JP5186249B2 - 新規な化合物およびその製造方法、酸発生剤、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents

新規な化合物およびその製造方法、酸発生剤、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物およびその製造方法、酸発生剤、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジストが知られている。
従来、このような化学増幅型レジストの基材成分としては主に樹脂が用いられており、例えばポリヒドロキシスチレン(PHS)やその水酸基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂等のPHS系樹脂、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される共重合体やそのカルボキシ基の一部を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂等が用いられている。
なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
化学増幅型レジストにおいて使用される酸発生剤としては、これまで多種多様のものが提案されており、たとえばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤などが知られている(たとえば特許文献1参照)。
特開2003−241385号公報
上述のようなオニウム塩系酸発生剤としては、現在、アニオン部(酸)として、パーフルオロアルキルスルホン酸イオンを有するものが一般的に用いられている。
しかし、このようなオニウム塩系酸発生剤は、その構造上、アルカリ現像液に対する親和性が低く、また、レジスト膜内での分布が均一になりにくく、解像性等のリソグラフィー特性に悪影響を与えるおそれがある。
また、上記アニオン部のパーフルオロアルキル鎖は、露光後の酸の拡散を抑制するためには長い方が好ましいと考えられるが、炭素数6〜10のパーフルオロアルキル鎖は難分解性である。そのため、生体蓄積性を考慮した取り扱いの安全のために、炭素数4以下のパーフルオロアルキルスルホン酸イオン、たとえばノナフルオロブタンスルホン酸イオン等が用いられている。
そのため、レジスト組成物用の酸発生剤としてより有用なアニオン部を有するオニウム塩系化合物に対する要求がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物およびその製造方法、酸発生剤、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物であって、
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(b1−1)で表される化合物(ただし、樹脂成分は除く。)からなる酸発生剤(B1)を含むことを特徴とするレジスト組成物である。
Figure 0005186249
[式中、Rは置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいモノシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいポリシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基であり;Rはアルキレン基であり;Yは炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基であり;Zは有機カチオン(ただし下記一般式(w−1)で表されるイオンを除く。)である。]
Figure 0005186249
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。]
本発明の第二の態様は、支持体上に、前記第一の態様のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明の第三の態様は、下記一般式(b1−1)で表される化合物(以下、化合物(b1−1)という。)である。
Figure 0005186249
[式中、Rは置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいモノシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいポリシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基であり;Rはアルキレン基であり;Yは炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基であり;Zは有機カチオン(ただし下記一般式(w−1)で表されるイオンを除く。)である。]
Figure 0005186249
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。]
本発明の第四の態様は、下記一般式(b0−01)で表される化合物(b0−01)と、下記一般式(b0−02)で表される化合物(b0−02)とを反応させることにより下記一般式(b1−1)で表される化合物(b1−1)を得る工程を含む化合物の製造方法(以下、化合物(b1−1)の製造方法という。)である。
Figure 0005186249
[式中、Rは置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいモノシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいポリシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基であり;Rはアルキレン基であり;Yは炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基であり;Wはアルカリ金属イオンまたは下記一般式(w−1)で表されるイオンであり;Zは有機カチオン(ただし下記一般式(w−1)で表されるイオンを除く。)であり、Aは非求核性アニオンである。]
Figure 0005186249
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。]
本発明の第五の態様は、前記第三の態様の化合物からなる酸発生剤である。
本明細書および特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
「構成単位」とは、樹脂成分(重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明によれば、レジスト組成物用の酸発生剤として有用な新規な化合物およびその製造方法、酸発生剤、レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供できる。
≪化合物(b1−1)≫
まず、本発明の第三の態様である化合物(b1−1)について説明する。化合物(b1−1)は、本発明の第一の態様であるレジスト組成物の酸発生剤として好適に用いられるものである。
式(b1−1)中、Rの脂肪族基としては、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基が挙げられる。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
において、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基(ただし窒素原子は除く。)で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基(ただし窒素原子は除く。)で置換されていてもよい。
における「ヘテロ原子」としては、炭素原子、水素原子および窒素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子(ただし窒素原子は除く。)を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
Q”におけるアルキレン基としては、前記Rのアルキレン基と同様のものが挙げられる。
94およびR95におけるアルキレン基としては、前記Rのアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明において、Rとしては、特に、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい脂肪族環式基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましく、中でも、アダマンチル基が好ましい。
置換基を有していてもよい直鎖状のアルキル基としては、置換基として脂肪族環式基を有するものが好ましい。ここで、脂肪族環式基としては、前記において挙げられたものと同様のものが挙げられる。本発明において、Rとしては、置換基として多環式の脂肪族環式基を有する直鎖状のアルキル基であることがより好ましく、置換基としてアダマンチル基を有する直鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基またはn−プロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。
は炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基である。
のアルキレン基としては、前記Rで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
の有機カチオンとしては、前記一般式(w−1)で表されるイオン以外のものであれば特に制限されず、従来、オニウム塩系酸発生剤のカチオン部として知られているものを適宜用いることができる。かかるカチオン部のなかでも、Zの有機カチオンとしては、スルホニウムイオンまたはヨードニウムイオンが好ましく、特にスルホニウムイオンが好ましい。
具体的には、下記一般式(b’−1)、(b’−2)、(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を好適に用いることができる。
Figure 0005186249
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;R”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
Figure 0005186249
[式中、R40は水素原子またはアルキル基であり、R41はアルキル基、アセチル基、カルボキシ基、またはヒドロキシアルキル基であり、R42〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、ただし、n+nは5以下であり、nは0〜2の整数である。]
式(b’−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20の無置換のアリール基、該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換された置換アリール基、−(R’)−C(=O)−R’が挙げられる。R’は炭素数1〜5のアルキレン基である。R’はアリール基である。R’のアリール基としては、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
置換アリール基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換アリール基におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
置換アリール基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換アリール基におけるアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49[式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。
