JP2007256269A - バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法 - Google Patents

バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生理活性物質の等電点以上のpHでプレコンセントレーション効果を得ることができ、さらに生理活性物質を表面に共有結合し得るバイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法を提供すること。
【解決手段】生理活性物質を生理活性物質の等電点以上のpHでプレコンセントレーションさせた後に、該生理活性物質を化学的に固定化することが可能な1級または2級アミノ基を有するポリマーが結合した固体基板からなるバイオセンサー。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法に関する。
生理活性物質を測定チップに固定化するための代表的な手法として、生理活性物質のアミノ基と測定チップ上のカルボキシル基とを結合させる方法(アミンカップリング法)が広く用いられている。この方法では、固定化の際に生理活性物質を、その等電点よりも低いpHを有する緩衝液に溶解する必要がある。すなわち、等電点以下のpHでは生理活性物質は+荷電となるのに対し、測定チップ上のカルボキシル基はアルカリ側からpH3.5程度の酸性域まで−荷電を持つ。それゆえ、静電引力によって生理活性物質が測定チップ上に濃縮される。この濃縮(プレコンセントレーション)を行わない場合、生理活性物質の固定量が大幅に低下するため、固定化される生理活性物質は、その等電点よりも低いpHの緩衝液に溶解する必要があることが、非特許文献1及び特許文献1に記載されている。
このことは、低pH条件下で変性する生理活性物質は、活性を維持したまま固定化することが不可能であることを意味している。また、酸性タンパク質がごとき生理活性物質は、pH3.5程度でも総電化として+荷電をもたないため、プレコンセントレーション効果を得ることができず、結果として固定化することが不可能となる。
等電点よりも高いpHの緩衝液に溶解された生理活性物質は、固体表面上に固定化されたカチオンポリマーとの間の静電引力により、固体表面に固定化することが可能となる。この原理を用いて、タンパク質と有機高分子イオンを交互積層する手法が特許文献2に記載されている。
この方法は、生理活性物質を簡便に固定化し得るという意味で非常に優れているものの、バイオセンサー用途への適用を考えた場合、2つの問題が生じる。1つめの問題は、タンパク質と基板との間の結合が静電相互作用のみに基づいているため、酸性溶液やアルカリ性溶液を用いた洗浄操作により、固体表面に静電吸着した生理活性物質の一部が解離してしまう可能性があることである2つめの問題点は、生理活性物質は密にパッキングした単分子層として得られることである。生理活性物質の固定量を上げるためには、生理活性物質を3次元的に固定することが望ましい。さらに、生理活性物質が密にパッキングしていることは、生理活性物質と相互作用する化合物の結合・解離挙動を測定するバイオセンサー用途には好ましくない。
J.C.S.Chem.Commun.,1990、1526 米国特許第5,436,161号公報 特開平8−245815号公報
そこで本発明は、このような実状に鑑みて、生理活性物質の等電点以上のpHでプレコンセントレーション効果を得ることができ、さらに生理活性物質を表面に共有結合し得るバイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、1級または2級アミノ基を有する表面を用いることで、生理活性物質の等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液がプレコンセントレーション(濃縮)効果を得ることができ、さらにこの状態でカルボン酸活性化剤と接触させることで、生理活性物質を表面に共有結合により固定化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、生理活性物質を生理活性物質の等電点以上のpHでプレコンセントレーションさせた後に、該生理活性物質を化学的に固定化することが可能な1級または2級アミノ基を有するポリマーが結合した固体基板からなるバイオセンサーが提供される。
本発明の別の側面によれば、1級または2級のアミノ基を有するポリマーが結合した固体基板に対し、カルボキシル基を有する生理活性物質を、等電点以上のpHにおいてプレコンセントレーションさせた後、カルボン酸活性化剤と接触させることにより、アミノ基を有するポリマーと生理活性物質とを結合させることを含む、生理活性物質の固定方法が提供される。
好ましくは、1級または2級のアミノ基を有するポリマーは、カルボキシル基を有するポリマーとポリアミンとを反応させることにより得られるポリマーである。
好ましくは、カルボキシル基を有するポリマーはカルボキシメチルデキストランである。
好ましくは、1級または2級アミノ基を有するポリマーが結合した固体基板は、水溶性高分子が結合している固体基板、疎水性高分子が結合している固体基板、又は自己組織化単分子膜が形成されている固体基板の何れかである。
好ましくは、1級または2級アミノ基を有するポリマー層が、金属上に形成されている。
好ましくは、金属は金、銀、銅、白金またはアルミニウムのいずれかである。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、非電気化学的検出に使用される。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、表面プラズモン共鳴分析に使用される。
本発明のさらに別の側面によれば、生理活性物質が共有結合により表面に結合している上記した本発明のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法が提供される。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定する。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する。
本発明のバイオセンサーによれば、生理活性物質の等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を用いた場合においても、静電引力によって生理活性物質が測定チップ上に濃縮されるプレコンセントレーション効果を得ることができ、さらに、生理活性物質をバイオセンサーの表面に共有結合により固定化することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお本発明において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明のバイオセンサーは、1級または2級アミノ基を有する表面を有し、これにより、生理活性物質の等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液がプレコンセントレーション(濃縮)効果を得ることができ、さらにこの状態でカルボン酸活性化剤と接触させることで、生理活性物質を表面に共有結合により固定化できることを特徴とする。
