JP5195739B2 - 回転検出装置の信号処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ギヤ歯が形成された回転体に対向配置された複数の磁気センサから、異なる位相を有する矩形波状の第1及び第2センサ信号が出力されたとき、それら第1及び第2センサ信号に基づいて、回転体の回転を検出するための検出信号を出力する回転検出装置の信号処理装置に関する。
従来の回転検出装置の信号処理装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1の回転検出装置は、ギヤ歯が形成されたロータが回転したときに、異なる位相の回転検出信号Sa,Sbを出力する2つの磁気センサを備える。信号処理装置は、図11に示すような回転検出信号Sa,Sbの相対位相の入れ替わりに基づきロータの回転方向が逆転したことを判定してリバース信号を生成しつつ、回転検出信号Saについての全てのエッジを抽出する。
そして、ロータの逆転判定後における回転検出信号Saの最初の立ち上がり及び最初の立ち下がりの双方のタイミングに同期した信号レベルの切り替えを禁止する切替非能動信号を生成する。この切替非能動信号に基づいて、ロータの逆転判定直後における回転検出信号Saの1パルス分をマスクすることで、第1出力信号OUT1を生成出力する。さらに、第1出力信号OUT1とリバース信号に基づいて、ロータが正転しているときには、ハイとローの2値の間で大きさが変化し、ロータが逆転しているときには、ハイとミドルの2値の間で大きさが変化する第2出力信号OUT2を生成出力する。
特開2007−170922号公報
しかしながら、上述した従来技術のように、単に、ロータの回転方向が反転したとの判定直後における回転検出信号Saの1パルス分をマスクしたのでは、最終的に生成出力される第2出力信号OUT2から、ロータの回転位置を精度良く検出することが困難になる。
図12は、正転していたロータが、一旦逆転し、その後すぐに正転する際に、回転検出信号Sa,Sbと、第1及び第2出力信号OUT1,OUT2との変化を示した図である。このように、ロータが短い周期で繰り返し回転方向を切り替えたり、ノイズにより、あたかもロータが短い周期で繰り返し回転方向を切り替えるようなセンサ信号が検出されたりするチャタリングが生じた場合、上述した従来技術では、ロータの歯の位置と、第2出力信号OUT2とにずれが生じる場合がある。以下、ずれが生じる原因について、詳しく説明する。
なお、図12において、正転方向におけるリーディングエッジ(逆転方向におけるトレーリングエッジ)には、ロータの歯の位置を示すアルファベットに数字の1を添えて示しており、正転方向におけるトレーリングエッジ(逆転方向におけるリーディングエッジ)には、数字の2を添えて示している。
図12に示すように、例えばロータのB歯の一方のエッジB1により回転検出信号Saが変化する位置の近傍で、ロータが回転方向を正転→逆転→正転と変化させたとする。このようなチャタリングが生じた場合、上述した従来技術では、チャタリングが発生した期間を切替非能動信号によって非能動期間とし、第1出力信号OUT1が出力されないようにしている。さらに、そのチャタリング後の正転期間においても、切替非能動信号により回転検出信号Saの1つ目の1パルス分をマスクしている。
しかしながら、チャタリング発生後の正転期間において、回転検出信号Saの1パルス分をマスクしてしまうと、第2出力信号OUT2においてC歯に対応する変化を生じさせる回転検出信号Saのパルスが欠落することになる。そのため、ロータの歯の位置と、第2出力信号OUT2とにずれが生じてしまうのである。
本願発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、チャタリングが発生した場合であっても、回転体の正しい位置を検出可能な検出信号を出力する回転検出装置の信号処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の回転検出装置の信号処理装置は、
ギヤ歯が形成された回転体に対向配置された複数の磁気センサから、回転体の正転方向又は逆転方向への回転に伴ってギヤ歯の山部と谷部とが移動することにより、異なる位相を有する矩形波状の第1及び第2センサ信号が出力されたとき、それら第1及び第2センサ信号に基づいて、回転体の回転位置を検出するための検出信号を出力するものであって、
第1及び第2センサ信号の位相関係に基づき、回転体の回転方向が、正転方向であるか、逆転方向であるかを判別する回転方向判別手段と、
回転体の回転方向が正転方向であるときと、逆転方向であるときとで、一方の回転方向では、その一方の回転方向における山部の先端側エッジによる第1のセンサ信号の変化を当該一方の回転方向での有効エッジによる信号変化と定め、他方の回転方向では、その他方の回転方向における山部の後端側エッジによる第1のセンサ信号の変化を当該他方の回転方向での有効エッジによる信号変化であると定め、第1センサ信号の変化が有効エッジによるものか、当該有効エッジとは逆側の非有効エッジによるものかを判別する有効エッジ判別手段と、
回転方向判別手段により回転方向が正転方向であることが判別され、かつ有効エッジ判別手段によって第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたことを条件として、検出信号として、回転体が正転方向に回転していることを示す正転パルス信号を出力する正転パルス信号出力手段と、
回転方向判別手段により回転方向が逆転方向であることが判別され、かつ有効エッジ判別手段によって第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたことを条件として、検出信号として、回転体が逆転方向に回転していることを示す逆転パルス信号を出力する逆転パルス信号出力手段と、
有効エッジ判別手段により、非有効エッジとの判別がなされることなく、有効エッジとの判別が連続してなされた場合に、有効エッジによる第1センサ信号の変化が連続して生じるチャタリング状態が発生したとみなして、2回目以降の有効エッジに基づく、正転パルス信号出力手段又は逆転パルス信号出力手段からの正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力を停止させる出力停止手段と、
チャタリング状態の発生中に、有効エッジ判別手段により、第1センサ信号の変化が非有効エッジによるものと判別されることにより、チャタリング状態が解消されたとみなして、出力停止手段による出力の停止を解除させる出力停止解除手段と、