47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
置換アリール基におけるアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、一般式:−O−R50−C(=O)−O−R51[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R51は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
51における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
”〜R”のアリール基としては、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
式(b’−1)で表されるカチオン部の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、(3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−アダマントキシメチルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−アダマントキシメチルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウム、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウム、モノフェニルジメチルスルホニウム、ジフェニルモノメチルスルホニウム、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウム、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウム、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウム、1−フェニルテトラヒドロチオフェニウム、1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム、1−フェニルテトラヒドロチオピラニウム、1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウム、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウム、1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウム等が挙げられる。
式(b’−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b’−2)で表されるカチオン部の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
一般式(b−5)〜(b−6)のR40〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
OR40に付された符号nが2以上の整数である場合、複数のOR40”はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0〜2である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1である。
としては、式(b’−1)または(b−5)で表されるカチオン部が好ましく、特に、下記式(b’−1−1)〜(b’−1−10)、(b−5−1)〜(b−5−4)で表されるカチオン部が好ましく、式(b’−1−1)〜(b’−1−8)で表されるカチオン部等のトリフェニル骨格のカチオン部、または(b’−1−10)で表されるカチオン部がより好ましい。
式(b’−1−9)〜(b’−1−10)中、R、Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、水酸基であり、好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
Figure 0005186249
Figure 0005186249
化合物(b1−1)としては、特に、下記一般式(b1−1−11)〜(b1−1−13)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005186249
[式中、Zは前記と同じであり、pは1〜3の整数であり、q1〜q3はそれぞれ独立に1〜12の整数であり、r1は0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、Rは置換基である。]
の置換基としては、前記Rにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
pは1または2が好ましい。
q1〜q3はそれぞれ独立に1〜5であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
r1は0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることが更に好ましい。
gは1〜15であるこのましく、1〜10であることが更に好ましい
本発明の化合物(b1−1)は新規な化合物である。
本発明の化合物(b1−1)は、化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として有用であり、化学増幅型レジスト組成物に酸発生剤として配合することができる。
本発明の化合物(b0−1)の製造方法は特に限定されないが、たとえば下記本発明の化合物(b1−1)の製造方法により製造できる。
≪化合物(b1−1)の製造方法≫
本発明の第四の態様である化合物(b1−1)の製造方法は、下記一般式(b0−01)で表される化合物(b0−01)と、下記一般式(b0−02)で表される化合物(b0−02)とを反応させることにより化合物(b1−1)を得る工程を含む。
Figure 0005186249
[式中、Rは置換基(ただし、窒素原子は除く。)を有していてもよい脂肪族基であり;Rはアルキレン基であり;Yは炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基であり;Wはアルカリ金属イオンまたは下記一般式(w−1)で表されるイオンであり;Zは有機カチオン(ただし下記一般式(w−1)で表されるイオンを除く。)であり、Aは非求核性アニオンである。]
Figure 0005186249
[式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。]
式中、R、R、Y、Zはそれぞれ前記と同じである。
はアルカリ金属イオンまたは前記一般式(w−1)で表されるイオン(以下、置換アンモニウムイオンという。)である。
において、アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。
式(w−1)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基である。
〜Rにおける炭化水素基としては、前記Rと同様のものが挙げられる。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該炭化水素基が脂肪族炭化水素基である場合、該脂肪族炭化水素基としては、特に、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
該炭化水素基が有していてもよい置換基としては、前記Rの炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられ、特に水酸基が好ましい。また、窒素原子を含む置換基、たとえば窒素原子、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH)、アミド基(−NH−C(=O)−)等を有していてもよい。
〜Rのうち、少なくとも1つは前記炭化水素基であり、2または3つが前記炭化水素基であることが好ましい。
〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。たとえば、R〜Rのうちの2つが結合して1つの環を形成していてもよく、R〜Rのうちの3つが結合して1つの環を形成していてもよく、R〜Rのうちの2つずつがそれぞれ結合して2つの環を形成していてもよい。
〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合し、式中の窒素原子とともに形成する環(ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環)としては、脂肪族複素環であってもよく、芳香族複素環であってもよい。また、該複素環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
置換アンモニウムイオンの具体例としては、アミンから誘導されるアンモニウムイオンが挙げられる。
ここで、「アミンから誘導されるアンモニウムイオン」とは、アミンの窒素原子に水素原子が結合してカチオンとなったもの、アミンの窒素原子に、さらに置換基が1つ結合した第4級アンモニウムイオンである。
上記アンモニウムイオンを誘導するアミンは、脂肪族アミンであってもよく、芳香族アミンであってもよい。
脂肪族アミンとしては、特に、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが好ましい。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾール等が挙げられる。
第4級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
本発明において、前記置換アンモニウムイオンとしては、特に、R〜Rのうち、少なくとも1つがアルキル基であり、且つ少なくとも1つが水素原子であるものが好ましい。
中でも、R〜Rのうちの3つがアルキル基であり、且つ残りの1つが水素原子であるもの(トリアルキルアンモニウムイオン)、またはR〜Rのうちの2つがアルキル基であり、且つ残りの2つが水素原子であるもの(ジアルキルアンモニウムイオン)が好ましい。
トリアルキルアンモニウムイオンまたはジアルキルアンモニウムイオンにおけるアルキル基は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜5がさらに最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基などが挙げられる。これらの中でもエチル基が最も好ましい。
は非求核性アニオンである。
該非求核性イオンとしては、たとえば臭素イオン、塩素イオン等のハロゲンイオン、化合物(b0−01)よりも酸性度が低い酸になり得るイオン、BF 、AsF 、SbF 、PF またはClO 等が挙げられる。
における化合物(b0−01)よりも酸性度が低い酸になりうるイオンとしては、p−トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオンが挙げられる。
化合物(b0−01)は、たとえば、下記一般式(1−3)で表される化合物(1−3)と、下記一般式(2−1)で表される化合物(2−1)とを反応させることにより合成できる。
Figure 0005186249
[式中、R、R、Y、Wはそれぞれ前記と同じであり、X22はハロゲン原子である。]
22のハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられ、反応性に優れることから、臭素原子または塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
化合物(1−3)、(2−1)はそれぞれ市販のものを用いてもよく、合成してもよい。
たとえば化合物(1−3)におけるWがアルカリ金属イオンである場合、当該化合物(下記一般式(1−3’)で表される化合物(1−3’))の好ましい合成方法として、下記一般式(1−1)で表される化合物(1−1)と、下記一般式(1−2)で表される化合物(1−2)とを反応させて化合物(1−3’)を得る工程を有する方法が挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、R、Yはそれぞれ前記と同じであり、Rは、置換基として芳香族基を有していてもよい脂肪族基であり、Mはアルカリ金属イオンである。]
