JP5392016B2 - 導電性を有するステンレス鋼材とその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)ステンレス鋼材の表面に形成された不動態皮膜を除去して金属部分を露出させる酸洗工程と、当該酸洗工程を経たステンレス鋼材をNiイオン含有水性液状体に浸漬することにより該ステンレス鋼材の金属部分の表面上にニッケルを析出させるニッケル浸漬工程とを備える、表面抵抗率が1×10−3Ω/□以下のステンレス鋼材の製造方法であって、前記Niイオン含有水性液状体のNiイオン濃度は、前記ニッケル浸漬工程の処理温度における該Niイオン含有水性液状体のNiイオン飽和濃度の50%以上であること
を特徴とするステンレス鋼板の製造方法。
本発明に係るステンレス鋼材の組成は特に限定されない。オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト・フェライトの2相、または析出硬化系ステンレスのいずれでもよい。
本発明に係るステンレス鋼材の製造方法を以下に説明する。
(1)酸洗工程前
市販されるステンレス鋼材を入手してもよいし、電気炉などを使用して所定の組成を有するステンレス鋼を溶製し、これを冷却して得られるインゴットに対して鍛造、圧延などを行って所定の形状に加工してもよい。
ステンレス鋼材の表面には不動態皮膜が存在する。この不動態皮膜はステンレス鋼からなる部材の耐食性をもたらす一方、導電性を低下させる。
この酸洗処理に使用される物質は、典型的には硫酸、硝酸、フッ酸などの酸であるが、不動態皮膜を除去する目的を達成できる限り、塩酸、塩化第二鉄などの酸や塩などを含有していてもよい。
酸洗工程に使用される処理液を具体的に例示すれば硝フッ酸溶液、硫酸溶液等が挙げられる。硝フッ酸の場合の具体的組成は、フッ酸1〜5%、硝酸5〜15%が例示され、この処理液を用いた場合の処理温度は、典型的には40〜60℃程度である。
なお、酸洗に先立ち、脱スケールの効率を向上させる目的で、溶融塩浸漬や、中性塩中での電解を行ってもよい。
本発明に係る製造方法は、酸洗工程後のステンレス鋼材をNiイオン含有水性液状体に浸漬するニッケル浸漬工程を備える。
ニッケル浸漬工程を経たステンレス鋼材に対して、めっき工程を行い、導電性物質を析出させてもよい。ニッケル浸漬工程によりステンレス鋼材の表面にはNiが析出した領域が存在するため、少なくともこの領域が通電領域となってNiが析出する。
市中で入手が可能な、BA仕様(バッチアニール)のSUS304製ばね用ステンレス鋼帯を入手し、ESCAのワイドスキャンスペクトルから表面の定量分析を行なった。主要な元素の定量値(単位:原子%)は以下のとおりであった。
ESCA:アルバック・ファイ社製 Quantum 2000
X線源:mono-AlKα線
分析領域:直径約100μm
中和銃:1.0V,20μA
スパッタ条件:Ar+,加速電圧:1kV,ラスター:3×3mm□
スパッタ速度:0.8nm/min(SiO2換算)
表1に示されるように、市中で入手したばね用ステンレス鋼帯の表面には、Niが観察されず、CrおよびFeのみが観察された。深さ方向の分布を調査したところ、図1に示されるように、表面の5nmにはNiが存在しないことが確認された。
実施例1
以下、本発明の優位性を示すための実施例1を示す。
(1)鋼板
市中で入手可能な冷間圧延ステンレス鋼板二種類を実施例に用いる素材として入手した。仕上げはBA(バッチ式無酸化焼鈍)である。入手した材料の板厚は約0.15mmである。表3に組成(単位:質量%、残部Feおよび不純物)を示す。
上記の鋼板は、導電性部品で硬度が要求されることから調質圧延を施し、調質記号Hクラスの硬度を得た材料である。得られた硬度を以下に示す。
(1)不動態皮膜除去のための表面処理
不動態皮膜除去のための表面処理(酸洗工程)において、以下に示す溶液を用いた。
塩酸:35%(12mol/L、キシダ化学(株)製)を純水で希釈して、所定の濃度の塩酸洗溶液を作製した。
フッ化水素酸(46%、キシダ化学(株)製)を純水で希釈して、所定の濃度のフッ化水素酸溶液(フッ酸溶液)を作製した。
不動態皮膜除去処理を施したあと、ステンレス鋼材の表面近傍に存在するFe、CrなどをNiに置換するために、下記の水溶性Ni化合物を用いた。
硫酸ニッケル:キシダ化学(株)製 一級硫酸ニッケル 六水和物 純度98.5%
フッ化ニッケル:キシダ化学(株)製 フッ化ニッケル 四水和物 純度98%
これらの化合物を純水で溶解させた水溶液を、ニッケル浸漬処理において使用するNiイオン含有水性液状体とした。この液状体におけるNi濃度(Niイオンの濃度)は、処理温度の水溶性Ni化合物の飽和溶解度またはその50%の濃度とした。
本発明に係る材料の表面抵抗を下記の装置および方法で測定し、従来技術(特許文献1から4)に係る方法により得られた材料の表面抵抗との比較を行った。
