JP5725462B2 - アスベスト結合タンパク質の利用 - Google Patents
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Description
GatZタンパク質、L1タンパク質、L5タンパク質、S1タンパク質、S4タンパク質、およびS7タンパク質からなる群から選択される1つ以上のタンパク質であるアスベスト結合タンパク質と、標識物質とが結合されてなることを特徴としている。
接触工程後において被検物と結合したアスベスト結合タンパク質を検出する検出工程を含むことを特徴としている。
上記検出工程において、上記フィルターを透明化し、フィルター上に存在するアスベスト結合タンパク質と結合した被検物を観察することを特徴とする方法であってもよい。
接触工程後の試料溶液に含まれる被検物と結合したアスベスト結合タンパク質を検出する検出工程を含むことを特徴とする方法であってもよい。
上記検出工程において、上記フィルターを透明化し、フィルター上に存在するアスベスト検出剤と結合した被検物を観察することを特徴とする方法であってもよい。
本発明にかかるアスベスト結合タンパク質のスクリーニング方法(以下、「本発明のスクリーニング方法」という)をまず説明する。ここで「アスベスト結合タンパク質」とは、アスベストと結合する性質(「結合活性」ともいう)を持ったタンパク質を意味する。タンパク質がアスベストと結合しているかどうかについては、解離定数を検討することによって判断することができる。つまりアスベスト結合タンパク質は、好ましくはアスベストに対する解離定数が100nM以下(より好ましくは50nM以下、最も好ましくは35nM以下)のタンパク質である。アスベスト結合タンパク質の由来は、特に限定されず、細菌、酵母、植物、動物など、いずれの生物に由来するタンパク質であってもよい。
タンパク質を含む試料溶液とロックウールとを接触させる第1接触工程;
第1接触工程後の試料溶液からロックウールと結合したタンパク質を除去する除去工程;
除去工程後の試料溶液とアスベストとを接触させる第2接触工程;
および第2接触工程後の試料溶液からアスベストと結合したタンパク質を単離する単離工程を含むことを特徴としている。
「第1接触工程」は、タンパク質を含む試料溶液とロックウールとを接触させる工程である。
「除去工程」は第1接触工程後のタンパク質試料溶液からロックウールと結合したタンパク質を除去する工程である。タンパク質試料溶液からあらかじめロックウールに結合したタンパク質を除去することができるために、この段階で目的以外のタンパク質を除去することができ、その後に行う工程によって、所望のアスベスト結合タンパク質を検索しやすくすることができる。また、ロックウールに結合し得るタンパク質をあらかじめ除去することによって、従来公知に方法においては試料溶液中の濃度が低いためにバックグランドに隠れて見出すことができなかったアスベスト結合タンパク質を見出すことができる。
「第2接触工程」は除去工程後のタンパク質試料溶液とアスベストとを接触させる工程である。本工程はタンパク質試料溶液とアスベストとを接触させる点において第1接触工程と異なっているが、本工程の具体的な操作の説明については第1接触工程におけるロックウールをアスベストに読み替えればよい。
「単離工程」は第2接触工程後の試料溶液からアスベストと結合したタンパク質を単離する工程である。本単離工程によれば、アスベストと結合した所望のタンパク質を取得することができる。本工程の具体的な実施方法は上記目的が達成され得る方法であれば特に限定されるものではない。例えば本工程においては、まず所望のタンパク質が結合しているアスベストを回収する(「回収操作」)。そして回収されたアスベストから所望のアスベスト結合タンパク質を単離すればよい(「単離操作」)。
(2−1.アスベスト結合タンパク)
本発明は、上記本発明のスクリーニング方法によって得られた全てのアスベスト結合タンパク質を包含する。その具体的なタンパク質は特に限定されるものではない。本発明のアスベスト結合タンパク質としては、例えばGatZタンパク質、L1タンパク質、L5タンパク質、S1タンパク質、S4タンパク質、およびS7タンパク質などが挙げられる。
本発明にかかるアスベスト検出剤は上記アスベスト結合タンパク質と、標識物質とが結合されてなることを特徴としている。上記標識物質とは、アスベスト結合タンパク質を用いてアスベストを検出する際に、アスベストに結合したタンパク質を検出するための物質のことを意味する。よって、上記標識物質はタンパク質の検出用の標識として公知の物質を適宜利用し、その物質に応じた標識方法でアスベスト結合タンパクに結合させればよい。現在タンパク質を標識するためのキットが市販されている。本発明のアスベスト検出剤はアスベスト結合タンパク質を市販のキットを用いて標識することによって製造され得る。
本発明にかかるアスベストの検出方法は、
アスベスト結合タンパク質と、被検物とを接触させる接触工程;
および接触工程後において被検物と結合したアスベスト結合タンパク質を検出する検出工程を含むことを特徴としている。上記アスベスト結合タンパク質はアスベスト検出剤と置換可能である。本発明にかかるアスベストの検出方法に利用可能なアスベスト結合タンパク質およびアスベスト検出剤については「2.本発明のアスベスト結合タンパク質およびアスベスト検出剤」の項で説明したとおりである。なお、本発明にかかるアスベストの検出方法は、上記の工程以外の工程が含まれていてもよい。例えば、上記接触工程の前に、測定環境中の空気をフィルターでろ過して被検物を捕集する捕集工程が含まれていてもよい。