としては、前記Wで挙げたアルカリ金属イオンと同様のものが挙げられる。
は、置換基として芳香族基を有していてもよい脂肪族基である。
該脂肪族基は、飽和脂肪族基であってもよく、不飽和脂肪族基であってもよい。また、脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
脂肪族基は、炭素原子および水素原子のみからなる脂肪族炭化水素基であってもよく、該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換された基であってもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換された基であってもよい。
前記ヘテロ原子としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族基が環式基を含む場合、これらの置換基を当該環式基の環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR96、−OC(=O)R97、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
96およびR97はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
96およびR97におけるアルキル基が直鎖状または分岐鎖状の場合、その炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、後述する直鎖状または分岐鎖状の1価の飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。
96およびR97におけるアルキル基が環状である場合、該環は単環であってもよく、多環であってもよい。その炭素数は3〜15であることが好ましく、4〜12であることがより好ましく、5〜10がさらに好ましい。具体的には、後述する環状の1価の飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、炭素数2〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または炭素数3〜30の環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10がさらに最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10がさらに最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
において、前記脂肪族基は置換基として芳香族基を有していてもよい。
芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いたアリール基;これらのアリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。
これらの芳香族基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。該ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子などが挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
なお、化合物(1−1)におけるRが芳香族基であると、つまりRに隣接する酸素原子が、脂肪族基を介さずに直接芳香環に結合していると、化合物(1−1)と化合物(1−2)との反応は進行せず、化合物(1−3)は得られない。
化合物(1−1)、(1−2)はそれぞれ市販のものを用いてもよく、公知の手法を利用して合成してもよい。
たとえば化合物(1−2)は、下記一般式(0−1)で表される化合物(0−1)をアルカリの存在下で加熱し、中和することにより下記一般式(0−2)で表される化合物(0−2)を得る工程(以下、塩形成工程という。)と、
前記化合物(0−2)を、化合物(1−2)よりも酸強度の高い酸の存在下で加熱することにより化合物(1−2)を得る工程(以下、カルボン酸化工程という。)と、
を含む方法が挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、R01はアルキル基であり、Y、Mは前記と同じである。]
01のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
化合物(0−1)としては市販のものを使用できる。
塩形成工程は、たとえば、化合物(0−1)を溶媒に溶解し、該溶液にアルカリを添加し、加熱することにより実施できる。
溶媒としては、化合物(0−1)を溶解するものであればよく、たとえば水、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アルカリとしては、式(0−2)中のMに対応するアルカリが用いられ、該アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
アルカリの使用量は、化合物(0−1)1モルに対し、1〜5モルが好ましく、2〜4モルがより好ましい。
加熱温度は、20〜120℃程度が好ましく、50〜100℃程度がより好ましい。加熱時間は、加熱温度等によっても異なるが、通常、0.5〜12時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
前記加熱後の中和は、前記加熱後の反応液に塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸を添加することにより実施できる。
このとき、中和は、酸添加後の反応液のpH(25℃)が6〜8となるように実施することが好ましい。また、中和時の反応液の温度は、20〜30℃であることが好ましく、23〜27℃であることがより好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(0−2)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボン酸化工程では、前記塩形成工程で得た化合物(0−2)を、化合物(1−2)よりも酸強度の高い酸の存在下で加熱することにより該化合物(1−2)を得る。
「化合物(1−2)よりも酸強度の高い酸(以下、単に強酸ということがある。)」とは、化合物(1−2)における−COOHよりも、pKa(25℃)の値が小さい酸を意味する。かかる強酸を用いることにより、化合物(0−2)中の−COOが−COOHとなり、化合物(1−2)が得られる。
強酸としては、公知の酸のなかから、前記化合物(1−2)における−COOHのpKaよりもpKaが小さい酸を適宜選択して用いればよい。化合物(1−2)における−COOHのpKaは、公知の滴定法により求めることができる。
強酸として、具体的には、アリールスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。アリールスルホン酸としては、たとえばp−トルエンスルホン酸が挙げられる。アルキルスルホン酸としては、たとえばメタンスルホン酸やトリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。強酸としては、有機溶剤への溶解性や精製のし易さから、特にp−トルエンスルホン酸が好ましい。
カルボン酸化工程は、たとえば化合物(0−2)を溶媒に溶解し、酸を添加して加熱することにより実施できる。
溶媒としては、化合物(0−2)を溶解するものであればよく、たとえばアセトニトリル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
強酸の使用量は、化合物(0−2)1モルに対し、0.5〜3モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。
加熱温度は、20〜150℃程度が好ましく、50〜120℃程度がより好ましい。加熱時間は、加熱温度等によっても異なるが、通常、0.5〜12時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(1−2)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、化合物(1−3)におけるWが前記置換アンモニウムイオンである場合、当該化合物(下記一般式(1−3”)で表される化合物(1−3”))は、たとえば前記化合物(1−3’)と、アンモニウム塩とを反応させることにより製造できる。
Figure 0005186249
[式中、R、R、Y、R〜Rはそれぞれ前記と同じである。]
このとき用いるアンモニウム塩としては、上述したアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、及び芳香族アミンの塩酸塩または臭酸塩などが挙げられる。
反応は、たとえば、化合物(1−3’)と、アンモニウム塩とを、水、ジクロロメタン、アセトニトリル、メタノール、クロロホルム等の溶媒に溶解し、撹拌する等により反応させることができる。
反応温度は、0℃〜150℃程度が好ましく、0℃〜100℃程度がより好ましい。反応時間は、化合物(1−3’)、アンモニウム塩の反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、0.5〜10時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
化合物(1−3)と化合物(2−1)とを反応させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、反応溶媒中で、化合物(1−3)および化合物(2−1)を接触させる方法が挙げられる。該方法は、たとえば、塩基の存在下、化合物(1−3)が反応溶媒に溶解した溶液に、化合物(2−1)を添加することにより実施できる。
反応溶媒としては、原料である化合物(1−3)および化合物(2−1)を溶解できるものであればよく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
塩基としては、たとえばトリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基;水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基等が挙げられる。
化合物(2−1)の添加量は、化合物(1−3)に対し、およそ1〜3当量が好ましく、1〜2当量がより好ましい。
反応温度は、−20〜40℃が好ましく、0〜30℃がより好ましい。反応時間は、化合物(1−3)および化合物(2−1)の反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、1〜120時間が好ましく、1〜48時間がより好ましい。
また、化合物(b0−01)におけるWが前記置換アンモニウムイオンである場合、当該化合物(下記一般式(b0−01’)で表される化合物(b0−01’))は、たとえば、前記化合物(1−3’)と、前記化合物(2−1)と、アミンまたはアンモニウム塩とを同時に反応させる方法によっても製造できる。
Figure 0005186249
[式中、R、R、Y、W、X22はそれぞれ前記と同じである。]
前記化合物(1−3’)と、前記化合物(2−1)と、アミンまたはアンモニウム塩とは、前記化合物(1−3)と前記化合物(2−1)とを反応させる場合と同様にして反応させることができる。
このとき用いるアミンとしては、上述したアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、及び芳香族アミンなどが挙げられ、アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる(テトラアルキルアンモニウムにおけるアルキル基としては、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)。
