JP2004091724A - 有機・無機複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い粘土鉱物含有範囲において、粘土鉱物の微細分散に優れ、また柔軟性や強度、弾性率などの力学物性に優れた性質を有する有機・無機複合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が三次元網目を形成し、且つ前記水溶性有機高分子(A)が少なくとも一軸方向に配向している有機・無機複合体。また本発明は、粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを調製する過程で、又は該有機・無機複合ゲル若しくは該ゲルを乾燥させた乾燥体を調製した後の過程において、外部応力を加えて前記水溶性有機高分子(A)を配向処理する有機・無機複合体の製造方法。
【選択図】 なし。
【解決手段】本発明は水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が三次元網目を形成し、且つ前記水溶性有機高分子(A)が少なくとも一軸方向に配向している有機・無機複合体。また本発明は、粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを調製する過程で、又は該有機・無機複合ゲル若しくは該ゲルを乾燥させた乾燥体を調製した後の過程において、外部応力を加えて前記水溶性有機高分子(A)を配向処理する有機・無機複合体の製造方法。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機高分子と粘土鉱物からなる有機・無機複合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機高分子と無機物を微細に、ナノメーターレベルで複合化した有機・無機複合体は、有機/無機ハイブリッド(または有機/無機ナノコンポジット)とも呼ばれ、近年、新しい複合材料として注目を浴び、広く研究がなされている。特に有機高分子中に粘土鉱物を微細分散した有機・無機複合体は、粘土鉱物が厚み約1ナノメーターの層状シリケートに解離されやすいこと、また粘土鉱物がアルキルアンモニウムカチオン等の界面活性剤と複合化されて有機化粘土となり、有機溶媒中において分散可能となること等から、広く検討されてきた。これまで、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリウレタンなどの有機高分子を、有機化粘土または無機粘土と複合化することにより多くの有機・無機複合体が調製されている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。得られた有機・無機複合体はアスペクト比の大きい粘土層が微細に分散していることから、力学物性、熱変形温度、ガス遮蔽性、難燃性などが向上する特徴を有している。
【0003】
かかる有機・無機複合体の調製法は、一般的に言って大きく二つに分けられる。一つは有機高分子の重合過程に有機化粘土または無機粘土を共存させる方法であり(非特許文献3及び特許文献1参照)、他の一つは混練過程に有機化粘土または無機粘土を共存させる方法である(特許文献2及び特許文献3参照)。有機化粘土を用いた場合は、有機化粘土が高価であることや、得られた有機・無機複合体中に粘土の有機化処理に用いられた界面活性剤が残存するなどの欠点を有していた。一方、混練過程で無機粘土を共存させる方法では、粘土鉱物の微細分散が不十分となったり、また微細分散しても有機高分子との相互作用が十分でない場合が多かった。また、いずれの方法においても、粘土鉱物含有率は0.1〜5質量%が最も広く用いられ、10質量%を超える場合は良好な複合体を得ることは困難であった。無理に10質量%程度またはそれ以上の粘土鉱物を含む有機・無機複合体を調製しようとしても、複合体中で粘土の均一な微分散が達成できなかったり、複合化した後の成形性が無いことなどから、高い含有率の粘土鉱物を微分散した均一で取り扱い可能な複合体は得られていなかった。
【0004】
また、無機粘土を重合過程で共存させる方法により、高い粘土鉱物含有率で且つ優れた微細分散性を有する有機・無機複合体をナイロン66の系で調製できることが知られている(特許文献4参照)。しかし、この場合でも高無機含有率を有する複合体は耐熱性や熱機械特性には優れるものの、成形性、加工性に乏しく、また高温高圧で成形したものは脆い欠点を有していた。更に水溶性有機高分子と無機粘土鉱物からなるヒドロゲルを調製した後、乾燥する方法によって、高い粘土鉱物含有率においても粘土鉱物が均一に微細分散した有機・無機複合体(有機・無機複合ヒドロゲル乾燥体)が得られることも知られている(特許文献5参照)。しかしながら、この場合も得られた有機・無機複合体は、靭性がなく、脆い材料である欠点を有していた。従って、広範囲な無機含有率において、粘土鉱物の均一な微細分散を有すると共に、取り扱い性や柔軟性に優れ、高力学物性を有する有機・無機複合体を得ることが強く望まれていた。
【0005】
【非特許文献1】
ティ.ジェー.ピナバイア, ジー.ダブリュー.ビール編(T.J.Pinnavaia, G.W.Beall eds.) 「ポリマー−クレー ナノコンポジット(Polymer−Clay Nanocomposite)」、英国、ジョン ワイリー アンド サンズ社(John Wiley & SonsLtd)、2000年
【非特許文献2】
中條澄編、「ポリマー系ナノコンポジットの最新技術と応用」、株式会社シーエムシー、2001年10月31日
【非特許文献3】
岡田茜、臼杵有光(A.Okada,A.Usuki)、「マテリアル サイエンス エンジニアリング(Mater.Sci.Eng.)」、1995年、第C編、第3巻、第2号、p.109−115
【特許文献1】
特開平6−248176号公報
【特許文献2】
特開平11−310643号公報
【特許文献3】
特開2000−239397号公報
【特許文献4】
特開平9−12213号公報
【特許文献5】
特開2002−53629号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、広い粘土鉱物含有範囲において、粘土鉱物の微細分散に優れ、また柔軟性や強度、弾性率などの力学物性に優れた性質を有する有機・無機複合体及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、水溶性高分子と粘土鉱物が三次元網目を形成してなる有機・無機複合体を、溶媒を含むゲルの段階または溶媒を除去した複合体の段階において、配向処理を行った後、固定化することにより、透明性を保持したまま、柔軟性、力学物性などが著しく改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が三次元網目を形成し、且つ前記水溶性有機高分子(A)が少なくとも一軸方向に配向している有機・無機複合体を提供する。
【0009】
また、本発明は粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを調製する過程、及び/または、該有機・無機複合ゲルを調製した後の過程において、外部応力を加えて有機・無機複合ゲルの水溶性有機高分子(A)を配向処理し、配向させた状態で溶媒の少なくとも一部を除去する、有機・無機複合体の製造方法を提供する。
【0010】
さらに本発明は、粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを乾燥し、溶媒(C)を除去した後、水溶性有機高分子(A)のガラス転移温度以上の温度で延伸し、水溶性有機高分子(A)を配向させた状態でガラス転移温度未満の温度に冷却する、有機・無機複合体の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における水溶性有機高分子(A)は、粘土鉱物(B)と三次元網目を形成できるものであることが必須であり、好ましくはその三次元網目の中に溶媒(C)を含むことが出来るものである。本発明における三次元網目は、通常の有機高分子の三次元網目形成において使用される有機架橋剤を全く用いないでも形成されうることが特徴であり、粘土鉱物(B)が水溶性有機高分子(A)により、もしくは水溶性有機高分子(A)が粘土鉱物(B)により橋架けされて形成される。本発明において、有機架橋剤を少量併用することも可能であるが、より好ましくは有機架橋剤を全く用いないで水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目が形成されたものである。水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目を形成するためには水溶性有機高分子(A)、粘土鉱物(B)間に何らかの相互作用を有することが必要であるが、三次元網目を形成することが出来れば良く、化学結合、水素結合、イオン結合、配位結合、疎水結合、絡み合いなど、特に相互作用の種類には限定されない。
【0012】
