JP2005140590A - 表面プラズモン共鳴による生物学的試料測定用装置システム - Google Patents
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Abstract
【課題】SPR現象を利用した生物学的試料測定用装置に実用的な機能を導入し、実際の生物学的試料の測定を確実に行うための装置システムを提供することである。
【解決手段】
測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質を金属薄膜担体に固定化したセンサを用いるSPRによる生物学的試料測定用装置システムであって、以下の機能を担持することを特徴とするシステム;
1)測定系に使用する複数の試薬が、調整された条件下で供給可能である、
2)測定系に使用する緩衝液が、調整された条件下で供給可能である、
3)サンプルポート及びセンサー洗浄のための洗浄液が、調整された条件下で供給可能である、
4)測定系内を流通する液(洗浄液および測定サンプル)の液だまりが設置されている。
【解決手段】
測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質を金属薄膜担体に固定化したセンサを用いるSPRによる生物学的試料測定用装置システムであって、以下の機能を担持することを特徴とするシステム;
1)測定系に使用する複数の試薬が、調整された条件下で供給可能である、
2)測定系に使用する緩衝液が、調整された条件下で供給可能である、
3)サンプルポート及びセンサー洗浄のための洗浄液が、調整された条件下で供給可能である、
4)測定系内を流通する液(洗浄液および測定サンプル)の液だまりが設置されている。
Description
本発明は表面プラズモン共鳴による生物学的試料測定用装置システムに関する。例えばエンドトキシン(以下ETという)のような生物学的試料の測定に使用する表面プラズモン共鳴(以下SPRという)法を利用した装置システムに関する。
SPR現象は、金属薄層を有するプリズムの金属薄層に、プリズムを通して光を反射させると、その金属薄層の表面状態又は屈折率によって、ある角度で入射した場合には、エバネッセント波の波数と表面プラズモンの波数とが一致して共鳴し、反射光強度が減衰する現象である。この現象自体は公知であり、各種の文献等に記載されている。このSPR現象を利用する測定方法の利点としては、例えば、光が試料溶液中を通過しないので、試料の着色や、不透明さによって測定精度が影響され難いこと、共鳴が目的物の光学特性とは無関係に起こるので、目的物の吸収スペクトルを考慮する必要がないこと、屈折率の変化を測定するので、リアルタイムで測定が可能であること、試料溶液の量が少なくて済むこと、バックグラウンドノイズが少ないこと、更に、金属面上での現象であるため、物質を固定化することによって、面を利用することができること等が挙げられる。そしてこのSPR現象を利用した生物学的試料測定用装置の提案もされている(特許文献1)。また、エンドトキシン(ET)活性を中和する物質としてポリミキシンB(以下PMXという)が知られておりその相互作用をSPRで分析する方法が報告されている(非特許文献1及び2)。
特開平10−90271号公報
FEBS Letters 445(1999)420-424
J.B.C. 274(42) 29624-29627(1999)
本発明の課題は、SPR現象を利用した生物学的試料測定用装置に実用的な機能を導入し、実際の生物学的試料の測定を確実に行うための装置システムを提供することである。
本発明者らは、先にSPRを使ってエンドトキシン(以下ET)を測定する際に、PMX等のETを特異的に吸着する能力を有する物質をSPR測定用担体上に固定化しておき、それを測定用センサーとして用いれば測定試料からETを極めて容易に測定可能であり、さらに測定後センサーを再生して繰り返し測定できることを見出している。本発明者らは、この測定の具体的装置として、種々の機能の導入をこころみ、当該装置システムが実用的にETに限らず汎用性ある装置システムであることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下よりなる。
1.測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質を金属薄膜担体に固定化したセンサーを用いるSPRによる生物学的試料測定用装置システムであって、以下の機能を担持することを特徴とするシステム;
1)測定系に使用する複数の試薬が、調整された条件下で供給可能である、
2)測定系に使用する溶媒が、調整された条件下で供給可能である、
3)サンプルポート及びセンサー洗浄のための洗浄液が、調整された条件下で供給可能である、
4)測定系内を流通する液(溶媒、洗浄液および測定サンプル)の液だまりが設置されている。
2.試薬タンク、溶媒タンクが傾斜角に設置可能である装置を使う前項1に記載のシステム。
3.サンプルポートが、不使用時に汚染を防ぐための蓋、該蓋を装着可能なポート部、サンプル挿入用のメスルアー、洗浄液が流出される流出口、該メスルアーと該流出口を連通させる溝を備え、該溝は該蓋装着時に洗浄液の流路となる前項1又は2のシステム。
4.以下の要素の構成及び配置を含む前項1〜3の何れか一に記載のシステム;
1)ペリスタポンプを、廃液タンクにつながる最後部に設置。
2)SPRセンサーは、ペリスタポンプの直前におかれ、アナログデジタル変換装置からコンピュータにつながる。
3)サンプルポートの直後にはバルブ5(V5)の設置。
4)バルブ5(V5)の流路からバルブ4(V4)及び液だまりに続く三叉路の設置。
5)液だまりに続いて三叉路が設置され、SPRセンサーに続く流路とバルブ6(V6)からの流路へつながる。
6)5)につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ3(V3)への流路につながる三叉路の設置。
