JP4231888B2 - バイオセンサーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオセンサーの製造方法、及び該バイオセンサーを用いた生体分子間の相互作用を分析する方法に関する。特に本発明は、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに用いるためのバイオセンサーの製造方法、及び該バイオセンサーを用いた生体分子間の相互作用を分析する方法に関する。
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすることなく、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術である。SPR測定技術はチップの金属膜に接する有機機能膜近傍の屈折率変化を反射光波長のピークシフト又は一定波長における反射光量の変化を測定して求めることにより、表面近傍に起こる吸着及び脱着を検知する方法である。QCM測定技術は水晶発振子の金電極(デバイス)上の物質の吸脱着による発振子の振動数変化から、ngレベルで吸脱着質量を検出できる技術である。また、金の超微粒子(nmレベル)表面を機能化させて、その上に生理活性物質を固定して、生理活性物質間の特異認識反応を行わせることによって、金微粒子の沈降、配列から生体関連物質の検出ができる。
上記した技術においては、いずれの場合も、生理活性物質を固定化する表面が重要である。以下、当技術分野で最も使われている表面プラズモン共鳴(SPR)を例として、説明する。
一般に使用される測定チップは、透明基板(例えば、ガラス)、蒸着された金属膜、及びその上に生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜からなり、その官能基を介し、金属表面に生理活性物質を固定化する。該生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、生体分子間の相互作用を分析する。
生理活性物質を固定化可能な官能基を有する検出表面として、例えば特許文献1に、ヒドロゲルの製造法が詳細に開示されている。具体的には、16-メルカプトヘキサデカノールの層が金膜に結合することでバリアー層を形成する。この金膜上でバリアー層のヒドロキシル基はエピクロロヒドリンで処理することによりエポキシ活性化される。次の段階でデキストランをエーテル結合を介してバリアー層に付着させる。次にデキストランマトリックスに対してブロモ酢酸を反応させることで、カルボキシメチル基を導入する。
この方法に基づき製造されたカルボキシメチル変性デキストラン表面にアミノ基を有する生理活性物質(例えばタンパク質やアミノ酸)を固定化するための手法としては、以下のような手法が開示されている。すなわち、カルボキシメチル変性デキストランにおけるカルボキシル基の一部を、反応性エステル機能を生ずるように例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド(EDC)塩酸の水溶液で処理することにより変性される。残留電荷すなわち未反応カルボキシル基は、生理活性物質の検出表面への濃縮の遂行に寄与するであろう。このような検出表面に対し、アミノ基を含む生理活性物質(タンパク質やアミノ酸)の水溶液を接触させることで、アミノ基を含む生理活性物質をデキストランマトリックスに共有結合により結合させることができる。
上記した方法により製造されたヒドロゲルは、アミノ基を含む生理活性物質を3次元的に固定化可能であるため、バイオセンサーの検出表面として優れた性能を示す。しかし、上記した方法によるヒドロゲルの製造法は煩雑であり、製造時間が長く、エピクロロヒドリンやブロモ酢酸といった化合物を用いることが必要であるため、安全性の面で問題があった。
特許第2815120号
本発明は上記した従来技術の問題を解消することを解決すべき課題とした。即ち本発明は、生理活性物質を固定化し得るヒドロゲルを、安全な原料を用いて簡便に製造することができるバイオセンサー及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、生理活性物質の固定量が多く、非特異吸着量が少ないバイオセンサー及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基板表面を官能基を有する有機層で被覆した後、該官能基と反応し得る反応性基を有する親水性高分子を薄膜状態で基板表面と反応させることにより、生理活性物質を固定化し得るヒドロゲルを簡便に製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、官能基を有する有機層で被覆した基板表面に、該官能基と反応し得る反応性基を有する親水性高分子を接触させることによって、上記有機層に上記親水性高分子を結合させる工程を含むバイオセンサーの製造方法において、反応性基を有する親水性高分子を薄膜状態で基板表面に接触させることを特徴とするバイオセンサーの製造方法が提供される。
好ましくは、基板は金属表面または金属膜である。
好ましくは、金属は金、銀、銅、白金またはアルミニウムのいずれかである。
好ましくは、官能基を有する有機層で被覆した基板表面は、官能基を有するアルカンチオールで被覆した基板表面である。
好ましくは、官能基を有する有機層で被覆した基板表面は、アミノ基を有するアルカンチオールで被覆した基板表面である。
好ましくは、アミノ基を有するアルカンチオールは、アルキル鎖を介してチオール基とアミノ基が連結している化合物、又は末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールとヒドラジドまたはジアミンとの反応により得られる化合物のいずれかである。
好ましくは、官能基を有する有機層で被覆した基板表面は、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールとの混合物で被覆した基板表面である。
好ましくは、親水性基を有するアルカンチオールの該親水性基は、水酸基あるいはオリゴエチレングルコール基である。
好ましくは、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールとの混合物中のモル比は1/1〜1/1,000,000の範囲である。
好ましくは、アミノ基を有するアルカンチオールの分子長は、親水基を有するアルカンチオールの分子長よりも長い。
好ましくは、親水性高分子の反応性基は、ビニルスルホン基又はその前駆体、ジクロロトリアジン基、アセトアセチル基、又はカルボン酸活性エステル基である。
好ましくは、反応性基を有する親水性高分子は多糖類である。
好ましくは、スピンコート法またはスプレーコート法により、反応性基を有する親水性高分子を薄膜状態で基板表面に接触させる。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の方法により製造される、バイオセンサーが提供される。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは非電気化学的検出に使用され、さらに好ましくは、表面プラズモン共鳴分析に使用される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のバイオセンサーと生理活性物質とを接触させて、該バイオセンサーに該生理活性物質を結合させる工程を含む、バイオセサンーに生理活性物質を固定化する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、生理活性物質が共有結合により表面に結合している上記した本発明のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法が提供される。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定し、さらに好ましくは表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する。
本発明によれば、生理活性物質の固定量が多く、非特異吸着量が少ないバイオセンサーを安全な原料を用いて簡便に製造することが可能になった。
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
本発明のバイオセンサーでは、金属表面又は金属膜を基板として用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
本発明において金属膜は、官能基を有する有機層で被覆された後、該官能基と反応し得る反応性基を有する親水性高分子を上記有機層と反応させることにより、生理活性物質を固定化し得るヒドロゲルを作製することができる。
