JP2008241347A - 表面プラズモン共鳴センサおよび表面プラズモン共鳴センサ装置 - Google Patents

表面プラズモン共鳴センサおよび表面プラズモン共鳴センサ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低分子・低濃度の物質に対しても高精度に対象物質を検出することが可能な表面プラズモン共鳴センサを提供する。
【解決手段】表面プラズモン共鳴センサ100は、半円柱形状に形成されたプリズム101を備えている。プリズム101の上面には、透明基板102を介して金により構成された金属膜103が50nmの厚さで形成されている。金属膜103の表面には、試料Sに含まれる検出対称物質である生体物質(抗原)に対して親和性を有する生理活性物質(抗体)によって構成された生体反応層105が10nmの厚さで形成されている。プリズム101の屈折率nは、生体反応層105と生態反応層105に接触する試料Sとを含む層の屈折率neff(1.365)より大きく、かつ、生体反応層105の屈折率n(1.5)より小さい屈折率である1.456に設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表面プラズモン共鳴現象を利用して流体状の試料中に含まれる検出物体の分析に用いられる表面プラズモン共鳴センサおよび表面プラズモン共鳴センサ装置に関する。
従来から、表面プラズモン共鳴現象を利用して流体状の試料中に含まれる特定の物質の検出を行う表面プラズモン共鳴センサが知られている。表面プラズモン共鳴現象は、プリズムの表面に金属の膜を形成しプリズムを介して金属膜にP偏光の光を全反射条件で照射した際に、金属膜に接している物質の誘電率(屈折率)に応じて特定の入射角(共鳴角)からの反射光の光強度が低下する現象である。表面プラズモン共鳴センサは、この原理を利用して試料中に含まれる特定の物質の定量分析に用いられるセンサである。
表面プラズモン共鳴センサの典型的な用途の一つとして、生体物質を検出するためのバイオセンサがある。バイオセンサは、例えば、下記特許文献1に示すように、上記金属膜上に特定の抗原を認識する抗体を固定して形成されている。そして、この金属膜に血液などの体液を含む試料を接触させると、試料内に含まれる特定の抗原が抗体に吸着されて金属膜上の誘電率、すなわち屈折率が減少する。このため、プリズムを介して照射される光の共鳴角が変化する。したがって、この共鳴角の変化を検出することにより試料中に含まれる抗原の吸着量などを算出することができる。
特開平10−90271号公報
しかしながら、このようなバイオセンサは、一般に、低分子・低濃度の物質に対する検出精度が低い。検出精度が低い理由の一つには、表面プラズモン共鳴現象を励起させるために金属膜に接する誘電体の屈折率よりも大きい屈折率のプリズムを用いていることがある。この場合、誘電体の屈折率とは金属膜上に固定された抗体の存在する層の屈折率である。屈折率の大きなプリズムは、光の入射角が小さい角度側に広がり測定範囲を広くすることができる一方で、入射角の分解能が低下する。したがって、共鳴角の変化量が小さい低分子・低濃度の物質の共鳴角の検出精度が低下する。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、低分子・低濃度の物質に対しても高精度に対象物質を検出することが可能な表面プラズモン共鳴センサおよび表面プラズモン共鳴センサ装置を提供することにある。
なお、上記特許文献1においては、検出精度を向上させるために試料と分子量を増大させた標準物質とを競合的に抗体と結合させることにより、抗原抗体反応前後の共鳴角の変化量を大きくしている。しかし、本発明は、これとは異なる手法によって低分子・低濃度の物質での検出精度を向上させることが可能な表面プラズモン共鳴センサおよび表面プラズモン共鳴センサ装置を提供するものである。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、プリズムと、プリズムに直接的または間接的に設けられた金属膜と、流体状の試料に含まれる検出物質が接触することにより物理的または化学的に変化する結合物質を前記金属膜上に固定した結合物質層とを備えた表面プラズモン共鳴センサにおいて、プリズムの屈折率は、結合物質層と同結合物質層に接する試料とを含む層の屈折率より大きく、かつ、前記結合物質層の屈折率より小さいことを特徴とする表面プラズモン共鳴センサ。