7)6) につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ2(V2)への流路につながる三叉路の設置。
8)7)につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ1(V1)への流路につながる三叉路の設置。
5.以下の機能を含む前項4に記載のシステム;
1)V5は、洗浄液の導入時及びサンプルの置き換え工程に溶液が移動するために開放され、その他の工程中はこのバルブは閉鎖される。
2)V4は、溶媒の流入を制御し、その他のバルブは全て閉鎖環境下でサンプルをSPRセンサーへ移動させるときにのみ開放される。
3)V6はV4と同じ溶媒タンクからの流路を制御し、V6は、他の全てのバルブの閉鎖環境下、溶媒の導入の工程においてのみ開放される。
4)V3は、V5と開放及びポンプ可動の停止と連動し、他のバルブの全てが閉鎖された環境下でサンプルの置換作業を可能にする。
5)V2は、試薬1をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、その他のバルブは全て閉鎖環境下で、試薬1がSPRセンサーへと導かれる。
6)V1は、試薬2をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、その他のバルブは全て閉鎖環境下で、試薬2がSPRセンサーへと導かれる。
1.測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質を金属薄膜担体に固定化したセンサーを用いるSPRによる生物学的試料測定用装置システムであって、以下の機能を担持することを特徴とするシステム;
1)測定系に使用する複数の試薬が、調整された条件下で供給可能である、
2)測定系に使用する溶媒が、調整された条件下で供給可能である、
3)サンプルポート及びセンサー洗浄のための洗浄液が、調整された条件下で供給可能である、
4)測定系内を流通する液(溶媒、洗浄液および測定サンプル)の液だまりが設置されている。
2.試薬タンク、溶媒タンクが傾斜角に設置可能である装置を使う前項1に記載のシステム。
3.サンプルポートが、不使用時に汚染を防ぐための蓋、該蓋を装着可能なポート部、サンプル挿入用のメスルアー、洗浄液が流出される流出口、該メスルアーと該流出口を連通させる溝を備え、該溝は該蓋装着時に洗浄液の流路となる前項1又は2のシステム。
4.以下の要素の構成及び配置を含む前項1〜3の何れか一に記載のシステム;
1)ペリスタポンプを、廃液タンクにつながる最後部に設置。
2)SPRセンサーは、ペリスタポンプの直前におかれ、アナログデジタル変換装置からコンピュータにつながる。
3)サンプルポートの直後にはバルブ5(V5)の設置。
4)バルブ5(V5)の流路からバルブ4(V4)及び液だまりに続く三叉路の設置。
5)液だまりに続いて三叉路が設置され、SPRセンサーに続く流路とバルブ6(V6)からの流路へつながる。
6)5)につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ3(V3)への流路につながる三叉路の設置。
7)6) につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ2(V2)への流路につながる三叉路の設置。
8)7)につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ1(V1)への流路につながる三叉路の設置。
5.以下の機能を含む前項4に記載のシステム;
1)V5は、洗浄液の導入時及びサンプルの置き換え工程に溶液が移動するために開放され、その他の工程中はこのバルブは閉鎖される。
2)V4は、溶媒の流入を制御し、その他のバルブは全て閉鎖環境下でサンプルをSPRセンサーへ移動させるときにのみ開放される。
3)V6はV4と同じ溶媒タンクからの流路を制御し、V6は、他の全てのバルブの閉鎖環境下、溶媒の導入の工程においてのみ開放される。
4)V3は、V5と開放及びポンプ可動の停止と連動し、他のバルブの全てが閉鎖された環境下でサンプルの置換作業を可能にする。
5)V2は、試薬1をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、その他のバルブは全て閉鎖環境下で、試薬1がSPRセンサーへと導かれる。
6)V1は、試薬2をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、その他のバルブは全て閉鎖環境下で、試薬2がSPRセンサーへと導かれる。
本発明のSPRによる生物学的試料測定用装置システムは、測定対象物を限定することなく、適宜センサーを変更すれば、広く生物学的試料について測定可能であり、測定値の確実性、安定性、再現性も十分なものが得られた。かくして本発明の装置システムは、広く測定対象物が夾雑している生物学的試料の測定に応用可能であり、特に細菌感染症の診断方法、測定対象物の夾雑判定法等(血液や尿などの生体試料、培養液、血液透析液およびその廃液、注射用水、医薬品、純水等)に好適に利用出来る。
本発明は、測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質を金属薄膜担体に固定化したセンサーを用いるSPRによる生物学的試料測定用装置システムである。そして本発明の装置システムは、以下の機能を担持する。
1)測定系に使用する複数の試薬が、調整された条件下で供給可能である。
試薬は、感度の上昇を期待する場合に適宜導入され、本発明の実施例では試薬1及び試薬2として導入されている。この試薬は、センサーに固定化された測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質に対して反応性を有する試薬1とさらにこの試薬1と反応性を有する試薬2が例示される。調整された条件下とは、系内で流路を適宜調整することで各試薬の供給が選択的に可能であることを意味し、自動化されていることが好ましい。
