以下、本発明に係る環境認識装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、環境認識装置を自動車等の車両に搭載し、道路脇に設置された道路標識を撮像して最高速度等の有意情報を認識する場合について説明するが、これに限定されず、種々の用途に用いることができる。
[第1の実施の形態]
第1の実施形態に係る環境認識装置1は、図1に示すように、撮像手段2や距離検出手段6、統合処理手段10や算出手段11、マッチング処理手段12等を有する処理部9等を備えて構成されている。
なお、距離検出手段6等を含む処理部9の上流側の構成については、本願出願人により先に提出された特開2006−72495号公報等に詳述されており、構成の詳細な説明はそれらの公報に委ねる。以下、簡単に説明する。
本実施形態では、撮像手段2は、互いに同期が取られたCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサがそれぞれ内蔵され、例えば車両のルームミラー近傍に車幅方向に所定の間隔をあけて取り付けられた一対のメインカメラ2aおよびサブカメラ2bからなるステレオカメラであり、所定のサンプリング周期で撮像して、一対の画像を出力するように構成されている。
一対のカメラのうち、メインカメラ2aは運転者に近い側のカメラであり、例えば図2に示すような画像Tを撮像するようになっている。なお、以下では、このメインカメラ2aで撮像された画像Tについて各画素pの統合処理等を行う場合について説明する。また、サブカメラ2bで撮像された画像と区別するために、以下、メインカメラ2aで撮像された画像Tを基準画像T、サブカメラ2bで撮像された画像を比較画像という。
なお、本実施形態では、撮像手段2のメインカメラ2aおよびサブカメラ2bでは、それぞれモノクロの画像データDが取得されるようになっているが、RGB値等で表されるカラーの画像データを撮像する撮像手段を用いることも可能であり、その場合についても本発明が適用される。
また、本実施形態では、撮像手段2のメインカメラ2aおよびサブカメラ2bで基準画像Tや比較画像を撮像する場合、図2に示すように、基準画像T等の各水平ラインjの最も左側の画素から撮像を開始し、その後、順に右方向に走査していく。また、走査する水平ラインjを最も下側のラインから順に上方に切り替えながら撮像するようにして、各画素ごとに撮像された順に基準画像Tと比較画像の各画像データDがそれぞれ変換手段3に順次送信されるようになっている。
変換手段3は、一対のA/Dコンバータ3a、3bで構成されており、撮像手段2のメインカメラ2aおよびサブカメラ2bで各画素ごとに撮像された基準画像Tと比較画像の各画像データDがそれぞれ順次送信されてくると、各画像データDをそれぞれ例えば256階調のグレースケールの輝度としてのデジタル値の画像データDに変換して画像補正部4に出力するようになっている。
画像補正部4は、送信されてきた基準画像Tと比較画像の各画像データDに対してずれやノイズの除去、輝度の補正等の画像補正をそれぞれ順次行い、画像補正した基準画像Tと比較画像の各画像データDを画像データメモリ5に順次格納するとともに、処理部9に順次送信するようになっている。また、画像補正部4は、画像補正した基準画像Tと比較画像の各画像データDを距離検出手段6にも順次送信するようになっている。
距離検出手段6のイメージプロセッサ7では、基準画像Tと比較画像の各画像データに対して順次ステレオマッチング処理やフィルタリング処理を施して、実空間上の距離に対応する視差dpを基準画像Tの各画素ごとに順次算出するようになっている。
イメージプロセッサ7におけるステレオマッチング処理では、基準画像Tと比較画像Tcの各画像データDが送信されてくると、図3に示すように、基準画像T上に例えば3×3画素や4×4画素等の所定の画素数の基準画素ブロックPBを設定し、基準画素ブロックPBに対応する比較画像Tc中のエピポーララインEPL上の基準画素ブロックPBと同形の各比較画素ブロックPBcについて、下記(1)式に従って当該基準画素ブロックPBとの輝度パターンの差異であるSAD値を算出し、SAD値が最小の比較画素ブロックPBcを特定するようになっている。
SAD=Σ|D1s,t−D2s,t| …(1)
なお、上記(1)式において、D1s,tは基準画素ブロックPB中の各画素の画像データDを表し、D2s,tは比較画素ブロックPBc中の各画素の画像データDを表す。また、上記の総和は、基準画素ブロックPBや比較画素ブロックPBcが例えば3×3画素の領域として設定される場合には1≦s≦3、1≦t≦3の範囲、4×4画素の領域として設定される場合には1≦s≦4、1≦t≦4の範囲の全画素について計算される。
イメージプロセッサ7は、このようにして基準画像Tの各基準画素ブロックPBについて、特定した比較画素ブロックPBcの比較画像Tc上の位置と当該基準画素ブロックPBの基準画像T上の位置から視差dpを順次算出するようになっている。以下、基準画像Tの各画素に視差dpを割り当てた画像を距離画像という。また、このようにして各画素ごとに算出された視差dpの情報すなわち距離画像は、距離検出手段6の距離データメモリ8に順次格納されるとともに、処理部9に順次送信されるようになっている。
なお、実空間上で、前記一対のカメラ2a、2bの中央真下の道路面上の点を原点とし、自車両の車幅方向(すなわち水平方向)をX軸方向、車高方向(すなわち高さ方向)をY軸方向、車長方向(すなわち距離方向)をZ軸方向とした場合、実空間上の点(X,Y,Z)と、距離画像上の画素の座標(i,j)および視差dpとは、下記(2)〜(4)式で表される三角測量の原理に基づく座標変換により一意に対応付けることができる。
X=CD/2+Z×PW×(i−IV) …(2)
Y=CH+Z×PW×(j−JV) …(3)
Z=CD/(PW×(dp−DP)) …(4)
上記各式において、CDは一対のカメラの間隔、PWは1画素当たりの視野角、CHは一対のカメラの取り付け高さ、IVおよびJVは自車両正面の無限遠点の距離画像上のi座標およびj座標、DPは消失点視差を表す。
また、イメージプロセッサ7は、視差dpの信頼性を向上させる目的から、上記のようなステレオマッチング処理で得られた視差dpに対してフィルタリング処理を施し、有効とされた視差dpのみを出力するようになっている。
例えば、道路面の映像のみからなる特徴に乏しい4×4画素の基準画素ブロックPBに対して、比較画像Tc上でステレオマッチング処理を行っても、比較画像Tcの道路面が撮像されている部分ではすべて相関が高くなるため、対応する比較画素ブロックPBcが特定されて視差dpが算出されてもその視差dpの信頼性は低い。そのため、そのような視差dpはフィルタリング処理を施して無効とし、視差dpの値として0を出力するようになっている。
したがって、基準画像Tの各画素に、有効に算出された視差dpを割り当てて(すなわち対応付けて)距離画像Tzを作成すると、距離画像Tzは、例えば図4に示すように、基準画像T上で有意な特徴を有する部分である撮像対象の辺縁部分(エッジ部分)等に有効な視差dpが算出された画像となる。なお、距離画像Tzの作成においては、上記(4)式等に従って予め視差dpを距離Z等に換算し、距離Z等を基準画像Tの各画素に割り当てて作成するように構成することも可能である。
本実施形態では、処理部9の統合処理手段10や算出手段11、マッチング処理手段12等における各処理では、必要に応じて上記(4)式等に従って距離画像Tzの各画素における視差dpが実空間上の距離Zに変換されて用いられる。
なお、本実施形態では、上記のように、撮像手段2としてメインカメラ2aとサブカメラ2bとを備え、距離検出手段6は、それらで撮像された基準画像Tおよび比較画像Tcに対するステレオマッチング処理により基準画像Tの各画素について実空間上の距離Z(すなわち視差dp)を算出するように構成されているが、これに限定されず、撮像手段2は例えば単眼のカメラのように1枚の画像Tのみを出力するものであってもよい。
また、距離検出手段6は、当該画像Tの各画素について実空間上の距離Zを算出又は測定して画像Tの各画素に割り当てる機能を有していればよく、例えば自車両前方にレーザ光等を照射してその反射光の情報に基づいて画像Tに撮像された撮像対象までの距離Zを測定するレーダ装置等で構成することも可能であり、検出の手法は特定の手法に限定されない。
処理部9は、本実施形態では、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されている。処理部9は、統合処理手段10や算出手段11、マッチング処理手段12を備えているが、さらに、路面検出手段13や追跡手段14を備えている。
なお、処理部9において先行車両検出等の他の処理を行うように構成することも可能である。また、処理部9に、必要に応じて、車速センサやヨーレートセンサ、ステアリングホイールの舵角を測定する舵角センサ等のセンサ類からの測定値が入力されるように構成することも可能である。
ここで、本実施形態の処理部9の統合処理手段10や算出手段11、マッチング処理手段12等における処理について説明する前に、路面検出手段13における処理について説明する。
なお、以下の説明において、車線とは、追越し禁止線や路側帯と車道とを区画する区画線等の道路面上に標示された連続線や破線をいう。また、本実施形態では、以下に説明するように、路面検出手段13は、道路面に標示された車線を検出し、その検出結果に基づいて道路面を検出するように構成されているが、道路面を検出することができるものであれば以下に説明する形態に限定されない。
路面検出手段13は、撮像手段2により撮像された基準画像T中から自車両の左側および右側の車線を検出するようになっている。具体的には、路面検出手段13は、図5に示すように、基準画像Tを用いて、その1画素幅の水平ラインj上を例えば基準画像Tの中央から左右方向に探索し、輝度が隣接する画素の輝度から設定された閾値以上に大きく変化する画素を車線候補点cr、clとして検出する。
そして、基準画像T上の水平ラインjを1画素分ずつ上方にシフトさせながら、同様にして各水平ラインj上に車線候補点を検出していく。その際、路面検出手段13は、検出した車線候補点の視差dp等に基づいて当該車線候補点が道路面上にないと判断した場合には当該車線候補点を車線候補点から除外する。なお、この場合の道路面は、前回のサンプリング周期で検出した道路面に基づいてその後の自車両の挙動等から今回のサンプリング周期における道路面の位置が推定される。そして、残った車線候補点のうち、自車両に近い側の車線候補点に基づいて車線をハフ変換等により直線で近似して自車両の左右にそれぞれ検出する。
