JP5192012B2 - 測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料液中に含まれる可能性が有る被検出物質について測定を行う装置、特に詳細には、試料液を流通させる微小流路を備えたセンサチップを用いる測定装置に関するものである。
バイオ測定においては、抗原抗体反応などの生体分子反応を検出することにより、被検出物質である抗原(あるいは抗体)などの存在の有無、量を測定している。
例えば、互いに特異的に結合する2つの物質の一方(抗原、抗体、各種酵素、受容体など)を基板上に固定化し、他方の物質(これは被検出物質そのものであってもよいし、あるいは試料中で被検出物質と競合する競合物質であってもよい)を基板上に固定された固定層に結合させ、この結合反応を検出することにより、試料中における被検出物質の有無、量を測定することができる。具体的には、試料に含まれる被検出物質である抗原を検出するため、基板上にその抗原と特異的に結合する抗体を固定しておき、基板上に試料を供給することにより抗体に抗原を特異的に結合させ、次いで、抗原と特異的に結合する、標識が付与された標識抗体を添加し、抗原と結合させることにより、抗体―抗原―標識抗体の、所謂サンドイッチを形成し、標識からの信号を検出するサンドイッチ法や、標識された競合抗原を被検出物質である抗原と競合的に固定化抗体と結合させ、固定化抗体と結合した競合抗原に付与されている標識からの信号を検出する競合法などのイムノアッセイが知られている。
なお上記サンドイッチ法においては、被検出物質である抗原が上記「他方の物質」に相当し、競合法においては競合抗原が上記「他方の物質」に相当する。後者の競合法においては、固定化抗体と結合した競合抗原の量が多いほど、被検出物質である抗原の量が少ないという関係があるので、この関係に基づいて、競合抗原の量に対応する標識からの信号レベルにより抗原の量を求めることができる。
また、上述のようなバイオ測定に適用可能で、高感度かつ容易な測定法として蛍光検出法が広く用いられている。この蛍光検出法は、特定波長の光により励起されて蛍光を発する被検出物質を含むと考えられる試料に上記特定波長の励起光を照射し、そのとき蛍光を検出することによって被検出物質の存在を確認する方法である。また、被検出物質が蛍光体ではない場合、蛍光色素で標識されて被検出物質と特異的に結合する物質を試料に接触させ、その後上記と同様にして蛍光を検出することにより、この結合すなわち被検出物質の存在を確認することも広くなされている。
さらに、このような蛍光検出法において、感度を向上させるため、プラズモン共鳴による電場増強の効果を利用する方法が特許文献1などに提案されている。この方法は、透明な支持体上の所定領域に金属層を設けたセンサチップを用い、支持体と金属膜との界面に対して支持体の金属層形成面と反対の面側から、全反射角以上の入射角で励起光を入射させ、この励起光の照射により金属層に表面プラズモンを生じさせ、その電場増強作用によって蛍光を増強させることにより、S/Nを向上させるものである。
以上述べたようなバイオ測定においては測定時間の短縮化が望まれており、そこで、センサ部における反応を効率良く生じさせて、測定時間の短縮を図る方法が種々提案されている。例えば特許文献2には、微小流路(マイクロ流路)型のセンサチップを用い、試料液を一定の高速で流下させることにより測定の高速化を図ることが提案されている。この種のセンサチップは、上述した蛍光検出による被検出物質の検出や定量分析を行うために適用することも可能である。
このように、流路に試料液を流しながら被検出物質の検出や定量分析を行う装置においては、所定長さの測定期間を通して試料液を供給し続ける必要があり、測定の途中で試料液の供給が途切れると、測定結果が不正なものになってしまう可能性がある。従来、この種の測定装置において流路を流れる試料液の監視や制御に関わる技術として、特許文献3や4に記載された方法が知られている。特許文献3に記載された方法は、試料液が内蔵されたチャンバや、被検出物質の検出反応を行うための反応チャンバや、それらを連絡する流路を備えてなる測定装置において、チャンバ内の液体の有無あるいは液量を検出し、その検出情報に基づいて試料液の移動結果を判定するというものである。また特許文献4に記載された方法は、流路内の試料液の先端部、後端部の少なくともいずれかを検出し、その検出がなされたタイミングに応じて試料液の制御動作条件を決定するようにしたものである。