試薬は、感度の上昇を期待する場合に適宜導入され、本発明の実施例では試薬1及び試薬2として導入されている。この試薬は、センサーに固定化された測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質に対して反応性を有する試薬1とさらにこの試薬1と反応性を有する試薬2が例示される。調整された条件下とは、系内で流路を適宜調整することで各試薬の供給が選択的に可能であることを意味し、自動化されていることが好ましい。
2)測定系に使用する溶媒が、調整された条件下で供給可能である。
溶媒は、各反応、特にセンサーに固定化された測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質に対して反応性を保持できるような溶媒であり、個々の測定系に最適の溶媒が選択される。調整された条件下とは、系内で流路を適宜調整することで溶媒の供給が選択的に可能であることを意味する。溶媒は、測定対象物、試薬がその高次構造を変化させずに、溶解するものであれば何でも使用可能である。例えば、溶媒としては、注射液、透析液、水、HEPES緩衝液{(10mM 2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES), 150mM 塩化ナトリウム(NaCl), 3.4mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の混合溶液}、リン酸緩衝液などが挙げられ、好ましくは透析液である。
溶媒は、各反応、特にセンサーに固定化された測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質に対して反応性を保持できるような溶媒であり、個々の測定系に最適の溶媒が選択される。調整された条件下とは、系内で流路を適宜調整することで溶媒の供給が選択的に可能であることを意味する。溶媒は、測定対象物、試薬がその高次構造を変化させずに、溶解するものであれば何でも使用可能である。例えば、溶媒としては、注射液、透析液、水、HEPES緩衝液{(10mM 2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES), 150mM 塩化ナトリウム(NaCl), 3.4mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の混合溶液}、リン酸緩衝液などが挙げられ、好ましくは透析液である。
3)サンプルポート及びセンサー洗浄のための洗浄液が、調整された条件下で供給可能である。
洗浄液は、夾雑による反応感度の低減、特異性の低減を排除するために導入され、サンプルポート及びセンサー、及び系全体が洗浄される。洗浄液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、塩酸(HCl)水溶液、デオキシコール酸ナトリウム(DCA)溶液、グリシン塩酸塩緩衝液(HCl-Glycine Buffer)、水酸化ナトリウム(NaOH)+ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20:アトラスパウダー社商標)溶液等が使用できる。調整された条件下とは、系内で流路を適宜調整することで洗浄液の供給が選択的に可能であることを意味する。
洗浄液は、夾雑による反応感度の低減、特異性の低減を排除するために導入され、サンプルポート及びセンサー、及び系全体が洗浄される。洗浄液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、塩酸(HCl)水溶液、デオキシコール酸ナトリウム(DCA)溶液、グリシン塩酸塩緩衝液(HCl-Glycine Buffer)、水酸化ナトリウム(NaOH)+ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20:アトラスパウダー社商標)溶液等が使用できる。調整された条件下とは、系内で流路を適宜調整することで洗浄液の供給が選択的に可能であることを意味する。
4)測定系内を流通する液の液だまりが設置されている。
液だまりとは、サンプルの流通のための踊り場的機能を発揮する。
液だまりとは、サンプルの流通のための踊り場的機能を発揮する。
本発明のシステムでは、廃液を、調整された条件下で収集可能である。試薬、溶媒、洗浄液が適宜、系内に導入されるので、各処理後のこれらの回収、収集が行われる。調整された条件下とは、系内で流路を適宜調整することで試薬、溶媒、洗浄液等の回収・収集が選択的に可能であることを意味する。
又、本発明の装置の実用的な観点から、装置に設置される試薬タンク、溶媒タンクが傾斜角に設置されている。これにより、試薬、溶媒の効率的な利用を可能とする。
又、本発明の装置の実用的な観点から、装置に設置される試薬タンク、溶媒タンクが傾斜角に設置されている。これにより、試薬、溶媒の効率的な利用を可能とする。
さらに、本発明の装置の実用的な観点から、サンプルポートが、不使用時に汚染を防ぐための蓋、該蓋を装着可能なポート部、サンプル挿入用のメスルアー、洗浄液が流出される流出口、該メスルアーと該流出口を連通させる溝を備え、該溝は該蓋装着時に洗浄液の流路となり、メスルアーの洗浄も可能となる。
本発明の装置システムにおける全体図は図1に示した。図1によると、構成は、洗浄液タンク、溶媒タンク、試薬1タンク、試薬2タンク、廃液タンク、サンプルポート、液だまり、SPRセンサー、バルブ1〜6(V1〜V6と表示)、ペリスタポンプ、及びパソコンとアナログデジタル変換機を含む。これらの動作の制御は、別途付加されるタイマー及びシーケンサーによっておこなわれる。すなわち、各バルブの開閉制御、ペリスタポンプの速度及びポンプ可動の有無の制御がなされる。加えて、ペリスタポンプの速度は速度調整ボリュームによっておこなわれる。さらに、装置全体の電源の可動を制御する電源スィッチ、分析の動作を選択する分析モードスィッチ(自動測定、手動測定モード選択スイッチ)、測定の開始を制御する測定スィッチ、サンプル液の吸引を開始する吸引スィッチ、サンプルポートの蓋の開閉を確認する蓋スィッチ等の機能を担持する。
