JP5194185B1 - 抗ウイルス組成物 - Google Patents

抗ウイルス組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5194185B1
JP5194185B1 JP2012139249A JP2012139249A JP5194185B1 JP 5194185 B1 JP5194185 B1 JP 5194185B1 JP 2012139249 A JP2012139249 A JP 2012139249A JP 2012139249 A JP2012139249 A JP 2012139249A JP 5194185 B1 JP5194185 B1 JP 5194185B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
antiviral composition
virus
fine particles
antiviral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012139249A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014001190A (ja
Inventor
藤森良枝
福井陽子
中山鶴雄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NBC Meshtec Inc
Original Assignee
NBC Meshtec Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NBC Meshtec Inc filed Critical NBC Meshtec Inc
Priority to JP2012139249A priority Critical patent/JP5194185B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5194185B1 publication Critical patent/JP5194185B1/ja
Publication of JP2014001190A publication Critical patent/JP2014001190A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Landscapes

  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】エンベロープの有無に関わらずウイルスに対して十分な不活化効果を有するとともに、即効性があり、長期保管中も安定して抗ウイルス効果がある抗ウイルス組成物を提供する。
【解決手段】抗ウイルス組成物は、一価の銅化合物微粒子と、還元剤と、分散媒を含む抗ウイルス組成物であって、pH6以下であることを特徴とする。また、前記抗ウイルス組成物は、前記一価の銅化合物微粒子が、塩化物、酢酸化合物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、およびチオシアン化物からなる群から少なくとも1種類選択されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、即効性と長期安定性を兼ね備えた抗ウイルス組成物に関する。
近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)やノロウイルス、鳥インフルエンザウイルスなどウイルス感染による死者が報告されている。さらに2009年、交通の発達やウイルスの突然変異によって、世界中にウイルス感染が広がる「パンデミック(感染爆発)」の危機に直面した。さらに口蹄疫などのウイルスによる大きな被害も出てきており、緊急の対策が急務である。このような事態に対応するために、ワクチンの開発も急がれているが、ワクチンの場合、その特異性により感染を防ぐことができるのは特定のウイルスに限定される。さらにワクチンの作成に時間がかかることから、ワクチンを必要量確保することが困難となっている。また、たとえワクチンを確保できたとしても、感染の拡大を防ぐには不十分であるのが現状である。
そのため、これらのウイルスによる感染や、感染者からの感染による被害の拡大を防ぐために、抗ウイルス効果のあるマスクや、拭き取りシートなどの開発が進められているが、特に利用者が気軽に、様々な基材に簡単に抗ウイルス効果を付与できたり、その場のウイルスを不活化できたりするという点で、スプレータイプの抗ウイルス剤や、液体タイプの抗ウイルス剤の開発が進められている(特許文献1、2、非特許文献1)。
特開2005−298374号公報 特開2010−239897号公報 Antimicrobial agents and chemotherapy,Vol.41 No.4, Apr.1997, P.812-817
しかしながら特許文献1の場合、有効成分が水溶性の高いポリ酸であること、抗ウイルス性を発揮するためにはポリ酸イオンが自由に動けるように水が必要であることから、高吸水性高分子化合物との併用が必須となり使用後の基材にはベタツキ感が出てしまうため、利用対象が制限される。さらにノロウイルスのように嘔吐物の中に存在するようなウイルスに対しては、嘔吐中の脂質やタンパク質などが障害となって効果が発揮できない。また特許文献2の場合、一価の銅化合物から溶出する一価の銅イオンの溶出量が少ないため、即効性を上げるためには、一価の銅化合物を高濃度にする必要があり、その結果、スプレー剤として用いると、抗ウイルス剤により対象物が白っぽくなってしまうなどの問題がある。さらに非特許文献1では粉体を用いていないため凝集や、着色などの問題が起きない代わりに一価の銅イオンが不安定なため、抗ウイルス効果が短時間しか発揮できないなどの問題があった。
また、ウイルスは、ノロウイルスなどのエンベロープを持つウイルスと、インフルエンザウイルスなどのエンベロープを持たないウイルスに分類できるが、エンベロープを持つウイルスを不活化できる薬剤であっても、エンベロープを持たないウイルスには作用しない場合がある。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、エンベロープの有無に関係なく一価の銅化合物が低濃度でウイルスを不活化でき、即効性があり、長期安定性に優れた抗ウイルス組成物を提供するものである。なお本明細書において、ウイルス不活化性と抗ウイルス性とは同義で用いている。
すなわち第1の発明は、一価の銅化合物微粒子と、還元剤と、分散媒を含む抗ウイルス組成物であって、pH6以下であることを特徴とする抗ウイルス組成物である。
また第2の発明は、上記第1の発明において、前記一価の銅化合物微粒子が、塩化物、酢酸化合物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、およびチオシアン化物からなる群から少なくとも1種類選択されることを特徴とする抗ウイルス組成物である。
さらに第3の発明は、上記第1または第2の発明において、前記一価の銅化合物微粒子が、CuCl、CuBr、Cu(CH3COO)、CuSCN 、Cu2S 、Cu2O、およびCuIからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする抗ウイルス組成物である。
第4の発明は、上記第1から第3のいずれかの発明において、前記一価の銅化合物微粒子が、該微粒子の粒径よりも大きい樹脂からなる微粒子に付着および/または埋め込まれてなることを特徴とする抗ウイルス組成物である。
本発明によれば、エンベロープの有無に関わらずウイルスに対して十分な不活化効果を有するとともに、一価の銅化合物が低濃度でも即効性があり、長期保管中も安定して抗ウイルス効果がある抗ウイルス組成物を提供できる。
実施例の抗ウイルス組成物に含まれる複合粒子のSEM画像である。 実施例の抗ウイルス組成物に含まれる複合粒子の断面のSEM画像である。 実施例の抗ウイルス組成物に含まれる複合粒子のSEM画像である。
以下、本発明の抗ウイルス組成物について詳述する。本発明の抗ウイルス組成物は、抗ウイルス効果を示す一価の銅化合物微粒子と、分散媒と、還元剤と、からなる懸濁液状の抗ウイルス組成物である。
本発明の抗ウイルス組成物に用いられる有効成分としては一価の銅化合物微粒子が挙げられる。これらはエンベロープの有無に関わらず、ウイルスを吸着してウイルスを不活化することが可能であり、タンパク質や脂質の存在下でも不活化可能である。一価の銅化合物微粒子のウイルス不活化機構については現在のところ必ずしも明確ではないが、一価の銅化合物微粒子が水分と接触すると、その一部がイオン化し一価の銅イオンを放出するが、この一価の銅イオンはウイルスと接触またはウイルス表面に吸着すると、電子を放出し、結果、この放出された電子が活性種を形成し、形成した活性種により何らかのダメージを与え、不活化させるものと思われる。
具体的な一価の銅化合物微粒子としては、塩化物、酢酸化合物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、水酸化物、シアン化物、チオシアン酸塩またはこれらの混合物からなることが好ましく、中でもCuCl、Cu(CH3COO)、CuI、CuBr、Cu2O、CuOH、CuCN、CuSCNからなる群から少なくとも1種以上選択されることが好適である。
本実施形態において、含有される一価の銅化合物微粒子の大きさは特に限定されないが、平均の粒子径が1nm以上、200μm以下とすることが好ましく、本実施形態の抗ウイルス組成物をスプレーに用いる場合では、スプレーのノズルからの良好な放出性を考慮すると、一価の銅化合物微粒子の平均粒子径は、10nm以上100μm以下であることが特に好ましい。
