JP5556139B2 - 表面プラズモン共鳴センシングシステム及び、表面プラズモン共鳴インライン測定方法 - Google Patents

表面プラズモン共鳴センシングシステム及び、表面プラズモン共鳴インライン測定方法 Download PDF

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本発明は、本発明は表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した測定器(以下、「SPR測定器」ともいう)による、プロセスラインにおける特定の物質のセンシングシステム及び、インライン測定方法に関する。
人体における疾病と人体を構成するタンパク質の変異との間には、高い相関が認められる場合がある。例えば、癌、インフルエンザその他の病気では、病気の進行に伴って体内(血液中など)において特定のタンパク質が増加することが知られている。
従って、特定のタンパク質の状態(特定のタンパク質の有無、量など)を検査することによって疾病の罹患や進行具合についての知見を得ることができる。例えば、腫瘍(癌)の進行に伴って増加する生体分子は腫瘍マーカーと呼ばれ、腫瘍の発生部位に応じてそれぞれ異なる腫瘍マーカーが特定されている。
上記のような腫瘍マーカーを含め、特定のタンパク質の有無や量を簡便かつ高精度に測定する方法として、表面プラズモン共鳴が利用されている。表面プラズモン共鳴(SPR: Surface Plasmon Resonance)とは、金属表面の自由電子と電磁波(光)との相互作用によって生じる共鳴現象である。
図23には、表面プラズモン共鳴を利用して特定の物質(例えばタンパク質の他、糖、脂質、環境ホルモンや生理活性物質等の低分子化合物、病原菌等の微生物などを含む)を検出するバイオセンサの概念図を示す。
ここで、ここに図23(a)における左下方向から入射光が金属層100に入射し右下方向に反射される場合について考える。図23(a)の金属層100には金属自由電子101が存在する。そうすると、入射光の波長及び入射角に依存する電界が金属自由電子101に作用し、金属自由電子101は振動する。そして、特定の波長及び入射角において金属自由電子101の運動と入射光の電界とが共鳴し、入射光のエネルギーが金属自由電子101の振動運動に遷移し、結果として、図23(b)に実線で示すようにこの波長における反射光強度が減少する。
上記した金属自由電子101の運動と光との共鳴現象において、金属層100の外側には数百nm程度の範囲で電界102が発生する。表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサにおいては、この電界102と、検出ターゲットである特定の物質(以下、ターゲットともいう)103との相互作用により、表面プラズモン共鳴の共鳴周波数が変化することを利用している。
検出のターゲット103を特異的に検出するためには、まず、特異的にターゲットと結合するプローブ104を測定領域に固定化する。その後に所定の速度でターゲットを含む試料の送液を行なってターゲット103を流す。そうすると、金属層100の表面に固定されたプローブ104にターゲット103が特異的に結合し、金属層100の近傍の屈折率が変化する。そして、金属層100の近傍の屈折率がターゲット103の結合により変化することに起因して、図23(b)に破線で示すように、表面プラズモン共鳴の共鳴周波数または共鳴入射角が変化する。すなわち、図23(b)に示すような反射率が低下する波長(若しくは、入射光の入射角でも同じ)の移動を検知することで、ターゲット10
3の検出を行うことが可能となる。
このような、表面プラズモン共鳴を利用したセンサには、伝搬型表面プラズモン共鳴センサと局在型表面プラズモン共鳴センサとがある。伝搬型表面プラズモン共鳴センサの原理を図24により簡単に説明する。伝搬型表面プラズモン共鳴センサ110は、図24(a)に示すように、ガラスプリズム111の表面に厚み50nm程度のAu、Ag等の金属膜112を形成したものである。この伝搬型表面プラズモン共鳴センサ110は、ガラスプリズム111側から光を照射し、ガラスプリズム111と金属膜112との界面において光を全反射させる。全反射した光を受光し、光の反射率を測定することによってターゲットである生体分子等がセンシングされる。
すなわち、この光の入射角θを変化させながら、反射率の測定を行うと、図23(b)に示したように、ある入射角(共鳴入射角)で反射率が大きく減衰する。ガラスプリズム111と金属膜112の界面に入射した光が当該界面で全反射するとき、図24(b)及び図24(c)に示すように、当該界面で発生するエバネッセント光(近接場光)と金属膜112の表面プラズモン波が相互作用する。ある特定の波長や特定の入射角においては、入射光の波数と自由電子の振動とが共鳴することで、入射光のエネルギーが金属膜112中に吸収され、金属膜112中の自由電子の振動エネルギーに変化する。これにより、光の反射率が著しく低下するのである。
つぎに、図25を用いて、ナノギャップ構造を用いた局在型表面プラズモン共鳴センサについて説明する。局在型表面プラズモン共鳴センサは、光(電磁波)の交流電界によって図25(a)に示すような複数の溝状の金属ナノ溝構造120中の自由電子が振動し、ある振動数で入射光と自由電子が共鳴して自由電子が光エネルギーを吸収し、共鳴波長で吸光度がピークとなるものである。そして、表面プラズモン共鳴によって発生する自由電子振動は、図25(b)に示すような複数の溝状の金属ナノ溝構造120の局所領域に集中的に定在する。従って、そのセンシング領域は数十nmというように、伝搬型表面プラズモン共鳴センサに比べて非常に小さくなる。
局在型表面プラズモン共鳴センサにおいても、金属ナノ溝構造120の周囲の誘電率(屈折率)の影響を受けるので、金属ナノ溝構造120に予め分散させたプローブ121にターゲット122である何らかの誘電体物質(例えば、抗原)が付着すると、吸光度が変化する。例えば、金属ナノ溝構造120にターゲット122である誘電体物質が付着する前後における吸光度のピーク値における波長を読み取ることにより誘電体物質の付着の有無や付着量を検知できる。
SPR測定器は、上記の原理を応用して例えば抗原抗体反応の測定などに利用される。その測定方法の例を示すと、被検体がバッファ液に溶質として存在する抗原で、センサの検出表面に抗体が固定化されている場合、まず抗原を含まないバッファ液をセンサセル(バッファ液や被検液などの流体を検出表面に接触させて流すための部屋)に流し、そのときの表面プラズモン共鳴の共鳴角を測定する。次に、被検体の抗原を含むバッファ液をセンサセルに流し抗原抗体反応を起こさせた後、抗原を含まないバッファ液でセンサセルを洗浄して再度表面プラズモン共鳴の共鳴角を測定する。こうして得られた抗原抗体反応の前後での表面プラズモン共鳴角の差が、抗体と反応した抗原の数に相当するので、これを溶質として存在した抗原の濃度に換算する。
ところで、クロマトグラフィは、低〜高分子の物質の電気的性質あるいは分子サイズの違いを利用して所望の物質を精製する手法であり、現在では主に生理活性物質の精製等に広く用いられている。その際、生体物質の追跡には260nmあるいは280nmの紫外光(以下、UVという)吸光度計が最も広く用いられており、特定の物質を含む種々の物
質溶出位置はUV吸収のチャ一トで判別することができる。
図26には、クロマトグラフィと上記のUV吸光度計とを組み合わせたセンシングシステムについて示す。図26(a)はセンシングシステムの全体図、図26(b)はUV吸光度計における測定原理を示す図、図26(c)は、UV吸光度計による計測結果の一例を示す図である。
図26(a)に示すように、このシステムにおいては、計測の標的物(以下、ターゲットとも言う。)とノイズ成分である夾雑物とが混在した試料をクロマトグラフィ用のカラム131に導入する。すると、ターゲットと夾雑物とはカラム内で分子量の相違やカラムとのアフィニティの相違に基づいて分離される。そして、UV吸光度計132にターゲットと夾雑物が時間差を伴って導入される。UV吸光度計132では、図26(b)に示すように試料にUVが照射され、試料に含まれるタンパク質の量に応じた割合の光が吸収される。そして、図26(c)に示すように、横軸を試料の通過時間、縦軸を吸光度とした場合に、ターゲットや夾雑物が通過する際にその量に応じたピークが観察される。このピークの有無によりターゲットの含有量を測定する。なお、図26に示す例では、UV吸光度計から排出された試料は電導度計133に導入され念のため電導度が計測される。
特開2008−216055号公報 特開平11−183372号公報 特表2003−504638号公報 特表平9−503064号公報
岡本 隆之、"金属ナノ粒子相互作用およびバイオセンサに関する調査研究"(図2)、プラズモニック研究会、平成14年度科学研究費補助金(基礎研究C)、研究成果報告書、http://www.plasmon.jp/index.html N. Felidj et al. "Controlling the optical response of regular arrays of gold particles for surface-enhanced Raman scattering", Phys. Rev. B 65, 075419(2002)
