JP5190323B2 - 有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法 - Google Patents

有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、化学、電子・電気、建築・土木、分析、薬学、医療などの分野で用いる高分子ゲルに関するものである。
高分子ゲルは水溶性有機高分子の三次元架橋物が水または有機溶媒を含んで膨潤したソフトマテリアルであり、高吸水性、振動吸収性、圧力分散性、選択的吸着性、物質透過性、薬物放出制御性、光透過制御性、アクチュエータ特性、生体適合性など、多くの機能性を有する材料として、化学、分析、自動車、電池、建築・土木、農業、食品、医療・医薬、バイオエンジニアリング、スポーツなど幅広い分野で用いられてきている(例えば、非特許文献1)。この内、水を主成分として含むものが一般に高分子ヒドロゲルと呼ばれる。
これまで、高分子ヒドロゲルの物性を改良する目的で多くの研究開発が行われており、例えばゲル強度を向上させるためには、表面架橋による方法(特許文献1、特許文献2)や無機物質との複合化による方法(特許文献3)が、また吸水性を改良するためには、架橋剤を選定する方法(特許文献4)やプラズマ重合による方法(非特許文献2)などが報告されている。また、医療材料分野では、ゼラチン等のタンパク質と有機架橋剤で架橋されたポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)等の有機架橋高分子を複合化した材料(非特許文献3)などが報告されている。しかし、これらの高分子ヒドロゲルの殆どは、有機架橋剤を用いて合成された化学架橋による有機高分子三次元網目を有するヒドロゲルであり、いずれも本質的に力学物性が低く、延伸や圧縮により容易に破壊してしまい、取り扱いが困難であるという課題を抱えていた(例えば、非特許文献4)。更に、目的に応じて、種々の形状を有する高分子ヒドロゲルを調製することが容易ではないと言った問題もあった。
これに対して、近年、異なる概念に基づく、新しいタイプの高分子ヒドロゲルが幾つか開発されてきた。一つは、八の字型にした環状化合物を架橋点とした環動ゲル(非特許文献5)、二つめは、本発明者の一人が開発した、層状剥離したクレイを超多官能架橋剤とした有機・無機複合ヒドロゲル(ナノコンポジットゲル)(非特許文献6)、三つ目は、二種の独立した高分子架橋構造からなるダブルネットワークゲル(非特許文献7)である。この内、環動ゲルと有機・無機複合ヒドロゲルは、1000%をこえる超延伸性を有し、圧縮性だけでなく、延伸性にも優れるといった特徴を有している。特に有機・無機複合ヒドロゲルは、少なくとも一部が層状に剥離した粘土鉱物と水の存在下にアクリルアミドまたはその誘導体(例:N−アルキルアクリルアミド)などの水溶性モノマーを重合させて得られる、水溶性有機高分子と粘土鉱物とが複合化して形成された三次元網目を有するため、クレイ濃度を僅かに変化させるだけで極めて広範囲に力学物性を制御したり、ポリマー種の選定によって、温度、pH、溶媒などの変化に対応した膨潤収縮挙動を示す刺激応答性を持たせることが可能であるなど、極めて高い有用性を有すること(特許文献5〜8)が明らかとなっている。更に、有機・無機複合ヒドロゲルは、その重合プロセスが環動ゲル等と比べて簡単であることから、重合容器の形を変えることだけで種々の形状にすることができ、多くの用途に対応した形のヒドロゲルが容易に得られることも特徴であった。
しかし、厚みや太さ及び面積の異なるフィルム状や繊維状形態を有する有機・無機複合ヒドロゲルを調製するにあたって、異なる重合容器をその都度用意することは困難であり、特に、薄膜状ヒドロゲルを含めた各種厚みの有機・無機複合ヒドロゲルを容易に製造する方法の開発が望まれていた。
米国特許5,314,420号公報 特公平6−39487号公報 特開2002−53629号公報 WO94−20547号公報 特開2002−053629 特開2002−053762 USP6710104B2 USP6943206B2 ゲルハンドブック(長田義仁、梶原莞爾編:エヌ・ティー・エス株式会社、1997年 長田義仁、高瀬三男、日本化学会誌、3巻,439頁、1983年 松田武久、人工臓器、28巻、1号、242〜245頁、1999年 T.Takigawa他, Journal of Chemical Physics, 113巻 No.17, 7640−7645頁、2000年 K. Okumura, K. Ito, Advanced Material, 2001, 13, 485-487 K. Haraguchi, T. Takehisa, Advanced Material 2002, 14, 1120-1124 J. P. Gong, Y. Katsuyama, T. Kurokawa, Y. Osada, Advanced Material 2003, 15, 1155-1158
