JP6399964B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、位置センサを用いて電動機を制御する制御装置に関するものである。
位置センサが出力するセンサ信号を用いて電動機のロータの位置を検出し、電動機への通電パターンを決定して制御を行う制御装置がある。このような電動機の制御装置において、センサ信号に異常があり誤った位置を検出すると、過電流が発生して電動機およびインバータ回路の動作が不安定になったり、故障したりする可能性がある。これを防ぐためには、位置センサの異常を検出することが必要である。
例えば、特許文献1では、3個の位置センサが出力する3つのセンサ信号を用いて3つの回転角度を算出し、当該3つの回転角度を用いて3つのセンサ信号の異常を検出する方法が提案されている。また、特許文献2では、位置センサのセンサ信号の変化を検出してから予め定められた時間内にこのセンサ信号が変化した場合、最初の変化は異常であると判断する方法が提案されている。特許文献3では、電動機の回転速度に基づいて異常検出時間を設定し、異常検出時間内に次のセンサ信号が確認されない場合は異常と判断する方法が提案されている。
特開2008−196938号公報 特開2011−11313号公報 特開2013−188825号公報
しかし、これらの方法では、1個の位置センサのみを用いて、正常なセンサ信号をセンサ異常と誤検出することなくセンサ異常を検出することが困難であるという課題があった。例えば、特許文献1に係る方法では、3個の位置センサが必要である。
また、特許文献2,3に係る方法では、予め定められた時間閾値とセンサ信号のパルス間隔を比較することでセンサ信号の異常を検出する。そのため、電動機の加速または減速によりセンサ信号のパルス間隔が急激に変動する場合、またはセンサ信号のばらつきにより定常的にセンサ信号のパルス間隔が変動する場合のように、位置センサの異常とは異なる要因でセンサ信号のパルス間隔が変化する場合に、正常なセンサ信号を異常と誤検出するという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、1個の位置センサを用いて、センサ信号の異常を検出し、異常の影響を排除して位置検出を行うと共に、正常なセンサ信号を異常と誤検出することを防止することを目的とする。
本発明に係る電動機の制御装置は、電動機の位置センサが出力するセンサ信号のパルス変化が第1異常検出時間内に検出された場合に異常を検出する第1検出部、およびセンサ信号のパルス変化が第1異常検出時間より長い第2異常検出時間内に検出されない場合に異常を検出する第2検出部を有し、第1検出部または第2検出部のいずれか一方が異常を検出した後に他方の検出結果に基づき最初の異常検出の正誤の判断を行い、当該最初の異常検出が誤検出の場合はセンサ信号を正常と判断する異常検出部と、異常検出部により異常が検出された場合にセンサ信号を補正する位置検出用補正部と、異常検出部により異常が検出された場合は位置検出用補正部により補正されたセンサ信号を用い、異常が検出されなかった場合は補正前のセンサ信号を用いて、電動機のロータの位置を検出する位置検出部と、異常検出部により異常が検出された場合、これ以降に異常検出部が異常検出に用いるセンサ信号を補正する異常検出用補正部とを備えるものである。
本発明によれば、センサ信号のパルス変化が第1異常検出時間内に検出された場合に異常を検出する第1検出部、およびセンサ信号のパルス変化が第1異常検出時間より長い第2異常検出時間内に検出されない場合に異常を検出する第2検出部を有し、異常が検出された場合にセンサ信号を補正してロータの位置を検出するようにしたので、1個の位置センサのみでセンサ信号の異常を検出し、異常を検出した場合にセンサ信号を補正することができる。これにより、正確な位置検出が可能となり、過電流を発生させることなく電動機の制御を継続することができる。また、第1検出部または第2検出部のいずれか一方が異常を検出した後に他方の検出結果に基づき最初の異常検出の正誤の判断を行い、当該最初の異常検出が誤検出の場合は正常と判断するようにしたので、正常なセンサ信号を異常と検出するセンサ異常の誤検出を防止することができる。
本発明の実施の形態1による電動機の制御装置のブロック図である。 実施の形態1におけるセンサ信号処理部の制御手順を示すフローチャートである。 実施の形態1におけるセンサ異常検出の概要である。 実施の形態1における異常検出部の補正モード遷移の概要図である。 実施の形態1における異常検出部の処理手順を示すフローチャートである。 実施の形態1におけるセンサ信号検出の動作を説明するための図である。 実施の形態1におけるセンサ信号検出の動作を説明するための図である。 実施の形態1においてパルスノイズ検出の動作を説明するための図である。 実施の形態1においてパルス抜け検出の動作を説明するための図である。 実施の形態1においてセンサ異常検出の閾値の設定例である。 実施の形態1においてセンサ異常検出の閾値の設定例である。 実施の形態1においてセンサ信号のばらつきを説明するための図である。 実施の形態1においてセンサ信号のばらつきを説明するための図である。 実施の形態1においてセンサ異常時の信号補正を説明するための図である。 実施の形態1においてセンサ異常時の信号補正を説明するための図である。 実施の形態1においてセンサ異常時の信号補正を説明するための図である。 実施の形態1においてセンサ異常により通電停止する場合の動作例である。 実施の形態1においてセンサ異常により通電停止する場合の動作例である。 実施の形態1においてセンサ異常誤検出時の動作を説明するための図である。 実施の形態1においてセンサ異常誤検出時の動作を説明するための図である。 実施の形態1による電動機の制御装置のハードウエア構成図である。 