JP5190726B2 - ステンレス鋼製導電性部材およびその製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼製導電性部材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ステンレス鋼の表面意匠性、加工性、ばね特性および耐食性を維持しながら、接触電気抵抗を著しく改善したステンレス鋼製導電性部材およびその製造方法に関する。
従来、電子部品に使用されるスイッチ、リレー、コネクターなどの接点ばねや皿ばね(タクトスイッチ、マルチスイッチ)の基材には銅系合金が使用されていた。しかし、導電性部材の軽量化、薄肉化の要求およびばね特性が優れることから、銅系合金に代えてステンレス鋼が導電性材料の基材として広く使用されるようになってきた。
ステンレス鋼表面には、低い電気伝導性を示す不働態皮膜が存在し、これが接触電気抵抗を高くするため、電気接点機能が要求される部品にステンレス鋼部材を用いた場合には問題となる。この不働態皮膜は、酸洗や機械研磨によって除去しても、大気中では短時間に再生してしまう。このため、通常ステンレス鋼は、表面に生成している不働態皮膜を除去した後、その再生を防止しながら、密着性の優れる下地めっきを施し、その上層に電気伝導性が優れる錫-鉛(はんだ)、錫や貴金属の銀、金などがめっきされ、接触電気抵抗を改善した状態で使用される。また、金属めっき以外では、カーボン質被覆層で優れた電気伝導性が付与されたステンレス鋼(特許文献1)や、Cuリッチ層の析出又はCu濃化層を表層に形成したステンレス鋼(特許文献2)が知られている。
上述のごとく、ステンレス鋼を電気接点部品の基材として使用する場合、電気伝導性が優れる錫-鉛(はんだ)、錫、銀、金などをステンレス鋼表面にめっきして接触電気抵抗を改善する必要がある。しかしながら、錫ではめっき処理時にウイスカー(ひげ状結晶)が発生し易く、このウイスカー発生を防止できる鉛-錫合金めっきでは、鉛の排液処理が問題となる。また、銀めっきでは、部品として組み込んだ後、イオンマイグレーション(ion migration)が発生し易く、接触不良や絶縁破壊を起こす可能性がある。さらに金では、めっき液にシアンを用いることが多いため、鉛と同様に排液処理が問題となり、製造プロセスとして環境的に好ましくない。
なお、金めっきでは0.5μm程度のめっき厚さで使用されることが多いが、めっき皮膜には欠陥が多く存在し、腐食性の強い環境で使用される場合には、金が下地金属の溶出を促進する。これを防止するために、めっき厚さを3μm以上にして皮膜の欠陥を少なくする対策もあるが、製造コストを上昇させる原因となる。
また通常、電気接点ばね部品は、ステンレス鋼の板材やコイル材にめっきした後、プレス打ち抜き成型によって対象部品に加工される。しかしながら、めっき皮膜には内部応力が存在し、これが原因となり、プレス成型後に反りなどが発生して要求される形状が得られないことがある。導電性部材の軽量化、薄肉化の要求が高まれば高まるほど、基材の板厚は薄くなり、このめっき皮膜の内部応力の影響が大きくなる。
さらに、カーボン質被覆層で優れた電気伝導性が付与されたステンレス鋼では、多数のピット表面が形成されたステンレス鋼板を基材とし、カーボン質被覆層が基材表面に設けられている(特許文献1)。ピットによるアンカー効果および実効表面積が大きくなることによって、ステンレス鋼基材とカーボン質被覆層は優れた密着性を呈するとされているが、プレス成型などの加工にカーボン質被覆層が追従できるとは考えられず、とくに、浅いピット部ではアンカー効果は低く、密着性、耐久性に問題があると考えられる。
Cuリッチ層の析出又はCu濃化層を表層に形成したステンレス鋼(特許文献2)では、Cuの析出熱処理に長時間を要し、製造コストの上昇や、Cuを基材に含有しないSUS304鋼などの汎用鋼では処理が不可能など、問題点も多い。
特開2001-243839号公報 特開2001-234296号公報
従って、本発明の目的は、外観状ステンレス鋼表面が有する意匠性を保持したまま、ステンレス鋼表面の不働態皮膜を改質して、導電性が優れ、低い接触電気抵抗を有するステンレス鋼製導電性部材を提供することである。
本発明の他の目的は、外観状ステンレス鋼表面が有する意匠性を保持したまま、ステンレス鋼表面の不働態皮膜を改質して、導電性が優れ、低い接触電気抵抗を有するステンレス鋼製導電性部材の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、処理液の排液処理の問題が少なく、部品として組み込んだ後、めっき皮膜に起因するイオンマイグレーション、接触不良、絶縁破壊を起こす可能性が低く、製造コストが低く、加工の際に生じる内部応力が少ないステンレス鋼製導電性部材の製造方法を提供することである。
本発明は、ステンレス鋼表面不働態皮膜中にフッ化物イオンおよびリチウムイオンを化学的または電気化学的に注入するとともに、不働態皮膜中の鉄を優先溶出させ、クロム酸化物、水酸化物主体の皮膜を形成させることによって、不働態皮膜の電気伝導性や耐食性を向上させ、大気中放置によっても表面接触電気抵抗の時系列劣化がないステンレス鋼製導電性部材を提供するものである。
