以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(環境認識システム100)
図1は、環境認識システム100の接続関係を示したブロック図である。環境認識システム100は、車両1内に設けられた、複数(本実施形態では2つ)の撮像装置110と、画像処理装置120と、環境認識装置130と、車両制御装置140とを含んで構成される。
撮像装置110は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、カラー画像、即ち、画素単位で3つの色相(赤、緑、青)の輝度を取得することができる。本実施形態においては、色と輝度とを同等に扱い、同一の文章に両文言が含まれる場合、互いを、色を構成する輝度、または、輝度を有する色と読み替えることができる。ここでは、撮像装置110で撮像されたカラーの画像を輝度画像と呼び、後述する距離画像と区別する。また、撮像装置110は、車両1の進行方向側において2つの撮像装置110それぞれの光軸が略平行になるように、略水平方向に離隔して配置される。撮像装置110は、車両1の前方の検出領域に存在する対象物を撮像した画像データを、例えば1/60秒毎(60fps)に連続して生成する。ここで、対象物は、車両、信号機、道路、ガードレールといった独立して存在する立体物のみならず、テールランプやウィンカー、信号機の各点灯部分等、立体物の部分として特定できる物も含む。以下の実施形態における各機能部は、このような画像データの更新を契機として各処理を遂行する。
画像処理装置120は、2つの撮像装置110それぞれから画像データを取得し、2つの画像データに基づいて、画像中の任意のブロック(所定数の画素を集めたもの)の視差、および、任意のブロックの画面中の位置を示す画面位置を含む視差情報を導出する。画像処理装置120は、一方の画像データから任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを他方の画像データから検索する、所謂パターンマッチングを用いて視差を導き出す。ここで、水平は、撮像した画像の画面横方向を示し、実空間上の水平に相当する。また、垂直は、撮像した画像の画面縦方向を示し、実空間上の鉛直方向に相当する。
このパターンマッチングとしては、2つの画像データ間において、任意の画像位置を示すブロック単位で輝度値(Y色差信号)を比較することが考えられる。例えば、輝度値の差分をとるSAD(Sum of Absolute Difference)、差分を2乗して用いるSSD(Sum of Squared intensity Difference)や、各画素の輝度値から平均値を引いた分散値の類似度をとるNCC(Normalized Cross Correlation)等の手法がある。画像処理装置120は、このようなブロック単位の視差導出処理を検出領域(例えば600画素×200画素)に映し出されている全てのブロックについて行う。ここでは、ブロックを4画素×4画素としているが、ブロック内の画素数は任意に設定することができる。
ただし、画像処理装置120では、検出分解能単位であるブロック毎に視差を導出することはできるが、そのブロックがどのような対象物の一部であるかを認識できない。したがって、視差情報は、対象物単位ではなく、検出領域における検出分解能単位(例えばブロック単位)で独立して導出されることとなる。ここでは、このようにして導出された視差情報(後述する相対距離に相当)を画像データに対応付けた画像を距離画像という。
図2は、輝度画像124と距離画像126を説明するための説明図である。例えば、2つの撮像装置110を通じ、検出領域122について図2(a)のような輝度画像(画像データ)124が生成されたとする。ただし、ここでは、理解を容易にするため、2つの輝度画像124の一方のみを模式的に示している。本実施形態において、画像処理装置120は、このような輝度画像124からブロック毎の視差を求め、図2(b)のような距離画像126を形成する。距離画像126における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
視差は、画像のエッジ部分(隣り合う画素間で明暗の差分が大きい部分)で特定され易いので、距離画像126において黒のドットが付されている、視差が導出されたブロックは、輝度画像124においてもエッジとなっていることが多い。したがって、図2(a)に示す輝度画像124と図2(b)に示す距離画像126とは各対象物の輪郭について似たものとなる。
環境認識装置130は、画像処理装置120から輝度画像124と距離画像126とを取得し、輝度画像124に基づく輝度と、距離画像126に基づく自車両1との相対距離を用いて検出領域122における対象物がいずれの特定物に対応するかを特定する。このとき、環境認識装置130は、距離画像126における、検出領域122内のブロック毎の視差情報を、所謂ステレオ法を用いて、相対距離を含む三次元の位置情報に変換している。ここで、ステレオ法は、三角測量法を用いることで、対象物の視差からその対象物の撮像装置110に対する相対距離を導出する方法である。かかる環境認識装置130に関しては、後ほど詳述する。
車両制御装置140は、環境認識装置130で特定された対象物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ制御を実行する。具体的に、車両制御装置140は、操舵の角度を検出する舵角センサ142や車両1の速度を検出する車速センサ144等を通じて現在の車両1の走行状態を取得し、アクチュエータ146を制御して先行車両との車間距離を安全な距離に保つ。ここで、アクチュエータ146は、ブレーキ、スロットルバルブ、舵角等を制御するために用いられる車両制御用のアクチュエータである。また、車両制御装置140は、対象物との衝突が想定される場合、運転者の前方に設置されたディスプレイ148にその旨警告表示(報知)を行うと共に、アクチュエータ146を制御して車両1を自動的に制動する。かかる車両制御装置140は、環境認識装置130と一体的に形成することもできる。
(環境認識装置130)
図3は、環境認識装置130の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図3に示すように、環境認識装置130は、I/F部(画像入力部、出力部)150と、データ保持部152と、中央制御部(認識部)154とを含んで構成される。
I/F部150は、画像処理装置120や車両制御装置140との双方向の情報交換を行うためのインターフェースである。データ保持部152は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、特定物テーブル(対応付け)や、以下に示す各機能部の処理に必要な様々な情報を保持し、また、画像処理装置120から受信した輝度画像124、距離画像126を一時的に保持する。ここで、特定物テーブルは、以下のように利用される。
