JP5187490B2 - 圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド - Google Patents

圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド Download PDF

Info

Publication number
JP5187490B2
JP5187490B2 JP2007270007A JP2007270007A JP5187490B2 JP 5187490 B2 JP5187490 B2 JP 5187490B2 JP 2007270007 A JP2007270007 A JP 2007270007A JP 2007270007 A JP2007270007 A JP 2007270007A JP 5187490 B2 JP5187490 B2 JP 5187490B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
layer
constraining
displacement
layers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007270007A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009096077A (ja
Inventor
尚志 玉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2007270007A priority Critical patent/JP5187490B2/ja
Publication of JP2009096077A publication Critical patent/JP2009096077A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5187490B2 publication Critical patent/JP5187490B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、圧電材料で形成される圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータから与えられた吐出圧力で複数のノズルから選択的に液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに関するものである。
圧電アクチュエータでは、特許文献1、2に示されるように、圧電材料からなる複数の圧電層と複数の電極層とが交互に積層されたものが知られている。この構造では、複数の個別電極を平面方向に間隔をあけて形成した圧電層と、コモン電極を形成した圧電層とを交互に積層し、積層方向に対向する個別電極とコモン電極との間の各圧電層を活性部として形成し、両電極間に電圧を印加することにより各活性部が積層方向に変位する。そして、この圧電アクチュエータを液滴吐出ヘッドなどに適用し、各活性部の変位により液体に吐出圧力を与えるようにしている。
このような構造では、液体に圧力を与える方向への活性部の変位を大きくするために、その方向と反対側の圧電層に積層して拘束層を設けている。
また、特許文献2に示される構造では、圧電アクチュエータの静電容量を低減するために、活性層における複数の圧電層のうちの少なくとも1層を、他の層よりも層の厚みを厚くしている。
特開2001−162796号公報(図5乃至図7参照) 特開2004−259865号公報(図3及び図7参照)
特許文献1、2に示される構造では、拘束層の存在により、活性部の変位の比較的多くの部分を液体に圧力を与える方向へ向かわせることができるとともに、積層面と平行な方向の変形を防止して隣接する活性部の変位を抑えクロストークを防止することができる。しかし、これらの構造においても、複数の活性部が、圧電層の面方向(積層方向と直交する方向)で圧電層によって相互につながっているため、十分なクロストークの防止をすることができなかった。
発明者が、特許文献1と同様に、同じ厚さの圧電層、拘束層を積層した構成のインクジェットヘッドにおいて吐出実験を行なったところ、同じ列内のノズル(チャンネル)同士では、複数のノズル(多チャンネル)から同時にインクを吐出するときの吐出速度が、任意の1つのノズル(1チャンネル)のみからインクを吐出するときの吐出速度よりも速くなる現象が生じることがわかった。この吐出速度のばらつきは、記録媒体に着弾するインクの位置ズレを引き起こすために、記録品質に悪影響を与えることになる。
