JP5200739B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、2つのスイッチング素子が直列に接続された上下アームを並列に接続してなる主回路と、該各スイッチング素子を駆動させるためのゲート駆動回路とを備えた電力変換装置に関するものである。
従来より、直流電圧を交流電圧に変換するインバータや交流電圧を直流電圧に変換するコンバータなどの電力変換装置として、2つのスイッチング素子が直列に接続された上下アームを並列に接続してなる主回路と、該スイッチング素子を駆動させるためのゲート駆動回路とを備えた構成が知られている。また、上記スイッチング素子としては、例えばMOSFETやJFETなどの半導体デバイスが用いられているが、酸化膜の影響を受けないJFETの方が低損失であることが知られている。
しかしながら、上記MOSFETなどと異なり、上記JFETは、一般的に、ゲートの電圧がゼロでも導通状態となるノーマリオンの特性を有しているため、上述のような電力変換装置のスイッチング素子として用いる場合には、該スイッチング素子を駆動させるためのゲート駆動回路に電力を供給する電源として、負極性の電源が必要となる。
一方、上記電力変換装置のスイッチング素子を駆動制御するためのゲート駆動回路は、各スイッチング素子ごとに必要となるため、該ゲート駆動回路に電力を供給する電源も各スイッチング素子ごとに必要となる。このように、各ゲート駆動回路ごとに電源を設けると、コストの増大を招くため、例えば特許文献1に開示されるように、各ゲート駆動回路ごとにコンデンサ(ブートストラップキャパシタ)を設けて、該コンデンサの充放電によって複数のゲート駆動回路に電力を供給するように構成されたブートストラップ回路が用いられている。これにより、必要な電源の数を減らすことができ、コスト低減を図れる。
ところで、上記特許文献1の構成のようなブートストラップ回路では、上述のように、負極性の電源電圧が必要になるノーマリオン特性のスイッチング素子に対しては適用することができない。そのため、例えば特許文献2に開示されるように、上アームのスイッチング素子のブートストラップ回路では、該スイッチング素子がオン状態になると制御用電源によって負極性の電位が充電されるように、該制御用電源に対してスイッチング素子及びコンデンサを接続する構成が考えられている。なお、下アームのスイッチング素子に対しては、ゲート駆動回路に対して負極性の電圧がかかるように、該スイッチング素子及びゲート駆動回路に制御用電源を接続すればよい。
上記特許文献2のような構成では、スイッチング素子がノーマリオン特性を有しているため、該スイッチング素子を確実にオフ状態にできるように、主回路側に電力を供給する前に、上記上アームのスイッチング素子を予めオン状態にしてコンデンサを充電し、該スイッチング素子を確実にオフ状態にした後、上記主回路側に電力を供給するようにしている。これにより、2つのスイッチング素子が直列に接続されてなる上下アームでの短絡を確実に防止することができる。
特開2001−275366号公報 特開2007−288992号公報
しかしながら、上記特許文献2のような構成では、上記主回路側に電力を供給する前に、上記上アームのスイッチング素子を単にオン状態にしただけでは、ブートストラップ回路のコンデンサに急速に充電されることになり、該ブートストラップ回路に比較的、大きな電流が流れてしまう。そうすると、上記コンデンサを含む回路内の構成部品が損傷を受けて、寿命の低下などの問題が生じる虞がある。
また、上記特許文献2の構成のように、制御用電源からコンデンサに充電する構成では、主回路のスイッチング素子がオフ状態になって、該主回路からの出力が停止した状態になると、上記コンデンサが徐々に放電して、上アームのスイッチング素子のオフ状態を維持できなくなる可能性がある。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノーマリオン型の2つのスイッチング素子が直列に接続された上下アームを互いに並列に接続してなる主回路と、該各スイッチング素子を駆動させるためのゲート駆動回路と、を備えた電力変換装置において、上アームのスイッチング素子におけるゲート駆動回路の電源を構成するコンデンサに対し、急速充電及び放電を抑制することができるような構成を得ることにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換装置では、制御用電源(22)に電圧が発生している状態で、且つスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)からなる主回路(13)に電力が供給されていない状態のときに、別途に設ける充電用スイッチング素子(Sxn)を所定のタイミングでオンオフ動作させて、スイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)の電源としてのコンデンサ(23)への急速充電や該コンデンサ(23)からの放電を防止するようにした。
具体的には、第1の発明は、ノーマリオン型の2つのスイッチング素子(Su,Sx)が直列接続された上下アームを互いに並列に接続してなる主回路(13)と、上記主回路(13)と主電源(2)とを電気的に接続または切断するためのスイッチ手段(SW1)と、上記各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を駆動させるためのゲート駆動回路(20)と、該ゲート駆動回路(20)に制御信号を出力して上記各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング動作を制御する制御手段(30)とを備え、上記主回路(13)内のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を所定のタイミングでスイッチング動作させることによって電力変換を行う電力変換装置を対象とする。
そして、上記上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対して電力を供給する制御用電源(22)と、上記制御用電源(21)によって充電されるとともに、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)及びそのゲート駆動回路(20)に対し、該スイッチング素子(Su,Sv,Sw)のソース側の電圧よりも低い電圧を該ゲート駆動回路(20)へ供給可能なように接続されたコンデンサ(23)と、上記制御手段(30)によってオンオフ制御されて、オン状態で上記制御用電源(22)から上記コンデンサ(23)へ充電するための充電回路(51)を形成する充電用スイッチ手段(Sxn)と、を備えているものとする。
さらに、上記制御手段(30)は、上記制御用電源(22)に電圧が発生している状態で、且つ、上記スイッチ手段(SW1)がオフで上記主回路(13)に電力が供給されていない状態において、上記充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させるように構成されているものとする。