本発明の実施の形態2による電動機の制御装置のブロック図である。 実施の形態2におけるばらつき補正部のブロック図である。 実施の形態2においてセンサばらつきの補正動作を説明するための図である。 実施の形態2においてセンサばらつきの補正動作を説明するための図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による電動機1の制御装置の構成例を示すブロック図である。電動機1の制御装置は、センサ信号処理部10と、カウンタ3と、インバータ制御部4と、インバータ回路5とを備えている。センサ信号処理部10は、電動機1に設置された位置センサ2から出力されるセンサ信号を用いて電動機1のロータ位置を検出する。インバータ制御部4は、センサ信号処理部10により検出されたロータ位置に基づいて制御信号を生成する。インバータ回路5は、インバータ制御部4の制御信号に従って三相交流電力を生成し、電動機1を駆動する。
なお、本発明の各実施の形態において、電動機1は三相モータに限定されるものではなく、位置センサ2のセンサ信号に基づく制御が可能なものであればよい。位置センサ2は例えばホール素子であり、ロータと一緒に回転するセンサターゲットを検出してパルスを出力する。
後述する図6に示すように、カウンタ3は、位置センサ2から入力されるセンサ信号のパルスのOFFからONへの変化、またはONからOFFへの変化、またはその両方を検出し、最後の変化から現在時刻までの時間であるカウントcntと、1回前の変化から最後の変化までの時間間隔であるパルス間隔T(n)とをセンサ信号処理部10へ出力する。実施の形態1では、OFFからONへの変化を検出する例で説明する。
センサ信号処理部10は、異常検出用補正部11と、異常検出部12と、位置検出用補正部13と、位置検出部14とを備えている。このセンサ信号処理部10は、センサ信号としてカウンタ3からカウントcntとパルス間隔T(n)とが入力され、ロータ位置をインバータ制御部4へ出力するものである。
異常検出用補正部11は、異常検出部12の前回出力に基づいてセンサ信号を補正し、異常の影響を排除したセンサ信号を異常検出部12に出力する。異常検出部12は、異常検出用補正部11から入力されるセンサ信号に基づいて、第1検出部12Aと第2検出部12Bの2つの検出部を用いてセンサ信号の2種類の異常を検出する。位置検出用補正部13は、異常検出部12の出力に基づいてセンサ信号を補正し、異常の影響を排除したセンサ信号を位置検出部14に出力する。位置検出部14は、位置検出用補正部13から入力されるセンサ信号を用いて、電動機1のロータ位置を検出する。
このような構成により、センサ信号処理部10は、位置センサ2のセンサ信号に異常が発生した場合に、異常を検出し、異常の影響を排除するようにセンサ信号を補正することで正確なロータ位置の検出が可能となり、過電流を発生させることなく電動機1の制御を継続することができる。
また、センサ信号処理部10は、位置センサ2のセンサ信号に異常が検出された場合に、異常の影響を排除するようにセンサ信号を補正することで次回の異常検出が可能となり、連続的な異常に対して安全に通電停止することができる。
図2は、実施の形態1におけるセンサ信号処理部10の制御手順を示すフローチャートである。センサ信号処理部10は、図2のフローチャートに示す動作を、インバータ制御部4と同一の一定周期で実行する。
カウンタ3においてセンサ信号のOFFからONへの変化が検出されると、異常検出用補正部11は、異常検出部12の前回の出力である補正モードを判断する(ステップST1)。実施の形態1において、補正モードは、センサ信号が正常である場合の「通常」、第1検出部12Aが異常を検出した場合の「制御継続A」、第2検出部12Bが異常を検出した場合の「制御継続B」、通電停止する場合の「通電停止」の4つとする。
異常検出用補正部11は、前回の補正モードが「通常」以外の場合(ステップST1“NO”)、補正モードに応じて位置センサ2からのセンサ信号を補正する(ステップST2)。一方、前回の補正モードが「通常」である場合(ステップST1“YES”)、異常検出用補正部11はステップST2の処理をスキップする。
続いて、異常検出部12は、第1検出部12Aと第2検出部12Bの異常検出を順に実行する(ステップST3、ステップST4)。そして、異常検出部12は、前回の補正モードおよび今回の異常検出の結果に応じて、今回の補正モードを決定する(ステップST5)。その後、異常検出部12は、今回の補正モードが「通電停止」であるかを判断し(ステップST6)、「通電停止」である場合(ステップST6“YES”)、インバータ制御部4に対して通電停止を指示する(ステップST7)。
今回の補正モードが「通電停止」ではない場合(ステップST6“NO”)、続いて位置検出用補正部13は、今回の補正モードが「通常」であるか判断する(ステップST8)。今回の補正モードが「通常」以外の場合(ステップST8“NO”)、位置検出用補正部13は今回の補正モードに応じてセンサ信号を補正する(ステップST9)。そして、位置検出部14は、位置検出用補正部13により補正されたセンサ信号に基づいて電動機1のロータ位置を検出する(ステップST10)。
一方、今回の補正モードが「通常」である場合(ステップST8“YES”)、位置検出用補正部13はステップST9の処理をスキップし、センサ信号を補正せずに位置検出部14へ出力する。この場合、位置検出部14は、補正されていない元のセンサ信号に基づいてロータ位置を検出する(ステップST10)。