本発明は、上記問題を解消するものであり、活性部を複数同時に駆動させたときと単独で駆動させたときとで、変位にばらつきが生じることを抑制することができる圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッドの実現を目的とするものである。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における圧電アクチュエータは、圧電材料からなる1以上の圧電層と複数の電極層とが交互に積層され、積層方向に対向する前記電極層の間の各圧電層がその電極に電圧を印加することにより変位する活性部として形成され、前記活性部が前記積層方向と直交する方向に複数個相互に間隔をあけて配置され、前記複数の活性部に渡り且つ前記積層方向の上下には、変位のための電圧が印加されない拘束層がそれぞれ積層されていて、上下の前記拘束層のうちの一方の第1拘束層は、前記活性部の変位を利用する部材に対向するとともに、他方の第2拘束層よりも剛性が高くされていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記第1拘束層は、前記第2拘束層よりも前記積層方向の厚みが厚く形成されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明における圧電アクチュエータは、圧電材料からなる複数の圧電層と複数の電極層とが交互に積層され、積層方向に対向する前記電極層の間の各圧電層がその電極に電圧を印加することにより変位する活性部として形成され、前記活性部が前記積層方向と直交する方向に複数個相互に間隔をあけて配置され、前記各活性部における前記各圧電層は、該活性部の変位を利用する部材に近い側が遠い側よりも剛性が高くされており、前記活性部は3層以上の圧電層を含み、各圧電層の厚みは、該活性部の変位を利用する部材に近い側から遠い側に向かって段階的に剛性が低くされていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記複数の活性部に渡り且つ前記積層方向の上下には、変位のための電圧が印加されない拘束層がそれぞれ積層されていて、上下の前記拘束層のうち、前記活性部の変位を利用する部材に対向する側の一方の第1拘束層は、他方の第2拘束層よりも剛性が低くされていることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記活性部の変位を利用する部材に近い側の圧電層は、遠い側の圧電層よりも記積層方向の厚みが厚く形成されていることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1、2、4のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、前記第1拘束層及び第2拘束層は、前記活性部の圧電層と同じ圧電材料で形成され且つ電極間に挟まれていない層であることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明における液滴吐出ヘッドは、液体を吐出する複数のノズルと、各ノズル毎に設けられて前記ノズルに連通する圧力室と、各圧力室に液体を分配する共通液室とを少なくとも有するキャビティ部と、請求項1乃至6のいずれかに記載の圧電アクチュエータとを備え、前記圧電アクチュエータによって、各圧力室の液体に選択的に吐出圧力を与える液滴吐出ヘッドであって、前記活性部における前記圧電層を挟む上下の電極のうち、一方は各圧力室に対応して設けられた個別電極であり、他方は複数の圧力室に対して共通して設けられたコモン電極であり、前記積層方向からの平面視で、前記個別電極が前記圧力室に重なるように、前記圧電アクチュエータは前記キャビティ部に積層されることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明のように、複数の活性部に渡り且つ前記積層方向の上下に設けられた第1拘束層と第2拘束層のうち、活性部の変位を利用する部材に対向する第1拘束層が、反対側の第2拘束層よりも剛性を高くすることで、複数の活性部を同時に変位させたときと、1つの活性部を単独で変位させたときとで、変位のばらつきを抑制することができた。これは、前記積層方向と直交する方向に複数個相互に間隔をあけて配置された複数の活性部が同時に駆動されると、活性部の変位が相乗的に作用して変位が大きくなる現象が生じるが、第1拘束層の剛性を高くすることで、隣接する活性部の変位が相互に作用することが抑制され、その結果、複数の活性部を同時に変位させたときと、1つの活性部を単独で変位させたときとで、変位のばらつきが抑制されることによるものと考えられる。
請求項2に記載の発明のように、前記第1拘束層を、前記第2拘束層よりも前記積層方向の厚みを厚く形成することで、上記構成を容易に実現することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、活性部における各圧電層は、活性部の変位を利用する部材に近い側が遠い側よりも剛性が高くすることでも、複数の活性部を同時に変位させたときと、1つの活性部を単独で変位させたときとで、変位のばらつきを抑制することができた。これは、前記積層方向と直交する方向に複数個相互に間隔をあけて配置された複数の活性部が同時に駆動されると、活性部の変位が相乗的に作用して変位が大きくなる現象が生じるが、前記部材に近い側の圧電層の剛性を高くすることで、隣接する活性部の変位が相互に作用することが抑制され、その結果、複数の活性部を同時に変位させたときと、1つの活性部を単独で変位させたときとで、変位のばらつきが抑制されることによるものと考えられる。