「接触工程」はアスベスト結合タンパク質と、被検物とを接触させる工程である。上記「被検物」は、アスベストが含まれているかどうかを検出する対象物を意味する。被検物としては、モルタル、ロックウールなどの建材、蛇紋石などの鉱石、アスベストを検出しようとする環境中の空気や水などをサンプリングしたもの、アスベストを含み得る喀痰などの生体試料、などが挙げられる。アスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)と被検物との接触させる方法は特に限定されるものではないが、両者を効率よく接触させることができるために液体中で接触させることが好ましい。この場合、アスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)を含む溶液に被検物を添加しそれを十分に混和してもよいし、逆に被検物を含む懸濁液にアスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)を添加しそれを十分に混和してもよい。またアスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)を含む溶液と被検物を含む懸濁液とを混合し、それを十分に混和してもよい。なおアスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)と被検物とを含む液体を混和する条件はについては、両者がよく混和する条件であれば特に限定されるものではなく、適宜検討の上、好ましい条件を採用すればよい。
「検出工程」は接触工程後において被検物と結合したアスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)を検出する工程である。本工程では、アスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)に接触させた被検物を回収する(「回収操作」)。そして回収された被検物に対して所定の操作を行うことによって被検物と結合したアスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)を検出する(「検出操作」)。検出操作によって被検物においてアスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)が検出されれば、被検物中にアスベストが存在していると判断できる。
(4−1.アスベスト検出キット)
本発明にかかるアスベスト結合タンパク質(または本発明にかかるアスベスト検出剤)によって、アスベストを検出するためのキット(「アスベスト検出キット」という)を構成することができる。上記アスベスト検出キットには少なくとも上記アスベスト結合タンパク質およびアスベスト検出剤のいずれか1つ以上が含まれていればよいが、その他の構成が含まれていてもよい。例えば、アスベスト結合タンパク質またはアスベスト検出剤を検出するための試薬(「検出試薬」という)、サンプリングのためのフィルター、試料を懸濁するための溶液、洗浄操作に用いられる洗浄液、被検物とアスベスト結合タンパク質(アスベスト検出剤)との結合体からアスベスト結合タンパク質を溶出させるための溶液(例えば上述のMgCl2など)等が挙げられる。検出試薬としては、例えばアスベスト結合タンパク質と特異的に結合する抗体や、アスベスト検出剤に結合している標識物質を検出し得る試薬(例えば発光基質、蛍光基質、ATP等)などが挙げられる。本発明にかかるアスベスト検出キットは、本発明のアスベストの検出方法を実施するための構成がキット化されたものであり、その具体的な構成に関する説明は上述の「3.本発明のアスベストの検出方法」の項を参照することができる。
上述のとおり、本発明にかかるアスベスト結合タンパク質のスクリ−ニング方法によれば、クリソタイルのみに結合するタンパク質、アモサイトのみに結合するタンパク質、クロシドライトのみに結合するタンパク質、トレモライトのみに結合するタンパク質、アンソフィライトのみに結合するタンパク質、アクチノライトのみに結合するタンパク質、並びに、クロシドライ、アモサイト、クリソタイル、トレモライト、アンソフィライト、およびアクチノライトからなる群から選択される1つ以上のアスベストに結合するタンパク質を取得することができる。また、本発明にかかるアスベスト結合タンパク質のスクリーニング方法によれば、クロシドライ、アモサイト、およびクリソタイルの全てに結合するタンパク質、クリソタイルとアモサイトとに結合しクロシドライトに結合しないタンパク質、クリソタイルとクロシドライトとに結合しアモサイトに結合しないタンパク質、クロシドライとアモサイトとに結合しクリソタイルに結合しないタンパク質も取得することができる。
タンパク質を含む試料溶液とロックウールとを接触させる第1接触工程;
第1接触工程後の試料溶液からロックウールと結合したタンパク質を除去する除去工程;
除去工程後の試料溶液とアスベストとを接触させる第2接触工程;
および第2接触工程後の試料溶液からアスベストと結合したタンパク質を単離する単離工程を含むことを特徴としている。
および接触工程後において被検物と結合したアスベスト結合タンパク質を検出する検出工程を含むことを特徴としている。
