JP6399964B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施の形態1による電動機1の制御装置の構成例を示すブロック図である。電動機1の制御装置は、センサ信号処理部10と、カウンタ3と、インバータ制御部4と、インバータ回路5とを備えている。センサ信号処理部10は、電動機1に設置された位置センサ2から出力されるセンサ信号を用いて電動機1のロータ位置を検出する。インバータ制御部4は、センサ信号処理部10により検出されたロータ位置に基づいて制御信号を生成する。インバータ回路5は、インバータ制御部4の制御信号に従って三相交流電力を生成し、電動機1を駆動する。
異常検出用補正部11は、異常検出部12の前回出力に基づいてセンサ信号を補正し、異常の影響を排除したセンサ信号を異常検出部12に出力する。異常検出部12は、異常検出用補正部11から入力されるセンサ信号に基づいて、第1検出部12Aと第2検出部12Bの2つの検出部を用いてセンサ信号の2種類の異常を検出する。位置検出用補正部13は、異常検出部12の出力に基づいてセンサ信号を補正し、異常の影響を排除したセンサ信号を位置検出部14に出力する。位置検出部14は、位置検出用補正部13から入力されるセンサ信号を用いて、電動機1のロータ位置を検出する。
また、センサ信号処理部10は、位置センサ2のセンサ信号に異常が検出された場合に、異常の影響を排除するようにセンサ信号を補正することで次回の異常検出が可能となり、連続的な異常に対して安全に通電停止することができる。
カウンタ3においてセンサ信号のOFFからONへの変化が検出されると、異常検出用補正部11は、異常検出部12の前回の出力である補正モードを判断する(ステップST1)。実施の形態1において、補正モードは、センサ信号が正常である場合の「通常」、第1検出部12Aが異常を検出した場合の「制御継続A」、第2検出部12Bが異常を検出した場合の「制御継続B」、通電停止する場合の「通電停止」の4つとする。
また、図示は省略するが、位置検出部14がセンサ信号の立ち下がりエッジを基にロータの位置検出を行う場合は、異常検出部12の第1検出部12Aと第2検出部12Bも立ち下がりエッジを基準にして異常を検出する。さらに、後述する図12のように、位置検出部14がセンサ信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方を基にロータの位置検出を行う場合は、異常検出部12の第1検出部12Aと第2検出部12Bも立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのそれぞれを基準にして異常を検出する。
「通常」「制御継続A」「制御継続B」「通電停止」の4つの補正モードがあり、初期状態は「通常」である。「通常」において第1検出部12Aが異常を検出した場合は「制御継続A」へ、第2検出部12Bが異常を検出した場合は「制御継続B」へ移行する。異常検出部12は、「制御継続A」「制御継続B」の補正モードが継続されている状態において所定回数の正常なエッジが検出された場合、センサ信号の異常発生から十分に時間が経過して異常の影響がなくなったと判断し、補正モードを「通常」に復帰する。また、第1検出部12Aまたは第2検出部12Bのいずれか一方の異常検出により「制御継続A」または「制御継続B」の補正モードが継続されている状態で、他方の検出部が異常を検出した場合、異常検出部12は前回の異常検出は誤検出であると判断し、補正モードを「通常」に復帰する。また、異常検出部12は、「制御継続A」「制御継続B」の補正モードが継続されている状態において前回検出されたセンサ異常と同じ異常が検出された場合、制御継続は不可と判断し、補正モードを「通電停止」へ移行する。
異常検出部12は、最初に前回の補正モードが「制御継続A」であるか(ステップST501)、および「制御継続B」であるか(ステップST502)を判断する。どちらでもない場合(ステップST501“NO”かつステップST502“NO”)、異常検出部12は、第1検出部12Aが今回異常を検出したか(ステップST503)、および第2検出部12Bが今回異常を検出したか(ステップST504)を判断する。どちらの検出部も異常を検出しない場合(ステップST503“NO”かつステップST504“NO”)、異常検出部12は、補正モードとして「通常」を維持し(ステップST505)、第1検出部12Aが異常を検出した場合(ステップST503“YES”)は「制御継続A」へ移行し(ステップST506)、第2検出部12Bが異常を検出した場合(ステップST504“YES”)は「制御継続B」に移行する(ステップST507)。