1級または2級アミノ基を有する表面は、自己組織化単分子膜表面、疎水性高分子結合表面、水溶性高分子結合表面のいずれかであることが好ましい。生理活性物質を3次元的に結合可能であるという観点からは、水溶性高分子が結合している表面が最も好ましい。
自己組織化単分子膜について説明する。チオールやジスルフィド類などの硫黄化合物は金等の貴金属基板上に自発的に吸着し単分子サイズの超薄膜を与える。またその集合体は基板の結晶格子や吸着分子の分子構造に依存した配列を示すことから自己組織化膜と呼ばれている。自己組織化単分子膜としては、金表面のアルカンチオール類、ガラス表面のアルキルシラン類、シリコン表面のアルコール類等が挙げられる。アルカンチオール類の具体例としては、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオール、10-カルボキシ-1-デカンチオール、4,4'-ジチオジブチリックアシッド、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオール、11-アミノ-1-ウンデカンチオールなどを使用することができる。
また、本発明において自己組織化単分子膜を形成する分子として一般式A−1(一般式A−1において、nは3から20の整数を示し、Xは官能基を示す)に示すアルカンチオール誘導体を用いることにより、Au-S結合とアルキル鎖同士のvan der Waals力に基づき、配向性を持つ単分子膜が自己組織的に形成される。自己組織化膜は、アルカンチオール誘導体の溶液中に金基板を浸漬するという極めて簡便な手法で作成される。一般式A−1において例えば、X=NH2である化合物を用いて自己組織化膜を形成させることで、アミノ基を有する有機層で金表面を被覆することが可能となる。
末端にアミノ基を有するアルカンチオールは、アルキル鎖を介してチオール基とアミノ基が連結している化合物(一般式1−1)(一般式1−1において、nは3から20の整数を示す)でもよく、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオール(一般式1−21−3)(一般式1−2においてnは3から20の整数を示し、一般式4においてnはそれぞれ独立に1から20の整数を示す)と大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させた化合物でもよい。末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールと大過剰のヒドラジドまたはジアミンとの反応は、溶液状態で行ってもよく、また、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールを基板表面に結合した後、大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させてもよい。
1−11−3のアルキル基の繰返し数は、3以上20以下が好ましく、さらに3以上16以下が好ましく、4以上8以下が最も好ましい。アルキル鎖が短いと自己組織化膜を形成しにくく、アルキル鎖が長いと水溶性が低下し、ハンドリングが困難になる。
本発明に用いるジアミンとしては、任意の化合物を用いることが可能であるが、バイオセンサー表面に用いる場合、水溶性ジアミンが好ましい。水溶性ジアミンとしては具体的に、エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4‘−ジアモノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4‘−ジアミノジフェニルケトン、4,4‘−ジアミノジフェニルスルホン酸等の芳香族ジアミンが挙げられる。バイオセンサー表面の親水性を向上させるという観点から、2つのアミノ基をエチレングリコールユニットで連結した化合物(一般式1−4)を用いることも可能である。本発明に用いるジアミンとしては、好ましくはエチレンジアミンまたは一般式1−4(一般式1−4において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)で表される化合物であり、より好ましくは、エチレンジアミンまたは1,2-ビス(アミノエトキシ)エタン(一般式1−4において、n=2,m=1)である。
アミノ基を有するアルカンチオールは、単独で自己組織化膜を形成することも可能であり、また、他のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成することも可能である。バイオセンサー表面に用いる場合、他のアルカンチオールとしては、生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な化合物を用いることが好ましい。生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な自己組織化膜に関しては、前述のWhitesides教授らにより詳細に検討されており、親水性基を有するアルカンチオールから形成された自己組織化膜が非特異吸着抑制に有効であることが報告されている(Langmuir,17,2841-2850, 5605-5620, 6336-6343 (2001))。本発明において、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールは、前記論文に記載された化合物を好ましく用いることが可能である。非特異吸着抑制能に優れ、入手が容易であることから、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールとしては、水酸基を有するアルカンチオール(一般式1−5)あるいはエチレングルコールユニットを有するアルカンチオール(一般式1−6)(一般式1−5において、nは3から20の整数を示し、一般式1−6において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)を用いることが好ましい。
アミノ基を有するアルカンチオールを他のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成する場合、1−11−3のアルキル基の繰返し数は、4以上20以下が好ましく、さらに4以上16以下が好ましく、4以上10以下が最も好ましい。また、1-5,1-6のアルキル基の繰返し数は、3以上16以下が好ましく、さらに5以上12以下が好ましく、5以上10以下が最も好ましい。
