JP5186749B2 - 有機半導体素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、上記有機半導体材料が用いられたトランジスタ用のゲート絶縁層は、このような高い絶縁性を有すること以外に、誘電率が高いことが求められている。
さらに、上記有機半導体トランジスタにおいては、図10に例示したように、上記ゲート絶縁層上に電極や有機半導体層が形成されるため、上記ゲート絶縁層としては、上記絶縁性および誘電性に優れるのみならず、その上に電極や有機半導体層をパターン形成することが容易なものであることが求められている。
また、上記ポリイミドからなるゲート絶縁層を用いると、電極類や有機半導体層を上記ゲート絶縁層上にパターン状に形成する工程が煩雑になってしまう結果、生産性が損なわれてしまうという問題点があった。
また、本発明によれば上記ゲート絶縁層を構成する絶縁性光触媒層に光触媒が含まれることにより、上記ゲート絶縁層の誘電率を高くすることができる。このため、本発明によればトランジスタ特性に優れる有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本発明によればトランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
また、本発明によれば上記ゲート絶縁層形成工程により形成されるゲート絶縁層が、光触媒を含有する絶縁性光触媒層を有することから、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
また、本発明によれば上記ゲート絶縁層形成工程により形成されるゲート絶縁層が、光触媒を含有する絶縁性光触媒層を有することから、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
以下、本発明の有機半導体素子、および、有機半導体素子の製造方法について順に説明する。
最初に、本発明の有機半導体素子について説明する。本発明の有機半導体素子は、ボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する第1態様の有機半導体素子と、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを有する第2態様の有機半導体素子との2態様に分けることができる。したがって、以下、各態様に分けて本発明の有機半導体素子について説明する。
まず、本発明の第1態様の有機半導体素子について説明する。本態様の有機半導体素子は、ボトムゲート構造を有する有機半導体トランジスタを備えるものである。すなわち、本態様の有機半導体素子は、基板、および、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを備える有機半導体トランジスタを有するものであって、上記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とするものである。
ここで、上記有機半導体トランジスタ2は、上記基板1上に形成されたゲート電極2aと、上記ゲート電極2aを覆うように形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2cと、上記有機半導体層2cに接するように形成されたソース電極2dおよびドレイン電極2eとからなるものである。
このような例において、本態様の有機半導体素子10Aは、上記ゲート絶縁層2bが、上記絶縁性光触媒層21bと、上記絶縁性光触媒層21b上に積層された上記珪素化合物層22bとからなることを特徴とするものである。
このような親疎水パターンを形成することができると、例えば、本態様の有機半導体素子を製造する際に、当該親疎水パターンを利用して上記ソース電極およびドレイン電極、または、上記有機半導体層を上記親疎水パターンの親水性領域のみに形成することが可能になるため、上記ゲート絶縁層上に高精細なパターン状に形成されたソース電極およびドレイン電極、または、有機半導体層を得ることが容易になる。このため、本態様によれば高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
すなわち、本態様の有機半導体素子は、上記ゲート絶縁層が上記絶縁性光触媒層と上記珪素化合物層とが積層された構成を有することにより、その製造工程において上記親疎水パターンを形成することが可能になるものである。そして、上述したように上記親疎水パターンは、上記光触媒の作用によって上記有機シラン化合物が有する有機基が分解除去されることに起因するものである。したがって、上記親疎水パターンにおいては上記有機基が加水分解された領域が親水性領域となり、上記有機基が加水分解されずに残存する領域が疎水性領域となる。そして、上記疎水性領域上に有機半導体層を形成するということは、上記有機基が残存する領域上に有機半導体層が形成されることになる。
ここで、上記有機半導体層は、これを構成する有機半導体材料が層内において微視的に規則的な配列を形成すると優れたトランジスタ特性を発現するものになるものである。このため、上記有機基が残存する領域上に有機半導体層が形成されると、上記有機基がこのような有機半導体材料の配列形成に寄与するため、これに起因して上記有機半導体層のゲート電圧の閾値電圧の安定性が向上すると考えられる。
以下、このような本態様の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
最初に、本態様に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、ボトムゲート構造を有するものである。すなわち、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、後述する基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを有するものである。
以下、このような有機半導体トランジスタについて詳細に説明する。
まず、本態様に用いられるゲート絶縁層について説明する。本態様に用いられるゲート絶縁層は、上記絶縁性光触媒層と、上記絶縁性光触媒層上に形成された珪素化合物層とを有するものである。本態様の有機半導体素子は、このような構成を有するゲート絶縁層が用いられていることにより、トランジスタ特性に優れ、かつ、高効率で製造可能なものになるのである。
以下、このようなゲート絶縁層について詳細に説明する。
本態様に用いられる絶縁性光触媒層について説明する。本態様に用いられる絶縁性光触媒層は、絶縁性を有するバインダー樹脂と、光触媒とを含有するものである。
1)大きさ100mm×100mm×0.7mmのガラス基板20の表面に、パターニングされたITO電極21(1mm×1mm、厚み1200Å:以下、当該ITO電極21を下部電極と称する場合がある)を形成する(図2(a))。