上記検出工程において、上記フィルターを透明化し、フィルター上に存在するアスベスト結合タンパク質と結合した被検物を観察することを特徴とするアスベストの検出方法であってもよい。
および接触工程後の試料溶液に含まれる被検物と結合したアスベスト結合タンパク質を検出する検出工程を含むことを特徴とする方法であってもよい。
上記検出工程において、上記フィルターを透明化し、フィルター上に存在するアスベスト検出剤と結合した被検物を観察することを特徴とするアスベストの検出方法であってもよい。
アスベスト結合タンパク質によるアスベスト検出の検出感度を向上させるべく、まず大腸菌由来アルカリホスファターゼ(以下「BAP」)と、子牛由来アルカリホスファターゼ(以下「CIP」)とのアルカリホスファターゼ活性を比較した。
BAP(東洋紡社製)およびCIP(東洋紡社製)を希釈していき検出限界の酵素量を求め、検出限界の酵素量が低いものほどアルカリホスファターゼ酵素活性が高いと評価した。また同時にBAPで標識されたDksA(特許文献1参照)も同時に実験を行った。BAPで標識されたDksAを「DksA−BAP」と表記する。
その結果を図1に示す。アルカリホスファターゼ活性が最も高かったものは、CIPであり、その検出限界の酵素量は10fg(10-14g)であった。次いで、BAPであり、その検出限界の酵素量は1pg(10-12g)であった。DksA−BAPの検出限界の酵素量は、10pg(10-11g)であった。すなわちDksA−BAPは、BAPよりアルカリホスファターゼ活性が10分の1程度であり、DksAと融合することにより活性が低下していると考えられる。
DksA−CIPを作製するために、Alkaline Phosphatase Labeling Kit-NH2 (同仁化学研究所)を用いた。このキットは、N-hydroxysuccinimide(NHS)活性化エステル基を用いることで、目的タンパク質をCIPで標識することができる。このキットを用いてDksAにCIPを結合させDksA−CIPを作製した。この方法で作製したDksA−CIPはNH基を介して結合しているため、特に「DksA−NH−CIP」と表記する。
参考例2で作製したDksA−NH−CIPとDksA−SA−CIPとについてクリソタイルの検出感度について評価を行った。
チューブ内であらかじめクリソタイルとDksA−CIP(DksA−NH−CIPまたはDksA−SA−CIP)とを結合させ、その後は参考例1の方法と同様にして検出限界濃度を調べた。具体的には以下のようにした。
その結果を図2に示す。DksA−NH−CIPを用いることで10pg(10-11g)のクリソタイルを検出することができた。DksA−SA−CIPも、DksA−NH−CIPと同等の10pg(10-11g)のクリソタイルを検出することができた。これに対して、DksA−BAPを用いた場合、検出できるクリソタイルは1ng(10-9g)であった。
DksA−CIPを用いて、フィルター上のクリソタイル検出を行った場合の検出感度を検討した。
フィルター上の発光を検出できる装置:ATPアナライザ(東亜ディーケーケー社)を用いて、フィルター上のクリソタイルの検出を行った。まず、直径25mmのメンブレンフィルター(HT-450 Tuffryn、ポール社)に各量のクリソタイルをトラップし、その上をDksA−SA−CIP溶液(DksA−SA−CIP 0.01μg/200μl Triss緩衝液)で覆い、室温で5分間結合させた。さらに、Tris緩衝液で3回洗浄したフィルターに発光基質Immobilon western(ミリポア社)を加えて室温で1分間反応後、ATPアナライザ(東亜ディーケーケー社)で発光値を測定した。
その結果を図3に示す。DksA−CIPおよび発光基質Immobilon western(ミリポア社)を用いることで、わずかな差であるが0.01μgのクリソタイルを検出することが可能であった。DksA−BAPおよび発光基質BCIP(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-phosphate)およびNBT(nitro blue tetrazolium)を用いた場合のクリソタイルの検出感度は0.4〜1μgであったことから(データを省略する)、DksAの標識物質をBAPからCIPに変更することによってフィルター上のクリソタイルの検出感度を40〜100倍上昇させることができるということがわかった。
クリソタイル、アモサイト、クロシドライトに結合するタンパク質を探索するとともに、アスベストの代替品として使用されているロックウールには結合しないタンパク質を探索した。
(1)使用菌株
大腸菌(Escherichia coli)K12(ATCC 700926)を用いた。以下、「K12株」と表記する。
K12株を2×YT培地で37℃で一晩培養した培養液を、新しいLB培地に1体積%植菌し、28℃で6時間培養した。培養後の菌体を遠心分離により集菌した後、50mM Tris-HCl pH 7.5、10%(w/v)スクロースで縣濁した。菌体懸濁液を凍結融解した後、250μg/mlになるようにリゾチームを加え、30分間氷上に静置した。37℃で5分間反応後、再び氷上に10分間静置し、菌体懸濁液の粘性がなくなるまで超音波破砕(Branson,CT, USA)を行った。その後、菌体懸濁液を20,000×g、15分間遠心分離に供し、得られた上清を細胞破砕液として用いた。
