JP5186689B2 - 酸化ケイ素含有物質に結合するタンパク質を介したタンパク質の固定化方法および固定化剤 - Google Patents

酸化ケイ素含有物質に結合するタンパク質を介したタンパク質の固定化方法および固定化剤 Download PDF

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Description

本発明は、酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質を用いて目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法および当該タンパク質を含む固定化剤に関するものである。
近年、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーが融合した領域にナノバイオテクノロジーという新しい領域が誕生し、急速に発展しつつある。ナノバイオテクノロジーは、例えば、バイオエレクトロニクス素子やバイオセンサの作製、DNAやタンパク質をターゲットにしたバイオチップの開発などに利用されるものであり、ナノバイオテクノロジーに対する期待はきわめて大きい。
上述のように、ナノバイオテクノロジーでは、バイオエレクトロニクス素子やバイオセンサの技術はきわめて重要であり、DNAチップやプロテインチップが注目されている。これらのチップでは、例えばDNAやタンパク質などの1分子を対象にセンシングを行うことになるため分子のサイズを考えたセンサの作製と制御が不可欠である。そこで、半導体加工技術を利用したバイオセンサの開発が手がけられている。
具体的には、例えば、シリコンナノワイヤ上に検出対象ウイルスに対する抗体を固定化し、ウイルスが1個でも抗体と結合すれば、電気的に検出することが可能となるような、バイオセンサの開発も進んでいる。
このように、半導体加工技術を利用したバイオセンサの開発をさらに加速するためには、シリコンやガラスなどの基板(支持体)上に所望のタンパク質を簡便かつ正確に配置し、固定化させる技術の開発が不可欠であると考えられている。
従来、ガラス表面にタンパク質を結合・固定化させる技術としては、(1)物理的吸着による結合、(2)ガラス表面をシランカップリング剤等で修飾し架橋剤を用いてタンパク質を共有結合により担体表面に固定化する方法などが知られている。
(1)の方法は、タンパク質の電荷や疎水的性質を利用して結合させる方法であるが、タンパク質の種類によって結合に差があり、所望のタンパク質を吸着させる方法とはなり得ない。また、結合したとしても、タンパク質分子内の様々な部位で結合する可能性があり、タンパク質の活性に影響を及ぼすことが多い。
(2)の方法を用いれば、所望のタンパク質をガラス表面に固定化することができるが、タンパク質分子内の様々な部位で修飾が起こり、タンパク質の活性に影響を及ぼす。配向性を持たせる修飾剤等の研究も行われているが、いずれにしても担体表面の修飾やタンパク質の架橋における操作が煩雑になる。
最近、上記の問題を解消する方法として、ガラス表面を銅イオンを含有するポリエチレンで修飾し、その銅イオンを認識するタグを結合させた所望のタンパク質をガラス表面上に提示する方法が報告されている(非特許論文1参照)。
また、9個のアルギニン残基(ポリアルギニンタグ)を付加したタンパク質が、酵素活性を保ったままガラス表面上やシリカ樹脂に直接吸着できることが報告されている(非特許文献2参照)。
Enzymatic activity on a chip: The critical role of protein orientation, T. Cha, A. Guo, X.-Y., Zhu, Proteomics, 5, 416-419 (2005) Fuchs, S.M. & Raines, R.T. Polyarginine as a multifunctional fusion tag. Protein. Sci. 14, 1538-1544 (2005)
しかし、非特許文献1に記載の方法においても、依然としてガラス表面を銅イオンを含有するポリエチレンで修飾するという煩雑な操作が必要であるという問題が残されている。また、非特許文献2に記載のポリアルギニンタグを付加してタンパク質をシリカに吸着させる技術は、長時間のインキュベーションによりタンパク質がシリカ表面から離れてしまい、吸着力に問題がある。
そこで、酸化ケイ素含有物質に対して高い吸着力で特異的な結合能を有するタンパク質が利用できれば、ガラス表面を何ら修飾することなく、ガラス基板上に直接タンパク質を固定化することが可能となる。それゆえ、プロテインチップの作製などに非常に利用価値が高いと考えられる。しかしながら、酸化ケイ素含有物質に対して強力な結合能を有するタンパク質は過去に報告されていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化ケイ素含有物質に対して強力な結合能を有するタンパク質を見出し、当該タンパク質を用いて所望のタンパク質をガラスなどの表面に固定化する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、シリカと強力に結合し得るタンパク質を見出し、当該タンパク質と緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein:以下「GFP」と記す)またはルシフェラーゼとの融合蛋白質が、ガラス表面に結合できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質を、酸化ケイ素含有物質に結合させる工程;および
目的の第2タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合した第1タンパク質に結合させる工程を包含することを特徴としている。
また、本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質と、目的の第2タンパク質との融合タンパク質を取得する工程;および当該融合タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合させる工程を包含することを特徴としている。
本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質を含むことを特徴としている。
また、本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質と、目的の第2タンパク質との融合タンパク質を含むことを特徴としている。
上記本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法および目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤において、上記酸化ケイ素がシリカであることが好ましい。
上記本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法および目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤において、上記少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質(第1タンパク質)が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15および17のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、並びに、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15および17のいずれかに示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質より選択される1種以上のタンパク質であることが好ましい。
本発明に係るタンパク質は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質であって、以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質であることを特徴としている。
(a)配列番号13に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号13に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号15に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号15に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号17に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
本発明に係る遺伝子は、上記本発明に係るタンパク質をコードすることを特徴としている。
本発明に係る発現ベクターは、上記本発明に係る遺伝子を含むことを特徴としている。
また、本発明に係る発現ベクターは、上記本発明に係るタンパク質と目的のタンパク質との融合タンパク質をコードする融合遺伝子を含むことを特徴としている。
本発明を用いれば、目的のタンパク質を、その機能を損なうことなくガラス基板表面などに簡便かつ強力に固定化することができるという効果を奏する。したがって、プロテインチップの作製やタンパク質で修飾したガラスなどの無機有機ハイブリッド材料の作製を容易に行うことができる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるだろう。
大腸菌K12の細胞破砕液からシリカ結合タンパク質が得られたことを示す電気泳動画像である。 Pseudomonas aeruginosa PAO1の細胞破砕液からシリカ結合タンパク質が得られたことを示す電気泳動画像である。 Pseudomonas putida KT2440の細胞破砕液からシリカ結合タンパク質が得られたことを示す電気泳動画像である。 SBP-GFP発現ベクター(pET SBP-GFP)の構成を示す図である。 SBP-GFP融合タンパク質のシリカ結合時におけるpHの影響を検討した結果を示すグラフである。 SBP-GFP融合タンパク質のScatchard plot analysisの結果を示すグラフである。 GFP、SBP-GFP融合タンパク質およびR9-GFP融合タンパク質の洗浄前後のガラス表面への結合状態を示す蛍光イメージアナライザー画像である。 GFPおよびSBP-GFP融合タンパク質のガラス表面への結合状態と洗浄時間との関係を示すイメージアナライザー画像である。 LuciferaseおよびSBP-Luc融合タンパク質の洗浄前後のガラス表面への結合状態を示すCCDカメラの撮影画像である。 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるシリカ結合タンパク質のシリカ結合ドメインを調べた結果を示す図である。 1ステップで目的タンパク質をスライドグラス上に固定化する方法を示す模式図である。 SBP-GFP融合タンパク質がスライドグラス上に固定化されていることを示すイメージアナライザー画像であり、 スライドグラスから剥がしたタンパク質をSDS-PAGEに供した結果を示す画像である。 ProteinA-SBP融合タンパク質を介して抗体がシリカに結合することを示す電気泳動画像である。 スライドガラス上に結合したCWB-SBP融合タンパク質により枯草菌を検出できることを示す顕微鏡画像である。
