JP2008091564A - 有機半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

有機半導体素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、トランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板、および、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを備える有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、上記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とする有機半導体素子を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機半導体トランジスタが用いられた有機半導体素子、および、その製造方法に関するものである。
近年、TFTに代表される半導体トランジスタは、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。このような半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
従来、上記半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)やインジウムガリウム砒素(InGaAs)などの無機半導体材料が用いられている。近年、普及が拡大している液晶表示素子のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられてきたが、近年では、有機化合物からなる有機半導体材料が着目されている。
上記有機半導体材料を用いられたトランジスタは、通常、図10に例示するような、ゲート電極100aと、上記ゲート電極100aを絶縁するゲート絶縁層100bと、上記有機半導体材料からなる有機半導体層100cと、上記有機半導体層100cに接触するように形成されたソース電極100dおよびドレイン電極100eを有するものが一般的である。また、このような有機半導体材料が用いられたトランジスタとしては、上記ゲート電極100aが、上記有機半導体層100cの下面側に配置されているボトムゲート型構造のものと(図10(a))、上記ゲート電極100aが上記有機半導体層100cの上面側に配置されているトップゲート型構造のものと(図10(b))、が知られている。
このような有機半導体材料が用いられたトランジスタは、上記無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパー代表されるフレキシブルディスプレイ等の、次世代ディスプレイ装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
ここで、上記有機半導体材料が用いられたトランジスタは、従来の無機半導体材料が用いられたトランジスタと比較して駆動電圧が高いのが一般的である。このため、上記有機半導体材料が用いられたトランジスタは、高い絶縁性を備えるゲート絶縁層を備えることが求められている。
また、上記有機半導体材料が用いられたトランジスタ用のゲート絶縁層は、このような高い絶縁性を有すること以外に、誘電率が高いことが求められている。
さらに、上記有機半導体トランジスタにおいては、図10に例示したように、上記ゲート絶縁層上に電極や有機半導体層が形成されるため、上記ゲート絶縁層としては、上記絶縁性および誘電性に優れるのみならず、その上に電極や有機半導体層をパターン形成することが容易なものであることが求められている。
この点、特許文献1には、ポリイミドからなるゲート絶縁層が用いられた有機半導体トランジスタが開示されている。しかしながら、このようなゲート絶縁層は誘電率が低く、所定のトランジスタ特性を備える有機半導体トランジスタを作製することが困難であるという問題点があった。
また、上記ポリイミドからなるゲート絶縁層を用いると、電極類や有機半導体層を上記ゲート絶縁層上にパターン状に形成する工程が煩雑になってしまう結果、生産性が損なわれてしまうという問題点があった。
このようなことから、従来、有機半導体材料が用いられたトランジスタであって、トランジスタ特性に優れ、かつ、高効率で製造可能なものを得ることは困難であった。
特開2003−304014号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、トランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、基板、および、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを備える有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、上記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とする有機半導体素子を提供する。
また本発明は、基板、および、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを備える有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、上記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とする有機半導体素子を提供する。
本発明によれば、上記ゲート絶縁層が上記絶縁性光触媒層と上記珪素化合物層とが積層された構成を有することにより、例えば、本発明の有機半導体素子を製造する際に、上記珪素化合物層の表面に親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成し、当該親疎水パターンを利用して上記ゲート絶縁層上に上記ソース電極およびドレイン電極、または、上記有機半導体層、あるいは、ゲート電極を形成することが容易になる。このため、本発明によれば高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
また、本発明によれば上記ゲート絶縁層を構成する絶縁性光触媒層に光触媒が含まれることにより、上記ゲート絶縁層の誘電率を高くすることができる。このため、本発明によればトランジスタ特性に優れる有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本発明によればトランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
本発明においては、上記バインダー樹脂が水酸基を含有する樹脂であることが好ましい。上記バインダー樹脂が水酸基を含有する樹脂であることにより、本発明に用いられるゲート絶縁層において、上記絶縁性光触媒層と上記珪素化合物層との密着性を向上させることができるからである。
また本発明は、基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記親疎性パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程とを有することを特徴とする、有機半導体素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記有機半導体層形成工程および上記ソース・ドレイン電極形成工程が、上記ゲート絶縁層の表面に形成された親疎水パターン上に有機半導体層、あるいは、ソース電極およびドレイン電極を形成するものであることにより、上記有機半導体層、あるいは、上記ソース電極およびドレイン電極を上記ゲート絶縁層上に高精細なパターン状に形成することが容易になる。このため、本発明によれば高効率で有機半導体素子を製造することが可能になる。
また、本発明によれば上記ゲート絶縁層形成工程により形成されるゲート絶縁層が、光触媒を含有する絶縁性光触媒層を有することから、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
本発明においては、上記ソース・ドレイン電極形成工程が、上記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成するものであり、かつ、上記有機半導体層形成工程が上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成するものであることが好ましい。これにより、上記ソース電極およびドレイン電極をパターン状に形成することが容易になることに加えて、上記珪素化合物層を構成する有機シラン化合物の上記有機半導体層への作用により、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を製造することが可能になるからである。
さらに本発明は、基板を用い、上記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記有機半導体層上に絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層の表面に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを有することを特徴とする、有機半導体素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記ゲート電極形成工程が、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成するものであることにより、上記ゲート電極を上記ゲート絶縁層上に高精細なパターン状に形成することが容易になる。このため、本発明によれば高効率で有機半導体素子を製造することできる。
また、本発明によれば上記ゲート絶縁層形成工程により形成されるゲート絶縁層が、光触媒を含有する絶縁性光触媒層を有することから、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
本発明は、有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、トランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を提供できるという効果を奏する。
本発明は、有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子およびその製造方法に関するものである。
以下、本発明の有機半導体素子、および、有機半導体素子の製造方法について順に説明する。
A.有機半導体素子
