JP5187895B2 - ノズル位置補正機構およびそれを備える塗布装置 - Google Patents
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Description
特許文献1や2で用いられている位置検出機器はカメラであるが、その他の光学機器、例えば、レーザー変位計やフォトセンサなどを用いる場合もある。
このような特別の機器を設けることをきらい、吐出装置が搭載されたXYZ駆動機構を手動で操作して、目視にて塗布位置などの目標位置に合うようノズル先端を移動させ、その移動量の差違から塗布作業開始位置などの設定を修正することも依然として行われている。
また、特許文献2に記載の発明においては、位置検出のために試し塗布を行わなければならず、このために試し塗布面を別に設ける必要があった。
さらに、目視により位置合わせをしている場合、その位置は作業者によりばらつきがあり、精度にも限界があった。また、この作業は繁雑で時間がかかっていた。
そこで本発明は、カメラやセンサなどの特別な機器を必要とせず、簡易な構成で機械的に位置調整が行えるノズル位置補正機構およびそれを備える塗布装置を提供することを目的とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記位置決め部材は、前記当接面を形成する空間を内部に含み、前記ノズル挿通孔が、前記位置決め部材の一の面と前記空間を連通するように設けられることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記位置決め部材が、前記ノズル挿通孔を有する第1の部材と、前記当接面を形成する空間を含み、前記第1の部材と接合される第2の部材とを備えることを特徴とする。
第4の発明は、第2または3の発明において、前記空間が、前記当接面を外部から視認できる窓を構成することを特徴とする。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明において、前記位置決め部材には、異なる内径のノズル挿通孔が複数設けられていることを特徴とする。
第6の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記ノズル挿通孔のノズル進入側の端部が、テーパー状に形成されることを特徴とする。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記位置決め部材が、プラスチック材料からなることを特徴とする。
第9の発明は、第8の発明において、前記制御部が、位置決め部材の位置を前記駆動機構の基準位置に対する相対位置として把握することを特徴とする。
また、複雑な演算処理や制御を行わないため短時間でノズル位置調整を行うことができ、塗布作業開始位置などの設定修正の必要もない。
[位置決め部材]
本発明に係る位置決め部材101の概略斜視図を図1に、正面図を図2に示す。図1および2の構成例では、位置決め部材101は、嵌合部材102と当接部材103の二つの部材から構成される。嵌合部材102は、概ね直方体形状をしており、吐出装置705が有するノズル707の先端部分が挿通される孔104が上面から下面へ貫通するよう設けられている。
孔104は、ノズル707より僅かに広径に形成されており、ノズル707のずれを修正するのに充分な深さ(例えば、ノズルの長さの1/3〜1/2)がある。孔104は、ノズル進入側の縁部にテーパー部105が設けられている。別の言い方をすれば、孔104の入口部分は円錐台状であり、円錐台の先端から出口部分にかけては円筒状となっている。このようにテーパー部105が設けられていることにより、後述する調整機構301によりノズル707先端部分を孔104に嵌合させる際、ノズル707をより挿入しやすくしている。また、嵌合部材102は、熱的性質(特に膨張や収縮)の優れたプラスチック材料(例えば、ポリエーテルエーテルケトン)、からなることが好ましい。なぜなら、第一に、熱による膨張や収縮を抑えることにより熱に起因するノズル位置補正の誤差を最小限とすることができるからであり、第二に、金属材料により構成すると、ノズル707を孔104に挿入した際にノズル707を傷つける可能性があるからである。このような目的が達成できるのであれば、位置決め部材101の一部部分のみ(例えば、嵌合部材102のみ)をプラスチック材料で構成してもよい。
なお、孔104の形状はノズル707の形状に合わせて形成されればよく、円筒状に限定されない。
もっとも、上記二つの部分(102、103)は別部材で構成しなくてもよく、ノズル707の嵌合する孔104やノズル先端が当接する当接面106を一つの部材に設けてもよい。また、窪み部108は必須の構成ではなく、設けなくともよい。
このように、本発明の位置決め部材101を使用することにより、ノズル707の塗布位置、ワークとのクリアランスの設定を自動または手動で変更することなく、簡単に位置を合わせることができる。
本発明に係る調整機構301の概略斜視図を図3に、その三面図を図4に示す。図4において、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は左側面図を示す。ここで、X、Y、Z軸の各方向は図3で符号302に示す座標軸の方向とする。