この場合、検出物質を、例えば、生物の体内に存在する生体物質とし、結合物質を、例えば、生体物質に対して物理的または化学的に変化する生理活性物質にするとよい。この場合、生体物質とは、生物の体内に存在する化学物質であり、具体的には、生体高分子(核酸、タンパク質、多糖、DNAなど)や細胞、または、これらの構成要素であるヌクレオチド、ヌクレオシド、アミノ酸、各種糖類、脂質、ビタミンまたはホルモンなどである。また、生理活性物質とは、生体物質であるか合成物質であるかを問わず、生物に対して生理作用または薬理作用を生じさせる物質または化合物である。例えば、検出物質を、抗原または抗体とし、結合物質を前記抗原または抗体と親和性を有する抗体または抗原とすることができる。
このように構成した本発明の特徴によれば、プリズムの屈折率を表面プラズモン共鳴現象が励起される金属膜に接する結合物質層と試料とを含む層の屈折率より大きく、かつ、同結合物質層の屈折率より小さい屈折率としている。この場合、試料の屈折率は、一般に結合物質層の屈折率より小さい。このため、金属膜に接する結合物質層の屈折率は、バックグランドに存在する試料の影響を受けて結合物質層固有の屈折率より実質的に低い屈折率となる。したがって、結合物質層を基準にプリズムの屈折率を決定する従来例に比べて、小さい屈折率のプリズムを用いることができる。これにより、プリズムへの光の入射角の分解能が向上する。この結果、低分子・低濃度の物質に対しても高精度に対象物質を検出することが可能になる。
また、本発明は表面プラズモン共鳴センサとして実施できるばかりでなく、表面プラズモン共鳴センサを備えた表面プラズモン共鳴センサ装置としても実施できるものである。
具体的には、前記表面プラズモン共鳴センサと、表面プラズモン共鳴センサにおけるプリズムに光を照射する光源部と、表面プラズモン共鳴センサにおけるプリズムからの反射光を受光する受光部とを備えるようにすればよい。
以下、本発明に係る表面プラズモン共鳴センサの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る表面プラズモン共鳴センサ100の構成を模式的に示す一部破断正面図である。また、図2は、本発明に係る表面プラズモン共鳴センサ100を備えた表面プラズモン共鳴センサ装置の構成の概略を示すブロック図である。なお、これらの図は模式図であり、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど、各構成要素間の寸法や比率は異なっている。
この表面プラズモン共鳴センサ100は、流体状の試料S中に含まれる生体物質を検出するためのセンサである。本実施形態においては、生体から取り出した血液などの体液にリン酸緩衝液(PBS)を加えた液体を試料Sとして用いる。この表面プラズモン共鳴センサ100は、所謂クレッチマン(Krctschmann)配置と称される系で構成された表面プラズモン共鳴センサであり、プリズム101を備えている。
プリズム101は、半円柱形状に形成されたガラス材で構成されており、入射した光を屈折・全反射させる光学素子である。このプリズム101は、平面部101aを上側に向けた状態で配置されている。このプリズム101の屈折率については後述する。このプリズム101の平面部101a上には、透明基板102が設けられている。透明基板102は、プリズム101と同じガラス材を平板状に形成して構成されており、マッチングオイル102aを介して平面部101a上に固着されている。マッチングオイル102aは、プリズム101と透明基板102とを光学的に一体物として接着する接着剤である。
この透明基板102の上面には、金属膜103が形成されている。金属膜103は、厚さ50nmに形成された金(Au)の層であり、透明基板102の上面に蒸着されている。なお、この金属膜103を構成する金属は、導電性を有し20〜90nmの厚さに形成できるものでれば、金に限定されるものではない。例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、またはアルミニウム(Al)などを単体、これらの合金、またはこれらを複層に重ねて用いることができる。
金属膜103上には、横断面が方形に形成された筒状のプール104が設けられている。プール104は、液体状の試料Sを金属膜103上に保持するための容器の一部を構成する部材である。具体的には、プール104は、一方の端部が金属膜103によって閉塞されるとともに、他方の端部が上方に向かって開放された状態で金属膜103上に固定されている。このプール104の内側における金属膜103上には、生体反応層105が形成されている。生体反応層105は、試料Sに含まれる特定の生体物質との相互作用により物理的または化学的に変化する生理活性物質(本実施形態においては抗体)を10nmの厚さで形成した層である。この生体反応層105が、本実施形態に係る結合物質層に相当する。
