JP5199145B2 - 収納庫 - Google Patents

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Description

本発明は、システムキッチンに設けられ、被収納物を収納可能な引出を有する収納庫に関するものである。
キッチンには、調理器具や調理材料、食器などを収納しておくために、多くの収納スペースが設けられている。このため天板(システムキッチンにおいてはワークトップ)の下には、引出や開き戸が設けられるのが通常である。近年はキッチンの使用態様の研究がすすみ、引出などに収納される被収納物をある程度想定し、引出の大きさや仕切りの形状を工夫することにより、使い勝手の向上を図ることが行われている。そのような例として、コンロを有するコンロキャビネットには鍋などを入れる大きな引出や開き戸を設けたり、調理スペースを有するベースキャビネットには食器や調理器具を入れる浅い引出を多く設けたりしている。
ところで天板の下に収納スペースを設けるために、必然的に引出等は低い位置となる。このため利用者は腰をかがめるか、しゃがみ込むことによって被収納物を出し入れすることになる。このことは、長時間キッチンで立ち仕事をする場合や、高齢により体に自由がきかなくなってきた場合など、使用者によっては負担に感じる場合も想定される。
そこで従来からも、低い位置の引出に対して、被収納物の出し入れを容易とするための工夫が検討されていた。特許文献1には、引出の昇降機構を備えたキャビネットの構成が開示されている。なお特許文献1では、引出を完全に引き出した状態でのみ昇降させることにより、引出とキャビネット本体とが衝突することを防止している。
特開2007−215678号公報
上記特許文献1に開示された構成においては、引出の位置が高くなるために確かに被収納物を取り出しやすくなると考えられるが、引出の全体を回転させながら上昇させる構成を有する。引出は木製や金属製の前板や、底板、側板などから構成されていて、何も収容していなくてもかなりの重量を有している。まして引出の中に様々な被収納物を収納すると、これを回転させるために必要な労力は、逐一屈むよりも多大なものとなってしまいかねない。
また、引出に収納される被収納物の重量は、各キャビネットの間口(容量)に応じて異なる。間口の広い収納庫ほど、重量の大きな被収納物を収容することが予想されるから、持ち上げるのに大きな力を要する。その力をエアシリンダや電動モータなどによって補助することも考えられるが、機構が複雑となり、持ち上げる力を調節することが難しい。
本発明はこのような課題に鑑み、予想される被収納物の重量に応じた適切な力で、システムキッチンの低い位置の引出内に収納された被収納物を上昇させ、取り出しやすくすることが可能な収納庫を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る収納庫の代表的な構成は、被収納物を収納可能な引出をスライド自在に収容可能な収納庫であって、引出は、内部に被収納物を載置可能な載置部材をさらに有し、載置部材を着脱可能に支持する支持部材と、当該収納庫に収納された引出が当該収納庫から引き出されることによって載置部材を上昇させ、また、引出が当該収納庫へ押し込まれることによって載置部材を下降させる昇降機構と、支持部材と隣接する柱部材と、柱部材と支持部材とに係止され、支持部材を上方に付勢する1つ以上のバネと、を備え、バネを係止可能な係止部が、複数の異なる場所に設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、バネの数と、それらが係止される係止部の位置とを様々に選択可能であるから、支持部材を上方付勢する力を調節可能である。したがって、予想される被収納物の重量に応じた適切な力で、システムキッチンの低い位置の引出内に収納された被収納物を上昇させ、取り出しやすくすることが可能である。
上記の係止部は、略垂直方向または略水平方向に2つ以上配列されていてよい。上記の構成によれば、バネの係止位置を略垂直方向に変更することで、バネの張力による付勢力を微調整できる。また、略水平方向に配列された係止部に係止されるバネの数を増減させることで、張力を大幅かつ段階的に調整可能である。
当該収納庫の間口の大きさに基づいて予定される、載置部材の被収納物の重量に応じた張力を有するよう、1つ以上のバネの数および係止部の場所が選択されるとよい。被収納物の重量は、収納庫の間口の大きさ(容量)から、ある程度予想可能だからである。