測定装置:三菱化学(株)製 抵抗率計(低抵抗率計) ロレスターGP
測定プローブ:ASプローブ(4探針 探針間5mm 加圧力210g/本)
測定法:JIS K6911に準拠
本発明で得られる材料のはんだ濡れ性評価は以下の試験装置と評価条件で行った。
はんだ:千住金属工業(株)製 M705 Sn−3Ag−0.5Cu
フラックス:タムラ化研(株)製 Y−20 活性フラックス
試験方法:ウェットバランス法 JEITA ET−7404,JIS C0099に準拠
温度:300℃
浸析深さ:5mm
時間:10秒
速度:20mm/sec
濡れ性は、ウェットバランス法による試験において試片が受ける浮力とはんだの濡れ表面張力が一致するまでの時間(ゼロクロスタイム、T0)および濡れ表面張力が最大値の2/3に達する時間T1により評価を行った。
従来技術との比較のため、以下の方法で従来材料の試作を行った。
(1)従来発明1(特許文献1の方法)
前述したSUS304材を母材として、脱脂後、フッ硝酸で酸洗を行い、Ni電気めっきを施した。
浴組成:塩化ニッケル 240g/l
塩酸 100ml/l
めっき条件:電流密度 3−5A/dm2
時間 10秒
<無光沢ワット浴Niめっき>
浴組成:塩化ニッケル 40g/l
硫酸ニッケル 240g/l
ホウ酸 40g/l
めっき条件:温度 55℃
電流密度 約5A/dm2
めっき処理後、めっき厚みを測定したところ片面0.26μmであった。
素材は、(株)住友金属直江津製のNAR304LAを用いた。この素材の組成(単位:質量%、残部Feおよび不純物)を表5に示す。
得られた材料の表面についてグロー発光分析を行い、全分析元素量に対するCu、SiおよびMnの濃度を求め、不動態皮膜または最表面層のCu/(Si+Mn)の割合を計算した結果を表5に示す。なお、このCuリッチ相が形成された材料を従来発明材料2とする。
この材料の硬度と伸びを測定したところHV310であって、伸びが13%であった。
表3に示したSUS304を200℃で10分間の大気加熱処理を施した後、5質量%のHF水溶液(フッ酸溶液)に10秒間浸漬した。その後1mol/lのLiOH溶液中において1A/dm2で1分間のカソード電解処理を行い、その後前述のHF水溶液に10秒間の浸漬処理を施した。
こうして得られた材料を従来発明材料4とする。
表3に示したSUS301またはSUS304を母材料として、表6に示す表面処理を施して、実施例に用いる素材を得た。なお、表8のNi化合物浸漬条件における濃度の欄に示される「飽和」とは、「Ni化合物種」として示される水溶性ニッケル化合物を含有するNiイオン含有水性液状体のNi濃度がその液状体のNi飽和濃度であることを、「飽和の50%」とは、Ni濃度がその液状体のNi飽和濃度の50%の濃度であることを意味している。
従来発明1は、1×10−3Ω/□未満の低い表面抵抗率が得られるが、表面にNi電気めっきするために、電解プロセスが必須であり、製造コストが高くなる。
従来発明2は、高価な電解プロセスは不要であるが、1×10−3Ω/□超の高い表面抵抗率である。
本発明1から6は、Ni電気めっきのための高価な電解プロセスは不要で、従来発明と同等の0.5×10−3Ω/□以下の低い表面抵抗率を実現することができる。
はんだ濡れ性については、従来発明2および4と比較して塗れ上がり時間が短く、本発明は濡れ性に優れる。
本発明の好適な範囲を明確にするための実施例を以下に示す。表8に示されるように、種々の処理条件により、表面から20nmのNi/Cr原子比が異なる材料を試作し、表面抵抗率により優劣を比較した。
20nm深さでのNi/Cr原子比が0.5以上にNiが濃化すると、表面抵抗率が1×10−3Ω/□未満の低い値となる。従来発明2より低い値が得られることがわかる。
Claims (3)
- ステンレス鋼材の表面に形成された不動態皮膜を除去して金属部分を露出させる酸洗工程と、当該酸洗工程を経たステンレス鋼材をNiイオン含有水性液状体に浸漬することにより該ステンレス鋼材の金属部分の表面上にニッケルを析出させるニッケル浸漬工程とを備える、表面抵抗率が1×10−3Ω/□以下のステンレス鋼材の製造方法であって、
前記Niイオン含有水性液状体のNiイオン濃度は、前記ニッケル浸漬工程の処理温度における該Niイオン含有水性液状体のNiイオン飽和濃度の50%以上であること
を特徴とするステンレス鋼板の製造方法。 - 前記Niイオン含有水性液状体は、塩酸、硫酸、硝酸およびフッ酸からなる群から選ばれる一種または二種以上の酸を合計で10質量%以下含有する酸性の液状体である請求項1記載のステンレス鋼板の製造方法。
- 前記ニッケル浸漬工程を経たステンレス鋼材の表面に、Niを含むめっき層を10μm以下の厚さで電気めっきにより形成するめっき工程を備える請求項1または2記載のステンレス鋼材の製造方法。
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