本発明のシステムにおける制御系の特徴の一は、各タンクの配置、各バルブの配置、液だまりの位置に特徴をもつ。最良の態様の一は以下である。ペリスタポンプは、全体の系における液流を誘導し、廃棄するために廃液タンクにつながる最後部に位置する。SPRセンサーは、ペリスタポンプの直前におかれ、測定結果はアナログデジタル変換装置でコンピュータ(コンピューターはSpreetaのシグナルを読み込むソフトが担持される)に蓄積される。洗浄液タンクは、廃液タンクに対して系の最も端部に配置され、洗浄液はサンプルポートを経由して流される。サンプルポートの直後にはバルブが設置され(V5)、洗浄液の導入時及びサンプルの置き換え工程にサンプルや洗浄液が移動するために開放される。その他の工程中はこのバルブは閉鎖される。V5についでV4及び液だまりに続く三叉路が設置され、V4のバルブは溶媒の流入を制御する。V4のバルブは、サンプルをSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、このときV5のバルブ及びその他のバルブは全て閉鎖され、溶媒が液だまりを経てSPRセンサーへと導かれ、同時にサンプルがSPRセンサーへ移動する。液だまりに続いて三叉路が設置され、SPRセンサーに続く流路とV6のバルブからの流路がある。V6のバルブはV4のバルブと同じ溶媒タンクからの流路を制御する。このバルブは、他の全てのバルブの閉鎖環境下、溶媒の導入の工程においてのみ開放される。つづいてSPRセンサーに続く流路とV3のバルブへの流路につながる三叉路が設置されている。V3のバルブはV5のバルブと開放及びポンプ可動の停止と連動し、他のバルブの全てが閉鎖された環境下でサンプルの置換作業がされる。ついでSPRセンサーに続く流路とV2のバルブへの流路につながる三叉路が設置されている。V2のバルブは、試薬1をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、このときその他のバルブは全て閉鎖され、試薬1がSPRセンサーへと導かれる。ついでSPRセンサーに続く流路とV1のバルブへの流路につながる三叉路が設置されている。V1のバルブは、試薬2をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、このときその他のバルブは全て閉鎖され、試薬2がSPRセンサーへと導かれる。図2には、以上説明したバルブの開閉と工程作業との関係の概略を示した。
本発明のSPRによる生物学的試料測定用装置システムにおいて使用するセンサー、例えば測定対象物がETの場合、その測定用センサーは、PMX等のETを特異的に吸着する能力を有する物質をSPR測定用担体上に固定化して調製し使用される。SPRの手段は、前記非特許文献1に詳しい。そして、そのSPR測定用担体(SPR測定用センサチップ)も公知であり、広く市販されている。本発明では、このSPRの技術及びSPR測定用担体を利用し、援用する。このSPRの技術及びSPR測定用担体の系としては現在テキサスインスツルメント社のバイオセンサが効果的に利用可能であるが、これに限定されるものではない。SPR測定用担体としては、種々のグレイドのセンサチップが市販されており、これらを利用できる。例えばCM5センサチップ(Biacore社製)が好適に例示される。
測定対象物(例えばET)と特異的に結合する能力を有するSPR測定用センサチップに固定化される物質は、個々に決定され、例えばETに対してはPMX又は抗ET抗体が好適であるが、特異的にETとの結合能力を有する限りこれらに限定されない。たとえば、ヒスチジン、ヒスタミンおよびアデニンから選ばれる含窒素複素環式化合物も利用可能である。PMXは市販されており、それをそのまま或は精製して使用可能である。抗ET抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を適宜公知の手法により調製可能であるが、これらも市販されているので容易に入手可能である。例えば、抗ET抗体はナノツール社(Nanotools Antikorpertechnik:独)、キューイーディー社(QED Bioscience, Inc.:米)、標識抗ET抗体はバイオジェネシス社(Biogenesis LTD.:英)がある。なお、ETは多様な呼び名で一般的に呼称されるが、LPS、内毒素、リポ多糖、発熱物質、パイロジェン等が対象であり、抗体を作るためにはこれらを適当なアジュバントと共に動物に投与し調製するか、さらにその後ハイブリドーマの調製技術によって調製可能である。
ET以外にも、本発明のシステムは特異的に結合する2種類の化合物があれば広く利用可能である。例えば、抗原−抗体反応系やDNAのハイブリダイゼーション系が好適に例示される。抗原−抗体反応系の例としては、アルブミン、免疫グロブリン、補体などの血漿蛋白、αフェトプロテイン(AFP)、CA19-9、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺酸ホスファターゼ(PAP)などの腫瘍関連抗原、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV、CRPなどの感染症関連の抗原等と、各抗原に対する抗体の系が例示される。DNAのハイブリダイゼーション系では、検知するDNAが、金に固定化したある一本鎖に対して2重螺旋を形成できるような塩基配列を有する相補的なDNAであることの要件をみたせば特に限定されない。