チャタリング状態の発生中に、有効エッジ判別手段により、第1センサ信号の変化が非有効エッジによるものと判別されたとき、それまでの有効エッジによる第1センサ信号の変化の連続回数が偶数回であった場合には、その連続回数の初回の有効エッジによる第1センサ信号の変化が生じたときの回転体の回転方向とは逆の回転方向へ回転体が回転していることを示す補正パルス信号を出力する補正パルス信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
上述したように、請求項1に記載の発明では、まず、有効エッジ及び非有効エッジとの概念を導入し、回転体の回転方向に係らず、同じ一方の側のエッジを有効エッジ、他方の側を非有効エッジと定めた。そして、回転体の回転方向が正転方向であるか逆転方向であるかに係らず、第1センサ信号における有効エッジによる信号変化が検出されたときに、そのときの回転体の回転方向に応じて、正転パルス信号又は逆転パルス信号を出力するようにした。これにより、有効エッジ間の間隔を分解能として、ロータの回転位置を検出可能な検出信号が出力される。
ただし、有効エッジ判別手段により、非有効エッジとの判別がなされることなく、有効エッジとの判別が連続してなされた場合には、有効エッジによる第1センサ信号の変化が連続して生じるチャタリング状態が発生しているので、出力停止手段により、2回目以降の有効エッジに基づく正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力を停止させる。これにより、チャタリングに起因する異常なパルス信号が出力されることを防止することができる。
しかしながら、上述したように、チャタリング発生時に、正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力を停止させると、チャタリング状態が発生してから、そのチャタリング状態が解消されたと判定されるときまでの、有効エッジによる第1センサ信号の変化の連続回数が偶数回であった場合には、実際の回転体の回転位置と、検出信号から検出される回転位置とにずれが生じる。例えば、回転体が正転方向に回転しているときに有効エッジ判別がなされ、その後、非有効エッジ判別がなされることなく、逆転方向、正転方向、及び逆転方向での有効エッジ判別がなされた後に、チャタリング状態が解消された場合を想定する。この場合、チャタリング状態が発生している間の、有効エッジによる第1センサ信号の変化の連続回数は、偶数回(4回)である。そして、正転パルス信号出力手段は、チャタリング状態発生につながる最初の有効エッジ判別により、正転パルス信号を出力しているので、検出信号から得られる回転体の位置は、正転方向に向かって有効エッジを越えた位置となっている。しかし、最後に有効エッジ判別がなされたときの回転体の回転方向は逆転方向であるため、実際の回転体の位置は、逆転方向に向かって有効エッジを越えた位置である。
このため、請求項1に記載の発明は、補正パルス信号出力手段を備え、この補正パルス信号出力手段により、チャタリング状態の間に、有効エッジによる第1センサ信号の変化の連続回数が偶数回であった場合、初回の有効エッジによる第1センサ信号の変化が生じたときの回転体の回転方向とは逆の回転方向へ回転体が回転していることを示す補正パルス信号を出力させる。これにより、検出信号による回転体の位置と、実際の回転体の位置とを一致させることができる。従って、検出信号により回転体の正しい位置を検出することができるようになる。
なお、非有効エッジによる第1センサ信号の変化が生じる位置の近傍で、チャタリングが生じても、そもそも正転パルス信号や逆転パルス信号が出力されないので、特に問題は生じない。
請求項2に記載した信号処理装置では、補正パルス信号出力手段が、有効エッジによる第1センサ信号の変化の連続回数が奇数回であった場合には、補正パルス信号を出力しないことを特徴とする。この場合には、チャタリング状態における、最初の有効エッジ判別がなされたときの回転体の回転方向と、最後の有効エッジ判別がなされたときの回転体の回転方向が同じであるため、補正パルス信号を出力する必要がないためである。
請求項3に記載した信号処理装置では、正転パルス信号出力手段が、回転方向判別手段により回転方向が正転方向であることが判別され、かつ有効エッジ判別手段によって第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたときに、正転パルス信号の出力要求を保持する正転パルス出力要求保持手段と、正転パルス信号の出力が完了したときに、正転パルス出力要求保持手段に保持されている出力要求をリセットする正転パルス出力要求リセット手段と、を有し、
逆転パルス信号出力手段は、回転方向判別手段により回転方向が逆転方向であることが判別され、かつ有効エッジ判別手段によって第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたときに、逆転パルス信号の出力要求を保持する逆転パルス出力要求保持手段と、逆転パルス信号の出力が完了したときに、逆転パルス出力要求保持手段に保持されている出力要求をリセットする逆転パルス出力要求リセット手段と、を有し、
正転パルス信号出力手段は、逆転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されている状態で、正転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されたとき、逆転パルス出力要求保持手段に保持された逆転パルス信号の出力要求がリセットされるまで、正転パルス信号の出力を待機し、逆転パルス信号の出力要求がリセットされた後に、正転パルス信号を出力するとともに、逆転パルス信号出力手段は、正転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されている状態で、逆転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されたとき、正転パルス出力要求保持手段に保持された正転パルス信号の出力要求がリセットされるまで、逆転パルス信号の出力を待機し、正転パルス信号の出力要求がリセットされた後に、逆転パルス信号を出力することを特徴とする。
請求項3の構成によれば、正転パルス信号及び逆転パルス信号の一方を出力すべき条件が生じた場合であっても、先に正転パルス信号及び逆転パルス信号の他方の出力要求が保持されている場合には、すぐに正転パルス信号及び逆転パルス信号の一方を出力するのではなく、正転パルス信号及び逆転パルス信号の他方の出力要求がリセットされるまで、正転パルス信号及び逆転パルス信号の一方の出力を待機する。これにより、出力中の正転パルス信号又は逆転パルス信号が途中で中断されたり、後に出力条件が成立した正転パルス信号又は逆転パルス信号が出力されなかったりすることを防止できる。従って、検出信号から、回転体の正しい位置を検出することができる。