本発明における官能基を有する有機層における官能基の種類としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ヒドラジド基、カルボニル基、エポキシ基、又はビニル基などを挙げることができるが、好ましくはアミノ基である。
本発明において、アミノ基などの官能基を有する有機層で金属膜を被覆する方法は、公知の方法を使用することができるが、操作が簡便なことから、自己組織化膜(SAMs)を用いた被覆法が好ましい。自己組織化膜(SAMs)を用いた金属膜の被覆法は、ハーバード大のWhitesides教授らにより精力的に展開されており、その詳細は例えばChemical Review, 105, 1103-1169 (2005)に報告されている。金属として金を用いた場合、有機層形成化合物として一般式1(一般式1において、nは3から20の整数を示し、Xは官能基を示す)に示すアルカンチオール誘導体を用いることにより、Au-S結合とアルキル鎖同士のvan der Waals力に基づき、配向性を持つ単分子膜が自己組織的に形成される。自己組織化膜は、アルカンチオール誘導体の溶液中に金基板を浸漬するという極めて簡便な手法で作成される。一般式1においてX=NH2である化合物を用いて自己組織化膜を形成させることで、アミノ基を有する有機層で金表面を被覆することが可能となる。
Figure 0004231888
末端にアミノ基を有するアルカンチオールは、アルキル鎖を介してチオール基とアミノ基が連結している化合物(一般式2)(一般式2において、nは3から20の整数を示す)でもよく、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオール(一般式3、4)(一般式3においてnは3から20の整数を示し、一般式4においてnはそれぞれ独立に1から20の整数を示す)と大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させた化合物でもよい。末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールと大過剰のヒドラジドまたはジアミンとの反応は、溶液状態で行ってもよく、また、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールを基板表面に結合した後、大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させてもよい。
Figure 0004231888
本発明に用いるジアミンとしては、任意の化合物を用いることが可能であるが、バイオセンサー表面に用いる場合、水溶性ジアミンが好ましい。水溶性ジアミンとしては具体的に、エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1.4−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4‘−ジアモノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4‘−ジアミノジフェニルケトン、4,4‘−ジアミノジフェニルスルホン酸等の芳香族ジアミンが挙げられる。バイオセンサー表面の親水性を向上させるという観点から、2つのアミノ基をエチレングリコールユニットで連結した化合物(一般式5)を用いることも可能である。本発明に用いるジアミンとしては、好ましくはエチレンジアミンまたは一般式5(一般式5において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)で表される化合物であり、より好ましくは、エチレンジアミンまたは1,2-ビス(アミノエトキシ)エタン(一般式5において、n=2,m=1)である。
Figure 0004231888
アミノ基を有するアルカンチオールは、単独で自己組織化膜を形成することも可能であり、また、他のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成することも可能である。バイオセンサー表面に用いる場合、他のアルカンチオールとしては、生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な化合物を用いることが好ましい。生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な自己組織化膜に関しては、前述のWhitesides教授らにより詳細に検討されており、親水性基を有するアルカンチオールから形成された自己組織化膜が非特異吸着抑制に有効であることが報告されている(Langmuir,17,2841-2850, 5605-5620, 6336-6343 (2001))。本発明において、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールは、前記論文に記載された化合物を好ましく用いることが可能である。非特異吸着抑制能に優れ、入手が容易であることから、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールとしては、水酸基を有するアルカンチオール(一般式6)あるいはエチレングルコールユニットを有するアルカンチオール(一般式7)(一般式6において、nは3から20の整数を示し、一般式7において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)を用いることが好ましい。
Figure 0004231888
本発明において、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールは、任意の割合で混合することが可能であるが、アミノ基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には、反応性基を有する親水性高分子の結合量が低下し、親水性基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には非特異吸着抑制能が減少する。それゆえ、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールの混合比は、1/1〜1/1,000,000の範囲であることが好ましく、1/4〜1/10,000の範囲であることがより好ましく、1/10〜1/1,000の範囲であることがさらに好ましい。反応性基を有する親水性高分子と反応する場合の立体障害低減の観点から、アミノ基を有するアルカンチオールの分子長は、親水性基を有するアルカンチオールの分子長よりも長いことが好ましい。
本発明で用いるアルカンチオールは、Northwestern大学のGrzybowski教授らによる総説(Curr. Org. Chem., 8, 1763-1797(2004).)およびその引用文献に基づいて合成された化合物を用いても良く、また市販の化合物を用いてもよい。これらの化合物は、同仁化学(株)、Aldrich社、SensoPath Technologies社、Frontier Scientific Inc.社等から購入可能である。本発明においてアルカンチオールの酸化生成物であるジスルフィド化合物は、アルカンチオールと同様に用いることが可能である。
本発明において基板表面の官能基と反応し得る反応性基を有する親水性高分子としては、ハロゲン化銀写真用の高分子硬膜剤、アセトアセチル基を有する親水性高分子、活性化(好ましくは、活性エステル化)されたカルボキシル基含有ポリマーを好ましく用いることができる。以下、本発明で用いることができる高分子硬膜剤、アセトアセチル基を有する親水性高分子、および活性化されたカルボキシル基含有ポリマーについて説明する。
高分子硬膜剤とは、ゼラチン等の親水性コロイドと結合反応する反応性官能基を分子内に複数有している高分子化合物であり、特開昭56−66841号公報、英国特許1,322,971号公報、米国特許3,671,256号公報,特開平7−64226号公報,特開平7−140596号公報, 特開平10−111545号公報, 特開2000−62629号公報,特開2004−20919号公報等の特許文献、及びジェームズ著ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス(James, The Theory of the Photographic Process)第4版、84頁(1977、マクミラン社)、キャンプベル他著ポリメリック・アミン・アンド・アンモニウム・ソルツ(Campbelletal;Polymeric Amine and Ammonium Salts)321〜332頁(1979、パーガモンプレス社)などの成書に記載されている。
本発明に用いられる高分子硬膜剤は、バイオセンサー表面の官能基と結合可能な反応性官能基を有する高分子化合物であり、好ましくは下記の式(1)〜式(9)で表される反応性官能基を有する高分子化合物である。
式(1): −SO2CH=CH2