〔酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質の取得および同定〕
発明者らは、ガラス表面にタンパク質を固定化する際に、従来法のようなガラス表面の修飾処理や、固定化しようとするタンパク質の修飾・精製などの煩雑な操作を必要としない方法を完成させるために、ガラス表面に直接結合可能なタンパク質の利用を着想した。しかし、ガラス表面に直接結合し得るタンパク質としては、唯一ポリアルギニンタグを付加したタンパク質が報告されているにすぎず(非特許文献2)、しかもその吸着力は弱い。そこで、本発明者らは、試行錯誤を繰り返した結果、酸化ケイ素含有物質と強力に結合するタンパク質を見出した。
本発明に用いられるタンパク質は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質であればよい。本明細書においては、「少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質」を「酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質」と称する。また、当該タンパク質の由来は特に限定されず、細菌、酵母、植物、動物など、いずれの生物に由来するタンパク質であってもよい。
本明細書において、「酸化ケイ素含有物質」は、少なくとも酸素(O)とケイ素(Si)とを含有する物質であればよく、酸素およびケイ素のみからなる物質、並びに酸素、ケイ素およびその他の元素からなる物質が含まれる。酸素およびケイ素以外の元素は特に限定されない。「酸化ケイ素含有物質」としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、ガラス、石綿、石英、水晶、ケイ砂、角閃石、輝石、雲母、滑石、長石などを挙げることができる。またシリコーンなど有機系酸化ケイ素含有物質も「酸化ケイ素含有物質」に含まれる。
本明細書において、「タンパク質」は、「ポリペプチド」または「ペプチド」と交換可能に使用される。「タンパク質」には、タンパク質の部分断片(フラグメント)が含まれるものとする。また、「タンパク質」には、融合タンパク質が含まれるものとする。「融合タンパク質」は、2つ以上の異種タンパク質の一部(フラグメント)または全部が結合したタンパク質である。
本発明に用いられる酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質は、例えば以下のようにして取得することができる。ただし、取得方法はこれに限定されるものではなく、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質は、本発明に好適に用いることができる。
すなわち、本発明に用いられる酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質は、1種以上のタンパク質を含む溶液に酸化ケイ素含有物質を添加し、その後酸化ケイ素含有物質を回収して少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で洗浄し、洗浄後においても酸化ケイ素含有物質に結合しているタンパク質を単離することで取得することができる。
上記1種以上のタンパク質を含む溶液(以下「タンパク質溶液」と記す。)としては、例えば細胞破砕液を好適に用いることができる。また、例えばファージライブラリー由来のランダムペプチドライブラリーや合成ペプチドライブラリーを好適に用いることができる。ただし、これらに限定されるものではない。なお、このタンパク質溶液にはタンパク質以外の物質が含まれていてもよい。
タンパク質溶液の調製は、用いる材料に応じて適宜公知の方法を選択すればよい。例えば細胞破砕液を調製する場合には、ホモジナイザー、超音波などにより物理的に細胞を破砕する方法、酵素や界面活性剤を用いて細胞を破砕する方法、酵素や界面活性剤と物理的方法を組み合わせて細胞を破砕する方法などを用いることができる。
添加する酸化ケイ素含有物質は特に限定されない。例えば本発明者らは、細菌由来の細胞破砕液1mlに対して10mgのケイ素粉末を添加している(実施例参照)。
タンパク質溶液に酸化ケイ素含有物質を添加した後は、当該タンパク質と酸化ケイ素含有物質との混合液を十分混和することが好ましい。混和する条件は特に限定されないが、例えば4℃で15分〜30分間転倒混和することが挙げられる。
酸化ケイ素含有物質の回収は、例えば上記混合液を酸化ケイ素含有物質のみが沈澱する程度の回転数で遠心分離し上清を除くことにより行うことができる。また、上記混合液を適当なポアサイズのフィルターを用いてろ過することにより行うことができる。ただし、これらの方法に限定されるものではない。回収操作を行うことにより酸化ケイ素含有物質と結合していないタンパク質を除くことができる。
洗浄は、酸化ケイ素含有物質と非特異的に弱く結合しているタンパク質を除外するために行う。洗浄方法としては、例えば上記により回収した酸化ケイ素含有物質に少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液を加え、ピペッティング等により十分混和後、上記と同様に遠心分離やフィルターろ過を行う方法が挙げられる。この操作を数回繰り返すことにより洗浄効果が向上する。また、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液を用いて上記タンパク質溶液を調製することで、洗浄効果(非特異的な結合を除外する効果)を向上させることができる。
洗浄用の溶液は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含むものであれば特に限定されないが、pHが中性付近の緩衝液が好ましい。なお、「少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液」とは酸化ケイ素含有物質に非特異的で微弱なタンパク質の結合が見られる0.1M未満を排除する意図である。
本発明に用いられる酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質は、少なくとも0.1Mの塩化ナトリウムを含む溶液で洗浄を行っても酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質であればよいが、洗浄溶液の塩化ナトリウム濃度を高くすることにより、酸化ケイ素含有物質に対してより強力に結合し得るタンパク質を取得することができる。例えば、シリカと強力に結合するタンパク質を取得する場合には、0.2M塩化ナトリウムを含む溶液を用いることが好ましく、0.5M塩化ナトリウムを含む溶液を用いることがより好ましく、1M塩化ナトリウムを含む溶液を用いることがさらに好ましい。さらに、洗浄用溶液に界面活性剤を添加することで、結合特異性の高いタンパク質を取得することができる。
本発明者らは、シリカと強力に結合する細菌由来のタンパク質を取得する際に、1M塩化ナトリウムおよび0.5%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名:Tween20(登録商標))を含有する25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を洗浄用緩衝液として用いている(実施例参照)。
酸化ケイ素含有物質と強力に結合している状態のタンパク質を酸化ケイ素含有物質から遊離させる方法としては、例えばドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を用いる方法、pHを低下させる方法、溶液の塩濃度を上げる(塩化ナトリウム濃度を2M程度にする)方法などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明者らは、1%ドデシル硫酸ナトリウムおよび2%メルカプトエタノールを含む液を用いている(実施例参照)。
取得した酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質の同定は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、上記により酸化ケイ素含有物質から遊離したタンパク質を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜にトランスファーし、膜をクマシーブリリアントブルーで染色した後、目的タンパク質のバンドを切り出す。切り出したバンドのトリプシン消化物をマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOFMS)により分析し、ペプチドマスフィンガープリント解析により同定することができ、公知のタンパク質データベースからアミノ酸配列を取得することができる。また、例えば、自動ペプチドシーケンサを用いてアミノ酸配列を決定することができる。
アミノ酸配列が決定すれば、当該タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列は、例えば、公知の遺伝子データベースから取得することができる。また、当該タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、プライマーまたはプローブを設計し、当該タンパク質コードするDNA断片をクローニングして、DNAシーケンサを用いて塩基配列を決定することができる。
本発明に好適に用いることができる酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質としては、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15および17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質を挙げることができる。これらのタンパク質は、本発明者らによりシリカ(二酸化ケイ素)に強力に結合するタンパク質として同定されている。また、これらのタンパク質のうち配列番号1、3、5、7、9および11に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質は公知のタンパク質であるが、酸化ケイ素含有物質と強力に結合し得ることは本発明者らが初めて見出した機能である。また、配列番号13、15および17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の部分断片(配列番号13は配列番号1の第1位〜第60位、配列番号15は配列番号1の第203位〜第273位、配列番号17は配列番号1の第1位〜第60位と第203位〜第273位とが結合したもの)である。
また、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15および17に示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質も、本発明に好適に用いることができる。