その際、ハフ変換では種々の直線が候補として算出されるが、例えば自車両の一方の側(例えば右側)に複数の車線が検出される場合には、自車両の他方(例えば左側)に検出した車線との整合性がある車線や、前回のサンプリング周期で検出した車線との整合性がある車線を選ぶ等して、自車両の左右にそれぞれ直線を選別する。
このようにして、自車両に近い側に車線を直線状にそれぞれ検出すると、それより遠い側ではその直線に基づいて直線との位置関係等から車線候補点を選別して結ぶことで、図6に示すように自車両の左側および右側にそれぞれ車線LR、LLを検出するようになっている。なお、以上の路面検出手段13の処理構成については、本願出願人が先に提出した特開2006−331389号公報等に詳述されており、詳細な説明は同公報等を参照されたい。
路面検出手段13は、このようにして検出した左右の車線位置LR、LLや車線候補点cr、cl等の情報を図示しないメモリに保存するようになっている。
また、路面検出手段13は、検出した左右の車線位置LR、LLや車線候補点の情報に基づいて車線モデルを三次元的に形成するようになっている。本実施形態では、路面検出手段13は、図7(A)、(B)に示すように、自車両の左右の車線を所定区間ごとに三次元の直線式で近似し、それらを折れ線状に連結して表現した車線モデルを形成するようになっている。なお、図7(A)は、Z−X平面上の車線モデルすなわち水平形状モデル、図7(B)は、Z−Y平面上の車線モデルすなわち道路高モデルを表す。
路面検出手段13は、このようにして車線モデルを形成して、実空間上における道路面を検出するようになっている。また、路面検出手段13は、このようにして形成した車線モデルの情報をそれぞれメモリに保存するようになっている。
次に、統合処理手段10や算出手段11、マッチング処理手段12等における処理について説明する。
統合処理手段10は、撮像手段2の一方のカメラから画像補正部4等を介して画像の各画素の画像データDが順次送信されてくると、隣接する複数の画素について、当該隣接する複数の画素の各画像データDに基づいて1つのグループに統合するか否かを判定し、統合すべきと判定した場合に1つのグループに統合するようになっている。
なお、本実施形態では、処理を行う対象として、撮像手段2のメインカメラ2aで撮像された基準画像Tを用いるように構成されているが、撮像手段2のサブカメラ2bで撮像された比較画像Tcを用いるように構成することも可能であり、また、その両方を用いるように構成することも可能である。
また、本実施形態では、統合処理手段10は、撮像手段2のメインカメラ2aから基準画像Tの各画素の画像データDが順次送信されてくると、入力された一の画素(以下、注目画素という。)の画像データDが所定の閾値Dth以上であり、かつ、注目画素と同一の画像中の、注目画素より以前に画像データDが送信された画素であって、注目画素に隣接する画素の画像データDも前記閾値Dth以上である場合に、注目画素と隣接する画素とを1つのグループに統合すべきと判定して統合するようになっている。
そして、統合処理手段10は、このように、基準画像T中で統合可能な隣接画素同士を統合していくようになっている。なお、上記の閾値Dthは、検出すべき道路標識の種類に応じて変更してもよく、また、道路標識の種類にかかわらず一定値に設定するように構成することも可能であり、適宜設定される。
以下、この統合処理手段10および算出手段11における処理を、図8および図9に示すフローチャートに従って説明する。
なお、本実施形態では、前述したように、撮像手段2から各画素の画像データDが順次出力され、変換手段3や画像補正部4でそれぞれ処理が行われ、処理された各画像データDが、順次、処理部9に送信されるが、処理部9では、各画像データDが順次入力するのと同時並行的に以下の処理が行われる。そのため、1画像分の全画素の画像データDの入力を待たずに入力と同時並行で処理を行うことが可能となるため、統合処理手段10や算出手段11における処理をリアルタイムで行うことが可能となる。
また、以下の説明では、例えば図2に示した基準画像Tにおける画素について、基準画像Tの左下隅の画素を原点とし、右向きにi軸、上向きにj軸をとった場合の画素の座標(i,j)を用いて、画素pi,jのように表す。また、画素pi,jの画像データDをDi,jのように表す。
統合処理手段10は、まず、撮像手段2により撮像が開始されると(図8のステップS1)、iおよびjの値をそれぞれ0に設定する(ステップS2)。前述したように、撮像手段2で撮像された水平ライン0(すなわちj座標が0の各画素からなる水平ラインj)上の左端の画素p0,0(すなわち原点の画素)の画像データD0,0の処理部9への入力が開始されると(ステップS3)、続いて、画素p1,0、p2,0、p3,0、…の画像データD1,0、D2,0、D3,0、…が順次入力される。
そして、統合処理手段10は、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了していなければ(ステップS4;NO)、処理が繰り返されるごとにi座標を1ずつインクリメントして(ステップS5)、設定した注目画素pi,j(ステップS6)を水平ラインj上の右隣の画素に移動させながら処理を続ける。
また、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了すると(ステップS4;YES)、基準画像Tの最上段の水平ラインまで処理が終了していなければ(ステップS7;NO)、処理を行う水平ラインjを1行上方の水平ラインj+1に移行させ、注目画素のi座標を0に設定して(ステップS8)、画素p0,j+1を注目画素として(ステップS6)処理を行い、注目画素を画素p0,j+1から順に右側に移動させながら処理を続行する。
次に、注目画素を画素pi,jに設定(ステップS6)した後の統合処理手段10における処理(図9のステップS9以降)について説明する。
統合処理手段10は、まず、注目画素pi,jの画像データDi,jが前記閾値Dth以上であるか否かの判定を行い(ステップS9)、注目画素pi,jの画像データDi,jが閾値Dth未満であると判定すると(ステップS9;NO)、以下の各処理をスキップして図8のステップS4の判定処理に戻る。
また、注目画素pi,jの画像データDi,jが閾値Dth以上であると判定すると(ステップS9;YES)、統合処理手段10は、続いて、図10に示すように、注目画素pi,jが入力されるより以前に入力されており、注目画素pi,jの左に隣接する画素pi-1,jについて、その画像データDi-1,jが閾値Dth以上であるか否かの判定を行う(ステップS10)。
そして、統合処理手段10は、左に隣接する画素pi-1,jの画像データDi-1,jも閾値Dth以上であると判定した場合には(ステップS10;YES)、続いて、図11に示すように、注目画素pi,jが入力されるより以前に入力されており、注目画素pi,jの下に隣接する画素pi,j-1について、その画像データDi,j-1が閾値Dth以上であるか否かの判定を行う(ステップS11)。
統合処理手段10は、下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1が閾値Dth未満であると判定した場合には(ステップS11;NO)、注目画素pi,jを、下に隣接する画素pi,j-1とは統合しないが、ステップS10の判定処理で左に隣接する画素pi-1,jの画像データDi-1,jは閾値Dth以上であると判定しているため、注目画素pi,jと左に隣接する画素pi-1,jとを1つのグループに統合すべきと判定して統合する(ステップS12)。
なお、上記のステップS10やS11の判定処理や、後述するステップS14の判定処理において、注目画素pi,jの視差dpに基づいて上記(4)式に従って算出される実空間上の距離Zi,jと、隣接する画素pの視差dpに基づいて算出される実空間上の距離Zpとが例えば予め設定された閾値以上であり、注目画素pi,jや隣接する画素pに対応する実空間上の各点が大きく離れている場合には、各ステップの判定基準をクリアしても1つのグループに統合しないように構成することも可能である。
一方、統合処理手段10は、ステップS11の判定処理で、下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1が閾値Dth以上であると判定した場合には(ステップS11;YES)、注目画素pi,jと、下に隣接する画素pi,j-1と、左に隣接する画素pi-1,jとを1つのグループに統合する(ステップS13)。
その際、例えば図12(A)に示すように、下に隣接する画素pi,j-1がグループg1に属し、左に隣接する画素pi-1,jが他のグループg2に属している場合、注目画素pi,jと下に隣接する画素pi,j-1と左に隣接する画素pi-1,jとを統合すると(ステップS13)、図12(B)に示すように、注目画素pi,jを介してグループg1とグループg2とが1つのグループgに統合される。
一方、統合処理手段10は、ステップS10の判定処理で、左に隣接する画素pi-1,jの画像データDi-1,jは閾値Dth未満であると判定した場合には(ステップS10;NO)、ステップS14の判定処理に進み、上記と同様に、注目画素pi,jの下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1が閾値Dth以上であるか否かの判定を行う(ステップS14)。
そして、統合処理手段10は、下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1が閾値Dth以上であると判定した場合には(ステップS14;YES)、ステップS10の判定処理で左に隣接する画素pi-1,jの画像データDi-1,jは閾値Dth未満であると判定しているため(ステップS10;NO)、注目画素pi,jを、左に隣接する画素pi-1,jとは統合せず、下に隣接する画素pi,j-1のみと統合して1つのグループとする(ステップS15)。