上記のシステムにおいては、カラム131によってターゲットと夾雑物とは分離されるが、UV吸光度計132、電導度計133からの情報だけでは検出感度が低いため、また、ターゲットだけを特異的に検出することが困難で図26(c)に示すような結果しか得られない。そのため、どのタイミングにおけるデータがターゲットに相当するのか判別が困難となる場合があった。従って、時間毎に試料を分画して、分画毎に内容分析をする必要があった。
また、タンパク質の量に応じてUV吸光度は変化するが、タンパク質の種類に対する特異性が無い。さらに、一般的には感度が10μg/ml程度と低いため、極微量しか含まれないターゲットの検出が困難な場合があった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、プロセスライン上に組み込んで、前のプロセスを通過した流体内の特定の物質を特異的、高感度にインラインで測定可能な表面プラズモン測定技術を提供することにある。
本発明は、表面プラズモン測定器のセンサ表面に特定の物質と特異的に結合可能なプローブを固定しておき、この表面プラズモン測定器をプロセスライン内に設けることで、前のプロセスを通過した流体を表面プラズモン測定器のセンサ表面上に連続的に導入し、前記プロセスを通過した流体内の特定の物質をプローブと結合させることで、特定の物質の量をインラインで特異的に高精度に測定可能としたことを最大の特徴とする。
より詳しくは、表面プラズモン励起光がセンサに照射されることで、表面プラズモン共鳴を前記センサの表面に発生させることが可能であり、前記励起光の波長または入射角度によって前記センサの表面の外側に存在する物質の量を測定可能であり、プロセスライン内に設けられた表面プラズモン測定器と、
前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスを通過した流体を前記表面プラズモン測定器のセンサ表面上に連続的に導入する流体導入手段と、
を備え、
前記センサの表面には、前記流体内の特定の物質と特異的に結合可能な物質であるプローブが固定され、
前記プロセスを通過した流体内の特定の物質を前記プローブと結合させることで、前記特定の物質の量をインラインで測定可能としたことを特徴とする。
これによれば、プローブと特異的に結合する物質だけについて、プロセスライン内で濃度測定を行うことができる。その結果、夾雑物の濃度を一緒に測定してしまうこともなく、より精度よく、特定の物質の濃度を測定することが可能である。また、プロセスライン内で測定を行うため、より容易またはより迅速な測定が可能となる。
また、本発明においては、前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離動作を行う解離手段をさらに備え、
前記表面プラズモン測定器による前記プローブと結合した前記特定の物質の量の測定と、前記解離手段による前記プローブと結合した前記特定の物質の解離と、を交互に行うことにより、該プローブと結合した特定の物質の量について複数回の測定を連続的に行うようにしてもよい。
一般に、表面プラズモン測定器においては、センサ表面に固定されたプローブの全部とターゲットとが結合してしまうと、屈折率の変化が飽和してしまい、それ以上の測定が不可能となる。これに対し、本発明では、解離動作を行うことで、表面プラズモン測定器のセンサにおいてプローブとターゲット(特定の物質)とを解離させることとした。これにより、プロセスライン中で、特定の物質の濃度測定を、高精度に、且つ、連続的、特異的に行うことが可能となる。また、本発明においては、一回の測定が終了すると、解離動作を少なくとも2回行うこととしてもよい。そうすれば、より確実に、プローブとターゲットとを解離することができ、センサの表面を再生することが可能となる。なお、その場合においては、複数の測定のうちの各測定が終了する毎に全ての解離動作を2回以上行ってもよいし、一部の測定が終了した際にのみ、2回以上解離動作を行うようにしてもよい。
また、本発明においては、前記解離動作は、前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離剤の前記流体内へのインジェクトであることとしてもよい。
これによれば、前のプロセスを通過した流体の流れを利用して、解離剤がセンサの表面に導入されプローブに到達するので、解離剤を流体内にインジェクトするだけで、より簡単に解離動作を完了させることが可能である。
また、本発明においては、前記流体導入手段は、前記表面プラズモン測定器より前のプロセスを通過した流体を流通させる流路であり、
前記表面プラズモン測定器の前記センサの表面は、前記流路内に前記流体に臨むように配置され、
前記解離剤の前記流体内へのインジェクト用の注入口は、前記流路内において前記センサの表面と略同一の面内であって、前記流路における前記センサの表面の上流側に設けられているようにしてもよい。
これによれば、注入口からインジェクトされた解離剤を、流体内に拡散する前の層流状態で、直接センサ表面に到達させることができる。よって、より高濃度のまま効率よくプローブとターゲットとの解離を行うことができる。また、これによれば、解離剤の使用量をより少量にすることができるので、プロセスライン内の流体の成分についての影響をより小さくすることができる。
また、本発明においては、前記センサの表面において、前記特定の物質と結合するプローブを固定した第1の測定領域と、前記特定の物質と結合するプローブを固定しない第2の測定領域とが設けられ、前記第1の測定領域において測定された測定値から、前記第2の測定領域で測定された測定値を差し引くことで、前記特定の物質の量を測定するようにしてもよい。
すなわち本発明においては、表面プラズモン測定器のセンサ表面に複数の測定領域を有する。その中の第1の測定領域においては、測定対象である特定の物質と結合するプローブを固定する。また、他の第2の測定領域においては、前記したプローブは固定しない。ここで、測定対象である特定の物質以外の夾雑物が流体内に混入していた場合について考える。この場合は、第1の測定領域で測定されたデータは、特定の物質と夾雑物の量を測定しており、第2の測定領域で測定されたデータは、夾雑物の量を測定していると考えられる。従って、第1の測定領域で測定された測定値から第2の測定領域で測定された測定値を差し引くことで、夾雑物の影響が排除された、特定の物質のみによる測定値を得る事が可能となる。
従って、本発明によれば、前のプロセスを通過した流体内において、測定の対象である特定の物質以外の夾雑物が存在したとしても、より正確に、特定の物質の量の測定を行うことが可能となる。なお、この場合、第2の測定領域には、第1の測定領域に固定されたプローブと光学的性質が類似している物質を固定してもよい。そうすれば、第1の測定領域と第2の測定領域における、特定の物質以外の条件をより近似させることができるので、より精度よく、特定の物質の量を測定することが可能となる。
また、本発明においては、前記表面プラズモン測定器の前記センサは、
前記センサの表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層と、前記センサの表面の前記金属層が形成されている部分に形成された複数の溝からなる溝構造と、を有するとともに、該溝構造における各溝の側壁面は、該側壁面を覆う前記金属層による対向面を形成し、該金属層による対向面で挟まれる領域において局在型の表面プラズモン共鳴を発生させる局在型表面プラズモン共鳴センサであるようにしてもよい。
表面プラズモン測定器のセンサとして、局在型表面プラズモン共鳴センサを選択した場合には、伝搬型表面プラズモン共鳴センサを選択した場合と比較し、センサ表面から外部に発生する電界の及ぶ領域が限定されるという特徴がある。従って、本発明のように表面プラズモン測定器のセンサとして、局在型表面プラズモン共鳴センサを選択した場合には、発生電界の領域をプローブ及びターゲットの存在する領域に限定することができ、夾雑物の影響を低減することができる。その結果、リファレンス部で得られた測定値で、セン
シング部で得られた測定値を補正するなどの対策をとらずとも、より簡単な構成及び方法で、夾雑物の影響を低減することが可能となる。
表面プラズモン測定器のセンサとして、伝搬型表面プラズモン共鳴センサを選択した場合には、センサにおける金属膜と反対側の面には、プリズムが貼り合わされる場合が多い。そうすると、解離剤の注入口をセンサ自体に形成することが困難となる。それに対して本発明のように、表面プラズモン測定器のセンサとして、ナノ溝構造を有する局在型表面プラズモン共鳴センサを選択すれば、センサ自体にプリズムを貼り合わす必要がなくなる。そうすると、センサ自体に解離剤の注入口を加工し易く、より簡単に、高効率に解離動作を行うことができるセンサを実現することができる。また、センサにおいて実際に表面プラズモン共鳴が発生するナノ溝構造に対して、より近い場所に注入口を形成することができ、さらに効率的に、解離動作を行うことが可能になる。