そして、請求項3に記載の発明のように、活性部に含まれる3層以上の圧電層は、その厚みが活性部の変位を利用する部材に近い側から遠い側に向かって段階的に剛性を低くすることで、隣接する活性部の変位が相互に作用することを効果的に抑制することができる。
請求項5に記載の発明のように、変位を利用する部材に近い側の圧電層を、遠い側の圧電層よりも前記積層方向の厚みを厚く形成することで、上記構成を容易に実現することができる。
請求項4に記載の発明のように、複数の活性部に渡り且つ前記積層方向の上下に設けられた第1拘束層と第2拘束層のうち、活性部の変位を利用する部材に対向する第1拘束層を、反対側の第2拘束層よりも剛性を低くすることで、活性部の変位をそれを利用する部材に対して効果的に伝えることができる。その結果、上記のように、活性部の変位を利用する部材に近い側の圧電層を遠い側の圧電層よりも剛性を高くしたことによる、複数の活性部を同時に変位させたときと、1つの活性部を単独で変位させたときとの、変位のばらつきの抑制を、効果的に実現することができる。
請求項6に記載の発明によれば、第1拘束層と第2拘束層とは、活性部の圧電層と同じ圧電材料で形成されているので、製造時に圧電材料からなる素材シート(グリーンシート等)で圧電層を形成するときに、同種の素材シートを利用し電極で挟まないように構成するだけで簡単に拘束層を形成することができる。また、同種の素材シートで形成されているから、焼成することで簡単に圧電層と拘束層とを一体化できる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から7のいずれかに記載の圧電アクチュエータの活性部は、個別電極とコモン電極とで上下を挟まれていて、活性部が、キャビティ部の圧力室毎に選択的に吐出圧力を与えて、ノズルから液体を吐出している。従って、活性部が複数同時に駆動されると、上記のように、各活性部の変位が相互に作用することが抑制されるので、複数のノズルから同時に液体を吐出するときの吐出速度と、1つのノズルから単独で液体を吐出するときの吐出速度とのばらつきを、小さくするかまたはなくすことができ、吐出対象物に安定して液体を吐出させることができる。
以下に、本発明の基本的な実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された液滴吐出ヘッドであるインクジェット式の記録ヘッド1の斜視図である。記録ヘッド1は、複数のノズル5(図2及び図3参照)を外部に開口させ内部にインク流路を有するキャビティ部2と、キャビティ部2内のインクに吐出圧力を与える圧電アクチュエータ3と、このアクチュエータ3に駆動信号を出力するフレキシブル配線材4とが積層配置される構造を有している。なお、以下の説明では、キャビティ部2のノズル5が開口された側を下面(下側)とし、アクチュエータ3が積層されている側を上面(上側)とする。図1及び図2では、下面側に開口するノズル5から、下向きにインクが吐出される。
キャビティ部2は、図2に示すように、ノズルプレート11、スペーサプレート12、ダンパープレート13、2枚のマニホールドプレート14a、14b、サプライプレート15、ベースプレート16、及びキャビティプレート17の合計8枚の薄い平板を、その各広幅面同士が対向するように積層し接合した構造となっている。
実施形態では、各プレート11〜17は、40〜150μm程度の厚さを有し、ノズルプレート11はポリイミド等の合成樹脂製で、その他のプレート12〜17は42%ニッケル合金鋼板製である。ノズルプレート11には、微小径(20μm程度)のインク吐出用のノズル5がX方向に微小間隔で多数個列状に穿設されている。ノズル5は、X方向と直交するY方向に間隔をあけて5列設けられている。
ノズルプレート11の各ノズル5は、キャビティプレート17に形成されている圧力室21にそれぞれ個別に連通路22を介して連通している。そのため、ノズルプレート11とキャビティプレート17の間に介挿されたスペーサプレート12、ダンパープレート13、マニホールドプレート14a、14b、サプライプレート15、ベースプレート16には、それぞれ連通路22の一部となる連通穴23が穿設されている(図3参照)。
キャビティプレート17には、複数の圧力室21がノズル5の配列に対応して5列に配列されている。各圧力室21は、図2に示すように、平面視細長形状でその長手方向がY方向に沿うようにしてキャビティプレート17の板厚を貫通して形成されている。各圧力室21の長手方向の一端は、ベースプレート16に穿設された接続穴24と、サプライプレート15に形成された接続流路25とを介して共通インク室26に連通している。各圧力室21の長手方向の他端は、前述した連通路22に接続している。