ここで、金属膜103上への生体反応層105の形成、すなわち、生体反応層105の固定化について簡単に説明する。この生体反応層105の固定化は、金属膜103の表面に生理活性物質(抗体)に対する親和性を持たせた状態で行う。具体的には、カルボキシル基を有する有機チオール化合物(SH基)をカップリング剤として用いて金属膜103上にカルボキシル基の官能基を固定化(自己組織化単分子膜)する。これにより、金属膜103の表面に生理活性物質(抗体)に対する親和性を持たせることができる。そして、カルボキシル基の官能基上にプロテインAの膜を形成し、このプロテインA膜に生理活性物質(抗体)を結合させて生体反応層105を形成する。この場合、プロテインAは、結合される生理活性物質(抗体)を一定の向きで固定するために用いられる。
この生体反応層105の光の屈折率nは、生理活性物質として抗体を用いた場合、通常1.45〜1.55(本実施形態においては1.5とする)である。また、プール104内に導入される試料Sの屈折率nは、リン酸緩衝液を用いた場合、通常1.33〜1.34(本実施形態においては1.34とする)である。これら生体反応層105の屈折率nおよび試料Sの屈折率nに基づいて、プリズム101の屈折率nを決定する。
このプリズム101の屈折率nの決定について具体的に説明する。まず、プリズム101、金属膜103、生体反応層105および試料Sの各屈折率に基づいて、表面プラズモン共鳴センサ100の共鳴角θSPを計算する。具体的には、プリズム101に入射させる光の入射角θを変化させながら、各入射角θごとのプリズム101からの反射光の光強度を計算して最小の光強度における光の入射角θを共鳴角θSPとする。この共鳴角θSPの計算は、レーザ光の波長、プリズム101への光の入射角θ、プリズム101の仮の屈折率n’、金属膜103の屈折率n、生体反応層105の屈折率n、試料Sの屈折率n、金属膜103の厚さおよび生体反応層105の厚さを用いて、光の反射に関するフレネルの方程式やスネルの方程式などの公知の公式により計算することができる。
この場合、プリズム101の仮の屈折率n’は、生体反応層105の屈折率nが1.5である場合に一般的に用いられるプリズムの屈折率、具体的には、1.6を用いる。これは、下記数1に示す表面プラズモン波の励起条件式に基づく。すなわち、下記数1を満たすためには、プリズム101の屈折率nは屈折率nより大きくなければならない。この場合、屈折率nは、金属膜103に接する生体反応層105の屈折率nである。したがって、プリズム101の仮の屈折率n’は、生体反応層105の屈折率nである1.5より大きい1.6が一般的に設定される。なお、プリズム101の仮の屈折率n’は、生体反応層105の屈折率nである1.5より大きければ1.6以外の数値を用いてもよい。
Figure 2008241347
次に、計算した共鳴角θSPを用いて金属膜103上にある層を1つの層として屈折率neffを計算する。この屈折率neffの計算は、金属膜103上にある層が生体反応層105と同生体反応層105上の試料Sとから構成される1つの層として、前記フレネルの方程式およびスネルの方程式を用いて計算(前記共鳴角θSPの計算の逆算)することができる。本実施形態においては、屈折率neffは1.365と計算される。すなわち、金属膜103上の層を生体反応層105と同生体反応層105上の試料Sとから構成される1つの層と看做せば、同層の屈折率neffは前記生体反応層105の屈折率nよりも小さくなる。これは、金属膜103上に形成される生体反応層105が極めて薄い層であるため、生体反応層105の誘電率に加えて生体反応層105のバックグランドにある試料Sの誘電率の影響により生体反応層105の屈折率nが見掛け上、本来の屈折率nより小さくなったと考えられる。したがって、屈折率neffは生体反応層105の実質的な屈折率と考えることができる。そして、この実質的屈折率neffは、生体反応層105の厚さに応じて変化すると考えられる。