上記の載置部材は、天面が開放された箱状のポケットとしてよい。かかる構成によれば、引出が収納庫から引き出されることによって載置部材が上昇すると、引出内に収納された被収納物のうち、載置部材に収納された被収納物のみが上昇することとなる。したがって、昇降機構によって上昇させる被収納物の重量が低減されるため、引出を引き出すために要する力を低下させることができる。また、載置部材に被収納物を収納することができ、引出内の整理整頓が可能となる。
上記の載置部材は2以上設けてよい。これにより、2以上(複数)の載置部材に被収納物を収納することができ、引出内の整理整頓が可能となる。
本発明によれば、予想される被収納物の重量に応じた適切な力で、システムキッチンの低い位置の引出内に収納された被収納物を上昇させ、取り出しやすくすることが可能な収納庫を提供することができる。
本発明に係る収納庫の実施形態であるコンロキャビネットおよびベースキャビネットを備えるキッチンを示す図である。 図1のコンロキャビネットの分解斜視図である。 図2の載置部材と支持部材とを引出に取り付けた状態を示す図である。 図1のベースキャビネットにおいて、載置部材と支持部材とを引出に取り付けた状態を示す図である。 図3の載置部材を説明する図である。 図4の載置部材を説明する図である。 図2の摺動部材と柱部材を説明する図である。 図7の摺動部材と柱部材を組み合わせた部分断面図である。 図1のベースキャビネットにおける摺動部材と柱部材を組み合わせた部分断面図である。 図2のアーム、プーリおよびレールを説明する図である。 図2の昇降機構を説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(キッチン)
本発明に係る収納庫の実施形態であるコンロキャビネットおよびベースキャビネットを備えるキッチンを示す図である。キッチン100は一枚の天板110(ワークトップ)の下に複数の収納庫すなわちキャビネット120、130、140を備えた、いわゆるシステムキッチンである。天板110は合成樹脂(人工大理石)やステンレスなどからなり、キッチン100の全体の上面を覆っている。
天板110には、組み込み式に取り付けられたコンロ112、調理スペース114、天板110に一体形成されたシンク116が設けられる。シンク116とコンロ112の間に位置する調理スペース114は平坦なテーブル面であり、主に調理を行うのに利用される。
天板110の下は、コンロ112本体が設置されているコンロキャビネット120と、調理スペース114に対応したベースキャビネット130と、シンク116が設置されているシンクキャビネット140といった各キャビネットで構成される。各キャビネットは収納スペースとして機能し、キャビネット内の空きスペースには、コンロ112への配線や、シンク116および水栓への給排水管なども収容されている。このように、天板110の下では、天板110の上のシンク116やコンロ112といった各構成に対応したキャビネットがその高さおよび奥行きを等しくして複数設けられている。
各キャビネットは、被収納物を収納するために、様々な大きさの引出をスライド自在に設けている。例えばコンロキャビネット120は、上部にコンロ112のグリル112aおよび操作パネル112bを備え、その脇には調味料などの小物を収納するための小さな引出であるスパイスボックス122が配設されている。コンロキャビネット120の中央部、すなわちグリル112aの下には幅の広い大きな引出124が配設され、鍋やボウルなどの比較的大きな調理器具を収納することが可能になっている。またコンロキャビネット120の下部の床近傍には、引出式の足元収納庫126が配設されている。
同様に、ベースキャビネット130には複数の比較的小さな引出132、134および足元収納庫136が備え付けられている。シンクキャビネット140には足元収納庫146から天板110に到る高い前板を備えた引出144が備え付けられている。
次に、本発明に係る収納庫の実施形態を、上記したコンロキャビネット120、ベースキャビネット130、シンクキャビネット140のうち、コンロキャビネット120およびベースキャビネット130を例にとって説明する。
(コンロキャビネットおよびベースキャビネット)
図2は図1のコンロキャビネット120の分解斜視図であり、図3は図2の載置部材と支持部材とを引出に取り付けた状態を示す図であり、図4は図1のベースキャビネットにおいて、載置部材と支持部材とを引出に取り付けた状態を示す図である。上述したように、コンロキャビネット120およびベースキャビネット130には、それぞれ、上段の引出122および132、中段の引出124および134、下段の足元収納庫126および136が、スライド自在に収容される。なお、コンロキャビネット120およびベースキャビネット130で共通する要素は同一の参照符号で示す。また便宜上、図3ではコンロ112は図示を省略している。