ここで「1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ペプチド作製法により欠失、置換もしくは付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されることを意味する。このような変異タンパク質は、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するタンパク質に限定されるものではなく、天然に存在するタンパク質を単離精製したものであってもよい。
タンパク質のアミノ酸配列中のいくつかのアミノ酸が、このタンパク質の構造または機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、当該分野において周知である。さらに、人為的に改変させるだけでなく、天然のタンパク質において、当該タンパク質の構造または機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。
好ましい変異体は、保存性もしくは非保存性アミノ酸置換、欠失、または添加を有する。好ましくは、サイレント置換、添加、および欠失であり、特に好ましくは、保存性置換である。これらは、本発明に係るポリペプチド活性を変化させない。
代表的に保存性置換と見られるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleの中での1つのアミノ酸の別のアミノ酸への置換、ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGlnの間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、ならびに芳香族残基Phe、Tyrの間の置換である。
本発明に用いられる酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質は、付加的なペプチドを含むものであってもよい。付加的なペプチドとしては、例えば、ポリヒスチジンタグ(His-tag)やMyc、Flag等のエピトープ標識ペプチドが挙げられる。
本発明に用いられる酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質は、その供給源となる細胞を培養し、単離、精製することにより生産できる。また、公知の遺伝子工学的手法により組み換え発現ベクターを構築し、これを適当な宿主細胞に導入して組み換えタンパク質として発現させることにより生産できる。特に、配列番号13、15および17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質のような、公知のタンパク質の部分断片は、組み換えタンパク質として生産することが好適である(実施例参照)。
以下、説明の便宜上、上述の本発明に用いられる酸化ケイ素含有物質に強力に結合するタンパク質を、適宜「SBP」(SBPはsilica material binding proteinの略)と称する。
〔目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法〕
本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法の一実施形態は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質(SBP)を、酸化ケイ素含有物質に結合させる工程;および目的の第2タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合した第1タンパク質(SBP)に結合させる工程を包含するものであればよい。なお、上記以外の工程が設けられていてもよく、上記以外の工程の内容は限定されない。
ここで、「タンパク質を固定化する」とは、支持体の表面にタンパク質を結合させることを意図する。本発明において、支持体は酸化ケイ素含有物質である。
少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質(SBP)を、酸化ケイ素含有物質に結合させる工程では、例えば、SBP溶液中に酸化ケイ素含有物質を浸漬する方法、酸化ケイ素含有物質表面にSBP溶液を塗布またはスポットする方法などを用いることができる。
なお、「少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質(SBP)を、酸化ケイ素含有物質に結合させる」とは、SBPが少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るという性能、換言すれば、SBPが少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液で洗浄を行っても酸化ケイ素含有物質と結合し得るという性能を表したものであり、必ずしも固定化において、SBPと酸化ケイ素含有物質とを少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で結合させることを意図するものではない。したがって、SBPと試料中の酸化ケイ素含有物質との結合はどのような条件で行ってもよい。
SBPと酸化ケイ素含有物質とを十分結合させるためインキュベートすることが好ましい。条件は特に限定されないが、4℃〜室温で数秒から30分程度インキュベートすることが好ましい。
この工程においてSBP溶液は精製されたSBPのみを含む溶液であることを要しない。例えば、SBPを組み換えタンパク質として大腸菌などの適当な宿主に発現させた場合、当該宿主細胞の細胞破砕液をSBP溶液として用いることができる。宿主細胞の細胞破砕液中で酸化ケイ素含有物質をインキュベートした後、または、酸化ケイ素含有物質表面に細胞破砕液を塗布もしくはスポットした後に酸化ケイ素含有物質の表面を水洗等することで、SBP以外のタンパク質を洗い流すことができるからである。その結果、酸化ケイ素含有物質の表面には、SBPのみが固定化された状態で残ることになる。
目的の第2タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合した第1タンパク質(SBP)に結合させる工程では、上記SBPが結合した酸化ケイ素含有物質を目的のタンパク質を含有する溶液中に浸漬する方法、SBPを塗布またはスポットした範囲に目的のタンパク質を含有する溶液をさらに塗布またはスポットする方法などを用いることができる。
SBPと目的のタンパク質とを十分結合させるためインキュベートすることが好ましい。条件は特に限定されないが、4℃〜室温で数秒から30分程度インキュベートすることが好ましい。
本実施形態においては、用いたSBPに対して結合能を有しているタンパク質を目的のタンパク質として選択することができる。例えば、用いたSBPに特異的に結合する抗体を挙げることができる。
また、SBPを修飾タンパク質としてもよい。例えばSBPをビオチン化することより、アビジン化タンパク質を結合することができる。すなわち目的のタンパク質をアビジン化することにより、目的のタンパク質をSBPに結合することができ、目的のタンパク質が酸化ケイ素含有物質に固定化される。
さらに、SBPと目的のタンパク質との間に他のタンパク質を介してもよい。例えば、ビオチン化したSBPにアビジン化したプロテインAまたはプロテインGを結合し、さらに目的のタンパク質として所望の抗体を結合すれば、所望の抗体が酸化ケイ素含有物質に固定化される。ここで、SBPと目的のタンパク質の間に介在するタンパク質の数は限定されない。
以上により、目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質の表面に固定化することができる。
また、本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法の他の実施形態は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質(SBP)と、目的の第2タンパク質との融合タンパク質を取得する工程;および当該融合タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合させる工程を包含するものであればよい。なお、上記以外の工程が設けられていてもよく、上記以外の工程の内容は限定されない。
少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質(SBP)と、目的の第2タンパク質との融合タンパク質を取得する工程では、公知の遺伝子工学的手法を用いることにより組み換えタンパク質として融合タンパク質を取得すればよい。すなわち、SBPをコードする遺伝子と目的のタンパク質をコードする遺伝子とを人工的に連結した融合遺伝子(ハイブリッド遺伝子)を作製し、当該融合遺伝子を、発現ベクターのプロモーターの下流に挿入し、大腸菌などの宿主細胞に導入して発現させる方法を用いることができる。融合タンパク質発現ベクターの構築、融合タンパク質の発現および精製の具体例としては、後述の実施例に記載の方法を挙げることができる。
融合タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合させる工程では、例えば、融合タンパク質溶液中に酸化ケイ素含有物質を浸漬する方法、酸化ケイ素含有物質表面に融合タンパク質溶液を塗布またはスポットする方法などを用いることができる。また、融合タンパク質と酸化ケイ素含有物質とを十分結合させるため4℃〜室温で5分〜30分程度インキュベートすることが好ましい。ただし、インキュベート条件はこれに限定されない。なお、この工程において融合タンパク質溶液は精製された融合タンパク質のみを含む溶液であることを要しないことは、上述のとおりである。
本実施形態においては、目的のタンパク質は限定されず、任意のタンパク質を目的のタンパク質とすることができる。したがって、多種類の目的タンパク質についてそれぞれSBPとの融合タンパク質を取得し、個々の融合タンパク質をガラス基板表面やシリコン基板表面にスポットすることで、プロテインチップ(タンパク質アレイ)を極めて簡単に作製することができる。しかも、スポットする融合タンパク質溶液として、融合タンパク質の発現に用いた宿主細胞の細胞破砕液をそのまま用いることができるため、プロテインチップの作製に要する時間や費用の点からも、従来の方法と比較して格段に有用である。プロテインチップの作製には、市販のスポッターを好適に用いることができる。
また、目的のタンパク質に各種一本鎖抗体を選択すれば、基板上に抗体を固定化することができる(抗体アレイ)。あるいは目的のタンパク質としてプロテインAやプロテインGを選択すれば、これらのタンパク質にさらに任意の抗体を結合させることができる。
また、本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法を利用すれば、酸化ケイ素含有物質とタンパク質との無機有機ハイブリッド素材を容易に作製することが可能となる。例えば、プロテアーゼを結合させたガラスを作製すれば、タンパク質の汚れに強いガラスを提供できる。また、細胞の増殖に必要なタンパク質を結合させたガラスを作製すれば、ガラス表面に細胞を増殖させることができる。これは人工臓器などへの応用が期待できる。