換言すれば、金属膜103に光を照射した際、プリズム101と金属膜103との界面で生じたエバネッセント波は水溶液など光学的に希薄な媒体(本実施形態においては試料S)に入り込む。このエバネッセント波の電界振幅は、界面において最大であり界面からの距離に応じて指数関数的に減衰する。すなわち、エバネッセント波が浸透する深度には限界がある。したがって、生体反応層105の層が薄い場合には、エバネッセント波の影響を受けて生体反応層105の実質的な屈折率nが小さくなると考えられる。そして、この実質的屈折率neff(見掛けの屈折率n)は、生体反応層105の厚さに応じて変化すると考えられる。
図3は、金属膜103上の層を1つの層と看做した場合における同層の実質的屈折率neffと、生体反応層105の厚さとの関係を表わしたグラフである。図において、生体反応層105の厚さが0nm、すなわち、生体反応層105が存在しない場合、実質的屈折率neffは試料Sの屈折率nである1.34となる。一方、生体反応層105の厚さが300nm以上の場合、実質的屈折率neffは略生体反応層105の屈折率nである1.5となる。そして、生体反応層105の厚さが0nmを超え約300nmまでの範囲においては、実質的屈折率neffは生体反応層105の厚さに応じて連続的に増加する。
すなわち、生体反応層105の厚さを0nmを超え約300nmまでの範囲で形成した場合、生体反応層105の屈折率nに試料Sの屈折率nを加味した実質的屈折率neffを金属膜103に接する層の屈折率として用いることができる。したがって、上記数1における屈折率nをこの実質的屈折率neffとすれば、プリズム101の屈折率nを前記1.5より小さくすることができる。本実施形態においては、プリズム101の屈折率nを1.456とする。なお、図3に示すグラフは、本実施形態における実質的屈折率neffと生体反応層105の厚さとの関係を表わしたグラフであり、この関係は、金属膜103を形成する金属の種類や厚さ、生体反応層105を形成する物質の種類および試料Sを構成する物質の種類などに応じて異なるものである。
この表面プラズモン共鳴センサ100は、図示しない表面プラズモン共鳴センサ装置の所定の支持装置に固定される。表面プラズモン共鳴センサ装置は、表面プラズモン共鳴センサ100のプリズム101に対してレーザ光を照射するレーザ光源201を備えている。レーザ光源201は、670nmのレーザ光を出射する半導体レーザで構成されており、レーザ駆動回路202によって作動が制御される。なお、レーザ光源201は、発光ダイオードなどの他の光源によって構成してもよいことは当然である。また、レーザ光の波長もプリズム101、金属膜103および試料Sなどの各種構成に応じて適当な波長を選定すればよい。
レーザ駆動回路202は、後述するパーソナルコンピュータ210からの指示に従ってレーザ光源201の作動のオン・オフ制御を行う。レーザ光源201と表面プラズモン共鳴センサ100のプリズム101との間のレーザ光源201の光路(図において二点鎖線で示す)上には偏光子203が設けられている。偏光子203は、入射した光のうちP編光の偏光方向を有する光のみ透過させる光学素子である。すなわち、偏光子203は、レーザ光源201から出射されたレーザ光のうちP編光の偏光方向を有するレーザ光のみ透過させてプリズム101に導く。P偏向の偏光方向を有するレーザ光とは、直線偏光のうち入射面に対して平行に振動する光である。なお、プリズム101にレーザ光を導く他の光学系は、本発明に直接関らないためその説明は省略する。
表面プラズモン共鳴センサ100を挟んでレーザ光源201と対称な位置にはフォトディテクタ204が設けられている。フォトディテクタ204は、プリズム101を介して導かれる反射光を受光して受光量に応じた電気信号をA/D変換器205に出力する光学素子でありCCD素子によって構成されている。A/D変換器205は、フォトディテクタ204から出力された電気信号を二値化、すなわち、デジタル信号に変換してパーソナルコンピュータ210に出力する。
パーソナルコンピュータ210は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなるコンピュータ装置211、キーボードおよびマウスからなる入力装置212および液晶ディスプレイからなる表示装置213によって構成された所謂パソコンである。コンピュータ装置211は、入力装置212からの指示に従って図示しない所定のプログラムを実行することにより表面プラズモン共鳴センサ100における共鳴角θSPを計算することにより試料Sに含まれる生体物質の分析を行い、その結果を表示装置213に表示する。この場合、表面プラズモン共鳴センサ100における共鳴角θSPは、フォトディテクタ204から出力された電気信号の変化、すなわち、反射光の光強度の変化に基づいて計算される。