SPR測定用担体と測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質の結合は、直接又はスペーサーを介して行われる。スペーサーとしては、チオール基やジチオール基を有する化合物による単分子層膜や、カルボキシメチルデキストラン、ストレプトアビジン、チオールアルカン等が挙げられるがこれに限らない。測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質の、SPR測定用担体に対する結合量は、1.0-2.5ng/mm2で固定化することが好適である。
本発明の装置システムを使った生物学的試料の測定の測定試料は、測定対象物が夾雑する可能性ある対象物である限り特に限定されない。血液や尿などの生体試料、培養液、血液透析液およびその廃液、注射用水、医薬品、純水等広く適用可能である。測定対象がETの場合は、LPS、内毒素、リポ多糖、発熱物質、パイロジェン等が本質的に同等物として検出できる。センサーは、測定試料と接触させて測定試料中の測定対象物を選択的に捕捉し、捕捉された測定対象物の値をSPR測定によって定量的におこなう。
測定試料とセンサーの接触時の混合比は、センサーに対して測定試料1-10mlを2-100分、好ましくは測定試料1-10mlを10−100分かけて接触させることで行う。
微量測定試料の測定のためには、測定試料とセンサーの接触後、捕捉されたET等の測定対象物に対してさらに抗ET抗体又はPMX等の試薬1を反応させた後にSPR測定を行うことにより測定感度の上昇が確認される。添加量は、約2-10ml(抗ET抗体の場合その濃度が約0.05-300μg/mlに調整した溶液、PMXでは約0.05-1μg/mlに調整した溶液)である。
さらに、より一層の測定感度の上昇を得るためには、前記抗ET抗体もしくはPMX等の試薬1を反応させた後に、さらに抗ET抗体に対してもしくはPMXに対して反応性を持つ抗体等の試薬2、又は修飾化されたこれらの抗体(試薬2)を反応させ、その後にSPR測定を行うことはより高感度にET等の測定対象物を測定することが可能である。なお、抗ET抗体に対してもしくはPMXに対して反応性を持つ抗体(試薬2)とは、前者であれば広く市販の抗IgG抗体が利用できる。修飾化されたこれらの抗体(試薬2)とはタンパク質(アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、アルブミン等)やデキストラン等の高分子化合物で修飾したコンジュゲート抗体を意味し、修飾には酵素等の抗体の標識化において繁用されている手段をそのまま利用出来る(臨床検査提要 免疫的定量法 金原出版)。抗IgG抗体(約5-300μg/ml)の添加量は、約2-6mlである。
以上のSPRによる測定で、測定試料中の測定対象物の増加は、検量線を提供可能であり、測定対象物の定量分析に本発明の装置システムは極めて有用であることが確認された。
以下に本発明を実施例及び実験例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下で本発明の具体的な使用手技を各要素の機能に基づき説明する。システムの全体は図1に、各機能は図2に概要を示した。
工程1:センサチップ洗浄工程
測定に先立ちセンサチップの洗浄が行われる(図3)。洗浄液の供給は、バルブ5のみを開(以下open)にし、ポンプの流速を高速(以下High)にし、サンプルポートを経由して、バルブ5、液だまり、SPRセンサーを経て廃液タンクへ流入される。これにより、装置内とセンサチップの洗浄が行われる。
工程1:センサチップ洗浄工程
測定に先立ちセンサチップの洗浄が行われる(図3)。洗浄液の供給は、バルブ5のみを開(以下open)にし、ポンプの流速を高速(以下High)にし、サンプルポートを経由して、バルブ5、液だまり、SPRセンサーを経て廃液タンクへ流入される。これにより、装置内とセンサチップの洗浄が行われる。
工程2:0点設定工程
洗浄後、測定のための0点設定は溶媒を供給して行う(図4)。溶媒の供給は、バルブ6のみをopenにし、ポンプの流速を低速(以下Low)にし、バルブ6を経由してSPRセンサーに流す。このセンサーの測定部が溶媒で満たされた状態を、センサーが読み取り測定端末(PC)に表示されたシグナルを測定対象物(例えばET)測定のベース(0点)と設定する。ET測定では、このベース測定値よりどれだけシグナルが上昇したかを判断する。
洗浄後、測定のための0点設定は溶媒を供給して行う(図4)。溶媒の供給は、バルブ6のみをopenにし、ポンプの流速を低速(以下Low)にし、バルブ6を経由してSPRセンサーに流す。このセンサーの測定部が溶媒で満たされた状態を、センサーが読み取り測定端末(PC)に表示されたシグナルを測定対象物(例えばET)測定のベース(0点)と設定する。ET測定では、このベース測定値よりどれだけシグナルが上昇したかを判断する。
工程3:サンプル注入工程(液だまりにサンプルを保持させる工程)
0点設定後、測定試料(サンプル)をサンプルポートより注入する(図5)。ポンプは停止(以下Stop)され、バルブ5とバルブ3はopenされる。サンプルは、サンプルポートの蓋を開けて、所定量より多めのサンプルをシリンジ等で注入する。コネクターの接続において入る気泡や、サンプルポートから液だまりに入っている洗浄液は、バルブ3を経て廃液タンクに流入される。
0点設定後、測定試料(サンプル)をサンプルポートより注入する(図5)。ポンプは停止(以下Stop)され、バルブ5とバルブ3はopenされる。サンプルは、サンプルポートの蓋を開けて、所定量より多めのサンプルをシリンジ等で注入する。コネクターの接続において入る気泡や、サンプルポートから液だまりに入っている洗浄液は、バルブ3を経て廃液タンクに流入される。
工程4:サンプルのセンサー部への移行工程
液だまりに保持されたサンプルをセンサー部に流すことにより実行される(図6)。バルブ4がopenされ、ポンプの流速をLowにし、溶媒を供給する。溶媒は、液だまりに溜まったサンプルがSPRセンサに流される。
液だまりに保持されたサンプルをセンサー部に流すことにより実行される(図6)。バルブ4がopenされ、ポンプの流速をLowにし、溶媒を供給する。溶媒は、液だまりに溜まったサンプルがSPRセンサに流される。