以上の構成により、2つのスイッチング素子(Su,Sx)が直列接続された上下アームを互いに並列に接続してなる主回路(13)に対し、電力が供給されておらず、制御用電源(22)に電圧が発生している状態で、充電回路(51)によって該制御用電源(22)からコンデンサ(23)に充電することができ、該コンデンサ(23)を負極性の電源としてゲート駆動回路(20)を駆動させることができる。これにより、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)が負電圧でオフ状態となる、いわゆるノーマリオン型のものでも、上記ゲート駆動回路(20)の負極性の電源電圧を確保した状態、すなわち、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を確実にオフにできる状態で、上記主回路(13)に電力を供給することができる。したがって、上記主回路(13)に通電した際に、上記上下アームで短絡が発生するのを確実に防止できる。
そして、以上の構成により、一つの制御用電源(22)によって、上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対して、該スイッチング素子のソース側の電圧よりも低い電圧を供給することが可能となるため、電源の数を減らすことができ、コスト低減を図れる。そして、上述のように、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)の負極性の電源としてのコンデンサ(23)に対し、充電用スイッチ手段(Sxn)のスイッチング動作によって充電するように構成された充電回路(51)においても、制御用電源(22)に電圧が発生している状態で、且つ、上記スイッチ手段(SW1)がオフで主回路(13)に電力が供給されていない状態で、上記充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させることで、上記コンデンサ(23)に断続的に充電を行うことができる。
したがって、例えば、上記主回路(13)の起動時に上記コンデンサ(23)に充電する際に該コンデンサ(23)に急速に充電されたり、上記主回路(13)の停止時に上記コンデンサ(23)から放電して上記上アームのノーマリオン型のスイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオン状態になってしまったりするのを防止することができる。
上記第1の発明の構成において、上記制御手段(30)は、上記スイッチ手段(SW1)をオンにして上記主回路(13)に電力を供給する前に、上記充電用スイッチ手段(Sxn)にオンオフ動作を繰り返し行わせるように構成されているのが好ましい(第2の発明)。
上記主回路(13)の起動前に、制御用電源(21)からコンデンサ(23)へ充電する際、該コンデンサ(23)に急速に充電を行うと、充電回路(24)内に比較的、大きな電流が流れるため、該コンデンサ(23)を含む構成部品が損傷を受ける虞があるが、上述の構成のように、充電用スイッチ手段(Sxn)にオンオフ動作を繰り返し行わせることで、上記コンデンサ(23)に断続的に充電を行うことができ、該コンデンサ(23)への急速充電を回避することができる。よって、上記コンデンサ(23)等の寿命が低下するのを防止することができる。
そして、上記スイッチ手段(SW1)は、上記コンデンサ(23)に所望の電圧以上、充電された後に、オンになって上記主回路(13)に電力を供給するように構成されているのが好ましい(第3の発明)。こうすることで、上記コンデンサ(23)内の電圧が必要な電圧に到達した後、すなわち、上記ゲート駆動回路(20)によってスイッチング素子(Su,Sv,Sw)を確実に駆動させることができるような状態になった後、主回路(13)に電力を供給するため、該主回路(13)の上下アームでの短絡をより確実に防止することができる。
また、上記第1の発明の構成において、上記制御手段(30)は、上記コンデンサ(23)に充電されていて、該コンデンサ(23)内の電圧が放電によって低下したときに、上記充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させるように構成されていてもよい(第4の発明)。
上記コンデンサ(23)に充電されている状態で、該コンデンサ(23)からの放電によって該コンデンサ(23)の電圧が徐々に低下するが、上述の構成のように、充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させることで、上記コンデンサ(23)に断続的に充電を行うことができる。これにより、主回路(13)の出力停止時に、上記コンデンサ(23)の放電による電圧低下によって、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)の駆動電圧が不足して該スイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオン状態となってしまうのを防止できる。
また、以上の構成において、上記ゲート駆動回路(20)には、上記主電源(2)によって充電される、上記制御用電源としてのコンデンサ(22)により電力が供給されていて、上記主電源(2)とコンデンサ(22)との間には、該コンデンサ(22)への電力供給を制御するための第2スイッチ手段(SW2,SW4)が設けられているのが好ましい(第5の発明)。
これにより、上記主電源(2)が投入されても、第2スイッチ手段(SW2,SW4)をオフにすることで、上記ゲート駆動回路(20)のコンデンサ(22)には電力を供給しない状態にすることができるため、該ゲート駆動回路(20)によって無駄な損失が発生するのを防止できる。
さらに、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ワイドバンドギャップ半導体を主材料として構成されているのが好ましい(第6の発明)。このように、上記スイッチング素子をワイドバンドギャップ半導体によって構成することで、高温条件下でのスイッチング動作や高速動作が可能になるとともに、スイッチング損失の低減を図ることが可能となる。
以上より、第1の発明によれば、充電回路(51)内に充電用スイッチ手段(Sxn)を設けると共に、一つの制御用電源(22)によって上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対して電力を供給可能に構成した電力変換装置とした上で、制御用電源(21)に電圧が発生している状態で、且つ、主回路(13)に電力が供給されていない状態において、上記充電回路(51)の充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させて、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)の電源を構成するコンデンサ(23)に充電を行うようにしたため、該コンデンサ(23)の急速な充電を防止しつつ、該コンデンサ(23)の電圧がスイッチング素子(Su,Sv,Sw)の制御に必要な電圧よりも低下するのを防止することが可能となる。したがって、コンデンサ(23)などの構成部品の寿命の低下や主回路(13)の上下アームでの短絡の発生を確実に防止できる。
また、第2の発明によれば、上記主回路(13)に電力を供給する前に、充電回路(51)の充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させて上記コンデンサ(23)の充電を行うようにしたため、該コンデンサへの急速な充電を防止して、寿命の低下を防止できる。特に、第3の発明によれば、上記コンデンサ(23)に所望の電圧以上、充電された後に、上記主回路(13)に電力が供給されるため、該主回路(13)の上下アームでの短絡をより確実に防止することができる。