図3は、異常検出部12において第1検出部12Aおよび第2検出部12Bにより異常検出を行う判断条件の概要図である。位置センサ2のセンサ信号はパルスのON状態とOFF状態を示す波形である。以下では、カウンタ3において検出されるセンサ信号のOFFからONへの変化、つまり立ち上がりエッジに基づいて、センサ信号処理部10がロータの位置検出を行う場合を例に挙げて説明する。異常検出部12で検出するセンサ信号の異常は、正常なセンサ信号のパルスの間に瞬間的なパルスが混入するパルスノイズと、正常なパルスが1回分出力されなくなるパルス抜けの2つである。第1検出部12Aは、センサ信号の立ち上がりエッジの検出と同時に異常検出時間Tのカウントを開始し、異常検出時間Tが経過するより早く次の立ち上がりエッジを検出した場合、パルスノイズと判断する。第2検出部12Bは、センサ信号の立ち上がりエッジの検出と同時に異常検出時間T(T<T)のカウントを開始し、異常検出時間Tが経過するまでの間に次の立ち上がりエッジが検出されない場合、パルス抜けと判断する。つまり、センサ信号は、▲印で示す立ち上がりエッジが異常検出時間Tの終了後から異常検出時間Tの終了前までの範囲に検出される場合のみ正常と判断され、その範囲外の場合は異常と判断される。
なお、異常検出時間Tが「第1異常検出時間」であり、異常検出時間Tが「第2異常検出時間」である。
また、図示は省略するが、位置検出部14がセンサ信号の立ち下がりエッジを基にロータの位置検出を行う場合は、異常検出部12の第1検出部12Aと第2検出部12Bも立ち下がりエッジを基準にして異常を検出する。さらに、後述する図12のように、位置検出部14がセンサ信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方を基にロータの位置検出を行う場合は、異常検出部12の第1検出部12Aと第2検出部12Bも立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのそれぞれを基準にして異常を検出する。
図4は、補正モードの遷移条件の概略を示している。この図4に示すフローチャートは、図2に示したステップST5の処理を行う際の遷移条件を示した例である。
「通常」「制御継続A」「制御継続B」「通電停止」の4つの補正モードがあり、初期状態は「通常」である。「通常」において第1検出部12Aが異常を検出した場合は「制御継続A」へ、第2検出部12Bが異常を検出した場合は「制御継続B」へ移行する。異常検出部12は、「制御継続A」「制御継続B」の補正モードが継続されている状態において所定回数の正常なエッジが検出された場合、センサ信号の異常発生から十分に時間が経過して異常の影響がなくなったと判断し、補正モードを「通常」に復帰する。また、第1検出部12Aまたは第2検出部12Bのいずれか一方の異常検出により「制御継続A」または「制御継続B」の補正モードが継続されている状態で、他方の検出部が異常を検出した場合、異常検出部12は前回の異常検出は誤検出であると判断し、補正モードを「通常」に復帰する。また、異常検出部12は、「制御継続A」「制御継続B」の補正モードが継続されている状態において前回検出されたセンサ異常と同じ異常が検出された場合、制御継続は不可と判断し、補正モードを「通電停止」へ移行する。
このような構成により、第1検出部12Aまたは第2検出部12Bのいずれか一方の検出部が異常を検出した後、他方の検出部により最初の異常検出の正誤の判断が可能となり、誤検出と判断した場合は即座に正常復帰することでセンサ異常の誤検出を防止することができる。
図5は、異常検出部12において補正モードを判断する処理手順を示すフローチャートである。この図5に示すフローチャートは、図2に示したステップST5の処理の具体的な手順を示した例である。
異常検出部12は、最初に前回の補正モードが「制御継続A」であるか(ステップST501)、および「制御継続B」であるか(ステップST502)を判断する。どちらでもない場合(ステップST501“NO”かつステップST502“NO”)、異常検出部12は、第1検出部12Aが今回異常を検出したか(ステップST503)、および第2検出部12Bが今回異常を検出したか(ステップST504)を判断する。どちらの検出部も異常を検出しない場合(ステップST503“NO”かつステップST504“NO”)、異常検出部12は、補正モードとして「通常」を維持し(ステップST505)、第1検出部12Aが異常を検出した場合(ステップST503“YES”)は「制御継続A」へ移行し(ステップST506)、第2検出部12Bが異常を検出した場合(ステップST504“YES”)は「制御継続B」に移行する(ステップST507)。
他方、前回の補正モードが「制御継続A」である場合(ステップST501“YES”)、異常検出部12は、第1検出部12Aが今回異常を検出したか(ステップST508)、第2検出部12Bが今回異常を検出したか(ステップST509)を判断する。どちらの検出部も異常を検出しない場合(ステップST508“NO”かつステップST509“NO”)、異常検出部12は、前回の補正モードが「制御継続A」に遷移した以降のセンサ信号の正常なエッジ検出回数が所定回数以上であるか判断する(ステップST510)。どちらの検出部も異常を検出せず、かつエッジ検出回数が所定回数より少ない場合(ステップST510“NO”)、異常検出部12は補正モードとして「制御継続A」を維持する(ステップST511)。第1検出部12Aが異常を検出した場合(ステップST508“YES”)、異常検出部12は「通電停止」へ移行する(ステップST512)。第2検出部12Bが異常を検出した場合(ステップST509“YES”)、異常検出部12は、前回、第1検出部12Aが検出した異常が誤検出であると判断して補正モードを「通常」に復帰する(ステップST513)。また、所定回数の正常なエッジが検出された場合(ステップST510“YES”)、異常検出部12は、前回異常が検出されてから十分時間が経過したと判断して補正モードを「通常」に復帰する(ステップST513)。