図6に、センサ信号と、立ち上がりエッジを検出する場合の検出値を示す。カウンタ3は、センサ信号から最後の立ち上がりエッジとその1回前の立ち上がりエッジの時間間隔であるパルス間隔Tと、最後の立ち上がりエッジから現在時刻までの時間であるカウンタcntを検出する。ここで、T(n)、T(n−1)はパルス間隔の今回検出値と前回検出値を示す。
図7に、センサ信号が正常である場合の検出値の動作例を示す。立ち上がりエッジの間隔がT(1)、T(2)、…、T(5)のセンサ信号が入力されたとき、カウンタcntは立ち上がりエッジが検出される毎にリセットされ、リセットされる直前の値が次回のパルス間隔の検出値T(n−1)として次回の1周期間保持される。
一方、異常検出部12においてセンサ信号の異常が検出された場合、異常検出用補正部11と位置検出用補正部13は後述する方法により補正したパルス間隔とカウンタを異常検出部12と位置検出部14へ出力する。
センサ信号の正常なパルス間隔は電動機1のロータ回転数に対して反比例する。そのため、異常検出時間TAを一定値に設定すると、低速回転においては正常なパルス間隔が比較的大きいためパルスノイズが検出できなくなる。逆に、高速回転においては正常なパルス間隔が比較的小さいため、正常な信号をパルスノイズとして誤検出する可能性がある。同様に、異常検出時間TBを一定値に設定すると、低速回転において正常な信号をパルス抜けとして誤検出する可能性がある。逆に、高速回転においてパルス抜けを検出できなくなる。そこで、図10に示すように、電動機1のロータ回転数と異常検出時間TA、TBとの対応関係をマップとして作成し、異常検出部12に予め設定しておく。第1検出部12Aと第2検出部12Bは、このマップに従い、低速回転時は異常検出時間TA、TBを大きくし、高速回転時は異常検出時間TA、TBを小さくする。
なお、異常検出部12は、ロータの回転数を、位置検出部14において検出されるロータの位置に基づいて算出可能である。
異常検出時間TA、TBは、直前のセンサ信号のパルス間隔と電動機1の最大加速度に基づいて設定してもよい。異常検出時間TAは、前回のパルス間隔T(n−1)と加速時の最大加速度amax1に基づいて設定される。センサ信号のパルスの前回周波数f(n−1)=1/T(n−1)と最大加速度amax1(amax1>0)を用いると、今回周波数の最大値はf(n−1)+amax1×T(n−1)と表される。この周波数の逆数により、パルス間隔最小値が算出できる。異常検出部12は、式(1)から計算したパルス間隔最小値を異常検出時間TAとして設定する。
amax1=(Tmotor−Tload)/J
amax2=(Tmotor+Tload)/J
ここで、Tmotorは電動機1の最大トルク、Tloadは電動機1に接続された負荷トルク、Jは電動機1と電動機1に接続された負荷のイナーシャ合計値である。
一方、式(2)は、パルス抜けを異常として検出するための異常検出時間TBを検出するものである。図9より、今回のパルス間隔T(n)は正常であるため、このT(n)を用いて異常検出時間TBを算出している。
例えばセンサ信号のパルス間隔にばらつきがあるときに式(1)(2)を用いて異常検出時間TA、TBを設定すると、適切に異常検出ができない場合がある。ここで、図12に、ばらつきのあるセンサ信号の例を示す。図12の例では、ばらつきにより常にON時間<OFF時間である。
なお、図6では、パルスの1回のON時間と1回のOFF時間を合算してパルス間隔T(n)とするカウント方法例を示したが、カウント方法はこれに限定されるものではなく、例えば図12ではパルスの1回のON時間、1回のOFF時間をそれぞれ別のパルス間隔T(n)、T(n+1)としてカウントする例を示した。カウント方法が異なっても異常検出時間TA、TBの算出方法は変わらない。
図13は、極対数「2」の電動機1において、機械角1回転の間でセンサ信号がばらつく例を示している。電動機1の極対数が「2」である場合、機械角1回転に対してセンサ信号は2回のパルスを出力するが、例えばセンサターゲットの機械的誤差があるとき、1回目のパルス間隔T(1)と2回目のパルス間隔T(2)にばらつきが生じる場合がある。図13の例も、位置センサ2のパルス間隔のばらつきが2回周期で現れるため、異常検出時間TA、TBを上記の式(3)(4)のように設定できる。
図14にパルスノイズが検出された場合、図15にパルス抜けが検出された場合の位置検出用補正部13の動作例を示す。図14と図15において、1段目がセンサ信号、2段目と3段目がセンサ信号の立ち上がりエッジの検出値であるパルス間隔Tとカウンタcnt、4段目と5段目が検出値を補正したパルス間隔T’とカウンタcnt’である。