本発明は、ステンレス鋼表面不働態皮膜中にフッ化物イオンおよびリチウムイオンを化学的または電気化学的に注入するとともに、不働態皮膜中の鉄を優先溶出させ、クロム酸化物、水酸化物主体の皮膜を形成させることによって、不働態皮膜の電気伝導性や耐食性を向上させ、大気中放置によっても表面接触電気抵抗の時系列劣化がないステンレス鋼製導電性部材の製造方法を提供するものである。
1.ステンレス鋼製導電性部材において、表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上であることを特徴とするステンレス鋼製導電性部材。
2.Cr/Fe比(原子%)が3以上である上記1記載のステンレス鋼製導電性部材。
3.表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中のF濃度が0.1原子%以上である上記1または2記載のステンレス鋼製導電性部材。
4.飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で分析した不働態被膜中のLi濃度が0.01原子%以上である上記1〜3のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材。
5.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト・フェライト(2相)、または析出硬化系ステンレス鋼である上記1〜4のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材。
6.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上記1〜5のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材。
7.ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または調質圧延仕上げ鋼である上記1〜6のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材。
8.下記の工程を含むステンレス鋼製導電性部材の製造方法:
(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程、
(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程、及び
(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程。
9.工程(A)及び(B)をこの順序で1回以上繰り返し、最後に工程(C)を実施する上記8記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
10.工程(A)の前にステンレス鋼を加熱処理する工程を含む上記8または9記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
11.工程(B)の前にステンレス鋼を加熱処理する工程を含む上記8または9記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
12.工程(C)の前にステンレス鋼を加熱処理する工程を含む上記8〜11のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
13.工程(A)が、フッ化物イオンを含有する水溶液中でステンレス鋼をアノード電解処理する工程を含む上記8〜12のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
14.工程(A)が、フッ化水素水溶液、または、酸化剤およびフッ化物イオンを含む水溶液にステンレス鋼を浸漬処理する工程を含む上記8〜12のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
15.工程(B)が、リチウムイオンを含有する水溶液または非水溶液中でステンレス鋼をカソード電解処理または浸漬処理する工程を含む上記8〜14のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
16.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト・フェライト(2相)、または析出硬化系ステンレス鋼である上記8〜15のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
17.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上記8〜15のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
本発明のステンレス鋼導電性部材は、導電性に優れ、低い接触電気抵抗を示し、高い接触感度を有する。本発明のステンレス鋼導電性部材は、長期間に亘り低い接触電気抵抗を維持し、優れた耐食性を有する。