統合処理手段10は、ステップS12、S13、S15の処理で、注目画素pi,jを隣接する画素と統合すると、拡大したグループgの画素数を更新し、グループgの左端、右端の画素の各座標や上端、下端の画素の各座標に変更があれば更新する。また、例えば図12(B)に示したように、複数のグループが統合されて1つのグループとされた場合には、1つに統合されたグループgのグループ番号を、統合の対象となった複数のグループの各グループ番号のうちの例えば最も小さい番号を選択して更新する(ステップS16)。
また、統合処理手段10は、注目画素pi,jを追加して拡大したグループgや、複数のグループを統合して1つとしたグループgに属する全画素の画像データDの平均値Daveを算出して更新し、また、グループgに属する各画素の視差dpに基づいて上記(4)式に従ってそれぞれ実空間上の距離Zを算出し、その平均値Zave(以下、平均距離Zaveという。)を算出して更新する(ステップS17)。
なお、距離検出手段6におけるフィルタリング処理で視差dpが無効とされ、視差dpの値として0が割り当てられている画素については、実空間上の距離Zを算出できないため、平均距離Zaveの算出には用いられない。また、統合処理手段10は、ステップS17の処理を終了すると、ステップS4の判定処理以降の処理を続行する。
一方、統合処理手段10は、ステップS14の判定処理で、注目画素pi,jの下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1が閾値Dth未満であると判定した場合には(ステップS14;NO)、注目画素pi,jを、左に隣接する画素pi-1,jとも下に隣接する画素pi,j-1とも統合せず、注目画素pi,jのみが属する新たなグループとして登録する(ステップS18)。そして、この新規のグループに新たなグループ番号を付し、グループの画素数を1とし、左右端、上下端の画素の各座標をそれぞれ注目画素pi,jの座標(i,j)として記録する。
また、統合処理手段10は、ステップS14の判定処理で下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1が閾値Dth未満であると判定し(ステップS14;NO)、注目画素pi,jを下に隣接する画素pi,j-1と統合しなかった結果、今後の処理で新たな画素が追加される可能性がなくなり、基準画像T上で孤立した状態となったグループgが発生したか否かを判定する(ステップS19)。
例えば、図13に示すようなグループgの場合、今後の処理で、注目画素が同じ水平ラインj上のさらに右側に設定されても、或いは、処理される水平ラインjが1行上方の水平ラインj+1に移行されても、もはや注目画素がグループgに統合される可能性はない。そのため、図13に示したようなグループgが、基準画像T上で孤立した状態となったグループgとなる。
統合処理手段10は、このように、基準画像T上で孤立した状態となったグループgが発生したと判定すると(ステップS19;YES)、続いて、そのグループgに属する全画素の画素数が予め設定された閾値以下か否かを判定し(ステップS20)、画素数が閾値以下であると判定すると(ステップS20;YES)、そのグループgを登録されたグループの中から削除する(ステップS21)。このような画素数が小さい孤立したグループは、基準画像T中に生じたノイズ等のように無視してよいグループであるからである。
また、統合処理手段10は、孤立したグループgが発生していないと判定した場合や(ステップS19;NO)、孤立したグループgが発生してもその画素数が閾値より多く、比較的大きなグループである場合には(ステップS20;NO)には、そのグループgを登録されたグループの中から削除せず、ステップS4の判定処理以降の処理を続行する。
そして、統合処理手段10は、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了し(図8のステップS4;YES)、基準画像Tの最上段の水平ラインまで処理が終了すると(ステップS7;YES)、基準画像Tの1画像分の処理を終了し、各グループに属する各画素の各座標(i,j)や画素数、左右端の画素の各座標、上下端の画素の各座標等の情報を図示しない記憶手段に保存する。
また、その際、例えば、各グループの左右端の画素位置の中間点をi座標とし、上限端の画素位置の中間点をj座標とする中心点を各グループごとに算出して記憶手段に保存するように構成することも可能である。
次に、処理部9の算出手段11では、統合処理手段10で統合して得られた各グループgについて、それらのグループgに属する各画素pの視差dpに基づき上記(4)式に従って各画素pに対応する実空間上の距離Zpを算出し、さらに、各画素pの基準画像T上での画素位置(ip,jp)と算出した距離Zpに基づき上記(2)、(3)式に従って実空間上のX座標XpおよびY座標Ypを算出する。すなわち、各画素pに対応する実空間上の位置(Xp,Yp,Zp)をそれぞれ算出する。
そして、グループgに属する各画素pの実空間上の各位置(Xp,Yp,Zp)に基づいて、グループgの実空間上のX軸方向の大きさ(すなわちX軸方向の幅)およびY軸方向の大きさ(すなわちY軸方向の幅)を算出する(図8のステップS22)。そして、算出手段11は、この処理を、得られた全てのグループgについて行い、算出した実空間上の大きさを各グループgにそれぞれ対応付けて記憶手段に保存するようになっている。
また、本実施形態では、算出手段11は、各グループgの実空間上の大きさのほか、各グループgの形状や実空間上の高さ、実空間上の傾きを算出するようになっている。
各グループgの形状については、本実施形態では、算出手段11は、各グループgが基準画像T上で占める画素領域の形状に基づいて特定するようになっている。そして、グループgの基準画像T上の縦方向の1列ごとの画素数または横方向の1行ごとの画素数を算出し、その横方向または縦方向の変化量に基づいて各グループgの形状を特定するようになっている。
すなわち、例えば最高速度制限を表す道路標識が撮像されたグループgの場合、道路標識は円形状であるため、グループgが基準画像T上で占める画素領域の形状も円形状になる。そのため、例えばグループgが占める画素領域の基準画像T上の横方向の1行ごとの画素数を、各行を例えば基準画像Tの縦方向に移動させながら順次算出していき、各行ごとの画素数が増加する状態が続いた後、減少に転じるように変化した場合には、グループgの形状が円形状であると特定される。
なお、少なくとも道路標識に関しては、その形状が、上記のような円形状(○)である場合だけでなく、三角形状(△、▽)や方形状(◇、□)である場合もあり、それらの場合も、上記のようにグループgが占める画素領域の横方向(または縦方向)の1行(または1列)ごとの画素数の分布は、基準画像Tの縦方向(または横方向)に見た場合、増加する状態が続いた後、減少に転じる。
そのため、グループgの形状をさらに円形状等に限定するために、より詳しい解析を行うように構成することも可能である。しかし、本実施形態では、処理の迅速化を図る目的から、少なくとも、上記のような画素数の分布形状を有するグループgを、後述するマッチング処理手段12におけるテンプレートマッチングの対象となる形状を有するグループとして特定し、各グループgに処理の対象とすることを表すラベルを付して記憶手段に保存するようになっている。
また、例えば瓢箪状の形状等のように、上記のような画素数の分布形状を有しないグループgについては、テンプレートマッチングの対象としないグループとして特定するようになっている。その際、各グループgに処理の対象としないことを表すラベルを付して記憶手段に保存するように構成してもよい。
なお、本実施形態では、算出手段11は、各グループgに属する各画素の中に、当該グループgに属する他の画素に対応する距離Zとの差が、所定の閾値以上に離れている実空間上の距離Zpを有する画素pが存在する場合には、そのグループgについては形状の算出を中止するようになっている。この場合、当該グループgには、処理の対象とすることを表すラベルは付さない。
このような場合、1つのグループgとして統合された各画素pの中に、複数の異なる撮像対象が撮像された画素pが混在する状態であると考えられるため、グループgの形状は例えば1つの道路標識の形状を表すものではなく、テンプレートマッチングの対象とすべきでないためである。
各グループgの実空間上の高さについては、本実施形態では、算出手段11は、上記のようにして算出したグループgに属する各画素pに対応する実空間上の各点の高さYpと、路面検出手段13が検出した距離Zpにおける道路面の高さY*の差分を算出して、各点の道路面からの高さYp−Y*を算出する。そして、各点の道路面からの高さYp−Y*の平均値や最小値を算出し、それらをグループgの高さとして各グループgにそれぞれ対応付けて記憶手段に保存するようになっている。
なお、実空間上の距離Zにおける道路面の高さY*は、図7(B)に示したように、各区間ごとの上記の車線モデルから線形補間する等して求めることができる。また、車線モデルは、路面検出手段13によって今回のサンプリング周期における車線モデルが検出されていればそれを用い、今回のサンプリング周期での車線モデルが検出されていなければ、前回のサンプリング周期で検出した車線モデルに基づいてその後の自車両の挙動等から今回のサンプリング周期における車線モデルが推定されて用いられる。
各グループgの実空間上の傾きについては、本実施形態では、算出手段11は、上記のようにして算出したグループgに属する各画素pに対応する実空間上の各点の分布の水平方向に対する距離方向の傾きや高さ方向に対する距離方向の傾きとして算出するようになっている。
具体的には、グループgに属する各画素pに対応する実空間上の各点(Xp,Yp,Zp)をX−Z平面にプロットすると、例えば図14に示すようにプロットすることができ、この各点の分布を直線近似する等して、各点の分布の水平方向(X軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きθを算出することができる。
また、グループgに属する各画素に対応する実空間上の各点をY−Z平面にプロットすると、例えば図15に示すようにプロットすることができ、各点の分布を直線近似する等して、各点の分布の高さ方向(Y軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きφを算出することができる。
算出手段11は、このようにして算出した実空間上の傾きθ、φを各グループgにそれぞれ対応付けて記憶手段に保存するようになっている。