2)耐電圧の評価対象となるバインダー樹脂を溶媒に溶解した塗工液(固形分13質量%)用い、スクリーン印刷法により上記基板20上に当該塗工液をパターン塗工し、絶縁層22を形成する。このとき、上記絶縁層22が下部電極21を覆うように、スクリーン版のパターンを1.2mm×1.2mmに設計し、アライメントを合わせて印刷する(図2(b))。また、スクリーン版は500メッシュ、乳剤3μmのものを使用し、スクリーン印刷機はマイクロテック社製の装置を用いる。さらに、印刷条件は、印圧0.2MPa、クリアランス2.1mm、スキージスピード100mm/secとする。
3)上記絶縁層22を100℃のホットプレートで30分乾燥させる。
4)1mm×1mmの開口部を有するメタルマスクを上記絶縁層22上に配置し、膜厚50nmのAu膜を蒸着することにより、上部電極23を形成する(図2(c))。このとき、蒸着の際の真空度は1×104Paとし、蒸着速度は約1Å/secとする。
5)上記上部電極21および下部電極23の間に0〜300Vの電圧を印加し、上部電極21−下部電極23間を流れる電流値Iを計測する。そして、得られたデータを元に横軸を電界強度E(印加電圧Vを絶縁層22の膜厚dで除した値)、縦軸を絶縁層22の抵抗値R(印加電圧を電流値で除した値)としてプロットする。このようにして作製したグラフを元に、抵抗値Rが急激に低下する電界強度の値E0を絶縁破壊強さ(耐電圧)とする。
ポリスチレン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリパラキシレン、ポリビニルフェノール(PVP)、シアノエチルプルラン、パリレン等を挙げることができる。本態様においてはこれらのいずれのバインダー樹脂であっても好適に用いることができるが、なかでも水酸基を有する樹脂を用いることが好ましい。上記バインダー樹脂として水酸基を有する樹脂を用いることにより、絶縁性光触媒層と、後述する珪素化合物層との密着性を向上させることができるからである。
次に、本態様に用いられる珪素化合物層について説明する。本態様に用いられる珪素化合物層は、上述した絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなるものである。また、本態様に用いられる珪素化合物層は、本態様の有機半導体素子を製造する工程において、上述した絶縁性光触媒層に含有される光触媒の作用により、表面に親水性の異なる部位からなる親疎水パターンが形成されることが可能なものである。
以下、このような珪素化合物層について詳細に説明する。
次に、本態様に用いられる有機半導体層について説明する。本態様に用いられる有機半導体層は有機半導体材料からなるものである。
次に、本態様に用いられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極について説明する。本態様に用いられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、所望の導電性を備える材料からなるものであれば特に限定されるものではないが、通常、金属材料からなるものが用いられる。このような金属材料としては、一般的に有機半導体トランジスタのゲート電極に用いられる金属材料を用いることができる。本態様に用いられる金属材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、および、Mo−Ta合金等を挙げることができる。なかでも本態様においては、Ta、または、Alを用いることが好ましい。
本態様に用いられる有機半導体トランジスタは上述した構成以外に、他の構成を有するものであってもよい。このような他の構成としては本態様の有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも上記他の構成として本態様に好適に用いられるものとしては、上記有機半導体層を覆うように形成され、上記有機半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止するパッシベーション層を挙げることができる。このようなパッシベーション層を有することにより、本態様に用いられる有機半導体トランジスタを、トランジスタ性能の経時劣化が少ないものにすることができる。
本態様に用いられる有機半導体トランジスタの構造としては、ボトムゲート構造であれば特に限定されるものではない。したがって、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、例えば、図1に例示したような、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているボトムゲート・トップコンタクト型構造であってもよく、または、図4に例示するような、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているボトムゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい。
次に、本態様の有機半導体素子に用いられる基板について説明する。本態様に用いられる基板は上記有機半導体トランジスタを支持するものである。
ここで、本態様に用いられる基板が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは、各層の厚みの総和を意味するものとする。
本態様の有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および、有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
本態様の有機半導体素子の製造方法としては、例えば、後述する「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明する方法を挙げることができる。
次に、本発明の第2態様の有機半導体素子について説明する。本態様の有機半導体素子は、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを備えるものである。すなわち、本態様の有機半導体素子は、基板、および、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを備える有機半導体トランジスタを有するものであって、上記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とするものである。
ここで、上記有機半導体トランジスタ2’は、上記基板1上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2’cと、上記有機半導体層2’cに接するように形成されたソース電極2’dおよびドレイン電極2’eと、上記有機半導体層2’c上に形成されたゲート絶縁層2’bと、上記ゲート絶縁層2’b上に形成されたゲート電極2’aとからなるものである。
このような例において、本態様の有機半導体素子10Bは、上記ゲート絶縁層2’bが、上記絶縁性光触媒層21’bと、上記絶縁性光触媒層21’b上に積層された上記珪素化合物層22’bとからなることを特徴とするものである。
また、本態様よれば上記ゲート絶縁層を構成する絶縁性光触媒層に光触媒が含まれることにより、上記ゲート絶縁層の誘電率を高くすることができる。このため、本態様によればトランジスタ特性に優れる有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本態様によればトランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