特開平10−307141号公報 特開2007−101221号公報 特開2006−170654号公報 特開2008−128906号公報
しかし特許文献3や4に記載された方法では、測定で得られた結果が信頼できるものであるか否かを知ることは不可能である。
そこで本発明は、微小流路に流した試料液中に含まれる物質と、流路内のセンサ部に配置された物質との特異的結合を利用して、試料液中に含まれ得る被検出物質についての測定を行う測定装置において、測定中に試料液供給が途切れたことによる測定結果の信頼性低下を防止することを目的とする。
本発明による測定装置は、
試料液を流通させる微小流路が設けられ、この微小流路内の一部に、試料液中の物質と特異的に結合する物質を固定したセンサ部が配設されてなるセンサチップを用いて、試料液中に含まれ得る被検出物質に関する測定を行う測定装置において、
試料液の後端が前記センサ部に到達したことを検出する液後端検出手段と、
この試料液の後端の検出がなされた後に得られた測定データは除外して、その他の測定データに基づいて測定結果を演算する演算手段とが設けられたことを特徴とするものである。
なお、上記センサ部に固定される物質は、試料液中の被検出物質と特異的に結合する物質であってもよいし、あるいは、前述した競合法を実施する場合は、試料中で被検出物質と競合する競合物質と特異的に結合する物質であってもよい。そして、センサ部がそのように形成される場合、本発明の測定装置は、例えばセンサ部に光を照射し、該センサ部に固定されている物質と結合している被検出物質あるいは競合物質、またはそれと結合している標識物質からの光を検出して測定を行うように構成される。
また本発明の測定装置においては、
測定が開始してから、前記液後端検出手段により試料液の後端がセンサ部に到達したことが検出されるまでの経過時間Tbを計時する手段が設けられ、
前記演算手段が、予め定められた測定所要時間Taよりも短い所定の限界時間Tcと比べて前記経過時間Tbの方が長い場合は、その経過時間Tb内に得られた測定データに基づいて測定結果を演算するように構成されているのが望ましい。
そして本発明の測定装置は、上記経過時間Tb内に得られた測定データに基づいて測定結果を演算するように演算手段が構成される場合は、その演算による測定結果の有効性を、該測定結果の回帰性あるいは、該測定結果と予め与えられているキャリブレーションデータとの相関性に基づいて判定し、有効性有りと判定された測定結果のみを最終的な測定結果として出力する構成を備えていることが望ましい。
さらに、本発明の測定装置においては、
センサチップの微小流路が、センサ部の断面積と比べてその上流側の部分の断面積がより大きい形状とされ、
センサ部よりも下流側において微小流路に、該微小流路内の試料液を吸引するための連通路の一端が接続され、
この連通路の他端に、試料液を吸引するポンプの吸込口が接続され、
前記連通路の内部圧力を検出する圧力計が設けられ、
液後端検出手段が、前記検出された内部圧力の変化に基づいて、試料液の後端がセンサ部に到達したことを検出するように構成されていることが望ましい。
測定が開始した後、試料液の後端がセンサ部に到達すると、それ以後はセンサ部に試料液が供給されないことになる。測定期間中にこのようなことが起きるのは、試料液の過少投入等が原因で、試料液の供給が途切れたからである。したがって、このように試料液の後端がセンサ部に到達した後に得られる測定データは、測定期間中新しい試料液がセンサ部に供給され続けるという前提条件から外れて得られた不正なものとなる。この点に鑑みて本発明の測定装置は、試料液の後端がセンサ部に到達したことが検出された後に得られた測定データは除外して、その他の測定データに基づいて測定結果を演算するように構成されているので、信頼性の高い測定結果が得られるものとなる。そうであれば、試料液の過少投入等のために測定結果の信頼性が損なわれて、それが誤診につながるようなことを防止できる。
また本発明の測定装置において特に、