本発明に用いる水溶性有機高分子(A)は、水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する性質を有する有機高分子であり、好ましくは、水に親和性を有するアミド基、エステル基、アミノ基、水酸基、エーテル基などの官能基を主鎖もしくは側鎖に有するものであり、更に好ましくは、水または水を含む混合溶媒に溶解する有機モノマーを重合して得られる、水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する性質を有する有機高分子であり、例えば、アクリルアミド誘導体又はメタクリルアミド誘導体などの内、水または水を含む混合溶媒に溶解する誘導体を重合して得られるアクリルアミド系単量体単位及び/又はメタアクリルアミド系単量体単位を含む重合物である。具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミドの他、炭素数が1以上のアルキル鎖側鎖を有するN−アルキルアクリルアミド誘導体、N−アルキルメタクリルアミド誘導体、N,N−ジアルキルアクリルアミド誘導体、N,N−ジアルキルメタクリルアミド誘導体等の内、水または水を含む混合溶媒に可溶なモノマーを重合した有機高分子があげられる。これらのモノマーは単独で用いられる他、複数で用いたり、これら以外のモノマーと併用して用いることも、粘土鉱物との三次元網目を形成し、得られる有機高分子が水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する限り可能である。具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリディン、N−アクリロイルピペリディン、N−アクリロイルモルフォリン、N−アクリロイルメチルホモピペラディン、N−アクリロイルメチルピペラディン等が例示され、これらから選ばれる、一種または複数のモノマーを重合させたもの、またはこれらのモノマーを含む共重合物が水溶性有機高分子(A)として用いられる。
【0013】
本発明に用いる粘土鉱物(B)は、水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する水溶性有機高分子(A)と三次元網目を形成できるものであることが必須であり、好ましくは三次元網目を溶媒(C)中で形成できるものである。粘土鉱物(B)として、より好ましくは水や水を含む混合溶媒に膨潤もしくは微細分散するものがよく、特に好ましくは水または水を含む混合溶媒中で分子状(単一層)又はそれに近いレベルで均一分散可能なものである。例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
【0014】
本発明に用いる溶媒(C)としては、水または水と有機溶剤の混合溶媒が用いられる。ここで有機溶剤としては、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメルチアセトアミドなどが例示される。更に、溶媒の中に無機塩や有機分子などを含むものも用いられる。またゲルを配向処理する場合の溶媒としては、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目を合成する過程で用いられた溶媒の他、その後、溶媒交換により置換された、それとは異なる溶媒種であっても良い。この場合は水を含まない有機溶剤を用いることが可能である。三次元網目を合成する過程で用いられる溶媒は、水溶性有機モノマー(A’)および粘土鉱物(B)を均一分散出来るものであることが必要である。
【0015】
本発明における水溶性有機高分子(A)及び粘土鉱物(B)の量としては、粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)の比が広い範囲から選択できることが特徴である。具体的には粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)の質量比が0.01以上であるものが用いられ、好ましくは0.01〜3、より好ましくは0.05〜1.5であり、特に好ましくは0.1〜1である。粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)の質量比が0.01以下および3以上では有効な三次元網目が形成されなくなる場合が多い。
【0016】
本発明の有機・無機複合体は、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が三次元網目を形成し、且つ構成成分である水溶性有機高分子(A)の少なくとも一部が配向していることが必須である。ここで水溶性有機高分子(A)の配向は、未配向物に対する延伸比で表され、一軸方向または二軸方向に配向されているものが好ましく用いられるが、より高次の三次元的配向したものであってもよい。
【0017】
本発明において配向の程度は、有機・無機複合ゲルもしくは有機・無機複合体(有機・無機複合ゲル乾燥体)中に含まれる水溶性有機高分子のある一軸方向での延伸倍率で評価され、未配向物の場合と比べて、好ましくは1.3倍以上に、より好ましくは1.5倍以上に、更に好ましくは2倍以上に、特に好ましくは3倍以上に伸ばされたものであるものが好ましい。延伸倍率が1.3倍以上の配向処理では得られる配向物の機械的性質や柔軟性の向上に優れる。ここで未配向物は例えばゲルに外部応力を何らかけること無く自然収縮状態で乾燥させたり、無応力下、ガラス転移温度以上の高い温度で加熱することにより得られるものを指す。本発明において、配向性は簡単のため有機・無機複合ゲルまたは有機・無機複合体の延伸倍率で置き換えて評価されるが、その他の配向処理である二軸延伸、圧延、押し出し、射出などにおいては、少なくともある一軸方法の最大延伸倍率が前記の値を達成していることが好ましい。一方、配向処理をより高度に行い、それらを固定化するまえに、配向の一部を緩和させて、目的とする配向物を得ることも有効に用いられる。なお、従来の有機架橋ゲルを用いる場合は、ゲルが弱くて脆いため一般に1.3倍以上の配向処理は行えず、また、それ以下の低度の配向処理を行った後、溶媒除去して得られた有機・無機複合体を得た場合では機械的性質が低く、脆い材料しか得られない。
【0018】
次に、本発明の有機・無機複合体の製造方法について説明する。本発明の有機・無機複合体は粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて前記水溶性有機高分子(A)と前記粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを調製する過程、及び/または、該有機・無機複合ゲルを調製した後の過程において、外部応力を加えて有機・無機複合ゲルの水溶性有機高分子(A)を配向処理し、配向させた状態で溶媒の少なくとも一部を除去することにより得られる。
【0019】
もしくは本発明の有機・無機複合体は、粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを乾燥し、溶媒(C)を除去した後、水溶性有機高分子(A)のガラス転移温度以上の温度で延伸し、前記水溶性有機高分子(A)を配向させた状態でガラス転移温度未満の温度に冷却することにより得られる。
【0020】
以下更に詳しく説明する。本発明の有機・無機複合体は、例えば以下の方法で調製される。
まず、水溶性有機モノマー(A’)と、粘土鉱物(B)と、水を主成分とする溶媒(C)からなる均一溶液を調製した後、触媒およびラジカル重合開始剤を加え、所定の温度にすることにより粘土鉱物(B)及び溶媒(C)の共存下で前記水溶性有機モノマー(A’)をラジカル重合させる。これにより溶媒(C)中において水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目が形成された有機・無機複合ゲルが得られる。ここでラジカル重合は、酸素の不存在下で過酸化物の存在、加熱や紫外線、電子線照射など公知の方法により行わせることができる。またラジカル重合開始剤および触媒としては、公知のものから適時選択して用いることができるが、好ましくは用いた溶媒(C)に良く分散するものが用いられる。具体的には、重合開始剤として、過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾ化合物、例えばVA−044、V−50、V−501(いずれも和光純薬工業株式会社製)の他、ポリエチレンオキシド鎖を有するラジカル開始剤などが例示される。また、触媒としては、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンや、β−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが好ましく用いられる。その他、重合温度は、重合モノマー、重合触媒、ラジカル重合開始剤の種類に合わせて0℃〜100℃の範囲で設定できる。重合時間も重合触媒、ラジカル重合開始剤、重合温度、重合溶液量(厚み)など重合条件によって異なり、一般に数十秒〜十数時間の間で行える。
【0021】
本発明の有機・無機複合体は、さらに(1)上述の有機・無機複合ゲルの調製段階で配向処理を行うか、(2)前記有機・無機複合ゲルの状態で配向処理を行うか、(3)前記有機複合ゲルから溶媒を除去した乾燥体の状態で配向処理を行うことにより得られる。
【0022】
前記(1)の、上述の有機・無機複合ゲルの調製段階で配向処理を行う方法の例としては、水溶性有機モノマー(A’)、粘土鉱物(B)、水を含む溶媒(C)からなる均一溶液を調製した後、触媒およびラジカル重合開始剤を加え、さらに該溶液にずり応力を加え、好ましくは該溶液を薄層状などにして流動させながら、所定の温度にすることによりラジカル重合させゲルを生じさせた後、溶媒を除去する方法が挙げられる。