工程5:サンプルの測定工程
センサ上の未反応サンプルの除去および測定が行われる(図7)。バルブ6がopenされ、ポンプの流速をLowにし、溶媒がバルブ6を供給される。センサーによってシグナルが充分に得られた場合は、工程5のシグナルから工程2のシグナルを引いた数値「工程5のシグナル−工程2のシグナル」により測定を行う。シグナル強度が得られない場合は次の工程6に、シグナル強度が得られた場合は工程10へ進む。シグナル強度に関しては、事前に調査して装置の設定を行う必要がある。
センサ上の未反応サンプルの除去および測定が行われる(図7)。バルブ6がopenされ、ポンプの流速をLowにし、溶媒がバルブ6を供給される。センサーによってシグナルが充分に得られた場合は、工程5のシグナルから工程2のシグナルを引いた数値「工程5のシグナル−工程2のシグナル」により測定を行う。シグナル強度が得られない場合は次の工程6に、シグナル強度が得られた場合は工程10へ進む。シグナル強度に関しては、事前に調査して装置の設定を行う必要がある。
工程6:第1の感度増幅工程1
感度が十分でないと判断されるときは、センサー上の物質との一次抗体等の反応を導入して感度の増幅を行う(図8)。バルブ2がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、試薬1による感度増幅を行う。工程4及び5で充分なシグナルが得られない場合に実施する。
感度が十分でないと判断されるときは、センサー上の物質との一次抗体等の反応を導入して感度の増幅を行う(図8)。バルブ2がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、試薬1による感度増幅を行う。工程4及び5で充分なシグナルが得られない場合に実施する。
工程7:第1の感度増幅工程2
ここで、センサー上のETに結合せず、表面に物理的に吸着した一次抗体は、溶媒を流すことで除去する(図9)。バルブ6がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、溶媒の流入を行う。この工程7で充分なシグナルが得られた場合は、工程7のシグナルから工程2のシグナルを引いた数値「工程7のシグナル−工程2のシグナル」により測定を行う。シグナル強度が得られない場合は工程8に、シグナル強度が得られた場合は工程10へ進む。シグナル強度に関しては、事前に調査して装置の設定を行う必要がある。
ここで、センサー上のETに結合せず、表面に物理的に吸着した一次抗体は、溶媒を流すことで除去する(図9)。バルブ6がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、溶媒の流入を行う。この工程7で充分なシグナルが得られた場合は、工程7のシグナルから工程2のシグナルを引いた数値「工程7のシグナル−工程2のシグナル」により測定を行う。シグナル強度が得られない場合は工程8に、シグナル強度が得られた場合は工程10へ進む。シグナル強度に関しては、事前に調査して装置の設定を行う必要がある。
工程8:第2の感度増幅工程1
感度が十分でないと判断されるときは、さらにセンサー上の物質との二次抗体の反応工程を導入する(図10)。バルブ1がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、試薬2を流入させ、試薬2による感度増幅を行う。この処理は、工程6で充分なシグナルが得られない場合に実施する。
感度が十分でないと判断されるときは、さらにセンサー上の物質との二次抗体の反応工程を導入する(図10)。バルブ1がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、試薬2を流入させ、試薬2による感度増幅を行う。この処理は、工程6で充分なシグナルが得られない場合に実施する。
工程9:第2の感度増幅工程2
ここで、センサー上の一次抗体に結合せず、表面に物理的に吸着した二次抗体は、溶媒を流すことで除去する(図11)。バルブ6がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、溶媒の流入が行われる。感度が充分にえられた場合は、工程9のシグナルから工程2のシグナルを引いた数値「工程9のシグナル−工程2のシグナル」で測定を行う。
ここで、センサー上の一次抗体に結合せず、表面に物理的に吸着した二次抗体は、溶媒を流すことで除去する(図11)。バルブ6がopenされ、ポンプの流速はLowにされ、溶媒の流入が行われる。感度が充分にえられた場合は、工程9のシグナルから工程2のシグナルを引いた数値「工程9のシグナル−工程2のシグナル」で測定を行う。
工程10:センサチップ洗浄工程
測定完了後、センサチップの洗浄を工程1と同様に行う(図12)。バルブ5がopenされ、ポンプの流速はHighにされ。洗浄液をセンサーと液だまりに流して、装置内とセンサチップの洗浄を行う。最終的に装置の停止をする場合は、前記工程2の後におこなう。
測定完了後、センサチップの洗浄を工程1と同様に行う(図12)。バルブ5がopenされ、ポンプの流速はHighにされ。洗浄液をセンサーと液だまりに流して、装置内とセンサチップの洗浄を行う。最終的に装置の停止をする場合は、前記工程2の後におこなう。
(実験例1)
以下で上記の実施例の装置システムを使い具体的な測定を以下のようにおこなった。
1)ET測定用センサ(ET測定用センサチップ)の調製
SPRの測定には、表面プラズモン共鳴測定装置Spreeta(TI社製)を使用した。金薄膜を洗浄するために、0.12N NaOH+1%TritonX-100を用いた。その後、5mMの16-Mercaptohexadecanoic acidのエタノール溶液をセンサチップに120分接触させ、自己組織化(SAM)膜を形成した。エタノールと精製水でセンサチップを洗浄後、センサチップ表面の活性化剤である、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(37.5mg/ml)、N-ヒドロキシスクシンイミド(5.75mg/ml)を含む溶液を流しセンサチップを活性化した。その後、10mg/mlのPMXを含むリン酸緩衝液を流し、センサチップ(0.05-3.0mm2)と60分間接触させ、PMXを固定化し、最後に、1Mエタノールアミン-HCl水溶液(BIACORE社製品)を接触して、ブロッキングを行い、ET測定用センサチップ(ET測定用センサ)とした。
