JP5201272B2 - 無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、共通の回転軸を有する複数の回転要素と、その回転軸に対して放射状に複数配置した転動部材と、を備え、各回転要素の内の2つに挟持された各転動部材を傾転させることによって入出力間の変速比を無段階に変化させる無段変速機に関する。
従来、この種の無段変速機としては、回転中心となる変速機軸と、この変速機軸の中心軸を第1回転中心軸とする相対回転可能な複数の回転要素と、その第1回転中心軸と平行な別の第2回転中心軸を有し、第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置した転動部材と、を備え、対向させて配置した第1回転要素と第2回転要素とで各転動部材を挟持すると共に、各転動部材を第3回転要素の外周面上に配置し、その転動部材を傾転させることで変速比を無段階に変化させる所謂トラクション遊星ギヤ機構を備えたものが知られている。この無段変速機には、転動部材を自転させると共に支持する支持軸(回転軸)と、この支持軸における転動部材からの夫々の突出部分を介して当該転動部材を保持する固定要素と、が用意されている。例えば、下記の特許文献1−3には、この種の無段変速機について開示されている。特許文献1の無段変速機においては、第3回転要素としてのサンローラが軸線方向にて2分割構造になっており、アンギュラ軸受によって支持されている。また、この無段変速機では、固定要素としてのキャリアに対してサンローラがスナップリングによって固定されている。特許文献2及び3の無段変速機は、転動部材を傾転させる為のアイリスプレート(円盤部材)を備えている。そのアイリスプレートは、支持軸の端部が挿入されるアイリス溝を備えており、そのアイリス溝において、ウォームギヤによる自身の回転と共に支持軸の端部を最減速の変速比となる最減速部分と最増速の変速比となる最増速部分との間で案内する。尚、特許文献3の無段変速機においては、第1回転要素及び第2回転要素としてのディスクが転動部材よりも径方向内側に配設されている。
米国特許出願公開第2010/0267510号明細書 実開昭51−150380号公報 特開昭55−135259号公報
ところで、この種の無段変速機においては、互いの干渉を防ぐべく転動部材と固定要素(キャリア)との間に十分な軸線方向の隙間を設ける必要があるので、その転動部材の軸線方向における位置決めが重要になる。しかしながら、上記の特許文献1−3には、その転動部材の位置決めについて開示されていない。これが為、その特許文献1−3に開示された無段変速機の構造に基づき転動部材の位置決めを行うには、その位置決めに要する部品の点数が多くなり、その夫々の部品毎に寸法精度や配置に係る精度を高める必要があるので、原価を増大させる可能性がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、転動部材の軸線方向における位置決めを低コストで実現させることが可能な無段変速機を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、回転中心となる固定軸としての変速機軸と、前記変速機軸上で対向させて配置した共通の第1回転中心軸を有する相対回転可能な第1及び第2の回転要素と、前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有し、該第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置して前記第1及び第2の回転要素に挟持させた転動部材と、前記第2回転中心軸を有し、前記転動部材から両端を突出させた当該転動部材の支持軸と、外周面上の径方向内側に凹ませた凹部に前記各転動部材を配置し、前記変速機軸並びに前記第1及び第2の回転要素に対する相対回転が可能な第3回転要素と、前記変速機軸に固定され、且つ、前記支持軸の夫々の突出部を介して前記転動部材を保持する固定要素と、前記第1回転要素と前記第2回転要素との間の回転比を前記各転動部材の傾転動作によって変化させる変速装置と、前記第1及び第2の回転要素に各々個別に固定された第1及び第2の回転軸と、前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第1位置決め構造と、前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第2位置決め構造と、前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第3位置決め構造と、を備えている。そして、本発明では、前記第2回転要素に固定された前記第2回転軸を前記変速機軸に対する前記第1回転中心軸を中心とした相対回転が行えるよう配置すると共に、前記第1回転要素に固定された前記第1回転軸を前記第2回転軸の外周面上で当該第2回転軸に対する前記第1回転中心軸を中心とした相対回転が行えるよう配置し、前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量よりも小さく設定することを特徴としている。
ここで、前記支持軸のずれに伴うサイドスリップ力によって生じる前記転動部材の前記第3回転要素に対する軸線方向への移動可能量を、前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量と前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量との和よりも小さく設定することが望ましい。
また、上記目的を達成する為、本発明は、回転中心となる固定軸としての変速機軸と、前記変速機軸上で対向させて配置した共通の第1回転中心軸を有する相対回転可能な第1及び第2の回転要素と、前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有し、該第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置して前記第1及び第2の回転要素に挟持させた転動部材と、前記第2回転中心軸を有し、前記転動部材から両端を突出させた当該転動部材の支持軸と、外周面上の径方向内側に凹ませた凹部に前記各転動部材を配置し、前記変速機軸並びに前記第1及び第2の回転要素に対する相対回転が可能な第3回転要素と、前記変速機軸に固定され、且つ、前記支持軸の夫々の突出部を介して前記転動部材を保持する固定要素と、前記第1回転要素と前記第2回転要素との間の回転比を前記各転動部材の傾転動作によって変化させる変速装置と、前記第1及び第2の回転要素に各々個別に固定され、前記変速機軸の外周面上で当該変速機軸に対する前記第1回転中心軸を中心とした相対回転が可能な第1及び第2の回転軸と、前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第1位置決め構造と、前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第2位置決め構造と、前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第3位置決め構造と、を備えている。そして、本発明では、前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を、前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量又は前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量の内の小さい方よりも小さく設定することを特徴としている。
ここで、前記支持軸のずれに伴うサイドスリップ力によって生じる前記転動部材の前記第3回転要素に対する軸線方向への移動可能量を、前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量又は前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量の内の小さい方と前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量との和よりも小さく設定することが望ましい。
前記第3位置決め構造は、前記第3回転要素を前記固定要素に向けて軸線方向に押し付ける締結部材によって、前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を0に設定することが望ましい。
また、この第3位置決め構造は、前記固定要素の開口部に挿入される軸力伝達部材を前記第3回転要素と前記締結部材との間に設けることが望ましい。
また、前記固定要素は、一体成形することが望ましい。
本発明に係る無段変速機は、固定要素と凹部を有する第3回転要素とで転動部材の軸線方向における位置決めを行うことができる。つまり、この無段変速機は、転動部材の位置決めの為に、固定要素、第3回転要素、そして、これらに関連する部品(これらを取り付ける部品等)の寸法精度や配置に係る精度を高めればよい。従って、本発明に係る無段変速機は、要求精度の高い部品の点数が少なくなるので、転動部材の軸線方向における位置決めを低コストで実現させることができる。