一方、統合処理手段10で上記のようにして隣接する画素pを統合してグループgを得る場合、基準画像T中にノイズ等が入っていると、1つの道路標識等の撮像対象に対応して本来1つのグループに統合されるべき画素領域が、そのノイズ等の影響で複数のグループg1、g2、…に分割されてしまう場合がある。
そこで、この問題を解消するためには、本実施形態では、算出手段11は、統合処理手段10が上記のようにして隣接する画素を統合して各グループgを得た後、必要に応じて、統合処理手段10での統合処理により得られた各グループgのうち複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合するようになっている(図8のステップS23)。
複数のグループg1、g2、…を統合する処理としては、例えば、得られた各グループg1、g2、…の中から2つのグループg1、g2を選出して統合できるか否かを判定し、統合した場合には、統合して1つのグループとされたグループgについても他のグループとさらに統合できるか否かを判定するようにして、各グループg1、g2、…を統合していくように構成することができる。
また、複数のグループg1、g2、…を統合する基準として、本実施形態では、基準画像T上で接していない複数のグループg1、g2、…について、各グループg1、g2、…に属する各画素pの画像データD(本実施形態では輝度)や、各グループg1、g2、…に属する各画素pに対応する実空間上の距離Zp等に基づいて、複数のグループg1、g2、…を1つのグループに統合するか否かを判定し、統合すべきと判定した場合に1つのグループgに統合して、マッチング処理手段12におけるテンプレートマッチングの対象とするようになっている。
具体的には、例えば、複数のグループg1、g2、…について、各グループg1、g2、…に属する各画素pの画像データDのグループg1、g2、…ごとの平均値Daveの差が所定の閾値以下で、差が小さい場合には、複数のグループg1、g2、…を1つのグループに統合すべきである可能性が高い。また、各グループg1、g2、…に属する各画素pに対応する実空間上の距離Zpのグループg1、g2、…ごとの平均距離Zaveの差が所定の閾値以下で、差が小さい場合にも、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合すべきである可能性が高い。
また、最高速度制限を表す道路標識が撮像されたグループgを抽出する場合、円形状の道路標識の直径は60cm程度であるから、仮に複数のグループg1、g2、…を統合した場合の統合されたグループgの実空間上の大きさが直径60cmの円内に収まる場合にも、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合すべきである可能性が高い。
さらに、仮に複数のグループg1、g2、…を統合した場合の統合されたグループgの実空間上の形状が直径60cmの円内に収まる場合にも、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合すべきである可能性が高い。
また、最高速度制限を表す道路標識は道路面から1m程度の高さに設置されるから、仮に複数のグループg1、g2、…を統合した場合の統合されたグループgの実空間上での道路面からの高さが1m程度である場合にも、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合すべきである可能性が高い。なお、グループの実空間上の高さは、グループの中心点またはグループ中の最も低い位置について算出される。
また、道路標識の有意情報(例えば最高速度)が標示される面は平面状であるから、複数のグループg1、g2、…の水平方向(X軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きθ(図14参照)や高さ方向(Y軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きφ(図15参照)が互いに大きく異なる場合には統合すべきではないが、傾きθや傾きφが互いに近接する値である場合には、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合すべきである可能性が高い。
算出手段11は、上記のような基準に従い、それぞれ予め設定された閾値に基づいて、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合するか否かを判定し、統合すべきと判定した場合に1つのグループgに統合して、マッチング処理手段12におけるテンプレートマッチングの対象とするようになっている。
なお、複数のグループg1、g2、…を統合した場合の統合されたグループgの大きさは、複数のグループが例えば図16に示したグループg1、g2である場合、図8のステップS22における処理と同様に、グループg1、g2に属する全画素pの実空間上の各位置(Xp,Yp,Zp)のうち、最も右側にある位置のX座標Xmaxと最も左側にある位置のX座標Xminとの差すなわちX軸方向の幅が統合されたグループgの実空間上のX軸方向の大きさとして算出され、最も上側にある位置のY座標Ymaxと最も下側にある位置のY座標Yminの差すなわちY軸方向の幅が統合されたグループgの実空間上のY軸方向の大きさとして算出される。
また、複数のグループg1、g2、…を統合した場合の統合されたグループgの形状も、図8のステップS22における処理と同様にして、仮に統合された場合のグループgが基準画像T上で占める画素領域の形状に基づいて算出される。そして、統合されたグループgの基準画像T上の縦方向の1列ごとの画素数または横方向の1行ごとの画素数を算出し、その横方向または縦方向の変化量に基づいてグループgの形状が特定される。
さらに、算出手段11における各グループgについての形状等の算出や、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合するか否かの判定において、各グループgや統合されたグループgの形状や実空間上の高さ、実空間上の傾き等の全てを算出するように構成すると、演算負荷が重くなり、処理の高速化を図ることができなくなる場合があるため、上記の演算処理のうちいずれかの演算処理を行うかは適宜選択して設定される。
算出手段11は、上記のように、複数のグループg1、g2、…を1つのグループgに統合した場合には、統合処理手段10における統合処理のステップS16、S17の処理と同様に、統合して形成されたグループgの画素数やグループ番号を更新し、グループgの左端、右端の画素の各座標や上端、下端の画素の各座標に変更があれば更新する。
また、算出手段11は、統合して形成されたグループgに属する全画素の画像データDの平均値Daveを算出して更新し、グループgに属する各画素の視差dpに基づいて上記(4)式に従ってそれぞれ算出した実空間上の距離Zの平均値Zaveすなわち平均距離Zaveを算出して更新するようになっている。
次に、本実施形態におけるマッチング処理手段12でのテンプレートマッチングについて説明する。
マッチング処理手段12には、例えば図17に示すようなテンプレートTeが予め用意されている。本実施形態では、基準画像T中から、最高速度制限標識における有意情報を抽出して有意情報の内容である最高速度を認識するために、「30」、「40」、「50」、「60」、「80」の各有意情報(最高速度)に対応する複数種類の各テンプレートTeが用意されている。
なお、この他にも、一時停止や徐行、車両通行止、駐車禁止、追越し禁止等の道路標識における有意情報の内容を認識する場合には、それらの道路標識における有意情報に対応するテンプレートが用意され、また、その他の物体等における有意情報の内容を認識する場合には、それらの物体等における有意情報に対応するテンプレートが用意されることは言うまでもない。
そして、マッチング処理手段12は、本実施形態では、統合処理手段10での統合処理により得られた各グループgや、算出手段11で複数のグループg1、g2、…が統合されて形成されたグループgの全てのグループgに対してテンプレートマッチングを行うのではなく、所定の条件を満たすグループgについてのみテンプレートマッチングを行うようになっている。
本実施形態では、まず、グループgの実空間上の大きさが、所定の大きさ、すなわち例えば縦横の大きさがそれぞれ60cm以下(或いは多少余裕を持たせて80cm以下等としてもよい。)のグループgのみをテンプレートマッチングの対象とし、大きさがそれより大きなグループgに対してはテンプレートマッチングを行わないようになっている。なお、大きさの範囲に下限を設けてもよい。
また、実空間上の高さYp−Y*が、所定の高さ、すなわち例えば1m以上(或いは多少余裕を持たせて0.8m以上等としてもよい。)のグループgのみをテンプレートマッチングの対象とし、高さがそれより低いグループgに対してはテンプレートマッチングを行わないように構成してもよい。なお、高さの範囲に上限を設けてもよい。
また、形状が、所定の形状、すなわち例えば円形状であるグループgのみをテンプレートマッチングの対象とし、円形状でないグループgに対してはテンプレートマッチングを行わないように構成してもよい。なお、前述したように、本実施形態では、グループgの形状に関しては、算出手段11における処理で、テンプレートマッチングの対象となる形状を有するグループgにはラベルが付されているため、マッチング処理手段12は、少なくともグループgの形状に関してはそのラベルを参照して判断するようになっている。
また、実空間上の水平方向(X軸方向)や高さ方向(Y軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きθ、φが、所定の傾き、すなわち傾きθ、φ(図14、図15参照)がそれぞれ0°近傍の値を有するグループgのみをテンプレートマッチングの対象とし、傾きθ、φがその範囲を越えるグループgに対してはテンプレートマッチングを行わないように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば、自車両の進行方向に略平行に設けられた壁等に描かれた模様等に対応するグループgの水平方向(X軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きθは90°に近い値として検出されるが、このような場合には、少なくとも自車両に対して最高速度制限を標示する道路標識ではないからテンプレートマッチングを行う必要はない。そのため、そのような場合にテンプレートマッチングを行わないように構成すれば、テンプレートマッチングに要する時間を短縮することが可能となり、テンプレートマッチングの高速化を図ることが可能となる。