本発明において、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールは、任意の割合で混合することが可能であるが、アミノ基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には活性化されたカルボキシル基含有ポリマーの結合量が低下し、親水性基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には非特異吸着抑制能が減少する。それゆえ、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールの混合比は、1/1〜1/1,000,000の範囲であることが好ましく、1/4〜1/10,000の範囲であることがより好ましく、1/10〜1/1,000の範囲であることがさらに好ましい。活性化されたカルボキシル基を含有するポリマーと反応する場合の立体障害低減の観点から、アミノ基を有するアルカンチオールの分子長は、親水性基を有するアルカンチオールの分子長よりも長いことが好ましい。
本発明で用いるアルカンチオールは、Northwestern大学のGrzybowski教授らによる総説(Curr. Org. Chem., 8, 1763-1797(2004).)およびその引用文献に基づいて合成された化合物を用いても良く、また市販の化合物を用いてもよい。これらの化合物は、同仁化学(株)、Aldrich社、SensoPath Technologies社、Frontier Scientific Inc.社等から購入可能である。本発明においてアルカンチオールの酸化生成物であるジスルフィド化合物は、アルカンチオールと同様に用いることが可能である。
本発明では、基板上の自己組織化単分子膜に対して、以下に記載するような疎水性高分子又は水溶性高分子を結合してもよい。
本発明で用いることができる疎水性高分子化合物は、一般的には吸水性を有しないか吸水性が低い高分子化合物であり、水への溶解度(25℃)は好ましくは10%以下であり、より好ましくは1%以下であり、最も好ましくは0.1%以下である。
疎水性高分子としては、具体的には、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、スチレン/無水マレイン酸共重合体・ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン6、ナイロン66、酢酸セルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができる。これら疎水性高分子表面に、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基とカチオン性基とを導入した場合も、等電点以上の生理活性物質を2次元表面にプレコンセントレーションし、結合することが可能となる。
疎水性高分子化合物の基板へのコーティングは常法によって行うことができ、例えば、スピン塗布、エアナイフ塗布、バー塗布、ブレード塗布、スライド塗布、カーテン塗布、さらにはスプレー法、蒸着法、キャスト法、浸漬法等によって行うことができる。
水溶性高分子としては、デキストラン誘導体、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン等の天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド誘導体、ポリメチルビニルエーテル等の合成高分子等が挙げられる。先に記載した疎水性高分子も、カチオン性基の導入率が高い場合は水溶性高分子となる。バイオセンサーへの応用との観点からは、水溶性天然高分子が好ましく、デキストラン誘導体が特に好ましい。
表面に結合された水溶性高分子は3次元ヒドロゲルを形成する。この3次元ヒドロゲルに反応性官能基が導入された場合、生理活性物質を3次元的に固定化することが可能となることが特許文献1に記載されている。3次元的な固定化は2次元表面への固定化と比較して、生理活性物質の結合量が多くなるため、バイオセンサー用途を考えた場合、極めて有利である。このような観点から本発明では、1級または2級アミノ基を有する3次元ヒドロゲルにより、生理活性物質を固定することが好ましい。
本発明では、生理活性物質を生理活性物質の等電点以上のpHでプレコンセントレーションさせた後に、該生理活性物質を化学的に固定化することが可能な1級または2級アミノ基を有するポリマーを使用する。
本発明に用いられるポリマーに対する官能基の導入方法についても特に制約はなく、1級または2級アミノ基を有するモノマーの重合反応を行って重合体を製造してもよいし、予め重合体を製造した後にいわゆる高分子反応により、1級または2級アミノ基を導入してもよい。
本発明に用いることができる1級アミノ基含有モノマーとしては、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、p−アミノスチレン、アリルアミン、2級アミノ基含有モノマーとしては、例えば、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタアクリルアミド等が挙げられる。
本発明に用いられるポリマーは、1級または2級アミノ基を有するモノマー以外に、他のモノマー成分が共重合されていても良い。本発明に用いられる、1級または2級アミノ基以外の、他のモノマー成分としては、以下のモノマーが挙げられる。
アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、エチレン性不飽和カルボン酸のアミド類:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(もしくはその塩)等、芳香族単量体:スチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン等、その他のビニル単量体:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフロロエチレン、トリフロロクロロエチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。ノニオン性基を有するモノマー:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチル−β′−アクリロイルオキシエチルフタレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシスチレン、アリルアルコール、メタアリルアルコール、イソプロペニルアルコール、1−ブテニルアルコール等。両性イオン基を有するモノマー: [2−(メタクリロイルオキシ)エチル] ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド 、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスホリルコリン等。