また、第4の発明によれば、上記コンデンサ(23)が充電されている状態で、上記主回路(13)からの出力が停止しているときには、上記充電回路(51)の充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させて上記コンデンサ(23)の充電を行うようにしたため、該コンデンサ(23)の電圧低下に伴ってスイッチング素子(Su,Sv,Sw)の動作が不安定になるのを防止することができる。
また、第5の発明によれば、主電源(2)と該主電源(2)によって充電されてゲート駆動回路(20)に電力を供給するコンデンサ(22)との間には、該コンデンサ(22)への電力供給を制御するための第2スイッチ手段(SW2,SW4)が設けられているため、主回路(13)の出力停止中に上記ゲート駆動回路(20)で無駄な損失が発生するのを確実に防止できる。
さらに、第6の発明によれば、上記スイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体によって構成されているため、高温条件下でのスイッチング動作や高速動作が可能になるとともに、スイッチング損失の低減を図れる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下の各実施形態や変形例の説明において、一度説明した構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
《実施形態1》
本発明の実施形態1に係る電力変換装置(1)の概略構成を図1に示す。この電力変換装置(1)は、コンバータ回路(11)と、平滑コンデンサ(12)と、インバータ回路(13)とを備えていて、交流電源(2)から供給された交流の電圧を所定の周波数の電圧に変換して、三相交流モータ(3)に供給するように構成されたものである。なお、この三相交流モータ(3)は、例えば、空気調和機の冷媒回路に設けられる圧縮機を駆動するものである。
上記コンバータ回路(11)は、上記交流電源(2)に接続され、交流の電圧を直流に整流するように構成されている。このコンバータ回路(11)は、複数(本実施形態では4つ)のダイオード(D1〜D4)がブリッジ状に結線されてなるダイオードブリッジ回路であり、上記交流電源(2)に対し、リアクトル(L)を介して接続されている。これにより、上記交流電源(2)の交流電圧は、上記ダイオード(D1〜D4)のブリッジ回路によって直流電圧に変換される。
上記平滑コンデンサ(12)は、上記コンバータ回路(11)によって整流された直流電圧を平滑化するコンデンサである。この平滑コンデンサ(12)は、例えば、電解コンデンサによって構成されていて、本実施形態の場合にはVdcの電圧が充電されるように構成されている。
上記インバータ回路(13)は、上記平滑コンデンサ(12)に対して並列に接続されている。このインバータ回路(13)は、複数のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)(例えば三相交流であれば6個)がブリッジ結線されてなる。すなわち、上記インバータ回路(13)は、2つのスイッチング素子を互いに直列接続してなる3つのスイッチングレグ(14,15,16)を備えていて、各スイッチングレグ(14,15,16)において上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)と下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)との中点がそれぞれ上記モータ(3)の各相(3a,3b,3c)に接続されている。
上記インバータ回路(13)は、これらのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフ動作によって、直流電圧を三相交流電圧に変換して、上記モータ(3)へ供給するように構成されている。上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、例えばJFETなどのように、負電圧(例えば−15V)でオフ状態となり、0Vに近い所定電圧(デバイスの構成などによって異なるが例えば0〜3V)になるとオン状態になる、いわゆるノーマリオン型のトランジスタによって構成されている。また、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、SiCなどのワイドバンドギャップ半導体を主材料として構成されていて、高温条件下での動作や高速動作が可能に構成されている。なお、本実施形態では、上記各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)に対して、還流ダイオード(Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz)が逆並列に接続されている。
上記インバータ回路(13)を構成するスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、それぞれ、ゲート駆動回路(20)によって駆動されるように構成されている。このゲート駆動回路(20)は、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート端子に対して、ゲート信号を出力することで、該スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のオンオフを制御するように構成されている。また、上記各ゲート駆動回路(20)に対しては、それぞれ、回路駆動のための電源が必要になる。なお、本実施形態では、後述するようなブートストラップ回路などを用いて上記電源の数をできるだけ減らすことで、コスト低減を図るようにしている。
また、上記電力変換装置(1)は、上記各ゲート駆動回路(20)に対して、制御信号Gを出力する制御回路(30)(制御手段)と、該制御回路(30)及び上記各ゲート駆動回路(20)に対して電力を供給する制御用電源回路(40)とを備えている。上記制御回路(30)は、電力変換装置(1)の通常運転時には、上記各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の各ゲート駆動回路(20)に対し、上記三相交流モータ(3)への出力が所定の周波数の三相交流電圧になるようなスイッチング制御を行うように制御信号Gを出力する。一方、上記制御回路(30)は、後述するように、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)における電源としての上アーム用コンデンサ(23)に充電する充電動作の場合には、該上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)をオン状態にするとともに、下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)をオフ状態にするような制御信号Gを出力する。
上記制御用電源回路(40)は、整流回路としてのダイオードブリッジ回路(41)と、スイッチング電源装置(42)とを備えている。このダイオードブリッジ回路(41)は、特に図示しないが、上記コンバータ回路(11)と同様、複数のダイオードをブリッジ状に結線することによって構成される。上記スイッチング電源装置(42)は、上記ダイオードブリッジ回路(41)で整流された電圧を、上記制御回路(30)やゲート駆動回路(20)で必要な電圧に変圧したり、該制御回路(30)やゲート駆動回路(20)へ分配したりするように構成されている。以上の構成により、上記交流電源(2)の交流電力を、上記ダイオードブリッジ回路(41)によって整流して、上記制御回路(30)やゲート駆動回路(20)に供給することができる。なお、上記制御回路(30)やゲート駆動回路(20)に対しては、上記スイッチング電源装置(42)に対して並列に接続された各コンデンサ(31,21,22)に充電を行うことによって電力の供給を行う。