図4は、特定物テーブル200を説明するための説明図である。特定物テーブル200では、複数の特定物に対して、輝度の範囲を示す輝度範囲202と、特定物の大きさの範囲を示す幅範囲204とが対応付けられている。ここで、特定物としては、「信号機(赤)」、「信号機(黄)」、「信号機(青)」、「テールランプ(赤)」、「ウィンカー(橙)」、「道路標識(赤)」、「道路標識(青)」、「道路標識(緑)」等、道路を走行する上で視認を要する様々な物が想定されている。特定物は図4に記載された物に限定されないのは言うまでもない。また、特定物テーブル200では、特定物の特定に優先順位が定められており、当該環境認識処理はその優先順に従って、特定物テーブル200における複数の特定物から順次選択された1の特定物毎に行われる。特定物のうち、例えば、特定物「信号機(赤)」には、輝度(赤)「150以上」、輝度(緑)「100以下」、輝度(青)「50以下」、幅範囲「0.2〜0.4m」が対応付けられている。
本実施形態では、特定物テーブル200に基づいて、輝度画像124内の任意の対象部位のうち、任意の特定物に関する輝度範囲202の条件を満たした対象部位が特定物の候補となる。例えば、対象部位の輝度が特定物「信号機(赤)」の輝度範囲202に含まれていれば、その対象部位を特定物「信号機(赤)」の候補とする。そして、対象部位をグループ化した対象物が、特定物らしい態様で抽出されれば、例えば、グループ化した対象物の大きさが「信号機(赤)」の幅範囲「0.2〜0.4m」に含まれれば特定物として判定される。特定物として判定された対象部位は、特定物固有の識別番号によってラベリングされている。ここで、対象部位は、画素や画素を集めたブロックを想定しているが、本実施形態では、説明の便宜上、画素を用いることとする。
中央制御部154は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、システムバス156を通じて、I/F部150やデータ保持部152を制御する。また、本実施形態において、中央制御部154は、輝度取得部160、位置情報取得部162、特定物仮決定部164、対象部位グループ化部166、代表距離導出部168、対象物グループ化部170、特定物決定部172、パターンマッチング部174としても機能する。
輝度取得部160は、後述する特定物仮決定部164の制御指令に従って、受信した輝度画像124から、対象部位(画素)単位で輝度(画素単位で3つの色相(赤、緑、青)の輝度)を取得する。このとき、検出領域が例えば雨天や曇天であった場合、輝度取得部160は、本来の輝度を取得できるようにホワイトバランスを調整してから取得してもよい。
位置情報取得部162は、後述する代表距離導出部168の制御指令に従い、距離画像126における検出領域122内のブロック毎の視差情報を、ステレオ法を用いて、水平距離x、道路表面からの高さy、および、自車両1からの相対距離zを含む三次元の位置情報に変換する。ここで、視差情報が、距離画像126における各対象部位の視差を示すのに対し、三次元の位置情報は、実空間における各対象部位の相対距離の情報を示す。したがって、水平距離、高さ、相対距離といった文言を用いる場合、実空間上の距離を指し、検出距離といった文言を用いる場合、距離画像126上の距離を指す。また、視差情報が画素単位ではなくブロック単位、即ち複数の画素単位で導出されている場合、その視差情報はブロックに属する全ての画素の視差情報とみなして、画素単位の計算を実行することができる。
図5は、位置情報取得部162による三次元の位置情報への変換を説明するための説明図である。位置情報取得部162は、まず、距離画像126を図5の如く画素単位の座標系として認識する。ここでは、図5中、左下隅を原点(0,0)とし、横方向をi座標軸、縦方向をj座標軸とする。したがって、視差dpを有する画素は、画素位置i、jと視差dpによって(i,j,dp)のように表すことができる。
本実施形態における実空間上の三次元座標系を、車両1を中心とした相対座標系で考える。ここでは、車両1の進行方向右側方をX軸の正方向、車両1の上方をY軸の正方向、車両1の進行方向(前方)をZ軸の正方向、2つの撮像装置110の中央を通る鉛直線と道路表面との交点を原点(0,0,0)とする。このとき、道路を平面と仮定すると、道路表面がX−Z平面(y=0)と一致することとなる。位置情報取得部162は、以下の(数式1)〜(数式3)によって距離画像126上のブロック(i,j,dp)を、実空間上の三次元の点(x,y,z)に座標変換する。
x=CD/2+z・PW・(i−IV) …(数式1)
y=CH+z・PW・(j−JV) …(数式2)
z=KS/dp …(数式3)
ここで、CDは撮像装置110同士の間隔(基線長)であり、PWは1画素当たりの視野角であり、CHは撮像装置110の道路表面からの配置高さであり、IV、JVは車両1の真正面における無限遠点の画像上の座標(画素)であり、KSは距離係数(KS=CD/PW)である。
特定物仮決定部164は、データ保持部152に保持された特定物テーブル200に基づいて、対象物の輝度から、対象物に対応する特定物を仮決定する。
具体的に、特定物仮決定部164は、まず、輝度画像124における任意の対象部位の輝度を、輝度取得部160に取得させる。続いて、特定物仮決定部164は、特定物テーブル200に登録されている特定物から任意の特定物を順次選択し、取得した1の対象部位の輝度が、順次選択した特定物の輝度範囲202に含まれるか否か判定する。そして、対象部位の輝度が対象となる輝度範囲202に含まれれば、その対象部位を、一旦、特定物であると仮決定し、その対象部位に当該特定物を示す識別番号を付して、特定物マップを作成する。
特定物仮決定部164は、このような対象部位それぞれの輝度と特定物テーブル200に登録されている複数の特定物の輝度範囲202との一連の比較を、複数の対象部位毎に順次実行する。ここで、特定物の選択順は、上述したように特定物テーブル200に示された優先順位に従っている。即ち、図4の特定物テーブル200の例では、「信号機(赤)」、「信号機(黄)」、「信号機(青)」、「テールランプ(赤)」、「ウィンカー(橙)」、「道路標識(赤)」、「道路標識(青)」、「道路標識(緑)」の順に比較処理が実行される。
また、上記優先順位に従って比較した結果、対象部位の輝度が優先順位の高い特定物の輝度範囲202に含まれていると判定された場合、それより優先順位が低い特定物に関する比較処理は最早行われない。したがって、1の対象部位に関して多くとも1の特定物を示す識別番号しか付されることはない。これは、複数の特定物が空間上で重なり合うことはないので、特定物仮決定部164によって一旦任意の特定物と判定された対象物は、最早、他の特定物であるか否かを判定する必要がないという理由に基づく。このように対象部位を排他的に取り扱うことによって、既に特定物が仮決定された対象部位の重複した特定処理を回避することができ、処理負荷を軽減することが可能となる。