また本発明の一価の銅化合物微粒子と、分散媒と、還元剤からなる懸濁液状の抗ウイルス組成物において、含有される一価の銅化合物微粒子の量としては使用する目的や用途及び微粒子の大きさを考慮して適宜設定すればよいが、当該抗ウイルス組成物において、0.01mg/mL以上100mg/mL以下の濃度で含まれていることが好ましい。一価の銅化合物微粒子が0.01mg/mLに満たない場合は、抗ウイルス作用が十分に発現しないことがある。また、100mg/mLよりも多くしても100mg/mLの場合と比較して抗ウイルス性の効果に大差はない。
本発明の抗ウイルス組成物において不活性化できるウイルスについては特に限定されず、ゲノムの種類や、エンベロープの有無等に係ることなく、様々なウイルスを不活化することができる。例えば、ライノウイルス・ポリオウイルス・口蹄疫ウイルス・ロタウイルス・ノロウイルス・エンテロウイルス・ヘパトウイルス・アストロウイルス・サポウイルス・E型肝炎ウイルス・A型、B型、C型インフルエンザウイルス・パラインフルエンザウイルス・ムンプスウイルス(おたふくかぜ)・麻疹ウイルス・ヒトメタニューモウイルス・RSウイルス・ニパウイルス・ヘンドラウイルス・黄熱ウイルス・デングウイルス・日本脳炎ウイルス・ウエストナイルウイルス・B型、C型肝炎ウイルス・東部および西部馬脳炎ウイルス・オニョンニョンウイルス・風疹ウイルス・ラッサウイルス・フニンウイルス・マチュポウイルス・グアナリトウイルス・サビアウイルス・クリミアコンゴ出血熱ウイルス・スナバエ熱・ハンタウイルス・シンノンブレウイルス・狂犬病ウイルス・エボラウイルス・マーブルグウイルス・コウモリリッサウイルス・ヒトT細胞白血病ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・ヒトコロナウイルス・SARSコロナウイルス・ヒトポルボウイルス・ポリオーマウイルス・ヒトパピローマウイルス・アデノウイルス・ヘルペスウイルス・水痘帯状発疹ウイルス・EBウイルス・サイトメガロウイルス・天然痘ウイルス・サル痘ウイルス・牛痘ウイルス・モラシポックスウイルス・パラポックスウイルスなどを挙げることができる。
また本発明の抗ウイルス組成物は分散媒を含んでいる。具体的な分散媒としては、水および/または低級アルコールを用いることができる。低級アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコールを用いることができる。また、これらの分散媒は2種以上混合して用いてもよい。なお、本発明において、含有される分散媒の構成成分の比率は、必要に応じて変更可能である。
また本発明の抗ウイルス組成物は還元剤を含むことを特徴とする。有効成分として一価の銅化合物を用いると、分散媒中に溶け出た一価の銅イオンは、安定ではあるが抗ウイルス効果の低い二価になろうとするため、長期に保管すると二価の銅イオンの比率が高くなり抗ウイルス性能が低くなってしまう。しかし、ここで還元剤を添加しておくと、二価の銅イオンが還元作用により抗ウイルス効果の高い一価の銅イオンとなるため、一価の銅イオンの状態が維持され、抗ウイルス効果の高い状態で安定に長期保管できるようになる。さらに本発明の抗ウイルス組成物は水溶液だけでなく、一価の銅化合物微粒子を含んでいるので、常に一価の銅イオンが飽和状態(濃度の高い状態)で溶液中に存在することができる。
使用可能な還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウムや、次亜燐酸ナトリウムや、ヒドラジンや、2価の錫化合物や、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸などのオキシカルボン酸や、それらの塩などが挙げられる。また、還元剤は、還元糖、糖アルコール類、アルコール類であってもよい。還元糖は、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フルクトース、マルトースなどを挙げることができる。また、糖アルコール類は、例えば、ソルビトールなどを挙げることができる。また、アルコール類は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどを挙げることができる。さらに有機酸では、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸などのオキシカルボン酸や、それらの塩などが挙げられる。
また、本実施形態の抗ウイルス組成物は、pHが6以下である。一価の銅化合物微粒子から溶出する一価の銅イオンはpH6以下の酸性領域下で増えるため(すなわち、抗ウイルス性が向上するため)である。pHを6以下に調整するためには、一価の銅化合物微粒子が分散した懸濁液(一部銅イオンが溶出している溶液)に酸を加えればよい。その場合、pH調整を容易にするために公知のpH緩衝剤を用いることができる。還元剤の中でも有機酸やその塩は、それ自身が酸であることや、分散媒中の2価の銅イオンをキレートすることにより、一価の銅化合物からの一価の銅イオンの溶出を助けるため、特に好適に用いられる。
以上の本実施形態に係る抗ウイルス組成物はスプレー剤などとして使用できる。本実施形態の抗ウイルス組成物は粉体と液体との懸濁液であるので、被処理物に存在しているウイルスを液体中の一価の銅イオンが不活化した後でも、そこに一価の銅化合物微粒子が留まり、空気中の水分などに接触することで一価の銅イオンを放出し続けるため、長期間、抗ウイルス効果を持たせることができる。
なお、本実施形態の抗ウイルス組成物には、一価の銅化合物微粒子の分散性をさらに高めるための分散剤を添加してもよい。分散剤としては、例えば界面活性剤や高分子系分散剤を用いることができる。
界面活性剤としては、具体的には、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を使用できる。アニオン系界面活性剤としては、親水基としてカルボン酸、スルホン酸、あるいはリン酸構造を持つものとすることができる。また、カルボン酸系としては、例えば石鹸の主成分である脂肪酸塩やコール酸塩とすることができる。また、スルホン酸系としては合成洗剤に多く使われる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。より具体的には、脂肪酸ソーダ石鹸、オレイン酸カリウム石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどの硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などのスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウム塩、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸などが挙げられる。これらは単独または複数を組み合わせて用いてもよい。
また、ノニオン系界面活性剤としては、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物および高級アルコールエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸エチレンオキシド付加物およびポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物および脂肪酸アミドエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよびポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、非イオン界面活性剤グリセリンおよびペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド脂肪酸、アルカノールアミドなどが挙げられる。これらは単独または複数を組み合わせて用いてもよい。
さらに、高分子系分散剤としては、ポリウレタンプレポリマー、スチレン・ポリカルボン酸共重合体、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ゼラチン、さらに、オリゴマーおよびプレポリマーとしては、不飽和ポリエステル、不飽和アクリル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート、マレイミド、ポリエン/ポリチオールや、アルコキシオリゴマーなどが挙げられる。
また、本実施形態の抗ウイルス組成物においては、一価の銅化合物微粒子と共に、他の機能性微粒子を併用してもよい。機能性微粒子としては、他の抗ウイルス組成物、抗菌剤、防かび剤、抗アレルゲン剤、触媒、などが挙げられる。このような別の機能を持った機能性微粒子を併用することで、抗ウイルス組成物に別の効果をさらに付与することができる。
さらに併用する機能性微粒子としては、付与したい機能に応じて非金属酸化物、金属酸化物、金属複合酸化物などの無機化合物の微粒子を用いることもできる。無機化合物の粒子の結晶性は、非晶性あるいは結晶性のどちらでも良い。非金属酸化物としては、酸化珪素が挙げられる。また、金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化バリウム、過酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、過酸化チタン、過酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、水酸化鉄、酸化タングステンなどが挙げられる。また、金属複合酸化物としては、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイト、エリナイトなどのゼオライト類、ハイドロキシアパタイトなどのアパタイト類、珪藻土、酸化チタンバリウム、酸化コバルトアルミニウム、TiO−WO3、Al−SiO、WO−ZrO、WO−SnOなどが挙げられ、特に、多孔質材料であるゼオライト類や、アパタイト類、珪藻土などを用いることで、これらの粒子が持つ消臭効果が期待できるため、ウイルスが不活化でき、消臭効果も持つ多機能な抗ウイルス組成物を提供することができる。その他に、無機化合物の粒子として、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機化合物の粒子を用いてもよい。