測定が開始してから、前記液後端検出手段により試料液の後端がセンサ部に到達したことが検出されるまでの経過時間Tbを計時する手段が設けられ、
前記演算手段が、予め定められた測定所要時間Taよりも短い所定の限界時間Tcと比べて前記経過時間Tbの方が長いときは、その経過時間Tb内に得られた測定データに基づいて測定結果を演算するように構成されている場合は、得られた測定データをできる限り有効利用することが可能になる。すなわち、予め定められた測定所要時間Ta内に試料液の供給が途切れたとしても、その測定所要時間Taは通常ある程度の余裕を見て設定されるものであるから、この測定所要時間Taに近い時間試料液の供給が続いていた場合は、その間に得られた測定データは全て正常であることが多い。そこで演算手段を上述の構成としておけば、比較的信頼性の高い測定データが、測定結果を得るために有効利用されるようになる。
予め定められた測定所要時間Ta内に試料液の供給が途切れた場合、その測定はすべてNGとしても構わないが、そのようにしないで、上述のように得られた測定データをできる限り有効利用すれば、試料液や試薬、さらにはセンサチップが無駄に廃棄されることを防止して、測定のコストダウンを実現できる。また特に試料液が、人体から採取する血液等の成分を含むものである場合は、血液等の再採取を強いることがなくなるので、人体への負担も軽減できるようになる。
そして本発明の測定装置において特に、演算手段を上記の構成とする際に、その演算手段が演算した測定結果の有効性を、該測定結果の回帰性あるいは、該測定結果と予め与えられているキャリブレーションデータとの相関性に基づいて判定し、有効性有りと判定された測定結果のみを最終的な測定結果として出力する構成を備えている場合は、信頼性の低い測定データまでも利用した結果、最終的な測定結果が低信頼性のものになってしまうことを防止可能となる。
また、本発明の測定装置において特に、
センサチップの微小流路が、センサ部の断面積と比べてその上流側の部分の断面積がより大きい形状とされ、
センサ部よりも下流側において微小流路に、該微小流路内の試料液を吸引するための連通路の一端が接続され、
この連通路の他端に、試料液を吸引するポンプの吸込口が接続され、
前記連通路の内部圧力を検出する圧力計が設けられ、
液後端検出手段が、前記検出された内部圧力の変化に基づいて、試料液の後端がセンサ部に到達したことを検出するように構成されている場合は、試料液の後端を正確に検出可能となる。以下、その点について詳しく説明する。
微小流路のセンサ部において、試料液の後端を検出しようとするときは、既に該センサ部を試料液が通過しているから、その部分は試料液によって濡れた状態になっている。そこで、試料液の後端検出を広くなされているように光学的に行うとすると、センサ部に試料液が存在しなくても、濡れて残っている試料液のために、試料液が存在するように誤検出がなされる可能性が高い。上記内部圧力の変化に基づいて試料液後端の検出を行う場合は、上述のようにして誤検出がなされることがないので、より正確に試料液後端を検出できるようになる。
本発明の一実施形態による測定装置を示す概略構成図 上記測定装置に用いられる微小流路型センサチップを示す斜視図 図2のセンサチップにおける生体物質検出時の状態を説明する図 図1の測定装置における連通路内部圧力の変化特性例を示すグラフ 図1の測定装置における測定演算値の例を示すグラフ
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による測定装置の概略構成を示すものである。本実施形態の測定装置は、先に述べた通りの微小流路型センサチップ(以下、単にセンサチップという)10を用いて生体由来物質を検出する装置として構成されたものである。まず図2および図3も参照して、このセンサチップ10について説明する。
図1および図2に示される通りセンサチップ10は、試料液が流される微小流路11を有する流路部材12と、微小流路11の一部であって、互いに特異的に結合する2つの物質のうちの一方の物質13を壁面に固定しているセンサ部14と、流路部材12の上に固着された上板部材17とを備えてなるものである。本実施形態では、抗原抗体反応においてサンドイッチ法によるアッセイを行う場合を例とし、そこで上記物質13が、被検出物質である抗原Aと特異的に結合する抗体であるとして説明する。