また、本発明においては、センサとして局在型表面プラズモン共鳴センサを選択した上で、前記注入口は、前記流路において、前記センサの表面における前記溝構造に対して上流側2mm以内の場所に設けられるようにしてもよい。そうすれば、より確実に、高濃度の層流状態の解離剤をセンサ表面に到達させることが可能である。その結果、より効率よく解離動作を行うことが可能となる。また、前記注入口は円形断面を有するとともに、その直径は、前記センサの表面において前記プローブが固定された領域の前記流路の幅方向の長さ以上であり、前記流路幅以下であるようにしてもよい。そうすれば、より確実に、高濃度の層流状態の解離剤をセンサ表面の全域に到達させることができる。
また、本発明においては、前記解離手段による前記解離動作は、前記表面プラズモン測定器からの前記特定の物質の量に応じた信号に基づき、該信号の大きさが予め定められた閾値を越えてから一定時間後に行われるようにしてもよい。
すなわち、表面プラズモン測定器からの信号が小さい場合には、前のプロセスからの流体内にターゲットが殆ど無い状態であると言える。このような状態では解離動作を行う必要もない。一方、表面プラズモン測定装置からの信号が所定の閾値を越えた場合には、ターゲットが流れ始めていることを示しており、近い将来にセンサ表面に固定されたプローブがターゲットで飽和するおそれがある。
これに対し、本発明においては、表面プラズモン測定器からの信号が所定の閾値を越えた場合には、それ以降一定時間が経過した後には解離動作を行うこととした。これによれば、解離動作が必要ない状況においては解離動作を行わず、本当に必要になった時点で解離動作を行うことができる。従って、解離剤の無駄を抑制することができるとともに、不要にプロセスライン中の流体に解離剤が混入することを抑制できる。なお、本発明において予め定められた閾値とは、表面プラズモン測定器の信号がこれを越えた場合には、ターゲットが流れはじめており、解離動作が必要になると考えられる閾値であって、予め実験などの結果に基づいて定められる。また、一定時間とは、表面プラズモン測定器の信号が前記閾値を越えた場合に、この時間だけ経過した際に解離動作を行えば、プローブがターゲットで飽和してそれ以上の測定が困難になる状態が生じづらいと考えられる時間であって、これも予め実験などによって定められる。
また、本発明においては、前記流路における前記センサの下流側に設けられ、前記流体を回収するか廃液として廃棄するかを制御するバルブを有し、
前記表面プラズモン測定器からの前記特定の物質の量に応じた信号に基づき、該信号が予め定められた閾値を越えてから、前記解離手段による前記解離動作が行われるまでの間は、前記バルブを作動させて前記生成物を含む溶液を回収するようにしてもよい。
ここで、プロセスラインにおいては、測定対象である特定の物質(ターゲット)は、測定においてできる限り消費されるべきではない。すなわち、表面プラズモン共鳴センサによる測定が終わった後には、回収されて、後のプロセスに送られるべきである。しかしながら、表面プラズモン共鳴センサによる測定が終わった後の流体は、解離剤を含んでいる可能性がある。この解離剤についてはできる限り回収されるべきでなく、廃液として廃棄されることが望ましい。
そこで、本発明においては、測定後の流体が回収されるか廃棄されるかを制御するバルブを有しており、表面プラズモン共鳴センサからの信号に基づいて、バルブを作動させる。より具体的には、表面プラズモン共鳴センサからの信号が予め定められた閾値を越えてから、前記解離手段による前記解離動作が行われるまでの間は、前記バルブを作動させて前記流体を回収することとした。
これは、表面プラズモン共鳴センサからの信号がある程度大きくなっている状態は、前回に解離動作が行われてからある程度の時間が経過しており、流体中に解離剤が混入している危険性も少なくなっているので、このような状態においては、表面プラズモン共鳴センサによる測定が終わった後の流体を回収することにした。また、それ以外の期間においては、表面プラズモン共鳴センサによる測定が終った後の流体に解離剤が混入している危険性が高いため、これを廃液として廃棄することとした。
これによれば、より簡単な制御で精度よく、解離剤が流体に混入していない状態と、解離剤が流体に混入している状態とを区別することができ、ターゲットである特定の物質の無駄を減らすことができるとともに解離剤の流体への混入をより確実に抑制することができる。なお、本発明において予め定められた閾値とは、表面プラズモン測定器からの信号がこれを越えた場合には、センサ表面のプローブにターゲットである特定の物質がある程度以上結合しており、前回の解離動作において注入された解離剤はもはや廃棄された状態であると判定される信号の値であり、予め実験などによって定められる。
また、本発明においては、前記流路を流通する前記流体の流量を検出する流量センサをさらに有し、前記表面プラズモン測定器からの前記特定の物質の量に応じた信号と、前記流量センサにより検出された前記流体の流量とに基づいて、前記流体を回収する時期を制御するようにしてもよい。これによれば、前回の解離動作において注入された解離剤はもはや廃棄されたかどうかを流体の流量を考慮に入れた上で判定することができ、回収の開始すべき時期をより精度よく決定することができる。
また、本発明においては、前記流体導入手段は、前記プロセスライン上における所定のプロセスを通過した流体を前記プロセスラインから分岐して流通させる流路であり、
前記流路の分岐点と前記表面プラズモン測定器との間に流量制御用の開閉バルブを有するようにしてもよい。
これによれば、特定の物質の量の測定は、プロセスラインの制御とは独立して行うことができ、プロセスラインの制御及び、表面プラズモン測定器による測定の双方の自由度を高めることができる。
この場合は、前記開閉バルブが一定間隔で開閉制御されることで、前記表面プラズモン測定器が、前記流体内の前記特定の物質の量を一定間隔でモニタリングするようにしてもよい。これによれば、一定間隔で一定量の流体をセンサ表面に導入すればよいので、測定のために用いられるターゲットの量を低減し、無駄を排除することができる。
また、本発明においては、前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より
前のプロセスは精製クロマトグラフィであり、該精製クロマトグラフィを通過した前記流体の精製抽出状態を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングするようにしてもよい。あるいは、前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスは細胞培養槽であり、前記流体内における、該細胞培養槽において生成した物質を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングするようにしてもよい。
また、本発明は、表面プラズモン励起光がセンサに照射されることで、表面プラズモン共鳴を前記センサの表面に発生させることが可能であり、前記励起光の波長または入射角度によって前記センサの表面の外側に存在する物質の量を測定可能な表面プラズモン測定器による、表面プラズモン共鳴インライン測定方法であって、
前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスを通過した流体を前記表面プラズモン測定器のセンサ表面上に導入する流体導入工程と、
前記プロセスを通過した流体内の特定の物質を、前記センサの表面に固定された前記特定の物質と特異的に結合可能な物質であるプローブと結合させることで、前記特定の物質の量をインラインで測定する測定工程と、
を有することを特徴とする表面プラズモン共鳴インライン測定方法であってもよい。
その際、本発明においては、前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離動作を行う解離工程をさらに有するようにしてもよい。
また、本発明においては、前記解離動作は、前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離剤の前記流体内へのインジェクトであるようにしてもよい。
また、本発明においては、前記解離剤の前記流体内へのインジェクトは、前記流路内において前記センサの表面と略同一の面内であって、前記流路における前記センサの表面の上流側に設けられた注入口から行われるようにしてもよい。
また、本発明においては、前記センサの表面において、前記特定の物質と結合するプローブを固定した場合の測定値から、前記特定の物質と結合するプローブを固定しない場合の測定値を差し引くことで、前記特定の物質の量を測定するようにしてもよい。
また、本発明においては、前記表面プラズモン測定器の前記センサは、
前記センサの表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層と、前記センサの表面の前記金属層が形成されている部分に形成された複数の溝からなる溝構造と、を有するとともに、該溝構造における各溝の側壁面は、該側壁面を覆う前記金属層による対向面を形成し、該金属層による対向面で挟まれる領域において局在型の表面プラズモン共鳴を発生させる局在型表面プラズモン共鳴センサであることとしてもよい。
また、本発明においては、前記解離工程における前記解離動作は、前記表面プラズモン測定器により測定された前記特定の物質の量に基づき、該特定物質の量が予め定められた閾値を越えてから一定時間後に行われるようにしてもよい。