次に、具体的な一価の銅化合物微粒子の例としてヨウ化銅(I)微粒子を挙げ、これを含む本実施形態の一価の銅化合物微粒子および分散媒を含む抗ウイルス組成物の製造方法について、具体的に説明する。ヨウ化銅(I)は、ジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、振動ミルなどによりミクロンオーダーの粒子に粉砕する。次に、粉砕により得たヨウ化銅(I)の微粒子と、必要に応じて機能性微粒子、および界面活性剤や高分子系分散剤などを、水やエタノール、イソプロピルアルコールなどの分散媒に混合してプレ分散する。その後、ビーズミルやボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、ホモジナイザーなどの装置を用いて分散・解砕する。これにより作成した、ヨウ化銅(I)の微粒子と無機微粒子とを分散したスラリーに還元剤を添加し、必要に応じてpH緩衝剤などを加えてpHを調整することで本発明の抗ウイルス組成物とすることができる。酸化銅など他の一価の銅化合微粒子を用いる場合についても同様の方法で本実施形態の抗ウイルス組成物を製造することができる。
(他の実施形態)
抗ウイルス組成物の有効成分として用いている一価の銅化合物微粒子の別形態として、複合粒子として用いることもできる。本実施形態の複合粒子は、一価の銅化合物微粒子からなる子粒子と、該子粒子よりも粒径が大きく、かつ樹脂からなる母粒子からなり、該子粒子は該母粒子の表面に付着するか、一部分が露出した状態で埋め込まれて母粒子に固定されている。当該複合粒子には、子粒子と母粒子に加えて、前述した機能性粒子や無機化合物の微粒子が固定されていてもよい。機能性粒子あるいは無機化合物の微粒子は、子粒子と同様に、母粒子の表面に機能性粒子や無機化合物の微粒子の表面の一部分が露出した状態で付着および/または埋没していることにより、母粒子に固定することができる。
抗ウイルス組成物をスプレー剤などの剤形としたときに、含有される一価の銅化合物粒子の粒子径が小さいと、分散剤などを入れていても凝集することがある。凝集が起きると、分散媒に均一に分散しにくかったり、ノズルが詰まったり、1度に噴霧できる範囲が狭くなるなど、十分な抗ウイルス効果を発揮できない場合がある。他にもマスクなど抗ウイルス効果を付けたい基材の表面に抗ウイルス組成物を噴霧した場合に、凝集体は基剤との密着性が悪いため脱落する場合がある。
これに対し、複合粒子を用いた抗ウイルス組成物は、一価の銅化合物粒子(子粒子)が樹脂粒子(母粒子)に付着および/または埋没して固定されることにより、一価の銅化合物粒子の凝集を抑制することができる。したがって、本実施形態の抗ウイルス組成物は、スプレー剤とした場合にも、一価の銅化合物粒子の分散性が高く、十分な抗ウイルス効果を発揮できる。つまり、一価の銅化合物微粒子の量が少量で高い抗ウイルス効果が得られるため、スプレー剤として噴霧しても透明性が高いスプレー剤が提供できる。さらに、母粒子が樹脂である複合粒子は、同じ粒径の銅化合物微粒子に比べて粒子重量が軽くなるため、分散媒中において沈降しにくい(分散状態が維持されやすい)という利点がある。
本実施形態に係る母粒子は、樹脂から構成されるものであれば特に限定されず、当業者が適宜設定可能である。具体的には、母粒子を構成する樹脂として、架橋アクリルや、PMMA、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン、セルロースなどが挙げられる。このうち、子粒子との密着性や、分散媒との相性などの観点から、ナイロンやポリエチレンが好適に用いられる。
母粒子の体積平均粒子径(D50)は1μm以上5000μm以下、好ましくは1μm以上1000μm以下、より好ましくは1μm以上500μm以下、さらに好ましくは4μm以上200μm以下のものが好適に用いられる。なお、体積平均粒子径(体積D50)とは、粒径から計算される個々の粒子の体積和から求められる、体積和が50%となるときに対応する粒子の粒径をいう。当該体積平均粒子径は、例えばゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子(株)社製 ELSZ−2)などを用いて測定することができる。以下の説明においては、体積平均粒子径を、単に、平均粒子径または粒径とも称す。
母粒子の粒径が1〜5000μmであることが、子粒子や前述の機能性粒子、無機化合物の微粒子を母粒子の表面に固定しやすいため、好ましい。一方、母粒子の粒径が1μmより小さいと、範囲内である場合と比較して、母粒子に子粒子を固定しにくくなる。また、母粒子の粒子径が5000μmより大きいと、範囲内である場合と比較して、外観のなめらかさが消失してしまう。特に、本実施形態の抗ウイルス組成物をスプレーにした場合、吸い込みによる人の肺への影響を考えると、粒径4μm以上のものを用いると、より一層安全性を高めた抗ウイルス組成物が提供できるので好適である。なお、本実施形態の抗ウイルス組成物においては、母粒子として樹脂を用いて構成しているので、このような好ましい範囲の粒径に制御することが容易である。
複合粒子を用いた実施形態の抗ウイルス組成物では、子粒子として前述の一価の銅化合物微粒子を用いることができる。子粒子の粒径は、母粒子の粒径より小さい限り特に限定されず、母粒子の粒径にあわせて適宜決定できるが、母粒子の粒径の1/10以下であることが好ましい。具体的には平均粒子径が1nm以上、50μm未満であることが好ましい。粒径は小さい方が、母粒子に埋没している(表に出ない)部分の体積が少なくて済むため、少量で効率よく抗ウイルス効果を示せる。一方で、1nm未満では、範囲内にある場合と比較して、化学的に不安定となりやすいので、抗ウイルス効果を維持できにくくなる。また、50μm以上である場合は、範囲内にある場合と比較して、埋没している子粒子が母粒子の表面から脱落しやすくなる。
このように、抗ウイルス性を有する子粒子が当該子粒子よりも粒径の大きい母粒子にその一部分を露出した状態で付着および/または埋没していることで、子粒子の外部に露出している部分の表面積を高く保ちつつ凝集を防止できる。加えて、上述のとおり、本実施形態の子粒子が樹脂である母粒子にその一部分を露出した状態で付着および/または埋没していることで、例えば抗ウイルス組成物をスプレー剤の剤形としたときなどに、噴霧時に吸い込んでしまった時の安全性も、より高めた抗ウイルス組成物を構成することもできる。ここで、複合粒子が平滑な略球形になるように該子粒子を母粒子に付着および/または埋没させることで、子粒子が直接、人体に接触する面積を減らすことができるため、さらに安全性を高めた抗ウイルス組成物が提供できる。
以上説明した子粒子(および併用される他の機能性微粒子、無機化合物の微粒子)は、前述の母粒子の表面に埋めこまれている。この母粒子と子粒子(および併用される機能性微粒子、無機化合物の微粒子)との複合粒子の製造方法は、母粒子と子粒子とを複合化できれば特に限定されないが、例えば、乳鉢などで母粒子と子粒子とを混ぜ合わせることで子粒子が母粒子に埋め込まれた複合粒子を形成することができる。また、その他に例えば、母粒子と子粒子を衝突させるなどして機械的に母粒子と子粒子を結合させる高速気流衝撃法や、母粒子と子粒子に強い圧力を加えることにより生じるエネルギーによって母粒子と子粒子とを結合させる表面融合法などのメカノケミカル法によっても形成することができる。
具体的に、子粒子を母粒子に埋め込んで固定することにより複合微粒子を作成可能な装置としては、汎用的なボールミルの他、回転翼式では株式会社カワタのスーパーミキサー、震蕩式では浅田鉄工株式会社のペイントシェーカーなどが例示でき、この他にも株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(登録商標)やホソカワミクロン株式会社のメカノフュージョン(登録商標)、媒体流動乾燥機などが例示されるが、特にこれらの装置には限定されない。
さらに、他の混合方法として、例えば転動式ボールミル、高速回転粉砕機、高速気流衝撃法粉砕機、媒体攪拌型ミル、機械的融合装置を用いることができる。これらの操作因子としては、例えば高速回転粉砕機にあっては、攪拌速度、メディア質量、攪拌時間などの調整などで子粒子の母粒子への埋め込み度(埋め込まれる深さ)を調節でき、高速気流衝撃法粉砕機にあっては、キャリアガスの圧力、滞留時間などの調整などで子粒子の母粒子への埋め込み度を調節できる。
複合化処理では、母粒子に対する子粒子の割合が、0.5質量%以上、40質量%未満となるように、上述したような複合微粒子を作成可能な複合装置に投入される。また、上述の装置による複合化処理において、攪拌時間などを調整することで、表面が平滑な抗ウイルス組成物の複合微粒子を形成することができる。つまり、複合化処理において、母粒子に子粒子が埋め込まれた後、さらにその複合微粒子が互いに衝突することにより、子粒子が母粒子により深く埋め込まれるため、子粒子が母粒子の表面から突出していない滑らかな表面が形成される。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(抗ウイルス組成物の作成)
(実施例1)
市販のヨウ化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製 和光一級、粒径1.0μm)と、還元剤としてアスコルビン酸と、分散媒である水と、の懸濁液(懸濁液濃度1mg/mL)にアスコルビン酸ナトリウムを加えてpH2.0に調整した後、噴射剤であるジメチルエーテル(DME)と混合し、エアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(実施例2)
実施例1で用いたヨウ化銅(I)粉末の代わりに酸化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製 和光一級)をジェットミルにて粉砕して440nmとした微粒子を用いた以外は同様の条件でエアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(実施例3)