図1は、本発明に係る無段変速機の実施例1の構成を示す部分断面図である。 図2は、サンローラにおける別形態の凹部について説明する図である。 図3は、キャリアのガイド溝や連結軸の間隔について説明する図である。 図4は、アイリスプレートについて説明する図である。 図5は、本発明に係る無段変速機の実施例2の構成を示す部分断面図である。 図6は、本発明に係る無段変速機の実施例2の別形態の構成を示す部分断面図である。 図7は、図6のX−X線で切った軸力伝達部材等の断面図である。 図8は、実施例3の無段変速機について説明する部分断面図である。 図9は、遊星ボールとサンローラとの位置ずれに関して説明する図である。 図10は、実施例3の別形態の無段変速機について説明する部分断面図である。 図11は、実施例3の別形態の無段変速機について説明する部分断面図である。 図12は、実施例3の別形態の無段変速機について説明する部分断面図である。 図13は、実施例3の別形態の無段変速機について説明する部分断面図である。 図14は、本発明に係る無段変速機の実施例4の構成を示す部分断面図である。
以下に、本発明に係る無段変速機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例1]
本発明に係る無段変速機の実施例1を図1から図4に基づいて説明する。
最初に、本実施例の無段変速機の一例について図1を用いて説明する。図1の符号1は、本実施例の無段変速機を示す。
この無段変速機1の主要部を成す無段変速機構は、共通の第1回転中心軸R1を有する相互間での相対回転が可能な第1から第3の回転要素10,20,30と、その第1回転中心軸R1と後述する基準位置において平行な別の第2回転中心軸R2を各々有する複数の転動部材40と、第1から第3の回転要素10,20,30の回転中心に配置した変速機軸としてのシャフト50と、このシャフト50に固定し、夫々の転動部材40を傾転自在に保持する固定要素60と、を備えた所謂トラクション遊星ギヤ機構と云われるものである。この無段変速機1は、第2回転中心軸R2を第1回転中心軸R1に対して傾斜させ、転動部材40を傾転させることによって、入出力間の変速比γを変えるものである。以下においては、特に言及しない限り、その第1回転中心軸R1や第2回転中心軸R2に沿う方向を軸線方向と云い、その第1回転中心軸R1周りの方向を周方向と云う。また、その第1回転中心軸R1に直交する方向を径方向と云い、その中でも、内方に向けた側を径方向内側と、外方に向けた側を径方向外側と云う。
この無段変速機1においては、第1回転要素10と第2回転要素20と第3回転要素30との間で各転動部材40を介したトルクの伝達が行われる。例えば、この無段変速機1においては、第1から第3の回転要素10,20,30の内の1つがトルク(動力)の入力部となり、残りの回転要素の内の少なくとも1つがトルクの出力部となる。これが為、この無段変速機1においては、入力部となる何れかの回転要素と出力部となる何れかの回転要素との間の回転速度(回転数)の比が変速比γとなる。例えば、この無段変速機1は、車両の動力伝達経路上に配設される。その際には、その入力部がエンジンやモータ等の動力源側に連結され、その出力部が駆動輪側に連結される。この無段変速機1においては、入力部としての回転要素にトルクが入力された場合の各回転要素の回転動作を正駆動と云い、出力部としての回転要素に正駆動時とは逆方向のトルクが入力された場合の各回転要素の回転動作を逆駆動と云う。例えば、この無段変速機1は、先の車両の例示に従えば、加速等の様に動力源側からトルクが入力部たる回転要素に入力されて当該回転要素を回転させているときが正駆動となり、減速等の様に駆動輪側から出力部たる回転中の回転要素に正駆動時とは逆方向のトルクが入力されているときが逆駆動となる。
この無段変速機1においては、シャフト50の中心軸(第1回転中心軸R1)を中心にして放射状に複数個の転動部材40を配置する。その夫々の転動部材40は、対向させて配置した第1回転要素10と第2回転要素20とで挟持させると共に、第3回転要素30の外周面上に配設する。また、夫々の転動部材40は、自身の回転中心軸(第2回転中心軸R2)を中心にした自転を行う。この無段変速機1は、第1及び第2の回転要素10,20の内の少なくとも一方を転動部材40に押し付けることによって、第1から第3の回転要素10,20,30と転動部材40との間に適切な接線力(トラクション力)を発生させ、その間におけるトルクの伝達を可能にする。また、この無段変速機1は、夫々の転動部材40を自身の第2回転中心軸R2と第1回転中心軸R1とを含む傾転平面上で傾転させ、第1回転要素10と第2回転要素20との間の回転速度(回転数)の比を変化させることによって、入出力間の回転速度(回転数)の比を変える。
ここで、この無段変速機1においては、第1及び第2の回転要素10,20が遊星歯車機構で云うところのリングギヤの機能を為すものとなる。また、第3回転要素30は、トラクション遊星ギヤ機構のサンローラとして機能する。また、転動部材40はトラクション遊星ギヤ機構におけるボール型ピニオンとして機能し、固定要素60はキャリアとして機能する。以下、第1及び第2の回転要素10,20については、各々「第1及び第2の回転部材10,20」と云う。また、第3回転要素30については「サンローラ30」と云い、転動部材40については「遊星ボール40」と云う。また、固定要素60については、「キャリア60」と云う。
また、シャフト50は、図示しない筐体や車体等における無段変速機1の固定部に固定したものであり、その固定部に対して相対回転させぬよう構成した円柱状の固定軸とする。
第1及び第2の回転部材10,20は、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた円盤部材(ディスク)や円環部材(リング)であり、軸線方向で対向させて各遊星ボール40を挟み込むように配設する。この例示においては、双方とも円環部材とする。
この第1及び第2の回転部材10,20は、後で詳述する各遊星ボール40の径方向外側の外周曲面と接触する接触面を有している。その夫々の接触面は、例えば、遊星ボール40の外周曲面の曲率と同等の曲率の凹円弧面、その外周曲面の曲率とは異なる曲率の凹円弧面、凸円弧面又は平面等の形状を成している。ここでは、後述する基準位置の状態で第1回転中心軸R1から各遊星ボール40との接触部分までの距離が同じ長さになるように夫々の接触面を形成して、第1及び第2の回転部材10,20の各遊星ボール40に対する夫々の接触角θが同じ角度になるようにしている。その接触角θとは、基準から各遊星ボール40との接触部分までの角度のことである。ここでは、径方向を基準にしている。その夫々の接触面は、遊星ボール40の外周曲面に対して点接触又は面接触している。また、夫々の接触面は、第1及び第2の回転部材10,20から遊星ボール40に向けて軸線方向の力(押圧力)が加わった際に、その遊星ボール40に対して径方向内側で且つ斜め方向の力(法線力)が加わるように形成されている。
この例示においては、第1回転部材10を無段変速機1の正駆動時におけるトルク入力部として作用させ、第2回転部材20を無段変速機1の正駆動時におけるトルク出力部として作用させる。従って、その第1回転部材10には入力軸(第1回転軸)11が連結され、第2回転部材20には出力軸(第2回転軸)21が連結される。尚、この無段変速機1は、入力軸11として設けているものを出力軸として利用し、出力軸21として設けているものを入力軸として利用してもよい。
その出力軸21は、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた円盤部21aと円筒部21bとを備えている。その円筒部21bは、円盤部21aの内周側に設けられており、その内周面がラジアル軸受RB1,RB2を介してシャフト50の外周面に取り付けられている。従って、出力軸21とこれに連結された第2回転部材20は、シャフト50に対する周方向の相対回転を行うことができる。
また、入力軸11についても、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた出力軸21と同様の円盤部11aと円筒部11bとを備えている。その円筒部11bは、その内周面がラジアル軸受RB3,RB4を介して出力軸21の円筒部21bの外周面に取り付けられている。この入力軸11は、そのラジアル軸受RB3,RB4と下記のスラスト軸受TBによって、出力軸21に対する周方向の相対回転を行うことができる。
ここで、入力軸11における円盤部11aと出力軸21における円盤部21aの夫々の外周側の平面の間には、トルクカム71と環状部材72とスラスト軸受TBとが配設されている。その環状部材72と出力軸21は、そのスラスト軸受TBを介して相対回転できる。トルクカム71は、入力軸11側の係合部材と環状部材72側の係合部材とが係合することで、入力軸11と環状部材72との間で軸力を発生させると共に回転トルクを伝達させ、これらを一体になって回転させる。その軸力は、第1回転部材10と第2回転部材20とに伝わり、これらが各遊星ボール40を押圧する際の押圧力となる。
サンローラ30は、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた円筒状のものであり、ラジアル軸受RB5,RB6によってシャフト50に対する周方向への相対回転を行える。このサンローラ30は、その内周面側の中央部分に径方向内側に膨出させた環状部31を備えている。ラジアル軸受RB5,RB6は、その環状部31の側面に外輪が当接するまでサンローラ30に圧入している。