図6は、特定物マップ210を説明するための説明図である。特定物マップ210は、輝度画像124に特定物の識別番号を重ねたものであり、特定物と仮決定された対象部位に相当する位置に、その特定物の識別番号が対応付けられる。
例えば、特定物マップ210中の部分マップ210aでは、先行車両のテールランプに相当する複数の対象部位212の輝度が、特定物「信号機(赤)」、「信号機(黄)」、「信号機(青)」、特定物「テールランプ(赤)」といった順に輝度範囲202と比較される。その結果、特定物「テールランプ(赤)」の輝度範囲202に含まれているので、特定物「テールランプ(赤)」の識別番号「4」が対応付けられている。また、特定物マップ210中の部分マップ210bでは、信号機の右側点灯部分に相当する複数の対象部位214の輝度が特定物「信号機(赤)」の輝度範囲202に含まれているので、特定物「信号機(赤)」の識別番号「1」が対応付けられている。さらに、特定物マップ210中の部分マップ210cでは、先行車両の背面ランプ部に相当する複数の対象部位216の輝度が、特定物「信号機(赤)」、「信号機(黄)」、「信号機(青)」といった順に輝度範囲202と比較され、最終的に、特定物「テールランプ(赤)」の識別番号「4」および「ウィンカー(橙)」の識別番号「5」が対応付けられている。図6では、輝度画像124の複数の対象部位に識別番号が付された図を提示しているが、かかる表現は理解を容易にするための概念的なものであり、実際には対象部位にデータとして識別番号が登録されている。
対象部位グループ化部166は、仮決定された任意の対象部位を基点として、その対象部位に輝度画像124上で隣接する、同一の特定物に対応すると仮決定された(同一の識別番号が付された)対象部位をグループ化し、対象物とする。グループ化は、例えば、上記複数の対象部位のうち、水平距離xが最左(xl)の対象部位および最右(xr)の対象部位、ならびに、高さyが最小(ymin)の対象部位および最大(ymax)の対象部位を抽出して、x=xl、x=xr、y=ymin、y=ymax、の4直線で囲まれる四角形で、その複数の対象部位を包含することで実行される。したがって、グループ化された対象物を構成する対象部位の数は、グループ化の元となった対象部位の数以上となる。
また、対象部位グループ化部166は、グループ化により新たに追加された対象部位に関しても、その対象部位を基点として、その対象部位に隣接する、特定物が等しい対象部位をグループ化する。結果的に、同一の特定物として仮決定された対象部位同士が隣接していれば、それら全てがグループ化されることとなる。
図7および図8は、対象部位グループ化部166の処理を説明するための説明図である。ここでは、理解を容易にするために、識別番号の図示を省略する。対象部位グループ化部166は、図7(a)に示すような特定物マップ210に対して、例えば、特定物「信号機(赤)」に対応すると仮決定された隣接する対象部位同士をグループ化し、図7(b)に示すように、対象物218とする。こうして特定物「信号機(赤)」が抽出される。
同様に、図7(c)に示すような発光標識において、発光色「赤」の文字が表示されていると、対象部位グループ化部166は、図7(d)に示すように、その文字毎に対象部位をグループ化して対象物218を導出する。ここで、発光標識のような発光を伴って情報を提示するものを、以下では、単に「表示器」という。また、図8(a)に示すようなトンネル内を走行中、図8(a)の白枠部分を拡大した図8(b)のように、赤色の照明が発光していると、対象部位グループ化部166は、8(c)に示すように、その発光部分毎に対象部位をグループ化して対象物218を導出する。
ここで、図7(d)に着目する。図7(d)に示したように、文字毎にグループ化された対象物218の大きさが特定物「信号機(赤)」と近似していると、最終的にこのような文字も特定物「信号機(赤)」と誤認識される可能性がある。
このとき、図7(a)における信号機と図7(c)における表示器の違いを検討すると、信号機は同一の発光色の発光部分が近傍に無いのに対して、表示器では近傍に存在する可能性がある。そこで、発光部分(対象物)の近傍に同一の特定物と仮決定された対象部位(または対象物)が存在したら、両者をさらにグループ化して1つの対象物として纏めることとする。こうして、同一の発光色を同一面に表示する表示器等を1つの対象物として特定することが可能となる。以下に、このようなグループ化を実現するための代表距離導出部168と、対象物グループ化部170とを説明する。
代表距離導出部168は、対象部位グループ化部166によってグループ化された対象物における各対象部位の相対距離zの代表値である代表距離を導出する。代表距離は、グループ化された対象物から複数の対象部位を任意に指定し、その相対距離の平均値等としてもよいが、本実施形態では、出現頻度が高い相対距離を代表距離とする。具体的に、代表距離導出部168は、所定の距離範囲を複数に区分した区分距離範囲を設け、対象物における各対象部位の相対距離zがいずれの区分距離範囲に含まれるか判定し、相対距離zが含まれる区分距離範囲に1を積算する。こうして対象物における対象部位全ての相対距離zを積算すると対象物の距離分布を示すヒストグラムが生成される。そして、代表距離導出部168は、積算した距離分布(ヒストグラム)のピークに相当する相対距離を代表距離として導出する。ここで、ピークに相当するとは、ピーク値またはピーク近傍で任意の条件を満たす値をいう。
ただし、代表距離は、かかる距離分布のピークのみならず、例えば、対象物内の対象部位の相対距離zの平均値、最大値または最小値をとるなど、様々な手順で導出することができる。代表距離はその対象物の概略的な1の相対距離を特定できれば足りる。
対象物グループ化部170は、基点となる対象物からの水平距離xの差分および高さyの差分が第1所定範囲内にあり、相対距離zと代表距離との差分が第2所定範囲内にある対象部位が、基点となる対象物と輝度に関して同一の特定物に対応するか否か判定する。ここで、第1所定範囲や第2所定範囲は、例えば実空間で1.0m等とすることができる。そして、対象物グループ化部170は、対象物と同一の特定物に対応する対象部位があると、その対象部位も対象物としてグループ化する。実空間では、水平距離xや高さyが近似していたとしても、相対距離zが離れている場合、別体の対象物であることが想定される。したがって、ここでは、水平距離x、高さyおよび相対距離zのいずれかが離れている場合、その対象部位のグループは独立した対象物とみなすこととする。こうして、高精度なグループ化を図ることができる。