式(2): −SO2CH2CH2
式(2)中、Xは、式(2)で表される官能基が求核試薬あるいは塩基と反応する際、置換反応あるいは脱離反応によって離脱する基(例えば、−Cl、−OSO2CH3、−OSO264CH3、−OCOCH3、−OSO3 - 、ピリジニウム等)である。
式(3)
Figure 0004231888
式(3)中、Xは単結合、−O−、−NR−を表し、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基を表す。Y、Zはハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、水酸基及びその塩、置換されていてもよいアミノ基を表し、Y,Zの少なくとも1つはハロゲン原子である。
式(4): −CHO
式(5):
Figure 0004231888
式(6): −NCO
式(7): −NHCONHCOCH=CH2
式(8): −NHCONHCOCH2CH2
式中、Xは式(2)のXと同義である。
式(9): −COX
式中、Xは、式(9)で表される官能基がアミノ基と反応した際に容易に脱離する基(例えば、
Figure 0004231888
であり、式(9)は一般的に活性エステル基あるいは混合酸無水物として知られているものを表す。
本発明に用いられる高分子硬膜剤を製造するに当たり、重合方法については特に制約はないが、例えば縮重合法によって製造されていてもよく、またエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いてラジカル重合、アニオン重合等の方法によって製造されていてもよい。さらには天然高分子(例えば、デンプン、デキストラン、ゼラチン等)に前記の反応性官能基を導入することによって製造されていてもよい。本発明に用いられる親水性コロイドと反応可能な官能基(上記式(1)〜式(9)で表される官能基、以後反応性官能基と称する)の導入方法についても特に制約はなく、反応性官能基を有するモノマーを用いて重合反応を行って重合体を製造してもよいし、予め重合体を製造した後にいわゆる高分子反応により、前記の反応性官能基を導入してもよい。さらには反応性官能基の前駆体を有するモノマー化合物を用いて重合反応を行い、その後に適切な方法によって反応性官能基を生成させる方法も有効である。
本発明に用いられる高分子硬膜剤は、前記の反応性官能基(またはその前駆体)とエチレン性不飽和結合を同一分子内に有するモノマーをラジカル重合することによって製造されてもよい。反応性官能基を持つモノマーとしては以下に示す化合物が代表的な例である。
Figure 0004231888
Figure 0004231888
Figure 0004231888
本発明に用いられる重合体は反応性官能基を持つモノマーの単独重合体であってもよく、また他の1種あるいは2種以上のモノマーとの共重合体であってもよい。共重合体の場合、反応性官能基を持つモノマーの割合は1質量%以上であり、5質量%以上が好ましい。ラジカル共重合をする場合、他のモノマーはラジカル重合が可能であれば特に制限はないが、以下のモノマーを具体例として挙げることができる。また、他のモノマーが反応可能な官能基を有する場合、前記式(1)〜(9)で表される官能基と共重合時に反応を起こさない範囲内で、適宜モノマーの組み合わせを選択することが好ましい。
アクリル酸、メタクリル酸およびそのエステル類:例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、CH2=CHCOO(CH2CH2O)nR(Rは、水素原子、アルキル基、nは1以上の整数)、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−スルホエチルメタクリレート等、
エチレン性不飽和カルボン酸のアミド類:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(もしくはその塩)等、
芳香族単量体:スチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、p−ビニル安息香酸、ビニルナフタレン等、
その他のビニル単量体:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフロロエチレン、トリフロロクロロエチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
以下に本発明に用いられる高分子硬膜剤の具体例を示すが、本発明ではこれらに限定されるものではない。それぞれの化合物の共重合比率は質量百分率比を表す。
P−1:M−1/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(10/90)
P−2:M−1/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(30/70)
P−3:M−1/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(50/50)
P−4:M−1/メチルメタクリレート共重合体(20/80)
P−5:M−2/アクリル酸ソーダ共重合体(30/70)
P−6:M−2/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(20/80)
P−7:M−3/ブチルアクリレート共重合体(60/40)
P−8:M−4/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(30/70)
P−9:M−6/エチルアクリレート共重合体(60/40)
P−10:M−7/N−ビニルピロリドン共重合体(20/80)
P−11:M−7/ジアセトンアクリルアミド共重合体(10/90)
P−12:M−10/メタクリル酸ソーダ共重合体(15/85)
P−13:M−10/メチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体(20/40/40)
P−14:M−12/エチルメタクリレート共重合体(33/67)
P−15:M−12/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(15/85)
P−16:M−13/メチルメタクリレート共重合体(33/67)
P−17:M−13/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(20/80)
P−18:M−13/N−アクリロイルモルホリン共重合体(20/80)
P−19:M−13/メトキシポリエチレングリコール(23量体)モノメタクリレート共重合体(50/50)
P−20:M−18/N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体(5/95)
P−21:M−18/ブチルメタクリレート共重合体(30/70)
P−22:M−18/スチレン/ブチルアクリレート共重合体(20/30/50)
P−23:M−19/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ共重合体(20/80)
P−24:M−23/メチルアクリレート共重合体(20/80)
P−25:M−24/エチルアクリレート/スチレン共重合体(20/50/30)
P−26:M−26/アクリルアミド共重合体(25/75)
P−27:M−26/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(30/70)
Figure 0004231888
本発明に用いられる高分子硬膜剤の反応性官能基としては、好ましくは、活性オレフィン型高分子硬膜剤、s−トリアジン型高分子硬膜剤、活性ハロゲン型高分子硬膜剤、アルデヒド型高分子硬膜剤、グリシジル型高分子硬膜剤等が用いられ、さらに好ましくは活性オレフィン型高分子硬膜剤あるいはその前駆体、s−トリアジン型高分子硬膜剤、グリシジル型高分子硬膜剤が用いられ、ビニルスルホン型高分子硬膜剤あるいはその前駆体、ジクロロトリアジン型高分子硬膜剤が特に好ましい。
本発明において高分子硬膜剤は、バイオセンサー表面に固定化されヒドロゲルを形成することを目的とする。それゆえ、反応性官能基以外に親水性基を有することが望ましい。親水性基として具体的には、水酸基・エチレングリコール基がごときノニオン性基、スルホン酸基・カルボン酸・リン酸基がごときアニオン性基、4級アンモニウム基・ピリジニウム基がごときカチオン性基、ホスホリルコリン基がごとき両性イオン基が挙げられる。
本発明において、親水性基を有するモノマー単位として、以下のようなモノマーが挙げられる。