2枚のマニホールドプレート14a、14bには、X方向に沿って長い5つの(共通インク室26になるべき)溝状の穴部が板厚を貫通して略平行状に形成されており、2枚のマニホールドプレート14a、14bを積層し、且つその上面をサプライプレート15にて覆い、下面をダンパープレート13にて覆うことにより、合計5つの共通インク室(マニホールド室)26が形成される。
マニホールプレート14aの下面に隣接するダンパープレート13の下面側には、各共通インク室26と位置及び形状を一致させ且つ共通インク室26と隔絶されたダンパ室28が凹み形成されている。このダンパープレート13は、ダンパ室28上部の薄い板状の天井部(ダンパ壁)が弾性により自由に振動することで、圧力室21から共通インク室26に伝播した圧力変動を吸収減衰させ、圧力変動が他の圧力室21へ伝播するクロストークを抑制する。
キャビティプレート17のY方向に平行な一方の辺寄りには、インク供給源からのインクを導入するためのインク供給口29が4つ穿設されており、各インク供給口29と上下位置を対応させて、ベースプレート16とサプライプレート15とにそれぞれ4つの接続口30が穿設されている。4つのインク供給口29には、インク中の異物を除去するためのフィルタ体31(図1参照)が接着剤等で一括して貼着されている。
この実施形態では、図2における左側の1つのインク供給口29は、同じく左側の2つの共通インク室26、26に連通し、ブラックインクが流入するノズル列を2列に設定している。他の3つのインク供給口29は、それぞれ1つの共通インク室26に連通し、シアン、イエロー、マゼンタの各インクがそれぞれ単独に供給される。
このように、インクは、インク供給口29から接続口30を経て共通インク室26に流入し、接続流路25及び接続穴24を経由して圧力室21に至る。後述するアクチュエータの活性部が選択的に変位されることで、圧力室内のインクに吐出圧力が加えられ、連通路22を経てノズル5からインクが吐出される。
アクチュエータ3は、全ての圧力室21にわたる大きさを有する扁平形状で、特開2004−259865号公報等に開示された公知のものと同様に、扁平な方向と直交する方向に積層される複数の圧電材料(例えばPZT)からなる複数の圧電層41(個別には41a〜41fと符号を付す)と、圧電層41の上下を挟む電極層とを備えている(図2及び図3参照)。
さらにアクチュエータ3は、圧電層41の積層方向上下に、拘束層が設けられている。上下の拘束層のうち、圧力室21と対向する位置にある方を第1拘束層61、反対側のフレキシブル配線材4と対向する位置にある方を第2拘束層62とする。つまり、アクチュエータ3は、キャビティ部2に近い側から順に、第1拘束層61、圧電層41a、41b、41c、41d、41e、41f、第2拘束層62が積層されている。
第1及び第2拘束層61、62は、圧電層41と同じ圧電材料(PZT等)で形成されているが、アクチュエータ3の上下面に露出しているため電極層に挟まれない層である。このため、駆動用の電圧も印加されないので、アクチュエータ3の駆動時に変位が生じない。なお、拘束層は必ずしも圧電層41と同じ材料で形成しなくてもよく、変位しない材料であればその他の材料で構成してもよいが、圧電材料のシートを用いると部品コストの削減が可能で、且つ製造時の焼成により圧電層41と一体化させ易い利点がある。
電極層として、平面視圧力室21と重なる位置に圧力室21毎に設けた個別電極42のパターンを有する電極層と、複数の圧力室21にわたって延びるコモン電極43のパターンを有する電極層とが、圧電層41及び拘束層61、62間にその積層方向に交互に配置されている。また、アクチュエータ3の最上面には、外部電極44a、44bが配置されている(図1及び図2参照、図3では図示を省略している)。積層方向に対向する個別電極42は、公知のものと同様に、第2拘束層62と圧電層41を貫通したスルーホールに充填された導電材にて外部電極44aと一対一で電気的に接続されている。コモン電極43は、同様にして外部電極44bと接続されている。そして、外部電極44a、44bとフレキシブル配線材4の電極パターン(図示せず)とが電気的に接合されている。
個別電極42とコモン電極43とに挟まれる圧電層41の部分は、駆動用の電圧を印加することで変位する活性部50として形成されている。個別電極42は、各圧力室21に対応して設けられているから、活性部50も各圧力室21に対応して、平面視で5列形成され、相互に間隔をあけて配置されている。また、活性部50は圧電層の数だけ積層方向に重なっていて、個別電極42とコモン電極43との間に電圧を印加したときに、重なった活性部が一体的に変位動作を行うので、ここでは、積層方向に重なった活性部全体を指して活性部50と称している。圧電層の数は1層以上任意に構成することができる。