また、このサンローラ30の外周面には、複数個の遊星ボール40が放射状に略等間隔で配置される。従って、このサンローラ30においては、その外周面が遊星ボール40の自転の際の転動面となる。その転動面には、軸線方向における中心部分を両端部側よりも径方向内側に凹ませた凹部32が形成されている。その凹部32は、周方向に渡って1周形成されている。また、この凹部32は、例えば、図1に示す湾曲形状であってもよく、図2に示すV字型形状であってもよい。夫々の遊星ボール40は、被駆動時に凹部32の中央部分(最も凹んでいる部分)に来るよう配置する。故に、遊星ボール40は、その凹部32の無い転動面と比較して、サンローラ30に対する軸線方向への相対移動が抑制される。このサンローラ30は、自らの回転動作によって夫々の遊星ボール40を転動(自転)させることもできれば、夫々の遊星ボール40の転動動作(自転動作)に伴って回転することもできる。
遊星ボール40は、サンローラ30の外周面上を転がる転動部材である。この遊星ボール40は、完全な球状体であることが好ましいが、少なくとも転動方向にて球形を成すもの、例えばラグビーボールの様な断面が楕円形状のものであってもよい。この遊星ボール40は、その中心を通って貫通させた支持軸41によって回転自在に支持する。例えば、遊星ボール40は、支持軸41の外周面との間に配設した軸受(図示略)によって、第2回転中心軸R2を回転軸とした支持軸41に対する相対回転(つまり自転)ができるようにしている。従って、この遊星ボール40は、支持軸41を中心にしてサンローラ30の外周面上を転動することができる。その支持軸41の両端は、遊星ボール40から突出させておく。尚、遊星ボール40と支持軸41との間には、その軸受等による微小のガタ(隙間)が存在している。
その支持軸41の基準となる位置は、図1に示すように、第2回転中心軸R2が第1回転中心軸R1と平行になる位置である。この支持軸41は、その基準位置で形成される自身の回転中心軸(第2回転中心軸R2)と第1回転中心軸R1とを含む傾転平面内において、基準位置とそこから傾斜させた位置との間を遊星ボール40と共に揺動(傾転)することができる。その傾転は、その傾転平面内で遊星ボール40の中心を支点にして行われる。
キャリア60は、夫々の遊星ボール40の傾転動作を妨げないように支持軸41の夫々の突出部を保持する。このキャリア60は、例えば、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた第1及び第2の円盤部材61,62を対向させて配置し、その第1及び第2の円盤部材61,62を複数本の連結軸65(図3)で連結して、全体として籠状となるようにしている。これにより、このキャリア60は、外周面に開放部分を有することになる。各遊星ボール40は、第1及び第2の円盤部材61,62の間に配置し、その開放部分を介して第1回転部材10と第2回転部材20とに接している。
このキャリア60は、第1及び第2の円盤部材61,62の内周面側をシャフト50の外周面側に固定し、そのシャフト50に対する周方向への相対回転や軸線方向への相対移動が行えないようにしている。例えば、このキャリア60は、第1及び第2の円盤部材61,62の内周面をシャフト50の外周面に対してスプライン嵌合することで、そのような周方向への相対回転を禁止できる。このキャリア60は、その内周面側に、軸線方向で且つサンローラ30側に向けて延設した環状部61a,62aを備える。故に、スプライン嵌合を適用する場合には、その環状部61a,62aの内周面にスプラインを形成する。また、この例示では、軸線方向への相対移動を行わせない為に、キャリア60の軸線方向における夫々の側面にスナップリング等の係止部材91,92を配設している。尚、キャリア60は、シャフト50に圧入することで相対回転と相対移動を規制してもよい。
この無段変速機1には、夫々の遊星ボール40の傾転時に支持軸41を傾転方向へと案内する為のガイド部が設けられている。この例示では、そのガイド部をキャリア60に設ける。ガイド部は、遊星ボール40から突出させた支持軸41を傾転方向に向けて案内する径方向のガイド溝63,64であり、第1及び第2の円盤部材61,62の夫々の対向する部分に遊星ボール40毎に形成する(図3)。つまり、全てのガイド溝63と全てのガイド溝64は、軸線方向(図1の矢印Aの方向)から観ると夫々に放射状を成している。ガイド溝63は、第1円盤部材61の周方向を溝幅とし、その径方向内側を溝底としたものである。同様に、ガイド溝64は、第2円盤部材62の周方向を溝幅とし、その径方向内側を溝底とする。支持軸41とガイド溝63,64との間には、傾転動作を実現させる為、そして円滑にする為に、溝幅方向に隙間が設けられている。その隙間は、例えば、傾転動作の為のサンローラ30と遊星ボール40との間におけるサイドスリップを引き起こせるだけの大きさにする。
ここで、キャリア60をシャフト50に固定する際には、籠状に形成されたキャリア60の第1円盤部材61と第2円盤部材62との間に、ラジアル軸受RB5,RB6の嵌合されたサンローラ30を配置しておき、その第1及び第2の円盤部材61,62とラジアル軸受RB5,RB6とにシャフト50を挿入していく。従って、この無段変速機1においては、籠状を成すキャリア60の第1円盤部材61と第2円盤部材62との間にサンローラ30が配置できるように、図3に示すように、隣り合う連結軸65の間隔Ijをサンローラ30の直径Dsよりも大きくしている。また、この無段変速機1では、そのシャフト50の組み付け後に、支持軸41の挿入された遊星ボール40が径方向外側から組み付けられる。故に、その連結軸65の間隔Ijは、遊星ボール40の直径Dbよりも拡げておく。
更に、このキャリア60においては、第1及び第2の円盤部材61,62の直径(最大の外径)を第1回転部材10や第2回転部材20における遊星ボール40との接触部分の内径(最小の内径)よりも小さくする。上記の遊星ボール40のキャリア60への組み付け後に第1及び第2の回転部材10,20をシャフト50へと挿入するので、第1及び第2の円盤部材61,62の外形によって第1及び第2の回転部材10,20の挿入が妨げられないようにする為である。
この無段変速機1においては、夫々の遊星ボール40の傾転角が基準位置、即ち0度のときに、第1回転部材10と第2回転部材20とが同一回転速度(同一回転数)で回転する。つまり、このときには、第1回転部材10と第2回転部材20の回転比(回転速度又は回転数の比)が1となり、変速比γが1になっている。一方、夫々の遊星ボール40を基準位置から傾転させた際には、支持軸41の中心軸から第1回転部材10との接触部分までの距離が変化すると共に、支持軸41の中心軸から第2回転部材20との接触部分までの距離が変化する。これが為、第1回転部材10又は第2回転部材20の内の何れか一方が基準位置のときよりも高速で回転し、他方が低速で回転するようになる。例えば第2回転部材20は、遊星ボール40を一方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも低回転になり(減速)、他方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも高回転になる(増速)。従って、この無段変速機1においては、その傾転角を変えることによって、第1回転部材10と第2回転部材20との間の回転比(変速比γ)を無段階に変化させることができる。尚、ここでの増速時(γ<1)には、図1における上側の遊星ボール40を紙面反時計回り方向に傾転させ且つ下側の遊星ボール40を紙面時計回り方向に傾転させる。また、減速時(γ>1)には、図1における上側の遊星ボール40を紙面時計回り方向に傾転させ且つ下側の遊星ボール40を紙面反時計回り方向に傾転させる。
この無段変速機1には、その変速比γを変える変速装置が設けられている。変速比γは遊星ボール40の傾転角の変化に伴い変わるので、その変速装置としては、夫々の遊星ボール40を傾転させる傾転装置を用いる。ここでは、この変速装置が円盤状のアイリスプレート(傾転要素)80を備えている。
そのアイリスプレート80は、その径方向内側のラジアル軸受RB7を介してシャフト50に取り付けられており、そのシャフト50に対して第1回転中心軸R1を中心とする相対回転を行える。その相対回転には、図示しないモータ等のアクチュエータ(駆動部)を用いる。この駆動部の駆動力は、ウォームギア81を介してアイリスプレート80の外周部分に伝えられる。
このアイリスプレート80は、夫々の遊星ボール40の入力側(第1回転部材10との接触部側)又は出力側(第2回転部材20との接触部側)で且つキャリア60の外側に配置する。この例示では、入力側に配置している。このアイリスプレート80には、支持軸41の一方の突出部が挿入される絞り孔(アイリス孔)82を形成する。その絞り孔82は、径方向内側の端部が起点の径方向を基準線Lと仮定する場合、径方向内側から径方向外側に向かうにつれて基準線Lから周方向に離れていく弧状になっている(図4)。尚、その図4は、図1の矢印Aの方向から観た図である。
支持軸41の一方の突出部は、アイリスプレート80が図4の紙面時計回り方向に回転することで、絞り孔82に沿ってアイリスプレート80の中心側に移動する。その際、支持軸41の夫々の突出部がキャリア60のガイド溝63,64に挿入されているので、絞り孔82に挿入されている一方の突出部は、径方向内側に移動する。また、その一方の突出部は、アイリスプレート80が図4の紙面反時計回り方向に回転することで、絞り孔82に沿ってアイリスプレート80の外周側に移動する。その際、この一方の突出部は、ガイド溝63,64の作用によって径方向外側に移動する。このように、支持軸41は、ガイド溝63,64と絞り孔82によって径方向に移動できる。従って、遊星ボール40は、上述した傾転動作が可能になる。
ところで、この無段変速機1においては、遊星ボール40がキャリア60と干渉しないように、夫々の遊星ボール40の軸線方向(第1回転中心軸R1の軸線方向)における位置ずれを抑制する、より好ましくは位置ずれを無くすことが望ましい。この無段変速機1では、上記のサンローラ30の凹部32によって、遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向への相対移動が抑制されるので、その遊星ボール40の軸線方向への位置ずれが抑制される。