ノニオン性基を有するモノマー:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチル−β′−アクリロイルオキシエチルフタレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシスチレン、アリルアルコール、メタアリルアルコール、イソプロペニルアルコール、1−ブテニルアルコール等。
アニオン性基を有するモノマー:ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ホスホノエチルオキシ)エチルメタクリレート等。
カチオン性基を有するモノマー:[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニ
ウムクロリド、 [2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド
等、
両性イオン基を有するモノマー: [2−(メタクリロイルオキシ)エチル] ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド 、[2−(メタクリロイルオキシ)エチ
ル]ホスホリルコリン等。
高分子硬膜剤にカチオン性基あるいはアニオン性基を導入することにより、静電相互作用を用いて、反対電荷を有する生理活性物質を検出表面へと濃縮することが可能となる。例えば、等電点より高いpHの緩衝液に溶解されたタンパク質の場合、カチオン性基を有する高分子硬膜剤が結合したヒドロゲル表面に静電的に濃縮されるため、効率的に反応性官能基と結合させることが可能となる。一方、等電点より低いpHの緩衝液に溶解されたタンパク質の場合、アニオン性基を有する高分子硬膜剤が結合したヒドロゲル表面に静電的に濃縮されるため、効率的に反応性官能基と結合させることが可能となる。このような構造を有する化合物として具体的に、下記化合物が挙げることができる。また、特開昭54-65033号公報、特開昭56-142524号公報、特開昭60-61742号公報に記載の化合物もまた、好ましく用いることができる。
Figure 0004231888
次に、アセトアセチル基を有する親水性高分子について述べる。アセトアセチル基含有水溶性高分子は、複数のアルデヒド基、アミノ基、ヒドラジド基などを有する架橋剤と、室温で反応して硬化する性質がある。それゆえ、基材の一面にアセトアセチル基含有水溶性高分子を、他の基材の一面に架橋剤を塗付し、その両面を押付けることで、2つの基材を瞬間的に接着することが可能となる。また、アセトアセチル基含有水溶性高分子の水溶液に架橋剤を添加混合することにより、含水率が極めて大きく壊れにくいゲルを室温で容易に得ることが可能となる。このように、アセトアセチル基含有水溶性高分子は、水溶性接着剤として極めて優れた性質を有していることが、特開平5-112771、特開平5-156220、特開2002-285117等に開示されている。
アセトアセチル基含有水溶性高分子の製造法を説明する。アセトアセチル基含有水溶性高分子の代表的な化合物であるアセトアセチル化ポリビニルアルコールを製造するための方法としては、酢酸中にポリビニルアルコール系樹脂を分散させた状態でジケテンガスを添加する方法、ジメチルホルムアミド、ジオキサンなどの溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を溶解させた状態でジケテンガスを添加する方法、ポリビニルアルコール粉末とジケテンガスを直接反応させる方法、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを溶液中で反応させエステル交換する方法、などが知られている。本発明におけるアセトアセチル化ポリビニルアルコールは、例えば特開2002-285117に記載されている手法で合成することが可能であり、また、市販されているアセトアセチル化ポリビニルアルコール、たとえば日本合成化学工業(株)製ゴーセファイマーZ100、Z200、Z200H、Z210、Z320等を購入して用いることも可能である。
アセトアセチル基含有水溶性高分子は、アセトアセチル基含有モノマーを水溶性モノマーと共重合することによっても製造することができる。アセトアセチル基含有モノマーとしては、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルクロトナート、2−シアノアセトアセトキシエチルメタクリレート、N−(2−アセトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−アセトキシアミノエチル)メタクリルアミド、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ビニルなどが挙げられる。これらのモノマーは、官能基含有エチレン系不飽和単量体とジケテンとの反応、該単量体にアセトアセトキシアルキルエステルをエステル交換反応等により製造される。本発明におけるアセトアセチル化水溶性高分子は、例えば特許2777732号に記載されている手法で合成することが可能である。
本発明において、アセトアセチル基含有水溶性高分子は、アセトアセチル基含有モノマー以外に、様々なモノマーとの共重合体を用いることが可能である。このような共重合モノマー単位として、以下のようなモノマーが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸およびそのエステル類:例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、CH2=CHCOO(CH2CH2O)nR(Rは、水素原子、アルキル基、nは1以上の整数)、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−スルホエチルメタクリレート等、
エチレン性不飽和カルボン酸のアミド類:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(もしくはその塩)等、
芳香族単量体:スチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、p−ビニル安息香酸、ビニルナフタレン等、
その他のビニル単量体:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフロロエチレン、トリフロロクロロエチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
本発明においてアセトアセチル基含有親水性高分子は、バイオセンサー表面に固定化されヒドロゲルを形成することを目的とする。それゆえ、反応性官能基以外に親水性基を有することが望ましい。親水性基として具体的には、水酸基・エチレングリコール基がごときノニオン性基、スルホン酸基・カルボン酸・リン酸基がごときアニオン性基、4級アンモニウム基・ピリジニウム基がごときカチオン性基、ホスホリルコリン基がごとき両性イオン基が挙げられる。
本発明において、親水性基を有するモノマー単位として、以下のようなモノマーが挙げられる。
ノニオン性基を有するモノマー:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチル−β′−アクリロイルオキシエチルフタレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシスチレン、アリルアルコール、メタアリルアルコール、イソプロペニルアルコール、1−ブテニルアルコール等。
アニオン性基を有するモノマー:ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ホスホノエチルオキシ)エチルメタクリレート等。
カチオン性基を有するモノマー:[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、 [2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド等、
両性イオン基を有するモノマー: [2−(メタクリロイルオキシ)エチル] ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド 、2−[(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスホリルコリン等。
アセトアセチル基含有水溶性高分子にカチオン性基あるいはアニオン性基を導入することにより、静電相互作用を用いて、反対電荷を有する生理活性物質を検出表面へと濃縮することが可能となる。例えば、等電点より高いpHの緩衝液に溶解されたタンパク質の場合、カチオン性基を有するアセトアセチル基含有親水性高分子が結合したヒドロゲル表面に静電的に濃縮されるため、効率的に反応性官能基と結合させることが可能となる。一方、等電点より低いpHの緩衝液に溶解されたタンパク質の場合、アニオン性基を有するアセトアセチル基含有水溶性高分子が結合したヒドロゲル表面に静電的に濃縮されるため、効率的にアセトアセチル基あるいはアセトアセチル基をアミノ酸と反応させることにより導入されたカルボン酸と結合させることが可能となる。