そして図3および図4にそれぞれ示すように、中段の引出124、134には、その内部にさらに被収納物を載置可能な載置部材150(大容積)、157(小容積)を配置している。載置部材150、157は、昇降機構210によって上下移動可能となっている。昇降機構210は、支持部材160とレール194とから構成される。支持部材160は、摺動部材164と、梁162a、162bと、摺動部材164から奥側に向かって連結されたアーム168と、アーム168の奥側に設けられた複数のプーリ170、172とを有している。一方、レール194は、コンロキャビネット120内、ベースキャビネット130内の壁板に配置されている。支持部材160の各要素およびレール194は引出124、134の左右方向に対称に構成されていて、梁162a、162bを除いて左右両側にそれぞれ2つ(鏡面対称に)配置されている。なお、引出122、124、126、132、134、136そのものを出し入れするためのレール機構は一般的なものでよいため、図示を省略している。
ベースキャビネット130の分解斜視図も、基本的には図2のコンロキャビネット120のそれと同様であるため、図示は省略する。ただしベースキャビネット130は、コンロキャビネット120に比較して間口が広く、容量が大きい。これは、コンロキャビネット120がフライパンなどの柄つきの調理器具、ざるやボウルといった食品用容器を収納するのに対し、ベースキャビネット130は、調味料や菜箸といった比較的小物の被収納物を載置することが想定されているからである。また図4に示すように、ベースキャビネット130内の載置部材157は、上記の事情から、容積が小さいものが複数(本実施形態では2つ)備えられている。
(載置部材)
図5は図3の載置部材150を説明する図であり、図6は図4の載置部材157を説明する図である。載置部材150、157は、天面が開放された箱状のいわゆるポケット形状を有する。かかる構成によれば、載置部材150、157に被収納物を収納することができ、引出124、134内の整理整頓が可能となる。
また、引出124、134がコンロキャビネット120、ベースキャビネット130から引き出されることによって、後述の昇降機構210によって載置部材150、157が上昇すると、引出124、134内に収納された被収納物のうち、載置部材150、157に収納された被収納物のみが上昇することとなる。
これにより昇降機構210によって上昇させる被収納物の重量が低減され、引出124、134を引き出すために要する力を低下させることができる。とりわけ、コンロキャビネット120には、フライパンや鍋などの柄つき調理器具、ボウルやざるなどの大型の食品用容器が収納され、引出124全体の重量は大きくなることが想定されるため、上昇させる被収納物の重量の低減による効果は大きい。
本実施形態においては載置部材150、157の上縁の一辺に鈎状のL字部152が形成されていて、図3、図4に示すようにL字部152を支持部材の梁162aに吊下することによって載置部材150、157が支持部材160に対して着脱可能に構成されている。これにより、載置部材150、157は相互に交換可能となるため、形状や容積、取り付ける個数などを選択することができる。また載置部材150、157を取り外せることから、清掃も容易となる。
図5の載置部材150の特徴は、その上縁に、被収納物の一部を受け止める凹部151が設けられていることである。本実施形態では、凹部151は、図5(a)に示すように、載置部材150の両側面の上縁に設けられている。これは、図5(b)に示すように、フライパン153a、153bなどの柄つき調理器具を載置部材150に収納した場合に、その柄155a、155bを受け止めるためである。載置部材150に収納される柄つき調理器具は、フライパン153a、153bに限られず、鍋その他の柄(取手)のついたあらゆる調理器具としてよい。
上記の構成によれば、大きめの被収納物を引出内に収納するときに引出の上方にはみ出してしまいがちな被収納物の一部を、上縁に設けられた凹部151に案内することで、かかる被収納物を完全に引出内に収容することが可能となる。
図3および図4に示すように、摺動部材164は引出124、134の両側に配置され、これらを2つの梁162a、162bで接続することによって、載置部材150、157を収容する枠体を形成している。下側の梁162bは、枠体の剛性を高めると共に、載置部材150、157の後面を支持して、回転してしまうことを防止している。
