JP5198732B2 - メラニン生成抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、メラニン生成抑制剤に関する。
紫外線は、多量に暴露すると皮膚に炎症を惹起したり、水泡を生じたりするなど、皮膚に対して様々な悪影響を与えることはよく知られている。また、累積的な暴露でも、メラニン生成の亢進を通して、シミ、ソバカスなどの原因ともなり美容的にも問題となっている。シミ、ソバカスや日焼け後の皮膚色素沈着は、皮膚内に存在する色素細胞(メラノサイト)の活性化によりメラニン生成が著しく亢進したものであり、中高年齢層の肌の悩みの一つになっている。これら皮膚色素トラブルを防止、改善する目的でアスコルビン酸類、過酸化水素水、グルタチオン、コロイド硫黄、ハイドロキノン、カテコール等の美白剤を配合した皮膚外用剤が知られている。しかしながら、アスコルビン酸類は、含水化粧料の如き水分を多く含む系においては酸化され易く不安定であり、変色の原因となる。また、過酸化水素水は、保存上の安定性ならびに安全性上の問題があり、グルタチオンやコロイド硫黄は、著しい異臭を放つため製品に使用することは制約されている。更には、ハイドロキノン、カテコール等は、皮膚刺激、アレルギー性等の安全性に問題があり、いまだ充分に満足できる美白剤が得られていないのが現状である。又、皮膚色素沈着現象に関しても種々の作用機序があることが明らかになってきており、それぞれに作用する化合物が有ることも明らかになりつつある。そういう意味においても、新規なメラニン生成を抑制する化合物を開発することが望まれていた。
アモリシン(Amorisin)は、マメ科イタチハギ属イタチハギ(Amorpha fruticosa Linn.)の植物体に含まれていることが報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照)。しかし、このアモリシンがマメ科ハギ属キハギ(Lespedeza buergeri Miq.)の植物体に含有されていることは知られていない。一方、ある種のフラバノン化合物を0.1〜10%配合し、美白作用と抗炎症作用を有する化粧料を得る技術は知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、アモリシンが強力なメラニン生成抑制作用を有し、このアモリシンを0.0001〜5質量%含有するメラニン生成抑制用の皮膚外用剤に関しては知られていなかった。
一方、マメ科ハギ属の植物抽出物に関しては、マメ科ハギ属ヤマハギ(Lespedeza bicolor Turcz.)の抽出物に抗男性ホルモン作用があることは知られている(例えば、特許文献2を参照)。更にマメ科ハギ属マルバハギ(Lespedeza cyrtobotrya Miq.)には、種々のイソフラボン類が含まれていることが知られており(例えば、非特許文献3,非特許文献4を参照)、また、イソフラベン類の一種であるハギニンA、ハギニンB、ハギニンC、ハギニンDなどがメラニン生成抑制作用を有していることも知られている(例えば、特許文献3を参照)。さらに、マメ科ハギ属マルバハギ由来のイソフラベン類を含有する化粧料に関しても知られている(例えば、特許文献4を参照)。しかし、マメ科ハギ属キハギの植物体の抽出物やその極性溶媒による抽出物がメラニン生成抑制作用を有していること、更に、マメ科ハギ属キハギの植物体の抽出物を含有するメラニン生成抑制に適した皮膚外用剤は全く知られていない。
特開平06−16531号公報 特開平06−128171号公報 特開平11−322530号公報 国際公開パンフレット第03/097004号 Heterocycles, Vol.19, No.10, 1793-1796, (1982) Studies in Organic Chemistry, Vol.11, 245-250, (1982) Chem. Pharm. Bull.,Vol.28, No.4, 1172-1177, (1980) Chem. Pharm. Bull.,Vol.29, No.8, 2205-2209, (1981)
本発明は、新規なメラニン生成抑制剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フラボン類の一種であるアモリシン及び/又はその塩が、色素細胞のメラニン生成に対して強力な抑制効果を有すること、更には、これを皮膚外用剤基剤中に配合せしめた時に、優れた皮膚色素沈着症の予防及び改善効果を発現することを見いだし、これに基づき本発明を完成した。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1) 下記の化学式で示されるアモリシン又はその塩からなるメラニン生成抑制剤。
Figure 0005198732

アモリシン
本発明によれば、新規な有効成分からなるメラニン生成抑制剤を提供することができる。