【0023】
また前記(2)の、前記有機・無機複合ゲルの状態で配向処理を行う方法の例としては、静置状態で調製された前記有機・無機複合ゲルもしくは該有機・無機複合ゲルの溶媒の一部を除去したり、他溶媒で置換したりした有機・無機複合ゲルを、延伸、圧縮、圧延、押し出し等の公知慣用の方法で配向処理し、配向した状態で固定しながら溶媒を急速にまたは徐々に除く方法などが挙げられる。なお、延伸処理としては、一軸延伸、二軸延伸、それ以上の多軸延伸が含まれる。配向処理する際の前記有機・無機複合ゲル中に含まれる溶媒の量としては必ずしも限定されず、調製したままのゲルを用いる他、その溶媒の一部を除去した場合、新たな溶媒を含ませた場合のいずれもが用いられる。具体的には、(溶媒の質量/ゲルの質量)で表される溶媒含有率が好ましくは0.1〜100が、より好ましくは0.3〜50が、特に好ましくは0.5〜30の範囲のものが用いられる。また、配向処理の温度も必ずしも限定されないが、好ましくは0℃〜100℃の中から選択して用いられる。
【0024】
さらに、前記(3)の、前記有機複合ゲルから溶媒を除去した乾燥体の状態で配向処理を行う方法の例としては、前記有機・無機複合ゲルから溶媒を除去した乾燥体を、構成成分である水溶性有機高分子(A)のガラス転移温度以上に加熱して延伸、圧縮、圧延、射出、押し出し等の公知慣用の方法で配向処理し、その状態で温度を急速にガラス転移温度未満に下げるか、ガラス転移温度以上で前記配向処理を行った後、電子線照射などにより配向を固定化する方法などを挙げることができる。
【0025】
なお、前記(1)〜(3)において、溶媒を除去する方法は公知慣用の方法であればよく、例えば、加温したり、貧溶媒により溶媒置換したり、もしくは0℃以下に凍結した後、真空乾燥して溶媒を除去する方法等が挙げられる。
【0026】
なお、本発明で用いられる有機・無機複合ゲル中の水溶性有機高分子として、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)のように低温側で透明及び/又は膨潤状態、高温側で不透明及び/又は体積収縮状態となる臨界温度(Tc)を有し、Tcを境にした上下の温度変化により透明性や体積を可逆的に変化できる特徴を有するものを使用することができる。従って、この場合は、配向処理する有機・無機複合ゲルも、Tc以下の温度でポリマーが親水性を示す状態のものの他、Tc以上の温度に加熱して、ポリマー間の相互作用が疎水的になった状態を用いることもできる。
【0027】
本発明の有機・無機複合体は、その機械的、熱的、表面的、光学的、化学的性質などを活かして種々の分野で用いられる。具体的な例としては、高表面硬度、透明性、ガスバリヤ性、優れた摺動特性、高強度・高弾性率、耐熱性、低熱膨張率などを必要とするフィルム、塗膜、成形材料などとして利用される。
【0028】
【実施例】
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
【0029】
(参考例1)
粘土鉱物には、[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na+ 0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標名「ラポナイトXLG」日本シリカ株式会社製)を100℃で2時間真空乾燥して用いた。有機モノマーは、N−イソプロピルアクリルアミド(IPAA:興人株式会社製)を精製してから用いた。重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(PPS:関東化学株式会社製)をPPS/水=0.384/20(g/g)の割合で純水で希釈し、水溶液にして使用した。触媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA:関東化学株式会社製)をTMEDA/水=160μl/20gの割合で薄めて使用した。水はイオン交換水を蒸留した純水を用いた。水は全て高純度窒素を予めバブリングさせ含有酸素を除去してから使用した。
【0030】
20℃の恒温室において、内部を窒素置換した約500mlの平底ガラス容器に、純水169.6gを入れ、攪拌しながら6.62gのラポナイトXLGを加え、無色透明の溶液を調製した。これにIPAA20gを加え攪拌して無色透明溶液を得た。次いで、PPS水溶液10.6gとTMEDA水溶液20gを攪拌して加え、攪拌して無色透明溶液を得た。該溶液の一部を底の閉じた内径5.5mm長さ150mm、および内径1.2mm長さ150mmのガラス管容器に酸素にふれないようにして移した後、上部に密栓をし、20℃で15時間静置して重合を行った。また該溶液の一部を、100mm×150mm×1mmのアクリル製密閉容器に入れ、20℃、15時間静置し、重合を行った。更に、残りの該溶液100mlを平底ガラス容器内で20℃、15時間、強く撹拌しながら重合を行った。なお、これらの溶液調製から重合までの操作は全て酸素を遮断した窒素雰囲気下で行った。15時間後にガラス管容器内、アクリル製容器内、及び平底ガラス容器内に弾力性、タフネスのある無色透明・均一な棒状またはフィルム状のゲルが生成しており、容器から注意深く取り出した。
【0031】
得られたゲル中には、粘土鉱物などによる不均一又は不透明な凝集は何ら観測されなかった。ゲルを100℃の真空乾燥機で質量一定になるまで乾燥させることにより、{溶媒(C)/(水溶性有機高分子(A)+粘土鉱物(B))}×100=750質量%の水を含むヒドロゲルであることがわかった。有機架橋剤を全く使用していないにもかかわらず、透明でタフネスのあるヒドロゲルが得られたことから、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が分子レベルで複合化した三次元網目を形成していると結論された。取り出したヒドロゲルを室温から50℃まで、無応力下にて乾燥して水分を除き、最終的に80℃で3時間真空乾燥することにより有機・無機複合体(ゲル乾燥体)を得た。無応力下で乾燥された有機・無機複合体は、内径5.5mm、長さ50mmの棒状ゲルを出発物質として用いた場合は直径3.3mm、長さ45mmに、また内径1.2mm、長さ50mmの棒状ゲルの場合は直径0.7mm、長さ46mmに、また厚みが2.2mm、長さと幅が40mmと35mmであるフィルム状ゲルの場合は、厚みが650μm、長さと幅が25mmと22mmの有機・無機複合体となった。
【0032】
有機・無機複合体のKBr法によるフーリエ変換赤外線吸収スペクトル(FT−IR)測定を行い(日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−550を使用)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)に固有な赤外線吸収(例えば1460cm−1、1550cm−1、1650cm−1、2920cm−1、2970cm−1)及びラポナイトXLGに固有な赤外線吸収(例えば460cm−1、650cm−1、1005cm−1)が観測された。また有機・無機複合体の熱重量分析(セイコー電子工業株式会社社製TG−DTA220:空気流通下、10℃/分で600℃まで昇温)を行い、粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)=0.333(質量比)を得た。
【0033】
以上から、参考例1で得られたゲルは、仕込み組成に沿った成分比を有する、有機高分子(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド))と粘土鉱物が分子レベルで複合化した三次元網目を形成した有機・無機複合ヒドロゲルであることが結論された。また、ゲルを無応力下、乾燥させることで、自然収縮したゲル乾燥体(有機・無機複合体)が得られることが示された。
【0034】
(参考例2)
水溶性有機モノマーとして、N−イソプロピルアクリルアミド20gのかわりにN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA:興人株式会社製)17.6gを精製して用いる以外は参考例1と同様にして、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)と粘土鉱物が、三次元網目を水中で形成してなる有機・無機複合ヒドロゲル、および該ヒドロゲルを乾燥して得られる有機・無機複合体を調製した。
【0035】
(参考例3、4)
粘土鉱物(水膨潤性ヘクトライト:ラポナイトXLG)を用いずに、有機架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド(BIS:関東化学株式会社製)を有機モノマーの1モル%用いること以外は、参考例1および参考例2と同様にして、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の有機架橋ヒドロゲル(参考例3)を、またポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)の有機架橋ヒドロゲル(参考例4)を調製した。
【0036】
(実施例1)