また、本発明によれば、元来のステンレス鋼表面仕上げ状態を変化させることが外観上なく、めっき処理のような排液処理の問題が少なく、部品として組み込んだ後、イオンマイグレーション(ion migration)が発生せず、接触不良や絶縁破壊を起こす可能性が低く、製造コストが低いステンレス鋼製導電性部材を提供することができる。
本発明に使用されるステンレス鋼とは、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト・フェライト(2相)、析出硬化系ステンレス鋼等を意味し、その具体例としては、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444、SUS631等が挙げられる。また、表面仕上げ状態は、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、調質圧延仕上げ等が挙げられる。
本発明のステンレス鋼製導電性部材は、例えば、下記の工程を含むステンレス鋼製導電性部材の製造方法により製造することができる。
(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程、
(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程、及び
(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程。
不働態皮膜中にフッ素を注入するには、フッ化物イオンを含む水溶液中でステンレス鋼を浸漬処理(化学的処理)するか電解処理(電気化学的処理)すれば良い。
不働態皮膜中にリチウムを注入するには、リチウムイオンを含む水溶液または非水溶液中でステンレス鋼を浸漬処理(化学的処理)するか電解処理(電気化学的処理)すれば良い。
また、不働態皮膜中の鉄を優先的に溶出させるには、フッ化物イオンを含有する水溶液中で浸漬処理すれば良い。この処理の前に、大気中、または窒素ガス、Arガスなどの不活性ガス雰囲気中で加熱処理することが効果的である。これは、加熱処理によって、不働態皮膜の最表面層に濃縮したFeが、その後のフッ化物イオンを含有した水溶液中での浸漬処理により、容易にフッ化物イオンと錯体を形成して、不働態皮膜から溶出するためであると考えられる。不働態皮膜から優先的にFeを溶出させることによって、皮膜はCr酸化物水酸化物主体の組成に改質される。
上記のように、不働態皮膜中に電子のキャリアとなるLi、Fを注入することによって、不働態皮膜の電気伝導性が向上し、従来生成している不働態皮膜の接触電気抵抗を著しく改善することができる。
さらに、不働態皮膜をCr酸化物水酸化物主体の組成に改質することによって耐食性が向上し、長時間の大気中放置によっても皮膜が変質せず、表面接触電気抵抗の時系列劣化を防止ないし抑制することができる。
(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程
フッ素注入に使用するフッ化物イオン源としては、フッ化水素酸や、水に溶解してフッ化物イオンを生成するフッ素化合物であれば任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等)、フッ化アンモニウム、三フッ化アンチモン、フッ化銅、二フッ化水素ナトリウム、二フッ化水素カリウム、等が挙げられる。このうち、アルカリ金属フッ化物、とくにフッ化ナトリウム、フッ化カリウムが好ましい。
電気化学的にフッ化物を注入するには、フッ化水素水溶液中、あるいは上記フッ化物イオン源に硝酸、硫酸、リン酸などを加えた酸性水溶液中でステンレス鋼をアノード電解する。処理液のpHは好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2である。フッ化物濃度は、好ましくは0.001kmol・m-3で飽和濃度までの広範囲で適する。水溶液は、加温する必要はなく、例えば、10〜30℃、好ましくは室温で使用できる。電解条件は、好ましくは0.01〜50A/dm2、さらに好ましくは0.5〜10A/dm2であり、電解時間は好ましくは5〜600秒、さらに好ましくは10〜60秒が適する。電流密度が高い程、短時間処理が可能であるが、フッ化物イオン濃度が高くなると、高電流密度でステンレス鋼が過不働態溶解して、元来の外観を損なう恐れがあるので、好ましくは0.5〜5A/dm2で、10〜120秒、好ましくは60秒程度が適する。
化学的にフッ素を注入するには、フッ化水素酸または上記フッ化物イオン源に酸化剤を加えた溶液中において浸漬処理する。フッ化物濃度は、好ましくは0.001kmol・m-3以上で飽和濃度の広範囲まで適する。
酸化剤としては、硝酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水素等が挙げられる。濃度は好ましくは0.1から10kmol・m-3、さらに好ましくは、1から5 kmol・m-3が望ましい。水溶液温度は、好ましくは20から80℃、さらに好ましくは30から60℃である。浸漬時間は、好ましくは10秒間から10分間、さらに好ましくは1〜10分間が適する。
(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程