得られた細胞破砕液のタンパク質濃度が1mg/mlになるようにTris緩衝液(25mM Tris-HCl pH7.5、0.5%(w/v)Tween20(登録商標)、0.1M NaCl)で希釈した。調製した溶液10mlに1gのロックウール(清水建設株式会社)を加え、4℃で30分間転倒混和した。上記溶液を遠心分離(10,000×g、3分間)に供した後、得られた上清をフィルター(ポアサイズ0.45μm、PVDFフィルター、ミリポア社)に通してロックウールを完全に除去した。
ポリアクリルアミド電気泳動法により分離したタンパク質を、ポリフッ化ビニリデン膜(PVDF膜)にトランスファーした。PVDF膜をクマシーブリリアントブルー(CBB)で染色した後、目的タンパク質のバンドを切り出した。PVDF膜片を100%アセトニトリルに浸した後、100mM酢酸、0.5%(w/v)ポリビニルピロリドンK−30、1%(w/v)メチオニン溶液を含む溶液100μl中で、37℃、30分間反応させた。PVDF膜片を超純水1mlで10回洗浄後、さらに50mM 重炭酸アンモニウム、5%(v/v)アセトニトリル100μlで3回洗浄した。0.5μg/mlのトリプシン溶液(50mM 重炭酸アンモニウム、5%(v/v)アセトニトリル)20μl中で、37℃、24時間消化した。トリプシン消化物の脱塩にはZipTipC18(ミリポア社製)を使用した。脱塩方法は付属のプロトコルに従った。脱塩されたサンプルをマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析計(BiflexIV:ブルカーダルトニクス)を用いてマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF−MS)により分析し、ペプチドマスフィンガープリント解析によりタンパク質およびそれをコードする遺伝子を同定した。同定したタンパク質のアミノ酸配列はデータベース(DDBJ)から取得した。また、同定したタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列もデータベース(DDBJ)から取得した。
SDS−PAGEの結果を図4に示す。図4におけるレーン1はK12株の細胞破砕液、レーン2はロックウールと結合したタンパク質、レーン3はクリソタイルと結合したタンパク質、レーン4はクロシドライトと結合したタンパク質、およびレーン5はアモサイトと結合したタンパク質の結果を示す。図4のSDS−PAGEにおいて、ロックウールに結合せずにクリソタイル、アモサイト、およびクロシドライトのいずれか一つ以上と結合すると判断されたタンパク質を同定したところ、S1タンパク質、GatZタンパク質、L1タンパク質、S4タンパク質、L5タンパク質、およびS7タンパク質が見出された。
(1)GatZタンパク質発現ベクターの構築、およびGatZタンパク質とBAPとの融合タンパク質(GatZ−AP)発現ベクターの構築
K12株のゲノムDNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプライマーP1(CATCGAATTCTATGAAAACGTTAATTGCCCGG、配列番号13)およびオリゴヌクレオチドプライマーP2(AGTTGAGCTCGTTTCCGCACAGCCGTAGCGAT、配列番号14)を用いてPCRを行うことによってGatZをコードする遺伝子を増幅した。PCR反応は、KOD Plus DNAポリメラーゼ(TOYOBO社)を用い、同社のプロトコルに従って行われた。PCR増幅産物および発現ベクターpET21-b(Novagen社)を制限酵素EcoRIおよびSacIにより37℃、2時間処理した後、アガロースゲル電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation High(TOYOBO社)を用い、16℃、2時間ライゲーションし、大腸菌MV1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、これを「pETGatZ」と命名した。
pETGatZ−APで形質転換した大腸菌 Rosetta-gamiBTM(DE3) pLysS (Novagen社)を、2×YT培地で37℃一晩培養し、新しい2×YT培地に1%(v/v)植菌した。OD600が0.6になるまで28℃で培養後、終濃度が0.2mMになるようにIPTG(isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside)を添加し16時間培養を行った。培養液を遠心分離することによって集菌した。得られた菌体ペレットに500μlの緩衝液(25mM Tris-HCl pH7.5,50mM NaCl, 10% glycerol)を加えて縣濁し、超音波により破砕を行った。得られた細胞破砕液を、Histrap FF column (GE Helthcare Bioscience, Chalfont St Giles, UK)に供し、C末端にヒスチジンタグを有するGatZ−APを当該カラムに吸着させた。Histrap FF columnに吸着したGatZ−APを、緩衝液(25mM Tris-HCl pH 7.5、0.5 M imidazole、10% glycerol)で溶出させた。取得したGatZ−APについて、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製度を確認したところ、95%以上であった。