請求項4に記載したように、補正パルス信号出力手段は、正転パルス出力要求保持手段または逆転パルス出力要求保持手段に出力要求を保持させることにより、正転パルス信号出力手段または逆転パルス信号出力手段を用いて、補正パルス信号を出力することが好ましい。これにより、補正パルスの出力に際しても、請求項3と同様の作用効果を得ることができる。
実施形態に係る回転検出装置の全体の構成を示すブロック構成図である。 ロータのギヤ歯の山部と谷部とによるメインセンサ信号と、サブセンサ信号の変化を示しつつ、有効エッジ及び非有効エッジについて説明するための説明図である。 図2とともに、有効エッジ及び非有効エッジについて説明するための説明図である。 信号処理ECUによって実行される演算処理の流れを示すフローチャートである。 正転パルス出力処理の詳細を示すフローチャートである。 逆転パルス出力処理の詳細を示すフローチャートである。 (a)、(b)は、正転パルス信号及び逆転パルス信号の出力後に、待機時間を設定した理由について説明するための説明図である。 信号処理装置の動作を説明するための第1の波形図である。 信号処理装置の動作を説明するための第2の波形図である。 センサ信号にノイズが重畳した場合の動作を説明するための説明図である。 従来回路の基本的な動作を説明するための波形図である。 従来回路によるチャタリング発生時の問題点を説明するための説明図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る回転検出装置の全体の構成を示すブロック構成図である。
図1において、メイン磁気センサ1及びサブ磁気センサ2は、磁気抵抗素子やホール素子などの磁電変換素子を備える。これらメイン磁気センサ1及びサブ磁気センサ2は、外周にギヤ歯が形成され、磁性体からなるロータ(図示せず)の外周面に対向しつつ、相互に所定の間隔を隔てて配置される。このため、メイン磁気センサ1とサブ磁気センサ2とからは、ロータが回転したとき、位相が異なる(例えば1/4周期)周期的な信号が出力される。
つまり、ロータが回転すると、ロータの外周に形成されたギヤ歯の山部と谷部とが、メイン磁気センサ1及びサブ磁気センサ2の近傍を交互に通過する。このため、メイン磁気センサ1及びサブ磁気センサ2の各々の磁電変換素子に作用する磁界も周期的に変化する。この磁界の変化は、メイン磁気センサ1及びサブ磁気センサ2の磁電変換素子で電気信号に変換される。これらの電気信号は、増幅器3,4によって増幅された後、比較器7,8に入力される。比較器7,8では、入力された増幅電気信号を、それぞれ抵抗5a,5b及び抵抗6a,6bによって生成した基準電圧と比較することにより2値化する。
従って、上述した構成により、メイン磁気センサ1及びサブ磁気センサ2から、それぞれ、ロータのギヤ歯の山部及び谷部の通過に応じて周期的に変化する矩形波状のパルス信号(以下、センサ信号)を得ることができる。これらのセンサ信号は、信号処理装置10に入力される。
信号処理装置10は、メインセンサ信号及びサブセンサ信号に基づいて、ロータの回転位置及び回転方向を検出するための検出信号を生成して出力するものである。この信号処理装置10は、図1に示すように、主にフィルタ11、信号処理ECU12、トランジスタ(pMOS)13、抵抗14、及びコンデンサ15によって構成される。
フィルタ11は、信号処理装置10に入力されたメインセンサ信号及びサブセンサ信号における高周波成分を除去するためのものである。従って、信号処理ECU12には、フィルタ11によって高周波成分が除去されたメインセンサ信号及びサブセンサ信号が入力される。
ここで、本実施形態では、メインセンサ信号の変化に関して、有効エッジ及び非有効エッジとの概念を導入し、ロータの正転方向と逆転方向との一方の回転方向では、その一方の回転方向における山部の先端側エッジによるメインセンサ信号の変化を当該一方の回転方向での有効エッジによる信号変化と定め、その一方の回転方向における山部の後端側エッジによるメインセンサ信号の変化を当該一方の回転方向での非有効エッジによる信号変化と定める。さらに、ロータの正転方向と逆転方向との他方の回転方向では、その他方の回転方向における山部の後端側エッジによるメインセンサ信号の変化を当該他方の回転方向での有効エッジによる信号変化と定め、その他方の回転方向における山部の先端側エッジによるメインセンサ信号の変化を当該一方の回転方向での非有効エッジによる信号変化と定める。つまり、本実施形態では、ロータの回転方向が正転方向と逆転方向のいずれであっても、山部の同じ一方のエッジによるメインセンサ信号の変化を有効エッジによる信号変化、山部の同じ他方のエッジによるメインセンサ信号の変化を非有効エッジによる信号変化と定めるのである。
そして、信号処理ECU12では、メインセンサ信号における有効エッジによる信号変化が生じたときに、ロータが正転方向に回転していれば正転パルス信号を発生させ、ロータが逆転方向に回転していれば逆転パルス信号を発生させる。これらの正転パルス信号と逆転パルス信号とにより、検出信号が構成される。この結果、信号処理ECU12は、有効エッジ間の間隔を分解能として、ロータの回転位置を検出可能な検出信号を出力することができる。信号処理ECU12から出力される検出信号は、トランジスタ13のベースに接続されており、保護抵抗14及びセンサ側フィルタ用コンデンサ15を介して、出力端子OUTから出力される。
なお、検出信号を入力して、ロータの回転状態を検出する制御装置(ECU)20は、抵抗22及びコンデンサ23からなるECUフィルタを有している。抵抗21は、プルアップ抵抗である。ECUフィルタによりノイズが除去された検出信号は、比較器24に入力される。比較器24では、入力された検出信号を、立ち上がり時と立ち下り時とでヒステリシスを設けた2種類の基準電圧と比較することにより2値化する。2値化された検出信号は、ECU20のCPUに入力される。
本実施形態の信号処理装置10は、上述した正転パルス信号と逆転パルス信号とのパルス幅を異ならせている(例えば、正転パルス:45μs、逆転パルス:180μs)。このように、回転方向に応じて、パルス信号のパルス幅を異ならせることにより、上述したECU20は、検出信号に基づき、ロータの回転速度に加え、ロータの回転方向も検出することができる。
次に、メインセンサ信号における、有効エッジによる変化と、非有効エッジによる変化に関して、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