また、本発明においては、前記表面プラズモン測定器により測定された前記特定の物質の量に基づき、該特定の物質の量が予め定められた閾値を越えてから、前記解離工程による前記解離動作が行われるまでの間は、前記流体を回収するようにしてもよい。
また、本発明においては、前記表面プラズモン測定器により測定された前記特定の物質の量と、前記流体の流量とに基づいて、前記流体を回収する時期を決定するようにしても
よい。
また、本発明においては、前記流体導入工程においては、前記プロセスライン上における所定のプロセスを通過した流体を前記プロセスラインから分岐して前記表面プラズモン測定器のセンサ表面上に導入し、
前記表面プラズモン測定器が、前記流体内の前記特定の物質の量を一定間隔でモニタリングするようにしてもよい。
また、本発明においては、前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスは精製クロマトグラフィであり、
該精製クロマトグラフィを通過した前記流体の精製抽出状態を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングするようにしてもよい。
また、本発明においては、前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスは細胞培養プロセスであり、前記流体内における、該細胞培養プロセスにおいて生成した物質を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングするようにしてもよい。
なお、上記した課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。
本発明によれば、プロセスラインにおいて、プロセス間を流通する流体内の特定の物質の量を特異的、高感度にインラインで測定することが可能となる。
本発明の実施例1に係るセンシングシステムの概略構成について示す図である。 本発明の実施例1に係る分画試料の構成例を示す図である。 本発明の実施例1におけるUV吸光度計による吸光度の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例1に係るSPR測定器による測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る夾雑物によるバックグラウンドノイズの対策について説明するための概念図である。 本発明の実施例1に係るリファレンス補正を行った場合の、各センシング部において得られた信号及び、その差分を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るセンサチップの概略構成を示す図である。 本発明の実施例2に係る局在型表面プラズモン共鳴を利用したSPR測定器による測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る局在型表面プラズモン共鳴を利用したSPR測定器による測定結果を纏めたグラフである。 本発明の実施例3に係るSPR測定器の概略構成を示す図である。 本発明の実施例3に係る局在型のセンサチップと、伝搬型のセンサチップとを比較する図である。 本発明の実施例3に係る解離剤インジェクト方法と通常の解離剤インジェクト方法とを比較した説明図である。 本発明の実施例3に係る解離剤インジェクト方法と通常の解離剤インジェクト方法とにおけるエタノールのインジェクト量と信号変化量との関係を比較したグラフである。 本発明の実施例4に係るSPR測定器を含むセンシングシステムの概略構成を示す図である。 本発明の実施例4に係るセンシングシステムにおけるSPM測定器よって得られたSPR信号のグラフである。 本発明の実施例4に係るセンシングシステムの制御コンピュータにおいて実行されるSPR測定ルーチンについてのフローチャートである。 本発明の実施例4に係るセンシングシステムにおいてSPR測定ルーチンが実行された結果行われる制御の概要を示す図である。 本発明の実施例4におけるターゲットの回収タイミングについて示す図である。 本発明の実施例5に係るプロセスラインの例を示す概略図である。 本発明の実施例5に係るプロセスラインの例の別の態様を示す概略図である。 本発明の実施例5に係るプロセスラインの例の第3の態様を示す概略図である。 本発明の実施例5に係るプロセスラインの例の第3の態様におけるバッファ液、試料、解離剤の流通タイミングを示す図である。 表面プラズモン共鳴の発生を利用したバイオセンサの原理を説明する図である。 伝搬型表面プラズモン共鳴の発生源理を説明する図である。 局在型表面プラズモン共鳴の発生源理を説明する図である。 従来のクロマトグラフィ、UV吸光度計、伝導度計の組合せによる測定装置について説明するための図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。
<実施例1>
図1には、本実施例で使用したセンシングシステム1の概略構成を示す。試料は精製クロマトグラフィ(以下、単にクロマトグラフィともいう)のカラム2から導入する。カラム2はUV吸光度計3に接続されており、カラム2を通過した後の試料がUV吸光度計3に導入され吸光度の測定が行われる。UV吸光度計3を通過した試料はSPR測定器4に導入される。なお、UV吸光度計3とSPR測定器4とを連結させて試料を流通させる管は、本実施例において流体導入手段に相当する。また、カラム2を通過した後の試料がUV吸光度計3に導入される工程は本実施例において流体導入工程に相当する。SPR測定器4においては図示しないSPRセンサによって試料の測定が行われ、測定結果は制御コンピュータ7に送られ記録される。この工程は、本実施例において測定工程に相当する。
また、測定にあっては、SPRセンサにおいてプローブと結合したターゲットを、プローブから解離させる解離剤を導入し、新たなターゲットの捕捉を可能とする解離動作が制御コンピュータ7からの指令により間欠的に行われる。本実施例においてこの工程は解離工程に相当する。また、解離手段は図示されていないが制御コンピュータ7を含んで構成される。また、SPRセンサによるターゲットの測定結果と連動して、制御コンピュータ7によりバルブ8が制御されることで、試料の回収と廃棄とが制御される。これにより、SPR測定器4から排出されたターゲットは選択的に試料回収管5を通過して回収されるとともに、解離剤などは廃棄管6を通過して廃棄される。
本実施例においては、クロマトグラフィや製薬プロセスを想定し、夾雑物も含む、濃度勾配を持った試料を準備した。そして、UV吸光度計3とSPR測定器4による検出結果の比較を行った。ターゲットとしてAFP(α-fetoprotein)、夾雑物としてBSA(Bovine Serum Albumin)のタンパク質が含まれる分画試料を用いた。この分画試料は、図2に
示すように、BSAに関しては分画No.10、12に100μg/ml、No.11に
500μg/ml含ませた。AFPはNo.3、7に0.1μg/ml、No.4、6に0.5μg/ml、No.5に3μg/mlと、BSAに比べると100分の1以下の低濃度となるように分画試料に含ませた。このようなAFPとBSAが混在したサンプルを実際にまずUV吸光度計3で測定した。
図3には、本実施例におけるUV吸光度計3による吸光度の測定結果を示す。高濃度のBSAが含まれる分画No.10、11、12で大きな信号変化が得られているが、AF
Pが含まれている分画No.3−7ではノイズに埋もれて、信号変化が観察されなかった。これは、UV吸光度計3の検出限界が約10μg/mlと低感度であるため、濃度が0.1μg/mlのAFPの検出が困難であることによる。さらに、UV吸光度計3の場合はAFP、BSAなどタンパク質の種類による特異性が無いため、例えターゲットが高濃度だとしても、このデータだけではどのピークがターゲットに対応しているか判別できないという問題がある。
次に、SPR測定器4を使用して、上述したものと同じ分画試料を用いた連続的な測定の模擬実験を行った。図示しないSPRセンサのチップ表面は、あらかじめポリエチレングリコールの膜でコートしておき、その表層に対して、プローブとして抗AFP抗体を固定化した(非特異吸着を防止するためのブロッキング剤を添加する方法もある)。
連続的な測定を実現するために、ターゲットであるAFPが一度結合した表面に対して解離剤を一定時間間隔でインジェクトすることで表面の再生を連続的に行った。非特異吸着を完全に除去するため、一回の再生に対して2回の解離剤のインジェクトを行った(3回以上行ってもよい)。得られた測定結果を図4(a)に、当該結果を横軸を分画No.とし、縦軸をSPR測定器4の信号の値として纏めた結果を図4(b)に示す。上述のUV吸光度計3による検出ではAFPが含まれるNo.3−7で信号変化が検出できなかったが、SPR測定器4を用いた結果では、No.3−7において濃度に応じた大きな信号変化が観察されており、ターゲットであるAFPの存在が確認できる。
このようにSPR測定器4を用いることで、従来のUV吸光度計3では測定できなかった低濃度のターゲットを測定することができる。また従来のUV吸光度計3だとタンパク質の検出時に選択性は無かったが、SPR測定器4を用いることである程度の選択性が得られた。