市販のヨウ化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製 和光一級、粒径540nm)と、還元剤としてクエン酸と、分散媒である水と、の懸濁液(懸濁液濃度1mg/mL)にクエン酸ナトリウム加えてpH3.4に調整した後、噴射剤であるジメチルエーテル(DME)と混合し、エアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(実施例4)
市販のヨウ化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製 和光一級、粒径160nm)と、還元剤として酒石酸と、分散媒である水と、の懸濁液(懸濁液濃度0.1mg/mL)に酒石酸ナトリウムを加えてpH4.0に調整した後、噴射剤であるジメチルエーテル(DME)と混合し、エアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(実施例5)
実施例4で使用した、ヨウ化銅(I)粉末を、水とエタノールを1:1の重量比で混合した溶媒に抗ウイルス組成物において1.0質量%となるように分散した後、還元剤としてクエン酸を抗ウイルス組成物において2.0質量%となるように添加し、クエン酸ナトリウムを加えてpH3.0に調整することで抗ウイルス組成物を得た。
(実施例6)
実施例2で使用した、酸化銅(I)粉末を、水とエタノールを1:1の重量比で混合した溶媒に抗ウイルス組成物において1.0質量%となるように分散した後、還元剤としてクエン酸を抗ウイルス組成物において2.0質量%となるように添加し、クエン酸ナトリウムを加えてpH3.0に調整することで抗ウイルス組成物を得た。
(実施例7)
実施例1のヨウ化銅(I)粉末をジェットミルで粉砕し、抗ウイルス性を有する子粒子として、平均粒子径160nmのヨウ化銅(I)粒子を得た。また、母粒子として、平均粒子径10μmのナイロン6粒子(東レ株式会社製TR−1)を用いた。ヨウ化銅(I)粒子600gとナイロン6粒子2000gとを十分に混合した。続いて、ノビルタNOB(ホソカワミクロン株式会社製 登録商標)を用いてナイロン6粒子の表面にヨウ化銅(I)粒子をその一部分が露出した状態で埋没させることにより、複合粒子を得た。得られた複合粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を図1に示す。また得られた複合粒子の断面のSEM画像を図2に示す。得られた複合粒子と、還元剤としてのクエン酸と、分散媒である水と、の懸濁液(懸濁液濃度5mg/mL)に、クエン酸ナトリウムを加えてpH3.5に調整した後、噴射剤であるジメチルエーテル(DME)を混合し、エアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(実施例8)
実施例7で用いたヨウ化銅(I)粉末を実施例2の酸化銅(I)粉末に替えた以外、同様の条件で複合粉体を作製し、得られた複合粒子と、還元剤としてのクエン酸と、分散媒である水と、の懸濁液(懸濁液濃度5mg/mL)に、クエン酸ナトリウムを加えてpH3.5に調整した後、噴射剤であるジメチルエーテル(DME)を混合し、エアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(実施例9)
実施例7で作成した複合粒子を、水とエタノールを1:1の重量比で混合した溶媒に抗ウイルス剤において5.0質量%となるように分散した後、還元剤としてクエン酸を抗ウイルス剤において2.0質量%となるように添加し、クエン酸ナトリウムを加えてpH3.0に調整することで抗ウイルス組成物を得た。
(実施例10)
実施例8で作成した複合粒子を、水とエタノールを1:1の重量比で混合した溶媒に抗ウイルス剤において5.0質量%となるように分散した後、還元剤としてクエン酸を抗ウイルス剤において2.0質量%となるように添加し、クエン酸ナトリウムを加えてpH3.0に調整することで抗ウイルス組成物を得た。
(実施例11)
実施例7のノビルタNOB(ホソカワミクロン株式社製 登録商標)を用いるかわりに遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製)を用いて複合粒子を得た以外は実施例7と同様の方法にてエアゾール剤とした。この時の複合粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を図3に示す。
(実施例12)
実施例1のヨウ化銅(I)粉末と、市販のゼオライト(ユニオン昭和株式会社製ABSCENTS−2000)を一緒にジェットミルで粉砕し、平均粒子径1μmの、ヨウ化銅(I)粒子とゼオライト粒子からなる粒子混合物を得た。また、母粒子として、平均粒子径10μmのナイロン6粒子(東レ株式会社製TR−1)を用いた。ヨウ化銅(I)粒子とゼオライト粒子からなる粒子混合物600gとナイロン6粒子2000gとを十分に混合した。続いて、自動乳鉢(日陶化学株式会社製)を用いてナイロン6粒子にヨウ化銅(I)粒子とゼオライト粒子をそれらの一部分が露出した状態で埋没させることにより、複合粒子を得た。得られた複合粒子と、還元剤としてのアスコルビン酸と、分散媒である水と、の懸濁液(懸濁液濃度5mg/mL)に、アスコルビン酸ナトリウムを加えてpH3.5に調整した後、噴射剤であるジメチルエーテル(DME)を混合し、エアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(比較例1)
実施例1のヨウ化銅(I)粉末を用いない以外は実施例1と同様の方法にてエアゾール剤とした。この時の懸濁液はpH2.0であった。
(比較例2)
実施例3の還元剤としてのクエン酸を用いない以外は実施例3と同様の方法でエアゾール剤とした。この時の懸濁液はpH7.4であった。
(比較例3)
実施例7のヨウ化銅(I)粉末を用いない(つまり、母粒子のナイロン6粒子のみとする)以外は実施例7と同様の方法でエアゾール剤とした。この時の懸濁液はpH3.5であった。
(比較例4)
実施例7で用いた還元剤(クエン酸)の代わりにクエン酸ナトリウムを用いる以外は実施例7と同様の方法でエアゾール剤とした。この時の懸濁液はpH7.1であった。
(比較例5)
市販の塩化銅(II)粉末(和光純薬工業株式会社 和光一級、粒径2.0μm)を水に溶解させた水溶液(濃度0.2mg/ml)と、還元剤としてアスコルビン酸を水に溶解させた水溶液(濃度4.5mg/ml)とを等量混合した後、この混合液にアスコルビン酸ナトリウムを加えてpH3.5に調整し、調整した溶液と噴射剤であるジメチルエーテル(DME)とを混合し、エアゾール容器に充填してエアゾール剤とした。
(抗ウイルス性の評価)
次に、上記の実施例、比較例の各サンプルをエンベロープウイルスとしてインフルエンザウイルス(influenza A/北九州/159/93(H3N2))を、非エンベロープウイルスとして、ノロウイルスの代替として一般的に使用されているネコカリシウイルス(feline calicivirus(F9株))と接触させて抗ウイルス性を評価した。
80g/m2の綿不織布(4cm×4cm)をプラスチックシャーレに入れ、インフルエンザウイルス、ネコカリシウイルスの各々のウイルス懸濁液を0.2mL滴下した。当該不織布それぞれの表面全体に、実施例1〜11および比較例1〜5のサンプルを1mL噴霧した。5分後、反応をとめるためにSCDLPを1.8mL滴下後、ピペッティングによりウイルスを洗い出した。このウイルス洗い出し液を試料原液として、各反応サンプルが10-2〜10-5になるまでMEM希釈液にて希釈を行った(10倍段階希釈)。シャーレに培養したMDCK細胞、又はCrFK細胞にサンプル液100μLを接種した。60分間静置しウイルスを細胞へ吸着させた後、0.7%寒天培地を重層し、48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い、形成されたプラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1ml,Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出した。コントロールには実施例のサンプルを用いずウイルス液を加えた場合の値を用いた。各実施例、比較例の形態についておよびウイルス評価の結果を表1に示す。
上記の結果より、酸性ではあるが抗ウイルス組成物が入っていない比較例1、3のサンプルではインフルエンザウイルスに対して90.0%から97.5%、ネコカリシウイルスに対して84.2%から98.0%の不活化率であること、抗ウイルス組成物が入っているが、中性領域である比較例2、4ではインフルエンザウイルスに対して99.7%から99.8%、ネコカリシウイルスに対して99.8%の不活化率であることがわかった。これに対し、全てのヨウ化銅(I)粉末を含む実施例では、インフルエンザウイルス、ネコカリシウイルスに対し、5分間で検出限界値以下(99.9998%以上)、酸化銅(I)粉末を含む実施例では、インフルエンザウイルス、ネコカリシウイルス共に99.98%から99.99%となる即効性のある高い抗ウイルス効果が確認できた。このことから本抗ウイルス組成物は、エンベロープの有無に関係なく、幅広いウイルスに効果があることが示された。なおここでいう不活化率は下記式で定義された値をいう。
(抗ウイルス性の長期安定性に関する評価)
次に、上記の実施例1、7、比較例5の各サンプルをガラスのサンプル瓶に入れ、室温にて30分放置後、および室温にて1か月放置後それぞれの場合について、エンベロープウイルスとしてインフルエンザウイルス(influenza A/北九州/159/93(H3N2))と、非エンベロープウイルスとして、ノロウイルスの代替として一般的に使用されているネコカリシウイルス(feline calicivirus(F9株))とを接触させて抗ウイルス性を評価した。感染価の測定方法は上記と同じ方法にて行った。その結果を表2に示す。