次に、活性化(好ましくは、活性エステル化)されたカルボキシル基含有ポリマーについて述べる。本発明においてカルボキシル基含有ポリマーとしては、カルボキシル基含有合成ポリマーおよびカルボキシル基含有多糖類を用いることが可能である。カルボキシル基含有合成ポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの共重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号明細書に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものなどが挙げられる。カルボキシル基含有多糖類は、天然植物からの抽出物、微生物発酵の生産物、酵素による合成物、または化学合成物の何れであってもよく、具体的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デルマタン酸硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セロウロン酸、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン等が挙げられる。カルボキシル基含有多糖類は、市販の化合物を用いることが可能であり、具体的には、カルボキシメチルデキストランであるCMD、CMD−L、CMD−D40(名糖産業社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム(和光純薬社製)、等を挙げることができる。
カルボキシル基含有ポリマーは、好ましくはカルボキシル基含有多糖類であり、より好ましくはカルボキシメチルデキストランである。
本発明に用いるカルボキシル基含有ポリマーの分子量は特に制限されないが、平均分子量が1000〜5000000であることが好ましく、平均分子量が10000〜2000000であることがより好ましく平均分子量が100000〜1000000であることがさらに好ましい。この範囲より平均分子量が小さい場合には生理活性物質の固定量が小さくなってしまい、この範囲より平均分子量が大きい場合には高い溶液粘度のため取り扱いが困難となる。
カルボキシル基含有ポリマーを活性化する方法としては、公知の手法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化する方法、EDC単独で活性化する方法、特願2004−238396号に記載の方法(即ち、特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体のいずれかの化合物を用いてカルボキシル基を活性化する方法)、特願2004−275012号に記載の方法(即ち、カルボジイミド誘導体又はその塩で活性化し、水酸基を有する含窒素ヘテロ芳香族化合物、電子吸引性基を有するフェノール誘導体又はチオール基を有する芳香族化合物のいずれかの化合物を用いてカルボキシル基を活性化する方法)等を好ましく用いることができる。これらの手法で活性化されたカルボキシル基含有ポリマーを、アミノ基を有する基板と反応させることで、本発明のバイオセンサーを製造することが可能となる。
本発明においては、反応性基を有する親水性ポリマーは、薄膜状態で基板と反応させることを特徴とする。基板上に薄膜を形成させる方法は、公知の方法を用いることが可能であるが、具体的には、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、スライドビードコート法、スリットアンドスピン方式、スリットコート方式、ダイコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、フローコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート方式、転写印刷法、等を用いることが可能である。これらの薄膜形成法については、「コーティング技術の進歩」原崎勇次著、総合技術センター(1988)、「コーティング技術」技術情報協会(1999)、「水性コーティングの技術」シーエムシー(2001)、「進化する有機薄膜 成膜編」住べテクノリサーチ(2004)、「高分子表面加工学」岩森暁著、技報堂出版(2005)、等に説明されている。膜厚制御された塗布膜を簡便に作成可能であることから、本発明において基板上に薄膜を形成させる方法としては、スプレーコート法またはスピンコート法が好ましく、スピンコート法がさらに好ましい。
スプレーコート法とは、微細化されたポリマー溶液を基板に吹きつけた状態で、基板を移動させることで、基板上にポリマー溶液を均一塗布する方法である。スプレーガンの引き金を引くと空気バルブとニードルバルブが同時に開き、ノズルからポリマー溶液が霧状に噴出し、ノズル先端にある空気キャップから噴出する空気で霧状のポリマー溶液がさらに微細化される。微細化されたポリマー溶液による塗布膜を基板表面に形成させた後、溶媒を蒸発させることで、膜厚の制御されたポリマーフイルムが容易に作成される。ポリマー溶液濃度、基板の移動速度等により、ポリマー薄膜の膜厚制御が可能となる。
スピンコート法とは、水平に設置した基板上にポリマー溶液を滴下した後に高速回転させ、遠心力によって基板全体にポリマー溶液を均一塗布する方法である。遠心力によるポリマー溶液の飛散と溶媒の蒸発に伴い、膜厚の制御されたポリマーフイルムが容易に作成される。回転数、ポリマー溶液濃度、溶剤の蒸気圧等により、ポリマー薄膜の膜厚制御が可能となる。本発明においてスピンコート時の回転数は特に制限されないが、回転数が低すぎる場合には基板上に溶液が残存し、回転数が高すぎる場合には使用可能な装置が制限されてしまう。それゆえ本研究においてはスピンコート時の回転数は、500rpm〜10000rpmであることが好ましく、1000rpm〜7000rpmであることがさらに好ましい。
カルボキシル基を有するバイオセンサー表面は、公知の方法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)、又はEDC単独により活性化され、アミノ基を有する生理活性物質を固定化することが可能となる。カルボン酸を活性化する手法としては、特願2004−238396号に記載の方法(即ち、基板の表面に存在するカルボキシル基を特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体のいずれかの化合物を用いて活性化することによりカルボン酸アミド基を形成する方法)、並びに特願2004−275012号に記載の方法(即ち、基板の表面に存在するカルボキシル基を、カルボジイミド誘導体又はその塩で活性化し、水酸基を有する含窒素ヘテロ芳香族化合物、電子吸引性基を有するフェノール誘導体又はチオール基を有する芳香族化合物のいずれかの化合物でエステルとした後に、アミンと反応させることによりカルボン酸アミド基を形成する方法)を好ましく用いることもできる。
なお、上記した特願2004−238396号における特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体とは、下記一般式1で表されるウロニウム塩、下記一般式2で表されるホスホニウム塩、又は下記一般式3で表されるトリアジン誘導体を示す。
Figure 0004231888
(一般式1において、R1とR2はそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基を示すか、又は互いに一緒になって炭素数2から6のアルキレン基を形成してN原子と共に環を形成し、R3は炭素数6から20の芳香環基又は少なくとも1以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基を示し、X-はアニオンを示す。一般式2において、R4とR5はそれぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基を示すか、又は互いに一緒になって炭素数2から6のアルキレン基を形成してN原子と共に環を形成し、R6は炭素数6から20の芳香環基又は少なくとも1以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基を示し、X-はアニオンを示す。一般式3において、R7はオニウム基を示し、R8及びR9はそれぞれ独立に電子供与基を示す。)
本発明のバイオセンサーに固定される生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
上記のようにして生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