本発明に用いられる1級または2級アミノ基を有する水溶性高分子としては、具体的には、キトサン、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。
カルボキシル基を有する水溶性高分子を活性化した後、ポリアミンと反応させることにより得られる、1級または2級アミノ基を有する水溶性高分子もまた、本発明に好ましく用いることができる。ポリアミンとしては具体的に、エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4‘−ジアモノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4‘−ジアミノジフェニルケトン、4,4‘−ジアミノジフェニルスルホン酸等の芳香族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、スペルミジン、スペルミン、ポリエチレンイミン等のポリアミンを好ましく用いることが可能である。バイオセンサー表面の親水性を向上させるという観点から、2つのアミノ基をエチレングリコールユニットで連結した化合物(一般式1)を用いることも可能である。
本発明で用いるカルボキシル基を含有するポリマーとしては、カルボキシル基含有合成高分子およびカルボキシル基含有天然高分子を用いることが可能である。カルボキシル基含有合成高分子としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの共重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号明細書に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものなどが挙げられる。カルボキシル基含有天然高分子としては、天然植物からの抽出物、微生物発酵の生産物、酵素による合成物、または化学合成物の何れであってもよく、具体的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デルマタン酸硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セロウロン酸、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン等の多糖類、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸が挙げられる。カルボキシル基含有天然多糖類は、市販の化合物を用いることが可能であり、具体的には、カルボキシメチルデキストランであるCMD、CMD−L、CMD−D40(名糖産業社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム(和光純薬社製)、等を挙げることができる。
カルボキシル基を含有するポリマーは、好ましくはカルボキシル基を含有する多糖類であり、より好ましくはカルボキシメチルデキストランである。
本発明に用いるカルボキシル基を含有するポリマーの分子量は特に制限されないが、平均分子量が1000〜5000000であることが好ましく、平均分子量が10000〜2000000であることがより好ましく、平均分子量が100000〜1000000であることがさらに好ましい。この範囲より平均分子量が小さい場合には生理活性物質の固定量が小さくなってしまい、この範囲より平均分子量が大きい場合には高い溶液粘度のため取り扱いが困難となる。
本発明に使用するポリマーは、水溶液中の膜厚が1nm以上300nm以下であることが好ましい。膜厚が薄いと生理活性物質固定量が減少し、またセンサー表面の水和層が薄くなるため生理活性物質自身の変性で被検体物質との相互作用が検出しにくくなる。膜厚が厚いと被検体物質が膜内に拡散する障害となり、また特にセンサー基板の親水性高分子固定面の反対側から相互作用を検出する場合は検出表面から相互作用形成部までの距離が長くなり、検出感度が低くなる。水溶液中の親水性高分子膜厚はAFM、エリプソメトリーなどで評価することができる。
カルボキシル基を含有するポリマーを活性化する方法としては、公知の手法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化する方法、EDC単独で活性化する方法、特願2004−238396号(特開2006−58071号公報)に記載の方法(即ち、特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体のいずれかの化合物を用いてカルボキシル基を活性化する方法)、特願2004−275012号(特開2006−90781号公報)に記載の方法(即ち、カルボジイミド誘導体又はその塩で活性化し、水酸基を有する含窒素ヘテロ芳香族化合物、電子吸引性基を有するフェノール誘導体又はチオール基を有する芳香族化合物のいずれかの化合物を用いてカルボキシル基を活性化する方法)等を好ましく用いることができる。これらの手法で活性化されたカルボキシル基を含有するポリマーを、アミノ基を有する基板と反応させることで、本発明のバイオセンサーを製造することが可能となる。
カルボキシル基を有する水溶性高分子のようなポリアニオンと水溶性ポリアミンのようなポリカチオンとを水中で混合した場合、水不溶性のポリイオンコンプレックスが生成することが一般的に知られている。それゆえ、本発明においてカルボキシル基を有する水溶性高分子と水溶性ポリアミンは、無溶媒あるいは非水溶媒中で反応させることが望ましい。
本発明によれば、1級または2級アミノ基を有する表面に、等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を接触させた後、カルボン酸活性化剤と接触させることを含む、生理活性物質の固定化方法が提供される。本発明の上記固定化方法においては、表面に1級または2級アミノ基が導入されていることにより、等電点以上のpHを有する生理活性物質含有液を接触させた場合であっても、静電引力によって生理活性物質が測定チップの表面上に濃縮されるプレコンセントレーション効果を得ることができる。
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
本発明のバイオセンサーでは、金属表面又は金属膜を基板として用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