参考例1で得られた直径5.5mm、長さ50mmの棒状の有機・無機複合ヒドロゲル(水/ポリマーの質量比は10)を元の長さの5倍まで一軸延伸し、延伸した状態で長さを固定して、25℃、湿度50%で72時間保持して水分を除いた。その後、80℃で3時間真空乾燥して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と粘土鉱物(質量比=100:33.1)からなる有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は直径が710μm、長さが250mmの均一透明な固体であり、強靱で、90度の曲げ変形試験でも折れることはなく、直径1mmの金属棒に巻き付けても破断したり、傷つくことは無かった。また、島津製作所製万能試験機AGS−Hを用い、評点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分、測定温度=25℃の条件で引っ張り試験を行った結果、初期引っ張り弾性率=1.85GPa、引っ張り強度=155MPa、破断伸び=3.8%を示した。
【0037】
(実施例2)
参考例1で得られた均一、透明な厚み1mmのフィルム状有機・無機複合ヒドロゲルを長さ100mm、幅50mm、厚み1mmのフィルムに切り出し、長さ方向に元のゲルの長さの5倍まで延伸し、延伸した状態で長さを固定し、25℃、湿度50%で72時間保持して水分を除いた。その後、80℃で3時間真空乾燥して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と粘土鉱物(質量比=100:33.1)からなる有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は厚みが約50μmの無色透明な均一フィルムであり、強靱で、90度の曲げ変形試験でも折れることはなく、直径1mmの金属棒に巻き付けても破断したり、傷つくことは無かった。該有機・無機複合体(フィルム)の光透過率を日立計測社製紫外可視近赤外分光光度計UN−3500を用いて250〜900nmの波長範囲で測定した。波長370nm以上で透過率が90%以上の透明性を示した。また屈折率をアタゴ株式会社製アッベ屈折計2Tを用いて測定したところ、1.50の値が得られた。また、偏光顕微鏡(ニコン社製OPTIPHOTO2−POL)測定を行ったところ、直交ニコル条件下で明るくなる光学異方性を示すことが確認された。また該有機・無機複合体の動的粘弾性(温度依存性)をセイコー電子工業株式会社製DMA−200を用いて測定したところ、tanδの極大値から求められるガラス転移温度を147℃に示した。なお、それ以下の温度では貯蔵弾性率が10GPaでガラス状態を示し、それ以上の温度では貯蔵弾性率が1GPaのゴム状態を示した。
【0038】
(実施例3)
参考例1のかわりに参考例2で得られた有機・無機複合ゲルを用いることを除くと、実施例1と同様にして、長さ方向に元のゲルの長さの5倍まで延伸して固定し、乾燥した有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は直径が510μm、長さが250mmの均一透明な固体であり、強靱で、90度の曲げ試験および直径1mmの金属棒に巻き付けた試験でも、破断したり傷つくことは無かった。また、島津製作所製万能試験機AGS−Hを用い、評点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分、測定温度=25℃の条件で引っ張り試験を行った結果、初期引っ張り弾性率=1.41GPa、引っ張り強度=60.1MPaを示した。
【0039】
(実施例4)
延伸倍率が2倍であることを除くと実施例1と同様にして、有機・無機複合体を調製した。90度の曲げ試験で破壊することはなかった。実施例1と同様な引っ張り試験の結果、初期引っ張り弾性率=1.20GPa、引っ張り強度=45.4MPaを示した。
【0040】
(実施例5)
参考例1で得られた均一、透明な厚み1mmのフィルム状有機・無機複合ヒドロゲルを長さ50mm、幅50mm、厚み1mmのフィルムに切り出し、長さ方向に元の長さの2倍、幅方向に2倍まで延伸した。かかる二軸延伸した状態を保って、25℃、湿度50%で48時間保持して水分を除いた。その後、80℃で3時間真空乾燥して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と粘土鉱物(質量比=100:33.1)からなる有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は厚みが約32μmの均一透明なフィルムであり、強靱で、90度の曲げ変形試験でも折れることはなく、直径1mmの金属棒に巻き付けても破断したり、傷つくことは無かった。また、偏光顕微鏡測定では、直交ニコル条件下で明るい像が得られる光学異方性を示した。
【0041】
(実施例6)
実施例1の棒状ゲルを無応力下で自然収縮しながら乾燥させて得られた有機・無機複合体を、ガラス転移温度以上の200℃温度にて5倍に延伸し、延伸した状態で室温まで冷却する方法で、有機・無機複合体を調製した。該有機・無機複合体は90度の曲げ試験で破壊せず、また直径1mmの金属棒への巻き付け試験でも破断しなかった。偏光顕微鏡測定では、直交ニコル条件下で明るい像が得られる光学異方性を示した。
【0042】
(比較例1)
参考例1で得られた棒状の有機・無機複合ゲルを延伸および固定することなく乾燥して得られた有機・無機複合体(棒状:直径=3.3mm)を、実施例1と同様にして曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行ったが、有機・無機複合体は脆く、90度に至る前に破断した。また、直径1mmの金属棒への巻き付け試験では、巻き付く前に破断した。
【0043】
(比較例2)
参考例1で得られた棒状の有機・無機複合ゲルを延伸および固定することなく乾燥して得られた有機・無機複合体(棒状:直径=0.7mm)を、実施例1と同様にして曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行ったが、有機・無機複合体は脆く、90度に至る前に破断した。また、直径1mmの金属棒への巻き付け試験では、巻き付く前に破断した。更に、実施例1と同様にして引っ張り試験を行おうとしたが、脆くて測定に至る前に破断し、正確な値が得られなかった。
【0044】
(比較例3)
参考例1で得られた棒状の有機・無機複合ゲルを収縮を元のゲルの長さを保ったままの定長で乾燥した以外は実施例1と同様にして、曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行った。有機・無機複合体の直径=3.8mm、長さ=50mm。(延伸倍率=1.1倍)。該有機・無機複合体延伸物も90度の曲げ試験で破壊し、また直径1mmの金属棒への巻き付き試験でも巻き付く前に破断した。
【0045】
(比較例4)
参考例1で得られたフィルム状の有機・無機複合ゲルを延伸および固定することなく、自由収縮しながら乾燥して得られた有機・無機複合体フィルム(厚み=約200μm)を、実施例2と同様にして曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行ったが、有機・無機複合体フィルムは脆く、90度に至る前に破断した。また、直径1mmの金属棒への巻き付き試験でも巻き付く前に破断した。更に、実施例2と同様にして動的粘弾性測定により求めたガラス転移温度(tanδの極大温度)は132℃であった。更に、該有機・無機複合体を直交ニコル条件下で偏光顕微鏡観察を行ったが、視野は暗く光学異方性は示さなかった。
【0046】
(比較例5,6)
比較例5では参考例3の有機架橋ゲルを、比較例6では参考例5の有機架橋ゲルを用いて、実施例1または実施例5と同様な方法で配向しようとしたが、ゲルが脆いため、延伸する前に、または定長での乾燥処理中に破壊し、いずれの方法でも乾燥ゲル配向物を調製することはいずれの場合も出来なかった。また、各有機架橋ゲルを固定することなく自由な状態で乾燥して有機架橋ゲル乾燥体を調製したものは、いずれも光学的異方性を示さず、また脆くて、曲げ変形試験では90度に至る前に、直径1mmの金属棒への巻き付け試験では巻き付く前にいずれも破断した。
【0047】
【発明の効果】