以下、本態様の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
最初に、本態様に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、トップゲート構造を有するものである。すなわち、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、上記基板、および、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを備えるものである。
本態様の有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
本態様の有機半導体素子の製造方法としては、例えば、後述する「B−2:第2態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明する方法を挙げることができる。
次に、本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。本発明の有機半導体素子の製造方法は、基板と、当該基板上に形成された有機半導体トランジスタとを有する有機半導体素子を製造するものである。ここで、本発明の有機半導体素子の製造方法は、上記有機半導体トランジスタの構造によって2つの態様に分けることができる。すなわち、本発明の有機半導体素子の製造方法は、ボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する第1態様と、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する第2態様とに大別することができる。
したがって、以下、各態様に分けて本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。
まず、本発明の第1態様の有機半導体素子の製造方法について説明する。本態様の有機半導体素子の製造方法は、ボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する方法である。すなわち、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層の表面に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記親疎性パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程とを有することを特徴とするものである。
なお、このような態様で有機半導体素子を製造することにより、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造できる理由については、上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明した理由と同様であるため、ここでの説明は省略する。
このようなことから、本態様によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
以下、このような本態様に用いられる各工程について詳細に説明する。
最初に、本態様に用いられるゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、上記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層、および、上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成する工程である。
以下、本態様に用いられる絶縁性光触媒層形成工程および珪素化合物層形成工程について順に説明する。
まず、上記絶縁性光触媒層形成工程について説明する。本工程は上記ゲート電極上に絶縁性を有するバインダー樹脂と、光触媒とを含有する絶縁性光触媒層を形成する工程である。
次に、上記珪素化合物層形成工程について説明する。本工程は上記絶縁性光触媒層上に有機シラン化合物からなる珪素化合物層を形成する工程である。
なお、上記珪素化合物層形成用塗工液に用いられる溶媒、および、その塗布方法について、上記「(1)絶縁性光触媒層の項において説明したもの同様であるためここでの説明は省略する。」
次に、本態様に用いられる上記親疎水パターン形成工程について説明する。本工程は上記ゲート絶縁層形成工程により形成されたゲート絶縁層に、紫外線を照射することにより、その表面に親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する工程である。
より具体的には、本工程は、上記ゲート絶縁層に紫外線をパターン照射することにより、上記絶縁性光触媒層に含有される光触媒の触媒反応を誘起させ、上記珪素化合物層を構成する有機シラン化合物が有する有機基を分解除去することにより、親疎水パターンを形成する工程である。ここで、上記有機基の分解除去は紫外線が照射された部位において生じるため、本工程において紫外線が照射された部位が親水性領域となり、紫外線が照射されなかった部位が疎水性領域となる。
一方、上記親疎水パターンの疎水性領域の濡れ性は、表面張力40mN/mの液体との接触角が10度以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10度以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10度以上であることが好ましい。
次に、本態様に用いられる有機半導体層形成工程について説明する。本工程は、上記親疎水パターン形成工程によって形成された親疎水パターン上に、有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する工程である。
一方、上記有機半導体材料が溶媒に不溶なものである場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスを挙げることができる。
次に、本態様に用いられるソース・ドレイン電極形成工程について説明する。本工程は、上記親疎性パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程である。
次に、本態様に用いられるゲート電極形成工程について説明する。本工程は、基板を用い、基板上にゲート電極を形成する方法である。
ここで、上記ゲート電極をパターニングする方法としては、通常、リソグラフィー法が用いられ、なかでもフォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法が好適に用いられる。
一方、上記パターン状のゲート電極を直接形成する方法としては、マスク蒸着法等が好適に用いられる。