上記のようにして得られたバイオセンサーにおいては、表面に存在するアミノ基を介して生理活性物質を共有結合させることによって、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化することができる。
本発明におけるバイオセンサー表面に対し生理活性物質を接触させることにより、バイオセンサーの表面に存在するアミノ基と生理活性物質とが共有結合するため、バイオセンサーに生理活性物質を固定化することが可能となる。
本発明において、生理活性物質の固定化基として、ポリマーに導入する反応基は、アミノ基などの官能基の他に、例えば、ビオチン結合性タンパク(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン等)、プロテインA、プロテインG、抗原、抗体(例えば、抗GST抗体等の公知のtag抗体)などの生理活性物質をあらかじめ固定し、この生理活性物質の上に、さらに下記に示すような生理活性物質を固定化する態様が可能である。また、ポリマーにアルカンを導入した固定化層を用いれば、脂質などの膜構造を有した生理活性物質を固定することが可能になる。また、用途に応じて、ポリマー鎖の長さ、ポリマーの厚み、ポリマーの密度、あるいは、ポリマーに導入する反応基の量を調整することにより、多様な蛋白に対応することが可能になる。またポリマーに固定基として、NTA(nitrilotriacetic acid)等などを導入すれば、金属キレートを介してHis-tagリガンド等を固定することができる。
本発明において固定される生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
これらの生理活性物質は、生理活性物質を含む溶液を親水性高分子が固定された基板上に塗布し、乾燥することによって固定化することが好ましい。
生理活性物質を含む溶液(塗布液)の濃度は、基板表面に固定する生理活性物質の濃度が高い方が好ましい。生理活性物質により異なるが、0.1mg/mLから10mg/mLで使用することが好ましく、さらに好ましくは1mg/mLから10mg/mLである。
生理活性物質を含む溶液の乾燥過程において、生理活性物質は塗布した溶液の外周部または、塗布液が乾固直前まで液が残った部分に析出する傾向がある。これにより基板表面に固定される生理活性物質の量に分布が発生し好ましくない。基板表面の生理活性物質固定量を均一にするため、塗布液の粘度は生理活性物質の基板表面への結合を阻害しない範囲で高くすることが好ましい。塗布液粘度を高くすることで、乾燥過程における塗布液中の生理活性物質の基板表面に対して水平方向の移動が抑えられ、結果として生理活性物質固定量のばらつきを抑えられる。乾燥過程における塗布液の粘度は0.9cP以上に保つことが好ましい。
本発明の乾燥する工程とは、生理活性物質を含む溶液の塗布後、その溶液を、静置することによる自然乾燥や、加熱や送風などによって溶液が乾燥する速度を上げ、意図的に乾燥させる工程をいう。ここで、生理活性物質を含む溶液(塗布液)の乾燥速度を上げることは生理活性物質固定量のばらつきを抑えることに効果がある。乾燥速度を上げ、生理活性物質の水平方向の移動速度に対して、十分早く乾燥を終了させることで、生理活性物質が実質的に移動する前に乾燥が終了し、ばらつきを抑えることが可能となる。乾燥速度を上げる方法は特に限定されないが、塗布液温度、乾燥環境温度を上げる、赤外線、レーザーなどの照射で蒸発エネルギーを加える、送風などで乾燥時の溶媒蒸気圧を下げる、溶液を薄層塗布して塗布量に対する蒸発面積を大きくするなどの方法が挙げられる。特に、塗布液が水を含む場合、乾球温度と湿球温度差の大きい環境で乾燥させることで乾燥速度は早くなる。乾球温度と湿球温度との温度差が7℃以上の環境で乾燥させることが好ましく、さらに好ましくは10℃以上、さらに好ましくは13.5℃以上である。また、製造工程上、乾燥時間としては10分以内が好ましく、より好ましくは5分以内、特に好ましくは1分以内である。
生理活性物質を含む溶液を塗布する方法としては、特に塗布液を定量吐出するディスペンサーを使用する方法が挙げられる。ディスペンサーの吐出口を基板上で一定速度、一定間隔で動作させることで基板上の任意の場所に均一塗布することが可能である。ディスペンサーで塗布する場合、基板と吐出口の間隔を極力狭くし、塗布液厚みを薄くすることで生理活性物質の厚みを均一にすることができ、また乾燥速度を上げることができ、好ましい。また生理活性物質を含む溶液を塗布する好ましい方法として、スピンコートも挙げられる。この方法は、特に塗布膜厚を薄くする場合に好ましい。均一厚みの溶液を形成した後に乾燥させるため、スピンコーターは回転中の溶媒の蒸発を防ぐことが好ましい。このため、回転時に基板を密閉容器に入れておくなどの方法で、基板周辺の溶媒濃度が高い環境に保つことで、回転中の薄膜形成と薄膜形成後の乾燥速度を制御できるため、特に好ましい。これらの塗布工程後、温度・湿度を一定に保った条件下で乾燥させることが好ましい。
生理活性物質と被検体物質との相互作用を検出する場合、センサー表面の生理活性物質の固定量の変動は相互作用の定量的、速度論的評価の誤差の原因となる。この誤差を最小限に抑える目的で、生理活性物質の固定量を均一にすることが好ましい。相互作用の検出に使用される基板表面の生理活性物質の固定量のばらつきがCV値(変動係数)(標準偏差/平均値)で15%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。CV値は、基板表面の少なくとも2点以上、好ましくは10点以上、さらに好ましくは100点以上の固定量から算出することができる。均一性は、生理活性物質を固定する前後のセンサー基板上の物質の量を定量することでも評価可能であるが、生理活性物質と結合することが知られている物質を蛍光標識して、この標識物質をセンサー基板に固定した後に蛍光顕微鏡などを用いて蛍光強度を測定することでも可能である。また、SPRイメージャー、エリプソメーター、TOF−SIMS、ATR−IR装置などで生理活性物質の定量も可能である。
また、本発明において、基板上に固定化した生理活性物質の保存安定性を向上させる目的で、水素結合を形成しうる残基を有する化合物(以下、化合物Sとする)を使用してもよい。
一般に蛋白質などの生理活性物質は水溶液中で水分子が配位することで三次元構造を維持しているが、乾燥されると三次元構造を保持できず失活する。また、基板表面の親水性高分子中に担持されている場合には、乾燥されることで生理活性物質同士が接近し凝集が発生する。本発明の水素結合を形成しうる残基を有する化合物Sは、水分子に代って生理活性物質の三次元構造を保持することで失活を抑制、または生理活性物質を被覆して立体効果で凝集を抑制する目的で使用することができる。