本発明が解決しようとする課題は、有機・無機複合ヒドロゲルを、所望の厚み、面積、形状に成形する簡便で有効な方法を提供することであり、且つ有機・無機複合ヒドロゲルの特徴的な物性である高強度や高延伸性を成形後においても維持可能な有機・無機複合ヒドロゲルの製造方法を提供することである。
本発明者らは、共有結合による三次元網目構造を有する従来型の有機架橋型高分子ヒドロゲルが、力学的脆弱さのため圧縮や延伸による成形加工ができないのに対して、有機・無機複合ヒドロゲルは、高強度・高タフネスであることに加えて、有機高分子と粘土鉱物からなる物理架橋による三次元網目構造を有するため、選定された条件において成形加工が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、有機・無機複合ヒドロゲルを加圧処理や減圧処理や延伸処理により変形させた後、その状態で加熱処理や乾燥・加熱処理などを行うことにより、又は、乾燥・加熱処理を行いながら加圧処理や減圧処理や延伸処理を行ない、その変形させた状態を保持することで、変形の多くを固定化でき、有機・無機複合ヒドロゲルの高強度・高伸度の特性を保持しながら、厚みや太さや形状の異なるフィルム状または繊維状などに成形加工できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水溶性有機高分子と層状剥離した粘土鉱物とが複合化して形成された三次元網目を有する有機・無機複合ヒドロゲルを、加圧処理または減圧処理または延伸処理により変形させた状態を保持しながら加熱処理を行なうことを特徴とする有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法を提供する。
また、本発明は水溶性有機高分子の少なくとも一部が、更に共有結合により架橋されていることを特徴とする上記の有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法を提供する。
さらに、本発明は有機・無機複合ヒドロゲルがシート状基材と複合されていることを特徴とする上記の有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法を提供する。
本発明の結果、厚み(太さ)や面積や形状が広い範囲で制御された、高強度・高破断伸びを有する有機・無機複合ヒドロゲルが提供される。多くの場合、成形加工された有機・無機複合ヒドロゲルは、更に高い透明性、制御された膨潤性を併せ持つことが可能である。
本発明により、異なる形状の重合容器を目的毎に違えて用いることが必要でなく、一つの決まった形状の有機・無機複合ヒドロゲルから、厚み、延伸度合い、面積および形状などの異なる有機・無機複合ヒドロゲルを設計して製造(成形)することが可能となり、例えば、面積や厚みや形状の制御されたヒドロゲル薄膜やヒドロゲル複合シートや繊維状ヒドロゲルなどが容易に調製される。
本発明の有機・無機複合ヒドロゲルに用いる水溶性有機高分子は、水に膨潤または溶解する性質を有し、水に均一分散可能な水膨潤性の粘土鉱物と相互作用を有するものが好ましく、例えば、粘土鉱物と水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合等を形成できる官能基を有するものが好ましい。これらの官能基を有する水溶性有機高分子としては、具体的には、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機高分子が挙げられ、なかでもアミド基を有する水溶性有機高分子が好ましい。なお、ここで言う水を含む有機溶媒とは、水を含む水に混和する有機溶媒を意味する。また、かかる水溶性有機高分子の内、熱、pHや光に応答する等といった機能性や、生体適合性、生分解性などの特性を有しているものは、用途に応じて好ましく用いられる。
アミド基を有する水溶性有機高分子の具体例としては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、アクリルアミド等のアクリルアミド類、または、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミド等のメタクリルアミド類の中から選択される一つ又は複数を重合して得られる水溶性有機高分子が挙げられる。ここでアルキル基としては炭素数が1〜4のものが特に好ましく選択される。
