JP5448484B2 - 収納庫 - Google Patents

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Description

本発明は引出を備えた収納庫であって、特に引出に収納した被収納物を取り出しやすくすることが可能な収納庫に関する。
キッチンで使用される調理器具には、ボールやざる、長手の形状を有する杓子類(レードル)、菜箸、ラップ、調味料などの小物類、包丁など、様々なものがある。これらの器具や小物を収納するために、キッチンには多くの収納スペースが設けられている。このため天板(システムキッチンにおいてはワークトップ)の下には、引出や開き戸が設けられるのが通常である。近年はキッチンの使用態様の研究がすすみ、引出などに収納される被収納物をある程度想定し、引出の大きさや仕切りの形状を工夫することにより、使い勝手の向上を図ることが行われている。そのような例として、コンロを有するコンロキャビネットには鍋などを入れる大きな引出や開き戸を設けたり、調理スペースを有するベースキャビネットには食器や調理器具を入れる浅い引出を多く設けたりしている。
上記の中でも、ベースキャビネットは、複数の引出を水平および垂直方向に並行して設けることで高い空間効率を得ることができる。これにより、上記の調理器具以外にも、碗、皿、カップ等の食器類、鍋、フライパン等の大き目の調理器具、塩、胡椒等の調味料、食品、調味料等の瓶詰め又は缶詰容器など、大小様々な被収納物を上方から容易に収納することができる。
しかし、複数の引出を垂直方向に並列して設けた場合、使用者の腰よりも低い位置に設けられた引出に収納した被収納物を取り出すためには、使用者は、腰を曲げ、屈んだ姿勢を取らなければならない。キッチンにおいて時間に追われながら作業をしている使用者にとって、被収納物を取り出す度にこのような動作を行うことは煩わしく、作業効率の低下を招いてしまう。
また上記のような動作は腰への負荷が大きい。このため、使用者が、健康な人間の場合にはさほど負担にならないかもしれないが、身体能力が低下し、身体の自由がきかない高齢者等であった場合、かかる動作は大きな負担となってしまう。
特許文献1には、身体的負担を軽減させるために、引出を使用する高さまで上昇させる構成が記載されている。特許文献1には、引出を使用高さまで上昇させ、使用後には下降させる昇降機構および、引出の昇降を補助する(付勢する)補助手段に関する機構が記載されている。
特開2007−68843号公報
特許文献1によれば、引出全体が上昇するため、極端に腰をかがめるなどの姿勢を取ることなく被収納物の出し入れが可能であり、身体的負担の軽減に関してはある程度達成されているものと考えられる。しかしながら、下段引出が使用高さまで完全に上昇しきっていないときに上段引出を誤って引き出してしまった場合は、下段引出に収納されている被収納物に上段引出の下端部が接触し、被収納物が破損してしまうおそれがある。
また、引き出した引出全体を上昇させる際に、大きな力を必要としてしまう。これに必要な労力は、腰をかがめるなどの姿勢を取ることよりも多大なものとなってしまいかねない。
本発明は、このような課題に鑑み、被収納物を収納可能な引出を上下に隣接して収容可能な収納庫であって、昇降機構によって下段引出内の被収納物が上昇しても、上段引出と衝突しないよう被収納物を保護することが可能な収納庫を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる収納庫の代表的な構成は、被収納物を収納可能な引出を上下に隣接してスライド自在に収容可能な収納庫であって、少なくとも下段引出の内部に設けられた、被収納物を載置可能な載置部材と、下段引出が当該収納庫から引き出される動作に連動して載置部材を上昇させ、また、下段引出が当該収納庫へ押し込まれる動作に連動して載置部材を下降させる昇降機構と、載置部材の背面側に設けられ、載置部材と一体的に昇降するガード部材と、を備え、載置部材の奥側上端縁は、下段引出が引き出された際に、上段引出前板の下端部より高い位置まで上昇可能であり、ガード部材の上端部が、上段引出前板の下端部より高い位置まで上昇することを特徴とする。
上記構成によれば、下段引出を引き出している状態で誤って上段引出を引き出した場合であっても、上昇した載置部材に上段引出が接触することにより、載置部材に収納された被収納物は、上段引出との接触による破損の危険から保護される。
上記載置部材の背面には、衝撃を吸収する緩衝材が配置されているとよい。かかる構成により、載置部材に上段引出が接触した際の衝撃を和らげ、被収納物だけでなく、載置部材も保護することができる。
また上述したように、上記載置部材の背面側に、載置部材と一体的に昇降するガード部材が設けられていて、ガード部材の上端部が、上段引出前板の下端部より高い位置まで上昇する