また、タンパク質を結合させたシリカナノパーティクルを用いて細菌を検出する技術が報告されており(A rapid bioassay for single bacterial cell quantitation using bioconjugated nanoparticles. Zhao X, Hilliard LR, Mechery SJ, Wang Y, Bagwe RP, Jin S, Tan W., Proc Natl Acad Sci U S A. 101,15027-15032, 2004)、本発明を用いれば、このような技術に利用可能な量子ドット効果を持つシリカナノパーティクルとタンパク質との複合体を簡便に作製することができる。
さらに、半導体基板上にタンパク質分子を配置させることで、生物と電子機器との間の情報交換を可能とするヒューマンインターフェイステクノロジーの基盤技術に応用することが期待できる。
〔本発明に係る固定化剤、キット〕
本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質(SBP)、または、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質(SBP)と目的の第2タンパク質との融合タンパク質を含むものであればよい。
SBPまたは融合タンパク質以外に含まれるものは特に限定されない。なお、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質(SBP)および融合タンパク質については既に説明したとおりである。また、本発明に係る固定化剤は、上述の目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法に準じて使用することができる。
本発明に係る固定化剤は、例えば、SBP溶液、融合タンパク質溶液、SBPの凍結乾燥物、融合タンパク質の凍結乾燥物などの形態で実施することができる。
本発明に係るキットは、上記本発明に係る固定化剤を備えるものであればよい。これ以外の具体的なキットの構成については特に限定されるものではなく、必要な試薬や器具等を適宜選択してキットの構成とすればよい。なお、SBPと目的のタンパク質との融合タンパク質発現用ベクターを備えるキットとすることも可能である。
本発明に係る固定化剤を備える場合、目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する用途のキットとして実施できる。このキットは、上述の目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法に準じて使用することができる。
本明細書中において用語「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。好ましくは当該材料を使用するための使用説明書を備える。使用説明書は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD-ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。
〔本発明に係るタンパク質〕
本発明に係るタンパク質は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質であって、以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質である。
(a)配列番号13に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号13に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号15に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号15に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号17に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
これらのタンパク質は、上記本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法、および、上記本発明に係る目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤に、好適に用いることができる。
既に説明したように、配列番号13に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質は配列番号1の第1位〜第60位のアミノ酸配列からなるタンパク質であり、配列番号15に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質は配列番号1の第203位〜第273位のアミノ酸配列からなるタンパク質であり、配列番号17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質は配列番号1の第1位〜第60位のアミノ酸配列と第203位〜第273位アミノ酸配列とが結合したアミノ酸配列からなるである。
これらのタンパク質(配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の部分断片)は、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得ることが発明者らにより確認されている。特に配列番号17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質のシリカに対する結合力は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質とほぼ同等の結合力を有することが確認されている。
「1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された」変異タンパク質については、既に説明したとおりである。当業者は、周知技術を使用してタンパク質のアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸を容易に変異させることができる。例えば、公知の点変異導入法(変異誘発法)に従えば、タンパク質をコードする遺伝子の任意の塩基を変異させることができる。また、タンパク質をコードする遺伝子の任意の部位に対応するプライマーを設計して欠失変異体または付加変異体を作製することができる。さらに、既に説明した方法により、作製した変異体が少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るか否かを容易に決定できる。
また、これらのタンパク質は、公知の遺伝子工学的手法により組み換え発現ベクター構築し、これを適当な宿主細胞に導入して組み換えタンパク質として発現させることにより生産(取得)することができる。
〔本発明に係る遺伝子〕
本発明に係る遺伝子は、上記本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子であればよい。具体的には、以下の(a)〜(c)の遺伝子が挙げられる。
(a)配列番号13に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子、または、配列番号13に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質をコードする遺伝子
(b)配列番号15に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子、または、配列番号15に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質をコードする遺伝子
(c)配列番号17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子、または、配列番号17に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質をコードする遺伝子。
本明細書中において、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。本明細書中で使用される場合、用語「塩基配列」は、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。
本発明に係る遺伝子は、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、または、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。
また本発明に係る遺伝子は、その5’側または3’側で上述のタグ標識(タグ配列またはマーカー配列)をコードするポリヌクレオチドに融合され得る。
一実施形態において、本発明に係る遺伝子は、以下の(i)〜(iii)に記載の遺伝子であることが好ましいが、これに限定されない。
(i)配列番号14に示される塩基配列からなる遺伝子
(ii)配列番号16に示される塩基配列からなる遺伝子
(iii)配列番号18に示される塩基配列からなる遺伝子。
配列番号14に示される塩基配列は、配列番号2に示される塩基配列の第1位〜第180位に相当し、当該塩基配列からなる遺伝子は配列番号13に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする。配列番号16に示される塩基配列は、配列番号2に示される塩基配列の第607位〜第819位に相当し、当該塩基配列からなる遺伝子は配列番号15に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする。配列番号18に示される塩基配列は、配列番号2に示される塩基配列の第1位〜第180位と第607位〜第819位が連結した塩基配列に相当し、当該塩基配列からなる遺伝子は配列番号17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする。
また、本発明に係る遺伝子としては、配列番号14または16または18に示される塩基配列と相補的な塩基配列と少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一である塩基配列からなる遺伝子であって、少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質をコードする遺伝子が好ましい。
例えば、「本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子の参照(QUERY)塩基配列に少なくとも95%同一の塩基配列からなる遺伝子」によって、対象塩基配列が、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子の参照塩基配列の100ヌクレオチチド(塩基)あたり5つまでの不一致(mismatch)を含み得ることを除いて、参照配列に同一である、ということが意図される。
任意の特定の核酸分子が、例えば、配列番号14に示される塩基配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログラム(例えば、Bestfit program(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)を使用して決定され得る。