(1)本発明に係る皮膚外用剤の必須成分であるアモリシン及び/又はその塩
本発明に係る皮膚外用剤は、前記化学式で表されるアモリシン及び/又はその塩を有効成分として含有していることを特徴としている。アモリシンは、マメ科イタチハギ属イタチハギの根皮に含まれていることが知られていたが、本発明者らによってマメ科ハギ属キハギの植物体の地上部にも含まれていることが見出された。しかし、アモリシンが、メラニン生成抑制作用を有し、メラニン生成抑制用の皮膚外用剤に用いるのに有用であることは知られていなかった。
本発明のメラニン生成抑制剤には、任意の方法で得たアモリシンを使用することが可能である。例えば、アモリシンは、マメ科ハギ属キハギ、マメ科イタチハギ属イタチハギ等のアモリシンを含有する植物体から抽出することが可能である。これらの植物体より抽出する場合には、マメ科ハギ属キハギの植物体から抽出した抽出物を用いるのが一番好ましい。これは、マメ科ハギ属キハギの植物体中の含有量が高いからである。
アモリシンを、アモリシンを含有する植物体から抽出して得る場合には、通常の抽出方法により抽出し、さらに疎水性樹脂カラムやシリカゲルカラムを用いて精製することができる。例えば、アモリシンを植物体から極性溶媒などを用いて抽出し、抽出物を更に水に対して非混和性の有機溶媒と水により液液抽出し、水に対して非混和性の有機溶媒層を必要に応じて濃縮し、疎水性樹脂カラムやシリカゲルカラムを用いた精製などを行うことにより、得ることが可能である。より具体的には、例えば、マメ科ハギ属キハギの地上部を細かく裁断したもの1質量部に、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類等の極性溶媒1〜20質量部を加え、室温なら数日間〜1週間沸点付近なら数時間浸漬し、濾過などにより不溶物を除去した後、減圧濃縮等により溶媒を留去し、これ
をジエチルエーテルや酢酸エチル等の水に対して非混和性の有機溶媒と水とで液液抽出を行い、水に対して非混和性の有機溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム/メタノール=100/0→98/2)等で分画し、更にODSカラム等の逆相カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;75%アセトニトリル)などで分画し、溶媒を留去することにより、アモリシンを得ることができ、このようにして精製したアモリシンを、メラニン生成抑制用の有効成分として使用することができる。
アモリシンの含有量の定量は、例えば、精製して得られた化合物標品を用いて、HPLC(例えば、ODSカラム、溶出溶媒:75%アセトニトリル水溶液、検出:UV280nm)による絶対検量線法にて行うことができる。
また、マメ科ハギ属キハギ等の植物体の極性溶媒による抽出液を、アモリシン含有抽出液として、そのまま本発明に係る皮膚外用剤に使用することも可能であり、さらに必要により濃縮して、アモリシンを含有する植物体の抽出物として本発明に係る皮膚外用剤に使用することも可能である。マメ科ハギ属キハギの植物体中におけるアモリシンの含有量は、本発明者らの検討によれば、植物体1kg中に50mg〜70mgである。したがって、エタノール、含水エタノール、1,3−ブタンジオール、含水1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、含水プロピレングリコール、グリセリン、含水グリセリンなどの、そのまま皮膚外用剤に添加して使用することが可能な極性溶媒を使用して抽出した場合には、これをそのままアモリリン含有抽出液として、皮膚外用剤に含有させて使用することができる。例えば、1kgのキハギの植物体を1Lの極性溶媒で抽出した場合、抽出液中のアモリシンの含有量は、0.005〜0.007wt/v%、1kgのキハギの植物体を5Lの極性溶媒で抽出した場合、抽出液中のアモリシンの含有量は、0.001〜0.0014wt/v%となる。
さらに、アモリシンを含有する植物体の抽出液の濃縮物を、水などに再分散してダイアイオンHP−20(三菱化学製)などの疎水性樹脂カラムに通し、溶出溶媒の極性を下げながら溶出するなどの精製を行うことにより、アモリシンの含有量を上げることができ、このような精製を行うことにより、よりメラニン生成抑制効果の高い抽出物を得ることができ、これを本発明に係る外用剤中に含有させることも可能であり、好ましい。
本発明に係る皮膚外用剤には、抽出物中のアモリシンをそのまま使用することもできるし、アルカリとともに処理するなどして、塩の形態として使用することもできる。アモリシンの塩としては、生理的に許容される塩であれば特に限定されない。生理的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリエチルアミンやトリエタノールアミンなどの有機アンモニウム塩;リジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。