本発明では、センサー用基板に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサーは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げ
られる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(本出願人による特願2000−398309号参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
本発明のバイオセンサーを表面プラズモン共鳴分析に使用する場合、上記したような各種の表面プラズモン測定装置の一部として適用することができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
本実施例は、CMD(カルボキシメチルデキストラン)結合表面の作成において、溶液反応とスピンコート薄膜状態の反応の差に関するものである。
(1)アミノ基を有する基板の作成
センサーチップ上に金膜のみが形成されている表面として、Biacore社センサーチップAuを用いて実験を行った。センサーチップAuを12分間、UVオゾン処理を行った後、8mLのエタノールと2mLの超純水に45μmol の11-Hydroxy-1-undecanethiol(Aldrich社製)と4μmol の16-Mercaptohexadecanoic acid(Aldrich社製)を溶解させた溶液中で40℃1時間反応させ、エタノールで1回、超純水で1回洗浄した。上記基板上にEDC(0.4M) / NHS(0.1M)混合溶液を100 μl滴下し、室温で15 分反応させ活性化した後、超純水で1回洗浄した。上記基板に1,2-ビス(アミノエトキシ)エタンを50 μl滴下し、室温で1 時間反応させた後、超純水で1回洗浄した。
(2)CMDの活性エステル化
超純水に0.5重量%となるようにCMD(名糖産業製:分子量100万)を溶解した後、全量反応した場合にカルボキシル基の2%が活性化される計算量のEDC(0.4M) / NHS(0.1M)混合溶液を加え、室温で5分間攪拌した。
(3)試料1の作成(比較例)
(1)で作成された基板の上に、(2)で作成された活性エステル化されたCMD溶液を200 μl滴下し、室温で1 時間反応させた後、0.1 N NaOHで1回、超純水で1回洗浄することで、目的の表面を得た。
(4)試料2の作成(本発明)
(1)で作成された基板の上に、(2)で作成された活性エステル化されたCMD溶液を200 μl滴下し、7000 rpmで45 秒スピンコートすることで、アミノ基を有する基板上に活性エステル化されたカルボキシメチルデキストラン薄膜を形成させた。室温で1 時間反応させた後、0.1 N NaOHで1回、超純水で1回洗浄することで、目的の表面を得た。
実施例2
本実施例は、実施例1で得られたセンサーチップに対するタンパク質のプレコンセントレーションに関するものである。タンパク質としては、BSA(Bovine Serum Albumin:SIGMA社製)を用いた。用いたBSAは、ATTO社のAE-8150を用いた電気泳動実験で、同時測定したマーカー(Broad pI Kit, pH 3.5-9.3:Amersham Biosciences社製)との比較から、等電点が6.1程度であることを確認した。1mgのBSAを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、0.01M HEPES pH7.4, 0.15M NaCl, 0.005%Surfactant P20, 3mM EDTA)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlの酢酸バッファー(ビアコア社製、pH5.0)を加えることで、0.1mg/mlのBSA溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を調整した。
実施例1で作成した試料1、2をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、BSA溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を5分間流した場合のプレコンセントレーションについて検討した。得られた結果を表1に要約する。
Figure 0004231888
アミノ基を有する表面と活性エステル化されたCMDを溶液状態で反応させた試料1に対し、スピンコート薄膜状態で反応させた試料2は、BSAのプレコンセントレーション量が9倍程度となることから、生理活性物質固定用表面の製造において、反応性基を有する親水性高分子を薄膜状態で基板表面と反応させることが極めて効果的であることが証明された。水溶性高分子は、水中で糸まり状の構造で存在するため、自身の排除体積効果により、基板表面に接近可能な反応性基の数が制限され、結果的に基板表面に結合するポリマー量が制限されてしまう。これに対しスピンコート薄膜状態では、水の蒸発により基板表面に接近可能な反応性基の数が増加することで基板表面に固定されるポリマー量が増加し、結果的にタンパク質のプレコンセントレーション量が増加すると考察される。
実施例3
本実施例は、活性エステル化CMD以外の反応性基を有する親水性高分子を結合させた表面の作成法に関するものである。
(1)試料3の作成(比較例)
実施例1の(1)で作成された基板の上に、10%のP-30溶液を200 μl滴下し、室温で1 時間反応させた後、0.1 N NaOHで1回、超純水で1回洗浄することで、試料3を得た。
(2)試料4の作成(本発明)
実施例1の(1)で作成された基板の上に、10%のP-30溶液を200 μl滴下し、7000 rpmで45 秒スピンコートすることで、アミノ基を有する基板上に活性エステル化されたカルボキシメチルデキストラン薄膜を形成させた。室温で1 時間反応させた後、0.1 N NaOHで1回、超純水で1回洗浄することで、試料4を得た。
実施例4
本実施例は、実施例3で得られたセンサーチップに対するタンパク質のプレコンセントレーションに関するものである。実施例2と全く同様の操作で、BSAのプレコンセントレーションについて検討した。得られた結果を表2に要約する。
Figure 0004231888
アミノ基を有する表面と活性エステル化されたP-30を溶液状態で反応させた試料3に対し、スピンコート薄膜状態は反応させた試料4は、BSAのプレコンセントレーション量が2.5倍程度となることから、生理活性物質固定用表面の製造において、反応性基を有する親水性高分子を薄膜状態で基板表面と反応させることが極めて重要であることが証明された。
実施例5
本実施例は、従来法によるCMD結合表面の作成に関するものである。
(1)試料5(比較例)の作成
カルボキシメチルデキストランが結合した表面として、Biacore社センサーチップCM-5
(research grade)を、そのまま試料5として用いた。
(2)試料6(比較例)の作成
(i)OH基を有する基板の作成
センサーチップ上に金膜のみが形成されている表面として、Biacore社センサーチップAuを用いて実験を行った。センサーチップAuを12分間、UVオゾン処理を行った後、5.0mMの16-ヒドロキシヘキサデカンチオール(Frontier Scientific社製)を溶解したエタノール/水(80/20)混合溶液中に浸漬し、40℃の振盪インキュベーターで20分間インキュベートした後、水で5回、50mlのエタノール/水(80/20)で5回、50mlの水で5回洗浄した。
(ii)エピクロロヒドリンによる処理
20mlの0.4M水酸化ナトリウム、20mlのジエチレングリコールジメチルエーテル、2.0mlのエピクロロヒドリンの混合溶液中に、上記基板を浸漬し、25℃の振盪インキュベーター中で4時間反応後、50mlのエタノールで2回、50mlの水で5回洗浄した。
(iii)デキストランによる処理
水40.5ml、デキストラン(T500, Pharmacia)13.5g、1M水酸化ナトリウム4.5mlの混合溶液中に、上記基板を浸漬し、25℃の振盪インキュベーターで20時間反応後、50mlの50℃の水で15回洗浄した。
(iv)ブロモ酢酸による処理
ブロモ酢酸3.5g、2M水酸化ナトリウム溶液27gの混合溶液中に、上記基板を浸漬し、28℃の振盪インキュベーターで16時間反応後、水洗した。再度、ブロモ酢酸溶液による16時間反応、水洗を行い、試料6を得た。
実施例6
本実施例は、実施例1および5で得られたセンサーチップに対するタンパク質の固定に関するものである。タンパク質としては、CA(Carbonic Anhydrase:SIGMA社製)を用いた。用いたCAは、ATTO社のAE-8150を用いた電気泳動実験で、同時測定したマーカー(Broad pI Kit, pH 3.5-9.3:Amersham Biosciences社製)との比較から、等電点が5.8程度であることを確認した。1mgのCAを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、0.01M HEPES pH7.4, 0.15M NaCl, 0.005%Surfactant P20, 3mM EDTA)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlの酢酸バッファー(ビアコア社製、pH5.0)を加えることで、0.1mg/mlのCA溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を調整した。