本態様の有機半導体素子の製造方法には、上述した工程以外に他の工程が用いられていてもよい。このような他の工程としては、本態様の有機半導体素子の製造方法により製造される有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも上記他の工程として、本態様に好適に用いられるものとしては、上記有機半導体層を覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を挙げることができる。このようなパッシベーション層形成工程を有することにより、本態様の有機半導体層形成工程によって製造される有機半導体素子を、トランジスタ特性に経時劣化が少ないものにできる。
本態様の有機半導体素子の製造方法においては、上記ソース・ドレイン電極形成工程が、上記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成するものであり、かつ、上記有機半導体層形成工程が上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成するものであることが好ましい。これにより、上記ソース電極およびドレイン電極をパターン状に形成することが容易になることに加えて、上記珪素化合物層を構成する有機シラン化合物の上記有機半導体層への作用により、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を製造することが可能になるからである。
次に、本発明の第2態様の有機半導体素子の製造方法について説明する。本態様の有機半導体素子の製造方法は、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する方法である。すなわち、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板を用い、上記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記有機半導体層上に、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層の表面に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを有することを特徴とするものである。
また、本態様によれば上記ゲート絶縁層形成工程により形成されるゲート絶縁層が、光触媒を含有する絶縁性光触媒層を有することから、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本態様によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
以下、このような本態様に用いられる各工程について詳細に説明する。
最初に、本態様に用いられるゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、後述する有機半導体層形成工程によって形成される上記有機半導体層上に、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成する工程である。
次に、本態様に用いられる有機半導体層形成工程について説明する。本工程は基板を用い、上記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する工程である。
次に、本態様に用いられるソース・ドレイン電極形成工程について説明する。本工程は上記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程である。
次に、本態様に用いられるゲート電極形成工程について説明する。本工程は親疎水パターン形成工程によって、上記ゲート絶縁層の表面に形成される親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成する工程である。本工程においては、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成することにより、上記親疎水パターンのパターン形状に沿った高精細なパターン状にゲート電極を形成することができる。
本態様の有機半導体素子の製造方法には、上述した工程以外に他の工程が用いられていてもよい。このような他の工程としては、本態様の有機半導体素子の製造方法により製造される有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような他の工程については、上記「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(1)基板の準備
コーニング社製無アルカリガラス(#1737)25mm×25mmを、以下の手順で洗浄した。
i)フルウチ化学社製「セミコクリーン」原液中に浸し、超音波洗浄機を用いて15分間洗浄する。
ii)純水にて5分×3回超音波洗浄機を用いてリンスする。
iii)アセトンに浸し超音波洗浄機を用い15分間洗浄する。
iv)2−プロパノールに浸し超音波洗浄機を用い15分間洗浄する。
V)230℃のオーブンに入れ30分間乾燥する。
洗浄した基板をUVオゾン洗浄機中で5分間照射した後、Crをターゲットにしたスパッタリング装置(キャノンアネルバ社製 SPF−730)により、マスクを用いてパターン状のゲート電極を形成した。このときゲート電極の厚みは50nmとした。
酸化チタン無機コーティング液(ST−K03 石原産業社製)100gにPVP0.5gを添加し、超音波により溶解させることにより絶縁性光触媒層形成用塗工液を調整した。
次に、上記ゲート電極が形成された基板上に、上記絶縁性光触媒層形成用塗工液をインクジェットにより吐出し、120℃で10分間加熱することにより厚さ1μmの絶縁性光触媒層を形成した。
次に、上記絶縁性光触媒層をヘキシルトリメトキシシランの蒸気に30分間曝すことにより、上記絶縁性光触媒層上に珪素化合物層を形成した。
上記ゲート絶縁層の表面に、フォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cm2の紫外線(365nm)露光することにより、ソース及びドレイン電極を形成する部位を親水性に変化させた。このとき、親液性領域の水の接触角は20°であり、有機半導体層が形成される(疎水性領域)の水の接触角は93°であった。
インクジェット法により、固形分50質量%の銀コロイド液を上記ゲート絶縁層表面の親水性領域に吐出し、200℃で30分間加熱することにより、ソース、ドレイン電極を形成した。
液晶性有機半導体材料(オリゴチオフェン)を用い、アルバック社製蒸着装置VPC−060によって、マスクを用いてパターン形成することにより有機半導体層を形成した。このとき、有機半導体層の膜厚は50nmとした。
このようにして作製した有機半導体素子が有する有機半導体トランジスタのゲート電圧の閾値電圧を評価した。その結果を図9に示す。
図9に例示するように、本発明によりゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を得ることができた。
(1)基板の準備
コーニング社製無アルカリガラス(#1737)25mm×25mmを、実施例1と同様の方法により洗浄した。