かかる構成によれば、下段引出を引き出した状態で誤って上段引出を引き出してしまった場合であっても、ガード部材が衝撃を受け止めることで、載置部材に上段引出が接触することを避けることができ、載置部材および被収納物をより十全に保護することができる。
上記ガード部材は、上段引出が引き出されていない状態において、下段引出が収納庫へ押し込まれる際、上段引出に接触しない軌跡を描くようにするとよい。かかる構成により、ガード部材は、載置部材に収納できる被収納物の高さの目安を示すことができる。
上記載置部材は、天面が開放された箱状のポケットであるとよい。かかる構成によれば、下段引出が収納庫から引き出されることによって、下段引出内に収納された被収納物のうち、ポケットに収納された被収納物のみが上昇することとなる。したがって、昇降機構によって上昇させる被収納物の重量が低減され、引出を引き出すために要する力を低下させることができる。また、ポケットに被収納物を収納することができ、引出内の整理整頓が可能となる。
上記載置部材は、下段引出の前板の背面に隣接する位置に設けられるとよい。かかる構成により、下段引出をすべて引き出すことなく被収納物の出し入れを行うことができる。
本発明によれば、被収納物を収納可能な引出を上下に隣接して収容可能な収納庫において、昇降機構によって下段引出内の被収納物が上昇しても、上段引出と衝突しないよう被収納物を保護することが可能な収納庫を提供することができる。
本実施形態に係る収納庫を備えるキッチンを示す図である。 ベースキャビネットの分解斜視図である。 昇降機構を示した断面図である。 載置部材と支持部材とを下段引出に取り付けた状態を示す図である。 載置部材を説明する図である。 第1の実施形態を示す斜視図である。 第2の実施形態を示す下段引出の斜視図である。 第3の実施形態のベースキャビネットの斜視図である。 第3の実施形態を示すベースキャビネットの断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は本実施形態に係る収納庫を備えるキッチンを示す図である。キッチン100は一枚の天板110(ワークトップ)の下に複数の収納庫(キャビネット)を備えた、いわゆるシステムキッチンである。天板110は合成樹脂(人工大理石)やステンレスなどからなり、キッチン100の全体の上面を覆っている。
天板110には、組み込み式に取り付けられたコンロ112、調理スペース114、天板110に一体形成されたシンク116が設けられる。シンク116とコンロ112の間に位置する調理スペース114は平坦なテーブル面であり、主に調理を行うのに利用される。
天板110の下は、コンロ112本体が設置されているコンロキャビネット120と、調理スペース114に対応したベースキャビネット130と、シンク116が設置されているシンクキャビネット140といった各収納庫で構成される。各収納庫は収納スペースとして機能し、収納庫内の空きスペースには、コンロ112への配線や、シンク116および水栓への給排水管なども収容されている。このように、天板110の下では、天板110の上のシンク116やコンロ112といった各構成に対応した収納庫がその高さおよび奥行きを等しくして複数設けられている。
各収納庫は、被収納物を収納するために、様々な大きさの引出をスライド自在に設けている。例えばコンロキャビネット120は、上部にコンロ112のグリル112aおよび操作パネル112bを備え、その脇には調味料などの小物を収納するための小さな引出であるスパイスボックス122が配設されている。コンロキャビネット120の中央部、すなわちグリル112aの下には幅の広い大きな引出124が配設され、鍋やボールなどの比較的大きな調理器具を収納することが可能になっている。またコンロキャビネット120の下部の床近傍には、引出式の足元収納庫126が配設されている。
同様に、ベースキャビネット130には複数の比較的小さな上段引出132、下段引出134および足元収納庫136が備え付けられている。シンクキャビネット140には足元収納庫146および、それから天板110に到る高い前板を備えた引出144が備え付けられている。
次に、本実施形態の特徴である収納庫について説明する。上記したコンロキャビネット120、ベースキャビネット130、シンクキャビネット140のうち、ベースキャビネット130を例にとって説明する。
図2はベースキャビネット130の分解斜視図、図3は昇降機構を示した断面図、図4は載置部材と支持部材とを下段引出134に取り付けた状態を示す図である。上述したように、ベースキャビネット130には上段引出132、中央の下段引出134、その下の足元収納庫136がスライド自在に収容される。