上記構成のアクチュエータ3を製造するときには、第1拘束層61、圧電層41b、41d、41fとなるべき圧電材料からなる素材シート(グリーンシート)上面にコモン電極43のパターンが形成され、圧電層41a、41c、41eとなるべき圧電材料からなる素材シート(グリーンシート)上に個別電極42のパターンが形成される。そしてコモン電極43のパターンと個別電極42のパターンとが交互に位置するように素材シートが積層され、外部電極44のパターンが形成され第2拘束層62となるべき圧電材料からなる素材シート(グリーンシート)が積層されて焼成され一体化される。
その後、個別電極42とコモン電極43との間に、分極処理用の高電圧を印加すると、個別電極42とコモン電極43とに上下を挟まれた圧電層の部分が、個別電極42からコモン電極43に向かう方向に分極処理され、活性部50となる。そして、公知のように、コモン電極43をグランド電圧に接続し、個別電極42に選択的に駆動用の電圧(分極処理用の電圧よりも低電圧)を印加すると、活性部50が圧電縦効果により積層方向に伸長する。
本発明の第1実施形態では、第1拘束層61の厚みT1を第2拘束層62の厚みT3よりも厚くし、圧電層41a〜41fは、全て同じ厚みT2で、且つ第1拘束層61よりも薄く、第2拘束層62よりも厚くしている(T1>T2>T3)。なお、ここで「厚み」とは圧電層及び拘束層の積層方向と平行な寸法である。第1拘束層61の厚みT1は、活性部50の変位を圧力室に伝えることが可能な厚みである。
第1実施形態の構成のアクチュエータ3を用いて、その効果を検証する実験を行った。図4(a)に示す実験結果1の実施例1では、圧電層41a〜41fの各厚みT2=25.0μm、第1拘束層61の厚みT1=37.5μm、第2拘束層62の厚みT3=12.5μmに設定している。これに対して、比較例1は、圧電層41a〜41f、第1拘束層61、第2拘束層62のすべての厚みを同じにした例であり、T1=T2=T3=25.0μmにしている。また、比較例2は、第1拘束層61の厚みを第2拘束層62よりも薄くした例であり、T1=12.5μm、T2=25.0μm、T3=37.5μmにしている。つまり、実施例1と、比較例1及び2は、圧電層41の厚みはいずれも同じであるが、第1拘束層61と第2拘束層62の厚みを変えている。
図4(a)の縦軸(以下に示す他の実験結果も同様)は、1つの活性部50を単独で駆動したとき(1チャンネル駆動)のインクの吐出速度(1チャンネル吐出速度と記載)に対して、複数の活性部50を同時に駆動したとき(多チャンネル駆動)のインクの吐出速度(多チャンネル吐出速度と記載)の比率を%で示したものである。1チャンネル駆動の吐出速度に対して、多チャンネル駆動の吐出速度が同じときは100%の値となり、速いときは100%を超えた値に、遅いときは100%より小さい値になる。
図4(a)に示すように、第1拘束層61の厚みを第2拘束層62よりも厚くした実施例1が、比較例1、2に比べて、吐出速度の結果が、100%にもっとも近くなり、多チャンネル駆動のときのインクの吐出速度が、1チャンネル駆動のときのインクの吐出速度に極めて近くなっている。
比較例1と比較例2は、いずれも100%を超えた値になっているが、比較例2の方が100%を大きく超えている。比較例1では、第1拘束層61と第2拘束層62の厚みが同じであるのに対して、比較例2では、さらに第1拘束層61が第2拘束層62よりも薄くなっている。つまり、実施例1の効果を裏付けるように、第1拘束層61の剛性が低いほど、多チャンネル駆動のときのインクの吐出速度が1チャンネル駆動のときよりも速くなることがわかる。
換言すれば、実施例1のように第1拘束層61の厚みを第2拘束層62よりも厚くしてアクチュエータ3のキャビティ部2側の剛性を高めることにより、多チャンネル駆動のときのインクの吐出速度が1チャンネル駆動のときよりも速くなることを抑制できる効果が得られることがわかった。その結果、1チャンネル駆動か多チャンネル駆動かに拘らず、記録ヘッド1の記録品質の安定化を図ることができる。
図4(b)に示す実験結果2は、実験結果1と比べて、圧電層41、第1拘束層61、第2拘束層62の1層当たりの厚みを厚くした実験の結果である。実施例2では、圧電層41a〜41fの厚みT2=30μm、第1拘束層61の厚みT1=45.0μm、第2拘束層62の厚みT3=15.0μmにしている。これに対して、比較例3は、圧電層41a〜41f、第1拘束層61、第2拘束層62のすべての厚みを同じにした例であり、T1=T2=T3=30.0μmにしている。比較例4は、第1拘束層61の厚みを第2拘束層62よりも薄くした例であり、T1=15.0μm、T2=30.0μm、T3=45.0μmにしている。つまり、実施例2と、比較例3及び4は、圧電層41の厚みはいずれも同じであるが、第1拘束層61と第2拘束層62の厚みを変えている。