他方、前回の補正モードが「制御継続B」である場合(ステップST502“YES”)、異常検出部12は、第1検出部12Aが異常を検出したか(ステップST514)、第2検出部12Bが異常を検出したか(ステップST515)を判断する。どちらの検出部も異常を検出しない場合(ステップST514“NO”かつステップST515“NO”)、異常検出部12は、前回の補正モードが「制御継続B」に遷移した以降のセンサ信号の正常なエッジ検出回数が所定回数以上であるか判断する(ステップST516)。どちらの検出部も異常を検出せず、かつエッジ検出回数が所定回数より少ない場合(ステップST516“NO”)、異常検出部12は補正モードとして「制御継続B」を維持する(ステップST517)。第1検出部12Aが異常を検出した場合(ステップST514“YES”)、異常検出部12は、前回、第2検出部12Bが検出した異常が誤検出であると判断して補正モードを「通常」に復帰する(ステップST518)。また、所定回数の正常なエッジが検出された場合(ステップST516“YES”)、異常検出部12は、前回異常が検出されてから十分時間が経過して異常の影響がなくなったと判断して補正モードを「通常」に復帰する(ステップST518)。第2検出部12Bが異常を検出した場合(ステップST515“YES”)、異常検出部12は補正モードを「通電停止」へ移行する(ステップST519)。
このように構成されるセンサ信号処理部10の動作について説明する。
図6に、センサ信号と、立ち上がりエッジを検出する場合の検出値を示す。カウンタ3は、センサ信号から最後の立ち上がりエッジとその1回前の立ち上がりエッジの時間間隔であるパルス間隔Tと、最後の立ち上がりエッジから現在時刻までの時間であるカウンタcntを検出する。ここで、T(n)、T(n−1)はパルス間隔の今回検出値と前回検出値を示す。
図7に、センサ信号が正常である場合の検出値の動作例を示す。立ち上がりエッジの間隔がT(1)、T(2)、…、T(5)のセンサ信号が入力されたとき、カウンタcntは立ち上がりエッジが検出される毎にリセットされ、リセットされる直前の値が次回のパルス間隔の検出値T(n−1)として次回の1周期間保持される。
異常検出部12においてセンサ信号の異常が検出されていない場合、異常検出用補正部11と位置検出用補正部13はセンサ信号から検出されたパルス間隔とカウンタを、補正せずにそのまま異常検出部12と位置検出部14へ出力する。
一方、異常検出部12においてセンサ信号の異常が検出された場合、異常検出用補正部11と位置検出用補正部13は後述する方法により補正したパルス間隔とカウンタを異常検出部12と位置検出部14へ出力する。
次に、センサ信号に異常が発生した場合の異常検出部12の動作例について説明する。図8にパルスノイズが発生した場合の動作例を、図9にパルス抜けが発生した場合の動作例を示す。図8に示すように、第1検出部12Aは、今回のパルス間隔T(n)と異常検出時間Tが、T(n)<Tを満たすとき、最後に検出されたエッジをノイズと判断して異常を検出する。また、図9に示すように、第2検出部12Bは、カウンタcntと異常検出時間Tが、cnt>Tを満たすとき、パルス抜けが発生したと判断して異常を検出する。パルス抜けは、図9に示すようなOFFからONに変化しない場合だけでなく、後述する図15に示すようなONからOFFに変化しない場合も含む。
なお、異常検出部12は、異常検出用補正部11においてセンサ異常の影響が排除されたパルス間隔とカウンタを使用するため、前回のセンサ異常の影響を受けずに今回の異常検出を行うことができる。
位置センサ2の異常を検出する閾値である異常検出時間T、Tの、第1の設定例について説明する。
センサ信号の正常なパルス間隔は電動機1のロータ回転数に対して反比例する。そのため、異常検出時間Tを一定値に設定すると、低速回転においては正常なパルス間隔が比較的大きいためパルスノイズが検出できなくなる。逆に、高速回転においては正常なパルス間隔が比較的小さいため、正常な信号をパルスノイズとして誤検出する可能性がある。同様に、異常検出時間Tを一定値に設定すると、低速回転において正常な信号をパルス抜けとして誤検出する可能性がある。逆に、高速回転においてパルス抜けを検出できなくなる。そこで、図10に示すように、電動機1のロータ回転数と異常検出時間T、Tとの対応関係をマップとして作成し、異常検出部12に予め設定しておく。第1検出部12Aと第2検出部12Bは、このマップに従い、低速回転時は異常検出時間T、Tを大きくし、高速回転時は異常検出時間T、Tを小さくする。
このように、センサ異常を検出する閾値である異常検出時間をロータ回転数に対するマップとして予め定めておくことで、全回転数域において異常なセンサ信号を正常と判断することおよび正常なセンサ信号を異常と判断することを防止し、精度の高いセンサ異常検出を行うことができる。
なお、異常検出部12は、ロータの回転数を、位置検出部14において検出されるロータの位置に基づいて算出可能である。
次に、異常検出時間T、Tの第2の設定例について説明する。
異常検出時間T、Tは、直前のセンサ信号のパルス間隔と電動機1の最大加速度に基づいて設定してもよい。異常検出時間Tは、前回のパルス間隔T(n−1)と加速時の最大加速度amax1に基づいて設定される。センサ信号のパルスの前回周波数f(n−1)=1/T(n−1)と最大加速度amax1(amax1>0)を用いると、今回周波数の最大値はf(n−1)+amax1×T(n−1)と表される。この周波数の逆数により、パルス間隔最小値が算出できる。異常検出部12は、式(1)から計算したパルス間隔最小値を異常検出時間Tとして設定する。
Figure 0006399964