そして下段引出134には、その内部にさらに被収納物を載置可能な載置部材150を配置している。昇降機構151は、下段引出134がベースキャビネット130から引き出される動作に連動して載置部材150を上昇させ、また、下段引出134がベースキャビネット130へ押し込まれる動作に連動して載置部材150を下降させる。昇降機構151は、支持部材160とレール194とから構成される。支持部材160は、摺動部材164と、梁162a、162bと、摺動部材164から奥側に向かって連結されたアーム168と、アーム168の奥側に設けられた複数のプーリ170、172とを有している。一方、レール194は、ベースキャビネット130内の壁板130aに配置されている。支持部材160の各要素およびレールは下段引出134の左右方向に対称に構成されており、梁162a、162bを除いて左右両側にそれぞれ2つ(鏡面対称に)配置されている。なお、上段引出132、下段引出134、足元収納庫136そのものを出し入れするためのレール機構は一般的なものでよいため、図示を省略している。
摺動部材164は下段引出134の両側に配置され、これらを2つの梁162a、162bで接続することによって、載置部材150を収容する枠体を形成している。下側の梁162bは、枠体の剛性を高めると共に、載置部材150の後面を支持して、回転してしまうことを防止している。
摺動部材164は、下段引出134に固定設置される柱部材166によって上下方向に摺動可能に構成されている。これにより支持部材160全体および載置部材150が、柱部材166に対して上下方向に摺動可能である。柱部材166は、下段引出134の前板134aの後面に固定設置される。
図5は載置部材を説明する図である。載置部材150は、天面が開放された箱状であって、いわゆるポケット形状を成している。本実施形態においては載置部材150の上縁の一辺に鈎状のL字部152が形成されており、図3に示すようにL字部152を支持部材の梁162aに吊下することによって載置部材150が支持部材160に対して着脱可能に構成されている。これにより、載置部材150が交換可能となるため、形状や容積、取り付ける個数などを選択することができる。また載置部材150を取り外せることから、清掃も容易となる。
また載置部材150のL字部152側は、上段引出132との衝突に備えて、衝撃に強い構造とするが好ましい。かかる構成により、被収納物をより確実に保護することができる。
図6は、ベースキャビネット130の斜視図である。下段引出134を引き出した状態で、誤って上段引出132を引き出したとしても、載置部材150の奥側かつ上端縁の位置153が、上段引出132の前板下端部155より高い位置となっている。上段引出132は被収納物に接触せず、載置部材150に接触する。これにより、被収納物を破損から保護することができる。
なお上記構成において、載置部材150の高さは梁162aの最大高さによって決定される。梁162aの最大高さは、摺動部材164の柱部材166に対する可動範囲の上限と、柱部材166の前板134aに対する取り付け位置(高さ)によって決定する。したがって端的に上記条件を達成するためには、柱部材166の前板134aに対する取り付け位置を適切に設定することにより、載置部材150の奥側かつ上端縁の位置153を、上段引出132の前板下端部155より高い位置にすることができる。
(第2の実施形態)
本発明に係る収納庫の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図7は、第2の実施形態における下段引出134の斜視図であり、図6とは別の角度から見た図である。
上記第1実施形態においては、引き出した上段引出132は、載置部材150に直接衝突する構成であった。これに対し第2の実施形態は、載置部材150に対する衝撃を緩和するものである。
図7に示すように、本実施形態では載置部材150の背面のL字部152に緩衝材180を配置している。緩衝材180を略長方形の形状に加工し、載置部材150背面のL字部152に接着剤等を塗布し固定してある。なお固定方法としては、例えばネジなどを用いて固定してもよいし、専用の固定具を用いて固定してもよい。緩衝材180の材質としては、発泡樹脂やゲル状の樹脂、エアーパッキン、ゴムなどの衝撃を吸収する素材であれば用いることができる。