但し、この場合でも、図4(b)から分かるように、高濃度の夾雑物(BSA)が混在している場合には、No.10−12で信号変化が発生しておりノイズ成分となっている。これは、SPRセンサチップの近傍を浮遊しているBSA分子が、表面プラズモン共鳴の感度領域(数百nm)に入ってくることで、屈折率の変化を発生させることによるバックグラウンドノイズ(バルク効果)である。
次に、今回のBSAのような夾雑物によるバックグラウンドノイズの対策について説明する。このような夾雑物が存在する場合には、ターゲットであるAFP抗体を結合しないセンサチップをもう一つ用意しておき、そのセンサチップでのバックグラウンド量をリファレンスとして補正することで、測定全体のS/Nを改善することが可能である。
図5には、この場合の概念図を示す。バックグラウンドノイズを低減するために、あらかじめSPRセンサチップ10に測定領域を2つ以上用意しておく。一方のセンシング部10a(第1の測定領域に相当する)にはターゲットであるAFP11を捕捉するためのプローブ(今回の場合、抗AFP抗体)12を固定化する。他方のリファレンス部10b(第2の測定領域に相当する)には基本的にサンプル中に含まれる分子とは反応しないプ
ローブ(今回、抗FLAG抗体)13を固定化する。この際、できるだけ物理化学的性質または光学的性質の近いプローブを各同じ量だけ固定化することが、正確な補正を行うために望ましい。AFP11は抗AFP抗体12にのみ結合し、抗FLAG抗体13には結合しないため、センシング部10aにおいては、AFP11の濃度に応じて信号変化が得られる。一方、BSAのような夾雑物14に対しては、センシング部10a及びリファレンス部10bのいずれの測定部分にもバックグラウンドノイズとして共通に信号変化が起こる。そのため、センシング部10aで得られた信号からリファレンス部10bで得られた信号を差し引きすることで、バックグラウンドノイズを除去したSPR信号を得ることができる。
図6には、リファレンス補正を行った場合の、センシング部10aで得られた信号と、リファレンス部10bで得られた信号と、前者の信号から後者の信号を差し引いて得られる信号とを示す。図6(a)に示すように、センシング部10aで得られた信号には、AFP11の濃度に応じたピークと、BSAによるピークが見られる。図6(b)に示すように、リファレンス部10bで得られた信号には、BSAによるピークのみが見られる。図6(c)に示すように、両者の差分をとることで、夾雑物であるBSAの影響を排除し、ターゲットであるAFP11の濃度に応じた信号のみを得ることができる。
<実施例2>
次に、本発明における実施例2について説明する。前述の実施例のように、SPRをクロマトグラフィ等のプロセスにインライン的に接続することにより、従来のUV吸光度計を用いる場合と比べて高感度、高選択的な検出が可能であることが確認された。但し、夾雑物が大量に存在する場合にはバックグラウンドノイズが発生してS/Nが低下してしまうという課題があった。これに対しリファレンス補正を行う場合は、リファレンス部を作製するための高度な固定化技術が必要であり、また、装置のコスト、サイズが大きくなるといった課題がある。
そこで、本実施例においては、SPR測定器4においてバックグラウンドノイズを低減するために局在型表面プラズモン共鳴を利用した場合の検証を行った。本方式を用いれば、図5で説明したようなリファレンス補正が不要となり、システムの簡素化、ローコスト化を図ることができる。
本実施例においては、図7(a)に示すように、センサチップに金属のナノ溝構造を形成した。具体的には、スライドガラス製のベース20の表面に透明の樹脂を滴下してモールドでナノ溝構造21がナノインプリンティングにより形成されている。ここで樹脂はUV硬化型のアクリル系樹脂を使用した。また、樹脂上のナノ溝構造21は平行な溝形状であり、ピッチは300nm、深さは50〜60nmである。また、溝幅は100〜140nmである。本実施例では図7(b)に示すように、ナノ溝構造21の溝の上には金スパッタにより膜厚100nmの金属膜22が形成されている。なお、ナノ溝構造は、熱ナノインプリンティングや射出成形で作製しても良い。また、本実施例において、一般的な金コロイド等の局在型表面プラズモン共鳴センサを使用しても良い。
実施例1と同じ分画試料について、局在型表面プラズモン共鳴を利用したSPR測定器を用いて同様の測定を行った。得られた測定結果を図8に示す。また、横軸を分画No.とし、縦軸をSPR測定器の信号の値として当該測定結果を纏めた結果を図9に示す。AFPについては同様に大きな信号変化が得られたが、BSAによるバックグラウンドノイズは実施例1におけるSPR測定器に比べると小さく、ほとんど測定に影響しないレベルであることが確認できた。これは、局在型表面プラズモン共鳴を利用したことによるセンシングエリアの局在化によって、バックグラウンドの影響を低減できていることに起因している。
このように、局在型表面プラズモン共鳴を利用したSPR測定器を用いることで、バックグラウンドの影響をほとんど受けずにインライン測定が可能であることが確認できた。さらに、パターンの最適化を行うことにより、さらにバックグラウンドノイズの低減が可能である。また、逆に特異的な信号変化のみを増大させることも可能である。本方式を用いれば、小型、簡便、ローコストな特異的、連続的高感度なインラインセンシングシステムの実現が可能である。
<実施例3>
次に、本発明における実施例3について説明する。実施例1及び実施例2では、連続的なセンシングを実現するために、解離剤を使用して間欠的にセンサチップ表面のターゲットをプローブから解離した。このように解離剤はセンサチップ表面の再生を行うのに有効な手段であるが、タンパク質自体の変性を起こさせるおそれがあるため、クロマトグラフィや製薬プロセスに扱うような貴重な試料内への混入はできる限り少ないことが望ましい。
従来は試料が流れる流路内全体に充填する形で解離剤をインジェクトしていたが、本実施例では試料の流路におけるセンサチップの表面と同一面にインジェクト用の注入口を設けることで、センサチップの表面に沿った薄い解離剤の層(層流)を形成し、微量の解離剤で効果的な解離を行うこととした。特に、局在型表面プラズモン共鳴を用いたセンサチップでは従来の伝搬型表面プラズモン共鳴を用いたセンサチップの場合と異なり、センサチップ裏面側のプリズムを必要としないので、センシング部に極めて近い場所に解離剤の注入口を設けることが可能である。従って、極めて少量の解離剤を用いた効率的な表面再生が可能となる。
図10には、本実施例におけるSPR測定器30の概略構成を示す。図10(a)はSPR測定器30の断面図である。図10(a)においてターゲットを含む試料は試料用流路35内を白抜き矢印の方向に流れる。また、試料用流路35におけるセンサチップ31の直上流には、解離剤を試料内にインジェクトする解離剤注入口32が設けられている。解離剤はインジェクタ33により解離剤注入口32から試料内にインジェクトされる。
図10(b)にはインジェクタ33の断面図を示す。本実施例におけるインジェクタ33は、エポキシ樹脂系の複合材料からなるブラケット43とインジェクト部36とを有する。また、インジェクト部36の表面には解離剤が付着しづらいように撥水膜40が施されている。また、ブラケット43とインジェクト部36には、解離剤用流路37が設けられており、矢印方向に解離剤が供給されることで、解離剤用流路37は解離剤で満たされている。解離剤用流路37は先端で絞られてノズル41が形成されている。また、解離剤用流路37のノズル41の上流側は比較的流路断面積が広い圧力室42になっている。インジェクト部36における圧力室42の上側の厚みは薄くなっており振動膜38を形成している。この振動膜38をPZT素子39で周期的に押圧することで、振動膜38を振動させる。このことにより、圧力室42の容積が周期的に変化することとなり、ノズル41から連続的に解離剤が吐出されるようになっている。
解離剤注入口32から試料用流路35に注入された解離剤は、注入後すぐに試料中に拡散するのではなく、液の流れが層として振舞い、徐々に広がっていく(層流、Sheath-flow)。一方で、解離剤の試料中への混入率はできる限り少なくすることが求められること
から、解離剤注入口32はセンサチップ31にできる限り近い部分にあることが望ましい。また、センサチップ31と同一面の直上流に解離剤注入口32を設けることで、拡散前の層流状態の解離剤がセンサチップ31のセンシング部に高濃度で到達し、少量の解離剤でも効率的な解離動作が可能となる(単位溶液量あたりの反応効率を上げることが可能で
あり、抗原抗体反応の反応効率上昇にも、この仕組みは応用できる)。
ここで、従来の伝搬型表面プラズモン共鳴センサでは図11(a)に示すようにセンサチップ45の金属膜45aとは反対側にプリズム46をマッチングオイル46aなどを介して貼り付ける必要があった。従って、センサチップ45自体に貫通穴を設けてセンシング部の近傍に解離剤のインジェクトを行うことは困難であった。これに対し、ナノ溝構造を形成し、ナノ溝構造において発生する局在型SPRを利用したセンサチップ47を用いることでプリズムが不要になるため、ナノ溝構造部分であるセンシング部48の近傍に貫通穴49を設けることが可能となる。よって、この貫通穴49から解離剤をインジェクトし、センシング部48のプローブに結合されているターゲットを効率的に解離することが可能である。なお、本実施例におけるセンサチップ47を射出成形で作製する場合には、射出成形の時点でセンシング部48近傍に貫通穴49を形成しておいても良い。