実施例1および5で作成した試料2,5,6をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、0.4MのEDC(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide)および0.1MのNHS (N-Hydroxysuccinimide)を含む水溶液、CA溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)、エタノールアミン溶液(ビアコア社)を、各々5分間流した後、10mM NaOHを1分間×2回流した場合の固定化について検討した。ランニングバッファーはHBS-Nバッファー(ビアコア社製、0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl)を用いた。得られたセンサーグラムを図1に示す。
CA固定量は各々、35309RU(試料2)、7757RU(試料5)、16487RU(試料6)であった。市販のCMD結合表面や従来作成法により作成されたCMD結合表面よりもタンパク固定量大きなCMD結合表面が、本発明により簡便に作成可能であることが証明された。
実施例6
本実施例は、実施例1および5で得られたセンサーチップに対する、低分子化合物の非特異吸着に関するものである。低分子化合物としては、Cyclin-Dependent KinasesのinhibitorであるCGP74514、および界面活性剤であるTween20を選択し、センサーチップ表面への非特異吸着抑制能について検討した。各試料に、CGP74514(50μM)を2分、その後Tween20(0.005wt%)を2分流した場合に得られたセンサーグラムを図2に示す。
市販のCMD結合表面である試料5にはCGP74514およびTween20が非特異吸着するのに対し、試料2、6に対してはCGP74514、Tween20ともに非特異吸着がほとんど認められない。このことから、市販のCMD結合表面よりも低分子化合物の非特異吸着抑制能に優れたCMD結合表面が、本手法により簡便に作成可能であることが証明された。
実施例7
本実施例は、スピンコートするCMD濃度を変化させた場合における、センサーチップの作成に関するものである。
(1)試料7(実施例)の作成
CMD濃度を0.2%に変更した以外は試料3と同様の操作を行うことで、試料7を得た。
(2)試料8(実施例)の作成
CMD濃度を0.1%に変更した以外は試料3と同様の操作を行うことで、試料8を得た。
(3)試料9(実施例)の作成
CMD濃度が0.08%に変更した以外は試料3と同様の操作を行うことで、試料9を得た。
(4)試料10(実施例)の作成
CMD濃度が0.05%に変更した以外は試料3と同様の操作を行うことで、試料10を得た。
(5)試料11(実施例)の作成
CMD濃度が0.02%に変更した以外は試料3と同様の操作を行うことで、試料11を得た。
実施例8
本実施例は、実施例1、実施例5、実施例7で得られたセンサーチップに対するタンパク質のプレコンセントレーションに関するものである。実施例2と全く同様の操作で、BSAのプレコンセントレーションについて検討した。得られた結果を表3に要約する。
Figure 0004231888
スピンコートする活性エステル化CMD溶液の濃度を制御することにより、タンパク質のプレコンセントレーション量の制御が可能であることが証明された。高い濃度の活性エステル化CMD溶液から得られたスピンコート薄膜ほど、基板表面に固定されるCMD量が増加するために、結果的にタンパク質のプレコンセントレーション量が増加すると考察される。
実施例9
本実施例は、スピンコート時の回転速度を変化させた場合における、センサーチップの作成に関するものである。
(1)試料12(実施例)の作成
スピンコート時の回転数を4000rpmに変更した以外は試料5と同様の操作を行うことで、試料12を得た。
(2)試料13(実施例)の作成
スピンコート時の回転数を1000rpmに変更した以外は試料5と同様の操作を行うことで、試料13を得た。
実施例10
本実施例は、実施例1、実施例9で得られたセンサーチップに対するタンパク質のプレコンセントレーションに関するものである。実施例2と全く同様の操作で、BSAのプレコンセントレーションについて検討した。得られた結果を表4に要約する。
Figure 0004231888
スピンコート時の回転数の制御により、タンパク質のプレコンセントレーション量の制御が可能であることが証明された。回転数が低い状態で得られたスピンコート薄膜ほど、基板表面に固定されるCMD量が増加するために、結果的にタンパク質のプレコンセントレーション量が増加すると考察される。
実施例11
水溶解性の高いSAM化合物を用いて蛋白を固定できるヒドロゲル膜を作成し、蛋白質の固定量、および非特異吸着性能を評価した。
(1)基板の作成
6-Hydroxy-1-undecanethiol(Aldrich社製)と8-Amino-1-octanethiol, hydrochloride(同仁化学社製)の混合水溶液(6-Hydroxy-1-undecanethiol 4.995mM /8-Amino-1-octanethiol, hydrochloride 0.005mM)を作成した。この溶液をA液と呼ぶ。
次に、ゼオネックス(日本ゼオン社製)を射出成型して得られたプラスチックプリズムの上面に以下の方法で金薄膜を製膜した。スパッタ装置の基板ホルダにプリズムを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、基板ホルダにRFパワー(0.5kW)を約9分間印加してプリズム表面をプラズマ処理する。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのCrターゲットにDCパワー(0.2kW)を約30秒間印加して2nmのCr薄膜を成膜する。次に。Arガスを止めて再び真空に引き、Arガスを再び導入し、(0.5Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、8inchのAuターゲットにDCパワー(1kW)を約50秒間印加して50nm程度のAu薄膜を成膜する。
上記で得られたAu薄膜を成膜したセンサースティックを、A液に40℃1時間浸漬し、超純水で10回洗浄した。
(2)CMD(カルボキシメチルデキストラン)の活性エステル化
0.1重量%のCMD(名糖産業製:分子量100万)溶液4.95mlを溶解した後、全量反応した場合にカルボキシル基の2%が活性化される計算量のEDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride)(0.4M) / NHS(N-hydroxysulfosuccinimide)(0.1M)混合溶液50μlを加え、室温で攪拌した。
(3)CMDの基板への結合反応
(1)で作成された基板の上に、(2)で作成された活性エステル化されたCMD溶液を500μl滴下し、1000 rpmで45 秒スピンコートすることで、アミノ基を有する基板上に活性エステル化されたカルボキシメチルデキストラン薄膜を形成させた。室温で1 時間反応させた後、0.1 N NaOHで5回、超純水で5回洗浄することで、試料1を得た。
実施例12
実施例12は、実施例11で得られたセンサー試料に対する蛋白質の固定に関するものである。蛋白質としては、CA(Carbonic Anhydrase:SIGMA社製)を用いた。
実施例11で作成した試料1を、表面プラズモン共鳴装置にセットした。PBSバッファーを注入し、ベースラインを確認した後(この時の共鳴角を基準点とする)、0.2MのEDC(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide)および50mMのNHS (N-Hydroxysuccinimide)を含む水溶液を注入し7分静置、次にPBSバッファーを注入し1分静置、次に0.1mg/ml のCA溶液(酢酸バッファーpH5.0)を注入し15分静置、次にPBSバッファーを注入し1分静置、次に1Mエタノールアミン溶液(ビアコア社)を注入し7分静置、次にPBSバッファーを注入し1分静置、次に10mM NaOHを注入し1分静置を3回行い、最後にPBSバッファーを注入し1分静置し、この時の共鳴角と原点の共鳴角の差をCA固定量とした。ここで共鳴角1/10000度を1RUと表す。