洗浄した基板をUVオゾン洗浄機中で5分間照射した後、Crをターゲットにしたスパッタリング装置(キャノンアネルバ社製 SPF−730)により、マスクを用いてパターン状のソース電極およびドレイン電極を形成した。このときソース電極およびドレイン電極の厚みは50nmとした。
液晶性有機半導体材料(5,5'''−dioctyl−2,2':5',2'':5'',2'''−quaterthiophene)を用い、実施例1と同様の方法により有機半導体層を形成した。このとき、有機半導体層の膜厚は50nmとした。
酸化チタン無機コーティング液(ST−K03 石原産業社製)100gにPVP0.5gを添加し、超音波により溶解させることにより絶縁性光触媒層形成用塗工液を調整した。
次に、上記有機半導体層、ソース電極およびドレイン電極が形成された基板上に、上記絶縁性光触媒層形成用塗工液をインクジェットにより吐出し、120℃で10分間加熱することにより厚さ1μmの絶縁性光触媒層を形成した。
次に、上記絶縁性光触媒層をヘキシルトリメトキシシランの蒸気に30分間曝すことにより、上記絶縁性光触媒層上に珪素化合物層を形成した。
上記ゲート絶縁層の表面に、フォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cm2の紫外線(365nm)露光することによりゲート電極を形成する部位を親水性に変化させた。このとき、親液性領域の水の接触角は20°であった。
インクジェット法により、固形分50質量%の銀コロイド液を上記ゲート絶縁層表面の親水性領域に吐出し、200℃で30分間加熱することにより、ゲート電極を形成した。
絶縁性光触媒層形成用塗工液に変えて、PVPを水に溶解(30%)させた塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により有機半導体素子を作製した。
その結果、ゲート絶縁層にフォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cm2(365nm)露光したが、ソース電極およびドレイン電極が形成される部位は親水性に変化せず、水に対する接触角は80°であった。このため、上記ソース電極およびドレイン電極をパターン状に形成することが困難であった。
絶縁性光触媒層形成用塗工液に変えて、PVPを水に溶解(30%)させた塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により有機半導体素子を作製した。
その結果、ゲート絶縁層にフォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cm2(365nm)露光したが、ゲート電極が形成される部位は親水性に変化せず、水に対する接触角は80°であった。このため、上記ゲート電極をパターン状に形成することが困難であった。
2,2’ … 有機半導体トランジスタ
2a,2’a … ゲート電極
2b,2’b … ゲート絶縁層
21b,21’b … 絶縁性光触媒層
22b,22’b … 珪素化合物層
2c,2’c … 有機半導体層
2d,2’d … ソース電極
2e,2’e … ドレイン電極
2f … パッシベーション層
10A,10B … 有機半導体素子
100 … 有機半導体トランジスタ
100a … ゲート電極
100b … ゲート絶縁層
100c … 有機半導体層
100d … ソース電極
100e … ドレイン電極
Claims (5)
- 基板、および、前記基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、前記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを備える有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、
前記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、
前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであり、
前記バインダー樹脂が水酸基を含有する樹脂であることを特徴とする有機半導体素子。 - 基板、および、前記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、前記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、前記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを備える有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、
前記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、
前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであり、
前記バインダー樹脂が水酸基を含有する樹脂であることを特徴とする有機半導体素子。 - 基板を用い、前記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、
前記親疎水パターン上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
前記親疎水パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、を有し、
前記バインダー樹脂が水酸基を含有する樹脂であることを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。 - 前記ソース・ドレイン電極形成工程が、前記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成するものであり、かつ、前記有機半導体層形成工程が前記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成するものであることを特徴とする、請求項3に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 基板を用い、前記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
前記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、
前記有機半導体層上に、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
前記ゲート絶縁層に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、
前記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、を有し、
前記バインダー樹脂が水酸基を含有する樹脂であることを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。
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