JP5199144B2 - 収納庫 - Google Patents

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Description

本発明は、引出を備えた収納庫であって、特に引出に収納した被収納物等の破損を防止でき、かつ被収納物を取り出しやすくすることが可能な収納庫に関する。
キッチンで使用される調理器具には、ボウルやざる、長手の形状を有する杓子類(レードル)、菜箸、ラップ、調味料などの小物類、包丁など、様々なものがある。これらの調理器具等の被収納物を収納するために、従来から、キッチンの上に吊戸棚を設けたり、キッチンの下に開き戸や引出を有する収納庫を設けたりしていた。
上記の中でも、引出を有する収納庫は、引出に被収納物を上方から容易に収納でき、複数の引出を水平および垂直方向に並行して設けることで高い空間効率を得ることができる。これにより、上記の調理器具以外にも、碗、皿、カップ等の食器類、鍋、フライパン等の大きな調理器具、塩、胡椒等の調味料、食品、調味料等の瓶詰め又は缶詰容器など、大小様々な被収納物を上方から容易に収納することができる。
しかし、複数の引出を垂直方向に並列して設けた場合、使用者の腰よりも低い位置(以下、下方と称する。)に設けられた引出に収納した被収納物を取り出すためには、使用者は、腰を曲げ、屈んだ姿勢を取らなければならない。キッチンにおいて時間に追われながら作業をしている使用者にとって、被収納物を取り出す度にこのような動作を行うことは煩わしく、作業効率の低下を招いてしまう。
また上記のような動作は腰への負荷が大きい。このため、使用者が、健康な人間の場合にはさほど負担にならないかもしれないが、身体能力が低下し、身体の自由がきかない高齢者等であった場合、かかる動作は大きな負担となってしまう。
上述した問題を解決するために、例えば特許文献1には、キャビネット本体の下部に前後方向出し入れ自在な引出を備えたフロアーキャビネットであって、上記引出に上下昇降自在な収納棚を設けてなるフロアーキャビネットが開示されている。
特許文献1に記載のフロアーキャビネットによれば、引出には上下昇降自在な収納棚が設けられているので、上記引出は下位(下方)にあっても収納棚を上昇させることにより、同収納棚に収納される物品を上位(上方)で楽に出し入れすることができることとしている。
また、特許文献1に記載のフロアーキャビネットによれば、収納棚の左右両側に配設され、後端が引出の内側側面に枢支され、その前端が収納棚の外側壁面に枢着されることにより引出と収納棚を連結するリンク片の後方へ延設された延設部先端と引出との間に張設された引っ張りバネにより、同収納棚を上方へ付勢するバランサ機構が設けられていることで、同収納棚を手動でも上昇操作を軽く行うことができることとしている。
特開2007−330564号公報
しかし、特許文献1に記載のフロアーキャビネットでは、収納棚を上昇させた状態にさせるには引出をキャビネット本体から引き出した後、手動で収納棚を上方へ引き上げなければならない。かかる引出をキャビネットから引き出す操作と、収納棚を上方へ引き上げる操作は独立しており、収納棚がキャビネットから出終わる前に引き上げてしまう等、使用者の操作の如何によって、収納棚または被収納物とキャビネット本体内の天面等との衝突が発生してしまう恐れがある。
特に、上述したように使用者が高齢者等であった場合、使用者にこれらの操作を正確に行うことを要求するのは酷であり、また収納棚を引き上げる動作はかがむ動作以上に負担が大きい。
さらに、特許文献1に記載のバランサ機構では、引っ張りバネにより収納棚の上昇操作を付勢しているものの、テコの原理により、付勢を効果的に行うことができる引っ張りバネの取り付け位置とはなっていない。
本発明は、このような課題に鑑み、被収納物等が収納庫内の天面等に衝突することを防止でき、体への負荷の低減および利便性の向上が可能な収納庫を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、被収納物を収納可能な引出をスライド自在に収容可能な収納庫であって、引出内に配置され、被収納物を載置可能な載置部材と、載置部材を上下方向に昇降させる昇降機構と、を備え、昇降機構は、収納庫内の壁面に配置されるレールと、レールに案内されるプーリを有し、レールは、引出を引き出す方向の力を載置部材を上昇させる方向の力に変換する傾斜部と、傾斜部に連続し、傾斜部より奥側に設けられた水平部とを有し、引出を収納したときにプーリが位置する奥側始点から水平部と傾斜部の交点である上昇起点までの長さが、載置部材の奥行よりも長いことを特徴とする。