また、この表面プラズモン共鳴センサ装置には、プリズム101に照射するレーザ光の入射角θ、およびプリズム101からの反射光を受光する受光位置を変更するために、作業者による手動操作によりレーザ光源201(偏光子203を含む)およびフォトディテクタ204の位置をプリズム101の表面形状に沿って変更するための入射角変更装置(図示せず)が設けられている。入射角変更装置は、本発明に直接関わらないためその説明は省略する。
次に、上記のように構成した表面プラズモン共鳴センサ100および表面プラズモン共鳴センサ装置の作動について説明する。まず、作業者は、金属膜103および生体反応層105などが形成された表面プラズモン共鳴センサ100を表面プラズモン共鳴センサ装置の所定の位置にセットした後、表面プラズモン共鳴センサ100のプール104内に生体物質が含まれていない試料S’、すなわち、リン酸緩衝液のみによって構成される試料S’を所定量(深さ5mm程度)投入する。そして、表面プラズモン共鳴センサ装置における図示しない電源を投入して、入力装置212を操作して基準となる共鳴角θSPの計算をコンピュータ装置211に指示する。
この基準となる共鳴角θSPは、生体物質が含まれていない試料S’に基づく共鳴角θSPであり、生体物質が含まれた試料Sに基づく共鳴角θSPに対する変化量の基準となる共鳴角である。具体的には、作業者は、パーソナルコンピュータ装置210の入力装置212を操作して共鳴角θSPを計算するためのプログラムを実行させる。この基準となる共鳴角θSPの計算は、プリズム101に入射するレーザ光の入射角θを変化させながら、各入射角θごとに反射光を受光して光強度が最小となる入射角θを求めることにより行われる。
作業者によりレーザ光源201およびフォトディテクタ204が所定の位置に位置決めされた後、パーソナルコンピュータ210のコンピュータ装置211は、レーザ駆動回路202の作動を制御してレーザ光源201からレーザ光を出射させる。レーザ光源201から出射されたレーザ光は、偏光子203によって偏光方向がP偏光の光のみが透過してプリズム101に導かれる。プリズム101に導かれたレーザ光は、プリズム101および透明基板102を介して金属膜103に到達する。この場合、プリズム101の屈折率nは1.456であり、金属膜103に接する生体反応層105の屈折率nは1.5であるため上記数1に示す表面プラズモン波の励起条件を満たさない。
しかし、生体反応層105の実質的な屈折率nは前記したようにバックグランドに存在する試料S’によって1.365であるため表面プラズモン波の励起条件を満たすことになり、金属膜103にてエバネッセント波および表面プラズモン波が生じる。そして、金属膜103に到達したレーザ光は金属膜103によって反射されて透明基板102およびプリズム101を介してフォトディテクタ204に導かれる。したがって、レーザ光の入射角θが所定の角度の際には、表面プラズモン共鳴現象が励起されてプリズム101からの反射光の光強度が減少する。コンピュータ装置211は、レーザ光の入射角θごとに入力される反射光の光強度を測定しながら光強度が最小となった入射角θを基準の共鳴角θSPとして検出する。
次に、作業者は、表面プラズモン共鳴センサ装置によって分析する試料Sを用意して試料Sの分析を行う。試料Sは、前記したように生体から取り出した血液などの体液にリン酸緩衝液(PBS)を加えた液体である。作業者は、表面プラズモン共鳴センサ100のプール104内に試料Sを投入して所定の時間経過させた後、パーソナルコンピュータ装置210の入力装置212を操作して試料Sを分析するためのプログラムを実行させる。この場合、試料Sをプール104内に投入して所定の時間経過させる理由は、生体反応層105とプール104内に投入された試料Sとの抗原抗体反応を完了させるためである。この試料Sの分析工程も、前記共鳴角θSPの計算と同様に、プリズム101に入射するレーザ光の入射角θを変化させながら、各入射角θごとに反射光を受光して光強度が最小となる入射角θを求めることにより行われる。