図2に示す例では、ロータが正転方向に回転しているとき、その正転方向におけるギヤ歯の山部の先端側エッジによるメインセンサ信号の変化を有効エッジによる信号変化とし、山部の後端側エッジによるメインセンサ信号の変化を非有効エッジによる信号変化としている。この場合、図3に示すように、メインセンサ信号の立ち下がり変化が、有効エッジによる信号変化となり、メインセンサ信号の立ち上がり変化が、非有効エッジによる信号変化となる。一方、ロータが逆転方向に回転しているときには、その逆転方向におけるギヤ歯の山部の後端側エッジによるメインセンサ信号の変化を有効エッジによる信号変化とし、山部の先端側エッジによるメインセンサ信号の変化を非有効エッジによる信号変化としている。この場合、メインセンサ信号の立ち上がり変化が、有効エッジによる信号変化となり、メインセンサ信号の立ち下がり変化が、非有効エッジによる信号変化となる。
このように、ロータが正転しているときには、山部の先端側エッジによるメインセンサ信号の変化を有効エッジによる信号変化とし、ロータが逆転しているときには、山部の後端側エッジによるメインセンサ信号の変化を有効エッジによる信号変化としているので、本実施形態では、ロータの回転方向によらず、山部の一方の同じエッジによるメインセンサ信号の変化が有効エッジによる信号変化となる。
ロータが正転しているか、逆転しているかは、メインセンサ信号とサブセンサ信号との位相関係によって判断することができる。図2に示す例では、ロータが正転しているときには、メインセンサ信号の位相がサブセンサ信号の位相よりも進んでいる。従って、メインセンサ信号の立ち下がり変化が生じたとき、サブセンサ信号はハイレベルとなり、メインセンサ信号の立ち上がり変化が生じたとき、サブセンサ信号はローレベルとなる。逆に、ロータが逆転しているときには、メインセンサ信号よりもサブセンサ信号の位相が進んでいるので、メインセンサ信号の立ち上がり変化が生じたとき、サブセンサ信号はハイレベルとなり、メインセンサ信号の立ち下がり変化が生じたとき、サブセンサ信号はローレベルとなる。このようにして、メインセンサ信号に立ち上がり変化もしくは立ち下がり変化が生じたときのサブセンサ信号のレベルから、ロータが正転しているのか、あるいは逆転しているのかを判断することができる。
これらの関係をまとめたものが、図3の図表である。ただし、図2、図3に示す例に限られず、有効エッジと非有効エッジとの関係を逆転させても良い。すなわち、ロータの正転方向における山部の後端側エッジによるメインセンサ信号の変化を有効エッジによる信号変化とし、正転方向における山部の先端側エッジによるメインセンサ信号の変化を非有効エッジによる信号変化としても良い。
次に、信号処理ECU12によって実行される演算処理に関して、図4〜図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、図4のフローチャートは、信号処理ECU12によって実行されるメインルーチンを示し、図5のフローチャートは、サブルーチンである正転パルス出力処理ルーチンを示し、図6のフローチャートは、逆転パルス出力処理ルーチンを示す。
図4において、まずステップS100では、入力されたメインセンサ信号に基づき、ギヤ歯の山部の先端側エッジあるいは後端側エッジによるメインセンサ信号の立ち上り変化あるいは立ち下り変化が検出されたか否かを判定する。この判定処理において、メインセンサ信号に立ち上がり変化あるいは立下り変化が検出された場合には、メインセンサ信号によりギヤ歯の山部のいずれかのエッジが検出されたと判断して、ステップS110の処理に進む。
ステップS110では、メインセンサ信号によりギヤ歯のエッジが検出されたときに、同時に入力されているサブセンサ信号のレベルから、メインセンサ信号の変化が有効エッジによるものか非有効エッジによるものかを判定する。メインセンサ信号の変化が、有効エッジによるものと判定した場合には、ステップS120に進み、非有効エッジによるものと判定した場合には、ステップS160の処理に進む。
ステップS120では、ステップS110における判定処理において、非有効エッジによる信号変化との判定がなされることなく、有効エッジによる信号変化との判定が連続してなされたか否かを判定する。このような判定を行なうためには、信号処理ECU12のメモリに、ステップS110における判定結果の保存領域を設ければ良い。そして、有効エッジによる信号変化との判定が継続する限り、その判定結果を過去の判定結果も含めて保存しておき、非有効エッジによる信号変化との判定がなされたときに、保存されている全ての判定結果をクリアする。なお、保存するのは、有効エッジによる信号変化との判定結果そのものでも良いし、その判定結果の連続回数をカウントするカウンタのカウント値であっても良い。
このようにすれば、複数の判定結果が保存されているか否かにより、有効エッジによる信号変化との判定が連続してなされたか否かを判定することができる。この判定処理において、肯定判定された場合にはステップS130の処理に進み、否定判定された場合にはステップS200の処理に進む。
非有効エッジによる信号変化との判定の後に、最初に有効エッジによる信号変化と判定された場合には、有効エッジによる信号変化との判定は1回のみであるため、ステップS120において否定判定される。すると、ステップS200に進んで、入力されたメインセンサ信号及びサブセンサ信号との位相関係に基づきロータの回転方向を判定する。このとき、ロータの回転方向が正転方向であると判定すると、ステップS210に進み、逆転方向であると判定すると、ステップS240に進む。
ステップS210では、正転パルス信号の出力要求を保持する。つまり、ステップS110において有効エッジ判定がなされ、ステップS200において正転判定がなされたことにより、ロータが正転方向に回転している状態で、メインセンサ信号に有効エッジによる信号変化が生じたとみなせるので、正転パルス信号の出力要求信号を発生して保持する。
続くステップS220では、後述するステップS240において、先に逆転パルス信号の出力要求が保持されているか否かを判定する。そして、逆転パルス信号の出力要求が保持されている場合には、後述するステップS260の逆転パルス出力処理において、逆転パルス信号の出力が完了し、逆転パルス信号の出力要求がリセットされるまで待機する。
このように、本実施形態では、正転パルス信号を出力すべき条件が生じた場合であっても、先に逆転パルス信号の出力要求が保持されている場合には、すぐに正転パルス信号を出力するのではなく、逆転パルス信号の出力要求がリセットされるまで、正転パルス信号の出力を待機する。これは、後述するように、逆転パルス信号を出力すべき条件が生じて逆転パルス信号の出力要求が保持された場合も同様である。これにより、出力中の逆転パルス信号又は正転パルス信号が途中で中断されたり、後に出力条件が成立した正転パルス信号又は逆転パルス信号が出力されなかったりすることを防止できる。従って、信号処理装置10から出力される検出信号から、ロータの正しい位置を検出することができる。