本発明に係る遺伝子は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった1本鎖のDNAまたはRNAを包含する。また、本発明に係る遺伝子は、非翻訳領域(UTR)の配列やベクター配列(発現ベクター配列を含む)などの配列を含むものであってもよい。
本発明に係る遺伝子を取得する方法として、PCR等の増幅手段を用いる方法を挙げることができる。例えば、配列番号14に示される塩基配列の5’側および3’側の配列(またはその相補配列)に基づいてそれぞれプライマーを設計し、これらプライマーを用いて大腸菌ゲノムDNAを鋳型にしてPCR等を行い、両プライマー間に挟まれるDNA領域を増幅することで、本発明に係る遺伝子を含むDNA断片を大量に取得できる。また、配列番号18に示される塩基配列からなる遺伝子は、例えば、配列番号14に示される塩基配列からなるDNAと配列番号16に示される塩基配列からなるDNAとを、公知の遺伝子工学的手法を用いて連結することで、取得することができる。
〔本発明に係る発現ベクター〕
本発明に係る発現ベクターは、上述した本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子を含むものであればよい。または、本発明に係る発現ベクターは、上述した本発明に係るタンパク質と目的のタンパク質との融合タンパク質をコードする融合遺伝子を含むものであってもよい。
融合タンパク質をコードする融合遺伝子は、公知の遺伝子工学的手法を用いて取得することができる。また、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子のみを含む発現ベクターに目的のタンパク質をコードする遺伝子を挿入する、あるいは逆に、目的のタンパク質をコードする遺伝子のみを含む発現ベクターに本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子を挿入することで、融合タンパク質を発現するベクターを作製することができる。
組換え発現ベクターの作製方法としては、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどを用いる方法が挙げられるが特に限定されない。
ベクターの具体的な種類は特に限定されず、宿主細胞中で発現可能なベクターが適宜選択され得る。すなわち、宿主細胞の種類に応じて、確実に本発明に係るポリヌクレオチドを発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと本発明に係るポリヌクレオチドを各種プラスミド等に組み込んだベクターを発現ベクターとして用いればよい。
本発明に係る発現ベクターは、導入されるべき宿主の種類に依存して、発現制御領域(例えば、プロモーター、ターミネーター、および/または複製起点等)を含有する。細菌用発現ベクターのプロモーターとしては、慣用的なプロモーター(例えば、trcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等)が使用され、酵母用プロモーターとしては、例えば、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、PH05プロモーター等が挙げられ、糸状菌用プロモーターとしては、例えば、アミラーゼ、trpC等が挙げられる。また動物細胞宿主用プロモーターとしては、ウイルス性プロモーター(例えば、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター等)が挙げられる。発現ベクターの作製は、制限酵素および/またはリガーゼ等を用いる慣用的な手法に従って行うことができる。発現ベクターによる宿主の形質転換もまた、慣用的な手法に従って行うことができる。
上記発現ベクターを用いて形質転換された宿主を、培養、栽培または飼育した後、培養物などから慣用的な手法(例えば、濾過、遠心分離、細胞の破砕、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなど)に従って、目的タンパク質を回収、精製することができる。
発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含むことが好ましい。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性遺伝子、およびE.coliおよび他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
上記選択マーカーを用いれば、本発明に係るポリヌクレオチドが宿主細胞に導入されたか否か、さらには宿主細胞中で確実に発現しているか否かを確認することができる。
上記の宿主細胞は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。具体的には、例えば、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母Schizosaccharomyces pombe)、線虫(Caenorhabditis elegans)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、およびBowes黒色腫細胞)などが挙げられる。
上記発現ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
〔実施例1:シリカ結合タンパク質(SBP)の同定〕
(1)使用菌株
大腸菌(Escherichia coli)K12、Pseudomonas aeruginosa PAO1および Pseudomonas putida KT2440の3種類を用いた。
(2)細胞破砕液の調製
2×YT培地で37℃、4時間培養した菌体を遠心分離により集菌した後、50mM Tris-HCl pH 7.5、10%スクロースで縣濁した。凍結融解を行い、250μg/mlになるようにリゾチームを加え、30分氷上においた。37℃で5分間反応後、再び氷上に10分おき、粘性がなくなるまで超音波破砕を行った。さらに20,000×g、15分間遠心分離した上清を細胞破砕液として用いた。
(3)シリカ結合タンパク質の取得
得られた細胞破砕液のタンパク質濃度が1mg/mlになるように25mM Tris-HCl pH7.5, 0.5% Tween20, 1M NaClで希釈した。調製した溶液1mlに10mgのケイ素粉末(純正化学株式会社)を加え、4℃で30分転倒混和した。5,000×gで遠心分離し、上清を捨て、沈殿に25mM Tris-HCl pH7.5, 0.5% Tween20, 1M NaCl を1ml加え、ボルテックスで溶解した。この洗浄操作を3回繰り返した。洗浄後の沈殿にSDSサンプルバッファー(1%ドデシル硫酸ナトリウム[SDS]、75mM Tris-HCl pH7.5, 10%グリセロール, 1%ベータメルカプトエタノール)50μl加え、100℃で5分間インキュベートした。抽出したタンパク質は一般的なポリアクリルアミノド電気泳動法(Laemmli法)により分離した。
図1に大腸菌K12の結果を示した。図1から明らかなように、分子量約30kDの位置にシリカ結合タンパク質のバンドが確認された。
図2にPseudomonas aeruginosa PAO1の結果を示した。図2から明らかなように、分子量約30kDおよび約40kDの位置にシリカ結合タンパク質のバンドが確認された。
図3にPseudomonas putida KT2440の結果を示した。図3から明らかなように、分子量約15kD位置に1本および約30kDの位置に2本のシリカ結合タンパク質のバンドが確認された。
(4)アミノ酸配列および塩基配列の決定
取得タンパク質をポリアクリルアミド電気泳動法により分離後、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写した。膜をクマシーブリリアントブルーで染色した後、目的タンパク質のバンドを切り出した。膜片を100%アセトニトリルに浸した後、100mM酢酸、0.5%ポリビニルピロリドンK-30、1%メチオニン溶液100μl中で37℃30分間反応させた。超純水1mlで10回洗浄後、さらに50mM重炭酸アンモニウム、5%アセトニトリル100μlで3回洗浄した。0.5μg/mlのトリプシン溶液(50mM重炭酸アンモニウム、5%アセトニトリル)20μl中で37℃24時間消化した。トリプシン消化物の脱塩にはZipTipC18(ミリポア)を使用した。方法は同社のプロトコルに従った。脱塩したサンプルをマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析計 (BiflexIV:Bruker)により分析し、ペプチドマスフィンガープリント解析によりタンパク質およびそれをコードする遺伝子を同定した。同定したタンパク質のアミノ酸配列はデータベース(DDBJ)から取得した。また、同定したタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列もデータベース(DDBJ)から取得した。
以上の結果より、大腸菌K12由来の分子量約30kDのシリカ結合タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり(ACCESSION:NP_417776)、配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子(rplB)によりコードされるタンパク質であることが明らかとなった。
Pseudomonas aeruginosa PAO1の分子量約30kDのシリカ結合タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり(ACCESSION:NP_252950)、配列番号4に示される塩基配列からなる遺伝子(rplB)によりコードされるタンパク質であることが明らかとなった。
Pseudomonas aeruginosa PAO1の分子量約40kDのシリカ結合タンパク質は、配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり(ACCESSION:NP_250468)、配列番号6に示される塩基配列からなる遺伝子(oprF)によりコードされるタンパク質であることが明らかとなった。
Pseudomonas putida KT2440の分子量約30kDのシリカ結合タンパク質は、配列番号7に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり(ACCESSION:NP_742623)、配列番号8に示される塩基配列からなる遺伝子(rplB)によりコードされるタンパク質であることが明らかとなった。
Pseudomonas putida KT2440の分子量約30kDのシリカ結合タンパク質は、配列番号9に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり(ACCESSION:NP_743748)、配列番号10に示される塩基配列からなる遺伝子(rpsB)によりコードされるタンパク質であることが明らかとなった。