最初に、本発明の有機半導体素子について説明する。本発明の有機半導体素子は、ボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する第1態様の有機半導体素子と、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを有する第2態様の有機半導体素子との2態様に分けることができる。したがって、以下、各態様に分けて本発明の有機半導体素子について説明する。
A−1:第1態様の有機半導体素子
まず、本発明の第1態様の有機半導体素子について説明する。本態様の有機半導体素子は、ボトムゲート構造を有する有機半導体トランジスタを備えるものである。すなわち、本態様の有機半導体素子は、基板、および、上記基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを備える有機半導体トランジスタを有するものであって、上記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とするものである。
このような本態様の有機半導体素子について図を参照しながら説明する。図1は本態様の有機半導体素子の一例を示す概略図である。図1に例示するように本態様に有機半導体素子10Aは、基板1と、上記基板1上に形成された有機半導体トランジスタ2とを有するものである。
ここで、上記有機半導体トランジスタ2は、上記基板1上に形成されたゲート電極2aと、上記ゲート電極2aを覆うように形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2cと、上記有機半導体層2cに接するように形成されたソース電極2dおよびドレイン電極2eとからなるものである。
このような例において、本態様の有機半導体素子10Aは、上記ゲート絶縁層2bが、上記絶縁性光触媒層21bと、上記絶縁性光触媒層21b上に積層された上記珪素化合物層22bとからなることを特徴とするものである。
本態様によれば、上記ゲート絶縁層が上記絶縁性光触媒層と上記珪素化合物層とが積層された構成を有するため、本態様の有機半導体素子を製造する工程において、上記絶縁性光触媒層に紫外線をパターン状に照射することによって、上記珪素化合物層表面の親水性をパターン状に変化させることが可能になり、上記ゲート絶縁層の表面に親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成することが可能になる。これは、上記絶縁性光触媒層に含有される光触媒に紫外線が照射されると、それによって生じる反応種によって、上記有機シラン化合物が有する有機基が分解除去されることに起因するものである。
このような親疎水パターンを形成することができると、例えば、本態様の有機半導体素子を製造する際に、当該親疎水パターンを利用して上記ソース電極およびドレイン電極、または、上記有機半導体層を上記親疎水パターンの親水性領域のみに形成することが可能になるため、上記ゲート絶縁層上に高精細なパターン状に形成されたソース電極およびドレイン電極、または、有機半導体層を得ることが容易になる。このため、本態様によれば高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
また、本態様の有機半導体素子はその製造工程において上記親疎水パターンを形成することが可能になることにより、本態様の有機半導体素子を製造する際に、上記親疎水パターンの親水性領域上に上記ソース電極およびドレイン電極を形成した後、上記親疎水パターンの疎水性領域上に上記有機半導体層を形成することも可能となる。このようにして形成された有機半導体層は、上記珪素化合物層を構成する有機シラン化合物との作用により、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れたものとなる。このため、本態様によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することも可能となる。
ここで、上述したような方法によって形成される有機半導体層が、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れたものになる理由については明らかではないが、次のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、本態様の有機半導体素子は、上記ゲート絶縁層が上記絶縁性光触媒層と上記珪素化合物層とが積層された構成を有することにより、その製造工程において上記親疎水パターンを形成することが可能になるものである。そして、上述したように上記親疎水パターンは、上記光触媒の作用によって上記有機シラン化合物が有する有機基が分解除去されることに起因するものである。したがって、上記親疎水パターンにおいては上記有機基が加水分解された領域が親水性領域となり、上記有機基が加水分解されずに残存する領域が疎水性領域となる。そして、上記疎水性領域上に有機半導体層を形成するということは、上記有機基が残存する領域上に有機半導体層が形成されることになる。
ここで、上記有機半導体層は、これを構成する有機半導体材料が層内において微視的に規則的な配列を形成すると優れたトランジスタ特性を発現するものになるものである。このため、上記有機基が残存する領域上に有機半導体層が形成されると、上記有機基がこのような有機半導体材料の配列形成に寄与するため、これに起因して上記有機半導体層のゲート電圧の閾値電圧の安定性が向上すると考えられる。
さらに、本態様よれば上記ゲート絶縁層を構成する絶縁性光触媒層に光触媒が含まれることにより、上記ゲート絶縁層の誘電率を高くすることができる。このため、本態様によればトランジスタ特性に優れる有機半導体素子を得ることができる。
以上のようなことから、本態様によればトランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
本態様の有機半導体素子は、少なくとも上記基板と、上記有機半導体トランジスタとを有するものである。
以下、このような本態様の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
1.有機半導体トランジスタ
最初に、本態様に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、ボトムゲート構造を有するものである。すなわち、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、後述する基板上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを有するものである。
以下、このような有機半導体トランジスタについて詳細に説明する。
(1)ゲート絶縁層
まず、本態様に用いられるゲート絶縁層について説明する。本態様に用いられるゲート絶縁層は、上記絶縁性光触媒層と、上記絶縁性光触媒層上に形成された珪素化合物層とを有するものである。本態様の有機半導体素子は、このような構成を有するゲート絶縁層が用いられていることにより、トランジスタ特性に優れ、かつ、高効率で製造可能なものになるのである。
以下、このようなゲート絶縁層について詳細に説明する。
a.絶縁性光触媒層
本態様に用いられる絶縁性光触媒層について説明する。本態様に用いられる絶縁性光触媒層は、絶縁性を有するバインダー樹脂と、光触媒とを含有するものである。
本態様に用いられるバインダー樹脂としては、所望の絶縁性を備えるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本態様に用いられるバインダー樹脂は、耐電圧が300V/μm以下であるものが好ましく、特に230V/μm以下であるものが好ましく、さらには150V/μm〜200V/μmの範囲内のものであることが好ましい。このようなバインダー樹脂を用いることより、上記ゲート絶縁層の絶縁機能をより優れたものにできる結果、本態様に用いられる有機半導体トランジスタをよりトランジスタ特性に優れたものにできるからである。
ここで、上記バインダー樹脂の耐電圧は、例えば、図2に示すような方法によって測定することができる。
1)大きさ100mm×100mm×0.7mmのガラス基板20の表面に、パターニングされたITO電極21(1mm×1mm、厚み1200Å:以下、当該ITO電極21を下部電極と称する場合がある)を形成する(図2(a))。
2)耐電圧の評価対象となるバインダー樹脂を溶媒に溶解した塗工液(固形分13質量%)用い、スクリーン印刷法により上記基板20上に当該塗工液をパターン塗工し、絶縁層22を形成する。このとき、上記絶縁層22が下部電極21を覆うように、スクリーン版のパターンを1.2mm×1.2mmに設計し、アライメントを合わせて印刷する(図2(b))。また、スクリーン版は500メッシュ、乳剤3μmのものを使用し、スクリーン印刷機はマイクロテック社製の装置を用いる。さらに、印刷条件は、印圧0.2MPa、クリアランス2.1mm、スキージスピード100mm/secとする。
3)上記絶縁層22を100℃のホットプレートで30分乾燥させる。
4)1mm×1mmの開口部を有するメタルマスクを上記絶縁層22上に配置し、膜厚50nmのAu膜を蒸着することにより、上部電極23を形成する(図2(c))。このとき、蒸着の際の真空度は1×10Paとし、蒸着速度は約1Å/secとする。
5)上記上部電極21および下部電極23の間に0〜300Vの電圧を印加し、上部電極21−下部電極23間を流れる電流値Iを計測する。そして、得られたデータを元に横軸を電界強度E(印加電圧Vを絶縁層22の膜厚dで除した値)、縦軸を絶縁層22の抵抗値R(印加電圧を電流値で除した値)としてプロットする。このようにして作製したグラフを元に、抵抗値Rが急激に低下する電界強度の値Eを絶縁破壊強さ(耐電圧)とする。
本態様に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、
ポリスチレン、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリパラキシレン、ポリビニルフェノール(PVP)、シアノエチルプルラン、パリレン等を挙げることができる。本態様においてはこれらのいずれのバインダー樹脂であっても好適に用いることができるが、なかでも水酸基を有する樹脂を用いることが好ましい。上記バインダー樹脂として水酸基を有する樹脂を用いることにより、絶縁性光触媒層と、後述する珪素化合物層との密着性を向上させることができるからである。
このようなことから、本態様においてはPVAまたはPVPを好適に用いることができる。
なお、本態様に用いられるバインダー樹脂は1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。