本発明において水素結合を形成しうる残基を有する化合物Sは、水溶液で基板上の生理活性物質を固定した層に添加することが好ましい。添加方法としては、生理活性物質との混合溶液として基板表面に塗布しても良く、生理活性物質を基板表面に固定した後オーバーコートなどによりして添加しても良い。化合物Sと生理活性物質との混合溶液として塗布した場合、生理活性物質の固定量ばらつきを抑えることもできる。化合物S水溶液は薄膜状態で基板に添加することが好ましい。基板上に薄膜を形成させる方法は、公知の方法を用いることが可能であるが、具体的には、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、スライドビードコート法、スリットアンドスピン方式、スリットコート方式、ダイコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、フローコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート方式、転写印刷法、等を用いることが可能である。膜厚制御された塗布膜を簡便に作成可能であることから、本発明において基板上に薄膜を形成させる方法としては、スプレーコート法またはスピンコート法が好ましく、スピンコート法がさらに好ましい。
化合物Sの塗布液濃度は塗布性、生理活性物質を含む層への浸透の問題がない範囲で特に限定されないが、0.1重量%以上5重量%以下であることが好ましい。また、塗布液は、塗布性、pH調整の観点で界面活性剤、緩衝剤、有機溶剤、塩などを添加してもよい。
水素結合を形成しうる残基を有する化合物Sとしては、常温常圧で不揮発性のものが好ましく、平均分子量が350より大きく500万より小さいものが好ましく、さらに好ましくは1200以上200万以下であり、最も好ましくは1200以上7万以下である。分子内に水酸基を含む化合物Sは糖類が好ましく、糖類は、単糖、多糖類でも良い。n糖類の場合nが4以上1200以下であることが好ましく、さらに好ましくはnが20以上600以下である。
化合物Sの平均分子量が低いと基板表面で結晶化して、生理活性物質を固定した親水性高分子層の破壊および生理活性物質の三次元構造の破壊の原因となり、反対に平均分子量が高いと生理活性物質の基板への固定の障害となったり、生理活性物質を含む層に含浸できない、層分離を発生するなどの問題が発生する。
基板上に固定した生理活性物質の劣化を抑制する目的で、前記水素結合を形成しうる残基を有する化合物Sは、デキストラン骨格、又はポリエチレンオキシド骨格を有することが好ましく、本発明の目的を達成する範囲において、どの置換基を使用してもよい。また、基板上に固定した生理活性物質の劣化を抑制する目的で、解離性基を有しないノニオン性化合物であることが好ましい。また、前記水素結合を形成しうる残基を有する化合物Sは水分子との親和性の高い化合物が好ましく、水とn-オクタノールとの分配係数LogP値が1以上であることが好ましい。LogP値は、JIS規格のZ7260−107(2000)「分配係数(1-オクタノール/水)の測定―振とう法」などに記載の方法で測定することができる。
具体的な水素結合を形成しうる残基を有する化合物Sとしては、ポリビニルアルコールなどの多価アルコール類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミンなどのタンパク質、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、デンプン、セルロース、アルギン酸、デキストランなど多糖類、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド、プルロニックなどポリエチレンキシ-ポリプロピレンオキシド縮合物などのポリエーテル類、トゥイーン20、トゥイーン40、トゥイーン60、トゥイーン80などの2種以上の残基から成る化合物、またはこれら化合物の誘導体および重合体などが挙げられる。その内、多糖類、ポリエーテル類が好ましく、多糖類がより好ましい。具体的には、デキストラン、セルロース、トゥイーン20、トゥイーン40、トゥイーン60、トゥイーン80が好ましく用いられる。さらに、特開2006−170832に記載の不揮発性モノマー、不揮発性水溶性オリゴマーを用いることもできる。例えば不揮発性モノマーとしては水酸基が保護基で保護されていてもよいテトロース、ペントース、ヘプトース、ヘキトース及びそのグリコキシドでも良く、メチルグルコシドや水酸基が保護基で保護されていてもよいサイクリトール類でもよい。また不揮発性水溶性オリゴマーが、式(1)、(2)または(3) -[CH2-CH(CONH2)-]n- (1) -[CH2-CH2-O-]n- (2) -[CH2-CH(OH)-]n- (3)(式(1)〜(3)中、nは10〜200のいずれかの整数を示す。)で表されるオリゴマー、水酸基が保護基で保護されていてもよいn糖(但し、2≦n≦10)のオリゴ糖を用いることもできる。さらに、US2003/0175827、DE20306476A1に記載の糖類、例えば、トレハロース、スクロース、マルトース、ラクトース、キシリトール、フルクトース、マニトール、グルコース、キシロール、マルトデキストラン、サッカロース、ポリビニルピロリドンなどを使用しても良い。また、これらの化合物Sは、本発明において使用している親水性高分子の基本骨格と実質同一であることが好ましい。ここで、基本骨格とは、例えば、糖の環構造のことをいい、官能基や長さが異なっていても、環構造が同一であれば、実質同一であるという。
基板上の、水素結合を形成しうる残基を有する化合物Sの含有量としては、平均分子量の比で、親水性高分子の平均分子量に対する前記化合物Sの平均分子量の割合が0.005以上0.2以下であることが好ましい。割合がこれよりも低い場合は化合物Sが結晶化しやすく、高い場合は親水性高分子層への浸透が困難であり、この範囲内に設定することでこれらの問題を解消し、生理活性物質の失活抑制効果、凝集抑制効果をより高く得ることができる。
上記のようにして生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
本発明では、センサー用基板に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサーは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(本出願人による特開2003−106926参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