次に、センサチップのセンシング部近傍から解離剤をインジェクトした場合の層流の効果についての評価を行った。図12には、通常の場合の解離剤インジェクト方法と、本実施例における解離剤インジェクト方法の概念図を対比して示す。図12(a)に示すように、通常のインジェクト方法においては、試料用流路51におけるセンサチップ50の上流側の離れた部分において、解離剤用流路52から解離剤をインジェクトする。従って、解離剤はセンサチップ50に到達するまでに、試料用流路51中である程度拡散してしまい、センサチップ50上のターゲットを効率よく解離することが困難である。一方、本実施例においては、解離剤用流路53は、センサチップ50のセンシング部50aの直上流に配置され、この解離剤用流路53から解離剤が直接インジェクトされる。
評価に用いた装置の具体的な内容は以下のとおりである。まず、ナノインプリントで作製したナノ溝構造を有するセンシング部50aの約2mm上流側においてセンサチップ50に貫通穴54を設け、その貫通穴54に裏面側から解離剤をインジェクトした。また、試料用流路には常時、水(n=1.33)を流し、模擬的な解離剤としてエタノール(n=
1.36)をインジェクトした。そして、模擬解離剤としてのエタノールのインジェクト
量を減らした場合に、通常のインジェクト方法と本実施例における貫通穴54からのインジェクト方法とにおける信号変化を観察した。
図13に結果のグラフを示す。横軸はエタノールのインジェクト量、縦軸はエタノールのインジェクト前後における信号変化の大きさである。信号変化の大きさ(実際には、ターゲットの検出によるSPR発生波長のシフト量)信号は50μlのエタノールを流したときの信号の大きさを1として規格化している。通常のインジェクト方法における解離剤用流路のサイズは、幅2.0mm、高さ25μmとし、解離剤の流速は40μl/min
とした。また、通常インジェクトは市販のインジェクタ(レオダイン社製、型式9735)をセンサチップ50の手前に接続して使用した。図13より、通常のインジェクト方法
においては、エタノールの量が微量(20μl以下)になると液の混合、拡散が発生して
濃度が低下しており、本来の信号変化量が得られないことが分かる。
一方、本実施例における、貫通穴54からのインジェクト方法においては、貫通穴54の直径は約1.5mmとし、センサチップ50の裏面側からシリンジポンプを使用(流速は40μl/minで合わせた)してエタノールをインジェクトした。この場合においては、インジェクト量が5μlと微量であっても、50μlの場合とほぼ同等の信号変化が得られている。つまり、層流でセンサチップ50におけるセンシング部50aの表面にエタノールの溶液層が存在していることと、センシング部50aと貫通穴54との距離が短いことにより、液の拡散、混合が起こらないことが分かる。つまり、本構成を利用して解離剤のインジェクトを行えば、解離剤の混入比率を低減することが可能である。
なお、本実施例において、解離手段は、インジェクタ、解離剤注入口と、インジェクタを制御する図示しない制御コンピュータを含んで構成される。また、本実施例における流体導入手段は流体用流路を含んで構成される。なお、本実施例の結果から、解離剤の注入口(貫通穴54)は、ナノ溝構造を有するセンシング部50aに対して少なくとも上流側2mm以内の場所に配置されれば好適な解離動作が可能となることが分かる。なお、注入口(貫通穴54)の径はセンサの表面においてプローブが固定された領域のサイズと同等以上であることが望ましい。注入口からインジェクトされた解離剤が若干拡散しながら下流に移動することを考えると、プローブが固定された領域のサイズと同等程度がさらに望ましい。例えば、実際にスポッティング装置を用いてプローブ固定を行った場合、その径は20〜500μm程度となるため、解離剤注入口の径は20〜500μm程度とするとよい。もちろん、本実施例のように1.5mmであっても、センサの表面においてプローブが固定された領域をカバーできれば問題ない。
<実施例4>
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例においては、前述のようにセンシング部表面の再生のための解離剤はできるだけ混入量を減らす必要がある。また、クロマトグラフィ等と合わせて測定をする場合、SPR測定器で得られた信号を利用してターゲットの含まれた試料を取り出し回収することが望ましい。このため、測定結果に基づいて解離装置及び回収装置へフィードバックするシステムが要求される。
図14には、本実施例におけるSPR測定器を含むセンシングシステム60の概略構成を示す。SPR測定器61には、前段プロセスより試料が供給される。SPR測定器61で測定したターゲットの濃度に関連するデータは、制御コンピュータ63に送られて解析、記録される。制御コンピュータ63は、受け取ったデータをもとに、解離剤の注入タイミングを決定し、解離剤注入ポンプ62を駆動させることで、解離動作を行う。また、制御コンピュータ63は、受け取ったデータをもとに、ターゲットの回収のためのバルブ駆動タイミングを決定し、バルブ64を駆動させることでSPR測定器61から排出された試料のうちターゲットを多く含む部分を回収し、解離剤を多く含む部分を廃液として廃棄する。なお、本実施例において回収手段は、制御コンピュータ63、解離剤注入ポンプ62を含んで構成される。
図15には、本実施例のセンシングシステム60におけるSPM測定器61よって得られたSPR信号の値のグラフを示す。横軸は時間、縦軸はSPR信号の値である。このSPR信号は、実際には、センシング部におけるターゲットとプローブとの結合による表面プラズモン共鳴の発生波長のシフトに相当する信号であり、試料中のターゲットの量(濃度)に相当する信号である。図15において、ターゲットが流れていない状態では解離剤をインジェクトする必要が無い。従って、ターゲットが流れ出した後に、SPR信号の大きさが予め定められた閾値A以上になった時点を起点として、やはり予め定められたΔTの経過後に初めて解離剤をインジェクトする。例えば、この閾値Aはベースライン+9σ(σはΔT間の信号標準偏差)などとして良い。ΔTの値はターゲットの濃度、送液速度等によって決定されるが例えば1分間などと固定しても良い。ここで、信号変化量ΔSを、解離剤をインジェクトする直前のSPR信号値から、ΔT´前のSPR信号値を差し引いたものとして定義する。ここで、ΔT´の値は、0<ΔT´<ΔTを満たすという条件で予め定められた時間である。
図15に示すように、解離剤のインジェクトを開始した後はΔSが一定値以下になるまではΔT間隔で解離剤をインジェクトし続ける。その際、ΔT間隔で解離剤を2回ずつインジェクトしてもよい。そして、ΔSが一定値以下になった際には、ターゲットが無くなったと判断して、解離剤のインジェクトを停止する。この場合のΔSの閾値は例えば9σなどで定義する。2回以上連続してΔSが閾値(9σ)以下になることを停止の条件とし
ても良い。このサイクルは何度繰り返しても良い。
図16には、センシングシステム60の制御コンピュータ63においてSPR測定の際に実行されるSPR測定ルーチンについてのフローチャートを示す。本ルーチンが実行されると、まず、S101において、SPR信号がAより大きいか否かが判定される。ここで、SPR信号がA以下であると判定された場合には、S101の処理の前に進む。すなわち、S101においてSPR信号がAより大きいと判定されるまでS101の処理を繰り返し実行する。一方、S101においてSPR信号がAより大きいと判定された場合には、S102に進む。
S102においては、試料回収が開始される。具体的には、制御コンピュータ63からの指令によりバルブ64が回収側に駆動される。S102の処理が終了するとS103に進む。S103においては、ΔTの待機処理が行われ、ΔTの経過時間が確保される。S103の処理が終了するとS104に進む。S104では解離剤のインジェクトが実施される。S104の処理が終了するとS105に進む。S105においては、ΔSの値が9σ未満か否かが判定される。ここで、ΔSの値が9σ以上である場合には、S103の処理の前に戻り、S103及びS104の処理が実行される。すなわち、S105においてΔSの値が9σ未満となるまで、ΔT間隔で解離剤のインジェクトが繰り返し行われる。S105においてΔSの値が9σ未満となった場合には、S106に進む。S106においては、試料回収が終了される。具体的にはバルブ64が廃液側に駆動される。S106の処理が終了するとS101の前に戻り、次にターゲットが流れてくるのを待機する。
なお、上記のSPR測定ルーチンにおいて、ルーチンがスタートするとともに、流体導入工程と測定工程は実行される。そして、S104において解離工程が実行される。
図17には、センシングシステム60においてSPR測定ルーチンが実行された結果行われる制御について示す。図17に示すように、ターゲットの流入とともにSPR信号が増大し、Aを超えた時点で、試料(ターゲット)の回収と、ΔT間隔での解離剤のインジェクトが実行される。その後、ターゲットの流量の増加とともにSPR信号は増加し、ターゲットの流量の減少とともにSPR信号が減少する。そして、ΔSが9σ未満となった時点で、ターゲットの回収が終了し試料が廃液として廃棄されるとともに、解離剤のインジェクトが終了する。