本発明に係る皮膚外用剤には、上記のようにして得られる抽出物中のアモリシン及び/又はその塩形態で1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
(2)本発明に係る皮膚外用剤
本発明に係る皮膚外用剤は、メラニン生成抑制作用を有しており、メラニン生成抑制用又は美白用の皮膚外用剤に適用するのが好ましい。具体的には、本発明に係る皮膚外用剤は、紫外線によるシミ、ソバカス、色黒、老人性色素斑などの色素沈着症を予防及び改善するための皮膚外用剤として好適である。
本発明に係る皮膚外用剤は、アモリシン及び/又はその塩を含有する抽出物を含有するものである。本発明に係る皮膚外用剤において、アモリシン及び/又はその塩を含有する抽出物は、アモリシンを含有する植物の極性溶媒抽出物、同極性溶媒抽出物の溶媒除去物、
さらにカラムなどによる粗精製物、同粗精製物からのシリカゲルカラムなどによるアモリシンを含有する精製物として含有されてもよい。このようなアモリシンの精製品を本発明に係る皮膚外用剤中に含有させることは、処方の自由度が大きくなるという点でより好ましい。
本発明に係る皮膚外用剤は、皮膚外用剤全体に対してアモリシン及び/又はその塩を含有する抽出物を、アモリシンとして0.0001〜5質量%含有していることが好ましく、0.0002〜1質量%含有していることがより好ましく、0.0004〜0.1質量%含有していることが更に好ましく、0.001〜0.05質量%が特に好ましい。日焼け(紫外線)等によるシミ、ソバカス、色黒等の発生を予防することを目的とした化粧料の如き皮膚外用剤に用いる場合は0.0001質量%以上が、また色素沈着症の改善を目的とした薬剤として皮膚外用剤に用いる場合は、0.001質量%以上が有効量として好ましく用いられる。含有量が0.0001質量%より少なくなると、メラニン生成抑制作用がかなり低下し、一方、5重量%を越える量を用いても効果が頭打ちになるので、上記範囲で含有することが望ましい。
本発明に係る皮膚外用剤においては、前記の必須成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することができる。この様な任意成分としては、例えば、オイル(マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等)、ワックス類、炭化水素類(流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等)、高級脂肪酸類(オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等)、高級アルコール等(セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等)、合成エステル油類(ステアリン酸セチル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等)、鎖状ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジメチコン等)、環状ポリシロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等)、変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等のシリコーン油等の油剤類;ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン;ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤;アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEステアリン酸、POEジステアリン酸等)、POEアルキルエーテル類(POE−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤;表面を処理されていてもよい、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類;表面を処理されていてもよい、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていてもよい、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていてもよい赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;メチルパラベン等の防腐剤;リン酸水素ナトリウム等の緩衝剤・pH調節剤;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB類(ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等)、ビタミンE類(α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等)、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