また、本発明のバイオセンサーは、例えば基板表面に導波路構造を保持した、屈折率変化を導波路を用いて検出するバイオセンサーとして用いることができる。この場合、基板表面の導波構造物は、回折格子と場合によっては付加層とを有している、この導波構造物は、薄い誘電層からなる平面的な導波体から成る。導波体に集光された光線は全反射によりこの薄い層内に導かれる。この導かれる光波(以降モードと呼ぶ)の伝播速度は、C/Nの値をとる。ここでCは、真空中での光速であり、Nは導波体内を導かれるモードの有効屈折率である。有効屈折率Nは、一面では導波体の構成により、他面では薄い導波層に隣接する媒体の屈折率により決まる。光波の伝導は、薄い平面層内のみでなく、別の導波構造物、特にストリップ状の導波体によっても行われる。その場合は、導波構造物はストリップ状のフィルムの形状にされる。有効屈折率Nの変化は、導波層に隣接する媒体の変化と導波層自身もしくは導波層に隣接する付加層の屈折率および厚さの変化とにより生じることがバイオセンサーにとって重要な要素である。
この方式のバイオセンサーの構成については、例えば特公平6−27703号公報4ページ48行目から14ページ15行目および第1図から第8図、米国特許第 6,829,073号のcolumn6の31行目からcolumn7の47行目および第9図A,Bに記載されている。
例えば、一つの実施形態として、薄層が平面状の導波路層が基材(たとえばパイレックス(登録商標)・ガラス)上に設けられている構造がある。導波路層と基材とは、一緒にいわゆる導波体を形成する。導波路層は、たとえば酸化物層(SiO2,SnO2、Ta2O5,TiO2,TiO2-SiO2,HfO2,ZrO2,Al2O3,Si3N4,HfON,SiON,酸化スカンジウムまたはこれらの混合物)、プラスチック層(例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなど)、など多層の積層体が可能である。光線が全反射により導波路層内を伝播するには、導波路層の屈折率が隣接媒体(たとえば基材や後述の付加層)の屈折率より大でなければならない。基材もしくは測定物質に向いた導波路層表面もしくは導波路層体積内には、回折格子が配置されている。回折格子は、型押し、ホログラフィまたはその他の方法によって基板内に形成することができる。次いでより高い屈折率を有する薄い導波路膜を回折格子の上表面に被覆する。回折格子は導波路層への入射光線を集束したり、既に導波路層内を導かれているモードを放出したり、そのモードの一部を進行方向へ透過させ、一部を反射させたりする機能を持つ。導波路層は、格子域を付加層でカバーしておく。付加層は必要に応じて多層膜とすることができる。この付加層は、測定物質に含まれている物質の選択的検知を可能にする機能を持たせることができる。好ましい態様として付加層の最表面に、検知機能を持つ層を設けることができる。このような検知機能を持つ層として、生理活性物質を固定化し得る層を用いることができる。
別の実施形態として、回折格子導波路のアレイがマイクロプレートのウェル内に組み込まれる形態も可能である(特表2007-501432)。すなわち回折格子導波路がマイクロプレートのウェル底面にアレイ状に配列されていれば、スループットの高い薬物または化学物質のスクリーニングを可能にすることができる。
回折格子導波路は、回折格子導波路の上層(検知領域)上の生理活性物質検出を可能にするために、入射光線、および反射光を検出して屈折特性の変化を検出する。この目的のため、1つまたはそれより多くの光源(例えば、レーザ、ダイオード)及び1つまたはそれより多くの検出器(例えば、分光計、CCDカメラまたはその他の光検出器)を用いることができる。屈折率変化を測定するための方法として、2つの異なる動作モード−分光法、及び角度法がある。分光法においては、入射光として広帯域ビームが回折格子導波路に送られ、反射光が集められて、例えば分光計で測定される。共鳴波長(ピーク)のスペクトル位置を観測することにより、回折格子導波路の表面またはその近傍での屈折率変化すなわち結合を測定することができる。また、角度法においては、公称上単一波長の光がある範囲の照射角を生じるように集束されて、回折格子導波路内に向けられる。反射光がCCDカメラまたはその他の光検出器によって測定される。回折格子導波路によって反射された共鳴角の位置を測定することにより、回折格子導波路の表面またはその近傍での屈折率変化すなわち結合を測定することができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:
本実施例は、タンパク質を固定するためのセンサーチップの作製に関するものである。
(1)試料1(比較例)の作成
カルボキシメチルデキストランが結合した表面として、Biacore社センサーチップCM-5(research grade)を、そのまま用いた。
(2)試料2(本発明)の作成
2.8mM のHODhbt(3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン)水溶液と0.4M のEDC水溶液の1:1混合溶液100μlを、Biacore社センサーチップCM-5(research grade)表面に接触させ、室温で10分間反応させた。水洗後、真空乾燥機を用いて室温で10分間乾燥させた。この表面に対し、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン100μlを接触させ、室温で10分間反応させた後、水洗することで、目的表面を得た。
実施例2:
本実施例は、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタンで修飾された表面(試料2)に対する、等電点以上のpHにおけるタンパク質のプレコンセントレーションに関するものである。タンパク質としては、ペプシン(和光純薬社製)、BSA(Bovine Serum Albumin:SIGMA社製)、CA(Carbonic Anhydrase:SIGMA社製)を用いた。
実施例1で作製した試料1(比較例)及び試料2(本発明)をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、タンパク溶液(pH7.4, 1.0mg/ml)を5分間流した場合のプレコンセントレーションについて検討した。得られたセンサーグラムを図1〜図3に示す。
カルボキシメチルデキストランが結合している試料1に対しては、いずれのタンパク質の場合も、試料1に対しては全くプレコンセントレーションは観察されないのに対し、本発明の試料2に対してはプレコンセントレーションが観察され、その程度は、ペプシン(7520RU)、BSA(6688RU)、CA(1958RU)であることが確認された。1級アミノ基を有する本発明の表面により、等電点以上のpHにおけるCAのプレコンセントレーションが可能であることが証明された。
実施例3