Pseudomonas putida KT2440の分子量約15kDのシリカ結合タンパク質は、配列番号11に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質であり(ACCESSION:NP_743476)、配列番号12に示される塩基配列からなる遺伝子(rpsI)によりコードされるタンパク質であることが明らかとなった。
なお、以下の実験は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる上記大腸菌K12由来の分子量約30kDのシリカ結合タンパク質を用いて行った。
〔実施例2:SBP-GFP融合タンパク質のシリカに対する親和性(Kd値)の測定〕
(1)SBP-GFP融合タンパク質発現ベクターの構築
まず、GFP発現ベクターの構築を行った。既知のgfp遺伝子配列より2種のオリゴヌクレオチドプライマーP1:AGAAAAGCTTAGTAAAGGAGAAGAACTTTTCACT(配列番号19)およびP2:TCATGCGGCCGCAAGCTCATCCATGCCATGTGTA(配列番号20)を作製し、pGFPuv(クロンテック)を鋳型としてPCRを行った。反応はKOD Plus DNAポリメラーゼ(TOYOBO)を用い、同社のプロトコルに従った。PCR産物および発現ベクターpET21-b(Novagen)を制限酵素HindIIIおよびNotIにより37℃2時間処理した後、アガロースゲル電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation High(TOYOBO)により16℃2時間ライゲーションし、大腸菌MV1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、pET GFPとした。
次にSBP-GFP発現ベクターの構築を行った。配列番号2に示される塩基配列に基づいて、2種のオリゴヌクレオチドプライマーP3:CATCGAATTCTATGGCAGTTGTTAAATGTAA(配列番号21)およびP4:AGTTGAGCTCGTTTTGCTACGGCGACGTACGA(配列番号22)を作製し、大腸菌染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。PCR産物および上記pET GFPを制限酵素EcoRIおよびSacIにより37℃2時間処理した後、アガロースゲル電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation High(TOYOBO)により16℃2時間ライゲーションし、大腸菌MV1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、pET SBP-GFPと名付けた。なお、図4にSBP-GFP発現ベクター(pET SBP-GFP)の構成を示した。
(2)R9(ポリアルギニンタグ)-GFP融合タンパク質発現ベクターの構築
対照としてR9(ポリアルギニンタグ)-GFP融合タンパク質使用するため、R9-GFP融合タンパク質発現ベクターを構築した。
ポリアルギニンタグ用にオリゴヌクレオチドG1:CTAGCCGTCGCCGTCGTCGCCGTCGTCGTCGCAAG(配列番号23)およびG2:AATTCTTGCGACGACGACGGCGACGACGGCGACGG(配列番号24)を合成し、二本鎖を形成させた。当該二本鎖DNAを上記pET GFPの制限酵素サイトNheIおよびEcoRIに挿入し、R9(ポリアルギニンタグ)-GFP融合タンパク質発現ベクター(pET R9-GFP)を構築した。
(3)SBP-GFP融合タンパク質およびR9-GFP融合タンパク質の発現および精製
上記(1)および(2)により作製した各発現ベクターで形質転換したRosetta BL21(DE3) pLysS (Novagen)を、2×YT培地でOD600が0.6になるまで28℃で培養後、0.3mM IPTGを添加してさらに8時間培養を行った。集菌後、上記(2)に記載の方法で細胞破砕液を調製し、当該細胞破砕液をHisTrap HP 1ml (アマシャムバイオサイエンス)カラムにより精製を行った。10mMのイミダゾールを含む緩衝液A (50mM リン酸ナトリウム pH7.4, 20%グリセロール)で洗浄後、0.5Mイミダゾールを含む緩衝液Aで溶出した。さらに溶出後のタンパク質をPoros HS/M(Perspective Biosystems) により精製を行った。カラムからの溶出は緩衝液B(20mM Hepes-NaOH pH7.5, 1mM EDTA,1mM DTT, 20% グリセロール)中でNaClを0から1Mまで直線の濃度勾配により行った。精製したそれぞれのタンパク質について、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製度を確認したところ、いずれも95%以上であった。
(4)SBP-GFP融合タンパク質およびR9-GFP融合タンパク質のシリカに対する親和性(Kd値)の測定
任意の濃度のタンパク質溶液(GFP, SBP-GFP, SBP-GFP)に0.1mgのシリカを加えた。15分間インキュベーションした後、シリカを遠心により沈殿させ、1mlの緩衝液(25mM Tris-HCl[pH7.5 or 8.0] あるいは Glycine-NaOH [pH9.0], 0.5% Tween20, 0.5M NaCl)により洗浄した。結合しているGFP量を得るために、上清のGFP蛍光を測定し、結合していないGFP量を求めた。初期タンパク質濃度から上清測定結果を引くことで結合しているGFP量を求めた。得た値からScatchard plot analysisにより親和性(Kd)と最大結合量(Bmax)を求めた。なおKd値は値が小さいほど親和性が強いことを示す。
SBP-GFPのシリカ結合時におけるpHの影響を検討した結果を図5に示した。また、SBP-GFPのScatchard plot analysisの結果を図6に示した。
図5および図6から明らかなように、SBP-GFPはpH7.0以上でシリカに結合した(図5)。また、L2-GFPのシリカに対する親和性(Kd値)はpH7.5, 8.0, 9.0でそれぞれ0.70, 0.55, 0.46nMであった(図6)。SBP-GFPのシリカに対する最大結合量(Bmax)はpH7.5, 8.0, 9.0でそれぞれ25, 32, 31 μg SBP-GFP protein/mg silica particleであった(図6)。
なお、図示していないが、ポリアルギニンを付加したGFP(R9-GFP)の、pH7.5, 8.0, 9.0におけるKd値は、それぞれ120, 18, 25nMであった。また、R9-GFPのシリカに対する最大結合量は、pH7.5, 8.0, 9.0において、それぞれ5.0, 14, 16 μg GFP protein/mg silica particleであった。この結果から、SBP-GFPはR9-GFPと比較してシリカに対して約30倍から200倍の強い結合力を示すことが明らかとなった。
〔実施例3:SBP-GFP融合タンパク質のガラス表面への結合実験I〕
上記実施例2(3)において精製したSBP-GFP融合タンパク質、R9-GFP融合タンパク質およびGFP(対照)をそれぞれ1mg/ml、0.5mg/mlおよび0.5mg/mlに調製した。
スライドグラス(MATSUNAMI製、MICRO SLIDE GLASS 白縁磨 1mm厚)表面に、上記SBP-GFP融合タンパク質溶液、R9-GFP融合タンパク質およびGFP溶液をそれぞれ用いて字を書いた。4℃で30分間放置した後、スライドガラスを25mM Tris-HCl pH7.5, 0.5% Tween20, 1M NaCl中に浸して、緩やかに振とうして洗浄した。洗浄開始直後、24時間後、1週間後にスライドグラスを取り出し、イメージアナライザー(Amersham Bioscience)で各タンパク質の結合状態を観察した。
スライドグラス洗浄の前後における蛍光イメージアナライザー(Amersham Bioscience)画像を図7に示した。図7から明らかなように、GFP単独の溶液で書いた字は洗浄直後に完全に消失した。また、R9-GFP融合タンパク質溶液で書いた字も24時間後には洗浄によりほとんど消失した。一方、SBP-GFP融合タンパク質溶液で書いた字は、1週間後も洗浄により消失しなかった。以上の結果より、SBP-GFP融合タンパク質は、R9-GFP融合タンパク質と比較してガラス表面への強力な結合能を有することが確認された。また、SBP-GFPは1週間の洗浄後も活性の低下がほとんど見られていないことから、ガラス上への固定化によるタンパク質の安定化にも寄与していることが考えられる。
〔実施例4:SBP-GFP融合タンパク質のガラス表面への結合実験II〕
上記実施例3と同様に、スライドグラス上にSBP-GFP融合タンパク質溶液およびGFP溶液をそれぞれ塗布し、4℃で30分間放置した後洗浄を開始した。洗浄はスライドガラスを25mM Tris-HCl pH7.5, 0.5% Tween20, 1M NaCl中に浸して、緩やかに振とうすることで行った。洗浄開始直後(0時間)、1、3、5および24時間目にスライドグラスを取り出し、イメージアナライザー(Amersham Bioscience)でSBP-GFP融合タンパク質の結合状態を観察した。
結果を図8に示した。図8から明らかなように、GFP単独では洗浄開始直後に塗布したスポットが消失したが、SBP-GFP融合タンパク質は洗浄を24時間続けても塗布したスポットは消失しなかった。このことより結合が少なくとも24時間継続するという非常に強固なものであることが分かる。
〔実施例5:SBP-Luc融合タンパク質のガラス表面への結合実験〕
(1)SBP-Luc融合タンパク質発現ベクターの構築
既知のluc遺伝子配列より2種のオリゴヌクレオチドプライマーL1:CCGGGTCGACATGGAAGACGCCAAAAAC(配列番号25)およびL2:GTTGCGGCCGCCAATTTGGACTTTCCGCC(配列番号26)を作製し、Luciferase T7 control DNAs(Promega)を鋳型としてPCRを行った。PCR産物を上記pET SBP-GFPの制限酵素サイトSalIおよびNotIに挿入してGFP遺伝子と置き換え、SBP-Luc融合タンパク質発現ベクター(pET SBP-Luc)を構築した。
(2)SBP-Luc融合タンパク質の発現および精製
実施例2(3)に記載の方法で、精製SBP-Luc融合タンパク質を取得した。精製したタンパク質について、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製度を確認したところ、95%以上であった。
(3)精製したSBP-Luc融合タンパク質およびLuciferase(対照)を10nMのタンパク質溶液にそれぞれ調製した。
スライドグラス(MATSUNAMI製、MICRO SLIDE GLASS 白縁磨 1mm厚)表面に、上記SBP-Luc融合タンパク質溶液およびLuciferase溶液をそれぞれ3μLおよび0.6μLずつスポットした。ルシフェラーゼの発光を測定するために基質溶液(2mM ATP, 2mM Luciferin, 120mM Tris-HCl[pH7.4], 16mM MgCl2)を3μL加え、発光を高感度CCDカメラ(Spectral Instrument, Tucson, AZ)により観察した。なお、発光の測定は、タンパク質溶液をスライドグラスにスポットした直後、または、タンパク質溶液をスライドグラスにスポットして5分程度インキュベーション後、スライドグラスを緩衝液(25mM Tris-HCl[pH 8.0], 0.5% Tween20, 1M NaCl)中で洗浄した後に行った。