本発明に係る皮膚外用剤においては、このような任意成分の1種又は2種以上を含有させることができる。
上記のような成分の他、本発明に係る皮膚外用剤においては、抗炎症作用を有するグリチルリチン酸及び/又はそれらの塩、グリチルレチン酸アルキルから選択される1種乃至は2種以上を含有することでき、このような成分を含有することが好ましい。本発明は、紫外線によって引き起こされる色素沈着症などに対して効果的であるが、このような用途に対して皮膚外用剤を使用する際、紫外線による炎症を惹起している可能性が高い。炎症反応及びそれに付随する種々の皮膚反応は、メラニン生成反応を亢進させる。したがって、このような抗炎症作用を有する成分を含有させることにより、炎症反応が抑制され、結果として、本発明に係る皮膚外用剤のメラニン生成抑制効果が向上する。また、このような抗炎症作用を有する成分を含有させることにより、炎症が鎮静化する又は更なる炎症を抑えるとともに、経皮的水分蒸散量の増加が抑制される。即ち炎症後の肌荒れの出現が抑制される。
このような成分は、医薬部外品の有効成分として知られている成分であり、グリチルリチン酸及び/又はその塩としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム等が挙げられ、これらの内、グリチルリチン酸ジカリウムが好ましく、グリチルレチン酸アルキルとしては、例えば、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ラウリル等が挙げられ、これらの内、グリチルレチン酸ステアリルが好ましい。このような成分の好ましい含有量は、皮膚外用剤全量に対して、0.05〜0.5質量%であり、より好ましい含有量は0.05〜0.2質量%であり、更に好ましい含有量は0.05〜0.1質量%である。
これらのものをアモリシンを含有する抽出物とともに含有させることにより、日焼け直後などの皮膚に炎症がある場合に本発明に係る皮膚外用剤を投与した場合に於いて、より速やかに炎症を抑え、皮膚バリア機能の回復効果を示し、肌状態悪化の予防効果が増大し、その結果として、本発明に係る皮膚外用剤のメラニン生成抑制効果も向上する。即ち、このような形態の皮膚外用剤は、皮膚に炎症がある場合にも、紫外線によって引き起こされる色素沈着症予防・改善用の皮膚外用剤として好ましい。
また、このような皮膚外用剤として、イソプレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどの抗菌性多価アルコールを、皮膚外用剤全量に対して0.5〜20質量%含有させる形態も好ましい。この様な形態を取ることにより、パラベンなど炎症時に刺激感を誘起する可能性のある成分の配合量を低下又は無配合とすることが出来るためである。これらの抗菌性多価アルコールを含有し、パラベンを実質的に含有しない形態は特に好ましい。
上記のような必須成分及び任意成分を常法に従って処理することにより、本発明に係る皮膚外用剤は製造することが出来る。
尚、本発明に係るアモリシンを含有する皮膚外用剤の種類としては、一般的に広く使用される、化粧料や医薬部外品に適用するのが好ましい。本発明に係る皮膚外用剤は、アスコルビン酸リン酸エステル類、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸などの美白剤、前記グリチルリチン酸及び/又はそれらの塩、グリチルレチン酸アルキルなどの抗炎症剤から選択される1種又は2種以上の医薬部外品の有効成分を含有させて、医薬部外品とすることも可能であり、このような形態が好ましい。勿論、アモリシン及び/又はその塩を医薬部外品の有効成分とすることもできる。この様な医薬部外品の形態をとる場合には、医薬部外品である旨、医薬部外品としての効能などを表示しておくことが、使用態様を明確にできる点で好ましい。例えば、効能に関しては、メラニン生成抑制作用、及び、更に抗炎症作用の表示をすることができる。例えば、使用態様に関しては、適量を取り、シミや色素沈着の気になる部位又は色素沈着を予防したい部位、或いは、更に軽い炎症のある部位にカット綿などに含ませ、軽く擦過、押し当て動作により塗布して使用される旨や、前記操作により、ひりひり感や火照り感を感じた場合には直ちに使用を止める旨の表示をすることができる。