更に、その位置ずれを抑制するべく、この無段変速機1においては、サンローラ30のシャフト50に対する軸線方向への移動可能量ΔTssを少なくすることが好ましい。遊星ボール40は、サンローラ30の軸線方向への移動につられて移動する可能性があるからである。従って、この無段変速機1には、サンローラ30のシャフト50に対する軸線方向への移動可能量ΔTssを設定する位置決め構造(第3位置決め構造)が設けられている。
例えば、この無段変速機1においては、キャリア60の第1及び第2の円盤部材61,62に環状部61a,62aを設けており、その環状部61a,62aの夫々の自由端とラジアル軸受RB5,RB6の側面との間の距離を縮めることで、サンローラ30のシャフト50に対する軸線方向への移動可能量ΔTssを減らすことができる。このことから、第3位置決め構造は、キャリア60の夫々の環状部61a,62aとサンローラ30のラジアル軸受RB5,RB6とで構成することができる。
ここで、この例示ではキャリア60をシャフト50に対して軸線方向へと相対移動できぬように固定しているので、その移動可能量ΔTssについては、サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTscと云える(ΔTsc=ΔTss)。故に、その移動可能量ΔTscは、下記の式1によって求めることができる。そして、第3位置決め構造は、サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTscを設定するものであると云える。
ΔTsc=Ic−Is … (1)
この式1の「Ic」は、図1に示すように、環状部61aの自由端と環状部62aの自由端との間の距離である。「Is」は、ラジアル軸受RB5の図1の紙面右側の側面とラジアル軸受RB6の図1の紙面左側の側面との間の距離である。
尚、この例示ではサンローラ30(厳密にはラジアル軸受RB5,RB6)とキャリア60(厳密には環状部61a,62aの自由端)との間の軸線方向における隙間を移動可能量ΔTscとしているが、その隙間に弦巻バネ等の弾性部材が配設されている場合には、その弾性部材の伸縮により得られるサンローラ30とキャリア60との間の最大の移動量を移動可能量ΔTscとする。
このように、この無段変速機1は、サンローラ30の転動面に設けた凹部32や、サンローラ30のシャフト50に対する軸線方向への移動可能量ΔTss(サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTsc)の縮小によって、遊星ボール40の軸線方向の位置ずれを抑えることができる。
ここで、遊星ボール40の軸線方向の位置ずれを引き起こす要因としては、それ以外にも第1回転部材10や第2回転部材20の軸線方向への移動が挙げられる。この点について観てみると、この無段変速機1においては、第2回転部材20がシャフト50の外周面側に配置されている一方、第1回転部材10は第2回転部材20の外周面側に配置されている。そして、第1回転部材10は、図1の紙面右方向への第2回転部材20に対する相対移動がトルクカム71により規制されている反面、図1の紙面左方向へと例えばトルクカム71の軸線方向への動作範囲内において第2回転部材20に対する相対移動が行える。これに対して、第2回転部材20は、ラジアル軸受RB1の側面側(図1の紙面右側)に配設された係止部材93と、ラジアル軸受RB2の側面側(図1の紙面左側)に配設された係止部材94と、によって、シャフト50に対する軸線方向への移動可能量ΔToutsが規制される。従って、遊星ボール40は、第1及び第2の回転部材10,20だけに着目すると、シャフト50の取り付けられる第2回転部材20の軸線方向の移動の影響の方が大きいので、その移動可能量ΔToutsの範囲内で軸線方向に移動できる。
その移動可能量ΔToutsは、キャリア60がシャフト50に固定されているので、第2回転部材20のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutcと云える(ΔToutc=ΔTouts)。これが為、その移動可能量ΔToutcは、下記の式2によって求めることができる。
ΔToutc=Isr−Ir … (2)
この式2の「Isr」は、図1に示すように、係止部材93と係止部材94との間の距離である。「Ir」は、ラジアル軸受RB1の図1の紙面右側の側面とラジアル軸受RB2の図1の紙面左側の側面との間の距離である。
尚、この例示では第2回転部材20(厳密にはラジアル軸受RB1,RB2)とキャリア60(厳密には係止部材93,94)との間の軸線方向における隙間を移動可能量ΔToutcとしているが、その隙間に弦巻バネ等の弾性部材が配設されている場合には、その弾性部材の伸縮により得られる第2回転部材20とキャリア60との間の最大の移動力を移動可能量ΔToutcとする。
この無段変速機1においては、トルクカム71、環状部材72、スラスト軸受TB、第1回転部材10及び入力軸11のラジアル軸受RB3,RB4並びに下記の第2位置決め構造が、第1回転部材10のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTincを設定する第1位置決め構造を成している。また、係止部材93,94、第2回転部材20及び出力軸21のラジアル軸受RB1,RB2並びにシャフト50における係止部材93,94の保持溝は、第2回転部材20のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutcを設定する第2位置決め構造を成している。
さて、サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTsc(=ΔTss)には、最大で、サンローラ30、ラジアル軸受RB5,RB6、キャリア60、係止部材91,92及びシャフト50の係止部材91,92の取り付け溝における夫々の軸線方向の寸法精度(つまり寸法公差)、これらの組み付け精度(つまり組み付け時の公差)の積み重ねに伴うずれが生じる。また、第2回転部材20のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutc(=ΔTouts)には、最大で、第2回転部材20、ラジアル軸受RB1,RB2、キャリア60、係止部材93,94及びシャフト50の係止部材93,94の取り付け溝における夫々の軸線方向の寸法精度(寸法公差)、これらの組み付け精度(組み付け時の公差)の積み重ねに伴うずれが生じる。
遊星ボール40の軸線方向の位置は、その移動可能量ΔTscが移動可能量ΔToutcよりも大きい場合、又は、その移動可能量ΔTscと移動可能量ΔToutcとが同じ場合、サンローラ30、キャリア60及び遊星ボール40に関連する部品の寸法精度や組み付け精度だけでなく、第2回転部材20に関連する部品の寸法精度や組み付け精度の影響も受ける。これが為、この場合には、その移動可能量ΔToutcに加え、これらの寸法精度や組み付け精度によって遊星ボール40の軸線方向の位置が決まる。これに対して、その移動可能量ΔTscが移動可能量ΔToutcよりも小さい場合には、第2回転部材20に関連する部品の影響を受けずに、移動可能量ΔTscとサンローラ30、キャリア60及び遊星ボール40に関連する部品の寸法精度及び組み付け精度とによって、遊星ボール40の軸線方向の位置が決まる。
尚、サンローラ30に関連する部品とは、サンローラ30そのものは当然のことながら、これに圧入されるラジアル軸受RB5,RB6のことを指している。キャリア60に関連する部品とは、キャリア60そのものと、これを係止する係止部材91,92や、係止部材91,92が取り付けられるシャフト50のことを指している。遊星ボール40に関連する部品とは、遊星ボール40そのものと、これを支持する支持軸41や軸受のことを、そして、厳密には支持軸41を保持しているキャリア60やアイリスプレート80等のことも指している。
一般には、積み上げ公差が大きいほど、夫々の部品の間隔(上記の移動可能量ΔTscや移動可能量ΔToutc等に相当)を拡げ、部品同士の干渉を防いでいる。裏を返せば、公差の積み上げ対象となる部品が少ないほど、部品の間隔を縮めることができるので、製品の体格を小さくできる。
そこで、この無段変速機1においては、サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTsc(=ΔTss)を第2回転部材20のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutc(=ΔTouts)よりも小さく設定する(ΔTsc<ΔToutc)。
これにより、この無段変速機1は、遊星ボール40の軸線方向の位置を決める際に第2回転部材20に関連する部品の影響を受けないので、その分だけ軸線方向の精度を必要とする部品の点数を減らすことができる。つまり、その第2回転部材20に関連する部品については、サンローラ30、キャリア60及び遊星ボール40に関連する部品と比較して高精度な公差管理が不要になる。従って、この無段変速機1は、原価を低減しつつ、遊星ボール40の軸線方向における位置決め精度を高めることができる。その公差管理とは、遊星ボール40の軸線方向の位置ずれを抑える為のもののことであり、寸法公差を小さくしたり、軸線方向における部品の組み付け位置を規制したりすることなどを示している。