実施例1で同定したアスベスト結合タンパク質がアスベストにどの程度結合するかを調べた。
蛍光タンパク質または蛍光物質で標識されたアスベスト結合タンパク質をアスベストと接触させた後、蛍光顕微鏡で観察を行った。S1タンパク質およびL5タンパク質については、緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質を下記のようにして作製した。またGatZタンパク質については下記の通り、フルオレセインでラベルを行った。
既知のgfp遺伝子配列(ACCESSION No.U62636: cloning vector pGFPuv)に基づいて、2種のオリゴヌクレオチドプライマーP5(AGAAAAGCTTAGTAAAGGAGAAGAACTTTTCACT、配列番号17)およびP6(TCATGCGGCCGCAAGCTCATCCATGCCATGTGTA、配列番号18)を作製し、pGFPuvベクター(clontech社)を鋳型としてPCRを行った。反応はKOD Plus DNAポリメラーゼ (東洋紡社)を用い、同社のプロトコルに従って行なわれた。PCR産物および発現ベクターpET21-b(Novagen社)を、制限酵素NotIおよびHindIIIにより37℃2時間処理した後、アガロース電気泳動を行った。アガロースゲルから切り出されたそれぞれのDNA断片をLigation high(東洋紡社)により16℃2時間ライゲーションし、大腸菌MW1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、「pETGFP」と命名した。
L5をコードする遺伝子は、K12株のゲノムDNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプライマーP9(GCTAGCATGGCGAAACTGCATGATTAC、配列番号21)およびオリゴヌクレオチドプライマーP10(AAGCTTCTTGCGGAACGGGAAGTCAAAGGCAGC、配列番号22)を用いてPCRを行うことによって取得された。反応はKOD Plus DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を用い、同社のプロトコルに従って行なわれた。PCR増副産物およびpETGFPを制限酵素NheIおよびHindIIIにより37℃、2時間処理した後、アガロース電気泳動を行った。ゲルから切り出したそれぞれのDNA断片をLigation high(東洋紡社)により16℃30分ライゲーションし、大腸菌MW1184株に形質転換した。得られたコロニーから目的のDNA断片が挿入されたプラスミドを抽出し、これを「pETL5−GFP」とした。
GatZタンパク質をフルオレセインで標識をした。22nmolのGatZタンパク質を200μlの50mM NaClおよび10%(w/v)グリセロールを含む25mM HEPES緩衝液(pH7.4)に溶解した。10μlの25mg/ml フルオレセイン-5-マレイミド/ジメチルホルミアミドを前記溶液に添加後、暗所、室温で2時間静置した。前記反応後の溶液はゲルろ過にて未結合のフルオレセインを除去することによって精製された。色素(495nmにおけるフルオレセインのモル吸光係数:68,000 M-1cm-1)のモル濃度、およびGatZタンパク質タンパク質のモル濃度(280nmにおけるGatZタンパク質のモル吸光係数:52,630M-1cm-1)それぞれを求め、GatZタンパク質に対する標識効率を見積もった。そしてフルオレセインによるGatZタンパク質の標識度を計算した。上記条件で標識を行った結果、GatZタンパク質1molに対して1.8molのフルオレセインが結合していた。
蛍光タンパク質または蛍光物質で標識されたタンパク質(S1−GFP、L5−GFP、またはGatZ−fluorescein)0.5μgを100μlの緩衝液(25mM Tris-HCl (pH 7.5)、0.5M NaCl、0.1% CHAPS)に溶解した溶液に、10μgのアスベスト(クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、アクチノライト、アンソフィライト、またはトレモライト)またはロックウールを添加し混合した。室温で10分間インキュベートした後、3μlの溶液をスライドガラス(MATSUNAMI製、MICRO SLIDE GLASS 白縁磨 1mm厚)にスポットして蛍光顕微鏡(落射蛍光顕微鏡BX-60、オリンパス社製)および位相差顕微鏡で観察を行った。蛍光観察にはU-MNIBAキューブ(ダイクロイックミラー:DM505、励起フィルター:BP470-490、吸収フィルター:BA515IF)を用い、画像の取り込みには顕微鏡デジタルカメラDP70(OLYMPUS)を使用した。
その結果を図5にクロシドライトを検出した結果を示す。S1−GFP、L5−GFP、およびGatZ−fluoresceinのいずれを用いた場合であっても、クロシドライトを検出することが可能であった。特にGatZ−fluoresceinを用いた場合、高感度にクロシドライトを検出することができた。
(方法)