なお、抗体13は直接微小流路11の壁面に固定されてもよいが、後述するように表面プラズモンによる電場増強により蛍光を増強する場合は、この壁面の上に金属膜(図示せず)が形成され、その上に抗体13が固定される。
上記上板部材17は、図2に示されるように、上表面に開口した試料液流入口16aおよび試料液流出口16bと、試料液流入口16aと微小流路11の上流端とを連通させる開口15aと、試料液流出口16bと微小流路11の下流端とを連通させる開口15aとを有している。この上板部材17と流路部材12は、例えば超音波溶接により接合されている。
流路部材12および上板部材17はポリスチレン等の透明な誘電体材料からなり、射出成型によりそれぞれ成型されている。微小流路11のサイズは、一例として幅が2mm、深さが2mm程度である。なお図1に明示される通り、本実施形態において、センサ部14はその前後における微小流路11よりも浅く、つまり深さが50μm程度に形成されている。
また本例のセンサチップ10においては、図3にも示すように、抗体13が固定されている領域の上流側において微小流路11の内面に、標識抗体20が付着されている。標識抗体20は、被検出物質に対して、前述の抗体13とは異なるエピトープに特異的に結合する抗体23と蛍光標識22とから構成されたものである。ここでは蛍光標識22として、多数の蛍光色素分子fと該蛍光色素分子fを内包する光透過材料21とからなる蛍光微粒子が用いられている。
上記蛍光微粒子の大きさには特に制限はないが、直径数十nm〜数百nm程度が好ましく、ここでは一例として直径100nmのものが用いられている。光透過材料21としては、具体的には、ポリスチレンやSiO2などが挙げられるが、蛍光色素分子fを内包でき、かつ該蛍光色素分子fからの蛍光を透過させて外部に放出できるものであれば特に制限されない。本例における標識抗体20は、蛍光標識22を、それよりも小さい抗体23により表面修飾して構成されている。
次に図1に戻って測定装置について説明する。この測定装置は、上記センサチップ10が例えば屈折率マッチングオイルを介して載置されるプリズム30と、このプリズム30とセンサチップ10との界面に対して、全反射条件となる入射角で励起光L0を入射させる半導体レーザ等からなる光源31と、センサチップ10の試料液流出口16bにノズル32を介して一端が連通される連通管33と、この連通管33の他端に吸込口が接続された試料吸引ポンプ34と、連通管33に介設された開放弁35と、センサチップ10のセンサ部14の近傍部分から後述するようにして発せられる蛍光Lfを検出する光検出器36とを備えている。なお励起光L0は、表面プラズモンを誘起するように、上記界面に対してp偏光で入射させる。
さらにこの測定装置は、連通管33の内部圧力を検出する圧力センサ40と、上記試料吸引ポンプ34および開放弁35の動作を制御する制御部41と、光検出器36の光検出信号が入力される信号処理部42と、この信号処理部42が出力するデータを一時記憶するメモリ等からなる記憶部43と、この記憶部43からデータを読み出す演算部44と、この演算部44に接続された液晶パネル等からなる表示手段45と、前記圧力センサ40に接続された計時部46とを有している。
なお上記の説明において「○○部」と表記された要素は、それぞれ個別の回路等から構成されてもよいし、あるいはコンピュータシステムの一部として、所定のプログラムによって機能するソフトウェアから構成されてもよい。
次に、この測定装置による被検出物質の検出について説明する。ここでは一例として、血漿である試料液Sに含まれる可能性のある抗原Aを検出する場合について説明する。まず、図1に示す試料液流入口16aに試料液Sが注入され、それとともに試料吸引ポンプ34が駆動されて、試料液Sがセンサチップ10の微小流路11内に導入される。
微小流路11に導入された試料液Sは、図3に模式的に示すように、該流路11に吸着固定されている標識抗体20と混ぜ合わされる。それにより、抗原Aが標識抗体20の抗体23と結合し、さらに抗体23と結合した抗原Aが、センサ部14の抗体13と結合し、抗原Aが抗体13と抗体23で挟み込まれたいわゆるサンドイッチが形成される。