また、この無段変速機1は、公差の積み上げ対象となる部品が少ないので、積み上げ公差が小さくなる。従って、この無段変速機1は、遊星ボール40とキャリア60との軸線方向における間隔を縮めることができるので、コンパクト化が可能になる。
更に、この無段変速機1は、その設定により、サンローラ30がキャリア60に当接したとしても、未だ第1回転部材10と第2回転部材20が軸線方向に動くことができるので、第1回転部材10と第2回転部材20とでサンローラ30に押し付けられている遊星ボール40が凹部32の中央部分(最も凹んでいる部分)まで移動できる。
[実施例2]
次に、本発明に係る無段変速機の実施例2について説明する。
実施例1の無段変速機1は、サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTsc(=ΔTss)を第2回転部材20のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutc(=ΔTouts)よりも小さく設定している。本実施例においては、その無段変速機1において、移動可能量ΔTscを移動可能量ΔToutcよりも小さく設定する際に、その移動可能量ΔTscを0に設定する(ΔTsc=0)。このように設定しても、この無段変速機1は、上記と同様の効果を得ることができるからである。特に、この場合の無段変速機1は、遊星ボール40とキャリア60との軸線方向における間隔が更に縮まるので、更なるコンパクト化が可能になる。そして、その効果のみならず、移動可能量ΔTscを0にする設定は、夫々の遊星ボール40のスキューにより軸線方向に押し動かされたサンローラ30(厳密にはラジアル軸受RB5,RB6)がキャリア60に衝突する、という現象を防ぐことができる。尚、そのスキューは、例えば無段変速機1の駆動と非駆動の切り替わりの際に発生する。この無段変速機1においては、そのような衝突が無くなることによって、その衝突に伴う音の発生が無くなるので、静粛性を向上させることができる。また、この無段変速機1においては、衝突に伴う振動の発生も無くすことができ、更に、ラジアル軸受RB5,RB6の耐久性を向上させることができる。
例えば、この場合の無段変速機1では、環状部61a,62aの自由端をラジアル軸受RB5,RB6の内輪の側面に当接させることで、サンローラ30が軸線方向へと移動できないようにすればよい。但し、この方法では、サンローラ30や環状部61a,62a等における軸線方向の寸法精度や組み付け精度如何で、移動可能量ΔTscを生じさせてしまう可能性がある。そこで、移動可能量ΔTscを確実に0にする場合には、以下の図5又は図6に例示する構造を採ることが好ましい。
図5に示す符号2は、移動可能量ΔTscを0に設定した無段変速機の一例を示す。この無段変速機2は、上記の無段変速機1に対して以下の構成上の相違がある。
先ず、この無段変速機2は、シャフト50に替えてシャフト150が配設される。そのシャフト150は、シャフト50において、その外周面側に径方向外側へと膨出させた膨出部151を有するものである。その膨出部151は、シャフト150の主体部分と同心状の円柱部又は円筒部である。サンローラ30は、その膨出部151の外周面に挿入したラジアル軸受RB5,RB6を介してシャフト150に保持される。但し、ラジアル軸受RB6については、その内輪の側面を環状部62aの自由端に当接させる為に、膨出部151の端部(ここでは図5の紙面左側の端部)よりも軸線方向に突出させておく。
また、この無段変速機2においては、サンローラ30の環状部31の軸線方向長さよりも長い円筒部材95をラジアル軸受RB5とラジアル軸受RB6との間に配置する。その円筒部材95は、ラジアル軸受RB5,RB6の内輪と同等の内径及びその外輪の内径よりも小さい外径を有しており、膨出部151の外周面に挿入される。この無段変速機2においては、その円筒部材95の存在によって、ラジアル軸受RB5,RB6に対して外側から軸線方向の外力が加わった際に、その外力による力がラジアル軸受RB5,RB6の内輪と円筒部材95との間には働くが、サンローラ30には働かないので、サンローラ30の周方向への回転動作が妨げられない。
また、この無段変速機2においては、サンローラ30をキャリア60に向けて軸線方向に押し付ける締結部材が配設されている。例えば、この無段変速機2においては、膨出部151の端部(ここでは図5の紙面右側の端部)の外周面に雄ネジが螺刻されており、これに螺合する雌ネジ部材(例えばナット)96が締結部材として配置される。この無段変速機2では、その雌ネジ部材96を締め付けることによって、環状部62a、ラジアル軸受RB5,RB6及び円筒部材95の夫々の間隔が詰まり、最終的に移動可能量ΔTscが0になる。その雌ネジ部材96は、ラジアル軸受RB5の内輪のみに軸力を発生させる形状とする。これが為、この無段変速機2は、その締め付けに伴いラジアル軸受RB5の内輪に軸線方向の外力が加わるが、先に示したように、それによってサンローラ30の周方向への回転動作が妨げられないので、駆動損失の増大による燃費の悪化を防ぐことができる。
この無段変速機2においては、キャリア60の環状部62a、サンローラ30のラジアル軸受RB5,RB6、円筒部材95、雌ネジ部材96及びシャフト150によって第3位置決め構造が構成されている。
ここで、この無段変速機2は、移動可能量ΔTscを確実に0にできるので、組み付け精度の影響が無くなり、サンローラ30、キャリア60及び遊星ボール40に関連する部品の寸法精度に関する公差管理を行うことで、遊星ボール40の軸線方向における位置決めが可能になる。
但し、この無段変速機2は、その組み付けの際にキャリア60を予め籠状に形成しておくことができず、第2円盤部材62、ラジアル軸受RB5,RB6や円筒部材95の取り付けられたサンローラ30を順次シャフト150に挿入し、雌ネジ部材96で締め付けてから第1円盤部材61をシャフト150に挿入して籠状のキャリア60を形成する。従って、この無段変速機2は、キャリア60単体の状態で軸線方向の大きさを寸法公差の範囲内に規制することができないので、その大きさを規制する為の治具や組み付け作業性を考慮に入れると、原価が増加してしまう虞がある。図6に示す無段変速機3は、その点を改善したものである。
その無段変速機3は、上記の無段変速機1に対して以下の構成上の相違がある。
先ず、この無段変速機3は、無段変速機2と同様の円筒部材95がそのラジアル軸受RB5,RB6の間に配置されている。従って、この無段変速機3においても、ラジアル軸受RB5,RB6に軸線方向の外力が作用すると否とに拘わらず、その外力によってサンローラ30の周方向への回転動作は妨げられない。
更に、この無段変速機3には、ラジアル軸受RB5の内輪に円筒部材95側に向けた軸力を伝えることが可能な軸力伝達部材97が配設されている。その軸力伝達部材97は、ラジアル軸受RB5の内輪と同等の内径と、その外輪の内径よりも小さい外径と、を有しており、シャフト250上におけるラジアル軸受RB5を挟んで円筒部材95とは反対側(図6の紙面右側)に配設する。従って、この軸力伝達部材97は、ラジアル軸受RB5における円筒部材95の接する内輪の側面とは反対側の側面に一端を当接させることができ、その側面から軸力を伝えることができる。具体的に、この軸力伝達部材97は、図7に示すように、シャフト250を径方向外側から挟み込む円弧状の分割構造になっている。この軸力伝達部材97において、上記の軸力は、他端に配設した前記締結部材としての雌ネジ部材(例えばナット)98の締め付けにより発生させる。
この無段変速機3は、組み付けの際、サンローラ30の内方に円筒部材95を挿入し、その両端からラジアル軸受RB5,RB6を圧入しておく。また、キャリア160については、籠状に形成しておく。この無段変速機3は、無段変速機1と同様に、そのサンローラ30をキャリア160の間に配置し、これらにシャフト250を挿入する。そして、そのシャフト250に軸力伝達部材97を挿入し、雌ネジ部材98で締め付ける。
従って、キャリア160は、先に例示したキャリア60において第1円盤部材61を第1円盤部材161に置き換えている。その第1円盤部材161は、第1円盤部材61に対して、軸力伝達部材97の挿入作業が可能で、且つ、その軸力伝達部材97を挿入した状態のままにしておくことが可能な開口部が内周面側に形成されている。ここでは、その開口部として溝部161aを形成している。これにより、第1円盤部材161の内周面とシャフト250の外周面との間に隙間ができるので、軸力伝達部材97は、その隙間から挿入できるようになる。そして、このキャリア160は、第1円盤部材161の溝部161a以外の内周面をシャフト250の外周面に嵌合又は圧入することができるので、シャフト250に対する同心状の配置が可能になる。尚、第1円盤部材161には、第1円盤部材61の様な環状部61aを設けていない。
また、その軸力伝達部材97の軸線方向長さは、シャフト250に挿入後の雌ネジ部材98による締め付けを可能にする為、シャフト250に組み付けた状態で他端が第1円盤部材161よりも図6の紙面右側に突出する長さとする。
そのシャフト250は、先に例示したシャフト50において、雌ネジ部材98の配置に対応させた外周面に雄ネジ部を螺刻している。このシャフト250においては、その雄ネジ部よりも図6の紙面右側の外径をサンローラ30等が配置される部分の外径よりも小さくし、その雄ネジ部と雌ネジ部材98の螺合を可能にしている。アイリスプレート80は、その小径部分にラジアル軸受RB7を介して取り付けられる。
この無段変速機3においては、キャリア160の環状部62a、サンローラ30のラジアル軸受RB5,RB6、円筒部材95、軸力伝達部材97、雌ネジ部材98及びシャフト250によって第3位置決め構造が構成されている。