また、上記電力変換装置(1)には、上記交流電源(2)とリアクトル(L)との間に、2つのスイッチ(SW1,SW2)が設けられている。これらのスイッチ(SW1,SW2)は、直列に接続されていて、両者の間に上記制御用電源回路(40)が接続されている。すなわち、上記2つのスイッチ(SW1,SW2)のうち、上記交流電源(2)側のスイッチ(SW2)は、該交流電源(2)と上記制御用電源回路(40)とを接続または切断するためのものであり、制御用電源スイッチを構成している。一方、上記リアクトル(L)側に位置するスイッチ(SW1)は、上記インバータ回路(13)などの主回路に対して上記交流電源(2)を接続または切断するためのものであり、主回路用電源スイッチを構成している。詳しくは後述するように、上記電力変換装置(1)を起動する際には、まず上記制御用電源スイッチ(SW2)をオンにした後、上記主回路用電源スイッチ(SW1)をオンにする。また、上述のような構成にすることで、上記制御用電源スイッチ(SW2)をオンにして上記制御用電源回路(40)に電力を供給した状態で、上記主回路用電源スイッチ(SW1)をオフにして上記三相交流モータ(3)への出力を停止する、いわゆる主回路の停止状態にすることも可能である。さらに、上述のような構成にすることで、上記制御用電源回路(40)への電力供給を停止できるため、電力変換装置(1)の運転が停止しているときに上記制御用電源回路(40)側で無駄な損失が発生するのを確実に防止できる。
−ゲート駆動回路−
以下で、上記ゲート駆動回路(20)及びスイッチング素子(Su,Sx)を含む回路構成について、図2に基づいて説明する。なお、以下の説明では、説明簡略化のために、上記インバータ回路(13)のうち、一つの上下アーム(スイッチングレグ(14))を構成するスイッチング素子(Su,Sx)とそれらのゲート駆動回路(20)を含む回路について説明する。
上述のとおり、本実施形態において、上記インバータ回路(13)を構成するスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、いわゆるノーマリオン型のトランジスタによって構成されていて、負電圧になるとオフ状態となり、0Vに近い所定電圧になるとオン状態となるため、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)をオンオフ動作させようとすると、それらのゲート駆動回路(20)に対して、負極性の電源電圧(ソース端子の電圧よりも低い電圧)を供給する必要がある。そのため、本実施形態では、上記ゲート駆動回路(20)の電源回路を上記図2に示すように構成する。
具体的には、下アームのスイッチング素子(Sx)のゲート駆動回路(20)に対しては、上記制御用電源回路(40)で充電されるコンデンサ(22)の高電位側を、上記スイッチング素子(Sx)のソース端子側に接続して、該コンデンサ(22)によって上記ゲート駆動回路(20)に電力を供給する。これにより、上記ゲート駆動回路(20)に対して、上記スイッチング素子(Sx)のソース端子の電圧よりも低い電圧を供給することができる。
また、上アームのスイッチング素子(Su)のゲート駆動回路(20)に対しては、上記制御用電源回路(40)で充電されるコンデンサ(21)から、該スイッチング素子(Su)を介して充電される上アーム用コンデンサ(23)によって電力を供給する。すなわち、上記スイッチング素子(Su)のオン状態で且つ下アームのスイッチング素子(Sx)がオフ状態のときに、上記コンデンサ(21)及び上アーム用コンデンサ(23)によって充電回路(24)が形成されるように、上記スイッチング素子(Su)のドレイン端子側に上記コンデンサ(21)の高電位側を、該スイッチング素子(Su)のソース端子側に上記上アーム用コンデンサ(23)をそれぞれ接続する。このように、上記上アーム用コンデンサ(23)は、充電されて高電位となる側が上記スイッチング素子(Su)のソース端子側に接続されているため、上記ゲート駆動回路(20)に対して、該スイッチング素子(Su)のソース端子側の電圧よりも低い電圧をかけることができる。
ここで、上記充電回路(24)には、上記上アーム用コンデンサ(23)と上記コンデンサ(21)との間に、ダイオード(D)及び抵抗(R)が設けられている。このダイオード(D)は、上記コンデンサ(21)、スイッチング素子(Su)及び上アーム用コンデンサ(23)の順に電流が流れるように設けられている。これにより、上記上アーム用コンデンサ(23)において、スイッチング素子(Su)のソース端子側を確実に高電位にすることができる。
−運転動作−
次に、上述のような構成の電力変換装置(1)の運転動作について以下で説明する。
まず、上記電力変換装置(1)を起動する際には、制御回路(30)及びゲート駆動回路(20)に電力を供給するコンデンサ(31,21,22)に充電するために、制御用電源スイッチ(SW2)をオンにする。そうすると、交流電源(2)の交流電圧は、ダイオードブリッジ回路(41)によって直流に変換された後、スイッチング電源装置(42)に供給される。そして、このスイッチング電源装置(42)によって、各コンデンサ(31,21,22)に対して充電が行われる。
上記各コンデンサ(31,21,22)の充電後、上記制御回路(30)は、上記インバータ回路(13)の上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)に対して、上記コンデンサ(21)によってコンデンサ(23)への充電を行うように、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)をオン状態にするような制御信号を出力する。一方、上記制御回路(30)は、上記インバータ回路(13)の下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対しては、該スイッチング素子(Sx,Sy,Sz)をオフ状態にするような制御信号を出力する。
上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオン状態で、且つ、下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)がオフ状態になると、充電回路(24)では上記コンデンサ(21)から上アーム用コンデンサ(23)に対して充電が行われる。
上記充電動作のときに、上記上アーム用コンデンサ(23)に急速に充電が行われると、比較的大きな電流が上記充電回路(24)内を流れるため、該コンデンサ(23)などの回路(24)内の構成部品の寿命を低下させる虞がある。
そのため、上記制御回路(30)は、図3に示すように、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)にオンオフ動作を繰り返し行わせることによって、上記上アーム用コンデンサ(23)に断続的に充電が行われるようにして、該上アーム用コンデンサ(23)に徐々に充電されるようにする。なお、上記図3において、V1及びV2は、それぞれコンデンサ(21,22)の電圧を、C1は上アーム用コンデンサ(23)の充電量(電圧)を、Gu及びGxは、それぞれ、制御回路(30)から上下アームのスイッチング素子(Su,Sx)のゲート駆動回路(20)に対して出力される制御信号を、Su及びSxは、それぞれ、上下アームのスイッチング素子(Su,Sx)のスイッチング状態を示している。これらの対応は、後述する図4、図5、図9〜図11について同じである。