GatZ−fluoresceinを所定の濃度となるように1mlのTris緩衝液(25mM Tris-HCl pH7.5, 0.5% Tween20(登録商標), 0.3M NaCl)に希釈した。前記希釈液に0.1mgアスベスト(クリソタイル、クロシドライト、またはアモサイト)を添加し混合した。前記溶液を、4℃で30分間転倒混和後、遠心分離に供しアスベストを沈殿させた。アスベストに結合したGatZ−fluoresceinの量を溶液中の蛍光強度の減少によって測定した。蛍光強度の測定はSpectorofluorometer FP-6500 (JASCO社)を用い、励起波長491nm、発光波長518nmで実施された。
図7にスキャッチャードプロットの結果を示す。図7の(a)はアスベストとしてクリソタイルを用いた場合の結果、(b)はアスベストとしてクロシドライトを用いた場合の結果、(c)はアスベストとしてアモサイトを用いた場合の結果を示す。図7の結果によれば、GatZタンパク−fluoresceinのクリソタイルに対する解離定数Kdは31.3nMであり、アモサイトに対する解離定数Kdは22.3nMであり、クロシドライトに対する解離定数Kdは13.9nMであった。またクリソタイル1mgに結合するGatZタンパク−fluoresceinの最大結合量は155μgであり、クロシドライト1mgに結合するGatZタンパク−fluoresceinの最大結合量は22.3μgであり、アモサイト1mgに結合するGatZタンパク−fluoresceinの最大結合量は13.6μgであった。
(方法)
クリソタイル、クロシドライトまたはアモサイトを1%(w/w)混合させた10mgのロックウールを、100μlの緩衝液(25mM Tris-HCl (pH 7.5)、0.3M NaCl、0.5% Tween20(登録商標))にマイクロチューブ中で懸濁させた。10,000g で3分間遠心分離を行った後、上清を除去した。沈殿物を100μlの緩衝液(25mM Tris-HCl (pH 7.5)、0.3M NaCl、0.5% Tween20(登録商標))に懸濁し3分間穏やかに混和した。1μgのGatZ−APを100μlの緩衝液(25mM Tris-HCl (pH 7.5)、0.3M NaCl、0.5% Tween20(登録商標))に添加し10分間穏やかに混和した。500μlの緩衝液(25mM Tris-HCl (pH 7.5)、0.3M NaCl、0.5% Tween20(登録商標))で遠心洗浄を3回行い、最終的に沈殿物を50μlの溶出バッファー(25mM piperidine-NaOH (pH12)緩衝液、または1M MgCl2を含む25mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5))に懸濁した。10,000×gで3分間遠心分離を行い、上清を新しいマイクロチューブに移した。上清に50μlの発色基質(BCIP/NBT、MOSS, INC)を25℃で混合し30分間反応させた。
結果を図8に示す。図8(a)は25mM piperidine-NaOH(pH12)緩衝液で溶出を行った溶出液と発光基質とを反応させた溶液を示し、1はロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果、2は1%(w/w)のクリソタイルを混合したロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果、3は1%(w/w)のクロシドライトを混合したロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果、4は1%(w/w)のアモサイトを混合したロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果である。図8(b)は1M MgCl2を含む25mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で溶出を行った溶出液と発光基質とを反応させた溶液を示し、1はロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果、2は1%(w/w)のクリソタイルを混合したロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果、3は1%(w/w)のクロシドライトを混合したロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果、4は1%(w/w)のアモサイトを混合したロックウールとGatZ−APとを接触させた場合の結果である。
(方法)
直径25mmのメンブレンフィルター(セルロースアセテート、ミリポア社)にクリソタイル0.2μgをトラップし、GatZ-fluoresceinを緩衝液(Tris-HCl(pH7.8)、300mM NaCl, 0.01%CHAPS)に2.5μg/mlの濃度で溶解した溶液をメンブレンフィルターに対して10μl添加して結合させた。室温、暗所で一時間放置して完全に乾燥させた後、フィルターをスライドガラス(MATSUNAMI製、MICRO SLIDE GLASS 白緑磨 1mm厚)にのせ、QuickFix(R.J. Lee instrument, LTd)を用いてアセトン蒸気をメンブレンフィルターにかけ、メンブレンフィルターを透明化した。