上記製造方法において、前記化合物(1−3”)、化合物(b0−01’)等の置換アンモニウム塩は、本発明の化合物(b1−1)を製造する際の中間体としての有用性が高い。つまり、カチオン部がN(R)(R)(R)(R)であることにより、当該化合物を水洗により容易に精製でき、最終生成物の純度向上が期待できる。たとえばカチオン部がアルカリ金属イオンでは、水洗による精製は、当該化合物が溶解してしまうため困難である。
したがって、本発明の製造方法において、化合物(b1−1)は、カチオン部に前記置換アンモニウムイオンを有する中間体から製造されることが好ましい。
化合物(b0−01)と、化合物(b0−02)との反応は、従来公知の塩置換方法と同様にして実施できる。たとえば、化合物(b0−01)と、化合物(b0−02)とを、水、ジクロロメタン、アセトニトリル、メタノール、クロロホルム等の溶媒に溶解し、撹拌する等により反応させることができる。
反応温度は、0℃〜150℃程度が好ましく、0℃〜100℃程度がより好ましい。反応時間は、化合物(b0−01)および化合物(b0−02)の反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、0.5〜10時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(b1−1)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、蒸留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
得られた化合物(b1−1)の構造は、H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
≪酸発生剤≫
本発明の第五の態様である酸発生剤は、前記本発明の化合物(b1−1)からなるものである。
該酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤、たとえば後述する本発明の第一の態様のレジスト組成物の酸発生剤成分(B)として有用である。
≪レジスト組成物≫
本発明の第一の態様であるレジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有する。
かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、(B)成分から酸が発生し、該酸が(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を変化させる。その結果、当該レジスト膜の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないため、アルカリ現像により、ポジ型の場合は露光部が、ネガ型の場合は未露光部が溶解除去され、レジストパターンが形成される。
本発明のレジスト組成物は、ネガ型レジスト組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物であってもよい。
<(A)成分>
(A)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000未満の低分子量の有機化合物(以下、低分子化合物という。)と、分子量が2000以上の高分子量の樹脂(高分子材料)とに大別される。前記低分子化合物としては、通常、非重合体が用いられる。樹脂(重合体、共重合体)の場合は、「分子量」としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000以上の樹脂を示すものとする。
(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂を用いることができ、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する低分子材料を用いることもできる。
本発明のレジスト組成物がネガ型レジスト組成物である場合、(A)成分としてはアルカリ現像液に可溶性の基材成分が用いられ、さらに当該ネガ型レジスト組成物に架橋剤が配合される。
かかるネガ型レジスト組成物は、露光により(B)成分から酸が発生すると、当該酸が作用して基材成分と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ現像液に対して難溶性へ変化する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ現像液に対して難溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
ネガ型レジスト組成物の(A)成分としては、通常、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下、アルカリ可溶性樹脂という。)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、またはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから誘導される単位を有する樹脂が、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。なお、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基またはアルコキシメチル基を有するグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤を用いると、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成でき、好ましい。架橋剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
本発明のレジスト組成物がポジ型レジスト組成物である場合、(A)成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分が用いられる。該(A)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、露光により前記(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は、アルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成できる。
本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分であることが好ましい。すなわち、本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であることが好ましい。
該(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物(A2)(以下、(A2)成分ということがある。)であってもよく、これらの混合物であってもよい。なかでも、該(A)成分が、(A1)成分を含むことが好ましい。
[(A1)成分]
(A1)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている樹脂成分(ベース樹脂)を1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
本態様において、(A1)成分としては、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するものが好ましい。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことを意味する。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
また、ハロゲン化低級アルキル基として、具体的には、上記「α位の置換基としての低級アルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
(A1)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および(a2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
・構成単位(a1)
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”−1)〜(a1”−6)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示す。]
一般式(a1”−1)〜(a1”−6)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは低級アルキル基または脂肪族環式基を表す。]
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005186249
[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
Yの低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特に、R17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 0005186249
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
Figure 0005186249
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示し;Yはアルキレン基または脂肪族環式基またはエーテル結合を有する2価の連結基を示す。]
一般式(a1−0−1)において、Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基は、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは、上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
は、アルキレン基または脂肪族環式基またはエーテル結合を有する2価の連結基である。
がアルキレン基である場合、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基であり、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。
が脂肪族環式基である場合、好ましくは2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられること以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
が2価の脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
がエーテル結合を有する2価の連結基である場合、−Y−O−Y−で表される基であることが好ましい。
前記−Y−O−Y−で表される基において、Yは置換基を有していてもよい炭素数2以上の2価の炭化水素基である。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。好ましくは脂肪族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。具体的にはYが2価の脂肪族環式基である場合またはYがアルキレン基である場合に挙げたもののうち炭素数が2以上となる基と同様である。またYは置換基を有していてもよく、該置換基としては、Yが鎖状の脂肪族炭化水素基の場合、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられ、Yが構造中に環を含む脂肪族炭化水素基である場合は、上述の「脂肪族環式基」における置換基と同様である。
として好ましくは、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