水溶性有機高分子として、例えば、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリロイルモルフォリン)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(N−メチルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリディン)、ポリ(N−アクリロイルピペリディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルホモピペラディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルピペラディン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)等が例示される。
かかる水溶性有機高分子としては、単一水溶性モノマーからの重合体の他、複数の異なる水溶性モノマーを重合して得られる共重合体を用いることもできる。また上記水溶性モノマーと有機溶媒可溶性モノマーとの共重合体も、得られた重合体が水に膨潤または溶解するものであれば使用することができる。
本発明の有機・無機複合ヒドロゲルに用いる粘土鉱物は、水に膨潤性を有するものであり、好ましくは水によって層間が膨潤する性質を有するものが用いられる。より好ましくは少なくとも一部が水中で層状に剥離して分散できるものであり、特に好ましくは水中で1ないし10層以内の厚みの層状に剥離して均一分散できる層状粘土鉱物である。例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
本発明の有機・無機複合ヒドロゲルにおける溶媒は主として水であるが、本発明で行われる成形方法が適用できる限りにおいて、水と混和する有機溶剤や塩などを含む水溶液も使用可能である。水と混和する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、ポリエチレングリコール、1,3ブタンジオール及びそれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明で用いる有機・無機複合ヒドロゲルの製造方法としては、既報告(特開2002−053629など)の方法を用いることができる。具体的には、水溶性有機高分子の重合原料である水溶性モノマーと粘土鉱物と水を含む均一溶液または均一分散液を調製した後、ラジカル重合開始剤(例:ペルオキソ二硫酸カリウム)を加え、場合によっては触媒(例:N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)を添加し、その後、加熱(5℃〜90℃)により水溶性モノマーを重合させる方法が用いられる。該均一溶液中でナノメーターレベルで層状に剥離して分散した粘土鉱物は、水溶性モノマーの重合時に架橋剤の働きをすることより、水溶性有機高分子と粘土鉱物の三次元網目が形成され、力学物性、透明性、膨潤性などに優れた有機・無機複合ヒドロゲルが合成される。
以上のように、本発明の有機・無機複合ヒドロゲルは、水溶性有機高分子と粘土鉱物とが複合化して形成された三次元網目を有するヒドロゲルであり、少なくとも一部が層状に剥離した粘土鉱物と水溶性高分子が水中で分子レベルで複合化(橋架け)することにより三次元網目を形成したものである。かかる三次元網目に加えて、水溶性有機高分子の少なくとも一部が、更に共有結合により架橋されている有機・無機複合ヒドロゲルは本発明において有効に用いることができる。また、少量の共有結合による架橋を併せ持つものも、変形の固定化率の制御や膨潤性の制御などに有効であり用いることができる。共有結合による架橋点の導入は、例えば有機架橋剤(例:N,N‘−メチレンビスアクリルアミド)を反応水溶液中に含ませることによって行われるほか、熱重合過程の反応条件の制御、電子線やγ線の照射などによっても行われる。共有結合による架橋点の導入率としては、有機モノマー単位(1モル)に対して用いられる有機架橋剤使用量が、もしくは電子線やγ線照射の場合は導入される化学架橋点の量が、好ましくは1×10―5〜1×10−2モル、より好ましくは5×10−5〜1×5×10−3モル、更に好ましくは、1×10−4〜1×10−3モルである。