CA固定量は、5200RUであった。水溶性の高いSAM化合物を用いて作成した表面においても、多量の蛋白質を固定化できることがわかった。
実施例13
実施例13は、実施例11で得られたセンサー試料に対する、低分子化合物の非特異吸着に関するものである。低分子化合物としては、Cyclin-Dependent KinasesのinhibitorであるCGP74514、および界面活性剤であるTween20を選択し、センサー試料表面への非特異吸着抑制能について検討した。
実施例11で作成した試料1を表面プラズモン共鳴装置にセットした。PBSバッファーを注入し、ベースラインを確認した後(この時の共鳴角を基準点とする)、CGP74514のPBSバッファー溶液(50μM)あるいは、Tween20のPBSバッファー溶液(0.005重量%)を注入し2分静置、最後にPBSバッファーを注入し2分静置し、この時の共鳴角と原点の共鳴角の差を非特異吸着量とした。
試料1に対する非特異吸着量は、CGP74514が3RU、Tween20が5RUであった。水溶性の高いSAM化合物を用いて作成した表面においても、低分子化合物の非特異吸着を抑制できることがわかった。
実施例14
水溶解性の高いSAM化合物を用いて蛋白を固定できるヒドロゲル膜を作成し、蛋白質の固定量、および非特異吸着性能を評価した。
(1)基板の作成
6-Amino-1-octanethiol, hydrochloride(同仁化学社製)の1mM水溶液を作成した。この溶液をA液と呼ぶ。
次に、ゼオネックス(日本ゼオン社製)を射出成型して得られたプラスチックプリズムの上面に以下の方法で金薄膜を製膜した。スパッタ装置の基板ホルダにプリズムを取付け、真空(ベースプレッシャー1×10−3-3Pa以下)に引いてからArガスを導入し(1Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、基板ホルダにRFパワー(0.5kW)を約9分間印加してプリズム表面をプラズマ処理する。次に、Arガスを止めて真空に引き、Arガスを再び導入し(0.5Pa)、基板ホルダを回転(10〜40rpm)させながら、8inchのCrターゲットにDCパワー(0.2kW)を約30秒間印加して2nmのCr薄膜を成膜する。次に。Arガスを止めて再び真空に引き、Arガスを再び導入し、(0.5Pa)、基板ホルダを回転(20rpm)させながら、8inchのAuターゲットにDCパワー(1kW)を約50秒間印加して50nm程度のAu薄膜を成膜する。
上記で得られたAu薄膜を成膜したBセンサースティックを、A液に40℃1時間浸漬し、超純水で5回洗浄した。
(2)CMD(カルボキシメチルデキストラン)の活性化
1重量%のCMD(名糖産業製:平均分子量100万、糖1ユニット当たりのカルボキシメチル基置換度0.65)溶液10gを調製した後、カルボジイミド誘導体であるEDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride)の0.4M水溶液0.5mlと、超純水9.5mlを加え、室温で5分間攪拌した。
(3)CMDの基板への結合反応
(1)で作成された基板の上に、(2)で作成した活性化されたCMD溶液を1ml滴下し、1000 rpmで45 秒スピンコートすることで、アミノ基を有する基板上に活性エステル化されたカルボキシメチルデキストラン薄膜を形成させた。室温で15分間反応させた後、1 N NaOH水溶液に30分浸漬し、超純水で5回洗浄することで、試料1を得た。
実施例15
実施例12と同様の方法で、実施例14で得られたセンサー試料を評価した。CA固定量は、6300RUであった。
実施例16
実施例13と同様の方法で、実施例14で得られたセンサー試料を評価した。非特異吸着量は、CGP74514が2RU、Tween20が4RUであった。
図1は、実施例1及び5で得られたセンサーチップに対するタンパク質の固定を示すセンサーグラムである。 図2は、実施例1および5で得られたセンサーチップに対する低分子化合物の非特異吸着を示すセンサーグラムである。

Claims (26)

  1. 官能基を有する有機層で被覆した基板表面に、該官能基と反応し得る反応性基を複数有する親水性高分子を接触させることによって、上記有機層に上記親水性高分子を結合させる工程を含むバイオセンサーの製造方法において、該反応性基がビニルスルホン基又はその前駆体、ジクロロトリアジン基、アセトアセチル基、又はカルボン酸活性エステル基であり、該反応性基を有する親水性高分子の水溶液を塗布し、水を蒸発させることによって、該反応性基を有する親水性高分子を基板表面に接触させることで結合させることを特徴とするバイオセンサーの製造方法。
  2. 基板が金属表面または金属膜である、請求項1に記載の方法。
  3. 金属が金、銀、銅、白金またはアルミニウムのいずれかである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 官能基を有する有機層で被覆した基板表面が、官能基を有するアルカンチオールで被覆した基板表面である、請求項1から3の何れかに記載の方法。
  5. 官能基を有する有機層で被覆した基板表面が、アミノ基を有するアルカンチオールで被覆した基板表面である、請求項1から4の何れかに記載の方法。
  6. アルカンチオールのアルキル鎖の長さが炭素数3〜20である、請求項1から5の何れかに記載の方法。
  7. アミノ基を有するアルカンチオールが、アルキル鎖を介してチオール基とアミノ基が連結している化合物、又は末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールとヒドラジドまたはジアミンとの反応により得られる化合物のいずれかである、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 官能基を有する有機層で被覆した基板表面が、アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールとの混合物で被覆した基板表面である、請求項1から7の何れかに記載の方法。
  9. 親水性基を有するアルカンチオールの該親水性基が、水酸基あるいはオリゴエチレングルコール基である、請求項8に記載の方法。
  10. アミノ基を有するアルカンチオールと親水性基を有するアルカンチオールとの混合物中のモル比が1/1〜1/1,000,000の範囲である、請求項8又は9に記載の方法。
  11. アミノ基を有するアルカンチオールの分子長が、親水基を有するアルカンチオールの分子長よりも長い、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 親水性高分子が、カルボキシル基含有ポリマーである、請求項1から11の何れかに記載の方法。
  13. カルボキシル基含有ポリマーの平均分子量が10000〜2000000である、請求項12に記載の方法。
  14. 反応性基を有する親水性高分子が多糖類である、請求項1から11の何れかに記載の方法。
  15. 親水性高分子が、デキストランである、請求項1から11の何れかに記載の方法。
  16. 親水性高分子が、カルボキシメチルデキストランである、請求項1から11の何れかに記載の方法。
  17. スピンコート法またはスプレーコート法により、反応性基を有する親水性高分子を薄膜状態で基板表面に接触させる、請求項1から16の何れかに記載の方法。
  18. スピンコート時の回転数が、500rpm〜10000rpmである、請求項17に記載の方法。
  19. スピンコート時の親水性高分子の濃度が0.02%以上である、請求項17又は18に記載の方法。
  20. 請求項1から19の何れかに記載の方法により製造される、バイオセンサー。
  21. 非電気化学的検出に使用される、請求項20に記載のバイオセンサー。
  22. 表面プラズモン共鳴分析に使用される、請求項20又は21に記載のバイオセンサー。
  23. 請求項20から22の何れかに記載のバイオセンサーと生理活性物質とを接触させて、該バイオセンサーに該生理活性物質を結合させる工程を含む、バイオセンサーに生理活性物質を固定化する方法。
  24. 生理活性物質が共有結合により表面に結合している請求項20から22の何れかに記載のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法。
  25. 生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定する、請求項24に記載の方法。
  26. 生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する、請求項24又は25に記載の方法。
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