リチウム注入におけるリチウムイオン源としては、水や非水溶媒に溶解してリチウムイオンを生成するリチウム化合物であれば任意の化合物が使用できる。例えば、酸素化合物としては、水酸化リチウム、酸化リチウムなど、ハロゲン化物としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなど、酸素酸塩としては、硝酸リチウム、硫酸リチウム、等が挙げられる。非水溶媒としては、エタノール、メタノール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等が挙げられる。水と水混和性非水溶媒の混合液も使用できる。
リチウムイオン源を含む水溶液または非水溶液中のリチウム化合物の濃度は、好ましくは0.1kmol・m-3以上であり、飽和溶液まで適する。溶液は加温する必要は無く、好ましくは10〜30℃、例えば、室温でよい。浸漬処理の場合、処理時間は好ましくは10秒間から10分間、さらに好ましくは30秒間〜5分間程度が適する。カソード電解処理の場合、電流密度は好ましくは0.01A/dm2から10A/dm2、さらに好ましくは0.1〜5A/dm2、電解時間は好ましくは10秒間から10分間、さらに好ましくは20秒間〜5分間程度が適する。
不働態皮膜中へのフッ化物イオンおよびリチウムイオンの効果的な注入方法は、上記の工程(A)と工程(B)を繰り返し行なうことである。工程(A)と工程(B)の順序はいずれが先でも良いが、工程(A)をまず実施し、次いで工程(B)を実施することが好ましい。
(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程
不働態皮膜中の鉄を溶出させるには、フッ化物イオンを含有する水溶液中にステンレス鋼を浸漬処理すれば良い。水溶液は、フッ化水素酸、あるいは上記フッ化物イオン源に酸を加え、酸性とした水溶液が適する。pHは好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2である。フッ化物濃度は、好ましくは0.001kmol・m-3以上であり、飽和濃度の広範囲まで適する。pH調整用の酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、等が挙げられる。濃度は好ましくは0.01から10kmol・m-3であり、さらに好ましくは、0.1から5 kmol・m-3が望ましい。水溶液の温度は、好ましくは10から80℃、さらに好ましくは20から60℃である。浸漬時間は、好ましくは5秒間から20分間、さらに好ましくは5秒間から10分間が適する。
さらに、効率的に不働態皮膜中の鉄を溶出させるには、工程(C)のフッ化物イオンを含有する水溶液中での浸漬処理以前に、大気中、または窒素、Arなどの不活性ガス雰囲気中において熱処理することが望ましい。好適な熱処理温度は好ましくは100℃〜600℃、さらに好ましくは140〜500℃であり、処理時間は好ましくは1秒から30分間、さらに好ましくは10秒〜20分間である。
この加熱処理によって、不働態皮膜の最表面層に鉄濃縮層が形成され、その後のフッ化物イオンを含有した水溶液中での浸漬処理によって、容易にFeとフッ化物イオンとが錯体を形成して、溶液中へ溶出する。
この処理によって、不働態皮膜はCr主体の組成になるため、耐食性が向上して、長時間の大気中放置によっても皮膜の変質がなく、表面接触電気抵抗の時系列劣化が小さくなるものと考えられる。
以下実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
実施例1
接触電気抵抗測定方法
接触電気抵抗は、株式会社 山崎精機研究所製、電気接点シミュレーター(CRS-113-金型)を使用して測定した。測定プローブには、PU-05金線接触子、0.5mmΦを用いた。印加定電流を10mAとした。また、接触子の最大接触荷重を100gf、移動距離を1mmとして測定を行い、接触荷重-接触電気抵抗分布曲線を求めた。
供試材
供試材には板厚が0.2mmのSUS304BA(BA:光輝焼鈍材)を使用した。これを15mm×50mmに切断して試験片とした。
実験方法
試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄を施した後、200℃で10分間の大気加熱を行なった。その後、5質量%HF水溶液、30℃で10秒間の浸漬処理を施した後、蒸留水洗浄〜冷風(25℃)乾燥を行い、接触電気抵抗を測定した。試験片の接触荷重-接触電気抵抗分布曲線を図1に示す。
素材(SUS304BA)では、瞬間的に接触電気抵抗が低下する挙動は認められるものの、接触荷重が100gfまで、接触電気抵抗は300mΩ以上を保持したままである。一方、大気加熱後にHF水溶液中へ浸漬処理した試験片では荷重が約20gfで接触電気抵抗が300mΩ以下となり、接触荷重の増加とともに接触電気抵抗が低下して、接触荷重が100gfでは10mΩ程度になった。
実施例2
供試材
実施例1に使用したものと同じ。
実験方法