この無段変速機3は、無段変速機1と比較して、移動可能量ΔTscを確実に0にすることができる。また、この無段変速機3は、無段変速機2と比較して、キャリア160を先に組み立ててからサンローラ30等の組み付け作業を行うことができる。従って、この無段変速機3は、無段変速機2と比して、組み付け作業性が向上しており、更に、キャリア160の軸線方向における寸法精度を規定の範囲内に修める為の治具や組み付け作業に掛かる原価を低減することができる。また更に、この無段変速機3は、無段変速機2と比較して、第1円盤部材161、第2円盤部材62及び連結軸65の組み付けにより成るキャリア160を鋳造や粉末冶金等での一体化構造のものに置き換えることが可能なので、部品点数の低減による原価低減をも図ることができる。つまり、この無段変速機3は、良好な組み付け作業性を得つつも、低コストで移動可能量ΔTscを確実に0にすることができる。
[実施例3]
次に、本発明に係る無段変速機の実施例3について説明する。
前述した実施例1及び2の無段変速機1,2,3においては、凹部32によって遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向のずれを考慮していない。しかしながら、遊星ボール40は、サンローラ30に対して軸線方向にずれる可能性がある。何故ならば、駆動時の遊星ボール40にはスピンモーメントが発生しており、支持軸41は、そのスピンモーメントによって、前述したガイド溝63,64との間における溝幅方向の隙間や軸受等による微小のガタの分だけ第1回転中心軸R1に対してずれるからである。そして、この支持軸41のずれにより遊星ボール40の回転方向がサンローラ30の回転方向に対してずれてしまうので、その際のサンローラ30と遊星ボール40との間には、サンローラ30の回転速度と遊星ボール40の回転速度とにより決まるサイドスリップ速度が発生し、そのサイドスリップ速度によってサイドスリップ力が働くからである。遊星ボール40は、その支持軸41のずれに伴うサイドスリップ力によって凹部32上を移動し、サンローラ30に対して軸線方向にずれる可能性がある。尚、そのサイドスリップ力は、遊星ボール40が凹部32の中心に存在していれば軸線方向の力となり、その凹部32の中心から遊星ボール40がずれていれば凹部32の曲面に沿う方向の力となる。本実施例は、その遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向のずれを考慮に入れたものである。
先ず、図8に示す遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向への移動可能量ΔTbsについて説明する。
この移動可能量ΔTbsは、一方向のサイドスリップ力Fss1が作用しているときの最大の移動距離Δd1と、これとは逆方向のサイドスリップ力Fss2が作用しているときの最大の移動距離Δd2と、を加算したものになる(式3)。
ΔTbs=Δd1+Δd2 … (3)
遊星ボール40には、図9に示すように、第1回転部材10と第2回転部材20からの法線力Frと、サンローラ30からの法線力Fsと、が作用している。その法線力Frは、例えばトルクカム71の軸力等によって決まる。また、法線力Fsは、法線力Frやサイドスリップ力Fss1(Fss2)等によって決まる。この遊星ボール40は、一方向のサイドスリップ力Fss1が働くと、そのサイドスリップ力Fss1のx方向成分と、第1及び第2の回転部材10,20からの法線力Frのx方向成分と、が釣り合う角度φ1まで凹部32上を移動する。ここでは、この図9の釣り合い状態における遊星ボール40の凹部32の中心からの軸線方向への移動距離が、一方向のサイドスリップ力Fss1が作用しているときの遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向への最大の移動距離Δd1となる(式4)。
Δd1=(Rs−Rb)*sinφ1 … (4)
この式4の「Rs」は凹部32の半径、「Rb」は遊星ボール40の半径を示す。
ここで、この力が釣り合っている状態においては、下記のx方向成分の釣り合い式5とy方向成分の釣り合い式6が成立する。
−Fss1*cosφ1+Fs*sinφ1=0 … (5)
−2*Fr*cosθ+Fs*cosφ1+Fss1*sinφ1=0… (6)
下記の式7は、その式5,6から導かれた演算式である。この式7によって、力が釣り合っているときの角度φ1を求めることができる。
sinφ1=Fss1/(2*Fr*cosθ) … (7)
一方、逆方向のサイドスリップ力Fss2が作用しているときには、遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向への最大の移動距離Δd2が下記の式8で導かれる。
Δd2=(Rc−Rb)*sinφ2 … (8)
φ2は、逆方向のサイドスリップ力Fss2が働き、各々の力が釣り合い状態になったときの角度を示す。この角度φ2は、角度φ1と同様の演算式である下記の式9で求めることができる。
sinφ2=Fss2/(2*Fr*cosθ) … (9)
遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向への移動可能量ΔTbsは、式3に式4,8を代入した演算式により求めることができる(式10)。
ΔTbs=Δd1+Δd2=(Rc−Rb)*(sinφ1+sinφ2) … (10)
ところで、実施例1の無段変速機1においては、サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTsc(=ΔTss)を第2回転部材20のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutc(=ΔTouts)よりも小さく設定することで、遊星ボール40の軸線方向の位置決めを行っている。従って、この無段変速機1においては、遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向への移動可能量ΔTbsが移動可能量ΔTscと移動可能量ΔToutcとの和よりも大きい又は当該和と同じ大きさの場合、支持軸41のずれに伴うサイドスリップ力Fss1(Fss2)によって遊星ボール40がサンローラ30に対して軸線方向にずれると、そのサイドスリップ力Fss1(Fss2)がラジアル軸受RB6(RB5)で吸収されることになり、サンローラ30の回転動作が妨げられる可能性がある。
また、実施例2の無段変速機1,2,3においては、移動可能量ΔTscを0まで詰めることで、遊星ボール40の軸線方向の位置決めを行っている。従って、この無段変速機1,2,3においては、移動可能量ΔTbsが移動可能量ΔToutcよりも大きい又は当該移動可能量ΔToutcと同じ大きさの場合、遊星ボール40がサンローラ30に対して軸線方向にずれることで、サイドスリップ力Fss1(Fss2)がラジアル軸受RB6(RB5)で吸収されることになり、サンローラ30の回転動作が妨げられる可能性がある。
故に、例えば、これらの無段変速機1,2,3においてラジアル軸受RB5,RB6を定格容量の大きなものに置き換える必要があるが、この場合には、サンローラ30の回転動作が円滑になる一方で、無段変速機1,2,3の体格の増大や原価の増加を招くので好ましくない。また、例えば、ラジアル軸受RB5,RB6をスラスト力の吸収が可能なアンギュラ軸受や円錐コロ軸受等に置き換えることも考えられるが、この場合には、サンローラ30の回転動作が円滑になる一方で、予圧が必要であり、また、引き摺り抵抗が増加するので好ましくない。
そこで、実施例1をベースにした本実施例の無段変速機1は、実施例1と同様に移動可能量ΔTscを移動可能量ΔToutcよりも小さく設定すると共に(ΔTsc<ΔToutc)、移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔTscと移動可能量ΔToutcとの和よりも小さく設定する(ΔTbs<ΔTsc+ΔToutc)。これにより、この無段変速機1は、ラジアル軸受RB6(RB5)がサイドスリップ力Fss1(Fss2)による軸線方向の力(スラスト力)を受けなくなる。
また、実施例2をベースにした本実施例の無段変速機1,2,3は、実施例2と同様に移動可能量ΔTscを0に設定すると共に(ΔTsc=0)、移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔToutcよりも小さく設定する(ΔTbs<ΔToutc)。これにより、この無段変速機1,2,3は、ラジアル軸受RB6(RB5)がサイドスリップ力Fss1(Fss2)による軸線方向の力(スラスト力)を受けなくなる。尚、図10には、無段変速機2を代表して例示している。
これらの様に、本実施例の無段変速機1,2,3は、ラジアル軸受RB6(RB5)に対してサイドスリップ力Fss1(Fss2)によるスラスト力が加わらない。従って、本実施例の無段変速機1,2,3は、実施例1,2で例示したものに対して、ラジアル軸受RB5,RB6の定格容量を小さくすることができるので、体格の縮小や重量の低減、更には原価の低減を図ることができる。また、本実施例の無段変速機1,2,3は、サンローラ30の回転の為に、アンギュラ軸受や円錐コロ軸受等の様な予圧を必要とし且つ引き摺り抵抗の大きい軸受を使わずとも、円筒コロ軸受等の様な低損失の軸受の使用が可能なので、損失低減による燃費向上を図ることができる。
ここで、本実施例の無段変速機1,2,3と同様の効果を得るべく、無段変速機を次の様に設定してもよい。