上記構成によれば、載置部材はその全体が収納庫から引き出されてから上昇するため、載置部材または被収納物が収納庫内で上昇し、収納庫内の天面等に衝突することを防止できる。また、引出を引き出す操作と載置部材を上昇させる操作は一体となっているため、使用者は引出を引き出すという簡易な動作を行うだけで載置部材を上昇させることが可能である。
上記の載置部材の奥行は、引出の前板の前面から載置部材の背面側の後端までの長さとしてよい。これにより、載置部材または被収納物が収納庫内から引き出され終わる前に上昇し、収納庫内の天面または上位の引出の外側の底面等に衝突することを確実に防止できる。
上記のプーリは、後述する支持部材の後方に延設された部分に枢着されていることにより、載置部材はプーリと一体となってレールに案内されるため、傾斜部に沿って上昇することが可能である。また、プーリはレールの上側かつ奥側よりに配置された上プーリと、レールの下側且つ前側よりに配置された下プーリとからなるとよい。このようにプーリを配置したことにより、2つのプーリを同時に上下に案内することができると共に、2つのプーリに間隔を設けることができるためにアームの水平を保つことができる。
上記の奥側始点は水平部上に位置しているとしてよい。これにより、載置部材は引き出し開始から上昇開始までは水平移動をするため、載置部材または被収納物が収納庫内を移動する際に収納庫の天面や上段の引出の底面等に接触することを防止できる。
上記課題を解決するために、本発明の他の代表的な構成は、被収納物を収納可能な引出をスライド自在に収容可能な収納庫であって、引出内に配置され、被収納物を載置可能な載置部材と、載置部材を上下方向に昇降させる昇降機構と、を備え、昇降機構は、収納庫内の壁面に配置されるレールと、レールに案内されるプーリを有し、レールは、引出を引き出す方向の力を載置部材を上昇させる方向の力に変換する傾斜部と、傾斜部に連続し、傾斜部より奥側に設けられた水平部とを有し、収納庫から引出を最も引き出したときにプーリが位置する前側始点から水平部と傾斜部の交点である上昇起点までの長さが、引出を最も引き出したときの引出の突出量から載置部材の奥行を引いた長さよりも短いことを特徴とする。
上記構成によれば、引き出された引出を収納庫に押し戻す際、載置部材は下降し終えてから収納庫内に入るため、載置部材または被収納物の背面が、収納庫の前板の前面または上位の引き出しの前板の前面等に衝突することを防止できる。
上記の引出の突出量は、収納時における当該引出の前板の前面から、当該引出を最も引き出したときにおける当該引出の前板の前面までの長さとしてよい。また、載置部材の奥行は、当該引出の前板の前面から載置部材の背面までの長さとしてよい。これにより、載置部材もしくは被収納物のいずれか一方または両方の背面が、収納庫の前板の前面または上位の引き出しの前板の前面等に衝突することを確実に防止できる。
上記のプーリは、後述する支持部材の後方に延設された部分に枢着されていることにより、載置部材はプーリと一体となってレールに案内されるため、傾斜部に沿って下降することが可能である。また、プーリはレールの上側かつ奥側よりに配置された上プーリと、レールの下側且つ前側よりに配置された下プーリとからなるとよい。このようにプーリを配置したことにより、2つのプーリを同時に上下に案内することができると共に、2つのプーリに間隔を設けることができるためにアームの水平を保つことができる。
引出は、載置部材を支持する支持部材を更に備え、載置部材は、支持部材に着脱可能であり、昇降機構は、支持部材を上下方向に移動させることで載置部材を上昇または降下させてもよい。
上記構成によれば、載置部材を任意に交換したり、引出に大きな被収納物を収納するために載置部材を外しておくなど、汎用性のある収納庫とすることが可能である。
引出は、支持部材と隣接する柱部材と、支持部材と柱部材とを連結するバネと、を更に備え、バネは、上端を柱部材に、下端を支持部材に連結し、昇降機構は、支持部材を上方向に移動させる力にバネの復元力を付加し、載置部材を上昇させてもよい。
上記構成によれば、傾斜部による載置部材の上昇をバネの復元力が付勢することで、引出を引き出す動作に掛かる載置部材の上昇に伴う負加を軽減し、使用者の負担を軽くすることができる。
バネは、単数または複数のバネが着脱可能に構成されていてもよい。これにより載置部材を上昇させる力を調節することができ、引出の位置や大きさに応じて想定される被収納物の重量を適切に支持することができる。