は置換基を有していても良い炭素数1以上の2価の炭化水素基である。Yにおける炭化水素基としては、前記Yで挙げたのと同様の炭素数2以上の2価の炭化水素基、および置換基を有していてもよいメチレン基等が挙げられる。メチレン基が有していてもよい置換基としては、前記鎖状の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、メチレン基またはアルキルメチレン基が好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5の低級アルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yはアルキレン基または脂肪族環式基またはエーテル結合を有する2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。]
式中、X’は前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
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Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の中でも、一般式(a1−1)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−6)、(a1−1−17)〜(a1−1−18)、(a1−1−35)〜(a1−1−41)、および(a1−3−49)〜(a1−3−50)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−35)〜(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
Figure 0005186249
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R11は低級アルキル基を示す。]
Figure 0005186249
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基を示し、R12は低級アルキル基を示す。hは1〜3の整数を表す。]
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。
11の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。
12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1または2が好ましく、2が最も好ましい。
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a2)
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、高分子化合物(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、R’は水素原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、前記R”は水素原子、または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であり、mは0または1の整数であり、A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
Figure 0005186249
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−2−9)、(a2−2−10)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a3)
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A1)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、(a3−2)で表される構成単位、(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005186249
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
・構成単位(a4)
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 0005186249
[式中、Rは前記と同じである。]
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる場合、(A1)成分中の構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
本発明において、(A1)成分は、構成単位(a1)、(a2)および(a3)を有する共重合体を含有することが好ましい。該共重合体としては、構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が挙げられる。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上2000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<(B)成分>
(B)成分は、前記一般式(b1−1)で表される化合物(B1)からなる酸発生剤(以下、(B1)成分ということがある。)を含む。該(B1)成分は、前記本発明の化合物(B1)と同じである。
(B1)成分は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
本発明のレジスト組成物において、(B)成分中の(B1)成分の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100質量%でもよい。最も好ましくは100質量%である。該範囲の下限値以上であることにより、当該レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した際に、解像性、マスク再現性、ラインワイズラフネス(LWR)、パターン形状、露光量(EL)マージン、焦点深度幅(DOF)等のリソグラフィー特性が向上する。
(B)成分においては、前記(B1)成分以外の酸発生剤(B2)(以下、(B2)成分という。)を前記(B1)成分と併用してもよい。
(B2)成分としては、前記(B1)成分以外であれば特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0005186249
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ前記(b’−1)中のR”〜R”と同様である。
”は、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基(パーフルオロアルキル基)が、酸の強度が強くなるので好ましい。
”としては、直鎖状もしくは環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ前記(b’−1)中のR”〜R”と同様である。
式(b−2)中のR”としては、上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 0005186249
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、前記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部と、前記化合物(B1)が有するアニオン部以外の他のアニオン部とを有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
前記他のアニオン部としては、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部が利用でき、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部等が挙げられる。これらの中でも、フッ素化アルキルスルホン酸イオンが好ましく、炭素数1〜4のフッ素化アルキルスルホン酸イオンがより好ましく、炭素数1〜4の直鎖状のパーフルオロアルキルスルホン酸イオンが特に好ましい。具体例としては、トリフルオロメチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0005186249
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005186249
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0005186249
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0005186249
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B2)成分は、上記酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<任意成分>
本発明のレジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有することが好ましい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよく、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のアルキル基が窒素原子に3個結合したトリアルキルアミンが好ましく、トリ−n−ペンチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
上記に挙げた以外で、ステアリルジエタノールアミンも好ましく用いることができる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のレジスト組成物には、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
[有機溶剤(S)]
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(S)(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
上記本発明のレジスト組成物は、従来知られていない新規なものである。
また、本発明の化合物(b1−1)を酸発生剤として含有することから、リソグラフィー特性も向上し、たとえばレジストパターンを形成した際の解像性、マスク再現性(たとえばマスクリニアリティ等)や露光量(EL)マージン、レジストパターン形状、焦点深度幅(DOF)等が向上する。
ELマージンとは、露光量を変化させて露光した際に、ターゲット寸法に対するずれが所定の範囲内となる寸法でレジストパターンを形成できる露光量の範囲、すなわちマスクパターンに忠実なレジストパターンが得られる露光量の範囲のことであり、ELマージンは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さく、プロセスの余裕度が向上するため好ましい。
上記効果が得られる理由は、以下のように推測される。すなわち、前記化合物(b1−1)は、アニオン部が、「Y−SO 」の骨格に、R−C(=O)−R−O−C(=O)−が結合した構造を有する。のため、従来、アニオンとして用いられてきたフッ素化アルキルスルホン酸イオンに比べて、極性が高く、立体的に嵩高くバルキーな構造となっている。極性が高いことによる分子間の相互作用により、また、そのバルキーな立体構造により、ノナフルオロブタンスルホネート等の従来の酸発生剤のアニオン部に比べ、レジスト膜内での当該アニオン部(酸)の拡散が化学的にも物理的にも抑制されると推測される。そのため、露光域で発生した酸の未露光域への拡散が抑制され、結果、未露光域と露光域とのアルカリ現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が向上し、これによって、解像性やレジストパターン形状が向上すると推測される。