ステップS220において、逆転パルス信号の出力要求がリセットされたと判定されると、ステップS230の処理に進む。ステップS230では、正転パルス信号の出力処理が実行される。この正転パルス出力処理を、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図5に示す正転パルス出力処理ルーチンは、図4に示すメインルーチンと時分割で並列的に実行される。これは、図6に示す逆転パルス出力処理ルーチンの場合も同様である。
図5において、まず、ステップS300では、正転パルス信号の出力を開始する。具体的には、信号処理ECU12は、検出信号としてローレベルの正転パルス信号の出力を開始する。すると、トランジスタ13がオンして出力端子OUTからローレベルの正転パルス信号の出力が開始される。
続くステップS310では、正転パルス用カウンタC1及び正転待機時間カウンタC2によるカウント動作を開始する。そして、ステップS320において、正転パルス用カウンタC1のカウント値が、予め定めた正転パルス信号のパルス幅に相当する値に一致したか否かを判定する。このとき、正転パルス用カウンタC1のカウント値が、正転パルス信号のパルス幅相当値に達していなければ、達するまでステップS320の処理を繰り返す。そして、正転パルス用カウンタC1のカウント値が、正転パルス信号のパルス幅相当値に一致すると、ステップS330の処理に進んで、正転パルス信号の出力を終了させる。これにより、トランジスタ13がオフして、出力端子OUTから出力される信号のレベルはハイレベルに戻る。この結果、出力端子OUTから、予め定めたパルス幅の正転パルス信号が出力される。
続くステップS340では、正転待機時間カウンタC2のカウント値が、予め定めた正転待機時間に相当する値に一致したか否かを判定する。そして、正転待機時間カウンタC2のカウント値が、正転待機時間相当値に一致すると、ステップS350に進んで、正転パルス信号の出力要求をリセットする。
一方、図4のフローチャートのステップS200において、ロータの回転方向は逆転方向であると判定された場合には、ステップS240に進み、ロータが逆転方向に回転している状態で、メインセンサ信号に有効エッジによる信号変化が生じたとみなせるので、逆転パルス信号の出力要求を保持する。
続くステップS250では、上述したステップS210にて、先に正転パルス信号の出力要求が保持されたか否かを判定する。そして、正転パルス信号の出力要求が保持されている場合には、上述したステップS350において、正転パルス信号の出力要求がリセットされるまで待機する。正転パルス信号の出力要求がリセットされ、ステップS250にて否定判定されると、ステップS260の処理に進む。ステップS260では、逆転パルス信号の出力処理が実行される。この逆転パルス出力処理を、図6のフローチャートを用いて説明する。
図6において、まず、ステップS400では、逆転パルス信号の出力を開始する。具体的には、信号処理ECU12は、検出信号としてローレベルの逆転パルス信号の出力を開始する。すると、トランジスタ13がオンして出力端子OUTからローレベルの逆転パルス信号の出力が開始される。
続くステップS410では、逆転パルス用カウンタC3及び逆転待機時間カウンタC4によるカウント動作を開始させる。そして、ステップS420において、逆転パルス用カウンタC3のカウント値が、予め定めた逆転パルス信号のパルス幅(>正転パルス信号のパルス幅)に相当する値に一致したか否かを判定する。このとき、逆転パルス用カウンタC3のカウント値が、逆転パルス信号のパルス幅相当値に一致すると、ステップS430の処理に進んで、逆転パルス信号の出力を終了させる。これにより、トランジスタ13がオフして、出力端子OUTから出力される信号のレベルはハイレベルに戻る。このようにして、出力端子OUTから、予め定めたパルス幅の逆転パルス信号を出力することができる。
続くステップS440では、逆転待機時間カウンタC4のカウント値が、予め定めた逆転待機時間(≧正転待機時間)に相当する値に一致したか否かを判定する。そして、逆転待機時間カウンタC4のカウント値が、逆転待機時間相当値に一致すると、ステップS450に進んで、逆転パルス信号の出力要求をリセットする。
上述したように、本実施形態では、正転パルス信号及び逆転パルス信号の出力終了以後も継続される正転待機時間及び逆転待機時間を設定している。そして、正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力時間が経過し、さらに正転待機時間又は逆転待機時間が経過したときに、正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力が完了したとみなして、正転パルス信号の出力要求又は逆転パルス信号の出力要求をリセットするようにしている。従って、連続してパルス信号を出力する場合であっても、少なくとも正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力以降の正転待機時間又は逆転待機時間の分だけ、連続するパルス信号間の間隔を確保することができる。
ここで、上述した正転待機時間及び逆転待機時間を設定した理由について説明する。上述したように、信号処理装置10からの検出信号を入力するECU20には、抵抗22及びコンデンサ23からなるECUフィルタが設けられている。このため、信号処理装置10からの矩形波状の検出信号は、ECUフィルタを通過する際に、ある程度なまされることになる。
従って、図7(a)に示すように、正転パルス信号の出力後に、正転待機時間の経過を待たずに、逆転パルス信号の出力要求の発生タイミングに従って逆転パルス信号を出力してしまうと、正転パルス終了時のECUフィルタ後の信号レベルが、比較器24におけるハイレベル判定基準電圧まで達しない場合が発生する。この場合、図7(a)に示すように、パルスの欠落が生じるので、ECU20において、ロータの回転状態を正確に検出することができなくなってしまう。
そのため、本実施形態では、連続するパルス信号間の間隔を確保するために、正転待機時間及び逆転待機時間を設定したのである。この場合、図7(b)に示すように、例えば正転パルス信号の出力後に、逆転パルス信号の出力要求が発生しても、正転パルス信号の出力以後も、正転待機時間が経過するまで、逆転パルス信号の出力が遅延される。その結果、図7(b)に示すように、正転パルス信号が出力された後のECUフィルタ後の信号レベルが、比較器24におけるハイレベル判定基準電圧に確実に達するようにすることができる。これにより、ECU20において、検出信号からロータの回転状態を正確に検出することができるようになる。
なお、正転待機時間及び逆転待機時間は、正転パルス信号及び逆転パルス信号の出力要求が保持されてからの時間ではなく、正転パルス信号及び逆転パルス信号の出力終了後の時間として設定しても良い。