以下で上記の実施例の装置システムを使い具体的な測定を以下のようにおこなった。
1)ET測定用センサ(ET測定用センサチップ)の調製
SPRの測定には、表面プラズモン共鳴測定装置Spreeta(TI社製)を使用した。金薄膜を洗浄するために、0.12N NaOH+1%TritonX-100を用いた。その後、5mMの16-Mercaptohexadecanoic acidのエタノール溶液をセンサチップに120分接触させ、自己組織化(SAM)膜を形成した。エタノールと精製水でセンサチップを洗浄後、センサチップ表面の活性化剤である、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(37.5mg/ml)、N-ヒドロキシスクシンイミド(5.75mg/ml)を含む溶液を流しセンサチップを活性化した。その後、10mg/mlのPMXを含むリン酸緩衝液を流し、センサチップ(0.05-3.0mm2)と60分間接触させ、PMXを固定化し、最後に、1Mエタノールアミン-HCl水溶液(BIACORE社製品)を接触して、ブロッキングを行い、ET測定用センサチップ(ET測定用センサ)とした。
2)装置を用いたシグナル検知
1)で調製したET測定用センサチップを用いて上記システムによる各工程におけるプラズモン共鳴のシグナル(RI)の継時変化を測定した(図13)。シグナル(RI)とは任意単位であり、表面プラズモン測定における吸光度から算出される。ここで、回路に流す洗浄液として、0.1%デオキシコール酸ナトリウム溶液(以下0.1%DCA)を用いた。この0.1%DCAをバルブ5のみを開(以下open)にし、ポンプの流速を高速(以下High)にした上で、約900秒間回路中に流し、センサチップを洗浄した(図13:工程1)。次に溶媒として、透析液に3.4mM EDTAを加えた溶液を、限外ろ過フィルタによりろ過して調製されたランニング用緩衝液(pH7.4)を用いた。このランニング用緩衝液を使い、バルブ5を閉(以下close)にし、バルブ6のみをopenにし、ポンプの流速を低速(以下Low)にしてセンサー部周辺の洗浄液を取り除き、ゼロ点設定を行った(図13:工程2)。
1)で調製したET測定用センサチップを用いて上記システムによる各工程におけるプラズモン共鳴のシグナル(RI)の継時変化を測定した(図13)。シグナル(RI)とは任意単位であり、表面プラズモン測定における吸光度から算出される。ここで、回路に流す洗浄液として、0.1%デオキシコール酸ナトリウム溶液(以下0.1%DCA)を用いた。この0.1%DCAをバルブ5のみを開(以下open)にし、ポンプの流速を高速(以下High)にした上で、約900秒間回路中に流し、センサチップを洗浄した(図13:工程1)。次に溶媒として、透析液に3.4mM EDTAを加えた溶液を、限外ろ過フィルタによりろ過して調製されたランニング用緩衝液(pH7.4)を用いた。このランニング用緩衝液を使い、バルブ5を閉(以下close)にし、バルブ6のみをopenにし、ポンプの流速を低速(以下Low)にしてセンサー部周辺の洗浄液を取り除き、ゼロ点設定を行った(図13:工程2)。
そして、測定対象物となるETとして、LPS(WAKO)を用いた。測定試料溶液は、LPSをこのランニング用緩衝液に溶解したものを用いた。ポンプを停止(以下Stop)し、バルブ6をcloseにし、バルブ5とバルブ3はopenにした状態で、LPS水溶液5mlをシリンジ(ニプロ社製)を用いてサンプルポートに注入して、液だまりをサンプルで満たした(図13:工程3)。次に、バルブ5とバルブ3はcloseにし、バルブ4がopenされ、ポンプの流速をLowにし、ランニング用緩衝液を約1800秒間流すことで液だまり中のサンプルをセンサー部に供給した(図13:工程4)。さらに、バルブ4をcloseにし、バルブ6がopenされ、ポンプの流速をLowにし、約300秒間流すことでセンサー部の未反応のLPSを除去した(図13:工程5)。
この時点でシグナルの変化は十分でなかったために、anti-ET抗体(nanoTools)の濃度が1.5μg/mlになるようにランニング緩衝液に溶解して調製したanti-ET抗体溶液(試薬1)3mlを、バルブ6をcloseにし、バルブ2をopenにし、ポンプの流速はLowにして約1800秒間流してセンサー部に結合したLPSと反応させた(図13:工程6)。さらに、バルブ2をcloseにし、バルブ6がopenされ、ポンプの流速をLowにし、ランニング用緩衝液を約300秒間流すことでセンサー部の未反応のanti-ET抗体を除去した(図13:工程7)。
次に、二次抗体(anti-Mouse IgG AP conjugate(SIGMA))を100倍希釈した溶液(試薬2)3mlを、バルブ6をcloseにし、バルブ1をopenにし、ポンプの流速はLowにして約1800秒間流してセンサー部に結合したanti-ET抗体と反応させた(図13:工程8)。さらに、バルブ1をcloseにし、バルブ6がopenされ、ポンプの流速をLowにし、ランニング用緩衝液を約900秒間流すことでセンサー部の未反応の二次抗体を除去した(図13:工程9)。工程9終了時に得られたシグナル変化は、工程5終了時に得られたシグナル変化よりも大きな変化を示した。
Claims (5)
- 測定対象物と特異的に結合する能力を有する物質を金属薄膜担体に固定化したセンサーを用いる表面プラズモン共鳴(以下SPR)による生物学的試料測定用装置システムであって、以下の機能を担持することを特徴とするシステム;