なお、試料の回収については、SPR信号の大きさがAを超えた時点から、解離剤のインジェクトを停止するまでの間はバルブ64を回収側へと切り替えることで、ターゲットの回収を効率的に実施できる。また、回収したターゲットを含む試料への解離剤の混入を低減するには、SPR測定器61のSPR信号から解離剤が混入している試料がバルブ64を通過する時間帯を特定して、解離剤が混入していない時間帯でのみバルブ64を回収側に切り替えても良い。解離剤の混入を特定する判断としては、例えばSPR信号がA以下である時間帯については解離剤が混入していると判断しても良い。この場合のターゲットの回収タイミングについて図18に示す。
<実施例5>
次に、本発明の実施例5について説明する。本実施例では、製薬プロセス、培養などの液状態の濃度管理、異物検査などに、本発明に係るセンシングシステムを適用した場合の、プロセスラインの構築例について説明する。製薬プロセス等においては、解離剤の試料への混入がプロセス上問題となる場合がある。このような場合は、解離動作に合わせて下流側のバルブを切り替えて、解離剤が含まれる溶液部分のみ廃液として分離する。図19には、このような場合のプロセスラインの例を示す。
本ラインにおいては前段プロセスP1と後段プロセスP2との間が試料用パイプ75で連結されている。前段プロセスP1は例えば、細胞培養槽(細胞培養プロセス)であってもよい。これは以下の態様についても同じである。そして、試料用パイプ75には、SPR測定器70が備えられている。SPR測定器70には、試料用流路70aが設けられており、上流側と下流側の試料用パイプ75を連結させている。試料用流路70aにはセンサチップ71と、その直上流側には解離剤インジェクト用の貫通穴72が設けられている。また、SPRセンサ70にはインジェクタ73が併設されており、貫通穴72に対して解離剤を吐出する。
なお、試料用パイプ75におけるSPR測定器70の下流側にはバルブ74が設けられている。このバルブ74が駆動されることで、SPR測定器70から流出する試料を後段プロセスP2に導入するか廃液として廃棄するかを選択可能となっている。また、試料用パイプ75におけるSPR測定器70の上流側には試料の流量を計測する流量センサとしてのフローセンサ76が備えられている。本実施例では、精度良く解離剤を試料から分離するために、フローセンサ76の情報をもとにバルブ切替のタイミングを算出する。具体的には、試料の流量が多い場合には、インジェクトした解離剤が下流側に流れ去る時間が早くなるので、図18においてはAとした、回収開始のためのSPR信号の閾値を小さくするようにしてもよい。すなわち、試料の流量が多いほど、回収開始のためのSPR信号の閾値を小さくする。流量の増加量とSPR信号の閾値の低下量との関係は直線的であってもよいし、上側に凸あるいは下側に凸といった曲線的な関係でもよい。なお、上記において試料用パイプ75及び試料用流路70aは、流体導入手段を構成する。また、インジェクタ73及び貫通穴72は解離手段を構成する。
図20には、プロセスラインの別の態様について示す。この態様では、前段プロセスP1と後段プロセスP2は同一とし、試料を循環させる構成となっている。また、試料を循環させるためのポンプ77が備えられている。ポンプ77はベリスタポンプ、プランジャーポンプ、電気浸透流ポンプなどのいずれの方式であっても良い。この態様は培養槽などの管理に使用可能である。
図21は本実施例における第3の態様を示す図である。本態様は、試料中への解離剤の混入を完全に無くすために、メインのプロセスラインP3から分岐パイプ78が分岐され、モニタリング用パイプ79にSPR測定器80、ポンプ81、バルブ82が設けられている。SPR測定器80の場合、100μl以下の微量の試料でも検出が可能である。また、本実施例では、常にモニタリング用パイプ79への試料の分岐を行っていると試料のロスが大きくなるため、一定時間毎(例えば1時間毎)にバルブ82を切替えて、図22に示すように、試料または解離剤をSPR測定器80に流し、それ以外の時間はバッファ液を送液しておくことで、試料の採集効率を上げることが可能である。
本態様においては、モニタリング用パイプ79の流通内容を試料からバッファ液に切り替えた後にターゲットの濃度判断を行うことで、バックグラウンドノイズの影響を完全に排除することが可能である。この場合の流体導入手段は、分岐パイプ78、モニタリング用パイプ79、ポンプ81、バルブ82を含んで構成される。また、図22において試料が供給される期間は流体導入工程に相当する。試料が供給されてから解離動作までの期間は測定工程に相当する。解離動作が行われる期間は解離工程に相当する。
なお、図21に示した態様のプロセスラインは、抗体医薬等の製造ラインにおいては、培養により作製された抗体の濃度管理や、抗体のリークチェック等に応用可能である。そのような場合において抗体を検出するために、センサチップの表面上にはプロテインAを含むプローブ層やプロテインG、LおよびAnti-IgGなどの抗Fc抗体などを含むプローブ層を形成することが望ましい。また、目的対象が発現タンパク質であるプロセスラインに
おいても、同様のシステムが構築可能である。この場合、センサチップの表面上には、抗GST抗体、抗His-tag抗体、抗FLAG抗体、抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、
ニュートラアビジン、アビジン、Ni-NTA(nickel-nitrilotriacetic acid) など、発現タンパク質を結合可能なプローブ層の形成が望ましい。
なお、上記の実施例においては、試料は前段プロセスを通過したターゲットを含む液体である例について説明したが、本発明は、プロセスラインにおける上記以外のあらゆる流体(気体も含む)である試料に対して適用可能である。
1・・・センシングシステム
2・・・カラム
3・・・UV吸光度計
4・・・SPR測定器
5・・・試料回収管
6・・・廃棄管
10・・・SPRセンサチップ
11・・・ターゲット(AFP)
12・・・プローブ(抗AFP抗体)
13・・・プローブ(抗FLAG抗体)
14・・・夾雑物(BSA)
20・・・ベース
21・・・ナノ溝構造
22・・・金属膜
30・・・SPR測定器
31・・・センサチップ
32・・・解離剤注入口
33・・・インジェクタ
60・・・センシングシステム

Claims (21)

  1. 表面プラズモン励起光がセンサに照射されることで、表面プラズモン共鳴を前記センサの表面に発生させることが可能であり、前記励起光の波長または入射角度によって前記センサの表面の外側に存在する物質の量を測定可能であり、プロセスライン内に設けられた表面プラズモン測定器と、
    前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスを通過した流体を前記表面プラズモン測定器のセンサ表面上に連続的に導入する流体導入手段と、
    を備え、
    前記センサの表面には、前記流体内の特定の物質と特異的に結合可能な物質であるプローブが固定され、
    前記プロセスを通過した流体内の特定の物質を前記プローブと結合させることで、前記特定の物質の量をインラインで測定可能とし、
    前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離動作を行う解離手段をさらに備え、
    前記表面プラズモン測定器による前記プローブと結合した前記特定の物質の量の測定と、前記解離手段による前記プローブと結合した前記特定の物質の解離と、を交互に行うことにより、該プローブと結合した特定の物質の量について複数回の測定を連続的に行い、
    前記解離動作は、前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離剤の前記流体内へのインジェクトであり、
    前記流体導入手段は、前記表面プラズモン測定器より前のプロセスを通過した流体を流通させる流路であり、
    前記表面プラズモン測定器の前記センサの表面は、前記流路内に前記流体に臨むように配置され、
    前記解離剤の前記流体内へのインジェクト用の注入口は、前記流路内において前記センサの表面と略同一の面内であって、前記流路における前記センサの表面の上流側に設けられていることを特徴とする表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  2. 前記センサの表面において、前記特定の物質と結合するプローブを固定した第1の測定領域と、前記特定の物質と結合するプローブを固定しない第2の測定領域とが設けられ、前記第1の測定領域において測定された測定値から、前記第2の測定領域で測定された測定値を差し引くことで、前記特定の物質の量を測定することを特徴とする請求項1に記載
    の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  3. 前記表面プラズモン測定器の前記センサは、
    前記センサの表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層と、前記センサの表面の前記金属層が形成されている部分に形成された複数の溝からなる溝構造と、を有するとともに、該溝構造における各溝の側壁面は、該側壁面を覆う前記金属層による対向面を形成し、該金属層による対向面で挟まれる領域において局在型の表面プラズモン共鳴を発生させる局在型表面プラズモン共鳴センサであることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  4. 前記表面プラズモン測定器の前記センサは、