異常検出時間Tは、今回のパルス間隔T(n)と減速時の最大加速度amax2に基づいて設定される。センサ信号のパルスの今回周波数f(n)=1/T(n)と減速時の最大加速度amax2(amax2>0)を用いると、次回の周波数の最小値はf(n)−amax2×T(n)と表される。この周波数の逆数をとることで、パルス間隔最大値を算出する。異常検出部12は、式(2)から計算したパルス間隔最大値を異常検出時間Tとして設定する。
Figure 0006399964
加速の場合の最大加速度amax1と減速の場合の最大加速度amax2は、例えば以下のように定義されるものとする。
max1=(Tmotor−Tload)/J
max2=(Tmotor+Tload)/J
ここで、Tmotorは電動機1の最大トルク、Tloadは電動機1に接続された負荷トルク、Jは電動機1と電動機1に接続された負荷のイナーシャ合計値である。
式(1)は、パルスノイズを異常として検出するための異常検出時間Tを算出するものである。図8より、本来の次のエッジが検出される前にパルスノイズが検出されるため、今回のパルス間隔T(n)は異常値になっている。そのため、正常である前回値T(n−1)を用いて異常検出時間Tを算出している。パルスノイズの異常検出は、「今回のパルス間隔T(n)が前回値T(n−1)と比較して極端に小さければ異常」と判断するロジックとなっているため、異常検出時間Tの算出には前回値T(n−1)を用いている。
一方、式(2)は、パルス抜けを異常として検出するための異常検出時間Tを検出するものである。図9より、今回のパルス間隔T(n)は正常であるため、このT(n)を用いて異常検出時間Tを算出している。
また、式(1)(2)から計算される異常検出時間T、Tを、ロータ回転数に対するマップとして、第1検出部12A、第2検出部12Bに予め設定してもよい。図11にマップの例を示す。
このように、電動機1の最大加速度を用いて異常検出時間を設定することにより、全回転数域において異常なセンサ信号を正常と判断することおよび正常なセンサ信号を異常と判断することを防止することができる。
次に、異常検出時間T、Tの第3の設定例について説明する。
例えばセンサ信号のパルス間隔にばらつきがあるときに式(1)(2)を用いて異常検出時間T、Tを設定すると、適切に異常検出ができない場合がある。ここで、図12に、ばらつきのあるセンサ信号の例を示す。図12の例では、ばらつきにより常にON時間<OFF時間である。
位置検出部14において、図12のようなばらつきがあるセンサ信号の立ち上がりまたは立下りを検出して位置検出を行う場合には、式(1)(2)のように直前のパルス間隔を用いて異常検出時間を設定すると、センサ信号のばらつきによりセンサ異常を誤検出する可能性がある。そこで、例えばセンサ信号のパルス間隔のばらつきが2回周期で現れる場合、異常検出部12が前々回のパルス間隔を用いて式(3)(4)を計算し、異常検出時間T、Tを設定してもよい。
Figure 0006399964

Figure 0006399964
式(3)(4)では、式(1)(2)のパルス間隔Tとして前々回の検出値を用いることで、ON時間の異常検出のためには前回のON時間のパルス間隔を用いて異常検出時間を設定し、OFF時間の異常検出のためには前回のOFF時間のパルス間隔を用いて異常検出時間を設定する。
このような構成により、位置センサ2のばらつきによりパルス間隔が周期的に増減するセンサ信号に対して、ばらつきの影響を排除してセンサ信号の異常を検出することができる。
なお、図6では、パルスの1回のON時間と1回のOFF時間を合算してパルス間隔T(n)とするカウント方法例を示したが、カウント方法はこれに限定されるものではなく、例えば図12ではパルスの1回のON時間、1回のOFF時間をそれぞれ別のパルス間隔T(n)、T(n+1)としてカウントする例を示した。カウント方法が異なっても異常検出時間T、Tの算出方法は変わらない。
図13に、センサ信号にばらつきがある他の例を示す。
図13は、極対数「2」の電動機1において、機械角1回転の間でセンサ信号がばらつく例を示している。電動機1の極対数が「2」である場合、機械角1回転に対してセンサ信号は2回のパルスを出力するが、例えばセンサターゲットの機械的誤差があるとき、1回目のパルス間隔T(1)と2回目のパルス間隔T(2)にばらつきが生じる場合がある。図13の例も、位置センサ2のパルス間隔のばらつきが2回周期で現れるため、異常検出時間T、Tを上記の式(3)(4)のように設定できる。
次に、センサ信号に異常が検出された後、位置検出用にセンサ信号を補正する動作について説明する。
図14にパルスノイズが検出された場合、図15にパルス抜けが検出された場合の位置検出用補正部13の動作例を示す。図14と図15において、1段目がセンサ信号、2段目と3段目がセンサ信号の立ち上がりエッジの検出値であるパルス間隔Tとカウンタcnt、4段目と5段目が検出値を補正したパルス間隔T’とカウンタcnt’である。
まず、補正モードが「通常」の状態において異常検出部12がパルスノイズを検出して「制御状態A」に遷移したときの、位置検出用補正部13の動作(図2のステップST9)について説明する。
図14の1段目のセンサ信号は、パルスノイズにより本来のパルス1周期がT(2)とT(3)に2分割されている。それに伴い、センサ信号の検出値であるパルス間隔Tとカウンタcntが本来のパルスノイズがない場合の波形(点線)と異なる動作をしている。位置検出用補正部13において、位置センサ2から入力されるセンサ信号のパルス間隔Tとカウンタcntを式(5)(6)のように補正することで、パルスノイズが検出された直後の補正されたパルス間隔T’とカウンタcnt’は本来の波形と同等になる。
T’(n)=T(n−1) (5)
cnt’=cnt+T(n) (6)
また、パルスノイズ検出後に立ち上がりエッジが1回検出された場合、位置検出用補正部13がパルス間隔Tを式(7)のように補正することで、補正後のパルス間隔T’は本来の波形と同等になる。その後、異常検出部12において立ち上がりエッジの2回目が検出されると、補正モードは「制御継続A」から「通常」に復帰する。