本態様に用いられる光触媒としては、本態様におけるゲート絶縁層に所定の誘電率を付与することができるものであり、かつ、本態様の有機半導体素子を製造する工程において、所定の波長を有する光が照射されることにより、後述する珪素化合物層の表面に親疎水パターンを形成できるものであれば特に限定されるものではない。このような光触媒としては、例えば、光半導体として知られる例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができる。なかでも本態様においては、上記光触媒として酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンはバンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、さらに入手も容易であるからである。
なお、酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型とが知られているが、本態様においてはいずれの酸化チタンであっても好適に用いることができる。なかでも本態様においては、アナターゼ型の酸化チタンを用いることがより好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波長が380nm以下にあるため、光触媒としての機能を発現させることが容易だからである。
本態様に用いられるアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
また、本態様に用いられる光触媒の粒径は特に限定されるものではないが、小さいほど光触媒反応が効果的に起こることから、できるだけ粒径の小さいことが好ましい。より具体的には、平均粒径か50nm以下であることが好ましく、なかでも20nm以下であることが特に好ましい。
なお、本態様に用いられる光触媒は1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。
絶縁性光触媒層中における上記光触媒の含有量としては、上記光触媒の種類に応じて、本態様におけるゲート絶縁層の誘電率を所望の範囲内にすることができ、かつ、本態様の有機半導体素子を製造する工程において、後述する珪素化合物層の表面に親疎水パターンを所望の時間内に形成できる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本態様においては、上記光触媒の含有量が5質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、特に20質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本態様に用いられる絶縁性光触媒層の厚みとしては、上述したバインダー樹脂の種類に応じて、本態様に用いられるゲート絶縁層の絶縁性を所定の範囲にできる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本態様においては、0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、さらに1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。
b.珪素化合物層
次に、本態様に用いられる珪素化合物層について説明する。本態様に用いられる珪素化合物層は、上述した絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなるものである。また、本態様に用いられる珪素化合物層は、本態様の有機半導体素子を製造する工程において、上述した絶縁性光触媒層に含有される光触媒の作用により、表面に親水性の異なる部位からなる親疎水パターンが形成されることが可能なものである。
以下、このような珪素化合物層について詳細に説明する。
本態様に用いられる珪素化合物層を構成する有機シラン化合物としては、珪素に有機基が結合した構成を有し、本態様の有機半導体素子を製造する工程において、上述した絶縁性光触媒層に含有される光触媒の作用により、表面に親水性の異なる部位からなる親疎水パターンが形成可能なものであれば特に限定されるものではない。なかでも本態様においては、光触媒の作用によって分解除去可能な有機基が珪素に結合した構造を有するものを用いることが好ましい。このような有機シラン化合物を用いることにより、上記光触媒の作用によって上記有機基を分解除去することにより、珪素化合物層の表面に、容易に親疎水パターンを形成することができるからである。
このような有機シラン化合物としては、例えば、一般式:YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜4までの整数である。)で示される有機シラン化合物、あるいは、このような有機シラン化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物を挙げることができる。
ここで、上記一般式中、Yで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
上記一般式で表される有機シラン化合物の具体例としては、例えば、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−へキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;および、それらの混合物を挙げることができる。
本態様においては、これらの有機シラン化合物のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでもフルオロアルキル基を含有するものを用いることが好ましい。フルオロアルキル基は疎水性に優れることから、このような有機シラン化合物を用いることにより、親水性領域と、疎水性領域との親水性の差が大きい親疎水パターンを形成することが可能になるからである。
このようなフルオロアルキル基を有する有機シラン化合物としては、例えば、CF(CFCHCHSi(OCH;CF(CFCHCHSi(OCH;CF(CFCHCHSi(OCH;CF(CFCHCHSi(OCH;(CFCF(CFCHCHSi(OCH;(CFCF(CFCHCHSi(OCH;(CFCF(CFCHCHSi(OCH;CF(C)CSi(OCH;CF(CF(C)CSi(OCH;CF(CF(C)CSi(OCH;CF(CF(C)CSi(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;CF(CFCHCHSiCH(OCH;(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH;(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH;(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH;CF(C)CSiCH(OCH;CF(CF(C)CSiCH(OCH;CF(CF(C)CSiCH(OCH;CF(CF(C)CSiCH(OCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFCHCHSi(OCHCH;CF(CFSON(C)CCHSi(OCH等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる有機シラン化合物としては、例えば、下記式で表される骨格を有する化合物も用いることができる。
Figure 2008091564
上記式において、nは2以上の整数であり、R、Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。
なお、本態様においては、上記式中のR、Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有すルことが好ましい。
また、本態様に用いられる珪素化合物層には、上記有機シラン化合物とともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物を含有させてもよい。
本態様に用いられる珪素化合物層の厚みとしては、本態様の有機半導体素子を製造する工程において、上述した絶縁性光触媒層に所定の波長を有する光が照射されることにより、表面に親疎水パターンを形成することができる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本態様においては、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に5nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、さらに10nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。
(2)有機半導体層
次に、本態様に用いられる有機半導体層について説明する。本態様に用いられる有機半導体層は有機半導体材料からなるものである。
本態様に用いられる上記有機半導体材料としては、本態様の有機半導体素子の用途等に応じて、所望の半導体特性を備える有機半導体層を形成できる材料であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体材料を用いた有機半導体トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。なかでも本態様においては、ペンタセンまたはポリチオフェン類を用いることが好ましい。
また、本態様に用いられる有機半導体層の厚みについては、上記有機半導体材料の種類等に応じて所望の半導体特性を備える有機半導体層を発現できる範囲であれば特に限定されない。なかでも本態様においては、1000nm以下であることが好ましく、なかでも5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、特に20nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
(3)ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極
次に、本態様に用いられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極について説明する。本態様に用いられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、所望の導電性を備える材料からなるものであれば特に限定されるものではないが、通常、金属材料からなるものが用いられる。このような金属材料としては、一般的に有機半導体トランジスタのゲート電極に用いられる金属材料を用いることができる。本態様に用いられる金属材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、および、Mo−Ta合金等を挙げることができる。なかでも本態様においては、Ta、または、Alを用いることが好ましい。