このようにしてセンサ部14の部分に吸着した抗原Aは、以下の通りにして検出される。光源31から発せられた励起光L0は、プリズム30とセンサチップ10の界面に対して、全反射条件となる入射角で入射する。すると、この場合は抗体13と微小流路11の壁面との間に介在している金属膜(図示せず)上の試料液S中にエバネッセント波が滲み出し、このエバネッセント波によって金属膜中に表面プラズモンが励起される。この表面プラズモンにより金属膜表面に電界分布が生じ、電場増強領域が形成される。
このとき、エバネッセント波の滲み出し領域内に蛍光標識22が存在すると、その蛍光標識22が励起されて蛍光Lfが発生する。ここで、エバネッセント波の染み出し領域とほぼ同等の領域に存在する表面プラズモンによる電場増強効果により、蛍光Lfは増強されたものとなる。光検出器36は、この増強された蛍光Lfを検出する。以上のようにして蛍光標識22の存在を検出することは、すなわち、抗体13と結合した抗原Aの存在を検出することになる。こうして、光検出器36の蛍光検出信号に基づいて、抗原Aの存在の有無や、その量を検出可能となる。
なお微小流路11中には、固定されている抗体13と結合していない抗原Aや標識抗体20が浮遊しており、またセンサ部14には標識抗体20が非特異吸着している。これらを除去するため、蛍光Lfの検出前に、適宜洗浄液を流路に導入するようにしてもよい。
また、例えば励起光L0として780nmに中心波長を有するレーザ光を用い、前述の金属膜として金(Au)膜を用いる場合、金属膜の厚みは50nm±20nmが好適である。さらに好ましくは、47nm±10nmである。なお、金属薄膜は、Au、Ag、Cu、Al、Pt、Ni、Ti、およびこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を主成分とするものが好ましい。
次に、この測定装置において、最終的に出力される測定結果の信頼性を高めるようにした点について説明する。図4は、圧力センサ40が検出する連通管33の内部圧力(負圧)が、時間経過に伴って変化する様子を示すものである。試料液Sのセンサ部14への供給が正常になされる場合、この内部圧力は基本的に同図に実線で示す曲線のように変化する。つまり、試料吸引ポンプ34による試料液吸引が時間T0において開始すると、内部圧力は次第に増大し、試料液Sが定速で流れるようになるとほぼ一定の値で推移する。前述した蛍光検出は、このように試料液Sが定速で流れる期間、つまり時間T1から時間Taまでの間に行われる。ここで同図においては横軸の時間を、時間T1のときが0(ゼロ)として示す。つまり、T1からTaまでの時間が測定所要時間Taとなる。この測定所要時間Taは各測定に応じて予め定められるもので、測定開始からこの測定所要時間Taが経過すると試料吸引ポンプ34は停止され、また蛍光検出も終了する。
それに対して、試料液Sの投入量が過少である等の場合は、上記内部圧力が例えば図4に破線の曲線で示すように変化する。つまりこの場合は、測定開始から測定所要時間Taが経過する前に試料液Sのセンサ部14への供給が途切れてしまい、それにより上記内部圧力が時間Tbにおいて急激に増大する。この現象は、センサ部14の断面積と比べて、それよりも試料液の流れ方向上流側の部分の微小流路11の断面積がより大きくなっていて、この断面積変化点を試料液Sの後端が通過するときに生じる。したがって、上記内部圧力を検出する圧力センサ40は、試料液Sの後端がセンサ部14に到達したことを検出する液後端検出手段として機能する。
図1に示すように圧力センサ40は、検出している連通管33の内部圧力Vを示す信号SVを計時部46に入力する。またこの計時部46には前述した制御部41から、測定の開始を示す信号ST0が入力される。計時部46は測定開始後、この信号SVが示す内部圧力Vの勾配を演算し続け、その圧力勾配が所定の閾値を超えると、そのときの時間Tbを記憶する。この時間Tbはすなわち、測定開始から、試料液Sの後端がセンサ部14に到達するまでの経過時間となる。計時部46は、この経過時間Tbを示す信号STを演算部44に入力する。
他方、光検出器36が出力する蛍光検出信号は信号処理部42に送られ、そこで所定の時間間隔でサンプリングされ、またそのサンプリングされた信号は増幅やA/D変換等の処理にかけられて所定規格の蛍光測定データとされる。この蛍光測定データは、一旦記憶部43に記憶される。