図14の1段目のセンサ信号は、パルスノイズにより本来のパルス1周期がT(2)とT(3)に2分割されている。それに伴い、センサ信号の検出値であるパルス間隔Tとカウンタcntが本来のパルスノイズがない場合の波形(点線)と異なる動作をしている。位置検出用補正部13において、位置センサ2から入力されるセンサ信号のパルス間隔Tとカウンタcntを式(5)(6)のように補正することで、パルスノイズが検出された直後の補正されたパルス間隔T’とカウンタcnt’は本来の波形と同等になる。
cnt’=cnt+T(n) (6)
図15の1段目のセンサ信号は、パルス抜けによって本来のパルス2周期がT(2)に合算されている。それに伴い、センサ信号の立ち上がりエッジの検出値であるパルス間隔Tとカウンタcntが本来のパルス抜けがない場合の波形(点線)と異なる動作をしている。位置検出用補正部13において式(8)のように補正することで、パルス抜けが検出された直後のカウンタcnt’は本来の波形に相当する波形になる。
位置検出用補正部13は、補正モードがパルスノイズ検出後の「制御継続A」、またはパルス抜け検出後の「制御継続B」である場合にセンサ信号の検出値であるパルス間隔T(n)とカウンタcntを補正する。図16の(1)はセンサ異常が検出されてから1回目のエッジが検出されるまで、(2)は1回目のエッジが検出されてから補正モードが「通常」に復帰するまでの補正例である。図14と図15の例のようにセンサ信号の片方のエッジのみ(今回の例では立ち上がりエッジ)を用いて位置検出を行う場合、センサ異常が検出されたのちに立ち上がりエッジが2回検出されると補正モードは「通常」に復帰する。
図1の構成例では、異常検出用補正部11と位置検出用補正部13の2つの補正部を設け、図2のフローチャートに示したステップST2の処理を異常検出用補正部11が行い、ステップST9の処理を位置検出用補正部13が行うようにしたが、1つの補正部がステップST2,ST9の両方の処理を行うようにしてもよい。
図17に、パルスノイズが連続して発生した場合の動作例を示す。異常検出部12により、図17の1回目のパルスノイズ検出で補正モードが「制御継続A」へ遷移し、2回目のパルスノイズ検出で「通電停止」に遷移する。
図18に、断線または短絡によりセンサ信号が固着し、パルス抜け異常が連続して発生した場合の動作例を示す。図18の例では、異常検出部12により、パルス抜け異常が2回連続で検出されて補正モードが「通電停止」に遷移する。
図19に、正常なセンサ信号をパルスノイズと誤検出する場合の動作例を示す。図19の例では、位置センサ2のばらつきまたは電動機1の加速により、正常なパルスが異常検出時間TAより早い間隔で検出され、時刻t2においてパルスノイズ異常が検出される。そして、時刻t3で補正モードが「通常」から「制御継続A」に遷移し、位置検出用補正部13と異常検出用補正部11は、検出されたエッジを無視するようにセンサ信号を補正する。正常なエッジを無視したことにより次のパルスまでセンサ信号が検出されなくなり、時刻t4でパルス抜け異常が検出される。図4および図5に示すように、異常検出部12において「制御継続A」の補正モードでパルス抜け異常が検出された場合、最初に検出されたパルスノイズ異常検出は誤検出であると判断され、「通常」モードに復帰する。つまり、センサ異常の誤検出が発生しても即座に正常復帰が可能である。
センサ信号処理部10、カウンタ3およびインバータ制御部4は、メモリ100に記憶されたプログラムを実行するCPUまたはシステムLSI等の処理回路101により、実現される。また、複数のメモリ100と複数の処理回路101が連携して上記機能を実行してもよい。
インバータ回路5は、電動機1に印加する電圧のONとOFFを切り替えるスイッチング素子などで構成される。
図22は、本発明の実施の形態2による電動機の制御装置の構成例を示すブロック図である。実施の形態2のセンサ信号処理部10は、ばらつき補正部20でセンサ信号のばらつきを補正した後、実施の形態1と同様に異常検出用補正部11、異常検出部12および位置検出用補正部13にてセンサ信号の異常検出と補正を行い、位置検出部14にてロータ位置を検出する。
図24に、常にON時間<OFF時間であるセンサ信号が入力される場合のばらつき補正部20の動作例を示す。図24の例の場合、ばらつきによりパルス間隔は2回周期で増減を繰り返す。この場合、パルス間隔の今回値と前回値で平均化することにより、ばらつきを平滑化することができる。第1平均化部21Aが過去2回分のパルス間隔を平均化する構成である場合、出力選択部22は、第1平均化部21Aの出力を選択して異常検出用補正部11と位置検出用補正部13へ入力する。