次に、マッチング処理手段12は、上記のようにして処理の対象としたグループgに対してグループgごとにテンプレートマッチングを行う。その際、前述したように、基準画像T中に撮像された道路標識等の処理対象の画像中での見かけ上の大きさは、撮像手段2と処理対象との実空間上の距離に応じて変わるため、グループgごとに、当該グループgまたはテンプレートTeのいずれかを正規化して適用してテンプレートマッチングを行うようになっている。
なお、正規化とは、グループgやテンプレートTeを互いに比較できる形にすることをいい、例えば、一方が縦横10×10画素であり他方が20×30画素であるとき、後者を正規化する場合、縦方向には2画素を1画素とするように変換し、横方向には3画素を1画素とするように変換して10×10画素にすることをいう。
また、以下では、グループgにあわせてテンプレートTeを正規化する場合について説明するが、テンプレートTeにあわせてグループg側を正規化するように構成することも可能であり、同様に説明される。
さらに、本実施形態では、テンプレートマッチングとして、正規化したテンプレートTeにおける各画素(m,n)における正規化されたデータ値をTm,n、それと比較されるグループgの画素領域の各画素(m,n)における画像データDをDm,nと表す場合に、比較位置での一致度Mを、
M=Σ(Dm,n−Tm,n)2 …(5)
で計算する一般的なテンプレートマッチングを行うように構成されているが、グループgに対してテンプレートTeを適用して一致度を算出し得る手法であれば、後述するように、他の改良されたテンプレートマッチングの手法等を用いることも可能である。
本実施形態では、テンプレートTeを正規化する場合、マッチング処理手段12は、テンプレートマッチングを行う対象であるグループgの実空間上の距離Zすなわちグループgの平均距離Zaveに基づいて、テンプレートTeを正規化して適用するようになっている。
この場合、例えば、最高速度制限を表す直径60cmの円形状の道路標識の中に、最高速度を表す有意情報としての数字は、横幅で30cm程度に標示される。そのため、図17に示したテンプレートTeでは横方向の2点Ps、Pe(以下、開始点Psおよび終了点Peという。)間の画素数が20であるが、この画素数を、グループgの平均距離Zaveにおける横幅30cmに相当する画素数Δiに変換して正規化する。
ここで、グループgの平均距離Zaveにおける横幅30cmに相当する画素数Δiは、以下のようにして算出される。すなわち、正規化した後のテンプレートTeの開始点Psと終了点Peの横方向の座標を仮にiPs、iPeとすると、求めるべき画素数Δiは、
Δi=iPe−iPs …(6)
と表される。
また、iPs、iPeに対応する実空間上の各点のX座標をXPs、XPeとした場合、上記(2)式から、
XPs=CD/2+Zave×PW×(iPs−IV) …(7)
XPe=CD/2+Zave×PW×(iPe−IV) …(8)
の関係が成り立ち、差XPe−XPsが30cmになる。
そこで、(6)式〜(8)式から、
30cm=Pe−XPs
=Zave×PW×(iPe−iPs)
=Zave×PW×Δi
すなわち、
Δi=30cm/(Zave×PW) …(9)
が成り立つため、図17に示した横方向の開始点Psから終了点Peまでの画素数が20のテンプレートTeを、横方向の画素数がΔiになるように変換する。
また、図17に示したテンプレートTeのように、テンプレートTeが最高速度制限を表す道路標識に標示される最高速度の数字の表示と縦横比が同じになるように予め形成されていれば、テンプレートTeを縦方向についても横方向と同じ比率で変換する。本実施形態では、マッチング処理手段12は、このようにしてテンプレートTeの縦方向および横方向の画素数を変換してテンプレートTeを正規化するようになっている。
なお、最高速度制限を表す道路標識が撮像手段2に正対するように設置されておらず、図14や図15に示したように、道路標識が撮像されたグループgの実空間上での水平方向(X軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きθや高さ方向(Y軸方向)に対する距離方向(Z軸方向)の傾きφが0°でない有意な値を有するように検出される場合もある。
そこで、テンプレートTeを正規化する際に、グループgの実空間上の傾きθ、φに基づいて縦方向や横方向の画素数の変換比率をそれぞれ独立に変えて、テンプレートTeを正規化して適用するように構成することも可能である。このように構成すれば、何らかの原因で自車両に搭載された撮像手段2に対して傾きを有するように設置された道路標識の最高速度等の有意情報に対してテンプレートTeを的確に適用することが可能となり、テンプレートマッチングをより的確に行うことが可能となる。
マッチング処理手段12では、上記のようにして正規化したテンプレートTeを、テンプレートマッチングの対象として選択した各グループgが例えば図18に示すような基準画像T上で占める画素領域のみに適用して、テンプレートマッチングを行うように構成することが可能である。この場合、テンプレートマッチングを行う画素領域が、グループgの画素領域のみに限定されるため、テンプレートマッチングを迅速に行うことが可能となる。
しかし、本実施形態では、さらに、算出されているグループgの実空間上の大きさに基づいて、グループgに対して正規化されたテンプレートTeを適用する位置を算出し、その画素領域にテンプレートTeを1回だけ適用してテンプレートマッチングを行うようになっている。このように構成することで、1つのテンプレートTeにつき各グループgに1回ずつ適用してテンプレートマッチングを行うことが可能となり、テンプレートマッチングを非常に高速に行うことが可能となる。
そして、マッチング処理手段12は、上記のようにして、基準画像T上で得られたグループgのうち、テンプレートマッチングの対象とした全グループgについて、各テンプレートTeを適用してテンプレートマッチングを行う。
その際、グループgごとにグループgの実空間上の距離Zすなわちグループgの平均距離Zaveが異なるため、マッチング処理手段12は、まず、テンプレートマッチングを行う1つのグループgaを選択して、そのグループgaについて上記(9)式から変換比率を算出する。
そして、図17に示した「50」のテンプレートTeや「30」、「40」、「60」、「80」等の他のテンプレートTeをそれぞれ変換し正規化して当該グループgaに適用してテンプレートマッチングを行い、上記(5)式に従って各テンプレートTeの当該グループgaに対する一致度Mga(30)、Mga(40)、Mga(50)、Mga(60)、Mga(80)をそれぞれ計算する。
また、テンプレートマッチングを行うグループgを変え、そのグループgに対する変換比率を算出し、各テンプレートTeをそれぞれ変換し正規化してグループgに適用してテンプレートマッチングを行い、各テンプレートTeのグループgに対する各一致度Mを計算する処理を、テンプレートマッチングの対象とした全グループgについて行う。
そして、マッチング処理手段12は、テンプレートマッチングの対象とした各グループgに対して計算した各テンプレートTeの全ての一致度Mの中から、最良の一致度Mbest、すなわち上記(5)式で一致度Mを計算する場合には、最小の一致度Mbestを抽出する。
このようにして各テンプレートTeを適用してテンプレートマッチングを行うと、いずれかのテンプレートTeで最良の一致度Mbestが算出されるが、そもそも基準画像T中に最高速度制限を表す道路標識が撮像されていない場合には、最良の一致度Mbestはさほど良い値にはならない。
そこで、本実施形態では、予め最良の一致度Mbestに所定の閾値を設けておき、算出した最良の一致度Mbestが閾値より良い値ではない場合、すなわち上記(5)式で一致度Mを計算する場合には閾値より小さい値でない場合には、マッチング処理手段12は、基準画像T中に最高速度制限を表す道路標識が撮像されていないと判定し、算出した最良の一致度Mbestが閾値以下の良い値である場合には、基準画像T中に最高速度制限を表す道路標識が撮像されていると判定するようになっている
そして、マッチング処理手段12は、算出した最良の一致度Mbestが閾値以下の良い値である場合には、最良の一致度Mbestを算出したテンプレートTeを選定し、そのテンプレートTeに対応付けられた情報、すなわち例えば図17に示したテンプレートTeを検出した場合には50km/hを、現在検出の対象としている最高速度制限を表す道路標識に標示された有意情報の内容として認識するようになっている。
また、マッチング処理手段12は、最良の一致度Mbestが算出されたグループgをその有意情報の内容が標示された道路標識が基準画像T上に撮像された画素領域であると判定して、その有意情報の内容とともに、そのグループgのグループ番号や基準画像T上での左右端、上下端の画素の各座標、グループgの実空間上の平均距離Zave等の情報を、有意情報と対応付けて記憶手段に保存するようになっている。
なお、上記のように、本実施形態では、グループgの実空間上の距離Zすなわちグループgの平均距離Zaveに基づいてテンプレートTeを正規化して適用する場合について説明したが、グループgおよびその内部の画素領域に属する各画素pの画像データD(例えば輝度)に基づいてテンプレートTeを正規化し、グループgに対してテンプレートTeを適用する画素位置を特定するように構成することも可能である。
ここで、グループgの内部の画素領域とは、例えば、図16に示したようにグループg1、g2が統合されて1つのグループとされた場合の元のグループg1、g2の間隙部分の画素領域rinや、図18に示したように、グループgに周囲を包囲された画素領域rinをいう。そして、この場合、内部の画素領域rinに属する各画素pの画像データDについても、グループgに属する各画素pの画像データDと同等に扱う。
具体的には、グループgおよびその内部の画素領域rinに属する各画素pを横方向に探索し、各画素pの画像データDに基づいて、テンプレートTeの開始点Psおよび終了点Pe(図17参照)と一致する各画素エッジps、peをそれぞれ検出する。