このとき、対象物グループ化部170は、第1所定範囲内および第2所定範囲内にある複数の対象部位同士が隣接し、かつ、その数が所定数(例えば5)以上である場合にのみ、その複数の対象部位を対象物としてグループ化する。例えば、第1所定範囲内および第2所定範囲内にある対象部位同士が隣接しており、その数がある程度多ければ、その対象部位の群を実際に存在する対象物の一部とみなすことができる。こうすることで、ノイズ的に生じた、対象物と同一の特定物に対応する対象部位を排除することができ、適切にグループ化を実行することができる。
また、対象物グループ化部170は、対象物としてグループ化した対象部位の相対距離zを代表距離とみなし、その対象部位を基点に、条件を満たした他の対象部位をさらに対象物としてグループ化する。
図9は、対象物グループ化部170の処理を説明するための説明図である。ここで、図9(a)および図9(b)は、図7(d)の特定物マップ210に対応した距離画像126であり、図9(c)は、図7(d)同様の特定物マップ210である。図9(a)に示すように、対象物グループ化部170は、まず、画面左下の対象物218aを基点にし、対象物218aの中心(または重心)位置から第1所定範囲220内および第2所定範囲内にある、対象物と同一の特定物に対応する対象部位をサーチする。ここでは、対象物218bが対象物218aと同一の特定物に対応しており、かつ、隣接する対象部位が所定数以上存在するので、対象物218bは対象物218aにグループ化される。
続いて、対象物グループ化部170は、対象物218aにグループ化した対象部位(対象物218b)の相対距離zを代表距離とみなし、その対象部位を基点に、条件を満たした他の対象部位をさらに対象物218aとしてグループ化する。ここで、条件は、第1所定範囲内および第2所定範囲内にあり、かつ、対象物218aと同一の特定物であることである。このように同一の特定物とみなせる対象部位を順次グループ化することで、距離が近似する対象物(対象部位)を、図9(b)に示すように1つの対象物218aに纏めることが可能となる。また、対象部位を順次グループ化することで、一度に広い範囲をグループ化する場合と異なり、連続性の高い対象物のみを適切にグループ化することができる。これを図9(c)のように特定物マップ210に反映すると、対象物218aは、輝度に関して特定物「信号機(赤)」と仮決定されるものの、その大きさが、0.4m以上となるので(図4参照)、最終的に特定物「信号機(赤)」と判定されることはない。こうして、表示器を信号と誤判定することを回避することが可能となる。
ここで、対象物グループ化部170は、実空間上の水平距離xや高さyを用いて判定しているが、輝度画像124上や距離画像126上の検出距離で判定する場合、グループ化のための第1所定範囲の閾値は、対象部位の相対距離zに応じて変更される。図2等に示したように、輝度画像124や距離画像126では、遠近の物体が平面上に表されているため、本来遠方に位置する物体は小さく(短く)表され、近傍に位置する物体は大きく(長く)表される。したがって、輝度画像124や距離画像126における第1所定範囲の閾値は、例えば、遠方に位置する対象部位については短く、近傍に位置する対象部位については長く設定されることとなる。こうして、遠方と近傍とで検出距離が異なる場合であっても安定したグループ化が望める。また、距離画像126上の検出距離で判定する場合、第1所定範囲を画素数で定義してもよく、例えば、水平方向や垂直方向に1画素の間隔を有する(隣接する)画素同士をグループ化するとしてもよい。
また、ここでは、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分をそれぞれ独立して判定し、全てが所定範囲に含まれる場合のみ同一のグループとしているが、他の計算によることもできる。例えば、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分の二乗平均√((水平距離xの差分)2+(高さyの差分)2+(相対距離zの差分)2)が第3所定範囲に含まれる場合に同一のグループとしてもよい。かかる計算により、対象物と他の対象部位との実空間上の正確な距離を導出することができるので、グループ化精度を高めることができる。
しかし、対象物グループ化部170は、規則的に対象物のグループ化処理を遂行するため、このようなグループ化によって、意図せず小さな発光物が統合されてしまい、認識したい本来の特定物ではないものを、特定物として誤認識してしまう場合が生じ得る。
図10は、対象物グループ化部170の処理を説明するための他の説明図である。例えば、上記のように、特定物「信号機(赤)」の抽出を試みている場合において、対象部位グループ化部166は、トンネル内に狭い間隔で設置された複数の照明を図10(a)のように照明毎にグループ化して対象物218としている。したがって、この状態が維持されれば、その対象物の大きさが特定物「信号機(赤)」の幅範囲204に含まれないので、最終的に、特定物「信号機(赤)」と判定されないで済む。
しかし、対象物グループ化部170は、輝度画像124全体に対して一律にグループ化処理を遂行するので、特定の対象物のみを、そのグループ化対象から排除することはできない。したがって、対象物グループ化部170は、図10(a)に示すように、複数の対象物218が画面上近い位置にあると、図10(b)の如く、その複数の対象物218をグループ化してしまう。そうすると、本来、単体であれば信号機の発光部分よりも小さいと認識されるはずのトンネル内照明が、複数統合される事により信号機と近い大きさとなってしまい、信号機と誤認識してしまうこととなる。
また、対象物グループ化部170に限らず、画面上で複数の光源の一部が重なって検出されると、それを1つの光源として認識し、やはり信号機と近い大きさとなって、信号機と誤認識してしまうこともある。例えば、遠距離にある複数の光源が画面上の数画素内に収容される場合に、その複数の光源が1つの対象物として認識される可能性がある。
ここで、図7(b)における信号機の発光部分と図10(b)におけるグループ化された照明との違いを検討すると、信号機の発光部分は、1つの光源しか含まれないのに対して、グループ化された照明は複数の光源が含まれる。即ち、信号機は対象物内において全体的に輝度が高くなり、グループ化された照明は部分的には輝度が高くなるものの、その位置は偏り、全体的な輝度は信号機より低くなる。そこで、本実施形態では、対象物における各対象部位の輝度分布に基づいて、その対象物内の光源が1つであるか複数であるか判定し、対象物の特定精度を向上することを目的とする。以下に、このような判定を実現するための特定物決定部172を説明する。