(4)その他の構成
本態様に用いられる有機半導体トランジスタは上述した構成以外に、他の構成を有するものであってもよい。このような他の構成としては本態様の有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも上記他の構成として本態様に好適に用いられるものとしては、上記有機半導体層を覆うように形成され、上記有機半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止するパッシベーション層を挙げることができる。このようなパッシベーション層を有することにより、本態様に用いられる有機半導体トランジスタを、トランジスタ性能の経時劣化が少ないものにすることができる。
図3は、本態様に用いられる有機半導体トランジスタが上記パッシベーション層を有する場合の一例を示す概略図である。図3に例示するように、本態様に用いられる有機半導体トランジスタ2は、上記有機半導体層2cを覆うようにパッシベーション層2fが形成されているものであってもよい。
本態様に用いられるパッシベーション層を構成する材料としては、上記有機半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを所望の程度に防止できるものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素系樹脂、および、PVP、PVA等の水溶性樹脂等の樹脂材料を挙げることができる。
(5)有機半導体トランジスタ
本態様に用いられる有機半導体トランジスタの構造としては、ボトムゲート構造であれば特に限定されるものではない。したがって、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、例えば、図1に例示したような、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているボトムゲート・トップコンタクト型構造であってもよく、または、図4に例示するような、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているボトムゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい。
なお、本態様の有機半導体素子は、通常、後述する基板上に複数の有機半導体トランジスタが配置された構成を有するものである。ここで、上記複数の有機半導体トランジスタが基板上に配置される態様は特に限定されるものではなく、本態様の有機半導体素子の用途等に応じて所望の態様で配置することができる。
2.基板
次に、本態様の有機半導体素子に用いられる基板について説明する。本態様に用いられる基板は上記有機半導体トランジスタを支持するものである。
本態様に用いられる基板としては、本態様の有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基板を用いることができる。このような基板としては、ガラス基板等の可撓性を有さないリジット基板であってもよく、または、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。本態様においては、このようなリジット基板およびフレキシブル基板のいずれであっても好適に用いられるが、なかでもフレキシブル基板を用いることが好ましい。このようなフレキシブル基板を用いることにより、本態様の有機半導体素子をRoll to Rollプロセスにより製造することが可能になるため、本態様の有機半導体素子を生産性の高いものにすることができるからである。
ここで、上記プラスチック樹脂としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPSおよびPEI等を挙げることができる。
また、本態様に用いられる基板は単一層からなるものであってもよく、または、複数の層が積層された構成を有するものであってもよい。上記複数の層が積層された構成を有する基板としては、例えば、上記プラスチック樹脂からなる基材上に、金属材料からなるバリア層が積層された構成を有するものを例示することができる。ここで、上記プラスチック樹脂からなる基板は、本態様の有機半導体素子を可撓性を有するフレキシブルなものにできるという利点を有する反面、上記ソース電極およびドレイン電極を形成する際に表面に損傷を受けやすいという欠点を有することが指摘されている。しかしながら、上記バリア層が積層された基板を用いることにより、上記プラスチック樹脂からなる基材を用いる場合であっても、上記のような欠点を解消することができるという利点がある。
また、本態様に用いられる基板の厚みは、通常、1mm以下であることが好ましく、なかでも50μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。
ここで、本態様に用いられる基板が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは、各層の厚みの総和を意味するものとする。
3.有機半導体素子の用途
本態様の有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および、有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
4.有機半導体素子の製造方法
本態様の有機半導体素子の製造方法としては、例えば、後述する「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明する方法を挙げることができる。
A−2:第2態様の有機半導体素子
次に、本発明の第2態様の有機半導体素子について説明する。本態様の有機半導体素子は、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを備えるものである。すなわち、本態様の有機半導体素子は、基板、および、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを備える有機半導体トランジスタを有するものであって、上記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とするものである。
このような本態様の有機半導体素子について図を参照しながら説明する。図5は本態様の有機半導体素子の一例を示す概略図である。図5に例示するように本態様の有機半導体素子10Bは、基板1と、上記基板1上に形成された有機半導体トランジスタ2’と、を有するものである。
ここで、上記有機半導体トランジスタ2’は、上記基板1上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2’cと、上記有機半導体層2’cに接するように形成されたソース電極2’dおよびドレイン電極2’eと、上記有機半導体層2’c上に形成されたゲート絶縁層2’bと、上記ゲート絶縁層2’b上に形成されたゲート電極2’aとからなるものである。
このような例において、本態様の有機半導体素子10Bは、上記ゲート絶縁層2’bが、上記絶縁性光触媒層21’bと、上記絶縁性光触媒層21’b上に積層された上記珪素化合物層22’bとからなることを特徴とするものである。
本態様によれば、上記ゲート絶縁層が上記絶縁性光触媒層と上記珪素化合物層とが積層された構成を有することにより、例えば、本態様の有機半導体素子を製造する際に、上記珪素化合物層の表面に親疎水パターンを形成することが可能となり、当該親疎水パターンを利用することにより上記ゲート絶縁層上に上記ゲート電極をパターン状に形成することが容易になる。このため、本態様によれば高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
また、本態様よれば上記ゲート絶縁層を構成する絶縁性光触媒層に光触媒が含まれることにより、上記ゲート絶縁層の誘電率を高くすることができる。このため、本態様によればトランジスタ特性に優れる有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本態様によればトランジスタ特性に優れ、高効率で製造可能な有機半導体素子を得ることができる。
本態様の有機半導体素子は、上記基板と、上記有機半導体トランジスタとを有するものである。
以下、本態様の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
なお、本態様に用いられる基板については、上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.有機半導体トランジスタ
最初に、本態様に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、トップゲート構造を有するものである。すなわち、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、上記基板、および、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、上記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、上記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを備えるものである。
ここで、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、トップゲート構造を有するものであれば特に限定されるものではない。したがって、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、例えば、図5に例示したような、ソース電極2’dおよびドレイン電極2’eが上記有機半導体層2’c上面に配置されているトップゲート・トップコンタクト型構造であってもよく、または、図6に例示するような、ソース電極2’dおよびドレイン電極2’eが上記有機半導体層2’cの下面に配置されているトップゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい。