摺動部材164は、支持部材160に隣接して引出124、134に固定設置される柱部材166によって上下方向に摺動可能に構成されている。これにより支持部材160全体および載置部材が、柱部材166に対して上下方向に摺動可能である。柱部材166は、引出124、134の前板124a、134aの後面に固定設置される。
(摺動部材と柱部材)
図7は図2の摺動部材と柱部材を説明する図であり、図8は図7の摺動部材と柱部材を組み合わせた部分断面図である。図7(a)に示すように、摺動部材164は、柱部材166の凹部166aと嵌合する凸部164a、柱部材166の上下レール166bを挿通する上下溝164bを備えている。凸部164aは内部が空洞であって、バネ200を収容する。凸部164aの下方には、バネ200の下端を固定するバネ係合部164cが設けられている。上下溝164bは断面がT字状の溝であって、脱落することなく上下に摺動可能に構成されている。また摺動部材164は、梁162a、162bを接続する梁接続部165a、165bを有している。
図7に示すように、柱部材166は、摺動部材164の凸部164aが上下方向に挿通される凹部166a、摺動部材164を上下に案内する上下レール166bを備えている。凸部164aと凹部166aは、上下レール166bと上下溝164bと同様に、組み合わされたまま摺動部材164が柱部材166に対して上下方向に摺動可能になっている。凹部166aの上方には、バネ200の上端を固定する着脱式のピン166cが設けられている。
図8に示すように、バネ200は上端を柱部材166のピン166cに接続し、下端を摺動部材164(支持部材160を構成)のバネ係合部164cに接続する。本実施形態においてバネ200は引っ張りバネである。これにより摺動部材164は、柱部材166に対して上方に付勢される。バネ200は、単数または複数のバネ200が着脱可能に構成されていてもよい。これにより載置部材を上昇させる力を調節することができ、引出の位置や大きさに応じて想定される被収納物の重量を適切に支持することができる。本実施形態では片側につき2本のバネ200を装着可能である。
また柱部材166には、引出134の前板134aに固定するための固定部166dを備えている。なお、柱部材166に摺動部材164およびバネ200を組み付けてから、柱部材166を前板134aに固定する。これらの構成から、引出134に対して柱部材166を介して摺動部材164(支持部材160の一部)が上方に付勢され、結果的に載置部材150は常に上昇する方向に付勢されている。
(着脱式のピン)
図7(b)は図7(a)の柱部材166の上部の拡大図である。本実施形態では、ピン166cは、頭部166eを有するボルト状のピンであり、柱部材166を水平方向に貫通する複数の貫通孔166fに挿入され、反対側の端部に設けられた溝166gにCリング166hを嵌めることで固定可能である。
着脱式のピン166cおよび貫通孔166fは、バネ200を係止可能な係止部としての役割を果たす。しかもピン166cをいずれかの貫通孔166fに移動させることによって、バネ200上端の係止位置(本実施形態では4箇所)は略垂直方向に変更され、バネ200の張力による付勢力を微調整できる。また、貫通したピン166cには略水平方向に2箇所の係止部があるため、バネの数(本実施形態では1本または2本)を増減させることで、張力を大幅かつ段階的に調整することも可能である。さらにピン166cを伸ばせば、3本以上のバネ200を取り付けることも可能であり、略垂直および略水平方向に任意の複数の係止部を設けることが可能である。
図9は図1のベースキャビネット130における摺動部材164と柱部材166を組み合わせた部分断面図である。摺動部材164および柱部材166の構成は、図8のそれらと同様である。しかし、ベースキャビネット130の間口の大きさはコンロキャビネット120のそれより小さいため、ベースキャビネット130に収納される被収納物は、コンロキャビネット120の被収納物より軽量な、調味料、菜箸等の小物と想定される。したがって、図9ではバネ200を1本だけ設けている。
図7〜図9に示すように、本実施形態では、バネ200の上端を係止する柱部材166に複数の係止部を設けてバネ200の張力を調節している。ただしバネ200の下端を係止する、摺動部材164のバネ係合部164cを、上記のようなピンと複数の貫通孔から成る構成として、バネ200の係止場所を変更可能としてもよい。
以上のように、予想される被収納物の重量に応じた適切な力で、システムキッチンの低い位置の引出124、134内に収納された被収納物を上昇させ、取り出しやすくすることが可能である。