上記の結果より、表1に示したように水溶液タイプの抗ウイルス組成物(比較例5)は作成直後は効果があるが、30分という短時間放置しただけでも、インフルエンザウイルスに対し99.5%、ネコカリシウイルスに対し99.0%と効果が低下し、1か月後にはインフルエンザウイルスに対し98.4%、ネコカリシウイルスに対し95.0%とさらに効果が低下することが確認できた。
これに対し、本願の抗ウイルス組成物は一価の銅化合物微粒子単独のタイプ(実施例1)も複合粒子タイプ(実施例7)も、1か月経過後でもウイルスとの接触後5分間という短時間でウイルスを安定して検出限界値以下まで不活化できた。従って、実施例は即効性のある高い抗ウイルス効果が長期間維持されることが確認できた。
(アンモニアに対する消臭性評価)
実施例7、12、比較例3の抗ウイルス組成物各1gをそれぞれ5Lのテドラーパックに入れた後、100ppmの濃度のアンモニアガス/窒素バランスを同テドラーパック内に注入した。その後、30分おきに2時間後まで、テドラーパック内のアンモニアガス濃度をアンモニアガス検知管(株式会社ガステック製,3La)を用いて測定した。尚、コントロールはサンプルがない場合(実施例および比較例のいずれのサンプルも加えられていない場合)とした。結果を表3に示す。