素材(SUS304BA材)を200℃で10分間の大気加熱処理後に5質量%HF水溶液中において、10秒間の浸漬処理を施した。その後、1kmol・m-3LiOH水溶液中において、1A/dm2で1分間のカソード電解処理した試験片と、カソード電解後に、再度HF水溶液中において10秒間の浸漬処理を施した試験片それぞれの接触電気抵抗を測定した。なお、各電解処理、浸漬処理後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が含まれる。図2に接触荷重-接触電気抵抗分布曲線を示す。図3には比較例として半光沢Niめっき材の接触電気抵抗測定結果を示す。
図1と図2の比較から、200℃大気加熱〜HF浸漬処理した試験片の接触電気抵抗は、LiOH水溶液中でのカソード電解処理によって低下し、再度 HF水溶液への浸漬処理によってさらに低下することがわかった。この接触電気抵抗は、図3に示す半光沢Niめっき材に匹敵する。
実施例3
供試材
実施例1に使用したものと同じ。
試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄を施した後、200℃で10分間の大気加熱処理を施した。大気加熱処理後に5%HF水溶液、30℃溶液において、10秒間の浸漬処理を施し、1kmol・m-3LiOH水溶液中で1A/dm2で1分間のカソード電解処理の後、再度5%HF水溶液、30℃での10秒間の浸漬処理を施した。なお、各電解処理、浸漬処理後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が含まれる。各処理工程の詳細を図4に示す。
上記試験片(図4に示す工程5)を大気中(室内)に25℃で放置し、一定時間毎に接触荷重-接触電気抵抗分布曲線を測定して、接触電気抵抗が300mΩ以下に低下する接触荷重(低下荷重)を求めた。
図5に示すように、大気放置98日後においても低下荷重は10gf前後であり、処理直後から上昇傾向は認められず、時系列劣化がないことがわかる。
各工程(図4)後の不働態皮膜の組成を、飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で解析した結果を図6に示す。
素材(工程1)の不働態皮膜の厚さは、工程2の大気加熱処理によって、約7nmまで増加し、さらにFeが皮膜表層部へ拡散濃化した。酸化物(O)の増加が認められることから、皮膜中のFeは、酸化物主体の組成に変化したことがわかる。
工程3のHF浸漬処理によってFの進入が認められた。また、不働態皮膜の厚さが減少した。これは、工程2で形成されたFe濃縮層が、フッ化物イオンと錯体を形成してHF水溶液中へ溶出したためと考えられる。
工程4のLiOH水溶液中でのカソード電解で、不働態皮膜中へのLiの進入、Fの濃度低下が認められた。
工程5のHF浸漬処理によって、皮膜内のFe濃度は著しく低下して、Cr濃度の上昇およびF濃度の上昇が認められた。
各工程の不働態皮膜組成を、X線光電子分光分析法(XPS)によって解析し、その結果から求めたCr/Fe比(原子%)を表1に示す。
Figure 0005190726
表1に示すように、不働態皮膜中のCr/Fe比が素材(SUS304BA)では0.58、工程5では7.57となる。このように皮膜中のCr/Fe比が増加することから、皮膜の耐食性が向上したものと考えられる。そこで、窒素脱気した30℃の1kmol・m-3NaCl水溶液中において、素材(SUS304BA)と実施例3の工程5まで処理した試験片のアノード分極曲線を求め、耐孔食性を調べた。
図7に示すように素材のSUS304BA材は、約1000mVで孔食が発生したが、工程5まで処理した試験片は酸素発生電位(約1200mV)よりさらに貴な1300mVまで分極しても孔食は発生せず、耐孔食性が優れていた。
実施例4
供試材
供試材には板厚が0.2mmのSUS304 2D、SUS304 2B、SUS304 3/4H、SUS430BAを使用した。これらを15mm×50mmに切断して試験片とした。
実験方法
試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄を施した後、図4(実施例3)に示す工程5まで処理した。図8にはSUS304 2Dの、図9にはSUS304 2Bの、図10にはSUS304 3/4Hの、図11にはSUS430BAの処理後および素材の接触荷重-接触電気抵抗分布曲線を示す。
このように、SUS304鋼の素材の表面状態が異なっても、あるいはフェライト系ステンレス鋼であるSUS430鋼であっても、接触電気抵抗は低下する。