演算部44は記憶部43から上記蛍光測定データを読み出し、それらの蛍光測定データに演算処理を加えて、最終的な測定結果として出力する。この測定結果は、例えば図5に回帰直線Aに沿った丸点で示すように、測定時間とそれに対応した演算値(例えばセンサ部14における単位面積当たりの抗原Aの固定量など)の関係等である。このとき演算部44は、計時部46から信号STが入力されていない場合、つまり測定所要時間Ta内に、試料液後端がセンサ部14に到達していない場合は、上述の測定結果をそのまま表示手段45に入力させ、その測定結果を該表示手段45において表示させる。
その一方、演算部44に計時部46から信号STが入力された場合、つまり測定所要時間Ta内に、試料液後端がセンサ部14に到達した場合、演算部44はこの信号STが示す経過時間Tbを、予め定められた所定の限界時間Tcと比較する。図4に示すようにこの限界時間Tcは、測定所要時間Taより短い時間で、かつ、これよりも短い時間しか測定がなされなかった場合、それで得られた蛍光測定データの信頼性は著しく低いものとなる時間である。演算部44は、上記比較の結果がTb<Tcであった場合は、表示手段45において「異常測定」のような表示を出させる。装置使用者は、この表示を見ることにより、測定が不正になされたことを知ることができる。
上記比較の結果がTb≧Tcであった場合、演算部44は、経過時間Tbが過ぎてから得られた蛍光測定データは除いて、経過時間Tb内に得られた蛍光測定データのみから前記演算値を求め、それを最終的な測定結果として表示手段45において表示させる。このようにすれば、センサ部14に試料液Sが正常に存在しない状態下で得られた蛍光測定データは除外して、信頼性の高い測定結果が得られることになる。こうして、試料液Sの過少投入等のために測定結果の信頼性が損なわれることを防止できる。
なお、経過時間Tb内に得られた蛍光測定データのみから上記演算値を求め、それをそのまま最終的な測定結果としてもよいが、より好ましくは、演算部44において以下の測定結果取捨選択処理がなされる。すなわち場合演算部44は、図5に示した2本の破線で挟まれる理論領域を示す情報を後述の通りにして取得する。そして演算部44は、上記経過時間Tb内に得られた蛍光測定データのみから演算した演算値の回帰直線を作成し、それが上記理論領域に含まれるか否かを判定する。図5の例で説明すれば、回帰直線Bは上記理論領域に含まれるが、回帰直線Cは上記理論領域に含まれていない。なお、先に説明した回帰直線Aは、当然この理論領域に含まれている。
演算部44は、回帰直線Bが得られた演算値(図5中、三角形でプロットされているもの)については、それを最終的な測定結果として表示手段45において表示させる。また演算部44は、回帰直線Cが得られた演算値(図5中、四角形でプロットされているもの)については、それを最終的な測定結果として表示手段45において表示させることはしないで、表示手段45において「異常測定」のような表示を出させる。装置使用者は、この表示を見ることにより、この場合も測定が不正になされたことを知ることができる。
以上のように、演算部44が演算した演算値の有効性を、該演算値の回帰性に基づいて判定し、有効性有りと判定された演算値のみを最終的な測定結果として出力すれば、信頼性の低い蛍光測定データまでも利用した結果、最終的な測定結果が低信頼性のものになってしまうことを防止できる。
なお、演算値の有効性判定は、得られた演算値と予め与えられているキャリブレーションデータとの相関性に基づいて行うことも可能である。
なお上記理論領域を示す情報は、例えばセンサチップ10に形成された参照エリア、つまり試料液によらず試薬由来の測定を行うためのエリアに記録しておき、測定の都度それを読取手段により読み取って演算部44に入力させればよい。そのような参照エリアは、独自に形成されていてもよいし、あるいはテストエリアの中に形成されていてもよい。
また本実施形態においては、試料液Sの後端がセンサ部14に到達したことを、圧力センサ40が検出する連通管33の内部圧力の変化に基づいて検出しているので、例えばこの後端検出を光学的に行うような場合と比べて、その検出精度を高く確保できる。その詳しい理由は、先に述べた通りである。