本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、少なくとも上記ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソースおよびドレイン電極を有するものである。ここで、本態様に用いられるこれらの各構成については、上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本態様に用いられる有機半導体トランジスタは、上記ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソースおよびドレイン電極以外の他の構成を有するものであってもよい。このような他の構成についても上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本態様の有機半導体素子は、通常、上記基板上に複数の有機半導体トランジスタが配置された構成を有するものである。ここで、上記複数の有機半導体トランジスタが基板上に配置される態様は特に限定されるものではなく、本態様の有機半導体素子の用途等に応じて所望の態様で配置することができる。
2.有機半導体素子の用途
本態様の有機半導体素子の用途としては、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
3.有機半導体素子の製造方法
本態様の有機半導体素子の製造方法としては、例えば、後述する「B−2:第2態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明する方法を挙げることができる。
B.有機半導体素子の製造方法
次に、本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。本発明の有機半導体素子の製造方法は、基板と、当該基板上に形成された有機半導体トランジスタとを有する有機半導体素子を製造するものである。ここで、本発明の有機半導体素子の製造方法は、上記有機半導体トランジスタの構造によって2つの態様に分けることができる。すなわち、本発明の有機半導体素子の製造方法は、ボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する第1態様と、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する第2態様とに大別することができる。
したがって、以下、各態様に分けて本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。
B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法
まず、本発明の第1態様の有機半導体素子の製造方法について説明する。本態様の有機半導体素子の製造方法は、ボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する方法である。すなわち、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層の表面に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターン上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記親疎性パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程とを有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機半導体素子の製造方法について図を参照しながら説明する。図7は本態様の有機半導体素子の製造方法の一例を示す概略図である。図7に例示するように、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板1を用い(図7(a))、上記基板1上にゲート電極2aを形成するゲート電極形成工程(図7(b))、上記ゲート電極2aを覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層21bおよび上記絶縁性光触媒層21b上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層22bを有するゲート絶縁層2bを形成するゲート絶縁層形成工程(図7(c))と、上記ゲート絶縁層2bの表面に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程(図7(d))と、上記親疎水パターン上の親水性領域(図7中、Aで示す領域)上に、ソース電極2dおよびドレイン電極2eを形成するソース・ドレイン・電極形成工程(図7(e))と、上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体材料からなる有機半導体層2cを形成する有機半導体層形成工程(図7(f))とを有し、上記基板1上に、ボトムゲート構造の有機半導体トランジスタ2が形成された有機半導体素子10Aを製造するものである。
なお、上記図7においては、上記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成し、上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成する例を示した。しかしながら、本態様の有機半導体素子の方法において上記有機半導体層形成工程およびソース・ドレイン電極形成工程を実施する態様は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、上記親疎水パターンの疎水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成し、上記親疎水パターンの親水性領域上に有機半導体層を形成する態様であってもよい。
また、上記図7においては、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する例を示したが、本態様の有機半導体素子の製造方法は、このような有機半導体素子を製造するものに限定されるものではなく、ボトムゲート・トップコンタクト構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造するものであってもよい。
本態様の有機半導体素子の製造方法によれば、上記有機半導体層形成工程および上記ソース・ドレイン電極形成工程が、上記ゲート絶縁層の表面に形成された親疎水パターン上に有機半導体層あるいはソース電極およびドレイン電極を形成するものであることにより、上記有機半導体層あるいは上記ソース電極およびドレイン電極を上記ゲート絶縁層上に高精細なパターン状に形成することが容易になる。このため、本態様によれば高効率で有機半導体素子を製造することが可能になる。
また本態様によれば、例えば、ソース・ドレイン電極形成工程において、上記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成し、上記有機半導体層形成意工程において、上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成することによりトランジスタ特性、具体的にはゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
なお、このような態様で有機半導体素子を製造することにより、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造できる理由については、上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明した理由と同様であるため、ここでの説明は省略する。
さらに、本態様によれば上記ゲート絶縁層形成工程により形成されるゲート絶縁層が、光触媒を含有する絶縁性光触媒層を有することから、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本態様によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
本態様の有機半導体素子の製造方法は、少なくとも上記ゲート電極形成工程と、上記ゲート絶縁層形成工程と、上記親疎水パターン形成工程と、上記有機半導体層形成工程と、上記ソース・ドレイン電極形成工程とを有するものであり、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。
以下、このような本態様に用いられる各工程について詳細に説明する。
1.ゲート絶縁層形成工程
最初に、本態様に用いられるゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、上記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層、および、上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成する工程である。
本工程において上記ゲート絶縁層を形成する方法としては、上記絶縁性光触媒層と、当該絶縁性光触媒層上に形成された珪素化合物層とを有するゲート絶縁層を形成できる方法であれば特に限定されるものでない。なかでも工程においては、上記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層を形成する絶縁性光触媒層形成工程と、上記絶縁性光触媒層上に有機シラン化合物からなる珪素化合物層を形成する珪素化合物層形成工程とによりゲート絶縁層を形成する方法を好適に用いることができる。
以下、本態様に用いられる絶縁性光触媒層形成工程および珪素化合物層形成工程について順に説明する。
(1)絶縁性光触媒層形成工程
まず、上記絶縁性光触媒層形成工程について説明する。本工程は上記ゲート電極上に絶縁性を有するバインダー樹脂と、光触媒とを含有する絶縁性光触媒層を形成する工程である。
本工程において絶縁性光触媒層を形成する方法としては、上記ゲート電極を覆うように所望の厚みの絶縁性光触媒層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上記バインダー樹脂と上記光触媒とを溶媒に溶解させた絶縁性光触媒層形成用塗工液を調製し、これを上記ゲート電極を覆うように塗工する方法を挙げることができる。
上記絶縁性光触媒層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上記バインダー樹脂を所望の濃度で溶解できるものであれば特に限定されるものではない。このような溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶媒を挙げることができる。
また、本工程に用いられる絶縁性光触媒層形成用塗工液中の光触媒の含有量としては、固形分の5質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも20質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