1)測定系に使用する複数の試薬が、調整された条件下で供給可能である、
2)測定系に使用する溶媒が、調整された条件下で供給可能である、
3)サンプルポート及びセンサー洗浄のための洗浄液が、調整された条件下で供給可能である、
4)測定系内を流通する液(溶媒、洗浄液および測定サンプル)の液だまりが設置されている。 - 試薬タンク、溶媒タンクが傾斜角に設置可能である装置を使う請求項1に記載のシステム。
- サンプルポートが、不使用時に汚染を防ぐための蓋、該蓋を装着可能なポート部、サンプル挿入用のメスルアー、洗浄液が流出される流出口、該メスルアーと該流出口を連通させる溝を備え、該溝は該蓋装着時に洗浄液の流路となる請求項1又は2のシステム。
- 以下の要素の構成及び配置を含む請求項1〜3の何れか一に記載のシステム;
1)ペリスタポンプを最後部に設置。
2)SPRセンサーは、ペリスタポンプの直前におかれ、アナログデジタル変換装置からコンピュータにつながる。
3)サンプルポートの直後にはバルブ5(V5)の設置。
4)バルブ5(V5)の流路からバルブ4(V4)及び液だまりに続く三叉路の設置。
5)液だまりに続いて三叉路が設置され、SPRセンサーに続く流路とバルブ6(V6)からの流路へつながる。
6)5)につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ3(V3)への流路につながる三叉路の設置。
7)6)につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ2(V2)への流路につながる三叉路の設置。
8)7)につづいてSPRセンサーに続く流路とバルブ1(V1)への流路につながる三叉路の設置。 - 以下の機能を含む請求項4に記載のシステム;
1)V5は、洗浄液の導入時及びサンプルの置き換え工程に溶液が移動するために開放され、その他の工程中はこのバルブは閉鎖される。
2)V4は、溶媒の流入を制御し、その他のバルブは全て閉鎖環境下でサンプルをSPRセンサーへ移動させるときにのみ開放される。
3)V6はV4と同じ溶媒タンクからの流路を制御し、V6は、他の全てのバルブの閉鎖環境下、溶媒の導入の工程においてのみ開放される。
4)V3は、V5と開放及びポンプ可動の停止と連動し、他のバルブの全てが閉鎖された環境下でサンプルの置換作業を可能にする。
5)V2は、試薬1をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、その他のバルブは全て閉鎖環境下で、試薬1がSPRセンサーへと導かれる。
6)V1は、試薬2をSPRセンサーへ移動させるときのみ開放され、その他のバルブは全て閉鎖環境下で、試薬2がSPRセンサーへと導かれる。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003375949A JP2005140590A (ja) | 2003-11-05 | 2003-11-05 | 表面プラズモン共鳴による生物学的試料測定用装置システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003375949A JP2005140590A (ja) | 2003-11-05 | 2003-11-05 | 表面プラズモン共鳴による生物学的試料測定用装置システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005140590A true JP2005140590A (ja) | 2005-06-02 |
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ID=34687175
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003375949A Withdrawn JP2005140590A (ja) | 2003-11-05 | 2003-11-05 | 表面プラズモン共鳴による生物学的試料測定用装置システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005140590A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007256269A (ja) * | 2006-02-23 | 2007-10-04 | Fujifilm Corp | バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法 |
JP2009500623A (ja) * | 2005-07-01 | 2009-01-08 | ワイス | 標的治療薬の薬物動態特性の測定方法 |
JP2011107069A (ja) * | 2009-11-20 | 2011-06-02 | Omron Corp | 表面プラズモン共鳴センシングシステム及び、表面プラズモン共鳴インライン測定方法 |
US8303896B2 (en) | 2006-02-23 | 2012-11-06 | Fujifilm Corporation | Biosensor and method for immobilizing a physiologically active substance |
-
2003
- 2003-11-05 JP JP2003375949A patent/JP2005140590A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007256269A (ja) * | 2006-02-23 | 2007-10-04 | Fujifilm Corp | バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法 |
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