載置部材は、天面が開放された箱状であってもよい。これによれば、引出内に散在しやすい菜箸等の小型の調理器具を載置部材にまとめておき、載置部材以外の引出内のスペースには鍋等の大型の調理器具を収納しておくなど、引出内の整理整頓を行うことが可能となる。
載置部材は、引出の前板の背面に隣接する位置に設けられていてもよい。これによれば、載置部材は引出内の最も手前に設けられることとなる。これにより、載置部材内の被収納物の効率的な取り出しが可能となり、利便性を向上させることができる。
載置部材が2以上設けられていてもよい。これによれば、被収納物や引出内の状況に応じて複数の載置部材を使い分けることが可能となり、利便性をより向上させることができる。
本発明によれば、被収納物等が収納庫内の天面等に衝突することを防止でき、また被収納物を、簡易な機構かつ容易な操作で上昇させることが可能な収納庫を提供することができる。
本実施形態に係る収納庫を備えるシステムキッチンを示す図である。 引出の内部構成を説明する斜視図である。 レールとプーリの構成を説明する図である。 載置部材を説明する斜視図である。 柱部材とバネを説明する図である。 摺動部材を説明する図である。 柱部材と摺動部材の組み合わせを説明する図である。 摺動部材の摺動を説明する図である。 昇降機構による載置部材の移動を説明する断面図である。 昇降機構の各部位を説明する断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかる収納庫を備えるシステムキッチンの全体構成を説明する図である。図1に示すように、システムキッチン100(以下、キッチン100と称する。)は、キッチンの全体の上面を覆う天板110(ワークトップとも称される。)を備える。本実施形態において、天板110は合成樹脂素材(人工大理石)を用いて形成されているが、これに限定するものではなく、ステンレス材を使用して形成されていてもよい。
天板110の上面には、組み込みで取り付けられたコンロ112、調理スペース114、一体に形成されたシンク116、が設けられる。天板110の下は、コンロ112が設置されているコンロキャビネット120と、調理スペース114を備えるベースキャビネット130、シンク116が設置されているシンクキャビネット140で構成している。各キャビネットは収納庫として機能し、キャビネット内の空きスペースには、コンロ112への配線や、シンク116および水栓への給排水管などが収容されている。
このように、天板110はシステムキッチン100全体に亘って連続しているにも拘らず、天板110の下では、天板110の上のコンロ112やシンク116といった各構成に対応したキャビネットが複数設けられている。これによりシステムキッチン100の構成を異ならせたときにも、キャビネット単位で引出や前板などの部品を準備すればよく、生産効率を向上させることができる。ここでいうシステムキッチンの構成とは、例えば調理スペース114やシンク116の幅などである。
各キャビネットは、本実施形態においては被収納物を収納可能な様々な大きさの引出をスライド自在に設けている。例えばコンロキャビネット120は、上部にコンロ112のグリル112aおよび操作パネル112bを備え、その脇には調味料などの小物を収納するための小さな引出であるスパイスボックス122が配置されている。コンロキャビネット120の中央部、すなわちグリル112aの下には幅の広い大きな引出124を配置し、鍋やボウルなどの比較的大きな調理器具を収納可能になっている。またコンロキャビネット120の下部の床近傍には、引出式の足元収納庫126が配置されている。
同様に、ベースキャビネット130には、上部に底の浅い引出131、底の深い大きな引出132および足元収納庫136が備え付けられ、シンクキャビネット140には足元収納庫146から天板110に到る高い前板を備えた引出144が備え付けられている。
次に、引出の内部構成と昇降機構について説明する。図1に示されたベースキャビネット130に設置されている引出132を例にとって説明するが、他の引出も昇降機構を備えていてよい。
図2は昇降機構を備えた引出132の内部構成を説明するために、ベースキャビネット130の内部側から見た斜視図である。引出132には、内部に被収納物を載置可能な載置部材150が引出132の前板の背面に隣接する位置に配置されており、また引出132はスライド自在にベースキャビネット130に収納されている。