そして、例えば図17に示したテンプレートTeでは、左側の画素から探索した場合、開始点Psは最初にデータ値(輝度)が例えば255から0に変化する画素として表され、終了点Peは最後にデータ値(輝度)が例えば0から255に変化する画素として表されるため、例えば図18に示したグループgにおいても、左側の画素pから探索した際に、画像データDが左に隣接する画素pの画像データDから所定の閾値以上に小さくなった最初の画素を一方の画素エッジpsとし、さらに右方向に探索していき、画像データDが左に隣接する画素pの画像データDから所定の閾値以上に大きくなった最後の画素を他方の画素エッジpeとして検出する。
そして、図17に示した横方向の開始点Psから終了点Peまでの画素数が20のテンプレートTeを、20画素がグループgの各画素エッジps、pe間の画素数になるように変換する。
また、テンプレートTeの縦方向も同じ比率で変換するように構成してもよく、或いは、図示を省略するが、横方向の探索の場合と同様に、グループgおよびその内部の画素領域rinに属する各画素pを、縦方向にも探索して各画素エッジをそれぞれ検出し、縦方向の変換比率を算出するように構成してもよい。
そして、変換され正規化されたテンプレートTeを、グループgが基準画像T上で占める画素領域内で移動させてテンプレートマッチングを行うように構成することも可能であり、また、正規化したテンプレートTeを、テンプレートTeの開始点Psと終了点Pe(なお、開始点Psや終了点Peも画素位置が正規化されている。)とグループgの各画素エッジps、peとが一致するようにグループgに対してテンプレートTeを適用する位置を特定して、グループgに対してテンプレートTeを1回だけ適用してテンプレートマッチングを行うように構成してもよい。
なお、本実施形態では、テンプレートTeとして、図17に示したように、最高速度制限を表す道路標識における有意情報である最高速度の数字部分のみを画素表示したテンプレートを用いる場合について説明したが、最高速度制限を表す道路標識において、最高速度が標示された部分の周囲に標示される赤枠の部分を含めてテンプレートを構成してもよい。
また、本実施形態では、テンプレートTeとして、有意情報に対応する部分(図17の例では「50」の文字の部分)の各画素に例えば輝度0のデータ値を割り当て、その他の地の部分の各画素に例えば輝度255のデータ値を割り当てて形成されたテンプレートTeを用いる場合について説明した。そして、その場合、テンプレートTeとグループgとの一致度Mは、例えば上記(5)式に従って計算された。しかし、テンプレートTeを改良することで、一致度Mの計算処理の処理負荷をより軽減することが可能となる。
例えば、図17に示したようなテンプレートTeの、有意情報が標示された部分(例えば「50」の文字の部分)の各画素に、0〜255の輝度階調のうちの例えば0〜100の輝度の数値範囲を割り当て、その他の地の部分の各画素に、0〜255の輝度階調のうち例えば200〜255の輝度の数値範囲を割り当てる。
そして、上記のようにグループgまたはテンプレートTeのいずれかを正規化して適用してテンプレートマッチングを行う際、グループgまたは正規化されたグループgの各画素の画像データDが、テンプレートTeまたは正規化されたテンプレートTeの対応する各画素にそれぞれ割り当てられた数値範囲内の値であるか否かを判定する。
そして、例えば、画像データDが数値範囲内にあれば所定値(例えば1)を加算していき、画像データDが数値範囲内になければ加算しないようにして、一致度Mを計算するように構成することが可能である。なお、この場合は、一致度Mが大きい方がより良い一致度ということになる。
このように構成すれば、テンプレートTe(または正規化されたテンプレートTe)の各画素ごとに、グループg(または正規化されたグループg)の対応する画素の画像データDが数値範囲内にあるか否かを判定して所定値を加算するだけで一致度Mを算出することが可能となるため、一致度Mを例えば上記(5)式に従って計算する場合に比べて、一致度Mの計算処理の処理負荷が格段に軽減される。
以上のように、本実施形態に係る環境認識装置1によれば、撮像手段2により撮像された一対の基準画像Tおよび比較画像Tcのうち、少なくとも基準画像T(画像T)の各画素pの画像データDに基づいて各画素pを各グループgに統合し、統合された各グループgまたはテンプレートTeを正規化して適用してテンプレートマッチングを行う。
そのため、従来のテンプレートマッチング技術では、各画素を総当りして画面全体からテンプレートTeの画素配列と一致度Mが高い画素領域を検索するため、検索すべき画素数が非常に多く、検索に非常に時間がかかったが、本実施形態に係る環境認識装置1では、基準画像T中で統合されて検出された各グループgのみに対してテンプレートマッチングを行うだけであるため、テンプレートマッチングに要する時間を格段に短縮することが可能となる。
しかも、本実施形態に係る環境認識装置1では、基準画像Tと比較画像Tcとを用いて基準画像Tの各画素について実空間上の距離を算出してグループgの実空間上の大きさを算出し、実空間上の大きさが所定の大きさであるグループgのみに対してテンプレートマッチングを行う。
そのため、テンプレートマッチングに要する時間がさらに短縮され、テンプレートマッチングのさらなる高速化を図ることが可能となる。そして、例えば撮像手段2から毎秒数フレームから数十フレームの画像が送信されてきても、各フレームごとに画像中から道路標識等を的確に抽出することが可能となり、リアルタイムで処理を行うことが可能となる。
さらに、本実施形態に係る環境認識装置1では、テンプレートTeを用いたテンプレートマッチングで基準画像Tから有意情報を抽出するため、基準画像T中に有意情報が撮像されているか否かを的確に判定し、有意情報が撮像されている場合には、使用者(或いは運転者)による認識や操作等を介さずに有意情報の内容を環境認識装置1自体が的確に認識することが可能となる。そのため、例えば環境認識装置1が車両に搭載されており、道路標識を認識するように構成されている場合には、環境認識装置1自体が道路標識に標示された有意情報の内容を自動的に認識することが可能となり、車両の自動制御技術等に応用することが可能となる。
なお、上記の本実施形態の構成から分かるように、本実施形態に係る環境認識装置1が認識し得る対象は、最高速度制限を表す道路標識に限定されず、一時停止や徐行、車両通行止、駐車禁止、追越し禁止等の道路標識や、大きさを特定でき、それに表示される有意情報が撮像された画像T(基準画像T)の各画素の画像データD(例えば輝度)の値の大小等の違いにより把握できるものであれば、それらの対象にも適用でき、対象に表示された有意情報の内容を有効に認識することができる。
また、本実施形態では、撮像手段2のメインカメラ2aおよびサブカメラ2bによりモノクロの画像データDが取得される場合について説明したが、RGB値等で表されるカラーの画像データを撮像する撮像手段を用いることも可能である。
その場合、統合処理手段10における各画素pをグループgに統合する処理において、その閾値を、基準画像T中から例えば赤色の画素を抽出するように設定すれば、例えば道路標識の中でも赤色の部分を多く含む最高速度制限や一時停止、徐行、車両通行止、駐車禁止、追越し禁止等の規制標識が撮像された画素pを的確に抽出してグループgとすることが可能となり、規制標識を的確に抽出してその有意情報を有効に認識することが可能となる。
すなわち、RGB値で表されるカラーの画像データDがR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分につきそれぞれ例えば0〜255の輝度で表されるとした場合、例えば、閾値を、R成分に対しては200以上、かつ、G成分およびB成分に対してはそれぞれ100未満等のように設定することで、基準画像T中から例えば赤色の画素pを抽出するように設定することができる。
また、上記のように統合処理手段10では基準画像T中から例えば赤色の画素を抽出してグループgに統合するように構成し、テンプレートTe(図17参照)を、有意情報(例えば「50」等の数字)に対応する部分が青色、その他の地の部分が白色になるように形成してテンプレートマッチングを行うように構成すれば、規制標識である道路標識の中から、特に最高速度制限を表す道路標識を的確に抽出して、その有意情報を有効に認識することが可能となる。
さらに、図1に示したように、今回のサンプリング周期で統合処理手段10により統合されたグループgnew(複数のグループが統合されて1つのグループとされたグループgnewを含む。以下同じ。)を、前回のサンプリング周期で統合処理手段10により統合されたいずれかのグループgoldに対応付けられるか否かを判定して、グループgnewがグループgoldに対応付けられると判定した場合には当該グループgnewを同一の撮像対象が連続して撮像されたグループとして検出して追跡する追跡手段14を処理部9に設けるように構成することも可能である。
今回のサンプリング周期で検出されたグループgnewが前回のサンプリング周期で検出されたいずれかのグループgoldに対応付けられるか否かの判定は、例えば、今回のサンプリング周期で検出されたグループgnewの実空間上の位置(Xnew,Ynew,Znew)や大きさ、平均距離Zave、グループgnewに属する全画素の画像データDの平均値Dave等と前回のサンプリング周期で検出されていたグループgoldの位置(Xold,Yold,Zold)や大きさ、平均距離Zave、グループgoldに属する全画素の画像データDの平均値Dave等とを比較して、それらの整合性を判定して行われる。
このような追跡手段14を設けた場合、例えば、同一の撮像対象が連続して撮像されたグループとして検出されたグループgnewに対応する実空間上の距離Zaveと、それに対応する前回のサンプリング周期で検出されたグループgoldにに対応する実空間上の距離Zave、および環境認識装置1が搭載された例えば自車両の速度から、グループgnewに対応する撮像対象の例えば道路面に対する速度を算出することができる。
そして、撮像対象が道路面に対して0km/hではない有意の速度を有して移動する移動物体である場合には、少なくともその撮像対象は道路標識ではないと判定することが可能となる。