本発明の有機・無機複合体は、優れた機械的性質を有する。例えばゲルを自然乾燥して得られる未配向の有機・無機複合体と比べて、曲げ特性が大きく向上し、90度以上に曲げても破断しないなど取り扱い性が大幅に向上するほか、強度、弾性率などの力学物性も向上する。また、本発明の有機・無機複合体の全体において高い均一性、優れた透明性を有することが可能であり、光学的異方性を発現させることも可能である。その他、高表面硬度や摺動特性などの機械的性質、ガラス転移温度などの熱的性質、熱膨張係数などの熱機械的性質、更にはガスなどを遮蔽するガスバリア性などが向上する効果が得られる。特に、以上のような機械的柔軟性の向上が粘土鉱物の含有率にかかわらず、特に高い粘土鉱物含有率においても発現されることは有効である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機高分子と粘土鉱物からなる有機・無機複合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機高分子と無機物を微細に、ナノメーターレベルで複合化した有機・無機複合体は、有機/無機ハイブリッド(または有機/無機ナノコンポジット)とも呼ばれ、近年、新しい複合材料として注目を浴び、広く研究がなされている。特に有機高分子中に粘土鉱物を微細分散した有機・無機複合体は、粘土鉱物が厚み約1ナノメーターの層状シリケートに解離されやすいこと、また粘土鉱物がアルキルアンモニウムカチオン等の界面活性剤と複合化されて有機化粘土となり、有機溶媒中において分散可能となること等から、広く検討されてきた。これまで、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリウレタンなどの有機高分子を、有機化粘土または無機粘土と複合化することにより多くの有機・無機複合体が調製されている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。得られた有機・無機複合体はアスペクト比の大きい粘土層が微細に分散していることから、力学物性、熱変形温度、ガス遮蔽性、難燃性などが向上する特徴を有している。
【0003】
かかる有機・無機複合体の調製法は、一般的に言って大きく二つに分けられる。一つは有機高分子の重合過程に有機化粘土または無機粘土を共存させる方法であり(非特許文献3及び特許文献1参照)、他の一つは混練過程に有機化粘土または無機粘土を共存させる方法である(特許文献2及び特許文献3参照)。有機化粘土を用いた場合は、有機化粘土が高価であることや、得られた有機・無機複合体中に粘土の有機化処理に用いられた界面活性剤が残存するなどの欠点を有していた。一方、混練過程で無機粘土を共存させる方法では、粘土鉱物の微細分散が不十分となったり、また微細分散しても有機高分子との相互作用が十分でない場合が多かった。また、いずれの方法においても、粘土鉱物含有率は0.1〜5質量%が最も広く用いられ、10質量%を超える場合は良好な複合体を得ることは困難であった。無理に10質量%程度またはそれ以上の粘土鉱物を含む有機・無機複合体を調製しようとしても、複合体中で粘土の均一な微分散が達成できなかったり、複合化した後の成形性が無いことなどから、高い含有率の粘土鉱物を微分散した均一で取り扱い可能な複合体は得られていなかった。
【0004】
また、無機粘土を重合過程で共存させる方法により、高い粘土鉱物含有率で且つ優れた微細分散性を有する有機・無機複合体をナイロン66の系で調製できることが知られている(特許文献4参照)。しかし、この場合でも高無機含有率を有する複合体は耐熱性や熱機械特性には優れるものの、成形性、加工性に乏しく、また高温高圧で成形したものは脆い欠点を有していた。更に水溶性有機高分子と無機粘土鉱物からなるヒドロゲルを調製した後、乾燥する方法によって、高い粘土鉱物含有率においても粘土鉱物が均一に微細分散した有機・無機複合体(有機・無機複合ヒドロゲル乾燥体)が得られることも知られている(特許文献5参照)。しかしながら、この場合も得られた有機・無機複合体は、靭性がなく、脆い材料である欠点を有していた。従って、広範囲な無機含有率において、粘土鉱物の均一な微細分散を有すると共に、取り扱い性や柔軟性に優れ、高力学物性を有する有機・無機複合体を得ることが強く望まれていた。
【0005】
【非特許文献1】
ティ.ジェー.ピナバイア, ジー.ダブリュー.ビール編(T.J.Pinnavaia, G.W.Beall eds.) 「ポリマー−クレー ナノコンポジット(Polymer−Clay Nanocomposite)」、英国、ジョン ワイリー アンド サンズ社(John Wiley & SonsLtd)、2000年
【非特許文献2】
中條澄編、「ポリマー系ナノコンポジットの最新技術と応用」、株式会社シーエムシー、2001年10月31日
【非特許文献3】
岡田茜、臼杵有光(A.Okada,A.Usuki)、「マテリアル サイエンス エンジニアリング(Mater.Sci.Eng.)」、1995年、第C編、第3巻、第2号、p.109−115
【特許文献1】
特開平6−248176号公報
【特許文献2】
特開平11−310643号公報
【特許文献3】
特開2000−239397号公報
【特許文献4】
特開平9−12213号公報
【特許文献5】
特開2002−53629号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、広い粘土鉱物含有範囲において、粘土鉱物の微細分散に優れ、また柔軟性や強度、弾性率などの力学物性に優れた性質を有する有機・無機複合体及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、水溶性高分子と粘土鉱物が三次元網目を形成してなる有機・無機複合体を、溶媒を含むゲルの段階または溶媒を除去した複合体の段階において、配向処理を行った後、固定化することにより、透明性を保持したまま、柔軟性、力学物性などが著しく改良されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が三次元網目を形成し、且つ前記水溶性有機高分子(A)が少なくとも一軸方向に配向している有機・無機複合体を提供する。
【0009】
また、本発明は粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを調製する過程、及び/または、該有機・無機複合ゲルを調製した後の過程において、外部応力を加えて有機・無機複合ゲルの水溶性有機高分子(A)を配向処理し、配向させた状態で溶媒の少なくとも一部を除去する、有機・無機複合体の製造方法を提供する。
【0010】
さらに本発明は、粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを乾燥し、溶媒(C)を除去した後、水溶性有機高分子(A)のガラス転移温度以上の温度で延伸し、水溶性有機高分子(A)を配向させた状態でガラス転移温度未満の温度に冷却する、有機・無機複合体の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における水溶性有機高分子(A)は、粘土鉱物(B)と三次元網目を形成できるものであることが必須であり、好ましくはその三次元網目の中に溶媒(C)を含むことが出来るものである。本発明における三次元網目は、通常の有機高分子の三次元網目形成において使用される有機架橋剤を全く用いないでも形成されうることが特徴であり、粘土鉱物(B)が水溶性有機高分子(A)により、もしくは水溶性有機高分子(A)が粘土鉱物(B)により橋架けされて形成される。本発明において、有機架橋剤を少量併用することも可能であるが、より好ましくは有機架橋剤を全く用いないで水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目が形成されたものである。水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目を形成するためには水溶性有機高分子(A)、粘土鉱物(B)間に何らかの相互作用を有することが必要であるが、三次元網目を形成することが出来れば良く、化学結合、水素結合、イオン結合、配位結合、疎水結合、絡み合いなど、特に相互作用の種類には限定されない。
【0012】
本発明に用いる水溶性有機高分子(A)は、水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する性質を有する有機高分子であり、好ましくは、水に親和性を有するアミド基、エステル基、アミノ基、水酸基、エーテル基などの官能基を主鎖もしくは側鎖に有するものであり、更に好ましくは、水または水を含む混合溶媒に溶解する有機モノマーを重合して得られる、水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する性質を有する有機高分子であり、例えば、アクリルアミド誘導体又はメタクリルアミド誘導体などの内、水または水を含む混合溶媒に溶解する誘導体を重合して得られるアクリルアミド系単量体単位及び/又はメタアクリルアミド系単量体単位を含む重合物である。具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミドの他、炭素数が1以上のアルキル鎖側鎖を有するN−アルキルアクリルアミド誘導体、N−アルキルメタクリルアミド誘導体、N,N−ジアルキルアクリルアミド誘導体、N,N−ジアルキルメタクリルアミド誘導体等の内、水または水を含む混合溶媒に可溶なモノマーを重合した有機高分子があげられる。これらのモノマーは単独で用いられる他、複数で用いたり、これら以外のモノマーと併用して用いることも、粘土鉱物との三次元網目を形成し、得られる有機高分子が水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する限り可能である。具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリディン、N−アクリロイルピペリディン、N−アクリロイルモルフォリン、N−アクリロイルメチルホモピペラディン、N−アクリロイルメチルピペラディン等が例示され、これらから選ばれる、一種または複数のモノマーを重合させたもの、またはこれらのモノマーを含む共重合物が水溶性有機高分子(A)として用いられる。
【0013】