図4のフローチャートに戻り、ステップS120において、有効エッジによるメインセンサの信号変化との判定がステップS110にて連続してなされたと判定(肯定判定)された場合、ステップS130以降の処理に進む。
なお、このように、非有効エッジによる信号変化との判別がなされることなく、有効エッジによる信号変化との判別が連続してなされた場合、有効エッジによるメインセンサの信号変化が生じる位置の近傍にて、ロータが、短い周期で繰り返し回転方向を切り替えたり、ノイズにより、あたかもロータが短い周期で繰り返し回転方向を切り替えるようなセンサ信号が検出されたりするチャタリング状態が発生している可能性が高い。
このようなチャタリング状態が発生しているときには、メインセンサの信号自体に異常が生じているので、その際に有効エッジ判定がなされても、本実施形態では、2回目以降の有効エッジ判定に基づいて正転パルス信号又は逆転パルス信号を出力しないようにしている。つまり、ステップS120において肯定判定された場合に進む、ステップS130以降の処理では、後述するステップS130〜S150の処理が完了すると、ステップS230の正転パルス出力処理やステップS260の逆転パルス出力処理を実行することなく、最初のステップS100に戻るようになっている。このステップS120での肯定判定時に、正転パルス出力処理又は逆転パルス出力処理をスキップするループ処理が、本発明の出力停止手段に相当する。
ステップS130では、連続して生じた有効エッジによる信号変化において、初回の有効エッジによるメインセンサ信号の変化が生じたときのロータの回転方向を記憶する。実際のところ、この記憶処理は、有効エッジによる信号変化が2回連続したと判定したときに行なわれる。そして、3回目以降の判定時には、既にロータの回転方向が記憶されているので、そのまま次のステップS140の処理に移る。
ステップS140では、非有効エッジによる信号変化との判別がなされることなく、有効エッジによる信号変化との判別が連続してなされたことを示す、すなわちチャタリング状態の発生を示す有効エッジ連続フラグをオンする。そして、ステップS150において、上述した記憶部に記憶されている判定結果に基づいて、有効エッジによる信号変化が連続している回数をカウントする。なお、記憶部に、判定結果の連続回数をカウントするカウンタのカウント値が記憶されている場合には、ステップS150の処理は不要となる。
ステップS150の処理が終了すると、ステップS100に戻る。有効エッジによる信号変化が連続する限り、このようなステップS100からS150までのループ処理が繰り返される。本実施形態では、有効エッジによる信号変化が連続して起こるチャタリング状態発生中に、非有効エッジによる信号変化が検出されたとき、そのチャタリング状態が解消されたとみなす。そのため、ステップS110において否定判定された場合に、ステップS160の処理に進んで、まず、有効エッジ連続フラグがオンされているか否かを判定する。この判定処理において有効エッジ連続フラグがオンしていると判定された場合、チャタリング発生状態からチャタリング解消状態への状態変化が生じたと判断することができる。この場合、ステップS170の処理に進む。一方、有効エッジ連続フラグがオフであると判定されると、そもそもチャタリング状態は発生していないので、ステップS100の処理に戻る。
ステップS170では、有効エッジ連続フラグをオフする。これにより、以降にチャタリング状態が発生した場合であっても、有効エッジ連続フラグにより、そのチャタリング状態の発生を正しく認識することができる。続くステップS180では、ステップS150においてカウントされた有効エッジによる信号変化が連続している回数が、偶数回であるか、奇数回であるかを判別する。なお、この判別後において、ステップS180において、記憶部における判定結果や、有効エッジによる信号変化が連続している回数をカウントしたカウント値がクリアされる。このように判定結果やカウント値がクリアされることにより、次回、有効エッジによりメインセンサ信号の変化が生じたときに、ステップS120において否定判定され、ステップS230又はS260にて正転パルス出力処理又は逆転パルス出力処理が実行される。すなわち、ステップS180における、判定結果やカウント値をクリアする処理が、本願発明における出力停止解除手段に相当する。
上述したように、チャタリング発生時に、正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力を停止させると、チャタリング状態が発生してから、そのチャタリング状態が解消されたと判定されるときまでの、有効エッジによるメインセンサ信号の変化の連続回数が偶数回であった場合には、実際のロータの回転位置と、検出信号から検出される回転位置とにずれが生じる。
例えば、図8に示すように、ロータが正転方向に回転しているときに有効エッジ判別がなされ、その後、ロータが回転方向を繰り返し切り替えることにより、非有効エッジ判別がなされることなく、逆転方向、正転方向、及び逆転方向での有効エッジ判別がなされた後に、非有効エッジ判別がなされてチャタリング状態が解消された場合を想定する。
なお、図8において、正転方向におけるリーディングエッジ(逆転方向におけるトレーリングエッジ)には、ロータの歯の位置を示すアルファベットに数字の1を添えて示しており、正転方向におけるトレーリングエッジ(逆転方向におけるリーディングエッジ)には、数字の2を添えて示している。
図8に示す例においては、チャタリング状態が発生している間の、有効エッジA1によるメインセンサ信号の変化の連続回数は、偶数回(4回)となる。そして、ステップS230の正転パルス出力処理により、チャタリング状態発生につながる最初の有効エッジ判別に基づき、検出信号として正転パルス信号を出力している。このため、ECU20が検出信号から得られるロータの位置は、正転方向に向かって有効エッジA1を越えた位置(有効エッジA1と有効エッジB1(図示せず)との間)となっている。しかし、図8に示す状況において、最後に有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向は逆転方向である。このため、実際のロータの位置は、逆転方向に向かって有効エッジA1を越えた位置(有効エッジZ1と有効エッジA1との間)となっている。
そこで、本実施形態では、ステップS180において、チャタリング状態の間に、有効エッジによるメインセンサの信号変化の連続回数が偶数回であると判定された場合、ステップS190以降に進んで、上述した検出信号から検出されるロータの回転位置と、実際のロータの回転位置との位置ずれを補正するための補正パルス信号を出力する。なお、この補正パルス信号は、図8に示すように、非有効エッジによる信号変化が生じたとの判定がなされた、すなわち、チャタリングが解消したと判定されたタイミングで出力される。このように、ステップS160,S180及びS190の判定処理、ステップS230の正転パルス出力処理、及びステップS260の逆転パルス出力処理が、本願発明の補正パルス信号出力手段に相当する。