特定物決定部172は、まず、グループ化された対象物218内の特定領域における各対象部位の輝度が、特定物に関する所定の輝度範囲に含まれるか否か判定する。そして、特定領域全ての対象部位に対する、輝度が、所定の輝度範囲に含まれる対象部位の割合を導出し、その割合が所定閾値以上であるか否か判定する。そして、所定の輝度範囲に含まれる割合が所定閾値以上であり、かつ、所定の条件を満たしていれば、その対象物を特定物として決定する。ここで、輝度範囲は、図4の特定物テーブル200で示した輝度範囲202をそのまま利用してもよいが、特定物決定部172において個々に設定することもできる。また、輝度範囲は、露光時間やダイナミックレンジによって変更するとしてもよい。所定閾値は任意の数値を設定することができるが、ここでは6割程度とする。また、所定閾値は、カラー復元の手法やレンズ解像度によって異ならせてもよい。
上記特定領域は、対象物内の、対象物より小さい領域を、対象物との比や位置関係を用いて任意に設定することができる。本実施形態では、特定領域として、対象物の画像上垂直方向の中央を通り水平方向に延伸する帯状領域、および、対象物の画像上水平方向の中央を通り垂直方向に延伸する帯状領域のいずれか一方、または、両方を採用した場合を挙げて説明する。
図11は、特定物決定部172の処理を説明するための説明図である。特に、図11(a)は、特定領域を、対象物の画像上垂直方向の中央を通り水平方向に延伸する帯状領域222とした場合を示し、図11(b)は、特定領域を、対象物の画像上水平方向の中央を通り垂直方向に延伸する帯状領域224とした場合を示している。また、図11(c)は、特定領域を、図11(a)および図11(b)の帯状領域222と帯状領域224を重ねた十字状領域226とした場合を示している。
図11(a)に示した帯状領域222に含まれる対象部位の輝度に着目すると、特定物「信号機(赤)」の輝度範囲に含まれる輝度を有する対象部位はあるものの、その比率は帯状領域222全体の6割に満たない。また、輝度のピーク値が複数箇所に現れ、中央より側部に偏る傾向にある。
図11(b)に示した帯状領域224や図11(c)に示した十字状領域226も、帯状領域222同様、特定物「信号機(赤)」の輝度範囲に含まれる輝度を有する対象部位はあるものの、その比率は帯状領域222全体の6割に満たない。
上記図11では、2つ(偶数)の光源がグループ化された例を挙げているので、対象物の中央部分にある対象部位の輝度は特定物「信号機(赤)」の輝度範囲に含まれる可能性が低い。一方、光源が3つ等奇数であったの場合、対象物の中央部分にある対象部位の輝度が、特定物「信号機(赤)」の輝度範囲に含まれる輝度を有する可能性が高まる。しかし、上記のような帯状領域222、224や十字状領域226内では輝度が高いところが疎となるので、やはり、その比率は帯状領域222、224や十字状領域226それぞれの6割に満たないこととなる。
したがって、特定物決定部172は、上記帯状領域222、224や十字状領域226のような特定領域における各対象部位の輝度を抽出すると共に、それぞれが特定物の輝度範囲に含まれているか否か判定する。そして、特定物の輝度範囲に含まれている割合が所定閾値以上であれば、その対象物218は1つの光源からなるとして、例えば、特定物「信号機(赤)」であると判定する。この場合、特定物の輝度範囲に含まれている割合が所定閾値未満となった対象物218は、特定物「信号機(赤)」と判定されないので、以後、他の特定物である可能性が検討される。
また、ここでは、帯状領域222、224を対象物218の一端部から他端部まで延伸する例を挙げて説明したが、その長さは一端部から他端部に限らず、任意に短くとることもできる。
続いて、特定物決定部172は、輝度が所定の輝度範囲に含まれる対象部位の割合が所定閾値以上であれば、所定の条件を満たしているか否か判定し、満たしていれば、その対象物を特定物として決定する。例えば、図4に示したように、特定物テーブル200に幅範囲204が対応付けられている場合、特定物決定部172は、特定物テーブル200に基づき、対象物の大きさ(対象物の水平距離xの幅および高さyの幅のいずれも)が、対象物について仮決定された特定物の幅範囲204に含まれていれば、その対象物を対象となる特定物として決定することとする。また、対象物の水平距離xの幅および高さyの幅それぞれについて幅範囲204を設定してもよい。ここでは、対象物が、特定物とみなすのに妥当な大きさであることを確認している。したがって、幅範囲204に含まれない場合、当該環境認識処理に不要な情報として除外することができる。例えば、図7や図9を用いた例では、図7(b)の対象物218の大きさは、特定物「信号機(赤)」の幅範囲「0.2〜0.4m」に含まれるため、適切に特定物「信号機(赤)」と特定される。一方、図9(c)の対象物218aの大きさは、特定物「信号機(赤)」の幅範囲「0.2〜0.4m」に含まれないため、特定物「信号機(赤)」として特定されることはない。また、図10(b)に示した対象物218は、大きさを判定される以前に、上記帯状領域222、224や十字状領域226による判定で排除されるので、当然、特定物「信号機(赤)」として特定されることはない。
こうして、環境認識装置130では、輝度画像124から、1または複数の対象物を、特定物として抽出することができ、その情報を様々な制御に用いることが可能となる。例えば、特定物「信号機(赤)」を抽出することで、その対象物が、移動を伴わない固定された物であることが把握されると共に、その対象物が自車線に関する信号機であれば、自車両1は、停止または減速すべきであることを把握することができる。また、特定物「テールランプ(赤)」を抽出することで、そこに自車両1と共に走行している先行車両があり、かつ、その先行車両の背面が、特定物「テールランプ(赤)」の相対距離zにあることを把握することができる。
パターンマッチング部174は、特定物決定部172が決定した特定物が例えば「標識」であり、その中には制限速度が表記されていることが想定される場合、さらに、表記されている数値についてパターンマッチングを実行し、その数値を特定する。こうして、環境認識装置130は、自車線の制限速度等を認識することができる。
本実施形態においては、まず、特定物決定部172によって複数に制限された特定物を抽出し、その抽出された特定物とのパターンマッチングのみ行えばよい。したがって、従来のように、輝度画像124全面に対してパターンマッチングを行うのに比べ処理負荷が格段に少なくなる。
(環境認識方法)
以下、環境認識装置130の具体的な処理を図12〜図17のフローチャートに基づいて説明する。図12は、画像処理装置120から距離画像(視差情報)126が送信された場合の割込処理に関する全体的な流れを示し、図13〜図17は、その中の個別のサブルーチンを示している。また、ここでは、対象部位として画素を挙げており、輝度画像124や距離画像126の左下隅を原点とし、画像水平方向に1〜600画素、垂直方向に1〜200画素の範囲で当該環境認識方法による処理を遂行する。また、ここでは、対象となる特定物の数を8つと仮定する。