本発明の実施形態にかかる昇降機構は、ベースキャビネット130の壁面に配置されたレール160と、当該レール160に案内されるプーリ168、169を有している。プーリ168、169は後述する支持部材に枢着されている。レール160には傾斜部162が設けられており、またレール160の傾斜部162の奥側には奥側水平部164が、前側には前側水平部166が、傾斜部162に連続して設けられている。
また引出132は、載置部材150を支持する支持部材を更に備えている。支持部材は梁206と摺動部材204とアーム178で構成されている。アーム178には上記のレール160に案内されるプーリ168、169が枢着されている。
図3に示すように、プーリ168、169はレール160の上側かつ奥側よりに配置された上プーリ168と、レール160の下側且つ前側よりに配置された下プーリ169で構成されている。このように2つのプーリ168、169でレール160を挟み込むことにより、アーム178が水平の姿勢を保った状態で支持部材に支持された載置部材150はプーリ168、169と一体となってレール160に案内される。
引出132を引き出す時、レール160に設けられた傾斜部162は、引出132を引き出す方向の力F0を載置部材150を上昇させる方向の力F1(分力)に変換する。よって、昇降機構は、支持部材を上下方向に移動させることで載置部材150を上昇または降下させることが可能となる。
図4は載置部材150を説明する斜視図である。載置部材150は、天面が開放された箱状であり、いわゆるポケット形状を成している。載置部材150はL字部220を有しており、図2に示すように支持部材の梁206に吊下することによって載置部材150が支持部材に対して着脱可能に構成されている。これにより、載置部材150が交換可能となるため、形状や容積、取り付ける個数などを選択することができる。また載置部材150を取り外せることから、清掃も容易となる。
また、載置部材150は1つの引出132内に2以上設けられることも可能である。
引出132は、支持部材の摺動部材204と隣接する柱部材200(図2参照)と、摺動部材204と柱部材200とを連結するバネ202を更に備えている。以下、柱部材200とバネ202について詳述する。
図5は、柱部材200とバネ202の構成を説明する図である。図2に示したように、柱部材200は引出132の前板の背面に隣接する位置の左右両側に設けられており、図5の左右の柱部材200は、引出132をベースキャビネット130の内部側からみた状態(図2の状態)での左右の柱部材200に対応した図である。
柱部材200は、摺動部材204の凸部212が上下方向に挿通される凹部214、摺動部材204を上下に案内する断面T字状の上下レール215を備えている。凹部214の上方には、バネ202の上端を固定する連結部分208が設けられている。また柱部材200は、引出132の前板の背面に固定設置するための固定部217を備えている。
図6は摺動部材204の構成を説明する図である。摺動部材204は、上述した柱部材200と同じく引出132の前板の背面に隣接する位置の左右両側に設けられており、図6の左右も図2での左右に対応したものである。
摺動部材204は、柱部材200の凹部214と嵌合する凸部212、柱部材200の上下レール215を挿通する上下溝213を備えている。凸部212は内部が空洞であって、バネ202を収容する。凸部212の下方には、バネ202の下端を固定する連結部分210が設けられている。上下溝213は断面がT字状の溝であって、上下レール215から脱落することなく上下に摺動可能に構成されている。また凸部212と凹部214も、上下レール215と上下溝213と同様に、組み合わされたまま摺動部材204が柱部材200に対して上下方向に摺動可能になっている。なお摺動部材204は、梁206を接続する梁接続部204aを有している。
バネ202は、上端を柱部材200の連結部分208に、下端を摺動部材204の連結部分210に連結されている。バネ202は引張バネであって、常に摺動部材204を引き上げる方向に作用する。なお、本実施形態ではバネ202は、片方の柱部材200につき2本連結されているが、1本でも実施可能である。引出の位置や大きさに応じて想定される被収納物の重量に応じてバネ202の本数や強さを選択することが好ましい。
図7は、柱部材200と摺動部材204の組み合わせを説明する図である。図示された柱部材200と摺動部材204は、上述した内の左側のものを上から見た状態である。摺動部材204の凸部212は、柱部材200の凹部214へ矢印216方向に嵌合することで両者は組み合わさる。