T’(n)=T(n)+T(n−1) (7)
続いて、異常検出部12がパルス抜けを検出したときの位置検出用補正部13の動作について説明する。
図15の1段目のセンサ信号は、パルス抜けによって本来のパルス2周期がT(2)に合算されている。それに伴い、センサ信号の立ち上がりエッジの検出値であるパルス間隔Tとカウンタcntが本来のパルス抜けがない場合の波形(点線)と異なる動作をしている。位置検出用補正部13において式(8)のように補正することで、パルス抜けが検出された直後のカウンタcnt’は本来の波形に相当する波形になる。
cnt’=cnt−T(n) (8)
また、パルス抜け検出後に立ち上がりエッジが1回検出された場合、位置検出用補正部13がパルス間隔Tを式(9)のように補正することで、補正後のパルス間隔T’は本来の波形と同等になる。その後、異常検出部12において立ち上がりエッジの2回目が検出されると、補正モードは「制御継続B」から「通常」に復帰する。
T’(n)=T(n)/2 (9)
図16に、センサ信号に異常が発生した場合の補正方法をまとめた表を示す。
位置検出用補正部13は、補正モードがパルスノイズ検出後の「制御継続A」、またはパルス抜け検出後の「制御継続B」である場合にセンサ信号の検出値であるパルス間隔T(n)とカウンタcntを補正する。図16の(1)はセンサ異常が検出されてから1回目のエッジが検出されるまで、(2)は1回目のエッジが検出されてから補正モードが「通常」に復帰するまでの補正例である。図14と図15の例のようにセンサ信号の片方のエッジのみ(今回の例では立ち上がりエッジ)を用いて位置検出を行う場合、センサ異常が検出されたのちに立ち上がりエッジが2回検出されると補正モードは「通常」に復帰する。
なお、説明は省略するが、異常検出用補正部11においても、位置検出用補正部13と同様にセンサ信号を補正する。
図1の構成例では、異常検出用補正部11と位置検出用補正部13の2つの補正部を設け、図2のフローチャートに示したステップST2の処理を異常検出用補正部11が行い、ステップST9の処理を位置検出用補正部13が行うようにしたが、1つの補正部がステップST2,ST9の両方の処理を行うようにしてもよい。
次に、センサ信号の異常により通電停止する場合の動作例について説明する。
図17に、パルスノイズが連続して発生した場合の動作例を示す。異常検出部12により、図17の1回目のパルスノイズ検出で補正モードが「制御継続A」へ遷移し、2回目のパルスノイズ検出で「通電停止」に遷移する。
図18に、断線または短絡によりセンサ信号が固着し、パルス抜け異常が連続して発生した場合の動作例を示す。図18の例では、異常検出部12により、パルス抜け異常が2回連続で検出されて補正モードが「通電停止」に遷移する。
次に、正常なセンサ信号を異常と誤検出する場合の動作例について説明する。
図19に、正常なセンサ信号をパルスノイズと誤検出する場合の動作例を示す。図19の例では、位置センサ2のばらつきまたは電動機1の加速により、正常なパルスが異常検出時間Tより早い間隔で検出され、時刻t2においてパルスノイズ異常が検出される。そして、時刻t3で補正モードが「通常」から「制御継続A」に遷移し、位置検出用補正部13と異常検出用補正部11は、検出されたエッジを無視するようにセンサ信号を補正する。正常なエッジを無視したことにより次のパルスまでセンサ信号が検出されなくなり、時刻t4でパルス抜け異常が検出される。図4および図5に示すように、異常検出部12において「制御継続A」の補正モードでパルス抜け異常が検出された場合、最初に検出されたパルスノイズ異常検出は誤検出であると判断され、「通常」モードに復帰する。つまり、センサ異常の誤検出が発生しても即座に正常復帰が可能である。
図20に、正常なセンサ信号をパルス抜けと誤検出する場合の動作例を示す。図20の例では、位置センサ2のばらつきまたは電動機1の減速により、正常なパルスが異常検出時間Tより遅い間隔で検出され、時刻t2においてパルス抜け異常が検出される。そして、時刻t3で「制御継続B」に遷移し、位置検出用補正部13と異常検出用補正部11は、抜けたパルスのエッジを内部生成するようにセンサ信号を補正する。エッジを内部生成したことにより、時刻t4において直後に検出される本来の正常なエッジがパルスノイズとして検出される。図4および図5に示すように、異常検出部12において「制御継続B」の補正モードでパルスノイズ異常が検出された場合、最初に検出されたパルス抜け異常検出は誤検出であると判断され、「通常」モードに復帰する。
図21は、電動機1の制御装置のハードウエア構成例を示す図である。
センサ信号処理部10、カウンタ3およびインバータ制御部4は、メモリ100に記憶されたプログラムを実行するCPUまたはシステムLSI等の処理回路101により、実現される。また、複数のメモリ100と複数の処理回路101が連携して上記機能を実行してもよい。
インバータ回路5は、電動機1に印加する電圧のONとOFFを切り替えるスイッチング素子などで構成される。