なお、図6のように(1)「パルスの1回のON時間と1回のOFF時間を合算してパルス間隔T(n)とする場合」にも、図24と図25のように(2)「パルスの1回のON時間、1回のOFF時間をそれぞれ別のパルス間隔T(n)、T(n+1)としてカウントする場合」にも、実施の形態2を適用可能である。(1)のカウント方法の場合は(2)のカウント方法の場合に対してパルス間隔の増減の周期Nが1/2になる。そのため、図24の例では(2)の場合は過去2回平均をとるが、(1)の場合は過去1回平均をとることになり補正なしとなる。同様に、図25の例では、(2)の場合は過去4回平均をとるが、(1)の場合は過去2回平均をとることになる。(1)(2)どちらの場合も、パルス間隔の増減の周期に対応した回数だけ過去のパルス間隔を平均化することは同様である。
Claims (8)
- 電動機の位置センサが出力するセンサ信号のパルス変化が第1異常検出時間内に検出された場合に異常を検出する第1検出部、および前記センサ信号のパルス変化が前記第1異常検出時間より長い第2異常検出時間内に検出されない場合に異常を検出する第2検出部を有し、前記第1検出部または前記第2検出部のいずれか一方が異常を検出した後に他方の検出結果に基づき最初の異常検出の正誤の判断を行い、当該最初の異常検出が誤検出の場合は前記センサ信号を正常と判断する異常検出部と、
前記異常検出部により異常が検出された場合にセンサ信号を補正する位置検出用補正部と、
前記異常検出部により異常が検出された場合は前記位置検出用補正部により補正されたセンサ信号を用い、異常が検出されなかった場合は補正前のセンサ信号を用いて、前記電動機のロータの位置を検出する位置検出部と、
前記異常検出部により異常が検出された場合、これ以降に前記異常検出部が異常検出に用いるセンサ信号を補正する異常検出用補正部とを備える電動機の制御装置。 - 前記位置検出用補正部または前記異常検出用補正部の少なくとも一方は、前記異常検出部により異常が検出された場合、前記第1検出部または前記第2検出部のどちらで異常が検出されたかによって補正方法を切り替えることを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
- 前記異常検出部は、前記第1検出部または前記第2検出部のいずれか一方が異常を検出した後、正常に戻ったと判断する前に同検出部が再度異常を検出した場合に前記電動機への通電を停止するよう判断することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
- 前記電動機のロータ回転数と前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間の少なくとも一方との対応関係が予め定められており、当該ロータ回転数が小さいとき前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間が大きく、当該ロータ回転数が大きいとき前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間が小さいことを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
- 前記異常検出部は、前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間の少なくとも一方を、前記センサ信号のパルス間隔と前記電動機の最大加速度とに基づいて設定することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
- 前記異常検出部は、前記センサ信号のパルス変化に周期的なばらつきがある場合、前記第1異常検出時間または前記第2異常検出時間の少なくとも一方を、前記ばらつきの周期に対応した回数分のパルス間隔と前記電動機の最大加速度とに基づいて設定することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
- 前記センサ信号の複数のパルス間隔を平均化して、前記センサ信号のパルス変化の周期的なばらつきを補正するばらつき補正部を備え、
前記異常検出部は、前記ばらつき補正部により補正されたセンサ信号を用いて異常検出を行うことを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。 - 前記ばらつき補正部は、前記センサ信号のパルス間隔が増減する周期を学習し、当該学習した周期でパルス間隔を平均化することを特徴とする請求項7記載の電動機の制御装置。
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