図4(b)に示す実験結果2も、図4(a)に示す実験結果1と同じ傾向を示し、第1拘束層61の厚みを第2拘束層62よりも厚くした実施例2が、比較例3、4に比べて、吐出速度の結果が100%にもっとも近い。すなわち、実施例2でも、多チャンネル駆動のときのインクの吐出速度が、1チャンネル駆動のときのインクの吐出速度よりも速くなることを抑制できることがわかった。また、比較例3、4と比べると、実験結果1と同様に、第1拘束層61の厚みを厚くしてキャビティ部2に近い側のアクチュエータ3の剛性を高くしたことが、実施例2の効果の要因であることが確認できた。
つまり、複数の活性部が同時に駆動されると、活性部の変位が相乗的に作用して変位が大きくなる現象が生じるが、第1拘束層61の剛性を高くすることで、隣接する活性部の変位が相互に作用することが抑制される。その結果、複数の活性部を同時に変位させたときと、1つの活性部を単独で変位させたときとで、変位にばらつきが生じることが抑制されることによるものと考えられる。
次に、本発明の第2実施形態について、図5及び図6を用いて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に比べて、圧電層41、第1及び第2拘束層61、62の厚みの構成を変えている。
第2実施形態では、図5に示すように、6層の圧電層41の各厚みを、圧力室21に近い側が最も厚く、且つ圧力室21に遠い側に向かって段階的に薄くなるように設定している。つまり、6層の圧電層41a〜41fの各厚みを順次T2a、T2b、T2c、T2d、T2e、T2fとすると、T2a>T2b>T2c>T2d>T2e>T2fの関係となっている。また、第1拘束層61の厚みT1は、第1実施形態と異なり、第2拘束層62の厚みT2よりも薄くしている(T1<T2)。
第2実施形態の構成のアクチュエータ3を用いて、その効果を検証する実験を行った。図6(a)に示す実験結果3の実施例3では、下側の圧電層41aから上側の圧電層41fまで、その厚みを2μmずつ段階的に薄くし、T2a=25.0μm、T2b=23.0μm、T2c=21.0μm、T2d=19.0μm、T2e=17.0μm、T2f=15.0μmにしている。また、第1拘束層61は厚みT1=12.5μm、第2拘束層62は厚みT3=37.5μmである。これに対して、比較例5は、圧電層41a〜41fをすべて同じ厚みのT2=25.0μmとし、第1拘束層61と第2拘束層62は実施例3と同じで、T1=12.5μm、T3=37.5μmとしている。
図6(a)に示すように、圧電層41の厚みをキャビティ部2に近いほど厚くした実施例3が、圧電層41の厚みがすべて同じである比較例5に比べて、吐出速度の結果が100%に近くなっている。つまり、圧電層41の厚みを、圧力室21に近いほど厚くしてアクチュエータ3の剛性を高める方が、多チャンネル駆動のときのインクの吐出速度が1チャンネル駆動のときよりも速くなることを抑制できる効果が得られることがわかった。その結果、1チャンネル駆動か多チャンネル駆動かに拘らず、記録ヘッド1の記録品質の安定化を図ることができる。
図6(b)に示す実験結果4は、実験結果3と比べて、圧電層41、第1拘束層61、第2拘束層62の1層当たりの厚みを厚くした実験の結果である。実施例4では、圧電層41a〜41fの厚みはそれぞれ、T2a=30.0μm、T2b=28.0μm、T2c=26.0μm、T2d=24.0μm、T2e=22.0μm、T2f=20.0μmにしている。また、第1拘束層61は厚みT1=15.0μm、第2拘束層62は厚みT3=45.0mである。これに対して、比較例6は、圧電層41a〜41fをすべて同じ厚みのT2=30μmとし、第1拘束層61と第2拘束層62は実施例4と同じで、T1=15.0μm、T3=45.0μmとしている。
図6(b)に示す実験結果4も、図6(a)に示す実験結果3と同じ傾向を示し、圧電層41の厚みをキャビティ部2に近いほど厚くした実施例4が、圧電層41の厚みがすべて同じである比較例6に比べて、吐出速度の結果が100%に近くなっている。つまり、実施例3と同様に、圧電層41の厚みを、圧力室21に近い側を遠い側より厚くして剛性を高くすると、多チャンネル駆動のときにインクの吐出速度が1チャンネル駆動のときのインクの吐出速度に比べて速くなることを抑制できる効果が得られることが確認できた。すなわち、複数の活性部が同時に駆動されると、活性部の変位が相乗的に作用して変位が大きくなる現象が生じるが、圧力室に近い側の圧電層の剛性を高くすることで、隣接する活性部の変位が相互に作用することが抑制される。その結果、多チャンネル駆動のときと1チャンネル駆動のときとで、変位にばらつきが生じることが抑制されることによるものと考えられる。
なお、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、第1拘束層61を第2拘束層62よりも厚くし、且つキャビティ部2に近い側の圧電層41の厚みを遠い側よりも厚くするようにしてもよい。また、圧電層41または拘束層61、62の剛性は、上記のように厚みを変えるほか、材料の組成を変えることで調整することができる。