図12に示すように、距離画像126の受信を契機に当該環境認識方法による割込が発生すると、特定物「信号機(赤)」が抽出されたとする。次に、画像処理装置120から取得した輝度画像124が参照されて対象部位が特定物として仮決定され、特定物マップ210が生成される(S302)。
続いて、仮決定された特定物がグループ化され(S304)、そのグループ化された対象物の代表距離が導出され(S306)、対象物の周囲にある対象部位をさらにグループ化して(S308)、グループ化された対象物が特定物として決定される(S310)。決定された特定物からさらに情報を得る必要があれば、パターンマッチング部174によって、特定物のパターンマッチングが実行される(S312)。以下、上記の処理を具体的に説明する。
(特定物マップ生成処理S302)
図13を参照すると、特定物仮決定部164は、対象部位(画素)を特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S350)。続いて、特定物仮決定部164は、垂直変数jに「1」を加算(インクリメント)すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S352)。次に、特定物仮決定部164は、水平変数iに「1」を加算し、特定物変数mを初期化(「0」を代入)する(S354)。ここで、水平変数iや垂直変数jを設けているのは、600×200の画素全てに対して当該特定物マップ生成処理を実行するためであり、特定物変数mを設けているのは、画素毎に8つの特定物を順次比較するためである。
特定物仮決定部164は、輝度画像124から対象部位としての画素(i,j)の輝度を輝度取得部160に取得させ(S356)、特定物変数mに「1」を加算し(S358)、特定物(m)の輝度範囲202を取得し(S360)、画素(i,j)の輝度が特定物(m)の輝度範囲202に含まれるか否か判定する(S362)。
画素(i,j)の輝度が特定物(m)の輝度範囲202に含まれていれば(S362におけるYES)、特定物仮決定部164は、その画素に特定物(m)を示す識別番号pを対応付けて、画素(i,j,p)とする(S364)。こうして、輝度画像124中の各画素に識別番号が付された特定物マップ210が生成される。また、画素(i,j)の輝度が特定物(m)の輝度範囲202に含まれていなければ(S362におけるNO)、特定物変数mが特定物の最大数である8を超えたか否か判定する(S366)。ここで、特定物変数mが最大値を超えていなければ(S366におけるNO)、ステップS358の特定物変数mのインクリメント処理からを繰り返す。また、特定物変数mが最大値を超えていれば(S366におけるYES)、当該画素(i,j)に対応する特定物は存在しないとして、次のステップS368に処理が移される。
続いて、特定物仮決定部164は、水平変数iが水平画素の最大値である600を超えたか否か判定し(S368)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S368におけるNO)、ステップS354の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S368におけるYES)、特定物仮決定部164は、垂直変数jが垂直画素の最大値である200を超えたか否か判定する(S370)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S370におけるNO)、ステップS352の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S370におけるYES)、当該特定物マップ生成処理を終了する。
(対象部位グループ化処理S304)
図14を参照すると、対象部位グループ化部166は、対象部位(画素)を特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S402)。続いて、対象部位グループ化部166は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S404)。次に、対象部位グループ化部166は、水平変数iに「1」を加算する(S406)。
対象部位グループ化部166は、輝度画像124から対象部位としての画素(i,j,p,dp)を取得する(S408)。そして、その画素(i,j,p,dp)に特定物の識別番号pが対応付けられているか否か判定する(S410)。ここで、識別番号pが対応付けられていれば(S410におけるYES)、対象部位グループ化部166は、その画素(i,j,p,dp)に隣接する、等しい識別番号pが対応付けられている他の画素が存在するか否か判定する(S412)。
識別番号pの等しい他の画素(i,j,p,dp)が存在すれば(S412におけるYES)、対象部位グループ化部166は、自己を含む隣接する全ての画素のいずれかにグループ番号gが付されているか否か判定する(S414)。いずれかにグループ番号gが付されていたら(S414におけるYES)、対象部位グループ化部166は、隣接する全ての画素および同一のグループ番号gが付されている全ての画素に、その付されているグループ番号のうち最も小さいグループ番号g、および、グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値のいずれか小さい方を付与して、画素(i,j,p,dp,g)とする(S416)。また、いずれにもグループ番号gが付されていない場合(S414におけるNO)、グループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値を、自己を含む隣接する全ての画素に新規に付与する(S418)。
このように、隣接する画素に識別番号が等しい対象部位が複数存在する場合、1のグループ番号gを付すことによってグループ化を行う。このとき、複数の対象部位のいずれにも未だグループ番号gが付されていない場合、新規のグループ番号gを付すこととし、いずれかに既にグループ番号gが付されている場合、それと同一のグループ番号gを付すこととなる。ただし、複数の対象部位に複数のグループ番号gが存在する場合、1つのグループとみなすべきなので、その対象部位全てのグループ番号gを1のグループ番号gに置換することとする。
このとき、隣接する全ての画素のみならず、同一のグループ番号gが付されている全ての画素のグループ番号gを一度に変更しているのは、グループ番号gの変更により、すでに統一化されたグループを分離しないためである。また、最も小さいグループ番号gまたはグループ番号としてまだ利用されていない番号のうち最も小さい値のいずれか小さい方を採用しているのは、グループの採番において可能な限り欠番を出さないようにするためである。こうすることで、グループ番号gの最大値が無用に大きくなることがなくなり、処理負荷を軽減することが可能となる。