上記のように緩衝材180を配置することにより、仮に載置部材150が上昇しているときに上段引出132を引き出したとしても、上段引出132は緩衝材180を介して載置部材150に衝突する。したがって上段引出132と載置部材150が接触した際の衝撃を吸収することができ、被収納物だけでなく載置部材150自体を保護することもできる。さらに、緩衝材180が衝撃を吸収することにより、載置部材150だけでなく、上段引出132も保護することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態に係る収納庫の第3実施形態について説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図8は、第3の実施形態におけるベースキャビネット130の斜視図であり、上段引出132、下段引出134を引き出した状態を示している。本実施形態では載置部材150の背面に、載置部材150を保護するガード部材182を備えた例である。
図8に示すように、支持部材160にはガード部材182が取り付けられており、載置部材150と共に昇降するように構成されている。本実施形態におけるガード部材182は、板状の形状を有し、上端部が上段引出132の前板の下端部より高い位置まで上昇する高さを下限として設定している。
上記の構成により、ガード部材182は、下段引出134を引き出している状態で上段引出132を誤って引き出した場合、上段引出132からの衝撃を受け止めることができる。ガード部材182が上段引出132と接触することで、直接載置部材150に衝撃がかかることがなくなり、被収納物や載置部材150を十全に保護することができる。
図9は第3の実施形態におけるベースキャビネットの断面図である。ガード部材182はベースキャビネット130へ収納する際に、上段引出132と接触しない軌跡184を描く高さを上限として設定している。
さらにガード部材182は、使用者に対し、被収納物が上段引出132に衝突しないための被収納物の高さの目安とすることができる。予めガード部材182の上端より上にはみ出さないように被収納物を載置部材150に収納しておけば、被収納物は上段引出132と接触しないからである。そこでガード部材182の前面に、使用者に高さの目安を告知するために「被収納物の高さをここまでにして下さい」等の表示をすることが好ましい。
なお、上記実施形態においてはベースキャビネット130の下段引出134について説明したが、上段引出132や足元収納庫136に載置部材150を設けてもよく、また他の収納庫であるコンロキャビネット120やシンクキャビネット140の引出に載置部材150を設けてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は引出を備えた収納庫であって、特に引出に収納した被収納物を取り出しやすくすることが可能な収納に利用することができる。
100 …キッチン、110 …天板、112 …コンロ、112a …グリル、112b …操作パネル、114 …調理スペース、116 …シンク、120 …コンロキャビネット、122 …スパイスボックス、124 …引出、126 …足元収納庫、130 …ベースキャビネット、130a …壁板、132 …上段引出、134 …下段引出、134a …前板、136 …足元収納庫、140 …シンクキャビネット、144 …引出、146 …足元収納庫、150 …載置部材、151 …昇降機構、152 …L字部、160 …支持部材、162a …梁、162b …梁、164 …摺動部材、166 …柱部材、168 …アーム、170 …プーリ、172 …プーリ、180 …緩衝材、182 …ガード部材、184 …軌跡、194 …レール

Claims (4)

  1. 被収納物を収納可能な引出を上下に隣接してスライド自在に収容可能な収納庫であって、
    少なくとも下段引出の内部に設けられた、被収納物を載置可能な載置部材と、
    前記下段引出が当該収納庫から引き出される動作に連動して前記載置部材を上昇させ、また、該下段引出が当該収納庫へ押し込まれる動作に連動して該載置部材を下降させる昇降機構と、
    前記載置部材の背面側に設けられ、該載置部材と一体的に昇降するガード部材と、
    を備え、
    前記載置部材の奥側上端縁は、前記下段引出が引き出された際に、上段引出前板の下端部より高い位置まで上昇可能であり、
    前記ガード部材の上端部が、前記上段引出前板の下端部より高い位置まで上昇することを特徴とする収納庫。
  2. 前記載置部材の背面には、衝撃を吸収する緩衝材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
  3. 前記ガード部材は、前記上段引出が引き出されていない状態において、前記下段引出が前記収納庫へ押し込まれる際、該上段引出に接触しない軌跡を描くことを特徴とする請求項に記載の収納庫。
  4. 前記載置部材は、前記下段引出の前板の背面に隣接する位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
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