具体的には、上記図3に示すように、上記制御回路(30)から、上記スイッチング素子(Su)のゲート駆動回路(20)に対して、所定の間隔でONの制御信号Guを出力することにより、上記スイッチング素子(Su)を断続的にオン状態にする。これにより、上記上アーム用コンデンサ(23)に徐々に充電を行うことができ、該コンデンサ(23)に急速に充電されるのを防止することができる。したがって、上記上アーム用コンデンサ(23)の充電時に、該コンデンサ(23)を含む充電回路(24)内の構成部品が損傷を受けるのを確実に防止することができる。
なお、上記図3において、上記上アーム用コンデンサ(23)の充電量(図中のC1)が小さいとき(C1の傾きが比較的、急な部分)には、ゲート駆動回路(20)によってノーマリオン型のスイッチング素子をオフ状態にさせることができないため、制御信号GuがOFFであっても上アームのスイッチング素子(Su)はオン状態になっているが、或る程度、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電されると、上記スイッチング素子(Su)を制御回路(30)からの制御信号Guに従って、オンオフ動作させることが可能になる。
本実施形態では、上記上アーム用コンデンサ(23)の充電開始直後から、制御回路(30)が所定の間隔でONの制御信号Guを出力するようにしているが、この限りではなく、図4に示すように、所定時間経過後に、所定の間隔でONの制御信号Guを出力するようにしてもよい。なお、この図4において、上記上アーム用コンデンサ(23)が初期の段階で充電されているのは、ゲート駆動回路(20)の電源である該コンデンサ(23)内の電圧がスイッチング素子(Su)をオフ状態にするために必要な分、充電されていないため、該スイッチング素子(Su)がオン状態になってしまったためである。
上述のようにして、上記上アーム用コンデンサ(23)の電圧が充電された後、主回路用電源スイッチ(SW1)をオンにして、コンバータ回路(11)やインバータ回路(13)などの主回路側に電力を供給する。そして、該インバータ回路(13)を構成する各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対し、制御回路(30)から制御信号を出力して、上記インバータ回路(13)から三相交流モータ(3)に所定の周波数の交流電圧を出力させる。
このように、上記電力変換装置(1)が通常運転を行っているときには、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)もキャリア周波数でスイッチングされているため、上記上アーム用コンデンサ(23)では、充電と放電が繰り返されて、ほぼ一定の電圧に維持される。
ところで、上記インバータ回路(13)から三相交流モータ(3)への出力を停止する場合には、上記主回路用電源スイッチ(SW1)をオフにする出力停止状態が考えられる。この場合には、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電された状態のまま、各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)をオフ状態にすることになるので、該上アーム用コンデンサ(23)からは徐々に放電されることになる。該上アーム用コンデンサ(23)の放電によって、その電圧が、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)をオフ状態にする電圧よりも低くなると、該スイッチング素子(Su,Sv,Sw)はオン状態となり、オンオフの動作を繰り返すことになる。すなわち、上記上アーム用コンデンサ(23)の電圧が低くなると、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオン状態になって、該上アーム用コンデンサ(23)で充電が行われるが、ゲート駆動回路(20)にはオフの制御信号が入力されているため、上記上アーム用コンデンサ(23)がスイッチング素子(Su,Sv,Sw)をオフ状態にするのに必要な電圧に達すれば、該スイッチング素子(Su,Sv,Sw)は再びオフ状態になる。上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)がこのような不安定な動作を繰り返すと、インバータ回路(13)の動作が不安定になり、電力変換装置(1)全体の信頼性の低下につながる。
そのため、上記制御回路(30)は、図5に示すように、上記上アーム用コンデンサ(23)が充電された状態で、且つ該コンデンサ(23)の電圧が低下したときに、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)にオンオフ動作を繰り返し行わせることによって、上記上アーム用コンデンサ(23)に断続的に充電されるようにする。
具体的には、上記図5に示すように、上記上アーム用コンデンサ(23)の電圧が閾値よりも低下したときには、上記制御回路(30)は、ゲート駆動回路(20)に対して、スイッチング素子(Su)をオンオフ動作させるような制御信号Guを出力する。なお、上記制御回路(30)がオンオフ動作の制御信号Guを出力するタイミングは、上記上アーム用コンデンサ(23)の電圧が閾値よりも低下した場合に限らず、インバータ回路(13)の出力が停止してから所定時間経過後であってもよい。また、上記スイッチング素子(Su)にオンオフ動作を繰り返させるのではなく、該スイッチング素子(Su)にオン状態を一定期間、継続させて、その後、オフ状態にしてもよい。
−実施形態1の効果−
以上より、この実施形態によれば、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)の電源として、上アーム用コンデンサ(23)を設けることで、各上アームのスイッチング素子のゲート駆動回路に電源を設ける場合に比べて、電源の数を減らすことができ、コストの低減を図れる。そして、上記上アーム用コンデンサ(23)の高電位側を上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)のソース端子側に接続して、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオン状態で且つ下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)がオフ状態のときに上記コンデンサ(23)に充電するような充電回路(24)を形成することで、ノーマリオン型の上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)に対して、負極性の電源を構成することができる。
さらに、上述のような構成において、制御用電源回路(40)に電力が供給されていて、且つ、主回路側に電力が供給されていない状態で、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電する際には、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)をオンオフ動作させることで、上記コンデンサ(23)に徐々に充電することができる。したがって、上記上アーム用コンデンサ(23)に急速に充電されて該コンデンサ(23)などの充電回路(24)内の構成部品が損傷を受けるのを防止することができる。