以上より、実施の形態1によれば、電動機1の制御装置は、位置センサ2が出力するセンサ信号のパルス変化が異常検出時間T内に検出された場合に異常を検出する第1検出部12A、およびセンサ信号のパルス変化が異常検出時間Tより長い異常検出時間T内に検出されない場合に異常を検出する第2検出部12Bを有し、第1検出部12Aまたは第2検出部12Bのいずれか一方が異常を検出した後に他方の検出結果に基づき最初の異常検出の正誤の判断を行い、当該最初の異常検出が誤検出の場合はセンサ信号を正常と判断する異常検出部12と、異常検出部12により異常が検出された場合にセンサ信号を補正する位置検出用補正部13と、異常検出部12により異常が検出された場合は位置検出用補正部13により補正されたセンサ信号を用い、異常が検出されなかった場合は補正前のセンサ信号を用いて電動機1のロータの位置を検出する位置検出部14と、異常検出部12により異常が検出された場合にこれ以降に異常検出部12が異常検出に用いるセンサ信号を補正する異常検出用補正部11とを備える構成にしたので、1個の位置センサ2のみでセンサ信号の異常を検出してセンサ信号を補正でき、正確な位置検出が可能となる。よって、過電流を発生させることなく電動機1の制御を継続することができる。また、第1検出部12Aまたは第2検出部12Bのいずれか一方が異常を検出した後に他方の検出結果に基づき最初の異常検出の正誤の判断を行い、当該最初の異常検出が誤検出の場合は正常と判断するようにしたので、正常なセンサ信号を異常と検出するセンサ異常の誤検出を防止することができる。
また、実施の形態1によれば、異常検出用補正部11または位置検出用補正部13の少なくとも一方は、異常検出部12により異常が検出された場合、第1検出部12Aまたは第2検出部12Bのどちらで異常が検出されたかによって補正方法を切り替える構成にしたので、センサ異常の影響を排除して、位置検出および異常検出を行うことができる。
また、実施の形態1によれば、異常検出部12は、第1検出部12Aまたは第2検出部12Bのいずれか一方が異常を検出した後、正常に戻ったと判断する前に同検出部が再度異常を検出した場合に電動機1への通電を停止するよう判断する構成にしたので、位置センサ2の異常により制御継続が不可能である場合に過電流発生前に安全に通電停止することができる。
また、実施の形態1によれば、電動機1のロータ回転数と異常検出時間T、Tとの対応関係が予め定められており、当該ロータ回転数が小さいとき異常検出時間T、Tが大きく、当該ロータ回転数が大きいとき異常検出時間T、Tが小さくなるよう構成したので、全回転数域において異常なセンサ信号を正常と判断することおよび正常なセンサ信号を異常と判断することを防止し、精度の高いセンサ異常検出を行うことができる。
また、実施の形態1によれば、異常検出部12は、異常検出時間T、Tを、センサ信号のパルス間隔と電動機1の最大加速度に基づいて設定する構成にしたので、全回転数域において異常なセンサ信号を正常と判断することおよび正常なセンサ信号を異常と判断することを防止し、精度の高いセンサ異常検出を行うことができる。
また、実施の形態1によれば、異常検出部12は、センサ信号のパルス変化に周期的なばらつきがある場合、異常検出時間T、Tを、ばらつきの周期に対応した回数分のパルス間隔と電動機1の最大加速度とに基づいて設定する構成にしたので、位置センサ2のばらつきの影響による異常の誤検出を防止することができる。
実施の形態2.
図22は、本発明の実施の形態2による電動機の制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態2のセンサ信号処理部10は、ばらつき補正部20でセンサ信号のばらつきを補正した後、実施の形態1と同様に異常検出用補正部11、異常検出部12および位置検出用補正部13にてセンサ信号の異常検出と補正を行い、位置検出部14にてロータ位置を検出する。
図23は、ばらつき補正部20の構成を示すブロック図である。ばらつき補正部20は、第1平均化部21Aと、第2平均化部21Bと、出力選択部22とを有している。図示例では平均化部は2つであるが1つ以上あればよい。出力選択部22は、いずれかの平均化部の出力を選択して、異常検出用補正部11と位置検出用補正部13へ入力する。
センサ信号のばらつき内容が既知である場合、出力選択部22で選択する平均化部を予め設定してもよい。または、センサ信号のばらつき内容が未知である場合、出力選択部22は、電動機1のロータが一定速度で回転している時のパルス間隔のばらつきの増減を記録し、その結果からばらつきの周期を学習してどの平均化部を選択するか設定してもよい。さらに、出力選択部22は、学習したばらつきの周期を基にして、平均化する周期を決定し、平均化部に設定してもよい。
このように構成されるセンサ信号処理部10の動作について説明する。
図24に、常にON時間<OFF時間であるセンサ信号が入力される場合のばらつき補正部20の動作例を示す。図24の例の場合、ばらつきによりパルス間隔は2回周期で増減を繰り返す。この場合、パルス間隔の今回値と前回値で平均化することにより、ばらつきを平滑化することができる。第1平均化部21Aが過去2回分のパルス間隔を平均化する構成である場合、出力選択部22は、第1平均化部21Aの出力を選択して異常検出用補正部11と位置検出用補正部13へ入力する。
図25に、センサ信号にばらつきがある他の例を示す。図25は、極対数「2」の電動機1において、センサターゲットの機械的誤差により1回目のパルス(=T(1)+T(2))と2回目のパルス(=T(3)+T(4))の間隔が異なる例を示している。図25の例の場合、ばらつきによりパルス間隔は4回周期で増減を繰り返す。この場合、過去4回分のパルス間隔を平均化することにより、ばらつきを平滑化することができる。第2平均化部21Bが過去4回分のパルス間隔を平均化する構成である場合、出力選択部22は、第2平均化部21Bの出力を選択して異常検出用補正部11と位置検出用補正部13へ入力する。
図24と図25の例のように、ばらつき補正部20ではパルス間隔が周期的に増減する場合のばらつきに対し、パルス間隔の増減の周期Nに対応した過去N回分のパルス間隔を平均化することにより、センサ信号のばらつきを抑制する。このような構成により、位置センサ2のばらつきの影響を排除してセンサ異常の検出を行うことができる。