詳しくは、柱部材200の下方から、上下レール215と上下溝213(図6)、凹部214と凸部212を組み合わせながら、柱部材200と摺動部材204とをスライドさせて嵌合させる。このときバネ202は柱部材200の連結部分208(図5)に連結されており、バネ202を凸部212の空洞に挿入しながら組み立てを行う。そして摺動部材204が柱部材200の上端に到達したところで、バネ202の下端を摺動部材204の連結部分210に接続させる。柱部材200の連結部分208は凹部214内に設置されているが、図7では図示は省略している。
図8は、上記した内の左側の摺動部材204の摺動を説明するための図、図9および図10は昇降機構による載置部材150の移動と各部位を説明する断面図である。図8(a)は摺動部材204が下降している状態を示しており、図8(b)は摺動部材204が上昇している状態を示している。また図9(a)は引出132がベースキャビネット130に収納されている状態を示す図、図9(b)は載置部材150が上昇開始する直前状態を示す図、図9(c)は載置部材150の上昇途中を示した図、図9(d)は引出132を最も引き出した状態を示す図である。
図8(a)に示すように、摺動部材204が下降しているときにはバネ202が伸張しており、その弾性力によって引き上げられる力F2が発生している。そして図8(b)に示すように、摺動部材204は柱部材200の概ね上端まで上昇することができる。
ここで、摺動部材204、載置部材150およびこれに収納された被収納物の重量は、バネ202と、プーリ168、169およびレール160からなるリンク機構の双方によって支持される。さらに詳細には、昇降を司るのはプーリ168、169とレール160であって、バネ202は常に重量を軽減する作用を有している。仮にバネ202を設けなかった場合には、アーム178前側の重量が大きくなって傾くために、柱部材200と摺動部材204の摺動摩擦が高くなり、円滑な昇降動作が阻害されるおそれがある。そのため、バネ202は確実な動作のために重要な役割を有している。
図9(a)に示すように引出132が収容されている状態において、上プーリ168が位置する位置を奥側始点P1とする。奥側始点P1は奥側水平部164上に位置している。ここから、引き出しを開始すると上プーリ168はレール160の奥側水平部164に沿って移動することで、載置部材150も水平移動することになる。
更に引き出し続けると、上プーリ168は奥側水平部164を通過した後、図9(b)に示すように、上昇起点P2に到達することになる。上昇起点P2は奥側水平部164と傾斜部162の交点であり、引出132を引き出す時に載置部材150が上昇開始する点である。
ここで、奥側始点P1から上昇基点P2までの長さL1が、載置部材150の奥行きL2よりも長く設定している。これにより、上プーリ168が上昇起点P2に到達するときに、載置部材150はその全体が既にベースキャビネット130から引き出されていることになる。載置部材150の奥行きL2とは、引出132の前板の前面から載置部材150のL字部220の背面側の後端までの長さである。このことから、載置部材150はベースキャビネット130の外に出てから上昇することになる。
さらに引出132を引き出すことによって、図9(c)に示したように上プーリ168が上昇起点P2を越え傾斜部162に移動すると、柱部材200は引出132と一体となって水平移動し続ける一方、摺動部材204は傾斜部162に沿って上方向へ移動する(矢印188で示した軌道)。
この上昇移動中には、プーリ168、169とレール160によって変換された上昇させる方向の力F1(図2参照)と、バネ202によって引き上げられる力F2(図8(a)参照)の合力によって、載置部材150を上昇させることが可能となる。
更に引き出しを続けると、図9(d)に示すように載置部材150は可動範囲の上端に至る。このとき上プーリ168はレール160の前側水平部166に至り、プーリ168、169とレール160による上昇させる方向の力F1(図2)は発生しなくなる。また図8(b)に示したように載置部材150が柱部材200の概ね上端に達することにより、バネ202によって引き上げられる力F2も弱くなる。そのため載置部材150は、引出132と共に水平移動するようになる。
引出132を最も引き出した状態において、上プーリ168が位置する位置を前側始点P3とする。前側始点P3は、前側水平部166の上に位置している。このとき上プーリ168は、支持部材の後部の重量を支持して水平姿勢を維持する役割を有している。下プーリ169は役割を有しないため、前側水平部166の前端よりも突出し、レール160から外れた状態となっていてもよい。これにより引出132の引出量に対する制限を少なくすることができる。