また、Yの置換基を有していてもよいアルキレン基または置換基を有していてもよいフッ素化アルキレン基のアルキル鎖は、たとえば炭素数6〜10のパーフルオロアルキル鎖が難分解性であるのに対して分解性が良好で、生体蓄積性を考慮した取り扱い性がより向上するという効果も得られる。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明の第二の態様であるレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
該レジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、前記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いで、これをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いてアルカリ現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記アルカリ現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUVに対して有効であり、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
レジスト膜の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光であってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のマスクパターンを介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
以下の各例において、化学式(II)で表される化合物を「化合物(II)」と記載し、他の化学式で表される化合物についてもそれぞれ同様に記載する。
[合成例1]
化合物(II)4.34g(純度:94.1%)、2−ベンジルオキシエタノール3.14g、トルエン43.4gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物0.47gを添加し、105℃で20時間還流した。反応液を濾過し、濾物にヘキサン20gを添加し、撹拌した。再度濾過し、濾物を乾燥することにより化合物(III)を1.41g(収率:43.1%)得た。
Figure 0005186249
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=4.74−4.83(t,1H,OH)、4.18−4.22(t,2H,H)、3.59−3.64(q,2H,H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.6。
上記の結果から、化合物(III)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[合成例2]
化合物(III)1.00gおよびアセトニトリル3.00gに対し、1−アダマンタンカルボニルクロライド0.82gおよびトリエチルアミン0.397gを氷冷下滴下した。滴下終了後、室温で20時間攪拌し、濾過した。ろ液を濃縮乾固し、ジクロロメタン30gに溶解させ水洗を3回行った。有機層を濃縮乾燥することにより化合物(IV)を0.82g(収率:41%)得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(IV)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=8.81(s,1H,H)、4.37−4.44(t,2H,H)、4.17−4.26(t,2H,H)、3.03−3.15(q,6H,H)、1.61−1.98(m,15H,Adamantane)、1.10−1.24(t,9H,H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.61。
上記の結果から、化合物(IV)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[実施例1]
化合物(V)0.384gをジクロロメタン3.84gと水3.84gに溶解させ、化合物(IV)0.40gを添加した。1時間攪拌後、分液処理にて有機層を回収し、水3.84gで水洗浄を3回行った。得られた有機層を濃縮乾固することにより化合物(VI)を0.44g(収率81.5%)得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(VI)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=7.57−7.87(m,14H,Phenyl)、4.40−4.42(t,2H,H)、4.15−4.22(t,2H,H)、2.43(s,3H,H)、1.60−1.93(m,15H,Adamantane)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.7。
上記の結果から、化合物(VI)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[実施例2]
(i)
20℃以下で制御したメタンスルホン酸60.75gに対し、酸化リン8.53gと2,5−ジメチルフェノール8.81gとジフェニルスルホキシド12.2gとを少量ずつ添加した。温度を15〜20℃で制御しながら30分熟成した後、40℃まで昇温し2時間熟成した。その後、15℃以下に冷却した純水109.35gに反応液を滴下した。滴下終了後、ジクロロメタン54.68gを加え、攪拌後、ジクロロメタン層を回収した。別容器に20〜25℃のヘキサン386.86gを仕込み、ジクロロメタン層を滴下した。滴下終了後、20〜25℃で30分間熟成した後、ろ過することによって目的化合物(i)17.14g(収率70.9%)を得た。
得られた化合物(i)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、600MHz):δ(ppm)=7.61−7.72(m,10H,phenyl),7.14(s,2H,H),3.12(s,3H,H),2.22(s,6H,H)。
上記の結果から、化合物(i)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
(ii)
化合物(i)4gをジクロロメタン79.8gに溶解させた。溶解確認後、炭酸カリウム6.87gを添加し、ブロモ酢酸メチルアダマンタン3.42gを添加した。還流下、24時間反応後、ろ過、水洗浄を行い、ヘキサンで晶析した。得られた粉体を減圧乾燥することによって目的化合物(ii)3.98g(収率66%)を得た。
得られた化合物(ii)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(CDCl、400MHz):δ(ppm)=7.83−7.86(m,4H,Phenyl),7.69−7.78(m,6H,Phenyl),7.51(s,2H,H),4.46(s,2H,H),2.39(s,6H,H),2.33(s,2H,Adamantan),2.17(s,2H,Adamantan),1.71−1.98(m,11H,Adamantan),1.68(s,3H,H),1.57−1.61(m,2H,Adamantan)。
上記の結果から、化合物(ii)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
(iii)
化合物(ii)4.77gをジクロロメタン23.83gと水23.83gに溶解させ、化合物(IV)3.22gを添加した。1時間攪拌後、分液処理にて有機層を回収し、水3.84gで水洗浄を3回行った。得られた有機層を濃縮乾固することにより化合物(X)4.98g(収率87%)を得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(X)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=7.76−7.88(m,10H,Phenyl),7.62(s,2H,Phenyl),4.64(s,2H,H),4.43−4.44(t,2H、H),4.22−4.23(t,2H、H),1.51−2.36(m,38H,Adamantan+H+H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.7。
上記の結果から、化合物(X)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[合成例3]
化合物(III)2.42gおよびアセトニトリル7.26gに対し、ウンデカノイルカルボニルクロライド2.19gおよびトリエチルアミン1.01gを氷冷下滴下した。滴下終了後、室温で20時間攪拌し、濾過した。ろ液を濃縮乾固し、ジクロロメタン20gに溶解させ水洗を3回行った。有機層を濃縮乾燥することにより化合物(XI)を3.41g(収率:80.4%)得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(XI)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=8.81(s,1H,H)、4.39−4.41(t,2H,H)、4.23−4.39(t,2H,H)、3.06−3.10(q,6H,H)、2.24−2.29(t,2H,H)、1.09−1.51(m,25H,H+H)、0.83−0.89(t,3H,H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.8。
上記の結果から、化合物(XI)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[実施例3]
化合物(XII)1.68gをジクロロメタン8.41gと水8.41gに溶解させ、化合物(XI)2.00gを添加した。1時間攪拌後、分液処理にて有機層を回収し、水3.84gで水洗浄を3回行った。得られた有機層を濃縮乾固することにより化合物(XII)を2.20g(収率81.5%)得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(XII)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=7.74−7.90(m,15H,Phenyl)、4.39−4.42(t,2H,H)、4.21−4.24(t,2H,H)、2.25−2.89(t,3H,H)、1.17−1.50(m,15H,H)、0.79−0.88(t,3H,H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.8。
上記の結果から、化合物(XII)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[実施例4、比較例1]
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
Figure 0005186249
表1中の各略号は以下の意味を有する。また、表1中の[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
なお、実施例4および比較例1の(B)成分の配合量はそれぞれ等モル量である。
(A)−1:下記化学式(A)−1(式中、l/m/n=45/35/20(モル比))で表されるMw=7000、Mw/Mn=1.8の共重合体。
(B)−1:下記化学式(B)−1で表される化合物(前記化合物(VI))。
(B’)−1:下記化学式(B’)−1で表される化合物。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)。
Figure 0005186249
得られたレジスト組成物を用いて以下の評価を行った。
[レジストパターン形成]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、110℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)が形成された。
上記ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)を求めた。