そのため、上記の実施形態のように、環境認識装置1を、最高速度制限を表す規制標識等の道路標識に標示された有意情報を認識するように構成する場合、今回のサンプリング周期で統合処理手段10により統合されたグループgnewのうち、道路面に対して0km/hでない有意の速度を有して移動する移動物体である撮像対象に対応するグループgnewを、マッチング処理手段12におけるテンプレートマッチングの対象から予め除外することで、テンプレートマッチングの処理負荷をより軽減することが可能となり、処理のさらなる高速化を図ることが可能となる。
また、上記のような追跡手段14を設けた場合に、追跡手段14で同一の撮像対象が連続して撮像されたグループとして検出したグループgnewに対してマッチング処理手段12によりテンプレートマッチングが行われた結果、複数種類の各テンプレートTeについて、それぞれ一致度Mが算出される。
追跡手段14は、各一致度Mをそれぞれポイント化し、ポイント化した値を各サンプリング周期ごとに加算していく。そして、この処理を、各テンプレートTeについて別々に行う。そのため、同一の撮像対象が連続して撮像されたグループとして検出したグループgnewには、各テンプレートTeの種類の数の各加算値が対応付けられていく。
なお、一致度Mを例えば上記(5)式に従って計算する場合、一致度Mが小さい値である方が一致度が高く優良であるため、一致度Mが小さい値であるほど、ポイント化した値は大きくなるようにポイント化のしかたが予め決められる。
そして、マッチング処理手段12よりテンプレートマッチングを行い、算出した一致度Mが最も良く、かつ、一致度Mが所定の閾値より良いテンプレートTeを検出する際、当該テンプレートTeに対して追跡手段14で一致度Mをポイント化した値の加算値が所定の閾値に達した場合に、当該テンプレートTeに対応付けられた情報を有意情報として認識するように構成することが可能である。
このように構成すれば、前回以前のサンプリング周期で、テンプレートTeとグループgoldとの一致度Mが悪く、ポイント化した値の加算値が低ければ、今回のサンプリング周期で誤検出等により同一の撮像対象が連続して撮像されたグループgnewに対して当該テンプレートの一致度Mが最も良く、かつ、一致度Mが所定の閾値より良い場合でも、当該テンプレートTeがただちに検出されることがなくなる。
そのため、今回のサンプリング周期で何らかの原因で誤ってグループgnewに対して一致度Mが最も良く検出され、かつ、一致度Mが所定の閾値より良いと判定されたテンプレートTeが検出されたとしても、その誤検出されたテンプレートTeに対応付けられた情報を有意情報の内容として誤認識することを確実に防止することが可能となる。
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施形態に係る環境認識装置1では、基準画像Tにおいて画像データDが所定の閾値Dth以上である隣接する画素p同士を1つのグループgに統合していく場合について説明したが、このように閾値Dthで一律に統合するか否かを判定するように構成すると、基準画像T上で同一の撮像対象が濃淡を有して撮像されている場合に、同一の撮像対象が撮像されている画素領域の一部しかグループgに統合されず、同一の撮像対象を一体的に1つのグループに統合することができない場合が生じ得る。
道路標識等のように、有意情報が表示された面が平面状である場合には、上記のような不都合はほとんど生じないが、例えば曲面上に有意情報が表示されているような場合には上記のような不都合を生じ得る。
そこで、本発明の第2の実施形態に係る環境認識装置では、統合処理手段10で基準画像Tの各画素pをグループgに統合する際、基準画像Tに撮像された1つの撮像対象を一体的に1つのグループgとして統合するように統合処理手段10を構成した環境認識装置について説明する。
そのため、本実施形態に係る環境認識装置は、ハード的には第1の実施形態に係る環境認識装置1と同様であるが、統合処理手段10における統合処理のしかたが第1の実施形態の場合と異なる。
本実施形態に係る統合処理手段10は、撮像手段2から注目画素(一の画素)pi,jの画像データDi,jが送信されてくると、注目画素pi,jと同一のサンプリング周期で送信される基準画像T中の、注目画素pi,jより以前に画像データDが送信された画素pであって、注目画素pi,jに隣接する画素pの画像データDと、注目画素pi,jの画像データDi,jとの差分ΔDが所定の第1閾値ΔDth未満であり、かつ、注目画素pi,jより以前に画像データDが送信された隣接する画素pが属するグループgに属する全画素pの画像データDの平均値Daveと、注目画素pi,jの画像データDi,jとの差分δDが所定の第2閾値δDth未満である場合にのみ、注目画素pi,jと隣接する画素pとを1つのグループgに統合すべきと判定して統合するようになっている。
以下、本実施形態に係る統合処理手段10での処理を、図19および図20に示すフローチャートに従って説明する。
なお、本実施形態においても、前述したように、撮像手段2から各画素の画像データDが順次出力され、変換手段3や画像補正部4でそれぞれ処理が行われ、処理された各画像データDが、順次、処理部9に送信されるが、処理部9では、各画像データDが順次入力するのと同時並行的に以下の処理が行われる。そのため、1画像分の全画素の画像データDの入力を待たずに入力と同時並行で処理を行うことが可能となるため、統合処理手段10等における処理をリアルタイムで行うことが可能となる。
統合処理手段10では、まず、図8の第1の実施形態のフローチャートのステップS1〜S8と同様の処理が行われる。すなわち、撮像手段2により撮像が開始されると(図19のステップS1)、統合処理手段10は、iおよびjの値をそれぞれ0に設定する(ステップS2)。撮像手段2で撮像された水平ライン0(すなわちj座標が0の各画素からなる水平ラインj)上の左端の画素p0,0(すなわち原点の画素)の画像データD0,0の処理部9への入力が開始されると(ステップS3)、続いて、画素p1,0、p2,0、p3,0、…の画像データD1,0、D2,0、D3,0、…が順次入力される。
そして、統合処理手段10は、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了していなければ(ステップS4;NO)、処理が繰り返されるごとにi座標を1ずつインクリメントして(ステップS5)、設定した注目画素pi,j(ステップS6)を水平ラインj上の右隣の画素に移動させながら処理を続ける。また、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了すると(ステップS4;YES)、基準画像Tの最上段の水平ラインまで処理が終了していなければ(ステップS7;NO)、処理を行う水平ラインjを1行上方の水平ラインj+1に移行させ、注目画素のi座標を0に設定して(ステップS8)、画素p0,j+1を注目画素として(ステップS6)処理を行い、注目画素を画素p0,j+1から順に右側に移動させながら処理を続行する。
次に、注目画素を画素pi,jに設定(ステップS6)した後の統合処理手段10における処理(図20のステップS30以降)について説明する。前述したように、注目画素pi,jと隣接する画素pとを1つのグループgに統合する際の統合処理のしかたや基準が第1の実施形態の場合と異なっている。
本実施形態では、統合処理手段10は、まず、注目画素pi,jと、図10に示したように注目画素pi,jが入力されるより以前に入力されていて注目画素pi,jの左に隣接する画素pi-1,jについて、下記の条件1や条件2を満たすか否かの判定を行う(ステップS30)。
[条件1]注目画素pi,jの画像データDi,jと、左に隣接する画素pi-1,jの画像データDi-1,jとの差分ΔDleft(i,j)、すなわち、
ΔDleft(i,j)=|Di,j−Di-1,j| …(10)
が、予め設定された第1閾値ΔDth未満である。なお、以下、上記のような隣接する画素間の画像データDの差分ΔDをエッジ強度という。
[条件2]図21に示すように、注目画素pi,jの画像データDi,jと、左に隣接する画素pi-1,jが属するグループgに属する全画素の画像データDの平均値Dave-leftとの差分δDleft(i,j)、すなわち、
δDleft(i,j)=|Di,j−Dave-left| …(11)
が、予め設定された第2閾値δDth未満である。
なお、以下、上記のように、注目画素pi,jの画像データDi,jと、隣接する画素が属するグループgの画像データDの平均値Daveとの差分δDを平均値差分という。また、グループgに属する全画素の画像データDの平均値Daveは、後述するように、ステップS17の処理で算出される。さらに、左に隣接する画素pi-1,jが属するグループgが当該左に隣接する画素pi-1,jのみで構成されている場合もあり、その場合、グループgに属する全画素の画像データDの平均値Dave-leftは、当該左に隣接する画素pi-1,jの画像データDi-1,jに等しい。
統合処理手段10は、条件1と条件2をともに満たすと判定した場合には(ステップS30;YES)、ステップS31の判定処理に進み、条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS30;NO)、ステップS32の判定処理に進む。なお、上記の第1閾値ΔDthと第2閾値δDthとは同じ値に設定されても異なる値に設定されてもよく、それらの閾値の値は適宜設定される。
統合処理手段10は、ステップS30の判定処理で、条件1と条件2をともに満たすと判定すると(ステップS30;YES)、続いて、注目画素pi,jと、図11に示したように注目画素pi,jが入力されるより以前に入力されていて注目画素pi,jの下に隣接する画素pi,j-1について、上記と同様に、下記の条件3や条件4を満たすか否かの判定を行う(ステップS31)。
[条件3]注目画素pi,jの画像データDi,jと、下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1とのエッジ強度ΔDlower(i,j)、すなわち、
ΔDlower(i,j)=|Di,j−Di,j-1| …(12)
が、予め設定された前述した第1閾値ΔDth未満である。
[条件4]図22に示すように、注目画素pi,jの画像データDi,jと、下に隣接する画素pi,j-1が属するグループgに属する全画素の画像データDの平均値Dave-lowerとの平均値差分δDlower(i,j)、すなわち、