本発明に用いる粘土鉱物(B)は、水または水を含む混合溶媒に溶解もしくは膨潤する水溶性有機高分子(A)と三次元網目を形成できるものであることが必須であり、好ましくは三次元網目を溶媒(C)中で形成できるものである。粘土鉱物(B)として、より好ましくは水や水を含む混合溶媒に膨潤もしくは微細分散するものがよく、特に好ましくは水または水を含む混合溶媒中で分子状(単一層)又はそれに近いレベルで均一分散可能なものである。例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
【0014】
本発明に用いる溶媒(C)としては、水または水と有機溶剤の混合溶媒が用いられる。ここで有機溶剤としては、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメルチアセトアミドなどが例示される。更に、溶媒の中に無機塩や有機分子などを含むものも用いられる。またゲルを配向処理する場合の溶媒としては、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目を合成する過程で用いられた溶媒の他、その後、溶媒交換により置換された、それとは異なる溶媒種であっても良い。この場合は水を含まない有機溶剤を用いることが可能である。三次元網目を合成する過程で用いられる溶媒は、水溶性有機モノマー(A’)および粘土鉱物(B)を均一分散出来るものであることが必要である。
【0015】
本発明における水溶性有機高分子(A)及び粘土鉱物(B)の量としては、粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)の比が広い範囲から選択できることが特徴である。具体的には粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)の質量比が0.01以上であるものが用いられ、好ましくは0.01〜3、より好ましくは0.05〜1.5であり、特に好ましくは0.1〜1である。粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)の質量比が0.01以下および3以上では有効な三次元網目が形成されなくなる場合が多い。
【0016】
本発明の有機・無機複合体は、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が三次元網目を形成し、且つ構成成分である水溶性有機高分子(A)の少なくとも一部が配向していることが必須である。ここで水溶性有機高分子(A)の配向は、未配向物に対する延伸比で表され、一軸方向または二軸方向に配向されているものが好ましく用いられるが、より高次の三次元的配向したものであってもよい。
【0017】
本発明において配向の程度は、有機・無機複合ゲルもしくは有機・無機複合体(有機・無機複合ゲル乾燥体)中に含まれる水溶性有機高分子のある一軸方向での延伸倍率で評価され、未配向物の場合と比べて、好ましくは1.3倍以上に、より好ましくは1.5倍以上に、更に好ましくは2倍以上に、特に好ましくは3倍以上に伸ばされたものであるものが好ましい。延伸倍率が1.3倍以上の配向処理では得られる配向物の機械的性質や柔軟性の向上に優れる。ここで未配向物は例えばゲルに外部応力を何らかけること無く自然収縮状態で乾燥させたり、無応力下、ガラス転移温度以上の高い温度で加熱することにより得られるものを指す。本発明において、配向性は簡単のため有機・無機複合ゲルまたは有機・無機複合体の延伸倍率で置き換えて評価されるが、その他の配向処理である二軸延伸、圧延、押し出し、射出などにおいては、少なくともある一軸方法の最大延伸倍率が前記の値を達成していることが好ましい。一方、配向処理をより高度に行い、それらを固定化するまえに、配向の一部を緩和させて、目的とする配向物を得ることも有効に用いられる。なお、従来の有機架橋ゲルを用いる場合は、ゲルが弱くて脆いため一般に1.3倍以上の配向処理は行えず、また、それ以下の低度の配向処理を行った後、溶媒除去して得られた有機・無機複合体を得た場合では機械的性質が低く、脆い材料しか得られない。
【0018】
次に、本発明の有機・無機複合体の製造方法について説明する。本発明の有機・無機複合体は粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて前記水溶性有機高分子(A)と前記粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを調製する過程、及び/または、該有機・無機複合ゲルを調製した後の過程において、外部応力を加えて有機・無機複合ゲルの水溶性有機高分子(A)を配向処理し、配向させた状態で溶媒の少なくとも一部を除去することにより得られる。
【0019】
もしくは本発明の有機・無機複合体は、粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを乾燥し、溶媒(C)を除去した後、水溶性有機高分子(A)のガラス転移温度以上の温度で延伸し、前記水溶性有機高分子(A)を配向させた状態でガラス転移温度未満の温度に冷却することにより得られる。
【0020】
以下更に詳しく説明する。本発明の有機・無機複合体は、例えば以下の方法で調製される。
まず、水溶性有機モノマー(A’)と、粘土鉱物(B)と、水を主成分とする溶媒(C)からなる均一溶液を調製した後、触媒およびラジカル重合開始剤を加え、所定の温度にすることにより粘土鉱物(B)及び溶媒(C)の共存下で前記水溶性有機モノマー(A’)をラジカル重合させる。これにより溶媒(C)中において水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)からなる三次元網目が形成された有機・無機複合ゲルが得られる。ここでラジカル重合は、酸素の不存在下で過酸化物の存在、加熱や紫外線、電子線照射など公知の方法により行わせることができる。またラジカル重合開始剤および触媒としては、公知のものから適時選択して用いることができるが、好ましくは用いた溶媒(C)に良く分散するものが用いられる。具体的には、重合開始剤として、過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾ化合物、例えばVA−044、V−50、V−501(いずれも和光純薬工業株式会社製)の他、ポリエチレンオキシド鎖を有するラジカル開始剤などが例示される。また、触媒としては、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンや、β−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが好ましく用いられる。その他、重合温度は、重合モノマー、重合触媒、ラジカル重合開始剤の種類に合わせて0℃〜100℃の範囲で設定できる。重合時間も重合触媒、ラジカル重合開始剤、重合温度、重合溶液量(厚み)など重合条件によって異なり、一般に数十秒〜十数時間の間で行える。
【0021】
本発明の有機・無機複合体は、さらに(1)上述の有機・無機複合ゲルの調製段階で配向処理を行うか、(2)前記有機・無機複合ゲルの状態で配向処理を行うか、(3)前記有機複合ゲルから溶媒を除去した乾燥体の状態で配向処理を行うことにより得られる。
【0022】
前記(1)の、上述の有機・無機複合ゲルの調製段階で配向処理を行う方法の例としては、水溶性有機モノマー(A’)、粘土鉱物(B)、水を含む溶媒(C)からなる均一溶液を調製した後、触媒およびラジカル重合開始剤を加え、さらに該溶液にずり応力を加え、好ましくは該溶液を薄層状などにして流動させながら、所定の温度にすることによりラジカル重合させゲルを生じさせた後、溶媒を除去する方法が挙げられる。
【0023】
また前記(2)の、前記有機・無機複合ゲルの状態で配向処理を行う方法の例としては、静置状態で調製された前記有機・無機複合ゲルもしくは該有機・無機複合ゲルの溶媒の一部を除去したり、他溶媒で置換したりした有機・無機複合ゲルを、延伸、圧縮、圧延、押し出し等の公知慣用の方法で配向処理し、配向した状態で固定しながら溶媒を急速にまたは徐々に除く方法などが挙げられる。なお、延伸処理としては、一軸延伸、二軸延伸、それ以上の多軸延伸が含まれる。配向処理する際の前記有機・無機複合ゲル中に含まれる溶媒の量としては必ずしも限定されず、調製したままのゲルを用いる他、その溶媒の一部を除去した場合、新たな溶媒を含ませた場合のいずれもが用いられる。具体的には、(溶媒の質量/ゲルの質量)で表される溶媒含有率が好ましくは0.1〜100が、より好ましくは0.3〜50が、特に好ましくは0.5〜30の範囲のものが用いられる。また、配向処理の温度も必ずしも限定されないが、好ましくは0℃〜100℃の中から選択して用いられる。
【0024】
さらに、前記(3)の、前記有機複合ゲルから溶媒を除去した乾燥体の状態で配向処理を行う方法の例としては、前記有機・無機複合ゲルから溶媒を除去した乾燥体を、構成成分である水溶性有機高分子(A)のガラス転移温度以上に加熱して延伸、圧縮、圧延、射出、押し出し等の公知慣用の方法で配向処理し、その状態で温度を急速にガラス転移温度未満に下げるか、ガラス転移温度以上で前記配向処理を行った後、電子線照射などにより配向を固定化する方法などを挙げることができる。
【0025】