その結果を図9に示す。図9(a)は位相差顕微鏡像であり、(b)は蛍光顕微鏡像である。メンブレンフィルターを透明化することにより、位相差顕微鏡での試料全体の観察と、蛍光顕微鏡によるクリソタイルの特異的な観察とが同視野で可能となる。それゆえ、アスベスト以外の物質が含まれる試料におけるアスベストの特定が可能となる。
(方法)
0.1mgのアスベスト(クリソタイルまたはクロシドライト)、または10mgの建材(ロックウール、シリカ粒子、石膏)を、100μlの25mM Citrate-NaOH (pH3.5)、 25mM Tris-HCl(pH7.8)、または25mM Glycine-NaOH(pH9.5)の緩衝液(50mM NaCl、0.02%CHAPS)にマイクロチューブ中で懸濁し、3分間穏やかに混和した。これに2μgのGatZ−APを含む100μlの緩衝液(25mM Citrate-NaOH (pH3.5)、 25mM Tris-HCl(pH7.8)、または25mM Glycine-NaOH(pH9.5)の緩衝液(50mM NaCl、0.02%CHAPS) )を添加して10分間穏やかに混和した。結合させる時と同じ緩衝液500μlで遠心洗浄を2回行い、最終的に沈殿物を100μlの25mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液に懸濁した。この溶液50μlと発光基質CDP-Star(GE Helthecare Bioscience, Chalfont St Giles, UK)50μlとを25℃で混合し、5分間反応後、発光検出器ARVO sx-1420マルチラベルカウンターで検出を行った。
(結果)
その結果を図10に示す。GatZ−APはクロシドライトに対してpH3.5で最も結合し、pH7.8で結合量が下がり、pH9.5で最も結合量が少なかった。またGatZ−APはクリソタイル、シリカ粒子、石膏に対しては、pH9.5で最も結合し、pH7.8で結合量が下がり、pH3.5で最も結合量が少なかった。
(方法)
0.1mgのクリソタイル、クロシドライト、アモサイト、アクチノライト、または0.25mgのトレモライト、アンソフィライト、または10mgのロックウール、シリカ粒子、セメント、石膏を、400μlの緩衝液(25mM Citrate-NaOH (pH3.5)、50mM NaCl、0.02%CHAPS)にマイクロチューブ中で懸濁し、3分間穏やかに混和した。4μgのGatZ−APを添加して10分間穏やかに混和した。結合させる時と同じ緩衝液500μlで遠心洗浄を2回行い、最終的に沈殿物を100μlの溶出緩衝液(100mM Glycine-NaOH(pH9.5)、0.1%CHAPS)に懸濁し、3分間穏やかに混和した。10,000×gで3分間遠心を行い、上清40μlを新しいマイクロチューブに移した。その上清に、1M Tris-HCl(pH7.8)を20μl添加してpH7.8に調整後、40μlの発色基質BCIP/NBT(MOSS, INC)を25℃で混合し30分間反応させた。
その結果を図11に示す。建材として使用されている可能性の高いロックウール、シリカ粒子、セメント、石膏にGatZ−APを接触させ溶出した溶液と発色基質とは反応せず、角閃石系のアスベスト(クロシドライト、アモサイト、トレモライト、アンソフィライト、アクチノライト)にGatZ−APを接触させ溶出した溶液と発色基質とは反応した。
(方法)
0.1mgのクリソタイルまたは0.3mgクロシドライトを、100μlの緩衝液(25mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM NaCl、0.5%Tween20)にマイクロチューブ中で懸濁し、1分間穏やかに混和した。1μgのGatZ−APまたはL5−APを含む100μlの緩衝液(25mM Tris-HCl(pH7.5)、300mM NaCl、0.5%Tween20)を添加して10分間穏やかに混和した。結合させる時と同じ緩衝液200μlで遠心洗浄を2回行った。最終的に沈殿物を50μlの溶出液(Tris-HCl(pH8.5)、0.1、0.3、0.5、1.0、2.0M MgCl2または1.0M CaCl2)を添加して5分間混和した。遠心して上清40μlと発色基質BCIP/NBT(MOSS、INC)とを25℃で混合し、30分間反応させた。
その結果を図12に示す。図12(a)は0.1mgのクリソタイルとGatZ−APとを接触させた後、MgCl2またはCaCl2を含む溶出液で溶出した結果を示し、(b)は0.3mgのクロシドライトとGatZ−APとを接触させた後、MgCl2またはCaCl2を含む溶出液で溶出した結果を示し、(c)は0.1mgのクロシドライトとL5−APとを接触させた後、MgCl2またはCaCl2を含む溶出液で溶出した結果を示す。
(方法)
実施例9の方法に準じて、GatZ−APを0.1mgのクリソタイルに結合させ、0、0.1、0.3、0.5、1.0MのCaCl2を含む溶液で溶出した。
GatZ−APを0.1mgのクリソタイルに結合させ、0、0.1、0.3、0.5、1.0MのCaCl2を含む溶液で溶出した結果を図13(a)に示す。
Claims (18)
- GatZタンパク質、L1タンパク質、L5タンパク質、S1タンパク質、S4タンパク質、およびS7タンパク質からなる群から選択される1つ以上のタンパク質であるアスベスト結合タンパク質と、標識物質とが結合されてなることを特徴とするアスベスト検出剤。