なお、本実施形態においてはコンロキャビネット120およびベースキャビネット130について説明したが、シンクキャビネット140に、上記と同様の、バネ200の数および係止箇所を自在に調節可能な構成を設けてもよいことは言うまでもない。
(アーム、プーリおよびレール)
図10は図2のアーム、プーリおよびレールを説明する図であり、コンロキャビネット120およびベースキャビネット130の構成である。図10(a)に示すように、アーム168は摺動部材164から奥側に向かって延長するように接続されている。本実施形態においてアーム168は樹脂部168aと金属部168bとからなり、樹脂部168aの奥側先端に下プーリ172と金属部168bを固定している。金属部168bの奥側先端は上方にL字状に屈曲していて、上プーリ170を高い位置に設置している。なお樹脂部168aと金属部168bを一体の樹脂または金属で形成してもよい。
図10(b)に示すレール194は、コンロキャビネット120内の壁板に配置されていて、プーリ170、172を案内する。レール194は、その中央部に前側に向かって上昇する傾斜部194bを有している。傾斜部194bより前側には、略水平にプーリ170、172を案内する前側水平部194cを有している。傾斜部194bより奥側には、略水平にプーリを案内する奥側水平部194aを有している。
本実施形態において奥側水平部194a、傾斜部194b、前側水平部194cは概ね直線であり、その交点(屈曲点)はアールが付けられている。アールの曲率半径は、プーリ170、172の半径よりも大きい(曲がりが緩やかである)ことが好ましい。ただし、さらに傾斜部194bをS字を描くような滑らかな曲線としたり、奥側水平部194aや前側水平部194cも傾斜、屈曲、ないしは湾曲させたりすることを除外するものではない。
複数のプーリ170、172は、アーム168が略水平の姿勢となるように、レール194を挟むように配置されている。詳しくは、上プーリ170はレールの上側かつ奥側よりに配置され、下プーリ172はレール194の下側且つ前側よりに配置されている。上プーリ170と下プーリ172の水平方向の間隔D1は、レール194の傾斜部の水平方向の幅W1とほぼ等しい。また上プーリ170と下プーリ172の高さ方向の間隔D2は、レール194の奥側水平部194aまたは前側水平部194cの高さ方向の幅W2とほぼ等しい。
このようにプーリ170、172とレール194の配置と形状を構成したことにより、2つのプーリを同時に上下に案内することができると共に、アーム168の水平を保ったまま昇降させることができる。また、プーリ170、172とアーム168の組み合わせにより、アーム168の前側が上方に回動する方向において略水平の姿勢で上死点(可動範囲の上端)となるが、アーム168の前側が下方に回動する方向には回動可能である(ただし、摺動部材164と柱部材166の上下摺動により回動が制限される)。そして、バネ(図示しない)によって支持部材160を上方に付勢して姿勢を規定することにより、支持部材160のがたつきを吸収できるため、剛性感および高級感を得ることができる。
なおアーム168の水平を保つためには、プーリ170、172の水平方向の間隔D1を広く取ることが好ましく、これに応じてレール194の傾斜部194bの水平方向の幅W1も広くなる。この場合において、図2や図10に示すように、傾斜部194bは中抜きした平行レールとすることができる。これによりレール194の重量および材料コストを低減することができる。
(昇降機構)
図11は図2の昇降機構を説明する図であり、コンロキャビネット120およびベースキャビネット130の構成である。昇降機構210は、引出124がコンロキャビネット120から引き出されることによって載置部材150を上昇させ、また、引出124がコンロキャビネット120へ押し込まれることによって載置部材150を下降させる。以下、ベースキャビネット130を例として、引出124を出し入れした場合の載置部材150の昇降機構210について説明する。なお、図11においては、理解を容易にするために側板の図示を省略する。
図11(a)は引出124が収納されている状態を示している。このときプーリ170、172はレール190の奥側水平部190aにある。
図11(b)は引出124が少し引き出された状態を示している。上プーリ170がレール190の奥側水平部190aと傾斜部190bとの交点である上昇起点にあり、下プーリ172も奥側水平部194aと傾斜部190bとの交点である下側角部にある。これによりさらに引出124を引き出すことにより、支持部材180は上昇を開始する。