なお、前記(1)〜(3)において、溶媒を除去する方法は公知慣用の方法であればよく、例えば、加温したり、貧溶媒により溶媒置換したり、もしくは0℃以下に凍結した後、真空乾燥して溶媒を除去する方法等が挙げられる。
【0026】
なお、本発明で用いられる有機・無機複合ゲル中の水溶性有機高分子として、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)のように低温側で透明及び/又は膨潤状態、高温側で不透明及び/又は体積収縮状態となる臨界温度(Tc)を有し、Tcを境にした上下の温度変化により透明性や体積を可逆的に変化できる特徴を有するものを使用することができる。従って、この場合は、配向処理する有機・無機複合ゲルも、Tc以下の温度でポリマーが親水性を示す状態のものの他、Tc以上の温度に加熱して、ポリマー間の相互作用が疎水的になった状態を用いることもできる。
【0027】
本発明の有機・無機複合体は、その機械的、熱的、表面的、光学的、化学的性質などを活かして種々の分野で用いられる。具体的な例としては、高表面硬度、透明性、ガスバリヤ性、優れた摺動特性、高強度・高弾性率、耐熱性、低熱膨張率などを必要とするフィルム、塗膜、成形材料などとして利用される。
【0028】
【実施例】
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
【0029】
(参考例1)
粘土鉱物には、[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na+ 0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標名「ラポナイトXLG」日本シリカ株式会社製)を100℃で2時間真空乾燥して用いた。有機モノマーは、N−イソプロピルアクリルアミド(IPAA:興人株式会社製)を精製してから用いた。重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(PPS:関東化学株式会社製)をPPS/水=0.384/20(g/g)の割合で純水で希釈し、水溶液にして使用した。触媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA:関東化学株式会社製)をTMEDA/水=160μl/20gの割合で薄めて使用した。水はイオン交換水を蒸留した純水を用いた。水は全て高純度窒素を予めバブリングさせ含有酸素を除去してから使用した。
【0030】
20℃の恒温室において、内部を窒素置換した約500mlの平底ガラス容器に、純水169.6gを入れ、攪拌しながら6.62gのラポナイトXLGを加え、無色透明の溶液を調製した。これにIPAA20gを加え攪拌して無色透明溶液を得た。次いで、PPS水溶液10.6gとTMEDA水溶液20gを攪拌して加え、攪拌して無色透明溶液を得た。該溶液の一部を底の閉じた内径5.5mm長さ150mm、および内径1.2mm長さ150mmのガラス管容器に酸素にふれないようにして移した後、上部に密栓をし、20℃で15時間静置して重合を行った。また該溶液の一部を、100mm×150mm×1mmのアクリル製密閉容器に入れ、20℃、15時間静置し、重合を行った。更に、残りの該溶液100mlを平底ガラス容器内で20℃、15時間、強く撹拌しながら重合を行った。なお、これらの溶液調製から重合までの操作は全て酸素を遮断した窒素雰囲気下で行った。15時間後にガラス管容器内、アクリル製容器内、及び平底ガラス容器内に弾力性、タフネスのある無色透明・均一な棒状またはフィルム状のゲルが生成しており、容器から注意深く取り出した。
【0031】
得られたゲル中には、粘土鉱物などによる不均一又は不透明な凝集は何ら観測されなかった。ゲルを100℃の真空乾燥機で質量一定になるまで乾燥させることにより、{溶媒(C)/(水溶性有機高分子(A)+粘土鉱物(B))}×100=750質量%の水を含むヒドロゲルであることがわかった。有機架橋剤を全く使用していないにもかかわらず、透明でタフネスのあるヒドロゲルが得られたことから、水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が分子レベルで複合化した三次元網目を形成していると結論された。取り出したヒドロゲルを室温から50℃まで、無応力下にて乾燥して水分を除き、最終的に80℃で3時間真空乾燥することにより有機・無機複合体(ゲル乾燥体)を得た。無応力下で乾燥された有機・無機複合体は、内径5.5mm、長さ50mmの棒状ゲルを出発物質として用いた場合は直径3.3mm、長さ45mmに、また内径1.2mm、長さ50mmの棒状ゲルの場合は直径0.7mm、長さ46mmに、また厚みが2.2mm、長さと幅が40mmと35mmであるフィルム状ゲルの場合は、厚みが650μm、長さと幅が25mmと22mmの有機・無機複合体となった。
【0032】
有機・無機複合体のKBr法によるフーリエ変換赤外線吸収スペクトル(FT−IR)測定を行い(日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−550を使用)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)に固有な赤外線吸収(例えば1460cm−1、1550cm−1、1650cm−1、2920cm−1、2970cm−1)及びラポナイトXLGに固有な赤外線吸収(例えば460cm−1、650cm−1、1005cm−1)が観測された。また有機・無機複合体の熱重量分析(セイコー電子工業株式会社社製TG−DTA220:空気流通下、10℃/分で600℃まで昇温)を行い、粘土鉱物(B)/水溶性有機高分子(A)=0.333(質量比)を得た。
【0033】
以上から、参考例1で得られたゲルは、仕込み組成に沿った成分比を有する、有機高分子(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド))と粘土鉱物が分子レベルで複合化した三次元網目を形成した有機・無機複合ヒドロゲルであることが結論された。また、ゲルを無応力下、乾燥させることで、自然収縮したゲル乾燥体(有機・無機複合体)が得られることが示された。
【0034】
(参考例2)
水溶性有機モノマーとして、N−イソプロピルアクリルアミド20gのかわりにN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA:興人株式会社製)17.6gを精製して用いる以外は参考例1と同様にして、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)と粘土鉱物が、三次元網目を水中で形成してなる有機・無機複合ヒドロゲル、および該ヒドロゲルを乾燥して得られる有機・無機複合体を調製した。
【0035】
(参考例3、4)
粘土鉱物(水膨潤性ヘクトライト:ラポナイトXLG)を用いずに、有機架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド(BIS:関東化学株式会社製)を有機モノマーの1モル%用いること以外は、参考例1および参考例2と同様にして、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の有機架橋ヒドロゲル(参考例3)を、またポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)の有機架橋ヒドロゲル(参考例4)を調製した。
【0036】
(実施例1)
参考例1で得られた直径5.5mm、長さ50mmの棒状の有機・無機複合ヒドロゲル(水/ポリマーの質量比は10)を元の長さの5倍まで一軸延伸し、延伸した状態で長さを固定して、25℃、湿度50%で72時間保持して水分を除いた。その後、80℃で3時間真空乾燥して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と粘土鉱物(質量比=100:33.1)からなる有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は直径が710μm、長さが250mmの均一透明な固体であり、強靱で、90度の曲げ変形試験でも折れることはなく、直径1mmの金属棒に巻き付けても破断したり、傷つくことは無かった。また、島津製作所製万能試験機AGS−Hを用い、評点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分、測定温度=25℃の条件で引っ張り試験を行った結果、初期引っ張り弾性率=1.85GPa、引っ張り強度=155MPa、破断伸び=3.8%を示した。
【0037】
(実施例2)