また、解像性として上記Eopにおける限界解像度を求めた。これらの結果を表2に示す。
また、上記で形成したライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡(商品名:S−9220、日立製作所社製)により観察した。その結果、実施例4のレジストパターン形状は、比較例1に比べて、ライン側壁の垂直性が高く、基板界面との裾引きが抑制されているなど、矩形性が高かった。
[LWR評価]
前記Eopで形成されたライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧800V、商品名:S−9220、日立製作所社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に5箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を表2に示す。この3sの値が小さいほど線幅のラフネスが小さく、より均一幅のL/Sパターンが得られたことを意味する。
[ELマージン評価]
露光量をそれぞれ変えた以外は上記と同じ手順でライン幅120nm、ピッチ240nmをターゲット寸法とするL/Sパターンを形成した。
このとき、L/Sパターンのラインがターゲット寸法(ライン幅120nm)の±5%(114nm、126nm)で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を求めた。その結果を表2に示す。
ELマージン(%)=(|E1−E2|/Eop)×100
[式中、E1は、ライン幅114nmのL/Sパターンが形成された際の露光量(mJ/cm)を示し、E2は、ライン幅126nmのL/Sパターンを形成された際の露光量(mJ/cm)を示す。]
Figure 0005186249
[マスクエラーファクター(MEF)評価]
上記Eopにおいて、ライン幅130nm、ピッチ260nmのL/Sパターンをターゲットとするマスクパターンと、ライン幅120nm、ピッチ260nmのL/Sパターンをターゲットとするマスクパターンとを用いてL/Sパターンを形成し、以下の式からMEFの値を求めた。
MEF=|CD130−CD120|/|MD130−MD120
上記式中、CD130、CD120は、それぞれ、ライン幅130nm、120nmをターゲットとするマスクパターンを用いて形成されたL/Sパターンの実際のライン幅(nm)である。MD130、MD120は、それぞれ、当該マスクパターンがターゲットとするライン幅(nm)であり、MD130=130、MD120=120である。このMEFの値が1に近いほど、マスクパターンに忠実なレジストパターンが形成されたことを示す。
その結果、実施例4が2.0、比較例1が2.0であり、同等であった。
[マスクリニアリティ評価]
上記Eopにおいて、マスクパターンのL/S比(ライン幅とスペース幅との比)を1:1に固定し、マスクサイズ(ライン幅)を110〜150nmの範囲で10nmずつ変化させてそれぞれL/Sパターンを形成し、形成されたL/Sパターンのサイズ(ライン幅)を測定した。その結果を表3に示す。
表3に示すように、実施例4では、120nmのEopにて、サイズが120nmから離れていても、比較例1よりもマスクサイズに忠実なサイズのL/Sパターンが形成されており、実施例4のレジスト組成物が、比較例1のレジスト組成物よりもマスク再現性に優れていることが確認された。
Figure 0005186249
上記の結果より、実施例4のレジスト組成物はリソグラフィー特性に優れていることが確認された。
[実施例5〜7、比較例2]
表4に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
Figure 0005186249
表4中、(A)−1、(D)−1、(S)−1、(S)−2は表1中の(A)−1、(D)−1、(S)−1、(S)−2と同じものを意味し、その他の略号はそれぞれ以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
なお、実施例5〜7および比較例2の(B)成分の配合量(合計量)はそれぞれ等モル量である。
(B)−2:下記化学式(B)−2で表される化合物(前記化合物(X))。
(B’)−2:下記化学式(B’)−2で表される化合物。
Figure 0005186249
得られたレジスト組成物を用いて以下の評価を行った。
[レジストパターン形成]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TILC−035」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚90nmのトップコートを形成した。
次に、ArF液浸露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,σ0.97)により、ホールパターンのマスクを介して、トップコートが形成された前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ホール直径90nmのホールが等間隔(ピッチ180nm)に配置されたコンタクトホールパターン(以下、Dence CHパターンという。)が形成できた。
次に、前記Dence CHパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)にて、ホール直径90nmのホールが等間隔(ピッチ570nm)に配置されたコンタクトホールパターン(以下、Iso CHパターンという。)を形成した。
上記直径90nmのIso CHパターンにおけるリソグラフィー特性を評価した。その結果を表5に示す。
[焦点深度幅(DOF)評価]
上記Eopで、焦点を適宜上下にずらして上記[レジストパターン形成]と同様にしてレジストパターンを形成し、上記のIso CHパターンがターゲット寸法±5%(すなわち85.5〜94.5nm)の寸法変化率の範囲内で形成できる焦点深度幅(DOF、単位:nm)を求めた。その結果を表5に示した。
[MEF評価]
上記Eopにて、ホールの直径のターゲットサイズを61nm、63nm、65nm、67nm、69nmとするマスクパターンをそれぞれ用い、ピッチ570nmのCHパターンを形成した。このとき、ターゲットサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたホールパターンの口径(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きをMEFとして算出した。MEF(直線の傾き)は、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを意味する。得られた結果を表5に示す。
[ELマージン評価]
直径90nmのIso CHパターンがターゲット寸法(ホール直径90nm)の±5%(85.5nm、94.5nm)で形成される際の露光量を求め、次式によりELマージン(単位:%)を求めた。その結果を表5に示す。
ELマージン(%)=(|E1−E2|/Eop)×100
[式中、E1は、ホール直径85.5nmのCHパターンが形成された際の露光量(mJ/cm)を示し、E2は、ホール直径94.5nmのCHパターンを形成された際の露光量(mJ/cm)を示す。]
Figure 0005186249
表5に示すように、実施例5〜7のレジスト組成物は、比較例2のレジスト組成物に比べて、MEF、ELマージンが良好であり、DOFについても同等以上であった。
上記結果から、本発明の化合物が、酸発生剤として有用な化合物の中間体として有用であることが確認された。
[実施例8〜14]
表6に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
Figure 0005186249
表6中、(B)−1、(D)−1、(S)−2は表1中の(B)−1、(D)−1、(S)−2と同じものを意味し、その他の略号はそれぞれ以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
なお、実施例8〜14の(B)成分の配合量(合計量)はそれぞれ等モル量である。
(A)−2:下記化学式(A)−2(式中、l/m/n=30/50/20(モル比))で表されるMw=10000、Mw/Mn=2.0の共重合体。
(A)−3:下記化学式(A)−3(式中、l/m/n=40/40/20(モル比))で表されるMw=10000、Mw/Mn=2.0の共重合体。
Figure 0005186249
得られたレジスト組成物を用いて以下の評価を行った。
[レジストパターン形成]
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚70nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚170nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S308F(ニコン社製;NA(開口数)=0.85,σ=0.95)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、90℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間の条件で現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ホール直径110nmのホールが等間隔(ピッチ210nm)に配置されたDense CHパターンが形成できた。
次に、前記Dence CHパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)にて、ホール直径110nmのホールが等間隔(ピッチ780nm)に配置されたIso CHパターンを形成した。
上記直径110nmのDense/Isoの各CHパターンにおけるリソグラフィー特性を評価した。その結果を表7に示す。
[焦点深度幅(DOF)評価]
上記Eopで、焦点を適宜上下にずらして上記[レジストパターン形成]と同様にしてレジストパターンを形成し、上記の各CHパターンがターゲット寸法±5%(すなわち104.5〜115.5nm)の寸法変化率の範囲内で形成できる焦点深度幅(DOF、単位:nm)を求めた。
[MEF評価]
ホール直径のターゲットサイズを110nm±5nm範囲で1nmずつ変えたマスクパターンをそれぞれ用い、上記Eopにて、各CHパターンを形成した(ピッチは、Dense:210nm、Iso:780nmである)。このとき、マスクサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたホールパターンの口径(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きをMEFとして算出した。MEF(直線の傾き)は、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを意味する。
[CDU(ホール直径の均一性)評価]
得られた各CHパターンについて、ホールの直径をそれぞれ測定し(Dense:54個、Iso:26個)、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めた。このようにして求められる3σは、その値が小さいほど当該レジスト膜に形成された各ホールのCDUが高いことを、すなわち、一定範囲内に存在するホールの直径のバラツキが小さいことを意味する。
[真円性評価]
各CHパターン中のホール形状について、測長SEM(日立製作所社製,製品名:S−9220)により観測し、以下の基準で評価した。
◎:真円性が非常に高い(上空より観察したホールパターンの円周部に凹凸が見られず、非常に良好な形状であった)。
○:真円性が高い(上空より観察したホールパターンの円周部に若干凹凸が見られるものの、全体としては真円性が高い形状であった)。
Figure 0005186249
表7に示すように、実施例8〜14のレジスト組成物は、Dense/Iso CHパターンの両方において、優れたリソグラフィー特性(DOF、MEF、CDU、真円性)を有していた。CDU及び真円性といったホールの形状に関しては、特に実施例9〜13のレジスト組成物が良好であることがわかった。