その他、本発明に於いては、水溶性有機高分子と粘土鉱物とが複合化して形成された三次元網目の中に、他の線状高分子や架橋高分子を導入したいわゆる相互侵入網目構造(インターペネトレイティングまたはセミインターペネトレイティング構造)を有するものも有効に用いられる。
本発明における成形方法は、かかる有機・無機複合ヒドロゲルを加圧処理または減圧処理または延伸処理により変形させた状態を保持しながら加熱処理する方法である。これにより変形量の大部分を固定化することができる。加圧処理または減圧処理または延伸処理だけでは、既に報告しているように可逆的な変形となり(比較例2、3でも記載)、その殆ど(大抵の場合、90%以上)が元に戻ってしまう。本発明における処理によって、変形量の内のどの程度を固定するかは、加熱条件または乾燥加熱処理条件を変えることによって、目的に応じて制御される。例えば、変形量の10〜99%を固定化することができる。
本発明における加熱処理は、変形を生じさせるための加圧処理または減圧処理または延伸処理と同時に行なっても良く、前であっても後であっても良い。
加圧処理においてはプレス機、圧延機、押し出し機など圧縮を伴う一般の装置が、また減圧処理においては一般に用いられる真空成型機、マッチモールド成型機、NGF(ニューゼネレーションフォーミング)成形機などが、また延伸処理においても一軸または二軸延伸装置、引き取り巻取り装置、ロール間延伸装置など延伸を伴う一般の装置が任意に選択して用いられる加熱処理は、大気温度以上、好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは、50℃〜300℃、特に好ましくは、70℃〜200℃で行われる。
本発明の成形方法で用いられる加圧処理や減圧処理や延伸処理による変形程度は、目的に応じて設定することができ必ずしも限定されないが、好ましくは、変形性に優れた有機・無機複合ヒドロゲルの特徴を生かして、最大変形方向において元の長さの1.1倍〜30倍、より好ましくは1.5倍〜20倍の範囲で変形させることが好ましい。また、加圧処理または延伸処理による変形後の面積が、元の面積の1.1倍〜300倍、より好ましくは1.5倍〜200倍の範囲で変形させることが好ましい。一方、加圧処理または延伸処理による変形後の厚みについては、元の厚みの0.95倍〜0.001倍の範囲となるように変形させることが好ましい。
本発明で得られた成形後の有機・無機複合ヒドロゲルは、必要に応じて、水や水と混和する有機溶剤を新たに含有させることができる。かかる成形後の有機・無機複合ヒドロゲルは、加圧や減圧や延伸処理により大きさや形状が異なるように成形されているにもかかわらず、優れた延伸性および耐圧縮性を示すことが特徴である。具体的には、成形後の有機・無機複合ヒドロゲルの延伸での引っ張り破断伸びは30%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上、更に好ましくは、300%以上、特に好ましくは400%以上である。
また本発明における有機・無機複合ヒドロゲルでは、他のシート状基材と複合化されたものを用いることや、または処理中に他のシート状基材と複合されることが含まれる。シート状基材としては、不織布、フェルト、フィルムなどが用いられ、素材としては、天然の綿、絹、セルロース、合成品であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドなどの他、金属やセラミックの薄膜などが挙げられる。なお、複合とは、シート状基材と有機・無機複合ヒドロゲルが層状に積層されている状態、繊維状のシート状基材に有機・無機複合ヒドロゲルの一部が含浸して部分的に一体となっている状態等を意味する。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(参考例1、2)
粘土鉱物には、[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na0.66 の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG、ロックウッド株式会社(英国)製)を100℃で2時間真空乾燥して用いた。有機水溶性モノマーとして、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)を使用した。DMAAはシリカゲルカラムをDMAA100mlに対して80mlの容積で用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。