図9(d)に示した状態から引出132を押し込む場合には、上記と逆の動作をする。ここで、前側始点P3から上昇起点P2までの長さL3が、引出132を最も引き出したときの引出の突出量L4から載置部材150の奥行L2を引いた長さL5よりも短くなるように設定している。これにより、載置部材150が収納庫152内に収納され始めるときには、既に傾斜部162に沿って下降し終えていることになる。すなわち、図9(b)に示した載置部材150の位置になってから収納される。
以上のことから、載置部材150は収納庫外152で上下方向に昇降され、収納庫152内では奥側水平部164に沿って水平方向にのみ移動するため、ベースキャビネット130の内壁や上の引出の前板等への衝突を避けることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、例えばキッチンのように引出を備えた収納庫に利用することができる。
100…システムキッチン、110…天板、112…コンロ、112a…グリル、112b…操作パネル、114…調理スペース、116…シンク、120…コンロキャビネット、122…スパイスボックス、124…引出、126…足元収納庫、130…ベースキャビネット、131…引出、132…引出、136…足元収納庫、140…シンクキャビネット、144…引出、146…足元収納庫、150…載置部材、152…収納庫、160…レール、162…傾斜部、164…水平部、168…上プーリ、169…下プーリ、P1…奥側始点、P2…上昇起点、P3…前側始点、178…アーム、188…矢印、200…柱部材、202…バネ、204…摺動部材、204a…梁接続部、206…梁、208…連結部分、210…連結部分、212…凸部、213…上下溝、214…凹部、215…上下レール、216…矢印、217…固定部、220…L字部

Claims (5)

  1. 被収納物を収納可能な引出をスライド自在に収容可能な収納庫であって、
    前記引出内に配置され、内部に被収納物を載置可能な載置部材と、
    前記載置部材を上下方向に昇降させる昇降機構と、
    を備え、
    前記昇降機構は、当該収納庫内の壁面に配置されるレールと、該レールに案内されるプーリを有し、
    前記レールは、前記引出を引き出す方向の力を前記載置部材を上昇させる方向の力に変換する傾斜部と、前記傾斜部に連続し、該傾斜部より奥側に設けられた水平部とを有し、
    前記引出を収納したときにプーリが位置する奥側始点から前記水平部と前記傾斜部の交点である上昇起点までの長さが、前記載置部材の奥行よりも長いことを特徴とする収納庫。
  2. 被収納物を収納可能な引出をスライド自在に収容可能な収納庫であって、
    前記引出内に配置され、前記被収納物を載置可能な載置部材と、
    前記載置部材を上下方向に昇降させる昇降機構と、
    を備え、
    前記昇降機構は、当該収納庫内の壁面に配置されるレールと、該レールに案内されるプーリを有し、
    前記レールは、前記引出を引き出す方向の力を前記載置部材を上昇させる方向の力に変換する傾斜部と、前記傾斜部に連続し、該傾斜部より奥側に設けられた水平部とを有し、
    当該収納庫から前記引出を最も引き出したときにプーリが位置する前側始点から前記水平部と前記傾斜部の交点である上昇起点までの長さが、該引出を最も引き出したときの該引出の突出量から前記載置部材の奥行を引いた長さよりも短いことを特徴とする収納庫。
  3. 前記引出は、前記載置部材を支持する支持部材を更に備え、
    前記載置部材は、前記支持部材に着脱可能であり、
    前記昇降機構は、前記支持部材を上下方向に移動させることで前記載置部材を上昇または降下させることを特徴とする請求項1または2に記載の収納庫。
  4. 前記引出は、前記支持部材と隣接する柱部材と、
    前記支持部材と前記柱部材とを連結するバネと、
    を更に備え、
    前記バネは、上端を前記柱部材に、下端を前記支持部材に連結し、
    前記昇降機構は、前記支持部材を上方向に移動させる力に前記バネの復元力を付加し、前記載置部材を上昇させることを特徴とする請求項3に記載の収納庫。
  5. 前記載置部材は、前記引出の前板の背面に隣接する位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
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