参考例1で得られた均一、透明な厚み1mmのフィルム状有機・無機複合ヒドロゲルを長さ100mm、幅50mm、厚み1mmのフィルムに切り出し、長さ方向に元のゲルの長さの5倍まで延伸し、延伸した状態で長さを固定し、25℃、湿度50%で72時間保持して水分を除いた。その後、80℃で3時間真空乾燥して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と粘土鉱物(質量比=100:33.1)からなる有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は厚みが約50μmの無色透明な均一フィルムであり、強靱で、90度の曲げ変形試験でも折れることはなく、直径1mmの金属棒に巻き付けても破断したり、傷つくことは無かった。該有機・無機複合体(フィルム)の光透過率を日立計測社製紫外可視近赤外分光光度計UN−3500を用いて250〜900nmの波長範囲で測定した。波長370nm以上で透過率が90%以上の透明性を示した。また屈折率をアタゴ株式会社製アッベ屈折計2Tを用いて測定したところ、1.50の値が得られた。また、偏光顕微鏡(ニコン社製OPTIPHOTO2−POL)測定を行ったところ、直交ニコル条件下で明るくなる光学異方性を示すことが確認された。また該有機・無機複合体の動的粘弾性(温度依存性)をセイコー電子工業株式会社製DMA−200を用いて測定したところ、tanδの極大値から求められるガラス転移温度を147℃に示した。なお、それ以下の温度では貯蔵弾性率が10GPaでガラス状態を示し、それ以上の温度では貯蔵弾性率が1GPaのゴム状態を示した。
【0038】
(実施例3)
参考例1のかわりに参考例2で得られた有機・無機複合ゲルを用いることを除くと、実施例1と同様にして、長さ方向に元のゲルの長さの5倍まで延伸して固定し、乾燥した有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は直径が510μm、長さが250mmの均一透明な固体であり、強靱で、90度の曲げ試験および直径1mmの金属棒に巻き付けた試験でも、破断したり傷つくことは無かった。また、島津製作所製万能試験機AGS−Hを用い、評点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分、測定温度=25℃の条件で引っ張り試験を行った結果、初期引っ張り弾性率=1.41GPa、引っ張り強度=60.1MPaを示した。
【0039】
(実施例4)
延伸倍率が2倍であることを除くと実施例1と同様にして、有機・無機複合体を調製した。90度の曲げ試験で破壊することはなかった。実施例1と同様な引っ張り試験の結果、初期引っ張り弾性率=1.20GPa、引っ張り強度=45.4MPaを示した。
【0040】
(実施例5)
参考例1で得られた均一、透明な厚み1mmのフィルム状有機・無機複合ヒドロゲルを長さ50mm、幅50mm、厚み1mmのフィルムに切り出し、長さ方向に元の長さの2倍、幅方向に2倍まで延伸した。かかる二軸延伸した状態を保って、25℃、湿度50%で48時間保持して水分を除いた。その後、80℃で3時間真空乾燥して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と粘土鉱物(質量比=100:33.1)からなる有機・無機複合体を調製した。得られた有機・無機複合体は厚みが約32μmの均一透明なフィルムであり、強靱で、90度の曲げ変形試験でも折れることはなく、直径1mmの金属棒に巻き付けても破断したり、傷つくことは無かった。また、偏光顕微鏡測定では、直交ニコル条件下で明るい像が得られる光学異方性を示した。
【0041】
(実施例6)
実施例1の棒状ゲルを無応力下で自然収縮しながら乾燥させて得られた有機・無機複合体を、ガラス転移温度以上の200℃温度にて5倍に延伸し、延伸した状態で室温まで冷却する方法で、有機・無機複合体を調製した。該有機・無機複合体は90度の曲げ試験で破壊せず、また直径1mmの金属棒への巻き付け試験でも破断しなかった。偏光顕微鏡測定では、直交ニコル条件下で明るい像が得られる光学異方性を示した。
【0042】
(比較例1)
参考例1で得られた棒状の有機・無機複合ゲルを延伸および固定することなく乾燥して得られた有機・無機複合体(棒状:直径=3.3mm)を、実施例1と同様にして曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行ったが、有機・無機複合体は脆く、90度に至る前に破断した。また、直径1mmの金属棒への巻き付け試験では、巻き付く前に破断した。
【0043】
(比較例2)
参考例1で得られた棒状の有機・無機複合ゲルを延伸および固定することなく乾燥して得られた有機・無機複合体(棒状:直径=0.7mm)を、実施例1と同様にして曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行ったが、有機・無機複合体は脆く、90度に至る前に破断した。また、直径1mmの金属棒への巻き付け試験では、巻き付く前に破断した。更に、実施例1と同様にして引っ張り試験を行おうとしたが、脆くて測定に至る前に破断し、正確な値が得られなかった。
【0044】
(比較例3)
参考例1で得られた棒状の有機・無機複合ゲルを収縮を元のゲルの長さを保ったままの定長で乾燥した以外は実施例1と同様にして、曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行った。有機・無機複合体の直径=3.8mm、長さ=50mm。(延伸倍率=1.1倍)。該有機・無機複合体延伸物も90度の曲げ試験で破壊し、また直径1mmの金属棒への巻き付き試験でも巻き付く前に破断した。
【0045】
(比較例4)
参考例1で得られたフィルム状の有機・無機複合ゲルを延伸および固定することなく、自由収縮しながら乾燥して得られた有機・無機複合体フィルム(厚み=約200μm)を、実施例2と同様にして曲げ変形試験及び金属棒への巻き付け試験を行ったが、有機・無機複合体フィルムは脆く、90度に至る前に破断した。また、直径1mmの金属棒への巻き付き試験でも巻き付く前に破断した。更に、実施例2と同様にして動的粘弾性測定により求めたガラス転移温度(tanδの極大温度)は132℃であった。更に、該有機・無機複合体を直交ニコル条件下で偏光顕微鏡観察を行ったが、視野は暗く光学異方性は示さなかった。
【0046】
(比較例5,6)
比較例5では参考例3の有機架橋ゲルを、比較例6では参考例5の有機架橋ゲルを用いて、実施例1または実施例5と同様な方法で配向しようとしたが、ゲルが脆いため、延伸する前に、または定長での乾燥処理中に破壊し、いずれの方法でも乾燥ゲル配向物を調製することはいずれの場合も出来なかった。また、各有機架橋ゲルを固定することなく自由な状態で乾燥して有機架橋ゲル乾燥体を調製したものは、いずれも光学的異方性を示さず、また脆くて、曲げ変形試験では90度に至る前に、直径1mmの金属棒への巻き付け試験では巻き付く前にいずれも破断した。
【0047】
【発明の効果】
本発明の有機・無機複合体は、優れた機械的性質を有する。例えばゲルを自然乾燥して得られる未配向の有機・無機複合体と比べて、曲げ特性が大きく向上し、90度以上に曲げても破断しないなど取り扱い性が大幅に向上するほか、強度、弾性率などの力学物性も向上する。また、本発明の有機・無機複合体の全体において高い均一性、優れた透明性を有することが可能であり、光学的異方性を発現させることも可能である。その他、高表面硬度や摺動特性などの機械的性質、ガラス転移温度などの熱的性質、熱膨張係数などの熱機械的性質、更にはガスなどを遮蔽するガスバリア性などが向上する効果が得られる。特に、以上のような機械的柔軟性の向上が粘土鉱物の含有率にかかわらず、特に高い粘土鉱物含有率においても発現されることは有効である。
Claims (9)
- 水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)が三次元網目を形成し、且つ前記水溶性有機高分子(A)が少なくとも一軸方向に配向していることを特徴とする有機・無機複合体。
- 前記水溶性有機高分子(A)が、少なくとも一軸方向に1.3倍以上延伸されている請求項1に記載の有機・無機複合体。
- 前記粘土鉱物(B)/前記水溶性有機高分子(A)の質量比が0.01〜3である請求項1または2に記載の有機・無機複合体。
- 前記水溶性有機高分子(A)が、アクリルアミド系単量体単位及び/またはメタクリルアミド系単量体単位を含む重合物である請求項1または2に記載の有機・無機複合体。
- 粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを調製する過程、及び/または、該有機・無機複合ゲルを調製した後の過程において、外部応力を加えて前記有機・無機複合ゲルの水溶性有機高分子(A)を配向処理し、配向させた状態で溶媒の少なくとも一部を除去することを特徴とする有機・無機複合体の製造方法。
- 粘土鉱物(B)及び溶媒(C)共存下に、水溶性有機モノマー(A’)を重合させて水溶性有機高分子(A)と粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成した有機・無機複合ゲルを乾燥し、溶媒(C)を除去した後、水溶性有機高分子(A)のガラス転移温度以上の温度で延伸し、前記水溶性有機高分子(A)を配向させた状態でガラス転移温度未満の温度に冷却することを特徴とする有機・無機複合体の製造方法。
- 前記粘土鉱物(B)/前記水溶性有機高分子(A)の質量比が0.01〜3である請求項5または6記載の有機・無機複合体の製造方法。
- 前記水溶性有機高分子(A)が、アクリルアミド系単量体単位及び/またはメタアクリルアミド系単量体単位を含む重合物である請求項5または6記載の有機・無機複合体の製造方法。
- 前記水溶性有機高分子(A)と前記粘土鉱物(B)からなる三次元網目が、有機架橋剤を用いないで形成されている請求項5または6記載の有機・無機複合体の製造方法。
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