すなわち、作業者によりレーザ光源201およびフォトディテクタ204が所定の位置に位置決めされた後、パーソナルコンピュータ210のコンピュータ装置211は、レーザ駆動回路202の作動を制御してレーザ光源201からレーザ光を出射させる。レーザ光源201から出射されたレーザ光は、前記と同様にして、偏光子203によって偏光方向がP偏光の光のみが透過してプリズム101に導かれる。プリズム101に導かれたレーザ光は、プリズム101および透明基板102を介して金属膜103に到達するとともに、同金属膜103によって反射されて透明基板102およびプリズム101を介してフォトディテクタ204に導かれる。この場合、前記と同様にして、金属膜103にてエバネッセント波および表面プラズモン波が生じる。そして、レーザ光の入射角θが所定の角度の際に表面プラズモン共鳴現象が励起されてプリズム101からの反射光の光強度が減少する。コンピュータ装置211は、レーザ光の入射角θごとに入力される反射光の光強度を測定しながら光強度が最小となった入射角θを共鳴角θSPとして検出する。
表面プラズモン共鳴センサ100の生体反応層105において抗原抗体反応が生じた場合には、生体反応層105の誘電率(すなわち、屈折率)や厚さが変化するため、検出される共鳴角θSPは前記検出した基準となる共鳴角θSPとは異なる角度となる。したがって、コンピュータ装置211は、検出した共鳴角θSPの変化量に基づいて抗原抗体反応の様子や速度、試料Sに含まれる生体物質(抗体)の濃度などを測定・分析し、その結果を表示装置213に表示させる。作業者は、表示装置213に表示される測定結果(分析結果)に基づいて試料Sを評価する。
ここで、本実施形態においてプリズム101の屈折率nを1.597(従来)とした場合と、同プリズム101の屈折率nを1.456(本発明)とした場合とにおける共鳴角θSPの変化量の相違について説明しておく。図4(A)は、本実施形態においてプリズム101の屈折率nを1.597とした場合における反射光の光強度とレーザ光の入射角θとの関係を示している。また、図4(B)は、本実施形態においてプリズム101の屈折率nを1.456とした場合における反射光の光強度とレーザ光の入射角θとの関係を示している。各図において、点線は表面プラズモン共鳴センサ100の生体反応層105にプロテインAの膜の設けた際における反射光の光強度の変化の様子を表わしたSPR(Surface Plasmon Resonance)曲線である。また、破線は生体反応層105に生理活性物質(抗体)を付着させた際における反射光の光強度の変化の様子を表わしたSPR曲線である。さらに、実線は生体反応層105において抗原抗体反応が生じた際における反射光の光強度の変化の様子を表わしたSPR曲線である。
これらの図から明らかなように、プリズム101の屈折率nが1.597の場合においては、各SPR曲線における最小点、すなわち、共鳴角θSPは64°付近に集中しており、各SPR曲線間における各共鳴角θSP間の距離(変化量)は極めて小さい。一方、プリズム101の屈折率nが1.456の場合においては、各SPR曲線間における各共鳴角θSP間の距離(変化量)は前記プリズム101の屈折率nが1.597の場合に比べて大きい。すなわち、従来例に比べて本発明による表面プラズモン共鳴センサ100は入射角θの分解能が高いことが確認できる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、プリズム101の屈折率nを表面プラズモン共鳴現象が励起される金属膜103に接する生体反応層105と試料Sとを含む層の屈折率eff(1.365)より大きく、かつ、同生体反応層105の屈折率n(1.5)より小さい屈折率(1.456)としている。この場合、試料Sの屈折率nは、一般に1.33〜1.34であり生体反応層105の屈折率n(1.5)より小さい。このため、金属膜103に接する生体反応層105の屈折率nは、バックグランドに存在する試料Sの影響を受けて生体反応層105固有の屈折率nより実質的に低い屈折率となる。したがって、生体反応層105を基準にプリズム101の屈折率nを決定する従来例に比べて、小さい屈折率のプリズム101を用いることができる。これにより、プリズム101への光の入射角θの分解能が向上する。この結果、試料Sに含まれる生体物質が低分子・低濃度であっても高精度に検出することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態においては、プリズム101と金属膜103との間に透明基板102を配置したが、透明基板102は必ずしも必要な部材ではない。すなわち、プリズム101の上面101a上に直接金属膜103を形成して表面プラズモン共鳴センサ100を構成してもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、液体状の試料Sを用いたが、気体状の試料Sを用いてもよい。この場合、一般に気体の屈折率は液体に比べて大きい。このため、気体状の試料Sを用いた場合には、液体状の試料Sを用いた場合に比べて生体反応層105の実質的な屈折率n、すなわち、実質的屈折率effは大きくなる。したがって、プリズム101の屈折率nも液体状の試料Sを用いた場合に比べて大きくなる。