さらに、本発明の圧電アクチュエータ3は、インクジェット式の記録ヘッド1に適用するだけでなく、その他の液体を吐出する液滴吐出ヘッドや、マイクロポンプ、各活性部の変位により振動板を振動させる発音体などその他の電子機器に適用してもよい。
本発明を適用した記録ヘッドの分解斜視図である。 キャビティ部の分解斜視図である。 第1実施形態の記録ヘッドをY軸方向に沿って切断した縦断面図である。 (a)は第1実施形態の記録ヘッドを用いた実験結果1を示す図、(b)は実験結果2を示す図である。 第2実施形態の記録ヘッドをY軸方向に沿って切断した縦断面図である。 (a)は第2実施形態の記録ヘッドを用いた実験結果3を示す図、(b)は実験結果4を示す図である。
符号の説明
1 記録ヘッド
2 キャビティ部
3 アクチュエータ
4 フレキシブル配線材
5 ノズル
21 圧力室
26 共通インク室
41(41a〜41f) 圧電層
42 個別電極
43 コモン電極
50 活性部
61 第1拘束層
62 第2拘束層

Claims (7)

  1. 圧電材料からなる1以上の圧電層と複数の電極層とが交互に積層され、積層方向に対向する前記電極層の間の各圧電層がその電極に電圧を印加することにより変位する活性部として形成され、前記活性部が前記積層方向と直交する方向に複数個相互に間隔をあけて配置され、
    前記複数の活性部に渡り且つ前記積層方向の上下には、変位のための電圧が印加されない拘束層がそれぞれ積層されていて、上下の前記拘束層のうちの一方の第1拘束層は、前記活性部の変位を利用する部材に対向するとともに、他方の第2拘束層よりも剛性が高くされていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記第1拘束層は、前記第2拘束層よりも前記積層方向の厚みが厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. 圧電材料からなる複数の圧電層と複数の電極層とが交互に積層され、積層方向に対向する前記電極層の間の各圧電層がその電極に電圧を印加することにより変位する活性部として形成され、前記活性部が前記積層方向と直交する方向に複数個相互に間隔をあけて配置され、前記各活性部における前記各圧電層は、該活性部の変位を利用する部材に近い側が遠い側よりも剛性が高くされており、
    前記活性部は3層以上の圧電層を含み、各圧電層は、該活性部の変位を利用する部材に近い側から遠い側に向かって段階的に剛性が低くされていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 前記複数の活性部に渡り且つ前記積層方向の上下には、変位のための電圧が印加されない拘束層がそれぞれ積層されていて、上下の前記拘束層のうち、前記活性部の変位を利用する部材に対向する側の一方の第1拘束層は、他方の第2拘束層よりも剛性が低くされていることを特徴とする請求項3に記載の圧電アクチュエータ。
  5. 前記活性部の変位を利用する部材に近い側の圧電層は、遠い側の圧電層よりも記積層方向の厚みが厚く形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の圧電アクチュエータ。
  6. 前記第1拘束層及び第2拘束層は、前記活性部の圧電層と同じ圧電材料で形成され且つ電極間に挟まれていない層であることを特徴とする請求項1、2、4のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  7. 液体を吐出する複数のノズルと、各ノズル毎に設けられて前記ノズルに連通する圧力室と、各圧力室に液体を分配する共通液室とを少なくとも有するキャビティ部と、請求項1乃至6のいずれかに記載の圧電アクチュエータとを備え、前記圧電アクチュエータによって、各圧力室の液体に選択的に吐出圧力を与える液滴吐出ヘッドであって、
    前記活性部における前記圧電層を挟む上下の電極のうち、一方は各圧力室に対応して設けられた個別電極であり、他方は複数の圧力室に対して共通して設けられたコモン電極であり、
    前記積層方向からの平面視で、前記個別電極が前記圧力室に重なるように、前記圧電アクチュエータは前記キャビティ部に積層されることを特徴とする液滴吐出ヘッド
JP2007270007A 2007-10-17 2007-10-17 圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド Active JP5187490B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007270007A JP5187490B2 (ja) 2007-10-17 2007-10-17 圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007270007A JP5187490B2 (ja) 2007-10-17 2007-10-17 圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009096077A JP2009096077A (ja) 2009-05-07