- 上記標識物質は、蛍光物質、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、ジアホラーゼ、およびパーオキシダーゼからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のアスベスト検出剤。
- 上記アルカリホスファターゼは、子牛由来アルカリホスファターゼである請求項2に記載のアスベスト検出剤。
- GatZタンパク質、L1タンパク質、L5タンパク質、S1タンパク質、S4タンパク質、およびS7タンパク質からなる群から選択される1つ以上のタンパク質であるアスベスト結合タンパク質と、被検物とを接触させる接触工程;および
接触工程後において被検物と結合したアスベスト結合タンパク質を検出する検出工程を含むことを特徴とするアスベストの検出方法。 - 上記接触工程において、アスベスト結合タンパク質と被検物とを酸性溶液中で接触させることを特徴とする請求項4に記載のアスベストの検出方法。
- 上記検出工程において、被検物とアスベスト結合タンパク質との結合体から、アスベスト結合タンパク質を溶出し、当該アスベスト結合タンパク質を検出することを特徴とする請求項4または5に記載のアスベストの検出方法。
- 上記検出工程において、被検物とアスベスト結合タンパク質との結合体から、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、およびアクチノライトからなる群から選択される1つ以上のアスベストに結合したアスベスト結合タンパク質を、0.3M以上の2価の金属イオンを含む溶液を用いて溶出し、当該アスベスト結合タンパク質を検出することを特徴とする請求項4または5に記載のアスベストの検出方法。
- 上記検出工程において、被検物とアスベスト結合タンパク質との結合体から、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、およびアクチノライトからなる群から選択される1つ以上のアスベストに結合したアスベスト結合タンパク質を、アルカリ性溶液を用いて溶出し、当該アスベスト結合タンパク質を検出することを特徴とする請求項4または5に記載のアスベストの検出方法。
- 上記接触工程の前に、フィルターで被検物を捕集する捕集工程をさらに含み、
上記検出工程において、上記フィルターを透明化し、フィルター上に存在するアスベスト結合タンパク質と結合した被検物を観察することを特徴とする請求項4または5に記載のアスベストの検出方法。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアスベスト検出剤と、被検物とを接触させる接触工程;および
接触工程後の試料溶液に含まれる被検物と結合したアスベスト結合タンパク質を検出する検出工程を含むことを特徴とするアスベストの検出方法。 - 上記接触工程において、アスベスト検出剤と被検物とを酸性溶液中で接触させることを特徴とする請求項10に記載のアスベストの検出方法。
- 上記検出工程において、被検物とアスベスト検出剤との結合体から、アスベスト検出剤を溶出し、当該アスベスト検出剤を検出することを特徴とする請求項10または11に記載のアスベストの検出方法。
- 上記検出工程において、被検物とアスベスト検出剤との結合体から、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、およびアクチノライトからなる群から選択される1つ以上のアスベストに結合したアスベスト検出剤を溶出し、当該アスベスト検出剤を検出することを特徴とする請求項10または11に記載のアスベストの検出方法。
- 上記検出工程において、被検物とアスベスト検出剤との結合体から、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、およびアクチノライトからなる群から選択される1つ以上のアスベストに結合したアスベスト結合タンパク質を、0.3M以上の2価の金属イオンを含む溶液を用いて溶出し、当該アスベスト検出剤を検出することを特徴とする請求項10または11に記載のアスベストの検出方法。
- 上記検出工程において、被検物とアスベスト検出剤との結合体から、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、およびアクチノライトからなる群から選択される1つ以上のアスベストに結合したアスベスト結合タンパク質を、アルカリ性溶液を用いて溶出し、当該アスベスト検出剤を検出することを特徴とする請求項10または11に記載のアスベストの検出方法。
- 上記接触工程の前に、フィルターで被検物を捕集する捕集工程をさらに含み、
上記検出工程において、上記フィルターを透明化し、フィルター上に存在するアスベスト検出剤と結合した被検物を観察することを特徴とする請求項10または11に記載のアスベストの検出方法。 - GatZタンパク質、L1タンパク質、L5タンパク質、S1タンパク質、S4タンパク質、およびS7タンパク質からなる群から選択される1つ以上のタンパク質であるアスベスト結合タンパク質を含むことを特徴とするアスベスト検出キット。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアスベスト検出剤を含むことを特徴とするアスベスト検出キット。
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