上記の結果より、実施例7,12ともにテドラーバッグ内のアンモニア濃度の減少が確認できたが、特に子粒子のヨウ化銅(I)粒子とゼオライト(無機多孔質微粒子)を母粒子に埋没させた複合粒子タイプの実施例12で顕著な効果が確認できた。以上の結果から、本発明の抗ウイルス組成物はウイルスを不活化させるだけでなく、消臭効果もあるマルチな材料として利用できることが確認できた。

Claims (4)

  1. 一価の銅化合物微粒子と、還元剤と、分散媒を含む抗ウイルス組成物であって、pH6以下であることを特徴とする抗ウイルス組成物。
  2. 前記一価の銅化合物微粒子が、塩化物、酢酸化合物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、およびチオシアン化物からなる群から少なくとも1種類選択されることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス組成物。
  3. 前記一価の銅化合物微粒子が、CuCl、CuBr、Cu(CH3COO)、CuSCN、Cu2S、Cu2O、およびCuIからなる群から少なくとも1種選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の抗ウイルス組成物。
  4. 前記一価の銅化合物微粒子が、該微粒子の粒径よりも大きい樹脂からなる微粒子に付着および/または埋め込まれてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の抗ウイルス組成物。
JP2012139249A 2012-06-20 2012-06-20 抗ウイルス組成物 Active JP5194185B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012139249A JP5194185B1 (ja) 2012-06-20 2012-06-20 抗ウイルス組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012139249A JP5194185B1 (ja) 2012-06-20 2012-06-20 抗ウイルス組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5194185B1 true JP5194185B1 (ja) 2013-05-08
JP2014001190A JP2014001190A (ja) 2014-01-09