図11(c)は引出124をさらに引き出した状態を示している。上プーリ170はおよび下プーリ172は、傾斜部190bにあるため、引出124を引き出すに伴ってアーム186が上昇し、支持部材180および載置部材150も上昇する。すなわち、引出124を引き出す力が、載置部材150を上昇させる力に変換される。
図11(d)は引出124を概ね引き出した状態を示している。このときプーリ170、172はレール190の前側水平部190cにある。これにより、引出124を引き出した状態において載置部材150の重量を前側水平部190cが支持することとなり、引出124が戻ってしまうことを防ぐことができる。なお、前側水平部190cの前側先端は、下面に滑らかな傾斜面を有している。これは下プーリ172がレール190より突出した後に戻る際に、レール190の下側に入りやすくするためである。
引出124をベースキャビネット130に収納する場合は、上記の逆の動作となる。引出124を引き出された状態から押し込むと、図11(c)に示すようにプーリ170、172が傾斜部190bにさしかかる。すると、プーリ170、172が傾斜部190bに案内されて下降するため、アーム186が水平の姿勢を保ったまま引き下げられる。これにより、単に引出124を押し込む操作によって、支持部材180、延いては載置部材150が下降する。
さらに引出124を押し込んで、図11(b)に示すようにプーリ170、172が上昇起点まで到達すると、この時点で載置部材150は最も下降した状態となる。このように、引出124を完全に収容させる前に載置部材150は可動範囲の下端に到達し、載置部材150に載置した被収納物が上段の引出132や壁面等に衝突することを防ぐことができる。
故に、上記構成によれば、レール190とプーリ170、172を用いた簡易な機構で、引出124の内部に配置された載置部材150を昇降させることができ、載置部材150に収納した被収納物を上昇させて取り出しやすくすることができる。このとき、引出124を出し入れする操作に伴って載置部材150が昇降するため、操作が簡潔かつ容易である。また、被収納物を屈まずに取り出すために必要にして十分な高さに上昇させることにより、低い位置にある引出の使い勝手を向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、例えばキッチンのように引出を備えた収納庫に利用することができる。
100…システムキッチン、110…天板、112…コンロ、112a…グリル、112b…操作パネル、114…調理スペース、116…シンク、120…コンロキャビネット、122…スパイスボックス、122、124…引出、124、134、144…引出、124a…前板、126、136、146…足元収納庫、130…ベースキャビネット、140…シンクキャビネット144…引出、150、157…載置部材、151…凹部、152…L字部、153a、153b …フライパン、155a、155b …柄、160…支持部材、162a、162b…梁、164…摺動部材、166…柱部材、166c …ピン、166f …貫通孔、168…アーム、168a…樹脂部、168b…金属部、170…上プーリ、172…下プーリ、194…レール、194a…奥側水平部、194b…傾斜部、194c…前側水平部、200 …バネ
210…昇降機構

Claims (3)

  1. 被収納物を収納可能な引出をスライド自在に収容可能な収納庫であって、
    前記引出は、内部に被収納物を載置可能な載置部材をさらに有し、
    前記載置部材を着脱可能に支持する支持部材と、
    当該収納庫に収納された前記引出が当該収納庫から引き出されることによって前記載置部材を上昇させ、また、該引出が当該収納庫へ押し込まれることによって該載置部材を下降させる昇降機構と、
    前記支持部材と隣接する柱部材と、
    前記柱部材と該支持部材とに係止され、該支持部材を上方に付勢する1つ以上のバネと、
    を備え、
    前記バネを係止可能な係止部が、複数の異なる場所に設けられていることを特徴とする収納庫。
  2. 前記係止部は、略垂直方向または略水平方向に2つ以上配列されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の収納庫。
  3. 当該収納庫の間口の大きさに基づいて予定される、前記載置部材の被収納物の重量に応じた張力を有するよう、前記1つ以上のバネの数および係止部の場所が選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の収納庫。
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