識別番号pが対応付けられていない場合(S410におけるNO)、または、識別番号の等しい他の画素が存在しない場合(S412におけるNO)、次のステップS420に処理が移される。
続いて、対象部位グループ化部166は、水平変数iが水平画素の最大値である600を超えたか否か判定し(S420)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S420におけるNO)、ステップS406の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S420におけるYES)、対象部位グループ化部166は、垂直変数jが垂直画素の最大値である200を超えたか否か判定する(S422)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S422におけるNO)、ステップS404の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S422におけるYES)、当該対象部位グループ化処理を終了する。
(代表距離導出処理S306)
図15を参照すると、代表距離導出部168は、対象部位(画素)を特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S450)。続いて、代表距離導出部168は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S452)。次に、代表距離導出部168は、水平変数iに「1」を加算する(S454)。
代表距離導出部168は、輝度画像124から対象部位としての画素(i,j,p,dp,g)を取得し、視差情報dpを含む画素を実空間上の点(x,y,z)に座標変換して、画素(i,j,p,dp,g,x,y,z)とする(S456)。そして、その画素(i,j,p,dp,g,x,y,z)のグループ番号gが有効な値であるか否か、即ち、グループ番号gが既に付与されているか否か判定する(S458)。ここで、グループ番号gとして有効な値が付与されていれば(458におけるYES)、代表距離導出部168は、その画素(i,j,p,dp,g,x,y,z)を含む対象物の代表距離が既に導出されているか否か判定する(S460)。
その画素を含む対象物の代表距離がまだ導出されていなければ(S460におけるNO)、代表距離導出部168は代表距離を導出し、対象物内の全ての対象部位に代表距離rdを設定して、画素(i,j,p,dp,g,x,y,z,rd)とする(S462)。ここで、代表距離は、対象物内の対象部位の距離分布のピークに相当する相対距離zである。グループ番号gが有効な値ではない(S458におけるNO)、または、代表距離が既に導出済みであれば(S460におけるYES)、次のステップS464に処理が移される。
続いて、代表距離導出部168は、水平変数iが水平画素の最大値である600を超えたか否か判定し(S464)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S464におけるNO)、ステップS454の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S464におけるYES)、代表距離導出部168は、垂直変数jが垂直画素の最大値である200を超えたか否か判定する(S466)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S466におけるNO)、ステップS452の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S466におけるYES)、当該代表距離導出処理を終了する。
(対象物グループ化処理S308)
図16を参照すると、対象物グループ化部170は、対象部位をグループ化するための第1所定範囲、第2所定範囲を参照し(S500)、対象部位(画素)を特定するための垂直変数jを初期化(「0」を代入)する(S502)。続いて、対象物グループ化部170は、垂直変数jに「1」を加算すると共に水平変数iを初期化(「0」を代入)する(S504)。次に、対象物グループ化部170は、水平変数iに「1」を加算する(S506)。
対象物グループ化部170は、輝度画像124から対象部位としての画素(i,j,p,dp,g,x,y,z,rd)を取得する(S508)。そして、その画素(i,j,p,dp,g,x,y,z,rd)に特定物の識別番号pが対応付けられているか否か判定する(S510)。ここで、識別番号pが対応付けられていれば(S510におけるYES)、対象物グループ化部170は、その画素の実空間上の座標(x,y,z)から第1所定範囲内および第2所定範囲内に、等しい識別番号pが対応付けられている他の画素が存在するか否か判定する(S512)。
識別番号pの等しい他の画素(i,j,p,dp,g,x,y,z,rd)が存在すれば(S512におけるYES)、対象物グループ化部170は、他の画素を含む対象物内の対象部位の数が所定数以上あるか否か判定する(S514)。対象物内の対象部位の数が所定数以上あれば(S514におけるYES)、対象物グループ化部170は、他の画素を含む対象物全てを当該対象物と共にグループ化し、他の画素を含む対象物のグループ番号を当該対象物のグループ番号に置換する(S516)。そして、対象物グループ化部170は、代表距離として、他の画素を含む対象物の代表距離を加え、ステップS512の条件判定処理からを繰り返す(S518)。こうして、基点となった対象物のみならず、グループ化された対象物についても、近傍の対象物がサーチされることとなる。
識別番号pが対応付けられていない場合(S510におけるNO)、条件を満たす対象物が存在しない場合(S512におけるNO)、または、対象部位の数が所定数未満であった場合(S514におけるNO)、次のステップS520に処理が移される。
続いて、対象物グループ化部170は、水平変数iが水平画素の最大値である600を超えたか否か判定し(S520)、水平変数iが最大値を超えていなければ(S520におけるNO)、ステップS506の水平変数iのインクリメント処理からを繰り返す。また、水平変数iが最大値を超えていれば(S520におけるYES)、対象物グループ化部170は、垂直変数jが垂直画素の最大値である200を超えたか否か判定する(S522)。そして、垂直変数jが最大値を超えていなければ(S522におけるNO)、ステップS504の垂直変数jのインクリメント処理からを繰り返す。また、垂直変数jが最大値を超えていれば(S522におけるYES)、当該対象物グループ化処理を終了する。
(特定物決定処理S310)