図3に示すように、調整機構301は、吐出装置705(点線で図示)と、Z軸駆動機構704(点線で図示)に取り付けられた接続部材303との間に設置されている。そして調整機構301は、X方向調整部304、Y方向調整部305、Z方向調整部306からなり、各調整部(304、305、306)は、それぞれスライドガイド(307、308、309)およびスライド部材(310、311、312)からなっている。各スライドガイド(307、308、309)は、図3に矢印で示した各方向へ各スライド部材(310、311、312)を移動できるよう取り付けられており、これにより吐出装置705をXYZの各方向へ移動させることができる。
クランプ板(313、314、315)およびクランプねじ(316、317、318)の働きを、Z方向調整部306を例にとって以下に説明する。Zクランプねじ318を緩めると、Zクランプねじ318のつまみ部分とYスライド部材311との間にZクランプ板315を挟んでいた力が緩み、固定ねじ319側のZスライド部材312が移動可能となる。逆に、Zクランプねじ318を締めると、Zクランプ板315がZクランプねじ318のつまみ部分とYスライド部材311との間に挟まれて動きが制限され、Zスライド部材312は固定される。Zスライド部材312はZクランプ板315に開けられた長円の孔320の長さの範囲内で移動可能となっている。
上記位置決め部材101および調整機構301を用いたノズル707の位置の補正手順を以下に説明する。なお、以下では説明の便宜上、符号を付す場合があるが、符号と対応する図面の構成に限定した手順を説明するものではない。
図5に、本発明の第一の補正手順のフローチャートを示す。
まず、ノズルを有する吐出装置705を塗布装置701の駆動機構(702、703、704)に調整機構301を介して取り付ける(STEP11)。ここで、調整機構301にてノズル707をZ方向上方へ移動させておく(STEP12)。これは、次のステップでノズル707を移動した際にノズル707の先端が位置決め部材101に衝突しないようにするためである。次に、予め設定された位置決め部材101の位置(XYZ位置決め位置)へ駆動機構(702、703、704)を用いてノズル707を移動する(STEP13)。なお、位置決め位置は、一度設定をしたら変更しないようにし、ノズル707の位置の調整・変更は調整機構301を用いて行う(STEP14〜15)。位置決め部材101の上方にノズル707を移動したら、はじめに、ノズル707の先端が嵌合部材の孔104の位置に合うようにXおよびY方向の調整部304、305を用いてノズル707の先端の位置を微調整する。この位置合わせが完了したら、クランプねじ316、317を締めてXおよびY方向調整部を固定する(STEP14)。続いて、Z方向調整部306を用いてノズル707を嵌合部材の孔104へ挿入し、ノズル707の先端が当接面106に突き当たるまで下降させる。この際、ノズル707の先端を目視にて確認しながら行うとよい。突き当たった位置でクランプねじ318を締めてZ方向調整部306を固定する(STEP15)。ノズル707を嵌合部材の孔104から抜脱し、塗布作業を開始する(STEP16)。
図6に、本発明の第二の補正手順のフローチャートを示す。
まず、ノズル707を有する吐出装置705を塗布装置701の駆動機構(702、703、704)に調整機構301を介して取り付ける(STEP21)。次に、予め設定されたXYZ位置決め位置のうちZ位置を除くXおよびY位置へ駆動機構(702、703)を用いてノズル707を移動する(STEP22)。位置決め部材101の上方にノズルが移動したら、ノズル707の先端位置が嵌合部材の孔104の位置に合うようにXおよびY方向の調整部304、305を用いてノズル707の先端の位置を微調整する。この位置合わせが完了したら、クランプねじ316、317を締めてXおよびY方向調整部を固定する(STEP23)。続いて、予め設定されたXYZ位置決め位置のうちZ位置への移動のみを駆動機構(704)を用いて途中まで行う(STEP24)。STEP24で嵌合部材の孔104に途中まで挿入されたノズル707を、Z方向調整部306を用いてノズル707の先端が当接面106に突き当たるまで下降させる。この際、ノズル707の先端を目視にて確認しながら行うとよい。突き当たった位置でクランプねじ318を締めてZ方向調整部を固定する(STEP25)。ノズル707を嵌合部材の孔104から抜脱し、塗布作業を開始する(STEP26)。
以上では、二つの手順を例示したが、位置決め部材101と調整機構301を用いるものであれば、上記二つの手順に限らず他の手順によってもよい。
本実施例に係る塗布装置701は図7に示すように、X駆動機構702と、Y駆動機構703と、Z駆動機構704と、吐出装置705とこれらの動作を制御する制御部709とを備えている。
X駆動機構702には、Z駆動機構704が設けられている。Y駆動機構703上には、塗布対象物708を載置するテーブル710が設けられている。吐出装置705は、液体材料を貯留する貯留容器706と、その先端に液体材料を吐出するノズル707とを備えている。吐出装置705として貯留容器706とノズル707との組み合わせを示したが、ノズル707を有するものであれば、これに限らずどのような装置でもよい。
調整機構301は、Z駆動機構704と吐出装置705との間に配設される。このとき、調整機構301、Z軸駆動機構704および吐出装置705をY方向に直列に取り付けるのではなく、吐出装置705が調整機構301のX方向の部位(例えばスライド部材312)に配置されるようにすることが好ましい。これにより調整機構301に対する操作が容易にできるようになる。また、吐出装置705を調整機構301のX方向に配設することでX軸駆動機構702からの距離が短くなり、吐出装置705および調整機構301をY方向に直列に配設した場合よりもZ軸駆動機構704をたわませる荷重を低減することができる。