本実施例は、1級アミノ基を有する表面にプレコンセントレートされたタンパク質の固定に関するものである。Biacore3000を用い、ペプシン(1mg/ml、pH7.4)を5分間プレコンセントレートさせた試料2に対しカルボン酸活性化剤であるEDC(0.4M)/NHS(0.1M)水溶液を接触させずに洗浄したサンプル(試料3)、および、EDC(0.4M)/NHS(0.1M)水溶液を5分間接触させた後に洗浄したサンプル(試料4)に対するペプシン固定量を検討した。洗浄は、1%EDTA水溶液(1分×2回)およびグリシン緩衝液(pH1.5、Biacore社製)の注入(各1分×2回)により行った。得られた結果を図4に示す。
カルボン酸活性化剤を接触させずに洗浄した試料4の表面からは、プレコンセントレートされたペプシンが洗浄後には解離することが確認された。一方、カルボン酸活性化剤を接触させた試料5の表面には、洗浄後もペプシンが6000RU 程度結合していることが認められた。1級アミノ基を有するポリマーを結合した固体基板に対し、等電点以上のpHにおいてタンパク質をプレコンセントレーションさせた後、カルボン酸活性化剤と接触させることにより、アミノ基を有するポリマーとタンパク質とを結合させることが可能であることが証明された。
実施例4
本実施例は、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン以外のポリアミンで修飾されたセンサーチップの作製に関するものである。1,2-ビス(2-アミノエトキシエタン)を、表1に示すポリアミンに変更した以外は、試料2の作成と同様の操作を行うことで、試料5〜9を作成した。
実施例5
本実施例は、実施例4で作成されたセンサーチップに対する、タンパク質の荷電濃縮に関するものである。実施例2で示した方法で、試料5〜試料9に対するBSA(pH7.4, 0.1mg/ml)のプレコンセントレーションの程度を検討した。得られた結果を、図5に要約する。
ポリアミンとして1,2-ビス(2-アミノエトキシエタン)を結合した試料2のみならず、エチレンジアミンを結合した試料5、ジエチレントリアミンを結合した試料6、トリエチレンテトラミンを結合した試料7、テトラエチレンペンタミンを結合した試料8、ペンタエチレンヘキサミンを結合した試料9についても、BSAの等電点以上であるpH7.4の条件下でプレコンセントレーションが観察され、その程度はポリアミンの種類に依存することが証明された。
図1は、実施例1で作製した試料1(比較例)及び試料2(本発明)を表面プラズモン共鳴装置にセットし、ペプシン溶液(pH7.4)を5分間流した場合に得られたセンサーグラムを示す。 図2は、実施例1で作製した試料1(比較例)及び試料2(本発明)を表面プラズモン共鳴装置にセットし、BSA溶液(pH7.4)を5分間流した場合に得られたセンサーグラムを示す。 図3は、実施例1で作製した試料1(比較例)及び試料2(本発明)を表面プラズモン共鳴装置にセットし、CA溶液(pH7.4)を5分間流した場合に得られたセンサーグラムを示す。 図4は、ペプシン(pH7.4)を5分間プレコンセントレートさせた試料2に対しカルボン酸活性化剤であるEDC(0.4M)/NHS(0.1M)水溶液を接触させずに洗浄したサンプル(試料3)、および、EDC(0.4M)/NHS(0.1M)水溶液を5分間接触させた後に洗浄したサンプル(試料4)に対するペプシン固定量を検討した結果を示す。 図5は、各種ポリアミンを用いて作成したセンサーチップに対するBSA(pH7.4, 0.1mg/ml)のプレコンセントレーションの程度を検討した結果を示す。

Claims (17)

  1. 生理活性物質を生理活性物質の等電点以上のpHでプレコンセントレーションさせた後に、該生理活性物質を化学的に固定化することが可能な1級または2級アミノ基を有するポリマーが結合した固体基板からなるバイオセンサー。
  2. 1級または2級のアミノ基を有するポリマーが、カルボキシル基を有するポリマーとポリアミンとを反応させることにより得られるポリマーである、請求項1に記載のバイオセンサー。
  3. カルボキシル基を有するポリマーがカルボキシメチルデキストランである、請求項2に記載のバイオセンサー。
  4. 1級または2級アミノ基を有するポリマーが結合した固体基板が、水溶性高分子が結合している固体基板、疎水性高分子が結合している固体基板、又は自己組織化単分子膜が形成されている固体基板の何れかである、請求項1から3の何れかに記載のバイオセンサー。
  5. 1級または2級アミノ基を有するポリマー層が金属上に形成されている、請求項1から4の何れかに記載のバイオセンサー。
  6. 金属が金、銀、銅、白金またはアルミニウムのいずれかである、請求項5に記載のバイオセンサー。
  7. 非電気化学的検出に使用される、請求項1から6の何れかに記載のバイオセンサー。
  8. 表面プラズモン共鳴分析に使用される、請求項1から7の何れかに記載のバイオセンサー。
  9. 1級または2級のアミノ基を有するポリマーが結合した固体基板に対し、カルボキシル基を有する生理活性物質を、等電点以上のpHにおいてプレコンセントレーションさせた後、カルボン酸活性化剤と接触させることにより、アミノ基を有するポリマーと生理活性物質とを結合させることを含む、生理活性物質の固定方法。
  10. 1級または2級のアミノ基を有するポリマーが、カルボキシル基を有するポリマーとポリアミンとを反応させることにより得られるポリマーである、請求項9に記載の生理活性物質の固定方法。
  11. カルボキシル基を有するポリマーがカルボキシメチルデキストランである、請求項10に記載の生理活性物質の固定方法。
  12. 1級または2級アミノ基を有するポリマーが結合した固体基板が、水溶性高分子が結合している固体基板、疎水性高分子が結合している固体基板、又は自己組織化単分子膜が形成されている固体基板の何れかである、請求項9から11の何れかに記載の生理活性物質の固定化方法。
  13. 1級または2級アミノ基を有するポリマー層が金属上に形成されている、請求項9から12の何れかに記載の生理活性物質の固定化方法。
  14. 金属が金、銀、銅、白金またはアルミニウムのいずれかである、請求項13に記載の生理活性物質の固定化方法。
  15. 生理活性物質が共有結合により表面に結合している請求項1から8の何れかに記載のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法。
  16. 生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定する、請求項15に記載の方法。
  17. 生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する、請求項15又は16に記載の方法。
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