    前記センサの表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層と、前記センサの表面の前記金属層が形成されている部分に形成された複数の溝からなる溝構造と、を有するとともに、該溝構造における各溝の側壁面は、該側壁面を覆う前記金属層による対向面を形成し、該金属層による対向面で挟まれる領域において局在型の表面プラズモン共鳴を発生させる局在型表面プラズモン共鳴センサであり、
    前記注入口は、前記流路において、前記センサの表面における前記溝構造に対して上流側2mm以内の場所に設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  5. 前記注入口は円形断面を有するとともに、その直径は、前記センサの表面において前記プローブが固定された領域の前記流路幅方向の長さ以上であり、前記流路幅以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  6. 前記解離手段による前記解離動作は、前記表面プラズモン測定器からの前記特定の物質の量に応じた信号に基づき、該信号の大きさが予め定められた閾値を越えてから一定時間後に行われることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  7. 前記流路における前記センサの下流側に設けられ、前記流体を回収するか廃液として廃棄するかを制御するバルブを有し、
    前記表面プラズモン測定器からの前記特定の物質の量に応じた信号に基づき、該信号が予め定められた閾値を越えてから、前記解離手段による前記解離動作が行われるまでの間は、前記バルブを作動させて前記流体を回収することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  8. 前記流路を流通する前記流体の流量を検出する流量センサをさらに有し、前記表面プラズモン測定器からの前記特定の物質の量に応じた信号と、前記流量センサにより検出された前記流体の流量とに基づいて、前記流体を回収する時期を制御することを特徴とする請求項7に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  9. 前記流体導入手段は、前記プロセスライン上における所定のプロセスを通過した流体を前記プロセスラインから分岐して流通させる流路であり、
    前記流路の分岐点と前記表面プラズモン測定器との間に流量制御用の開閉バルブを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  10. 前記開閉バルブが一定間隔で開閉制御されることで、前記表面プラズモン測定器が、前記流体内の前記特定の物質の量を一定間隔でモニタリングすることを特徴とする請求項9
    に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  11. 前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスは精製クロマトグラフィであり、
    該精製クロマトグラフィを通過した前記流体の精製抽出状態を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングすることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  12. 前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスは細胞培養槽であり、前記流体内における、該細胞培養槽において生成した物質を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングすることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴センシングシステム。
  13. 表面プラズモン励起光がセンサに照射されることで、表面プラズモン共鳴を前記センサの表面に発生させることが可能であり、前記励起光の波長または入射角度によって前記センサの表面の外側に存在する物質の量を測定可能な表面プラズモン測定器による、表面プラズモン共鳴インライン測定方法であって、
    前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスを通過した流体を前記表面プラズモン測定器のセンサ表面上に導入する流体導入工程と、
    前記プロセスを通過した流体内の特定の物質を、前記センサの表面に固定された前記特定の物質と特異的に結合可能な物質であるプローブと結合させることで、前記特定の物質の量をインラインで測定する測定工程と、
    を有し、
    前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離動作を行う解離工程をさらに有し、
    前記解離動作は、前記センサの表面におけるプローブと前記特定の物質との結合を解離させる解離剤の前記流体内へのインジェクトであり、
    前記解離剤の前記流体内へのインジェクトは、前記流路内において前記センサの表面と略同一の面内であって、前記流路における前記センサの表面の上流側に設けられた注入口から行われることを特徴とする表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  14. 前記センサの表面において、前記特定の物質と結合するプローブを固定した場合の測定値から、前記特定の物質と結合するプローブを固定しない場合の測定値を差し引くことで、前記特定の物質の量を測定することを特徴とする請求項13に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  15. 前記表面プラズモン測定器の前記センサは、
    前記センサの表面の少なくとも一部を覆うように形成された金属層と、前記センサの表面の前記金属層が形成されている部分に形成された複数の溝からなる溝構造と、を有するとともに、該溝構造における各溝の側壁面は、該側壁面を覆う前記金属層による対向面を形成し、該金属層による対向面で挟まれる領域において局在型の表面プラズモン共鳴を発生させる局在型表面プラズモン共鳴センサであることを特徴とする、請求項13または14に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  16. 前記解離工程における前記解離動作は、前記表面プラズモン測定器により測定された前記特定の物質の量に基づき、該特定物質の量が予め定められた閾値を越えてから一定時間後に行われることを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  17. 前記表面プラズモン測定器により測定された前記特定の物質の量に基づき、該特定の物
    質の量が予め定められた閾値を越えてから、前記解離工程による前記解離動作が行われるまでの間は、前記流体を回収することを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  18. 前記表面プラズモン測定器により測定された前記特定の物質の量と、前記流体の流量とに基づいて、前記流体を回収する時期を決定することを特徴とする請求項17に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  19. 前記流体導入工程においては、前記プロセスライン上における所定のプロセスを通過した流体を前記プロセスラインから分岐して前記表面プラズモン測定器のセンサ表面上に導入し、
    前記表面プラズモン測定器が、前記流体内の前記特定の物質の量を一定間隔でモニタリングすることを特徴とする請求項13から18のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  20. 前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスは精製クロマトグラフィであり、
    該精製クロマトグラフィを通過した前記流体の精製抽出状態を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングすることを特徴とする請求項13から19のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
  21. 前記プロセスラインにおける前記表面プラズモン測定器より前のプロセスは細胞培養プロセスであり、前記流体内における、該細胞培養プロセスにおいて生成した物質を前記表面プラズモン測定器によってリアルタイムにモニタリングすることを特徴とする請求項13から19のいずれか一項に記載の表面プラズモン共鳴インライン測定方法。
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