上記絶縁性光触媒層形成用塗工液を塗工する塗布方式としては、上記絶縁性光触媒層形成用塗工液の粘度等に応じて、厚みが均一な塗膜を形成できる方式であれば特に限定されるものではない。このような塗布方式としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等の塗布方法や、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、および、グラビア・オフセット印刷法等の印刷方法等を挙げることができる。
なお、上記絶縁性光触媒層形成用塗工液に用いられるバインダー樹脂および光触媒については上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)珪素化合物層形成工程
次に、上記珪素化合物層形成工程について説明する。本工程は上記絶縁性光触媒層上に有機シラン化合物からなる珪素化合物層を形成する工程である。
本工程において上記珪素化合物層を形成する方法としては、所定の厚みの珪素化合物層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上記ポリオルガノシロキサンが溶媒に溶解または分散した珪素化合物層形成用塗工液を用い、これを上記絶縁性光触媒層上に塗布する方法や、上記ポリオルガノシロキサンの蒸気を上記絶縁性光触媒層の表面に接触させる方法等を挙げることができる。
なお、上記珪素化合物層形成用塗工液に用いられる溶媒、および、その塗布方法について、上記「(1)絶縁性光触媒層の項において説明したもの同様であるためここでの説明は省略する。」
また、上記珪素化合物層形成用塗工液に用いられるバインダー樹脂については、上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.親疎水パターン形成工程
次に、本態様に用いられる上記親疎水パターン形成工程について説明する。本工程は上記ゲート絶縁層形成工程により形成されたゲート絶縁層に、紫外線を照射することにより、その表面に親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する工程である。
より具体的には、本工程は、上記ゲート絶縁層に紫外線をパターン照射することにより、上記絶縁性光触媒層に含有される光触媒の触媒反応を誘起させ、上記珪素化合物層を構成する有機シラン化合物が有する有機基を分解除去することにより、親疎水パターンを形成する工程である。ここで、上記有機基の分解除去は紫外線が照射された部位において生じるため、本工程において紫外線が照射された部位が親水性領域となり、紫外線が照射されなかった部位が疎水性領域となる。
本工程において、紫外線を照射することによって親疎水パターンを形成する方法としては、親水性領域と疎水性領域とが所定のパターン状に配置された親疎水パターンを形成できる方法であれば特に限定されるものではない。本工程においては、通常、このような方法として、パターン状の開口部を有するフォトマスクを介して上記ゲート絶縁層に紫外線を照射する方法が用いられる。
このようなフォトマスクを用いる方法以外の方法としては、レーザ等を用いてエネルギーを描画照射するような方法でエネルギーのパターン照射を行ってもよい。具体的には、エキシマー、YAG等のレーザーを用いてパターン状に描画照射する方法を挙げることができる。しかしながら、このような方法は、装置が高価、取り扱いが困難、さらには連続出力ができない等の問題を有する場合がある。
また、本工程において上記ゲート絶縁層に照射される紫外線の波長としては、上記絶縁性光触媒層に含有される光触媒の種類に応じて、当該光触媒の触媒反応を誘起できる範囲であれば特に限定されるものではない。このような紫外線としては、通常、波長が400nm以下のものが好ましく、特に380nm以下のものが好ましい。
上記紫外線を照射するために用いられる光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。
本工程により形成される親疎水パターンの親水性領域と疎水性領域の親水性の差は特に限定されるものではないが、表面張力40mN/mの液体に対する接触角の差が1度以上であることが好ましい。これにより、後述するソース・ドレイン電極形成工程または有機半導体層形成工程において、ソース電極およびドレイン電極、あるいは、有機半導体層を形成する際に、上記親疎水パターンに沿った高精細なパターンを形成することが容易になるからである。
なお、上記親疎水パターンの親水性領域の濡れ性は、表面張力40mN/mの液体との接触角が9度未満、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10度以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10度以下であることが好ましい。
一方、上記親疎水パターンの疎水性領域の濡れ性は、表面張力40mN/mの液体との接触角が10度以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10度以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10度以上であることが好ましい。
ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いるものとする。
3.有機半導体層形成工程
次に、本態様に用いられる有機半導体層形成工程について説明する。本工程は、上記親疎水パターン形成工程によって形成された親疎水パターン上に、有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する工程である。
本工程において有機半導体層を形成する態様としては、上記親疎水パターンの親水性領域上に有機半導体層を形成する態様であってもよく、または、上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成する態様であってもよい。なかでも本工程においては、前者の態様が好ましい。上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成することにより、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができるからである。
本工程において有機半導体層形成する方法としては、使用する有機半導体材料の種類等に応じて、所望の厚みの有機半導体層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上記有機半導体材料が溶媒に可溶なものである場合は、当該有機半導体材料を溶媒に溶解して、有機半導体層形成用塗工液を調製した後、当該有機半導体層形成用塗工液を塗工する方法を挙げることができる。この場合の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、および、キャスト法等を挙げることができる。
一方、上記有機半導体材料が溶媒に不溶なものである場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスを挙げることができる。
4.ソース・ドレイン電極形成工程
次に、本態様に用いられるソース・ドレイン電極形成工程について説明する。本工程は、上記親疎性パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程である。
本工程において、上記親疎水パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成する態様としては、上記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成する態様であってもよく、または、上記親疎水パターンの疎水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成する態様であってもよい。なかでも本工程においては、前者の態様が好ましい。上記ソース電極およびドレイン電極が上記親疎水パターンの親水性領域上に形成されることにより、上述した有機半導体層形成工程において上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層が形成されることになるため、本態様によりトランジスタ特性により優れた有機半導体素子を製造することができるからである。
本工程において、上記ソース電極およびドレイン電極を形成する方法としては、所望のチャネル長でソース電極およびドレイン電極を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような形成方法としては、例えば、真空蒸着法や金属ナノコロイドを用いた塗布法等を挙げることができる。
5.ゲート電極形成工程
次に、本態様に用いられるゲート電極形成工程について説明する。本工程は、基板を用い、基板上にゲート電極を形成する方法である。
本工程において、上記基板上に上記ゲート電極を形成する方法としては、ゲート電極を構成する材料の種類に応じて所望の形態のゲート電極を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、真空蒸着法や金属ナノコロイドを用いた塗布法等を挙げることができる。
また、本工程においては、通常、上記基板上にパターン状にゲート電極を形成するが、パターン状にゲート絶縁層を形成する態様としては、上述した方法によって基板上の全面にゲート電極を形成した後、これをパターニングする態様であってもよく、または、基板上に直接パターン状のゲート電極を形成する態様であってもよい。
ここで、上記ゲート電極をパターニングする方法としては、通常、リソグラフィー法が用いられ、なかでもフォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法が好適に用いられる。
一方、上記パターン状のゲート電極を直接形成する方法としては、マスク蒸着法等が好適に用いられる。
なお、本工程に用いられる基板については、上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
6.その他の工程
本態様の有機半導体素子の製造方法には、上述した工程以外に他の工程が用いられていてもよい。このような他の工程としては、本態様の有機半導体素子の製造方法により製造される有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも上記他の工程として、本態様に好適に用いられるものとしては、上記有機半導体層を覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を挙げることができる。このようなパッシベーション層形成工程を有することにより、本態様の有機半導体層形成工程によって製造される有機半導体素子を、トランジスタ特性に経時劣化が少ないものにできる。