ステップS190では、ステップS130にて記憶された、チャタリング状態の発生につながった初回の有効エッジによるメインセンサ信号の変化が生じたときのロータの回転方向が正転方向であるか、逆転方向であるかを判定する。なお、この判定処理後に、ステップS130にて記憶されたロータの回転方向はクリアされる。ステップS190の判定処理において、逆転方向であると判定された場合には、ステップS210の処理に進んで正転パルス信号の出力要求を保持させ、正転方向であると判定された場合には、ステップS240の処理に進んで逆転パルス信号の出力要求を保持させる。
上述したように、有効エッジによるメインセンサ信号の変化の連続回数が偶数回であった場合には、初回の有効エッジ判別がなされたときと、最後の有効エッジ判別がなされたときとで、ロータの回転方向が反転している。そのため、補正パルス信号として、初回の有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向とは逆の回転方向へロータが回転していることを示す補正パルス信号を出力させる必要がある。このような補正パルスを出力させることにより、検出信号によるロータの回転位置と、実際のロータの回転位置とを一致させることができる。
なお、ステップS180において、チャタリング状態の間の、有効エッジによるメインセンサの信号変化の連続回数が奇数回であると判定された場合には、処理は、ステップS100に戻り、補正パルス信号を出力するための処理は行なわれない。この場合、例えば図9に示すように、チャタリング状態における、最初の有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向と、最後の有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向が同じとなるので、補正パルス信号を出力する必要がないためである。また、当然ではあるが、非有効エッジによるメインセンサ信号の変化が生じる位置の近傍で、チャタリングが生じても、補正パルスは出力されない。非有効エッジによる信号変化では、そもそも正転パルス信号や逆転パルス信号が出力されないので、チャタリングが生じても特に問題は生じないためである。
また、本実施形態では、補正パルス信号を出力するために、ステップS210又はS240にて、正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力要求を保持させるようにしている。このため、その補正パルス信号の出力が完了する以前に、その補正パルス信号が示す回転方向とは逆方向にロータが回転した状態で有効エッジ判別がなされた場合であっても、補正パルス信号及びその有効エッジ判別に基くパルス信号を、後続のECU20が認識可能なものとして出力することが可能となる。
また、本実施形態では、上述したように、非有効エッジによる信号変化が検出されたタイミングで補正パルス信号を出力している。このため、補正パルス信号の出力が完了する前に、補正パルス信号が示す回転方向と同方向にロータが回転して有効エッジ判別がなされると、パルス信号の出力要求が競合してしまい、正しい検出信号を出力することができない。そのため、本実施形態では、正逆それぞれの方向におけるロータの最大回転数により定義される非有効エッジと有効エッジの角度移動に要する時間よりも、パルス信号出力時間+その後の待機時間の合計時間が短くなるように、各パルス信号のパルス幅及び待機時間が設定される。
以上の説明においては、主に、ロータが、実際に回転方向を短い周期で反転させることによってチャタリングが生じた場合に関するものであった。しかしながら、センサ信号にノイズが重畳して、あたかもロータが短い周期で繰り返し回転方向を切り替えるようなセンサ信号が検出されたときにも、チャタリングの発生と判断される場合がある。
具体的には、例えば、図10(a)、(c)に示すように、ロータの有効エッジによるメインセンサ信号の変化が生じるタイミングの直前又は直後において、図10(b)に示すようなノイズ信号がメインセンサ信号に重畳したとする。この場合、メインセンサ信号を2値化する際に、図10(c)に示すように、メインセンサ信号が繰り返し閾値を横切ることになる。この場合、例えばメインセンサ信号が、閾値を横切って立ち上った場合、逆転方向における有効エッジとみなされ、閾値を横切って立ち下がった場合、正転方向における有効エッジとみなされる。
しかしながら、本実施形態では、上述したように、有効エッジによるメインセンサの信号変化が連続することで、チャタリング状態が発生したと判定すると、2回目以降の有効エッジに基づくパルス信号の出力を停止する。従って、図10(d)に示すように、ノイズに基づく異常なパルス信号を出力することを防止することができる。
さらに、本実施形態では、上述したように、チャタリング中に有効エッジによる信号変化が奇数回連続したときには、補正パルス信号を出力しないようにしている。ここで、メインセンサ信号にノイズが重畳した場合、その重畳したノイズによりメインセンサ信号が閾値を横切る回数は、図10(d)に示すように、必ず偶数回となる。これは、メインセンサ信号にノイズが重畳した場合、ノイズの消滅により、メインセンサ信号は、最終的にもとの状態に戻るためである。従って、メインセンサ信号が閾値を横切る際に、メインセンサ信号にノイズが重畳した場合、メインセンサ信号が閾値を横切る回数は必ず奇数回となる。この場合には、補正パルス信号は発生されないので、メインセンサ信号にノイズが重畳した場合であっても、正しい検出信号を出力することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、回転検出装置の信号処理回路における各種の信号処理を、信号処理ECUにおけるソフトウエアにて実現する例について説明したが、その信号処理は、例えばロジック回路を用いてハードウエア回路にて実現することも可能である。
また、上述した実施形態では、実際に有効エッジ判別が連続してなされた回数をカウントし、図4のフローチャートのステップS180にて、カウントした回数が偶数回であるか奇数回であるかを判別した。しかしながら、上述したように、チャタリング中の最初の有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向と、最後の有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向とが相違していれば、偶数回の有効エッジ判別がなされたことと等価であり、同じであれば、奇数回の有効エッジ判別がなされたことと等価である。従って、ステップS180では、チャタリング中の最初の有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向と、最後の有効エッジ判別がなされたときのロータの回転方向との関係から、間接的に、有効エッジ判別が連続してなされた回数が偶数回であるか奇数回であるかを判別しても良い。