なお、図6のように(1)「パルスの1回のON時間と1回のOFF時間を合算してパルス間隔T(n)とする場合」にも、図24と図25のように(2)「パルスの1回のON時間、1回のOFF時間をそれぞれ別のパルス間隔T(n)、T(n+1)としてカウントする場合」にも、実施の形態2を適用可能である。(1)のカウント方法の場合は(2)のカウント方法の場合に対してパルス間隔の増減の周期Nが1/2になる。そのため、図24の例では(2)の場合は過去2回平均をとるが、(1)の場合は過去1回平均をとることになり補正なしとなる。同様に、図25の例では、(2)の場合は過去4回平均をとるが、(1)の場合は過去2回平均をとることになる。(1)(2)どちらの場合も、パルス間隔の増減の周期に対応した回数だけ過去のパルス間隔を平均化することは同様である。
以上より、実施の形態2によれば、電動機1の制御装置は、センサ信号の複数のパルス間隔を平均化して当該センサ信号のパルス変化の周期的なばらつきを補正するばらつき補正部20を備え、異常検出部12は、ばらつき補正部20により補正されたセンサ信号を用いて異常検出を行う構成にしたので、位置センサ2のばらつきの影響による異常誤検出を防止することができる。
また、実施の形態2によれば、ばらつき補正部20は、センサ信号のパルス間隔が増減する周期を学習し、当該学習した周期でパルス間隔を平均化する構成にしたので、ばらつきが発生する周期を抑制することができ、位置センサ2のばらつきの影響による異常誤検出を防止することができる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1 電動機、2 位置センサ、3 カウンタ、4 インバータ制御部、5 インバータ回路、10 センサ信号処理部、11 異常検出用補正部、12 異常検出部、12A 第1検出部、12B 第2検出部、13 位置検出用補正部、14 位置検出部、20 ばらつき補正部、21A 第1平均化部、21B 第2平均化部、22 出力選択部、100 メモリ、101 処理回路。

Claims (8)

  1. 電動機の位置センサが出力するセンサ信号のパルス変化が第1異常検出時間内に検出された場合に異常を検出する第1検出部、および前記センサ信号のパルス変化が前記第1異常検出時間より長い第2異常検出時間内に検出されない場合に異常を検出する第2検出部を有し、前記第1検出部または前記第2検出部のいずれか一方が異常を検出した後に他方の検出結果に基づき最初の異常検出の正誤の判断を行い、当該最初の異常検出が誤検出の場合は前記センサ信号を正常と判断する異常検出部と、
    前記異常検出部により異常が検出された場合にセンサ信号を補正する位置検出用補正部と、
    前記異常検出部により異常が検出された場合は前記位置検出用補正部により補正されたセンサ信号を用い、異常が検出されなかった場合は補正前のセンサ信号を用いて、前記電動機のロータの位置を検出する位置検出部と、
    前記異常検出部により異常が検出された場合、これ以降に前記異常検出部が異常検出に用いるセンサ信号を補正する異常検出用補正部とを備える電動機の制御装置。
  2. 前記位置検出用補正部または前記異常検出用補正部の少なくとも一方は、前記異常検出部により異常が検出された場合、前記第1検出部または前記第2検出部のどちらで異常が検出されたかによって補正方法を切り替えることを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  3. 前記異常検出部は、前記第1検出部または前記第2検出部のいずれか一方が異常を検出した後、正常に戻ったと判断する前に同検出部が再度異常を検出した場合に前記電動機への通電を停止するよう判断することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  4. 前記電動機のロータ回転数と前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間の少なくとも一方との対応関係が予め定められており、当該ロータ回転数が小さいとき前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間が大きく、当該ロータ回転数が大きいとき前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間が小さいことを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  5. 前記異常検出部は、前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間の少なくとも一方を、前記センサ信号のパルス間隔と前記電動機の最大加速度とに基づいて設定することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  6. 前記異常検出部は、前記センサ信号のパルス変化に周期的なばらつきがある場合、前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間の少なくとも一方を、前記ばらつきの周期に対応した回数分のパルス間隔と前記電動機の最大加速度とに基づいて設定することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  7. 前記センサ信号の複数のパルス間隔を平均化して、前記センサ信号のパルス変化の周期的なばらつきを補正するばらつき補正部を備え、
    前記異常検出部は、前記ばらつき補正部により補正されたセンサ信号を用いて異常検出を行うことを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  8. 前記ばらつき補正部は、前記センサ信号のパルス間隔が増減する周期を学習し、当該学習した周期でパルス間隔を平均化することを特徴とする請求項7記載の電動機の制御装置。
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