図17を参照すると、特定物決定部172は、グループを特定するためのグループ変数kを初期化(「0」を代入)する(S552)。続いて、特定物決定部172は、グループ変数kに「1」を加算する(S554)。
特定物決定部172は、輝度画像124からグループ番号gがグループ変数kである対象物が存在するか否か判定し(S556)、存在すれば(S556におけるYES)、その対象物における帯状領域222を計算する(S558)。具体的に、特定物決定部172は、対象物の画面上垂直方向の上下端部座標(上端ymax、下端ymin)と、水平方向の左右端部座標(左端xl、右端xr)を取得する。そして、帯状領域222の短手方向の中心を座標(xl,(ymax+ymin)/2)から座標(xr,(ymax+ymin)/2)とし、短手方向の幅を任意の画素数とする。続いて、特定物決定部172は、帯状領域222における各対象部位の輝度が特定物の輝度範囲に含まれるか否か判定し、輝度範囲に含まれる対象部位の全体に対する割合を計算し(S560)、その割合が所定閾値以上であるか否か判定する(S562)。
輝度が特定物の輝度範囲に含まれる対象部位の割合が所定閾値以上であれば(S562におけるYES)、特定物決定部172は、そのグループ番号gが付された対象物の大きさを計算する(S564)。このとき対象物の大きさは、対象物の画面左端に位置する画素と画面右端に位置する画素間の水平距離(差分)である水平方向成分および対象物の画面上端に位置する画素と画面下端に位置する画素間の高さ(差分)である垂直方向成分によって特定される。そして、計算した大きさが、グループ番号gがグループ変数kである対象物に対応付けられた識別番号pで示される特定物の幅範囲204に含まれるか否か判定する(S566)。例えば、対象物の大きさの水平方向成分が特定物「信号機(赤)」の幅範囲204以内であり、かつ、対象物の大きさの垂直方向成分が特定物「信号機(赤)」の幅範囲204以内であれば、対象物は特定物「信号機(赤)」の幅範囲204に含まれると判定できる。
大きさが識別番号pで示される特定物の幅範囲204に含まれていれば(S566におけるYES)、特定物決定部172は、その対象物を特定物として決定する(S568)。グループ番号gがグループ変数kである対象物が存在しない場合(S556におけるNO)、対象部位の割合が所定閾値以上ではない場合(S562におけるNO)、または、大きさが識別番号pで示される特定物の幅範囲204に含まれていない場合(S566におけるNO)、次のステップS570に処理が移される。
続いて、特定物決定部172は、グループ変数kが、グループ化処理において設定されたグループ番号の最大値を超えたか否か判定する(S570)。そして、グループ変数kが最大値を超えていなければ(S570におけるNO)、ステップS554のグループ変数kのインクリメント処理からを繰り返す。また、グループ変数kが最大値を超えていれば(S570におけるYES)、当該特定物決定処理を終了する。こうして、グループ化された対象物が正式に特定物として決定される。
以上、説明したように、環境認識装置130によれば、対象物グループ化部170に意図せずグループ化されたり、複数の光源の一部が重なってしまった場合であっても、その対象物の輝度分布に基づいて、特定物であるか否か適切に判定することが可能となる。こうして、対象物の特定精度を向上し、誤認識を回避することが可能となる。
また、コンピュータを、環境認識装置130として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態においては、対象物の三次元位置を複数の撮像装置110を用い画像データ間の視差に基づいて導出しているが、かかる場合に限られず、例えば、レーザレーダ測距装置等、既知の様々な距離測定装置を用いることができる。ここで、レーザレーダ測距装置は、検出領域122にレーザビームを投射し、このレーザビームが物体に当たって反射してくる光を受光し、この所要時間から物体までの距離を測定するものである。
また、上述した実施形態では、特定物「信号機(赤)」を挙げて説明しているが、本発明は、例えば、図4の特定物テーブル200に示した特定物等、様々な特定物に適応できる。例えば、「信号機(黄)」、「信号機(青)」、「テールランプ(赤)」、「ウィンカー(橙)」等は、近くに同色の光源を伴わず、単体で発光するとみなせるので、「信号機(赤)」同様の判定を実行することが可能である。
また、上述した実施形態では、特定領域として、帯状領域222、224や十字状領域226を挙げて説明したが、例えば、対角線に相当する右上に傾斜する帯状領域および左上に傾斜する帯状領域を特定領域としてもよい。画面上では、複数の光源が並んで斜めに検出される可能性が高いことに鑑み、その2つの領域では輝度に統計上の差が生じる可能性が高い。そこで、特定物決定部172は、傾斜する2つの帯状領域の輝度の和または平均値を比較して、その差が所定閾値以内である場合に限り、対象物を特定物として決定するとしてもよい。
また、上述した実施形態においては、撮像装置110がカラー画像を取得することを前提としているが、かかる場合に限られず、モノクロ画像を取得することでも本実施形態を遂行することができる。この場合、特定物テーブル200が単色の輝度で定義されることとなる。
また、上述した実施形態では、位置情報取得部162が、画像処理装置120から距離画像(視差情報)126を受けて三次元の位置情報を生成している例を挙げている。しかし、かかる場合に限られず、画像処理装置120において予め三次元の位置情報を生成し、位置情報取得部162は、その生成された三次元の位置情報を取得するとしてもよい。このようにして、機能分散を図り、環境認識装置130の処理負荷を軽減することが可能となる。
また、上述した実施形態においては、輝度取得部160、位置情報取得部162、特定物仮決定部164、対象部位グループ化部166、代表距離導出部168、対象物グループ化部170、特定物決定部172、パターンマッチング部174は中央制御部154によってソフトウェアで動作するように構成している。しかし、上記の機能部をハードウェアによって構成することも可能である。
また、特定物決定部172は、例えば対象物の大きさが特定物の幅範囲204に含まれることをもって特定物と決定しているが、かかる場合に限らず、さらに、他の様々な条件を満たしている場合に特定物として決定してもよい。例えば、対象物中における水平方向および鉛直方向の相対距離zの推移がほぼ等しい(連続する)場合や、z座標に対する相対移動速度が等しい場合に特定物とする。このとき対象物中における水平方向および鉛直方向の相対距離zの推移は、ハフ変換あるいは最小二乗法による近似直線によって特定することができる。
なお、本明細書の環境認識方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。