なお上記の実施形態では、表面プラズモンによる電場増強を利用して蛍光強度を高めているが、通常の落射法による光照射を適用してもよい。その場合は、センサ部14の部分に先に述べた金属膜を形成しておくことは不要になる。
さらに、本発明の測定装置が対象とする被検出物質(アナライト)は抗原や抗体の他、遺伝子、細胞などの固層化して観察できる生体由来物質であれば、特に制限がない。遺伝子、細胞を検出する場合は、それらに特異的に吸着する物質を微小流路の内壁に固定しておけばよい。反対に、遺伝子、細胞に特異的に吸着する物質を本発明の測定装置によって検出することも可能であり、その場合は遺伝子、細胞を微小流路の内壁に固定しておけばよい。
また、被検出物質、あるいは試料中で被検出物質と競合する競合物質と特異的に結合する物質は、センサ表面に直接固定されている必要はなく、自己組織化単分子膜(SAM)、SiO等の誘電体膜、カルボキシメチルデキストラン等の高分子膜などを介して固定されていてもよい。
また、被検出物質、あるいはこの被検出物質と試料液中で競合する競合物質と、それと特異的に結合する物質との組合せも、上述した抗原と抗体に限られるものではなく、その他、アビジン・ビオチン反応、酵素・基質反応など、バイオアッセイに使われる反応により結合する物質の組合せが用いられる場合にも、本発明は同様に適用可能である。
さらに、免疫アッセイを適用する場合は、先に説明したサンドイッチアッセイだけではなく、競合法を適用することも可能である。
また標識物質は蛍光分子に限らず、蛍光ビーズ、金属微粒子など光応答性があるその他の物質からなるものも適用可能である。
10 微小流路型センサチップ
11 微小流路
12 流路部材
13 抗体
14 センサ部
20 標識抗体
22 標識
23 抗体
30 プリズム
31 光源
33 連通管
34 試料吸引ポンプ
36 光検出器
40 圧力センサ
41 制御部
44 演算部
45 表示手段
46 計時部
A 抗原
0 励起光
Lf 蛍光

Claims (4)

  1. 試料液を流通させる微小流路が設けられ、この微小流路内の一部に、試料液中の物質と特異的に結合する物質を固定したセンサ部が配設されてなるセンサチップを用いて、試料液中に含まれ得る被検出物質に関する測定を行う測定装置において、
    試料液の後端が前記センサ部に到達したことを検出する液後端検出手段と、
    前記試料液の後端の検出がなされた後に得られた測定データは除外して、その他の測定データに基づいて測定結果を演算する演算手段とが設けられたことを特徴とする測定装置。
  2. 測定が開始してから、前記試料液の後端の検出がなされるまでの経過時間Tbを計時する手段が設けられ、
    前記演算手段が、予め定められた測定所要時間Taよりも短い所定の限界時間Tcと比べて前記経過時間Tbの方が長い場合は、その経過時間Tb内に得られた測定データに基づいて測定結果を演算するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
  3. 前記演算手段が演算した測定結果の有効性を、該測定結果の回帰性あるいは、該測定結果と予め与えられているキャリブレーションデータとの相関性に基づいて判定し、有効性有りと判定された測定結果のみを最終的な測定結果として出力する構成を備えたことを特徴とする請求項2記載の測定装置。
  4. 前記微小流路が、センサ部の断面積と比べてその上流側の部分の断面積がより大きい形状とされ、
    前記センサ部よりも下流側において前記微小流路に、該微小流路内の試料液を吸引するための連通路の一端が接続され、
    この連通路の他端に、試料液を吸引するポンプの吸込口が接続され、
    前記連通路の内部圧力を検出する圧力計が設けられ、
    前記液後端検出手段が、前記検出された内部圧力の変化に基づいて、試料液の後端がセンサ部に到達したことを検出するものとされていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の測定装置。
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