重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)をKPS/水=0.192/10(g/g)の割合で純水で希釈し、水溶液にして使用した。触媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をそのまま使用した。水はイオン交換水を蒸留した純水を用いた。水は全て高純度窒素を予め3時間以上バブリングさせ含有酸素を除去してから使用した。
内部を窒素置換した内径100mm、高さ150mmの平底ガラス容器に、純水678.4gと、ラポナイトXLG30.5g(参考例1)または91.5g(参考例2)、DMAA79.2gからなる無色透明の水溶液を調製した。次いで、TMEDA500μlおよびKPS水溶液42.4gを攪拌して加え、無色透明溶液を得た。
この溶液を内径50mm、長さ200mmの平底ガラス管容器に移した後、上部に密栓をし、20℃で24時間静置して重合を行った。なお、これらの溶液調製から重合までの操作は全て酸素を遮断した雰囲気下で行った。24時間後に平底ガラス容器内に弾力性、強靱性のある透明・均一な円柱状ゲルが生成しており、容器から取り出した。ゲル中には粘土鉱物などによる不均一又は不透明な凝集は何ら観測されなかった。セイコー電子工業株式会社社製、TG−DTA220を用いて、空気流通下、10℃/分で800℃まで昇温して測定した水分率、有機高分子量、粘土鉱物量により、得られたゲルはいずれも反応溶液と同じ組成からなる有機・無機複合ヒドロゲルであることがわかった。モノマーの重合収率は共に99.9%以上であった。
有機・無機複合ヒドロゲルの一部を5×5×80mmの大きさに切り出し、引っ張り試験装置(株式会社島津製作所製、卓上型万能試験機AGS−H)に装着し、評点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分にて引っ張り試験を行ったところ、破断強度、破断伸びが、参考例1では114KPa、1500%、参考例2では750kPa、1360%であった。
(参考例3)
反応液の調製において、更に有機架橋剤(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)を有機モノマーの2×10−4モル比だけ添加することを除くと参考例1と同様にして、化学架橋を部分的に含有する有機・無機複合ヒドロゲルを調製した。得られたゲルは透明で、参考例1と同様にして測定した力学物性は破断強度が102KPa、破断伸びが660%であった。
(実施例1)
参考例1で得られた有機・無機複合ヒドロゲルを直径40mm、厚さ1.5mmの円盤型のシートに切り出し、該ゲルシートをプレス装置のプレス盤の間に、ポリエチレンテレフタレートフィルムで挟んで挿入し、34MPaの圧力を印加した。その後、温度を急速に90℃まで上昇させて10分間保持した。次いで温度を20℃まで冷却すると共に、熱盤に挟んだ状態を保ったまま圧力を開放し3分間保持した後、取り出した。その結果、透明で均一なフィルムが得られた。成形後にフィルム面積及び厚みの緩和が観測され、最終的に変形量の95%が固定化され、面積は25500mmであった。
得られたフィルムを5×80mmの大きさに切り出し、参考例1と同様にして引っ張り試験を行った。引張り強度および破断伸びは、130kPa及び850%であった。また、得られたフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムの間に挟んだまま、ガスバリア袋に入れ、20℃で1週間保持した後も、形状の収縮や膨張、及び力学物性の変化などは観測されなかった。以上の結果より、合成した有機・無機複合ヒドロゲルを加圧処理し、変形した状態で高温処理することにより、良好な透明性、力学物性等を保ちつつ、薄膜を含む異なる形状に成形できることが明らかとなった。
(実施例2)
参考例2で得られた有機・無機複合ヒドロゲルを用いる以外は、実施例1と同様にして、加圧処理とそれに引き続く熱処理を行った。その結果、成形直後のフィルム変形(面積)の99%が固定化され、元のゲルフィルム面積の14倍となった有機・無機複合ヒドロゲルが得られた。実施例1と同様にして測定した引張り強度および破断伸びは、1350kPa、350%であった。
(実施例3と4)
参考例3で得られた有機・無機複合ヒドロゲルを用い、加圧処理を3.4MPa(実施例3)、34MPa(実施例4)とする以外は実施例1と同様にして、加圧処理とそれに引き続く熱処理を行った。その結果、成形直後のフィルム変形(面積)の97%(実施例3)と89%(実施例4)が固定化され、元のゲルフィルム面積の9倍(実施例3)、19倍(実施例4)となった有機・無機複合ヒドロゲルが得られた。実施例1と同様にして測定した引張り強度及び破断伸びは、122kPa及び520%(実施例3)、135kPa及び400%(実施例4)であった。