図11に示す無段変速機4は、無段変速機1と同じ構成からなるが、この無段変速機1とは異なり、第2回転部材20のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutc(=ΔTouts)をサンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTsc(=ΔTss)よりも小さく設定すると共に(ΔToutc<ΔTsc)、遊星ボール40のサンローラ30に対する軸線方向への移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔTscと移動可能量ΔToutcとの和よりも小さく設定したものである(ΔTbs<ΔTsc+ΔToutc)。
この無段変速機4は、この設定によって、本実施例の無段変速機1,2,3と同様の効果を奏するだけでなく、サンローラ30とキャリア60の干渉を防ぐことができる。従って、この無段変速機4は、図12に示す無段変速機5の様にラジアル軸受RB5,RB6が不要になる。
その無段変速機5は、無段変速機4において、ラジアル軸受RB5,RB6を設けずに、サンローラ130をシャフト50に挿入したものである。従って、この無段変速機5は、無段変速機4に対して、部品点数を減らすことができるので、原価の低減も可能になる。尚、この無段変速機5においては、凹部132上に配置された複数の遊星ボール40によってサンローラ130が支持されている。その凹部132は、サンローラ30の凹部32と同じ形状のものである。
また、図13に示す無段変速機6は、無段変速機4において、移動可能量ΔToutc(=ΔTouts)を0に設定すると共に(ΔToutc=0)、移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔTscよりも小さく設定したものである(ΔTbs<ΔTsc)。この無段変速機6は、このように設定することによって、本実施例の無段変速機1,2,3と同様の効果を得ることができる。更に、この無段変速機6は、無段変速機5の様に、サンローラ30をサンローラ130に置き換えることができるので、ラジアル軸受RB5,RB6が不要になり、原価の低減を図ることができる。
[実施例4]
次に、本発明に係る無段変速機の実施例4について説明する。
前述した実施例1−3の無段変速機1−6は、入力軸11と出力軸21とが例えば遊星ボール40から観て一方に纏めて配置され、且つ、その入力軸11が出力軸21の上にラジアル軸受RB3,RB4を介して配置されている。従って、これらの無段変速機1−6においては、サンローラ30(130)のキャリア60(160)に対する軸線方向への移動可能量ΔTscの比較の対象として、第2回転部材20及び出力軸21のキャリア60(160)に対する軸線方向への移動可能量ΔToutcを観ればよく、第1回転部材10及び入力軸11のキャリア60(160)に対する軸線方向への移動可能量ΔTincを観る必要が無い。しかしながら、入力軸11と出力軸21とが遊星ボール40を挟んで互いに別の方向に配置されている場合、その無段変速機は、移動可能量ΔTscの比較の対象が、第2回転部材20及び出力軸21のキャリア60(160)に対する軸線方向への移動可能量ΔToutcだけでなく、第1回転部材10及び入力軸11のキャリア60(160)に対する軸線方向への移動可能量ΔTincも観る必要がある。この無段変速機の第1回転部材10と第2回転部材20は、夫々個別にシャフト50(150,250)に対する軸線方向への相対移動が行えるからである。本実施例は、この種の無段変速機について説明するものである。図14の符号7は、本実施例の無段変速機を示す。
この無段変速機7は、実施例1の無段変速機1において、第1回転部材10及び入力軸11を第1回転部材110及び入力軸111に置き換え、且つ、第2回転部材20及び出力軸21を第2回転部材120及び出力軸121に置き換える。また、この無段変速機4は、実施例1の無段変速機1において、第1回転部材10及び入力軸11並びに第2回転部材20及び出力軸21に関わる軸受等の部品も以下の様に置き換える。
第1回転部材110と第2回転部材120は、先に例示した第2回転部材20と同等の形状とする。更に、入力軸111と出力軸121は、先に例示した出力軸21と同等の形状とする。従って、入力軸111は、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた円盤部111aと円筒部111bとを備える。また、出力軸121は、中心軸を第1回転中心軸R1に一致させた円盤部121aと円筒部121bとを備える。
入力軸111において、円盤部111aの外周側の平面と筐体Caとの間には、トルクカム171と環状部材172とスラスト軸受TB1とが配設されている。そのスラスト軸受TB1は、入力軸111と環状部材172とを相対回転させることができる。トルクカム171は、筐体Ca側の係合部材と環状部材172側の係合部材とが係合することで、第1回転部材110を遊星ボール40に押し付ける軸力を発生させる。この例示では、筐体Ca側の係合部材と筐体Caとの間に弦巻バネ等の弾性部材173が配設されている。その弾性部材173は、非駆動時に第1回転部材110を遊星ボール40に押し付ける為の軸線方向の弾発力を発生させるものであり、その弾発力による初期荷重を環状部材172に掛けた状態で配備される。また、この入力軸111の円筒部111bは、その内周面がラジアル軸受RB8,RB9を介してシャフト50の外周面に取り付けられている。つまり、この入力軸111は、そのラジアル軸受RB8,RB9とスラスト軸受TB1とによって、シャフト50に対する周方向の相対回転を行うことができる。
ここで、この入力軸111においては、ラジアル軸受RB9の側面側(図14の紙面左側)に配設されたスナップリング等の係止部材99によって、第1回転部材110のシャフト50に対する遊星ボール40側に向けた軸線方向への移動が規制される。その第1回転部材110のシャフト50に対する軸線方向への移動可能量ΔTinsは、弾性部材173が最も縮まった状態からラジアル軸受RB9が係止部材99に当接するまでの移動距離であって、第1回転部材110のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTincと云える(ΔTinc=ΔTins)。
この無段変速機7においては、係止部材99、第1回転部材110及び入力軸111のラジアル軸受RB8,RB9、トルクカム171、環状部材172、スラスト軸受TB1、弾性部材173、シャフト50並びに筐体Caによって第1位置決め構造が構成されている。
一方、出力軸121において、円盤部121aの外周側の平面と筐体Caとの間には、トルクカム175と環状部材176とスラスト軸受TB2とが配設されている。そのスラスト軸受TB2は、出力軸121と環状部材176とを相対回転させることができる。トルクカム175は、筐体Ca側の係合部材と環状部材176側の係合部材とが係合することで、第2回転部材120を遊星ボール40に押し付ける軸力を発生させる。この例示では、筐体Ca側の係合部材と筐体Caとの間に弦巻バネ等の弾性部材177が配設されている。その弾性部材177は、非駆動時に第2回転部材120を遊星ボール40に押し付ける為の軸線方向の弾発力を発生させるものであり、その弾発力による初期荷重を環状部材176に掛けた状態で配備される。また、この出力軸121の円筒部121bは、その内周面がラジアル軸受RB1,RB2を介してシャフト50の外周面に取り付けられている。つまり、この出力軸121は、そのラジアル軸受RB1,RB2とスラスト軸受TB2とによって、シャフト50に対する周方向の相対回転を行うことができる。
ここで、この出力軸121においては、ラジアル軸受RB1の側面側(図14の紙面右側)に配設された係止部材93によって、第2回転部材120のシャフト50に対する遊星ボール40側に向けた軸線方向への移動が規制される。その第2回転部材120のシャフト50に対する軸線方向への移動可能量ΔToutsは、弾性部材177が最も縮まった状態からラジアル軸受RB1が係止部材93に当接するまでの移動距離であって、第2回転部材120のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutcと云える(ΔToutc=ΔTouts)。
この無段変速機7においては、係止部材93、第2回転部材120及び出力軸121のラジアル軸受RB1,RB2、トルクカム175、環状部材176、スラスト軸受TB2、弾性部材177、シャフト50並びに筐体Caによって第2位置決め構造が構成されている。
この無段変速機7においては、サンローラ30のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTsc(=ΔTss)を、第1回転部材110のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔTinc(=ΔTins)又は第2回転部材120のキャリア60に対する軸線方向への移動可能量ΔToutc(=ΔTouts)の内の小さい方よりも小さく設定する。これにより、この無段変速機7は、実施例1の無段変速機1と同様の効果を得ることができる。
更に、この無段変速機7は、実施例3の無段変速機1の設定と同様の考えに基づいて、移動可能量ΔTscを移動可能量ΔTinc又は移動可能量ΔToutcの内の小さい方よりも小さく設定すると共に、移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔTscと移動可能量ΔTinc又は移動可能量ΔToutcの内の小さい方との和よりも小さく設定してもよい。この設定の無段変速機7に依れば、実施例3の無段変速機1と同様の効果を得ることができる。