上記パッシベーション層形成工程において、パッシベーション層を形成する方法としては、所望の保護機能を備えるパッシベーション層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、樹脂材料を溶媒に溶解したパッシベーション層形成用塗工液を用い、これを上記有機半導体層上に塗工する方法が好適に用いられる。このような方法としては、印刷法を用い、上記有機半導体層上に上記パッシベーション層形成用塗工液をパターン状に印刷する方法と、上記パッシベーション層形成用塗工液を上記有機半導体層上の全面に塗工することにより、パターニングされていないパッシベーション層を形成する方法とを挙げることができる。本工程においては上記のいずれの方法であっても好適に用いることができる。
なお、上記樹脂材料については、上記「A−1:第1態様の有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
7.その他
本態様の有機半導体素子の製造方法においては、上記ソース・ドレイン電極形成工程が、上記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成するものであり、かつ、上記有機半導体層形成工程が上記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成するものであることが好ましい。これにより、上記ソース電極およびドレイン電極をパターン状に形成することが容易になることに加えて、上記珪素化合物層を構成する有機シラン化合物の上記有機半導体層への作用により、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を製造することが可能になるからである。
B−2:第2態様の有機半導体素子の製造方法
次に、本発明の第2態様の有機半導体素子の製造方法について説明する。本態様の有機半導体素子の製造方法は、トップゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する方法である。すなわち、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板を用い、上記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記有機半導体層上に、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層の表面に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを有することを特徴とするものである。
このような本態様の有機半導体素子の製造方法について図を参照しながら説明する。図8は本態様の有機半導体素子の製造方法の一例を示す概略図である。図8に例示するように、本態様の有機半導体素子の製造方法は、基板1を用い(図8(a))、上記基板1上に有機半導体材料からなる有機半導体層2’cを形成する有機半導体層形成工程(図8(b))と、上記有機半導体層2’cに接するようにソース電極2’dおよびドレイン電極2’eを形成するソース・ドレイン電極形成工程(図8(c))と、上記有機半導体層2’c上に、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層21’bおよび上記絶縁性光触媒層21’b上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層22’bを有するゲート絶縁層2’bを形成するゲート絶縁層形成工程(図8(d))と、上記ゲート絶縁層2’bの表面に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程(図8(e))と、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極2’aを形成するゲート電極形成工程(図8(f))とを有し、上記基板1上に、トップゲート構造の有機半導体トランジスタ2’が形成された有機半導体素子を製造するものである。
本態様の有機半導体素子の製造方法によれば、上記ゲート電極形成工程が、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成するものであることにより、上記ゲート電極を上記ゲート絶縁層上に高精細なパターン状に形成することが容易になる。このため、本態様によれば高効率で有機半導体素子を製造することできる。
また、本態様によれば上記ゲート絶縁層形成工程により形成されるゲート絶縁層が、光触媒を含有する絶縁性光触媒層を有することから、トランジスタ特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本態様によればトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を高効率で製造することができる。
なお、上記図8においては、トップゲート・トップコンタクト構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造する例を示したが、本態様の有機半導体素子の製造方法は、このような有機半導体素子を製造するものに限定されるものではなく、トップゲート・ボトムコンタクト構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造するものであってもよい。
本態様の有機半導体素子の製造方法法は、少なくとも上記ゲート電極形成工程と、上記ゲート絶縁層形成工程と、上記親疎水パターン形成工程と、上記有機半導体層形成工程と、上記ソース・ドレイン電極形成工程とを有するものであり、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。
以下、このような本態様に用いられる各工程について詳細に説明する。
なお、本態様に用いられる親疎水パターン形成工程については、上記「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.ゲート絶縁層形成工程
最初に、本態様に用いられるゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、後述する有機半導体層形成工程によって形成される上記有機半導体層上に、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および上記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成する工程である。
ここで、本態様に用いられるゲート絶縁層形成工程は、ゲート絶縁層を後述する有機半導体層形成工程によって形成される有機半導体層上に形成すること以外は、上記「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.有機半導体層形成工程
次に、本態様に用いられる有機半導体層形成工程について説明する。本工程は基板を用い、上記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する工程である。
ここで、本態様に用いられる有機半導体層形成工程は、有機半導体層を上記基板上に形成すること以外は、上記「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.ソース・ドレイン電極形成工程
次に、本態様に用いられるソース・ドレイン電極形成工程について説明する。本工程は上記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程である。
ここで、本態様に用いられるソース・ドレイン電極形成工程は、上記親疎水パターン上に形成しないこと以外は、上記「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.ゲート電極形成工程
次に、本態様に用いられるゲート電極形成工程について説明する。本工程は親疎水パターン形成工程によって、上記ゲート絶縁層の表面に形成される親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成する工程である。本工程においては、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成することにより、上記親疎水パターンのパターン形状に沿った高精細なパターン状にゲート電極を形成することができる。
本工程において、上記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成する方法としては、上記親疎水パターンのパターンに沿ってゲート電極を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、金属ナノコロイドを用いた塗布法を用いることが好ましい。このような方法を用いるより、上記親疎水パターンにおける親水性領域と疎水性領域との親水性の差を利用して、高精細なパターン上にゲート電極を形成することが容易だからである。
5.その他の工程
本態様の有機半導体素子の製造方法には、上述した工程以外に他の工程が用いられていてもよい。このような他の工程としては、本態様の有機半導体素子の製造方法により製造される有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような他の工程については、上記「B−1:第1態様の有機半導体素子の製造方法」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
1.実施例1
(1)基板の準備
コーニング社製無アルカリガラス(#1737)25mm×25mmを、以下の手順で洗浄した。
i)フルウチ化学社製「セミコクリーン」原液中に浸し、超音波洗浄機を用いて15分間洗浄する。
ii)純水にて5分×3回超音波洗浄機を用いてリンスする。
iii)アセトンに浸し超音波洗浄機を用い15分間洗浄する。
iv)2−プロパノールに浸し超音波洗浄機を用い15分間洗浄する。
V)230℃のオーブンに入れ30分間乾燥する。
(2)ゲート電極形成工程
洗浄した基板をUVオゾン洗浄機中で5分間照射した後、Crをターゲットにしたスパッタリング装置(キャノンアネルバ社製 SPF−730)により、マスクを用いてパターン状のゲート電極を形成した。このときゲート電極の厚みは50nmとした。
(3)ゲート絶縁層形成工程