1 メイン磁気センサ
2 サブ磁気センサ
10 信号処理回路
11 フィルタ
12 信号処理ECU
20 制御回路

Claims (4)

  1. ギヤ歯が形成された回転体に対向配置された複数の磁気センサから、前記回転体の正転方向又は逆転方向への回転に伴って前記ギヤ歯の山部と谷部とが移動することにより、異なる位相を有する矩形波状の第1及び第2センサ信号が出力されたとき、それら第1及び第2センサ信号に基づいて、前記回転体の回転位置を検出するための検出信号を出力する回転検出装置の信号処理装置であって、
    前記第1及び第2センサ信号の位相関係に基づき、前記回転体の回転方向が、正転方向であるか、逆転方向であるかを判別する回転方向判別手段と、
    前記回転体の回転方向が正転方向であるときと、逆転方向であるときとで、一方の回転方向では、その一方の回転方向における前記山部の先端側エッジによる前記第1のセンサ信号の変化を当該一方の回転方向での有効エッジによる信号変化と定め、他方の回転方向では、その他方の回転方向における前記山部の後端側エッジによる前記第1のセンサ信号の変化を当該他方の回転方向での有効エッジによる信号変化であると定め、前記第1センサ信号の変化が有効エッジによるものか、当該有効エッジとは逆側の非有効エッジによるものかを判別する有効エッジ判別手段と、
    前記回転方向判別手段により回転方向が正転方向であることが判別され、かつ前記有効エッジ判別手段によって前記第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたことを条件として、前記検出信号として、前記回転体が正転方向に回転していることを示す正転パルス信号を出力する正転パルス信号出力手段と、
    前記回転方向判別手段により回転方向が逆転方向であることが判別され、かつ前記有効エッジ判別手段によって前記第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたことを条件として、前記検出信号として、前記回転体が逆転方向に回転していることを示す逆転パルス信号を出力する逆転パルス信号出力手段と、
    前記有効エッジ判別手段により、前記非有効エッジとの判別がなされることなく、前記有効エッジとの判別が連続してなされた場合に、前記有効エッジによる前記第1センサ信号の変化が連続して生じるチャタリング状態が発生したとみなして、2回目以降の前記有効エッジに基づく、前記正転パルス信号出力手段又は逆転パルス信号出力手段からの正転パルス信号又は逆転パルス信号の出力を停止させる出力停止手段と、
    前記チャタリング状態の発生中に、前記有効エッジ判別手段により、前記第1センサ信号の変化が非有効エッジによるものと判別されることにより、前記チャタリング状態が解消されたとみなして、前記出力停止手段による出力の停止を解除させる出力停止解除手段と、
    前記チャタリング状態の発生中に、前記有効エッジ判別手段により、前記第1センサ信号の変化が非有効エッジによるものと判別されたとき、それまでの前記有効エッジによる前記第1センサ信号の変化の連続回数が偶数回であった場合には、その連続回数の初回の有効エッジによる前記第1センサ信号の変化が生じたときの前記回転体の回転方向とは逆の回転方向へ前記回転体が回転していることを示す補正パルス信号を出力する補正パルス信号出力手段と、を備えることを特徴とする回転検出装置の信号処理装置。
  2. 前記補正パルス信号出力手段は、前記有効エッジによる前記第1センサ信号の変化の連続回数が奇数回であった場合には、前記補正パルス信号を出力しないことを特徴とする請求項1に記載の回転検出装置の信号処理装置。
  3. 前記正転パルス信号出力手段は、
    前記回転方向判別手段により回転方向が正転方向であることが判別され、かつ前記有効エッジ判別手段によって前記第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたときに、前記正転パルス信号の出力要求を保持する正転パルス出力要求保持手段と、
    前記正転パルス信号の出力が完了したときに、前記正転パルス出力要求保持手段に保持されている出力要求をリセットする正転パルス出力要求リセット手段と、を有し、
    前記逆転パルス信号出力手段は、
    前記回転方向判別手段により回転方向が逆転方向であることが判別され、かつ前記有効エッジ判別手段によって前記第1センサ信号の変化は有効エッジによるものと判別されたときに、前記逆転パルス信号の出力要求を保持する逆転パルス出力要求保持手段と、
    前記逆転パルス信号の出力が完了したときに、前記逆転パルス出力要求保持手段に保持されている出力要求をリセットする逆転パルス出力要求リセット手段と、を有し、
    前記正転パルス信号出力手段は、前記逆転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されている状態で、前記正転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されたとき、前記逆転パルス出力要求保持手段に保持された逆転パルス信号の出力要求がリセットされるまで、前記正転パルス信号の出力を待機し、前記逆転パルス信号の出力要求がリセットされた後に、前記正転パルス信号を出力するとともに、
    前記逆転パルス信号出力手段は、前記正転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されている状態で、前記逆転パルス出力要求保持手段に出力要求が保持されたとき、前記正転パルス出力要求保持手段に保持された正転パルス信号の出力要求がリセットされるまで、前記逆転パルス信号の出力を待機し、前記正転パルス信号の出力要求がリセットされた後に、前記逆転パルス信号を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転検出装置の信号処理装置。
  4. 前記補正パルス信号出力手段は、前記正転パルス出力要求保持手段または前記逆転パルス出力要求保持手段に出力要求を保持させることにより、前記正転パルス信号出力手段または逆転パルス信号出力手段を用いて、前記補正パルス信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の回転検出装置の信号処理装置。
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