また、インバータ回路(13)の出力停止状態で、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電されている場合には、該コンデンサ(23)の電圧が低下したときに、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)をオンオフ動作させることによって、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電することができ、該コンデンサ(23)の電圧低下を防止することができる。したがって、上記上アーム用コンデンサ(23)の電圧低下によって、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオンオフを繰り返す不安定な動作を行うのを防止することができ、電力変換装置(1)全体の信頼性の低下を防止できる。
−実施形態1の変形例−
図6に示すように、この変形例に係る電力変換装置(1')は、制御用電源スイッチ(SW2)の代わりに、制御用電源回路(40)におけるスイッチング電源装置(42)と各コンデンサ(21,22)との間にスイッチ(SW3,SW4)を設けた点が、上記実施形態1とは異なる。
具体的には、上記図6に示すように、交流電源(2)とコンバータ回路(11)との間には、主回路用電源スイッチ(SW1)が設けられているだけで、上記実施形態1のような制御用電源スイッチ(SW2)は設けられておらず、制御用電源回路(40)は常に交流電源(2)に接続されている。そして、上記制御用電源回路(40)のスイッチング電源装置(42)と、上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に電力を供給するコンデンサ(21,22)との間に、それぞれ、スイッチ(SW3,SW4)が設けられている。
上述のような構成にすることで、電力変換装置(1')が停止している場合(主回路用電源スイッチ(SW1)がオフで三相交流モータ(3)への出力が停止されている場合)には、上記スイッチ(SW3,SW4)をオフにすることで、上記ゲート駆動回路(20)のコンデンサ(21,22)に無駄に充電されるのを防止することができ、損失の発生を抑制することができる。
なお、上記電力変換装置(1')を起動させる場合には、まず、上記スイッチ(SW3,SW4)をオンにした後、上記実施形態1のような充電動作を行って、上記主回路用電源スイッチ(SW1)をオンにすればよい。
《実施形態2》
図7に本発明の実施形態2に係る電力変換装置の概略構成を、図8にゲート駆動回路の周辺の回路構成を、それぞれ示す。この実施形態2では、ゲート駆動回路に対して電力を供給する回路構成が、上記実施形態1とは異なるだけなので、該実施形態1と同一の部分には同じ符号を付し、異なる部分について以下で説明する。
上記実施形態1のように、上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)と、下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に、それぞれ、電源(実施形態1ではコンデンサ(21,22))を設ける構成では、電源の数が多くなり、コストの増大を招く。しかしながら、上述のとおり、JFETなどのノーマリオン型のスイッチング素子のゲート駆動回路では、負極性の電源が必要になるため、一つの電源で上下アームのスイッチング素子のゲート駆動回路(20)に対して負極性の電圧を供給するような回路構成は、従来、存在しなかった。
そこで、上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)の駆動回路(20)に対し、一つの電源(コンデンサ(22))によって電力を供給するような以下の回路構成を考案した。
ノーマリオン型の2つのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)が直列接続された上下アームを互いに並列に接続してなる主回路(インバータ回路(13))と、上記主回路(インバータ回路(13))と主電源(交流電源(2))とを電気的に接続または切断するためのスイッチ手段(主回路用電源スイッチ(SW1))と、上記各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を駆動させるためのゲート駆動回路(20)と、を備え、上記主回路(インバータ回路(13))内のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を所定のタイミングでスイッチング動作させることによって電力変換を行う電力変換装置において、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)のゲート駆動回路(20)に該スイッチング素子(Su,Sv,Sw)のソース側の電圧よりも低い電圧を供給するコンデンサ(上アーム用コンデンサ(23))と、上記下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に該スイッチング素子(Sx,Sy,Sz)のソース側の電圧よりも低い電圧を供給するとともに、上記コンデンサ(上アーム用コンデンサ(23))との間で充電回路(51)を形成する制御用電源(コンデンサ(22))と、上記充電回路(51)に設けられる充電用スイッチ手段(充電用スイッチング素子(Sxn))と、を備え、上記充電回路(51)は、上記充電用スイッチ手段(充電用スイッチング素子(Sxn))のオン動作によって上記制御用電源(コンデンサ(22))からコンデンサ(上アーム用コンデンサ(23))へ充電するように構成されている。
具体的には、下アームのスイッチング素子(Sx)のゲート駆動回路(20)に対しては、上記実施形態1と同様、該スイッチング素子(Sx)のソース端子側に上記コンデンサ(22)の高電位側を接続する。一方、上アームのスイッチング素子(Su)のゲート駆動回路(20)に対しては、上アーム用コンデンサ(23)の充電された状態での高電位側が該スイッチング素子(Su)のソース端子側に接続されていて、上記コンデンサ(22)によって上記アーム用コンデンサ(23)への充電を行う充電回路(51)が設けられている。
上記充電回路(51)は、上記コンデンサ(22)、上アーム用コンデンサ(23)及び充電用スイッチング素子(Sxn)(充電用スイッチ手段)を備えていて、該コンデンサ(22)の高電位側に、上記上アーム用コンデンサ(23)及び充電用スイッチング素子(Sxn)が順に接続されている。上記充電用スイッチング素子(Sxn)は、例えばバイポーラ型のトランジスタによって構成されていて、ゲート駆動回路(52)によって駆動される。特に図示しないが、このゲート駆動回路(52)は、制御回路(30)から出力される制御信号Gxnに応じて上記充電用スイッチング素子(Sxn)を駆動させるように構成されている。なお、本実施形態では、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をバイポーラ型のトランジスタによって構成しているが、この限りではなく、充電回路(51)でスイッチとして機能するものであれば、どのような構成であってもよい。