(実施例7)
136MPaの加圧処理と90℃での加熱処理を同一に行う以外は、実施例1と同様にして有機・無機複合ヒドロゲルの成形加工実験を行った。その結果、成形直後の変形の86%が固定化され、最終的な面積は元のゲルフィルムの26倍となった。
(実施例8)
参考例1で得られた有機・無機複合ゲルを用い、加圧処理の際に、二枚のゲルシートを用いること、二枚のゲルシートの間に親水化処理したポリプロピレン製不織布(100ミクロン:50g/m)をおくことを除くと実施例1と同様にして加圧処理とそれに引き続く加熱処理を行った。その結果、全体厚みが280ミクロン、最終面積が112cmの不織布内蔵のゲルシートが得られた。
(実施例10)
実施例1で得られたゲルフィルムの上から、ゲルフィルムの固形分の2倍量となる量のグリセリンを塗工し、80℃の熱風乾燥機で15時間処理し、ゲルフィルムに含まれていた水を除いた。得られたゲルフィルムは柔軟であり、室温に放置しても乾燥することは無かった。
(実施例11)
参考例1で得られた有機・無機複合ヒドロゲルを厚さ2.0mmの円盤型のシートに切り出し、その固形分の2倍量となる量のグリセリンを塗工し、80℃の熱風乾燥機で15時間処理し、ゲルシートに含まれていた水分を除いた。得られたゲルシートの厚さは0.7mmであった。このゲルシートを直径47mmに切り出したものを実施例1と同様にして、加圧処理とそれに引き続く熱処理を行った。その結果、成形直後の変形の97%が固定化され、最終的な面積は元のゲルシートの8倍となった。
(実施例13と14)
実施例1と2で得られたゲルフィルムを水中に24時間浸漬後取り出して面積と厚さを計測したところ、面積は水浸漬前の98%(実施例13)と99%(実施例14)に減少し、厚さは3倍(実施例13)と1.3倍(実施例14)になった。これにより、本発明の成形法を適用した有機・無機複合ヒドロゲルは成形後においてもヒドロゲルとしての特性を有していることがわかった。
(比較例1)
参考例1において、粘土鉱物を用いずに、その代わりに有機架橋剤(N,N-メチレンビスアクリルアミド)を有機モノマーの1モル%を用いることを除くと、参考例1と同様にして、有機架橋型高分子ヒドロゲルを調製した。得られたヒドロゲルは全体として非常に脆弱であり、注意深く容器から取り出し、カットして、実施例1と同様にしてゲルシートの加圧処理および引き続く加熱処理を行ったところ、加圧処理の段階で、ゲルシートが粉々に粉砕され、成形加工は行えなかった。
(比較例2、3)
加圧処理後の加熱処理をしないことを除くと、実施例1(比較例2)及び実施例2(比較例3)と同様にして成形実験を行った。その結果、圧縮によって変形した有機・無機複合ヒドロゲルは、取り出し直後から、形状が緩和してもとの形に近づいていき、最終的には厚み1.3mm(比較例2)および厚み0.8mm(比較例3)になった。加圧処理時に実施例1および実施例2と同様な変形が起こったと仮定したときの、その変形量からの固定化率はそれぞれ18.9%、11.5%であった。
(比較例4)
参考例1で調製した有機・無機複合ヒドロゲルのゲルシートを、密閉容器中にて90℃に加熱したが、形状変化は殆ど生じなかった。

Claims (4)

  1. 水溶性有機高分子と層状剥離した粘土鉱物とが複合化して形成された三次元網目を有する有機・無機複合ヒドロゲルを、加圧処理または減圧処理または延伸処理により変形させた状態を保持しつつ、ヒドロゲル状態で加熱処理を行なうことを特徴とする有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法。
  2. 前記水溶性有機高分子の少なくとも一部が、更に共有結合により架橋されている請求項1記載の有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法。
  3. 前記有機・無機複合ヒドロゲルがシート状基材と複合化されている請求項1又は2のいずれか一つに記載の有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法。
  4. 前記水溶性有機高分子がアクリルアミド及びその誘導体を重合して得られるものである請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機・無機複合ヒドロゲルの成形方法。
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