Family

ID=48533998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012139249A Active JP5194185B1 (ja) 2012-06-20 2012-06-20 抗ウイルス組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5194185B1 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013014564A (ja) * 2011-07-06 2013-01-24 Nbc Meshtec Inc 抗ウイルス剤
WO2018110332A1 (ja) 2016-12-15 2018-06-21 東洋製罐グループホールディングス株式会社 抗ウイルス性を有する分散液
KR20180126557A (ko) 2016-03-28 2018-11-27 도요세이칸 그룹 홀딩스 가부시키가이샤 분산액과 그의 제조 방법, 및 구리 화합물 입자
WO2019069942A1 (ja) 2017-10-03 2019-04-11 東洋製罐グループホールディングス株式会社 金属銅微粒子及びその製造方法
US20210235702A1 (en) * 2016-03-01 2021-08-05 Toagosei Co., Ltd. Antiviral agent, coating composition, resin composition and antiviral product

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6145758B2 (ja) * 2013-12-17 2017-06-14 パナソニックIpマネジメント株式会社 抗ウイルス性樹脂組成物及び抗ウイルス性部材
CN104866054A (zh) * 2014-02-26 2015-08-26 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 多相电源保护电路
JP6885145B2 (ja) * 2016-03-28 2021-06-09 東洋製罐グループホールディングス株式会社 分散液及びその製造方法並びに銅化合物粒子
US20200359633A1 (en) * 2017-09-04 2020-11-19 Nbc Meshtec Inc. Antimicrobial/antiviral composition