素材(SUS304BA)と素材を200℃で10分間の大気加熱を施した後、5質量%HF水溶液、30℃において、10秒間の浸漬処理を施した試験片の接触荷重-接触電気抵抗分布曲線である。 SUS304BA材を大気加熱処理後に5質量%HF水溶液中において、10秒間の浸漬処理を施した後、1kmol・m-3LiOH水溶液中で、1A/dm2×1分間のカソード電解処理した試験片と、カソード電解後に、再度5質量%HF水溶液中において10秒間の浸漬処理を施した試験片の接触電気抵抗測定結果である。 半光沢Niめっき材の接触電気抵抗測定結果を表わしたものである。 実施例3における各処理工程の明細である。 実施例3、工程5まで処理した試験片の低下荷重の時系列変化を表わしたものである。 実施例3に示した各工程における不働態皮膜の飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)によって解析した組成変化を表わしたものである。 窒素脱気した30℃の1kmol・m-3NaCl水溶液中において、素材(SUS304BA)と実施例3の工程5まで処理した試験片のアノード分極曲線を表わしたものである。 SUS304 2D材を実施例3に示す工程5まで処理した後の接触電気抵抗測定結果を表わしたものである。 SUS304 2B材を実施例3に示す工程5まで処理した後の接触電気抵抗測定結果を表わしたものである。 SUS304 3/4H材を実施例3に示す工程5まで処理した後の接触電気抵抗測定結果を表わしたものである。 SUS430BA材を実施例3に示す工程5まで処理した後の接触電気抵抗測定結果を表わしたものである。

Claims (14)

  1. ステンレス鋼製導電部材において、表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中のCr/Fe比(原子%)が以上であり、表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中のF濃度が0.1原子%以上であり、また、飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で分析した不働態被膜中のLi濃度が0.01原子%以上であることを特徴とするステンレス鋼製導電部材
  2. ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト・フェライト(2相)、または析出硬化系ステンレス鋼である請求項記載のステンレス鋼製導電部材
  3. ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である請求項1または2記載のステンレス鋼製導電部材
  4. ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または調質圧延仕上げ鋼である請求項1〜のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材
  5. 下記の工程を含むステンレス鋼製導電部材の製造方法:
    (A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程、
    (B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程、及び
    (C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程。
  6. 工程(A)及び(B)をこの順序で1回以上繰り返し、最後に工程(C)を実施する請求項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  7. 工程(A)の前にステンレス鋼を加熱処理する工程を含む請求項または記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  8. 工程(B)の前にステンレス鋼を加熱処理する工程を含む請求項のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  9. 工程(C)の前にステンレス鋼を加熱処理する工程を含む請求項のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  10. 工程(A)が、フッ化物イオンを含有する水溶液中でステンレス鋼をアノード電解処理する工程を含む請求項のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  11. 工程(A)が、フッ化水素水溶液、または、酸化剤およびフッ化物イオンを含む水溶液にステンレス鋼を浸漬処理する工程を含む請求項のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  12. 工程(B)が、リチウムイオンを含有する水溶液または非水溶液中でステンレス鋼をカソード電解処理または浸漬処理する工程を含む請求項11のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  13. ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト・フェライト(2相)、または析出硬化系ステンレス鋼である請求項12のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
  14. ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である請求項12のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電部材の製造方法。
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