結果を図9に示した。図中(洗浄前)はスポット直後のルシフェラーゼの発光を示し、(洗浄後)は上記緩衝液中で洗浄した後のルシフェラーゼの発光を示している。図9から明らかなように、スポット直後のルシフェラーゼの発光はSBP-Luc融合タンパク質とLuciferaseとの間に違いは観察されなかったが、洗浄後はSBP-Luc融合タンパク質がスライドグラス上に結合していたのに対し、Luciferaseは全て洗い流されていた。
〔実施例6:配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるシリカ結合タンパク質のシリカ結合ドメイン〕
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるシリカ結合タンパク質の欠損変異体の作製
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるシリカ結合タンパク質のシリカ結合ドメインを調べるために、4種類の部分欠損変異体すなわち、配列番号1の第1位〜第60位からなるタンパク質、配列番号1の第61位〜第202位からなるタンパク質、配列番号1の第203位〜第273位からなるタンパク質、および配列番号1の第1位〜第60位および第203位〜第273位からなるタンパク質に、それぞれGFPを融合させた(図10参照)。
SBP(1-60)-GFP融合タンパク質、SBP(61-202)-GFP融合タンパク質、SBP(203-273)-GFP融合タンパク質発現ベクターをそれぞれ構築するために、配列番号2に示される塩基配列に基づいて、オリゴヌクレオチドプライマーP5:AGTTGAGCTCGTCTGCTTGTGGCCACCACCGA(配列番号27)、P6:CATCGAATTCTGCTTACCGTATTGTTGACTTC(配列番号28)、P7:AGTTGAGCTCGTCAGCATATGCTCAGCATTGC(配列番号29)およびP8:CATCGAATTCTCGCGTTCTGGGTAAAGCAGG(配列番号30)を作製し、上記P3(配列番号21)およびP5、P6およびP7、上記P4(配列番号22)およびP8をそれぞれプライマー対として、大腸菌染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。これらのPCRにより増幅されたDNA断片をそれぞれ上記pET GFPの制限酵素サイトEcoRIおよびSacIに挿入し、pET SBP(1-60)-GFP, pET SBP(61-202)-GFP, pET SBP(203-273)-GFPをそれぞれ構築した。
また、中央部分を欠損させたSBP(1-60, 203-273)とGFPとの融合タンパク質については、上記pET SPB-GFPをテンプレートとしてオリゴヌクレオチドプライマーP9:GTTCTGGGTAAAGCAGGTGC(配列番号31)およびP10:CTGCTTGTGGCCACCACCGC(配列番号32)を用いてインバースPCRを行い、pET SBP(1-60, 203-273)-GFPを構築した。
(2)各欠損変異体-GFP融合タンパク質の発現および精製
実施例2(3)に記載の方法で、精製した各欠損変異体-GFP融合タンパク質を取得した。精製した各タンパク質について、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製度を確認したところ、いずれも95%以上であった。
(3)各欠損変異体-GFP融合タンパク質のシリカに対する親和性(Kd値)の測定
上記実施例2(4)と同様の方法で、SBP(1-60)-GFP、SBP(61-202)-GFP、SBP(203-273)-GFP、およびSBP(1-60, 203-273)-GFPとシリカとの結合量を求め、得られた値からScatchard plot analysisにより親和性(Kd)と最大結合量(Bmax)を求めた。
結果を図10に示した。Kd値から明らかなように、SBP(1-60)-GFPとSBP(203-273)-GFPとはシリカに結合したが、SBP(61-202)-GFPはシリカに結合しなかった。これは、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるシリカ結合タンパク質のシリカ結合ドメインはアミノ酸配列の1〜60とおよび203〜273に局在していることを示している。SBP(1-60)-GFPおよびSBP(203-273)-GFPのKd値はいずれもSBP-GFPより劣っていたが、SBP(1-60, 203-273)-GFPではSBP-GFPのKd値とほとんどと同じであった。この結果はこれら2つのシリカ結合ドメインが協力的に働いて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるシリカ結合タンパク質は強力なシリカ結合能力を持つということを示している。なお、最大結合量についても、SBP(1-60, 203-273)-GFPとSBP-GFPとはほとんど同じであった。
〔実施例7:細胞破砕液から1ステップで目的タンパク質をスライドグラスへ結合させる〕
図11(A)に示すように、SBP-GFP融合タンパク質を発現する大腸菌の培養液(0.2ml)と等量のB-PER細胞溶解液(PIRCE社製)とを混和し、10分後に、13μlの1M Tris-HCl(pH 7.5)および14μlの5M NaClを添加した。この混合液(細胞破砕液)の一部をStampman(日本レーザー電子製)を用いてスライドグラス上にプロットした。その後、スライドグラスを洗浄用バッファー(25 mM Tris-HCl [pH 8.0], 0.5 % Tween 20, 1M NaCl)で洗浄した。
イメージアナライザー(Amersham Bioscience)でスライドグラス上の蛍光を観察した結果を図11(B)に示した。
その後スライドグラス上に結合しているタンパク質をSDSサンプルバッファーでピペッティングにより剥がし、SDS-PAGEに供した。SDS-PAGEの結果を図11(C)に示した。レーン1は上記プロットした細胞破砕液を試料とした結果であり、レーン2は洗浄後のスライドグラスより剥がしたタンパク質を試料とした結果である。図11(C)から明らかなように、洗浄後のスライドグラス上にはSBP-GFP融合タンパク質のみが存在していることが確認された。
すなわち、シリカ結合タンパク質と目的タンパク質との融合タンパク質を精製することなくスライドグラス上にプロットし、洗浄するのみで、プロテインチップが作製できることが実証された。
〔実施例8:ProteinA-SBP融合タンパク質を介して抗体をシリカに結合させる〕
(1)ProteinA-SBP融合タンパク質発現ベクターの構築
既知のproteinA遺伝子配列(ACCESSION:NC_003923 (GeneID: 1004837))より2種のオリゴヌクレオチドプライマーP11:TGCGGATCCTGCGCAACACGATGAAGC(配列番号33)およびP12:TTAGAGCTCAGGTTGTTGTCTTCCTCTTT(配列番号34)を作製し、Staphylococcus aureus subsp. aureus MW2株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。反応はKOD Plus DNAポリメラーゼ(TOYOBO)を用い、同社のプロトコルに従った。PCR産物および発現ベクターpET21-b(Novagen)を制限酵素BamHIおよびSacIにより37℃2時間処理した後、アガロースゲル電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation High(TOYOBO)により16℃2時間ライゲーションし、大腸菌MV1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、pET ProteinAとした。
次にProteinA-SBP発現ベクターの構築を行った。配列番号2に示される塩基配列に基づいて、2種のオリゴヌクレオチドプライマーP13:GTTGTCGACATGGCAGTTGTTAAATGTAA(配列番号35)およびP14: GTTGCGGCCGCTTTGCTACGGCGACGTACG(配列番号36)を作製し、大腸菌K12の染色体を鋳型としてPCRを行った。PCR産物および上記pET ProteinAを制限酵素SalIおよびNotIにより37℃2時間処理した後、アガロースゲル電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation High(TOYOBO)により16℃2時間ライゲーションし、大腸菌MV1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、pET ProteinA-SBPと名付けた。
(2)ProteinA-SBP融合タンパク質の発現および精製
実施例2(3)に記載の方法で、精製ProteinA-SBP融合タンパク質を取得した。精製したタンパク質について、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製度を確認したところ、95%以上であった。
(3)シリカ、ProteinA-SBP融合タンパク質および抗体の結合
抗体には、anti-Pseudomonas aeruginosa, IgG2a(Biogenesis Ltd.社製、商品名:Anti-Pseudomonas aeruginosa, Mouse-Mono (B11)、商品コード:7889-9007)を用いた。
緩衝液(25mM Tris-HCl pH8, 0.5M NaCl, 0.5% Tween20)1ml中に、シリカ(粒径0.8μm、添川理化学株式会社製、商品名:二酸化ケイ素、商品コード:No.90372A)1mg、ProteinA-SBP融合タンパク質(分子量:約55kDa)0.73μg(=13.3pmol)、抗体(分子量:約150kDa)2μg(=13.3pmol)を混合し、試料とした。また、シリカとProteinA-SBP融合タンパク質のみを混合した試料、並びに、シリカと抗体のみを混合した試料も調製した。
調製した試料を4℃で30分転倒混和した後、10,000×gで遠心分離し、上清を捨て、沈殿に上記緩衝液を1ml加え、ボルテックスで溶解した。この洗浄操作を3回繰り返した。洗浄後の沈殿にSDSサンプルバッファー(1%ドデシル硫酸ナトリウム[SDS]、75mM Tris-HCl pH7.5, 10%グリセロール, 1%ベータメルカプトエタノール)20μl加え、100℃で5分間インキュベートした。抽出したタンパク質は一般的なポリアクリルアミド電気泳動法(Laemmli法)により分離した。
なお、バンドの位置およびバンドの濃さを確認するため、ProteinA-SBP融合タンパク質0.73μgのみ、上記抗体2μgのみを20μlのSDSサンプルバッファーに溶解し、それぞれ同量を電気泳動に供した。