δDlower(i,j)=|Di,j−Dave-lower| …(13)
が、予め設定された前述した第2閾値δDth未満である。
なお、この場合も、下に隣接する画素pi,j-1が属するグループgが当該下に隣接する画素pi,j-1のみで構成されている場合もあり、その場合、グループgに属する全画素の画像データDの平均値Dave-lowerは、当該下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1に等しい。
そして、統合処理手段10は、条件3と条件4の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS31;NO)、注目画素pi,jを、下に隣接する画素pi,j-1とは統合しないが、ステップS30の判定処理で上記の条件1と条件2を満たすと判定しているため、注目画素pi,jと左に隣接する画素pi-1,jとを1つのグループに統合すべきと判定して統合する(ステップS12)。
その際、例えば図10に示したように、左に隣接する画素pi-1,jが他の画素と統合されていなければ、注目画素pi,jと左に隣接する画素pi-1,jが統合されて、左右に隣接する2つの画素からなるグループが新たに形成される。また、例えば図21に示したように、左に隣接する画素pi-1,jが他の画素と統合されていてグループgに属していれば、注目画素pi,jがグループgに追加されるように統合され、グループgが注目画素pi,jの分だけ1画素分拡大する。
なお、左に隣接する画素pi-1,jが属するグループgが例えば図23(A)に示すような形状である場合に、ステップS31の判定処理で、条件3と条件4の少なくとも一方を満たさないと判定されて(ステップS31;NO)、注目画素pi,jが下に隣接する画素pi,j-1と統合されない場合でも、図23(B)に示すように、注目画素pi,jが左に隣接する画素pi-1,jと統合されることで(ステップS12)、結果的に、注目画素pi,jが下に隣接する画素pi,j-1と統合される場合もある。
次に、統合処理手段10は、ステップS31の判定処理で、条件3と条件4をともに満たすと判定した場合には(ステップS31;YES)、注目画素pi,jと下に隣接する画素pi,j-1および左に隣接する画素pi-1,jとを1つのグループに統合すべきと判定して統合する(ステップS13)。
その際、例えば図11に示したように、下に隣接する画素pi,j-1や左に隣接する画素pi-1,jがともに他の画素と統合されていなければ、注目画素pi,jと下に隣接する画素pi,j-1と左に隣接する画素pi-1,jが統合されて3つの画素からなるグループが新たに形成される。また、例えば図21や図22に示したように、下に隣接する画素pi,j-1または左に隣接する画素pi-1,jのいずれか一方が他の画素と統合されていてグループgに属していれば、注目画素pi,jとグループgに属していない方の画素とがグループgに追加されるように統合されて、グループgが2画素分拡大する。
また、例えば図12(A)に示したように、左に隣接する画素pi-1,jがグループg1に属し、下に隣接する画素pi,j-1が他のグループg2に属している場合、注目画素pi,jを下に隣接する画素pi,j-1および左に隣接する画素pi-1,jと統合すると(ステップS13)、図12(B)に示したように、注目画素pi,jを介してグループg1とグループg2とが統合されて1つのグループgとなる。
一方、統合処理手段10は、ステップS30の判定処理で、条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS30;NO)、ステップS32の判定処理に進み、上記と同様に、条件3や条件4を満たすか否かの判定を行う(ステップS32)。
そして、統合処理手段10は、条件3と条件4をともに満たすと判定した場合には(ステップS32;YES)、ステップS30の判定処理で条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定しているため(ステップS30;NO)、注目画素pi,jを、左に隣接する画素pi-1,jとは統合せず、下に隣接する画素pi,j-1のみと統合する(ステップS15)。
その際、注目画素pi,jを下に隣接する画素pi,j-1と統合すると(ステップS15)、結果的に、左に隣接する画素pi-1,jと統合される場合があることは、図23(A)、(B)に示したケースから容易に類推される。
統合処理手段10は、ステップS12、S13、S15の処理で、注目画素pi,jを隣接する画素と統合すると、拡大したグループgの画素数を更新し、グループgの左端、右端の画素の各座標や上端、下端の画素の各座標に変更があれば更新する。また、例えば図12(B)に示したように、複数のグループが統合されて1つのグループとされた場合には、1つに統合されたグループgのグループ番号を、統合の対象となった複数のグループの各グループ番号のうちの例えば最も小さい番号を選択して更新する(ステップS16)。
また、統合処理手段10は、注目画素pi,jを追加して拡大したグループgや、複数のグループを統合して1つとしたグループgに属する全画素の画像データDの平均値Daveを算出して更新し、また、グループgに属する各画素の視差dpに基づいて上記(4)式に従ってそれぞれ実空間上の距離Zを算出し、その平均値Zave(以下、平均距離Zaveという。)を算出して更新する(ステップS17)。
なお、距離検出手段6におけるフィルタリング処理で視差dpが無効とされ、視差dpの値として0が割り当てられている画素については、実空間上の距離Zを算出できないため、平均距離Zaveの算出には用いられない。
また、上記のように、注目画素pi,jと左や下に隣接する画素pとをグループ化するか否かの判定処理(図20のステップS30、S31、S32)において、距離検出手段6で基準画像Tの各画素ごとに算出した視差dp(すなわち実空間上の距離Zに対応する。)の情報や、路面検出手段13により検出された実空間上における道路面の情報に基づいて、さらに厳しい条件を課して1つのグループに統合するか否かの判定を行うように構成することも可能である。
具体的には、例えば、図20のステップS30、S31、S32の判定処理において、注目画素pi,jに対応する実空間上の距離Zi,jと、隣接する画素pに対応する実空間上の距離Zpとの差分|Zi,j−Zp|、または隣接する画素pが属するグループgに対応する実空間上の平均距離Zaveとの差分|Zi,j−Zave|が、予め設定された閾値以上に離れている場合には、上記の条件1〜条件4が満たされる場合であっても、注目画素pi,jと隣接する画素pとを1つのグループに統合しないように構成することができる。
実空間上の距離Zがあまりに離れている場合には、画像データD等が条件1〜条件4を満たす場合であっても、注目画素pi,jと隣接する画素pはそれぞれ別の撮像対象が撮像された画素領域に属すると考えられるからである。
また、前述した路面検出手段13により検出された実空間上における道路面の情報に基づいて、例えば注目画素pi,jに対応する実空間上の道路面からの高さYi,j−Y*と、隣接する画素pに対応する実空間上の道路面からの高さYp−Y*或いは隣接する画素pが属するグループgに対応する実空間上の道路面からの高さYave−Y*とを比較して、一方が道路面上に存在する立体物の一部であると考えられ、他方が道路面上に標示された車線や規制標示等のパターンの一部であると考えられる場合には、上記の条件1〜条件4が満たされる場合であっても、注目画素pi,jと隣接する画素pとを1つのグループに統合しないように構成することができる。
道路面上に存在する立体物と、道路面上に標示されたパターンは別の物体であり、画像データD等が条件1〜条件4を満たす場合であっても、注目画素pi,jと隣接する画素pはそれぞれ別の撮像対象が撮像された画素領域に属すると考えられるからである。
統合処理手段10は、ステップS17の処理を終了すると、ステップS4の判定処理以降の処理を続行する。
一方、統合処理手段10におけるステップS32の判定処理で、注目画素pi,jの下に隣接する画素pi,j-1の画像データDi,j-1が閾値Dth未満であると判定された場合(ステップS32;NO)以降のステップS18からステップS21までの処理は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
そして、統合処理手段10は、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了し(図19のステップS4;YES)、基準画像Tの最上段の水平ラインまで処理が終了すると(ステップS7;YES)、基準画像Tの1画像分の処理を終了し、各グループに属する各画素の各座標(i,j)や画素数、左右端の画素の各座標、上下端の画素の各座標等の情報を図示しない記憶手段に保存する。
また、処理部9の算出手段11における図19のステップS22、S23の処理、およびマッチング処理手段12におけるテンプレートマッチング等は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
なお、本実施形態では、注目画素pi,jと隣接する画素pとを統合する際に、画像データDに第1の実施形態の場合のような所定の閾値Dthを設けない。そのため、第1の実施形態では、基準画像Tのうち、所定の閾値Dth以上の画像データDを有する画素領域のみで複数のグループgが得られるが、本実施形態では、ノイズ等が生じた画素部分を除く基準画像Tのほぼ全ての画素領域が複数のグループgに分割された状態となる。
そのため、マッチング処理手段12におけるテンプレートマッチングの対象を、画像データDの平均値Daveが例えば前記所定の閾値Dth以上のグループgのみに限定するように構成してもよく、また、そのような限定を設けないように構成することも可能である。
以上のように、本実施形態に係る環境認識装置においても、第1の実施形態に係る環境認識装置1と全く同様の効果を奏することが可能となる。
また、本実施形態に係る環境認識装置によれば、基準画像Tに撮像された1つの撮像対象を一体的に1つのグループgとして統合して抽出した後に、それらのグループgに対してテンプレートマッチングを行うことが可能となるため、例えば曲面上に有意情報が表示されているような場合にも的確に有意情報の内容を認識することが可能となる。