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1073738A (ja) * 1996-06-21 1998-03-17 Furukawa Electric Co Ltd:The 光伝送用波長多重通信リンク
JP2005298374A (ja) * 2004-04-08 2005-10-27 Rikogaku Shinkokai 抗ウイルス抗菌組成物
WO2010026730A1 (ja) * 2008-09-03 2010-03-11 Nbc株式会社 抗ウイルス剤
JP2010168578A (ja) * 2008-12-25 2010-08-05 Nbc Meshtec Inc 抗ウイルス性塗料および抗ウイルス性塗料が塗布乾燥された部材
JP2010239897A (ja) * 2009-04-06 2010-10-28 Nbc Meshtec Inc ウイルス不活化剤
WO2011040048A1 (ja) * 2009-10-02 2011-04-07 株式会社Nbcメッシュテック ウイルス不活化シート
WO2011078203A1 (ja) * 2009-12-24 2011-06-30 国立大学法人 東京大学 ウイルス不活化剤

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1073738A (ja) * 1996-06-21 1998-03-17 Furukawa Electric Co Ltd:The 光伝送用波長多重通信リンク
JP2005298374A (ja) * 2004-04-08 2005-10-27 Rikogaku Shinkokai 抗ウイルス抗菌組成物
WO2010026730A1 (ja) * 2008-09-03 2010-03-11 Nbc株式会社 抗ウイルス剤
JP2010168578A (ja) * 2008-12-25 2010-08-05 Nbc Meshtec Inc 抗ウイルス性塗料および抗ウイルス性塗料が塗布乾燥された部材
JP2010239897A (ja) * 2009-04-06 2010-10-28 Nbc Meshtec Inc ウイルス不活化剤
WO2011040048A1 (ja) * 2009-10-02 2011-04-07 株式会社Nbcメッシュテック ウイルス不活化シート
WO2011078203A1 (ja) * 2009-12-24 2011-06-30 国立大学法人 東京大学 ウイルス不活化剤
JP2011153163A (ja) * 2009-12-24 2011-08-11 Univ Of Tokyo ウイルス不活化剤

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6012045148; SAGRIPANTI,J.-L., ET AL.: '"Mechanism of Copper-Mediated Inactivation of Herpes Simplex Virus"' ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY VOL.41,NO.4, 1997, PP.812-817 *

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013014564A (ja) * 2011-07-06 2013-01-24 Nbc Meshtec Inc 抗ウイルス剤
US20210235702A1 (en) * 2016-03-01 2021-08-05 Toagosei Co., Ltd. Antiviral agent, coating composition, resin composition and antiviral product
US12041936B2 (en) * 2016-03-01 2024-07-23 Toagosei Co., Ltd. Antiviral agent, coating composition, resin composition and antiviral product
KR20180126557A (ko) 2016-03-28 2018-11-27 도요세이칸 그룹 홀딩스 가부시키가이샤 분산액과 그의 제조 방법, 및 구리 화합물 입자
US11324222B2 (en) 2016-03-28 2022-05-10 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Dispersion liquid, method for producing the same, and copper compound particles
WO2018110332A1 (ja) 2016-12-15 2018-06-21 東洋製罐グループホールディングス株式会社 抗ウイルス性を有する分散液
CN110198632A (zh) * 2016-12-15 2019-09-03 东洋制罐集团控股株式会社 具有抗病毒性的分散液
US11647744B2 (en) 2016-12-15 2023-05-16 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Dispersion solution having antiviral property
WO2019069942A1 (ja) 2017-10-03 2019-04-11 東洋製罐グループホールディングス株式会社 金属銅微粒子及びその製造方法
US11452743B2 (en) 2017-10-03 2022-09-27 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Metallic copper fine particles and method for producing the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014001190A (ja) 2014-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5194185B1 (ja) 抗ウイルス組成物
JP5452966B2 (ja) ウイルス不活化剤
CA2735793C (en) Antiviral agent
JP4960509B2 (ja) 抗ウイルス性を有する部材
US9108854B2 (en) Biocidal colloidal dispersions of silica particles with silver ions adsorbed thereon
JP4598130B2 (ja) 保存安定性に優れた広域抗ウイルス薬剤組成物
KR20230038650A (ko) 바이러스 활성 및/또는 항균성 잉크 및 코팅
JP4611722B2 (ja) 抗菌性液体組成物およびその製造方法
AR057212A1 (es) Composicion de liberacion prolongada del principio activo, su proceso de preparacion y su utilizacion
Esteban‐Tejeda et al. High antibacterial and antifungal activity of silver monodispersed nanoparticles embedded in a glassy matrix
JP5603298B2 (ja) 抗ウイルス剤
JP2017088509A (ja) 抗菌性部材
CN109796800A (zh) 一种纳米光触媒室内喷涂剂及其制备工艺
JP2023545243A (ja) グラフェン-銀ナノコンポジット及び抗微生物組成物としてのその使用
CN101856726B (zh) 多功能纳米银溶液的制备方法
CN103814893A (zh) 一种复配农药增效剂及其在农药制剂中的应用
CN111466407A (zh) 用于抗击冠状病毒的纳米银喷雾剂和方法
JP2022165907A (ja) 抗菌性組成物
JP7509370B2 (ja) 抗ウイルス剤及びウイルスの除去方法
KR101781105B1 (ko) 항바이러스 조성물
CN106735308A (zh) 一种食品级小粒径纳米银溶胶的制备方法
CN111704816A (zh) 一种长效缓释杀菌抗病毒涂料及其制备方法和应用
CN114097821A (zh) 一种杀菌消毒剂及其制备方法和应用
KR101139320B1 (ko) 항바이러스용 스프레이 조성물
EP3981442A1 (de) Durch eine temperaturdifferenz betreibbare, mobile vorrichtung zur reinigung und desinfizierung von raumluft

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5194185

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160208

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250