上記充電回路(51)は、上記上アーム用コンデンサ(23)の充電された状態での高電位側が、上記上アームのスイッチング素子(Su)のソース端子側に接続されていて、上記コンデンサ(22)の低電位側には上記充電用スイッチング素子(Sxn)のエミッタ端子側が接続されている。また、上記充電回路(51)には、ダイオード(D)及び抵抗(R)を備えていて、該ダイオード(D)によって、上記充電用スイッチング素子(Sxn)がオン状態になったときには上記コンデンサ(22)から上アーム用コンデンサ(23)の方向へ電流が流れるように構成されている。
なお、本実施形態では、上記充電回路(51)にダイオード(D)を設けているが、この限りではなく、該ダイオード(D)を設けなくてもよい。該ダイオード(D)を設けなくても、下アームのスイッチング素子(Sx)に逆並列に設けられた還流ダイオード(Dx)によって別の充電回路を構成することができ、上記コンデンサ(22)から上アーム用コンデンサ(23)に充電することができる。
以上の構成により、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオン状態にすることで、上記充電回路(51)内でコンデンサ(22)から上アーム用コンデンサ(23)に充電されるようになっている。したがって、上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対して、それぞれ電源を設けることなく、一つの電源によって、上記各ゲート駆動回路(20)にソース端子側よりも低い電圧を供給することができる。よって、上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対し、電源をそれぞれ設ける場合に比べて、電源の数を減らすことができ、コスト低減を図れる。
次に、上述のような構成の回路の動作について説明する。
上述のような回路構成の場合、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をスイッチング制御すれば、コンデンサ(22)から上アーム用コンデンサ(23)に充電することができるが、該充電用スイッチング素子(Sxn)のオン状態と上アームのスイッチング素子(Su)のオン状態とが重なると、平滑コンデンサ(12)の高電圧が上記上アーム用コンデンサ(23)に充電されることになる。そのため、上記充電用スイッチング素子(Sxn)は、上記上アームのスイッチング素子(Su)がオフ状態になっているとき、すなわち下アームのスイッチング素子(Sx)がオン状態になっている間に、オン状態になるようにスイッチング制御を行う必要がある。つまり、上記制御手段(30)は、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオフ状態で、且つ、下アームのスイッチング素子(Sx,Sy,Sz)がオン状態のときに、上記充電用スイッチ手段(Sxn)をオンにするように構成されている。
上記充電用スイッチング素子(Sxn)のスイッチング動作の一例を図9に示す。この図9では、上記下アームのスイッチング素子(Sx)がオン状態の間に、上記充電用スイッチング素子(Sxn)がオン状態になるようにスイッチング制御されている。なお、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオンにするタイミングは、上記下アームのスイッチング素子(Sx)がオンになるタイミングに合わせても良いが、上述のように、上記上アームのスイッチング素子(Su)がオン状態のときには上記充電用スイッチング素子(Sxn)を確実にオフにする必要があるため、上記図9のように、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオンにするタイミングを、上記下アームのスイッチング素子(Sx)がオンになるタイミングから少しずらすのが好ましい。
そして、この実施形態2の構成においても、上記実施形態1の構成と同様、コンバータ回路(11)やインバータ回路(13)などの主回路に電力が供給されていない状態で、制御用電源回路(40)に電力が供給されている場合には、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電する際に、図10に示すように、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオンオフ動作させることによって、上記上アーム用コンデンサ(23)に徐々に充電することができる。なお、この実施形態2の回路構成においても、上記実施形態1の図4のように、起動時(充電開始)から一定時間経過した後に、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオンオフ動作させるようにしてもよい。
また、上述の状態で、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電されている場合には、該コンデンサ(23)の電圧が低下(閾値よりも低下若しくは上述の状態で所定時間経過)したときに、図11に示すように、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオンオフ動作させることによって、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電して、該コンデンサ(23)の電圧低下を防止する。
−実施形態2の効果−
以上より、この実施形態によれば、下アームのスイッチング素子(Sx)のゲート駆動回路(20)に対しては、制御用電源回路(40)によって充電されるコンデンサ(22)によって上記スイッチング素子(Sx)のソース側よりも低い電圧を供給できるように構成するとともに、上アームのスイッチング素子(Su)のゲート駆動回路(20)に対しては、その電源を構成する上アーム用コンデンサ(23)と、上記コンデンサ(22)と、充電用スイッチング素子(Sxn)とによって充電回路(51)を構成し、該充電用スイッチング素子(Sxn)のスイッチング動作によって、上記上アーム用コンデンサ(23)に上アームのスイッチング素子(Su)に対してそのソース側よりも低い電圧を充電できるようにしたため、一つの電源によって、上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に負極性の電圧を供給することができる。これにより、電源の数を減らすことができ、コスト低減を図れる。
また、上述のような構成の回路においても、上記制御用電源回路(40)に電力が供給されていて、且つ、主回路側に電力が供給されていない状態で、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電する際には、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオンオフ動作させることで、上記コンデンサ(23)に徐々に充電することができる。したがって、上記上アーム用コンデンサ(23)に急速に充電されて該コンデンサ(23)などの充電回路(24)内の構成部品が損傷を受けるのを防止することができる。
また、インバータ回路(13)の出力停止状態で、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電されている場合には、該コンデンサ(23)の電圧が低下したときに、上記充電用スイッチング素子(Sxn)をオンオフ動作させることによって、上記上アーム用コンデンサ(23)に充電することができ、該コンデンサ(23)の電圧低下を防止することができる。したがって、上記上アーム用コンデンサ(23)の電圧低下によって、上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw)がオンオフを繰り返す不安定な動作を行うのを防止することができ、電力変換装置(1)全体の信頼性の低下を防止できる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態では、コンバータ回路(11)を複数のダイオードによって構成しているが、この限りではなく、インバータ回路(13)と同様、複数のスイッチング素子によって構成してもよい。
