ素ゴムとポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和したフッ素ゴム混和物からなる第一層が被覆され、該第一層の外周にフッ素樹脂からなる第二層が被覆され、上記第一層と上記第二層とが、接着剤を介さずに接着されていることを特徴とする耐熱耐油絶縁電線。
  2. 上記フッ素ゴム混和物を構成するフッ素ゴムが、フッ化ビニリデン系共重合体を含有することを特徴とする請求項1記載の耐熱耐油絶縁電線。
  3. 上記第二層のフッ素樹脂が、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の耐熱耐油絶縁電線。
  4. 上記第一層のフッ素ゴム混和物、及び、第二層のフッ素樹脂が、架橋されていることを特徴とする請求項3記載の耐熱耐油絶縁電線。
  5. 導体周上に、フッ素ゴムとポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和したフッ素ゴム混和物からなる第一層を押出被覆し、上記第一層を押出被覆した後又は上記第一層を押出被覆すると同時に、上記フッ素ゴム混和物が未架橋の状態で、上記第一層の外周にフッ素樹脂からなる第二層を押出被覆することを特徴とする耐熱耐油絶縁電線の製造方法。
  6. 導体周上に、フッ素ゴムとポリオレフィンを45:55〜99:1(重量比)の範囲で混和したフッ素ゴム混和物からなる第一層を押出被覆し、上記第一層を押出被覆した後又は上記第一層を押出被覆すると同時に、上記第一層の外周にフッ素樹脂からなる第二層を押出被覆し、上記第一層のフッ素ゴム混和物及び上記第二層のフッ素樹脂を一括して架橋することを特徴とする耐熱耐油絶縁電線の製造方法。
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