JP5187490B2 true JP5187490B2 (ja) 2013-04-24

Family

ID=40699539

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007270007A Active JP5187490B2 (ja) 2007-10-17 2007-10-17 圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5187490B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013169061A (ja) * 2012-02-15 2013-08-29 Seiko Epson Corp 液滴噴射ヘッド

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3249545B2 (ja) * 1991-05-20 2002-01-21 ブラザー工業株式会社 圧電式インクジェットプリンタヘッド
JP3757479B2 (ja) * 1996-08-19 2006-03-22 ブラザー工業株式会社 インクジェットヘッド
JP4583117B2 (ja) * 2004-09-10 2010-11-17 京セラ株式会社 液体噴出装置及びインクジェットヘッド
JP2007176161A (ja) * 2005-11-30 2007-07-12 Brother Ind Ltd 吐出タイミング決定方法及び液滴吐出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009096077A (ja) 2009-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7712885B2 (en) Liquid-droplet jetting apparatus
JP6558104B2 (ja) 圧電デバイス、液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置
JP2006198903A (ja) インクジェットヘッド
JP4179099B2 (ja) インクジェットヘッド
US7722165B2 (en) Liquid-droplet jetting apparatus
US7597426B2 (en) Ink-jet head and ink-jet printer
JP5348011B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP7230390B2 (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2008087249A (ja) インクジェットヘッド
JP2007090870A (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法
JP4595357B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
JP2004122680A (ja) インクジェットプリンタヘッド
JP2004106267A (ja) 液体圧力発生機構及びその製造方法並びに液滴噴射装置
JP5187490B2 (ja) 圧電アクチュエータ及び液滴吐出ヘッド
JP4315236B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2008213157A (ja) 液滴吐出装置
JP4240135B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2007130968A (ja) インクジェットヘッド
JP2008049586A (ja) 液滴吐出装置
JP4367049B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2006231530A (ja) 液体移送装置
JP4433157B2 (ja) インクジェットプリンタヘッド
JP4035722B2 (ja) インクジェットプリンタヘッド及びその製造方法
JP5598380B2 (ja) 液体吐出装置
JP4662023B2 (ja) インクジェットヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130108

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160201

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5187490

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150