本発明に係る皮膚外用剤は、皮膚に適用させることができる剤型であれば、いずれの剤型でも可能であるが、有効成分が皮膚に浸透して効果を発揮することから、皮膚への馴染みの良い、乳液、クリーム、エッセンス、ローション、パックなどの剤型がより好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこのような実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
<実施例1>
マメ科ハギ属キハギの木幹部1kgを粉砕して、チップとし、これを10Lのメタノール中に浸漬し、3時間加熱還流した後、チップを除くことにより、メタノール抽出液を得た。このメタノール抽出液を濃縮し、ジエチルエーテル、水を加え液液抽出を行なった後、ジエチルエーテル層を取り、これを濃縮物し、粗精製物を得た(6.36g)。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=98/2で溶出)にて分画した。濃縮後、逆相カラムクロマトグラフィー(ODS;75%アセトニトリルにて溶出)にて、分画して、アモリシンを62.4mg得た。
アモリシンの H−NMR(in Acetone-d6
1.71(6H,s),1.73(3H,s),1.76(6H,s),1.89(3H,s),2.75(1H,dd),2.98(1H,dd),3.30-3.40(6H,m),5.17-5.48(4H,m),6.71(1H,s),6.85(1H,s)
下記の試験により、アモリシンの色素細胞に対するメラニン生成抑制に関する有効性を評価した。
<試験例1> アモリシンのメラニン生成抑制作用試験
メラニン合成過程に特異的に細胞に取り込まれるチオウラシル(試験では14Cラベルしたチオウラシルを使用)を用いて、アモリシンのメラニン生成抑制作用を評価した。24ウェルのプレートを使用し、その内の12ウェルにメラノサイト培養用完全培地(倉敷紡績株式会社製)を2mlずつ入れ、さらに、それぞれ1.5×10個/cmの濃度でヒト正常メラノサイト(倉敷紡績株式会社製)を播種し、5%二酸化炭素雰囲気下、37℃で24時間培養を行った。
その後、全ての培地を以下の条件で培地交換した。即ち3ウェルは新しいメラノサイト培養用完全培地(コントロール)、9ウェルには2.5、5.0,7.5μM濃度でアモリシンを含有させたメラノサイト培養用完全培地(各濃度;n=3)に交換した。更に、使用した12ウェルに14C−チオウラシル(14Cラベルしたチオウラシル)を0.25μCi(マイクロキュリー)添加した。そして上記培養条件と同様の条件で更に3日間培養した。
培養終了後、各ウェルから培養液を除去し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄後、トリプシン及びEDTA含有培地を使用して、ウェル底面より細胞を剥離して、細胞懸濁液とし、遠心分離にて細胞を回収した。細胞数は血球計算板を用いてカウントした。その後、各ウェルの回収した細胞における14C−チオウラシル量を液体シンチレーションカウンターにて測定した。コントロールの放射線量に対するアモリシンを添加した細胞における放射線量の百分率をそれぞれ求め、メラニン量(%)とした。なお、各細胞内に取り込まれた放射活性が少ない方が、メラニン生成が抑制されている。結果を表1に示す。
Figure 0005198732
表1の結果より、アモリシンは2.5μMでメラニン生成抑制作用を示しており、これは分子量から計算すると0.000123wt/v%に相当し、約0.0001質量%でもメラニン生成抑制作用を示していることが判る。
<実施例2>
マメ科ハギ属キハギの木幹部1kgを粉砕して、チップとし、これを1,3−ブタンジオールの50%水溶液2L中に1週間浸漬した後、チップを除き、50%−1,3−ブタンジオール水−抽出液を得た。実施例1で精製した化合物を標品として、この抽出液をHPLCにて、分析(ODSカラム;UV280nm、75%アセトニトリル溶出)したところ、0.0032質量%のアモリシンを含有していた。
<試験例2>
試験例1と同様のメラニン生成抑制試験を、実施例2で得られた抽出液を用いて行った。具体的には、メラノサイトのプレ培養後の培地交換に於いて、実施例2で作製した抽出液を4wt/v%、8wt/v%、12wt/v%含有する培地に交換して培養した。その結果を表2に示す。
Figure 0005198732
表2の結果より、キハギの植物体1kgを50%−1,3ブタンジオール水溶液2Lで抽出した抽出液を、4wt/v%で含有させたものは、メラニン生成の抑制作用を示した。この時のアモリシンの含有量は0.00012wt/v%である。
表1,表2の結果より、本発明に係る皮膚外用剤のメラニン生成抑制用の有効成分として用いられるアモリシンは、メラニン生成に対して優れた抑制作用を示した。なお、この時、色素細胞に対する毒性は認められなかった。
使用例1>