結果を図12に示した。レーン1はProteinA-SBP融合タンパク質のみの結果である。レーン2はProteinA-SBP融合タンパク質とシリカ粒子のみの試料の沈殿物の結果である。レーン1と同じ位置に同じ濃さのバンドが存在することから、0.73μg(13.3pmol)のProteinA-SBP融合タンパク質が1mgのシリカ粒子に全て結合していることがわかる。
レーン4は抗体のみの結果であり、H鎖およびL鎖のバンドが存在している。レーン5は抗体とシリカ粒子のみの試料の沈殿物の結果である。抗体のバンドは存在せず、抗体はシリカ粒子に結合していないことがわかる。
レーン3はProteinA-SBP融合タンパク質、抗体およびシリカ粒子を混合した試料の沈殿物の結果である。ProteinA-SBP融合タンパク質のバンド、抗体H鎖のバンドおよび抗体L鎖のバンドが存在している。また、それぞれのバンドはレーン1およびレーン4のバンドの濃さとほぼ同等であることから、2μg(13.3pmol)の抗体が0.73μg(13.3pmol)のProteinA-SBP融合タンパク質を介して1mgのシリカ粒子にほぼ100%結合したことがわかる。
本実施例8の結果より、ProteinA-SBP融合タンパク質を用いれば、抗体の修飾やガラスの修飾を行うことなく、非常に簡便に所望の抗体をガラス表面に固定できることが示された。
〔実施例9:細胞壁結合タンパク質(CWB)-SBP融合タンパク質を用いたスライドガラス上でのバクテリアの検出〕
既知のStaphylococcus aureus atl遺伝子配列(ACCESSION: NC_003923)より2種のオリゴヌクレオチドプライマーP15:CATCGAATTCTAAATTAACAGTTGCTGCAAACAA(配列番号37)およびP16:AGTTGAGCTCGTTAAATCTTTTGCATTTACCCA(配列番号38)を作製し、Staphylococcus aureus subsp. aureus MW2株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。反応はKOD Plus DNAポリメラーゼ(TOYOBO)を用い、同社のプロトコルに従った。PCR産物および発現ベクターpET21-b(Novagen)を制限酵素EcoRIおよびSacIにより37℃2時間処理した後、アガロースゲル電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation High(TOYOBO)により16℃2時間ライゲーションし、大腸菌MV1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、pET CWBとした。
次にCWB-SBP発現ベクターの構築を行った。実施例8で使用した2種のオリゴヌクレオチドプライマーP13(配列番号35)およびP14(配列番号36)により、大腸菌K12の染色体を鋳型としてPCRを行った。PCR産物および上記pET CWBを制限酵素SalIおよびNotIにより37℃2時間処理した後、アガロースゲル電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation High(TOYOBO)により16℃2時間ライゲーションし、大腸菌MV1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、pET CWB-SBPと名付けた。
(2)CWB-SBP融合タンパク質の発現および精製
実施例2(3)に記載の方法で、精製CWB-SBP融合タンパク質を取得した。精製したタンパク質について、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製度を確認したところ、95%以上であった。
(3)スライドガラス上におけるCWB-SBP融合タンパク質および枯草菌(Bacillus subtilis)の結合
枯草菌(Bacillus subtilis)は2×YT培地に植菌し、37℃で一晩培養したものを用いた(OD600=5〜6)。培養液1mlを15000rpmで1分遠心して集菌した後、上清を取り除き、1mlの緩衝液(20mM Tris-HCl pH9)で懸濁した。この洗浄操作を2回繰り返したものを実験に使用した。また、CWB-SBP融合タンパク質(分子量:約80kDa)は上記緩衝液を用いてタンパク質濃度が0.2mg/mlになるように調製し、実験に使用した。
スライドガラス(MATSUNAMI、商品名:MICRO SLIDE GLASS 白縁磨No.1、商品コード:S-1111 )に直径6mmの穴を開けたビニールテープを貼り付け、その穴にCWB-SBP融合タンパク質溶液10μl (2μg)をスポットし、室温で1分間結合させた。余分な液を取り除き、50μlの緩衝液をスポットし、数回ピペッティングして洗浄した。この洗浄操作を2回行った。洗浄後、50μlの菌液をスポットして、10分間室温に置いて結合させた。余分な液を取り除き、先ほどの洗浄操作を3回行った。その後、シールをはがしてスポット部分を位相差顕微鏡で観察した。比較する対象としてCWB-SBP融合タンパク質をスポットせず、B.subtilisのみをスポットしたものも観察した。
結果を図13に示した。CWB-SBP融合タンパク質をスポットしない場合、スライドガラス上で枯草菌をほとんど確認できない。一方、CWB-SBP融合タンパク質が存在すると、スライドガラス一面に枯草菌が固定化されることがわかる。
CWBはグラム陽性菌表面(細胞壁)のペプチドグリカンに結合するタンパク質である。したがって、本実施例9の結果よりCWB-SBP融合タンパク質を用いれば、ガラス上でグラム陽性菌を特異的に検出できることが示された。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
産業上の利用の可能性
本発明は、プロテインチップ、ナノバイオデバイス、修飾ガラスなどの無機有機ハイブリッド素材など広範囲の技術分野に応用することができる。

Claims (12)

  1. 少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質を、酸化ケイ素含有物質に結合させる工程;および
    目的の第2タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合した第1タンパク質に結合させる工程
    を包含し、
    上記第1タンパク質が、rplB遺伝子によってコードされているタンパク質であることを特徴とする、目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法。
  2. 少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質と、目的の第2タンパク質との融合タンパク質を取得する工程;および
    当該融合タンパク質を酸化ケイ素含有物質に結合させる工程
    を包含し、
    上記第1タンパク質が、rplB遺伝子によってコードされているタンパク質であることを特徴とする、目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法。
  3. 上記酸化ケイ素がシリカである、請求項1または2に記載の目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法。
  4. 上記第1タンパク質が、
    配列番号1、3、7、13、15および17のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、並びに、配列番号1、3、7、13、15および17のいずれかに示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    より選択される1種以上のタンパク質であることを特徴とする、請求項3に記載の目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化する方法。
  5. 少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質を含み、
    上記酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質が、rplB遺伝子によってコードされているタンパク質であることを特徴とする、目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤。
  6. 少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得る第1タンパク質と、目的の第2タンパク質との融合タンパク質を含み、
    上記第1タンパク質が、rplB遺伝子によってコードされているタンパク質であることを特徴とする、目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤。
  7. 上記酸化ケイ素がシリカである、請求項5または6に記載の目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤。
  8. 上記少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質(第1タンパク質)が、
    配列番号1、3、7、13、15および17のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、並びに、配列番号1、3、7、13、15および17のいずれかに示されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    より選択される1種以上のタンパク質であることを特徴とする、請求項7に記載の目的のタンパク質を酸化ケイ素含有物質に固定化するための固定化剤。
  9. 少なくとも0.1M以上の塩化ナトリウムを含む溶液中で酸化ケイ素含有物質と結合し得るタンパク質であって、以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質。
    (a)配列番号13に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号13に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号15に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号15に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
    (c)配列番号17に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号17に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質
  10. 請求項9に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  11. 請求項10に記載の遺伝子を含む発現ベクター。
  12. 請求項9に記載のタンパク質と目的のタンパク質との融合タンパク質をコードする融合遺伝子を含む発現ベクター。
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