酸化チタン無機コーティング液(ST−K03 石原産業社製)100gにPVP0.5gを添加し、超音波により溶解させることにより絶縁性光触媒層形成用塗工液を調整した。
次に、上記ゲート電極が形成された基板上に、上記絶縁性光触媒層形成用塗工液をインクジェットにより吐出し、120℃で10分間加熱することにより厚さ1μmの絶縁性光触媒層を形成した。
次に、上記絶縁性光触媒層をヘキシルトリメトキシシランの蒸気に30分間曝すことにより、上記絶縁性光触媒層上に珪素化合物層を形成した。
(4)親疎水パターン形成工程
上記ゲート絶縁層の表面に、フォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cmの紫外線(365nm)露光することにより、ソース及びドレイン電極を形成する部位を親水性に変化させた。このとき、親液性領域の水の接触角は20°であり、有機半導体層が形成される(疎水性領域)の水の接触角は93°であった。
(5)ソース・ドレイン電極形成工程
インクジェット法により、固形分50質量%の銀コロイド液を上記ゲート絶縁層表面の親水性領域に吐出し、200℃で30分間加熱することにより、ソース、ドレイン電極を形成した。
(6)有機半導体層形成工程
液晶性有機半導体材料(オリゴチオフェン)を用い、アルバック社製蒸着装置VPC−060によって、マスクを用いてパターン形成することにより有機半導体層を形成した。このとき、有機半導体層の膜厚は50nmとした。
(7)評価
このようにして作製した有機半導体素子が有する有機半導体トランジスタのゲート電圧の閾値電圧を評価した。その結果を図9に示す。
図9に例示するように、本発明によりゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を得ることができた。
2.実施例2
(1)基板の準備
コーニング社製無アルカリガラス(#1737)25mm×25mmを、実施例1と同様の方法により洗浄した。
(2)ソース・ドレイン電極形成工程
洗浄した基板をUVオゾン洗浄機中で5分間照射した後、Crをターゲットにしたスパッタリング装置(キャノンアネルバ社製 SPF−730)により、マスクを用いてパターン状のソース電極およびドレイン電極を形成した。このときソース電極およびドレイン電極の厚みは50nmとした。
(3)有機半導体層形成工程
液晶性有機半導体材料(5,5'''−dioctyl−2,2':5',2'':5'',2'''−quaterthiophene)を用い、実施例1と同様の方法により有機半導体層を形成した。このとき、有機半導体層の膜厚は50nmとした。
(4)ゲート絶縁層形成工程
酸化チタン無機コーティング液(ST−K03 石原産業社製)100gにPVP0.5gを添加し、超音波により溶解させることにより絶縁性光触媒層形成用塗工液を調整した。
次に、上記有機半導体層、ソース電極およびドレイン電極が形成された基板上に、上記絶縁性光触媒層形成用塗工液をインクジェットにより吐出し、120℃で10分間加熱することにより厚さ1μmの絶縁性光触媒層を形成した。
次に、上記絶縁性光触媒層をヘキシルトリメトキシシランの蒸気に30分間曝すことにより、上記絶縁性光触媒層上に珪素化合物層を形成した。
(5)親疎水パターン形成工程
上記ゲート絶縁層の表面に、フォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cmの紫外線(365nm)露光することによりゲート電極を形成する部位を親水性に変化させた。このとき、親液性領域の水の接触角は20°であった。
(6)ゲート電極形成工程
インクジェット法により、固形分50質量%の銀コロイド液を上記ゲート絶縁層表面の親水性領域に吐出し、200℃で30分間加熱することにより、ゲート電極を形成した。
3.比較例1
絶縁性光触媒層形成用塗工液に変えて、PVPを水に溶解(30%)させた塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により有機半導体素子を作製した。
その結果、ゲート絶縁層にフォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cm(365nm)露光したが、ソース電極およびドレイン電極が形成される部位は親水性に変化せず、水に対する接触角は80°であった。このため、上記ソース電極およびドレイン電極をパターン状に形成することが困難であった。
4.比較例1
絶縁性光触媒層形成用塗工液に変えて、PVPを水に溶解(30%)させた塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により有機半導体素子を作製した。
その結果、ゲート絶縁層にフォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより3000mJ/cm(365nm)露光したが、ゲート電極が形成される部位は親水性に変化せず、水に対する接触角は80°であった。このため、上記ゲート電極をパターン状に形成することが困難であった。
本発明の第1態様の有機半導体素子の一例を示す概略図である。 本発明に用いられるバインダー樹脂の耐電圧測定方法の一例を示す概略図である。 本発明の第1態様の有機半導体素子の他の例を示す概略図である。 本発明の第1態様の有機半導体素子の他の例を示す概略図である。 本発明の第2態様の有機半導体素子の一例を示す概略図である。 本発明の第2態様の有機半導体素子の他の例を示す概略図である。 本発明の第1態様の有機半導体素子の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の第2態様の有機半導体素子の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の有機半導体素子についてゲート電圧の閾値電圧を評価した結果を示すグラフである。 一般的な半導体トランジスタの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 基板
2,2’ … 有機半導体トランジスタ
2a,2’a … ゲート電極
2b,2’b … ゲート絶縁層
21b,21’b … 絶縁性光触媒層
22b,22’b … 珪素化合物層
2c,2’c … 有機半導体層
2d,2’d … ソース電極
2e,2’e … ドレイン電極
2f … パッシベーション層
10A,10B … 有機半導体素子
100 … 有機半導体トランジスタ
100a … ゲート電極
100b … ゲート絶縁層
100c … 有機半導体層
100d … ソース電極
100e … ドレイン電極

Claims (6)

  1. 基板、および、前記基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、前記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極とを備える有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、
    前記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、
    前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とする有機半導体素子。
  2. 基板、および、前記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層と、前記有機半導体層に接するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、前記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極とを備える有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、
    前記ゲート絶縁層が、絶縁性を有するバインダー樹脂および光触媒を含有する絶縁性光触媒層と、
    前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層と、を有するものであることを特徴とする有機半導体素子。
  3. 前記バインダー樹脂が水酸基を含有する樹脂であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の有機半導体素子。
  4. 基板を用い、前記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
    前記ゲート電極を覆うように、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
    前記ゲート絶縁層に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、
    前記親疎水パターン上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
    前記親疎水パターン上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、を有することを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。
  5. 前記ソース・ドレイン電極形成工程が、前記親疎水パターンの親水性領域上にソース電極およびドレイン電極を形成するものであり、かつ、前記有機半導体層形成工程が前記親疎水パターンの疎水性領域上に有機半導体層を形成するものであることを特徴とする、請求項4に記載の有機半導体素子の製造方法。
  6. 基板を用い、前記基板上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
    前記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、
    前記有機半導体層上に、絶縁性を有するバインダー樹脂と光触媒とを含有する絶縁性光触媒層および前記絶縁性光触媒層上に形成され、有機シラン化合物からなる珪素化合物層を有するゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、
    前記ゲート絶縁層に紫外線を照射することにより、親水性の異なる部位からなる親疎水パターンを形成する親疎水パターン形成工程と、
    前記親疎水パターンの親水性領域上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、を有することを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。
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