また、上記実施形態においては、生理活性物質(抗体)により生体反応層105を形成したが、生体反応層105を形成する物質は試料Sに含まれる検出対象物によって特定されるものであり、これに限定されるものではない。すなわち、検出対象物に対して親和性を有する物質(換言すれば、分子識別能力を有する物質)であればよい。例えば、酵素に対して基質または補酵素、ホルモンに対してレセプターや核酸の相互作用など互いに親和性を有する物質の一方を用いて生体反応層105を形成すればよい。また、生体物質以外の物質、例えばトリニトロトルエン(TNT)などの工業系化学物質を用いてもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の作用効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、半円柱形状に形成されたプリズム101を用いたが、これに限定されるものではない。すなわち、プリズム101は半円柱形状以外の形状、例えば、三角柱状に形成されたプリズム101を用いてもよい。これによっても、上記実施形態と同様の作用効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、プリズム101の屈折率nを1.456とした。しかし、本実施形態においてプリズム101の屈折率nは、生体反応層105の実質的屈折率neffである1.365より大きく、生体反応層105の屈折率nである1.5未満の屈折率を用いれば、これに限定されるものではない。この場合、上記範囲内においてより低い屈折率のプリズム101を用いることにより、入射角θの分解能を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る表面プラズモン共鳴センサの構成を模式的に示す一部破断正面図である。 図1に示される表面プラズモン共鳴センサを備える表面プラズモン共鳴センサ装置の構成を概略的に示すブロック図である。 金属膜上の層を1つの層と看做した場合における同層の実質的屈折率neffと、生体反応層の厚さとの関係を表わしたグラフである。 (A)はプリズムの屈折率nを1.597とした場合における反射光の光強度とレーザ光の入射角θとの関係を表わすグラフであり、(B)はプリズムの屈折率nを1.456とした場合における反射光の光強度とレーザ光の入射角θとの関係を表わすグラフである。
符号の説明
S…試料、100…表面プラズモン共鳴センサ、101…プリズム、102…透明基板、103…金属膜、104…プール、105…生体反応層、201…レーザ光源、202…レーザ駆動回路、203…偏光子、204…フォトディテクタ、205…A/D変換器、210…パーソナルコンピュータ、211…コンピュータ装置、212…入力装置、213…表示装置。

Claims (3)

  1. プリズムと、
    前記プリズムに直接的または間接的に設けられた金属膜と、
    流体状の試料に含まれる検出物質が接触することにより物理的または化学的に変化する結合物質を前記金属膜上に固定した結合物質層とを備えた表面プラズモン共鳴センサにおいて、
    前記プリズムの屈折率は、前記結合物質層と同結合物質層に接する前記試料とを含む層の屈折率より大きく、かつ、前記結合物質層の屈折率より小さいことを特徴とする表面プラズモン共鳴センサ。
  2. 請求項1に記載した表面プラズモン共鳴センサにおいて、
    前記検出物質は、生物の体内に存在する生体物質であり、
    前記結合物質は、前記生体物質に対して物理的または化学的に変化する生理活性物質である表面プラズモン共鳴センサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載した表面プラズモン共鳴センサと、
    前記表面プラズモン共鳴センサにおける前記プリズムに光を照射する光源部と、
    前記表面プラズモン共鳴センサにおける前記プリズムからの反射光を受光する受光部とを備える表面プラズモン共鳴センサ装置。
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