また、上記各実施形態では、ノーマリオン型のスイッチング素子として、JFETを挙げているが、この限りではなく、例えばSITやMESFET、HFETなどであってもよい。
また、上記各実施形態では、交流電源(2)によってコンデンサ(21,22)に充電して、該コンデンサ(21,22)によって上アーム用コンデンサ(23)を充電するようにしているが、この限りではなく、上記上アーム用コンデンサ(23)を別の電源によって充電してもよい。
本発明は、ノーマリオン型のスイッチング素子を駆動させるためのゲート駆動回路の負極性の電源としてコンデンサを用いる電力変換装置に特に有用である。
実施形態1に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。 ゲート駆動回路周辺の回路構成を示す図である。 主回路が起動する前に上アーム用コンデンサに充電を行う場合の、ゲート駆動回路への制御信号、スイッチング素子のオンオフ動作及び上アーム用コンデンサの充電量の関係を模式的に示すタイミングチャートである。 スイッチング制御の他の例を示す図3相当図である。 主回路の出力が停止していて上アーム用コンデンサに充電されている場合の、ゲート駆動回路への制御信号、スイッチング素子のオンオフ動作及び上アーム用コンデンサの充電量の関係を模式的に示すタイムチャートである。 実施形態1の変形例に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。 実施形態2に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。 ゲート駆動回路周辺の回路構成を示す図である。 上下アームのスイッチング素子のスイッチング動作と充電用スイッチング素子の動作との関係を模式的に示すタイミングチャートである。 主回路が起動する前に上アーム用コンデンサに充電を行う場合の、ゲート駆動回路への制御信号、スイッチング素子のオンオフ動作及び上アーム用コンデンサの充電量の関係を模式的に示すタイミングチャートである。 主回路の出力が停止していて上アーム用コンデンサに充電されている場合の、ゲート駆動回路への制御信号、スイッチング素子のオンオフ動作及び上アーム用コンデンサの充電量の関係を模式的に示すタイムチャートである。
1 電力変換装置
2 交流電源(主電源)
3 三相交流モータ
11 コンバータ回路
12 平滑コンデンサ
13 インバータ回路(主回路)
20 ゲート駆動回路
21,22 コンデンサ(制御用電源)
23 上アーム用コンデンサ(コンデンサ)
24,51 充電回路
30 制御回路(制御手段)
40 制御用電源回路
Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz スイッチング素子
Sxn 充電用スイッチング素子(充電用スイッチ手段)
SW1 主回路用電源スイッチ(スイッチ手段)
SW2 制御用電源スイッチ(第2スイッチ手段)
SW3,SW4 スイッチ(第2スイッチ手段)

Claims (6)

  1. ノーマリオン型の2つのスイッチング素子(Su,Sx)が直列接続された上下アームを互いに並列に接続してなる主回路(13)と、上記主回路(13)と主電源(2)とを電気的に接続または切断するためのスイッチ手段(SW1)と、上記各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を駆動させるためのゲート駆動回路(20)と、該ゲート駆動回路(20)に制御信号を出力して上記各スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のスイッチング動作を制御する制御手段(30)とを備え、上記主回路(13)内のスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)を所定のタイミングでスイッチング動作させることによって電力変換を行う電力変換装置であって、
    上記上下アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)のゲート駆動回路(20)に対して電力を供給する制御用電源(22)と、
    上記制御用電源(22)によって充電されるとともに、上記上アームのスイッチング素子(Su,Sv,Sw)及びそのゲート駆動回路(20)に対し、該スイッチング素子(Su,Sv,Sw)のソース側の電圧よりも低い電圧を該ゲート駆動回路(20)へ供給可能なように接続されたコンデンサ(23)と、
    上記制御手段(30)によってオンオフ制御されて、オン状態で上記制御用電源(22)から上記コンデンサ(23)へ充電するための充電回路(51)を形成する充電用スイッチ手段(Sxn)と、を備えていて、
    上記制御手段(30)は、上記制御用電源(22)に電圧が発生している状態で、且つ、上記スイッチ手段(SW1)がオフで上記主回路(13)に電力が供給されていない状態において、上記充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させるように構成されていることを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1において、
    上記制御手段(30)は、上記スイッチ手段(SW1)をオンにして上記主回路(13)に電力を供給する前に、上記充電用スイッチ手段(Sxn)にオンオフ動作を繰り返し行わせるように構成されていることを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項2において、
    上記スイッチ手段(SW1)は、上記コンデンサ(23)に所望の電圧以上、充電された後に、オンになって上記主回路(13)に電力を供給するように構成されていることを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1において、
    上記制御手段(30)は、上記コンデンサ(23)に充電されていて、該コンデンサ(23)内の電圧が放電によって低下したときに、上記充電用スイッチ手段(Sxn)をオンオフ動作させるように構成されていることを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一つにおいて、
    上記ゲート駆動回路(20)には、上記主電源(2)によって充電される、上記制御用電源としてのコンデンサ(22)により電力が供給されていて、
    上記主電源(2)とコンデンサ(22)との間には、該コンデンサ(22)への電力供給を制御するための第2スイッチ手段(SW2,SW4)が設けられていることを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一つにおいて、
    上記スイッチング素子(Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz)は、ワイドバンドギャップ半導体を主材料として構成されていることを特徴とする電力変換装置。
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