ここで、本実施例の無段変速機7は、実施例2の無段変速機1の様に、環状部61a,62aの自由端をラジアル軸受RB5,RB6の内輪の側面に当接させることで、移動可能量ΔTscを0に設定してもよく、その無段変速機1と同様の効果を得ることができる。また、移動可能量ΔTscを0にする為には、無段変速機7において、無段変速機2の円筒部材95と雌ネジ部材96とを設けると共に、シャフト50をシャフト150に置き換えてもよく、これにより、その無段変速機2と同様の効果を得ることができる。また、この為には、無段変速機3の円筒部材95と軸力伝達部材97と雌ネジ部材98とを設けると共に、キャリア60とシャフト50を夫々無段変速機3のキャリア160とシャフト250に置き換えてもよく、これにより、その無段変速機3と同様の効果を得ることができる。
更に、この無段変速機7を基に移動可能量ΔTscを0に設定した各種の無段変速機においては、実施例3の無段変速機1,2,3と同様の考えに基づいて、その設定に加えて、移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔTinc又は移動可能量ΔToutcの内の小さい方よりも小さく設定してもよい。これらの無段変速機に依れば、その実施例3の無段変速機1,2,3と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例の無段変速機7は、実施例3の無段変速機4と同様の考えに基づいて、移動可能量ΔTinc又は移動可能量ΔToutcの内の大きい方を移動可能量ΔTscよりも小さく設定すると共に、移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔTscと移動可能量ΔTinc又は移動可能量ΔToutcの内の小さい方との和よりも小さく設定してもよい。この無段変速機7に依れば、その無段変速機4と同様の効果を得ることができる。そして、この無段変速機7は、サンローラ30とキャリア60の干渉を防ぐことができるので、サンローラ30をサンローラ130に置き換えることが可能になり、実施例3の無段変速機5と同様の効果を得ることができる。
また、本実施例の無段変速機7は、実施例3の無段変速機6と同様の考えに基づいて、移動可能量ΔTincと移動可能量ΔToutcとを0に設定できるのであれば、この設定と共に、移動可能量ΔTbsを移動可能量ΔTscよりも小さく設定してもよい。この無段変速機7に依れば、その無段変速機6と同様の効果を得ることができる。
1,2,3,4,5,6,7 無段変速機
10,110 第1回転部材(第1回転要素)
11,111 入力軸(第1回転軸)
20,120 第2回転部材(第2回転要素)
21,121 出力軸(第2回転軸)
30,130 サンローラ(第3回転要素)
32,132 凹部
40 遊星ボール(転動部材)
41 支持軸
50,150,250 シャフト(変速機軸)
60,160 キャリア(固定要素)
61,161 第1円盤部材
61a 環状部
62 第2円盤部材
62a 環状部
65 連結軸
71,171,175 トルクカム
72,172,176 環状部材
80 アイリスプレート
91,92,93,94,99 係止部材
95 円筒部材
96,98 雌ネジ部材
97 軸力伝達部材
161a 溝部
173,177 弾性部材
Ca 筐体
R1 第1回転中心軸
R2 第2回転中心軸
RB1〜RB9 ラジアル軸受
TB,TB1,TB2 スラスト軸受

Claims (7)

  1. 回転中心となる固定軸としての変速機軸と、
    前記変速機軸上で対向させて配置した共通の第1回転中心軸を有する相対回転可能な第1及び第2の回転要素と、
    前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有し、該第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置して前記第1及び第2の回転要素に挟持させた転動部材と、
    前記第2回転中心軸を有し、前記転動部材から両端を突出させた当該転動部材の支持軸と、
    外周面上の径方向内側に凹ませた凹部に前記各転動部材を配置し、前記変速機軸並びに前記第1及び第2の回転要素に対する相対回転が可能な第3回転要素と、
    前記変速機軸に固定され、且つ、前記支持軸の夫々の突出部を介して前記転動部材を保持する固定要素と、
    前記第1回転要素と前記第2回転要素との間の回転比を前記各転動部材の傾転動作によって変化させる変速装置と、
    前記第1及び第2の回転要素に各々個別に固定された第1及び第2の回転軸と、
    前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第1位置決め構造と、
    前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第2位置決め構造と、
    前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第3位置決め構造と、
    を備え、
    前記第2回転要素に固定された前記第2回転軸を前記変速機軸に対する前記第1回転中心軸を中心とした相対回転が行えるよう配置すると共に、前記第1回転要素に固定された前記第1回転軸を前記第2回転軸の外周面上で当該第2回転軸に対する前記第1回転中心軸を中心とした相対回転が行えるよう配置し、
    前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量よりも小さく設定することを特徴とした無段変速機。
  2. 前記支持軸のずれに伴うサイドスリップ力によって生じる前記転動部材の前記第3回転要素に対する軸線方向への移動可能量を、前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量と前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量との和よりも小さく設定することを特徴とした請求項1記載の無段変速機。
  3. 回転中心となる固定軸としての変速機軸と、
    前記変速機軸上で対向させて配置した共通の第1回転中心軸を有する相対回転可能な第1及び第2の回転要素と、
    前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有し、該第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置して前記第1及び第2の回転要素に挟持させた転動部材と、
    前記第2回転中心軸を有し、前記転動部材から両端を突出させた当該転動部材の支持軸と、
    外周面上の径方向内側に凹ませた凹部に前記各転動部材を配置し、前記変速機軸並びに前記第1及び第2の回転要素に対する相対回転が可能な第3回転要素と、
    前記変速機軸に固定され、且つ、前記支持軸の夫々の突出部を介して前記転動部材を保持する固定要素と、
    前記第1回転要素と前記第2回転要素との間の回転比を前記各転動部材の傾転動作によって変化させる変速装置と、
    前記第1及び第2の回転要素に各々個別に固定され、前記変速機軸の外周面上で当該変速機軸に対する前記第1回転中心軸を中心とした相対回転が可能な第1及び第2の回転軸と、
    前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第1位置決め構造と、
    前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第2位置決め構造と、
    前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を設定する第3位置決め構造と、
    を備え、
    前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を、前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量又は前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量の内の小さい方よりも小さく設定することを特徴とした無段変速機。
  4. 前記支持軸のずれに伴うサイドスリップ力によって生じる前記転動部材の前記第3回転要素に対する軸線方向への移動可能量を、前記第1回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量又は前記第2回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量の内の小さい方と前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量との和よりも小さく設定することを特徴とした請求項3記載の無段変速機。
  5. 前記第3位置決め構造は、前記第3回転要素を前記固定要素に向けて軸線方向に押し付ける締結部材によって、前記第3回転要素の前記固定要素に対する軸線方向への移動可能量を0に設定することを特徴とした請求項1から4の内の何れか1つに記載の無段変速機。
  6. 前記第3位置決め構造は、前記固定要素の開口部に挿入される軸力伝達部材を前記第3回転要素と前記締結部材との間に設けることを特徴とした請求項5記載の無段変速機。
  7. 前記固定要素を一体成形することを特徴とした請求項6記載の無段変速機。
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