下記に示す処方に従って、皮膚外用剤である乳液を作製した。即ち、(A)の各成分を混合し、80℃に加熱した。一方、(B)の各成分を80℃に加熱した。(A)の混合物に(B)の混合物を加えて撹拌して乳化させ、更に(C)を加えて中和し、その後35℃にまで撹拌、冷却し、参考例1の乳液を得た。尚、使用例1の処方において、アモリシンを水に置換したものを作製し比較例1の乳液とした。
(A)
ベヘニルアルコール 0.5 質量%
イソオクタン酸セチル 2.0 質量%
スクワラン 8.0 質量%
ジメチコン 2.0 質量%
セスキステアリン酸ソルビタン 1.5 質量%
POE(45)ステアリン酸 1.0 質量%
ステアリン酸セチル 0.5 質量%
ベヘン酸 0.5 質量%
(B)
1,3−ブタンジオール 5.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
1,2−オクタンジオール 1.0 質量%
純水 50.0 質量%
アモリシン 0.1 質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 質量%
(C)
純水 22.2 質量%
水酸化カリウム 0.6 質量%
使用例2
下記に示す処方に従って、本発明に係る皮膚外用剤である乳液を作製した。即ち、(A)の各成分を混合し、80℃に加熱した。一方、(B)の各成分を80℃に加熱した。(A)の混合物に(B)の混合物を加えて撹拌して乳化させ、更に(C)を加えて中和し、その後35℃にまで撹拌、冷却し、使用例2の乳液を得た。
(A)
ベヘニルアルコール 0.5 質量%
イソオクタン酸セチル 2.0 質量%
スクワラン 8.0 質量%
ジメチコン 2.0 質量%
セスキステアリン酸ソルビタン 1.5 質量%
POE(45)ステアリン酸 1.0 質量%
ステアリン酸セチル 0.5 質量%
ベヘン酸 0.5 質量%
(B)
1,3−ブタンジオール 5.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
1,2−オクタンジオール 1.0 質量%
純水 50.0 質量%
実施例2の抽出物 10.0 質量%
(アモリシンとして、乳液中に0.00032質量%含有)
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 質量%
(C)
純水 14.3 質量%
水酸化カリウム 0.6 質量%
<試験例> 本発明に係る皮膚外用剤の有効性試験
色黒、シミ、ソバカス等の色素沈着に悩む女性ボランティア60名を対照に、統計的に同等なA,B,C群の3群に分け、A群には本発明に係る使用例1の乳液を、B群には本発明に係る使用例2の乳液を、C群には比較例1の乳液を、顔面にそれぞれ3ヶ月間使用してもらった。3ヶ月後の色素沈着に対する改善効果を肉眼観察により評価し、群間比較を行った。結果を表3に示す。なお、有効率はやや有効以上の効果が認められた場合を有効とした。
Figure 0005198732
表3の結果より、乳液(使用例1、使用例2の乳液)が顕著な色素沈着抑制作用を有していることが認められた。
使用例3
使用例1と同様に、下記に示す処方に従って、皮膚外用剤である乳液を作製した。即ち、(A)の各成分を混合し、80℃に加熱した。一方、(B)の各成分を80℃に加熱した。(A)の混合物に(B)の混合物を加えて撹拌して乳化させ、更に(C)を加えて中和し、その後35℃にまで撹拌、冷却し、使用例3の乳液を得た。
(A)
ベヘニルアルコール 0.5 質量%
イソオクタン酸セチル 2.0 質量%
スクワラン 8.0 質量%
ジメチコン 2.0 質量%
セスキステアリン酸ソルビタン 1.5 質量%
POE(45)ステアリン酸 1.0 質量%
ステアリン酸セチル 0.5 質量%
ベヘン酸 0.5 質量%
(B)
1,3−ブタンジオール 5.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
1,2−ペンタンジオール 5.0 質量%
純水 50.0 質量%
アモリシン 2.0 質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 質量%
(C)
純水 16.3 質量%
水酸化カリウム 0.6 質量%
使用例4
以下に示す処方に従って、各成分を混合し、使用例4のローションを得た。
ポリエチレングリコール(1500) 2.5 質量%
1,3−ブタンジオール 8.0 質量%
グリセリン 10.0 質量%
メチルパラベン 0.2 質量%
リン酸水素ナトリウム 0.1 質量%
アモリシン 0.001質量%
1,2−ヘキサンジオール 0.3 質量%
純水 78.899質量%

Claims (1)

  1. 下記化学式で示されるアモリシン又はその塩からなるメラニン生成抑制剤。
    Figure 0005198732
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