実施例1では、位置決め部材101のノズルが嵌合する孔104は一つであったが、使用が想定される複数種類のノズル径に対応するため、内径の異なる複数個の孔(805〜809)を設けてもよい。図8にその構成例を示す。
図8に示す位置決め部材801は、実施例1と同様に嵌合部材802と当接部材803の二つの部材からなる。嵌合部材802には、最も使用するノズルの嵌合する孔805を中央に設ける。そしてその右側には中央の孔805よりも大きい径の孔(806、807)を設け、左側には中央の孔805よりも小さい径の孔(808、809)を設ける。それぞれの孔(805〜809)には、前述と同様なテーパー部810が孔の径に合わせて設けられている。このように予め複数種類の孔(805〜809)を設けておくことにより、液体材料の変更や所望とする塗布の量の変更にも位置決め部材801を交換することなく対応できる。また、予め使用するノズル径が決まっていれば、そのノズルが嵌合する孔を設ければよい。当接部材803に形成される当接面804は、孔(805〜809)の数に対応して形成する。
実施例として挙げた、先端にノズルを有する貯留容器内の液体材料に調圧されたエアを所望時間だけ印加するエア式だけでなく、例えば、フラットチュービング機構またはロータリチュービング機構を有するチュービング式、先端にノズルを有する貯留容器の内面に密着摺動するプランジャーを所望量移動して吐出するプランジャー式、スクリューの回転により液体材料を吐出するスクリュー式、所望圧力が印加された液体材料をバルブの開閉により吐出制御するバルブ式、弁座に弁体を衝突させて液体材料をノズル先端より飛翔吐出させるジェット式の装置にも本発明を適用することができる。
102 嵌合部材(第1の部材)
103 当接部材(第2の部材)
104 孔(ノズル挿通孔)
105 テーパー部
106 当接面
107 ねじ
108 窪み部(空間)
301 調整機構
302 座標軸
303 接続部材
304 X方向調整部
305 Y方向調整部
306 Z方向調整部
307 Xスライドガイド
308 Yスライドガイド
309 Zスライドガイド
310 Xスライド部材
311 Yスライド部材
312 Zスライド部材
313 Xクランプ板
314 Yクランプ板
315 Zクランプ板
316 Xクランプねじ
317 Yクランプねじ
318 Zクランプねじ
319 固定ねじ
320 長円の孔
701 塗布装置
702 X駆動機構
703 Y駆動機構
704 Z駆動機構
705 吐出装置
706 貯留容器(シリンジ)
707 ノズル
708 塗布対象物
709 制御部
710 テーブル
801 位置決め部材
802 嵌合部材
803 当接部材
804 当接面
805 中央の孔
806、807 大きい径の孔
808、809 小さい径の孔
810 テーパー部
Claims (9)
- 液体材料を吐出するノズルとテーブル上に載置されたワークとを駆動機構により相対移動させてワーク面に液体材料を塗布する際に、前記ノズルの位置を補正するためのノズル位置補正機構であって、
前記駆動機構に対する前記ノズルの相対位置を調整する調整部と、
前記ノズルが挿通されるノズル挿通孔、および、前記ノズル挿通孔に挿通されたノズルの先端部分と当接する当接面を有する位置決め部材を備えることを特徴とするノズル位置補正機構。 - 前記位置決め部材は、前記当接面を形成する空間を内部に含み、
前記ノズル挿通孔が、前記位置決め部材の一の面と前記空間を連通するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のノズル位置補正機構。 - 前記位置決め部材が、前記ノズル挿通孔を有する第1の部材と、前記当接面を形成する空間を含み、前記第1の部材と接合される第2の部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載のノズル位置補正機構。
- 前記空間が、前記当接面を外部から視認できる窓を構成することを特徴とする請求項2または3に記載のノズル位置補正機構。
- 前記位置決め部材には、異なる内径のノズル挿通孔が複数設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のノズル位置補正機構。
- 前記ノズル挿通孔のノズル進入側の端部が、テーパー状に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のノズル位置補正機構。
- 前記位置決め部材が、プラスチック材料からなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のノズル位置補正機構。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載のノズル位置補正機構と、液体材料を吐出するノズルを有する吐出装置と、液体材料が塗布されるワークを載置するテーブルと、ノズルとワークとを相対移動させる駆動機構と、制御部と、を備える塗布装置。
- 前記制御部が、位置決め部材の位置を前記駆動機構の基準位置に対する相対位置として把握することを特徴とする請求項8に記載の塗布装置。
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