上記結果からも、本発明の化合物が、酸発生剤として好適な化合物の中間体として有用であることが確認された。
[合成例4]
化合物(III)8.00gおよびジクロロメタン150.00gに対し、1−アダマンタンアセチルクロライド 7.02gおよびトリエチルアミン3.18gを氷冷下滴下した。滴下終了後、室温で20時間攪拌し、濾過した。ろ液を純水54.6gにて3回洗浄し、有機層を濃縮乾燥することにより化合物(VII)を14.90g(収率:88.0%)を得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(VII)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO、400MHz):δ(ppm)=8.81(br s,1H,H)、4.40(t,2H,H)、4.20(t,2H,H)、3.08(q,6H,H)、2.05(s,2H,H)、1.53−1.95(m,15H,Adamantane)、1.17(t,9H,H
19F−NMR (DMSO,376 MHz):δ(ppm)=−106.90。
上記の結果から、化合物(VII)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[実施例15]
化合物(V)7.04gをジクロロメタン70.4gと水70.4gに溶解させ、化合物(VII)9.27gを添加した。1時間攪拌後、分液処理にて有機層を回収し、1%HClaq 70.4gで1回、純水70.4gで水洗浄を4回行った。得られた有機層を濃縮乾固することにより化合物(VIII)を11.59g(収率90.6%)を得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(VIII)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO、400 MHz):δ(ppm)=7.50−7.87(m, 14H, Phenyl)、4.42(s, 2H, H)、4.23(s, 2H,H)、2.43(s,3H, H)、2.01(s,2H,H)、1.94(s,2H,Adamantane)、1.52−1.61(m,13H, Adamantane)
19F−NMR (DMSO,376 MHz):δ(ppm)=−106.49
上記の結果から、化合物(VIII)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[実施例16]
化合物(XX)21.6gと水53.0gとジクロロメタン69.7gを室温にて攪拌し、そこへ化合物(IV)12.9gを添加した。1時間攪拌後、分液処理にて有機層を回収し、1%HClaq34.9gで1回、純水69.7gで水洗浄を2回行った。得られた有機層を濃縮乾固することにより化合物(XXI)を9.94g(収率61.4%)を得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(XXI)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO、400MHz):δ(ppm)=8.00(d, 2H, H)、7.75(t, 1H, H)、7.58(t, 2H, H)、5.30(s,2H,H)、4.37−4.44(t, 2H, H)、4.17−4.26(t, 2H, H)、3.54(m,4H,H)、2.49−2.18(m,4H,H)、1.93−1.60(m,15H,−Adamantane )、
19F−NMR (DMSO、376MHz):δ(ppm)=−106.2
上記の結果から、化合物(XXI)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[実施例17〜19]
表8に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
Figure 0005186249
表8中、(B)−1、(S)−2は表1中の(B)−1、(S)−2と同じものを意味し、その他の略号はそれぞれ以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
なお、実施例17〜19の(B)成分の配合量(合計量)はそれぞれ等モル量である。
(A)−4:下記化学式(A)−4(式中、l/m/n=30/50/20(モル比))で表されるMw=10,000、Mw/Mn=2.0の共重合体。
(A)−5:下記化学式(A)−5(式中、l/m/n=30/50/20(モル比))で表されるMw=10,000、Mw/Mn=2.0の共重合体。
(A)−6:高分子化合物(A)−6(後記参考例3にて合成)
(B)−3:下記化学式(B)−3で表される化合物(前記化合物(VIII))。
(B)−4:下記化学式(B)−4で表される化合物(前記化合物(XXI))。
(D)−2:ステアリルジエタノールアミン。
Figure 0005186249
Figure 0005186249
[高分子化合物(A)−6の合成例]
[参考例1]
1L3つ口フラスコに水素化ナトリウム(NaH)4.8gをいれ、氷浴中で0℃に保ったまま、300gのテトラヒドロフラン(THF)を加え、さらに攪拌しながら124gの化合物(1)を加え、10分間攪拌した。その後30gの化合物(2)を攪拌しながら加え、12時間反応させた。反応終了後、反応液を吸引ろ過し、回収したろ液から、減圧濃縮によってTHFを除去した。その後、濃縮液に水及び酢酸エチルを加えて抽出を行い、得られた酢酸エチル溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(SiO,ヘプタン:酢酸エチル=8:2)で精製を行い、フラクションを減圧濃縮し、さらに減圧乾燥することによって化合物(3)を12g得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(3)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(溶媒:CDCl、400MHz):δ(ppm)=4.09(s,2H(H)),3.75(t,2H(H)),3.68(t,2H(H)),3.03(brs,2H(H)),1.51−2.35(m,17H(H))。
上記の結果から、化合物(3)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[参考例2]
300mL3つ口フラスコに5gの化合物(3)、3.04gのトリエチルアミン(EtN)及び10gのTHFを加え、10分間攪拌した。その後2.09gの化合物(4)及び10gのTHFを加え、室温で12時間反応させた。反応終了後、反応液を吸引ろ過し、回収したろ液から、減圧濃縮によってTHFを除去した。その後、濃縮液に水および酢酸エチルを加えて抽出を行った。得られた酢酸エチル溶液について、カラムクロマトグラフィ(SiO,ヘプタン:酢酸エチル=8:2)で精製を行い、フラクションを減圧濃縮し、さらに減圧乾燥することによって化合物(5)を4.9g得た。
Figure 0005186249
得られた化合物(5)について、H−NMRを測定した。その結果を以下に示す。
H−NMR(溶媒:CDCl、400MHz):δ(ppm)=6.15(s,1H(H)),5.58(s,1H(H)),4.35(t,2H(H)),4.08(s,2H(H)),3.80(t,2H(H)),1.51−2.35(m,20H(H))。
上記の結果から、化合物(5)が下記に示す構造を有することが確認できた。
Figure 0005186249
[参考例3(高分子化合物(A)−6の合成)]
6.30g(30.30mmol)の化合物(6)、7.00g(20.83mmol)の化合物(5)、2.83g(11.99mmol)の化合物(7)を、64.52gのメチルエチルケトンに溶解させた。この溶液に、和光純薬製V−601(重合開始剤)を11.68mmol加え、溶解させた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、75℃に加熱したメチルエチルケトン26.88gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
この重合液を固形分30質量%まで濃縮し、室温にて320mLのn−ヘプタンに滴下して共重合体を析出させた。続いて、この共重合体のTHF溶液54gを調製し、n−ヘプタン320mLに滴下して共重合体を析出させた。
この共重合体を、メタノール/水=60/40(体積比)の混合溶液にて分散させて共重合体を洗浄する操作を行い、続いて、メタノール/水=70/30(体積比)の混合溶液にて分散させて共重合体を洗浄する操作を行った後、濾別によって回収した。
このようにして得られた共重合体を40℃で3日間乾燥し、12.0gの白色粉体を得た(収率74%)。
得られた共重合体を高分子化合物(A)−6とし、その構造式を以下に示す。この高分子化合物(A)−6について、13C−NMR(600MHz)を測定した結果、ポリマー組成(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=52.6/27.5/19.9であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は5,300であり、分散度(Mw/Mn)は1.97であった。この結果より、得られた高分子化合物(A)−6が、化合物(6)と化合物(5)と化合物(7)との共重合体であることが確認できた。
Figure 0005186249
Figure 0005186249
得られたレジスト組成物を用い、以下の手順でレジストパターンを形成し、リソグラフィー特性を評価した。
[レジストパターン形成]
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記で得られた実施例17〜19のポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で90℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TSRC−002」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚28nmのトップコートを形成した。
次いで、トップコートが形成された前記レジスト膜に対し、液浸用ArF露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07、2/3輪帯照明、縮小倍率1/4倍、液浸媒体:水)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に照射した。
次に、保護膜除去液「TS−Rememover−S」(商品名、東京応化工業株式会社製)を用いてトップコートを取り除き、その後、表8に記載の条件でPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液NMD−W(商品名、東京応化工業株式会社製)で30秒間の条件でアルカリ現像し、その後25秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても直径70nm、ピッチ131nmのCHパターンが形成された。このときの最適露光量Eop(mJ/cm)、すなわち感度を表9に示す。
[真円性評価]
各CHパターン中のホール形状について、測長SEM(日立製作所社製,製品名:S−9220)により観測し、実施例8〜14と同様の基準で評価した。結果を表9に示す。
Figure 0005186249
表9の結果からも、本発明の化合物が、酸発生剤として好適な化合物の中間体として有用であることが確認された。

Claims (10)

  1. 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物であって、
    前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(b1−1)で表される化合物(ただし、樹脂成分は除く。)からなる酸発生剤(B1)を含むことを特徴とするレジスト組成物。
    Figure 0005186249
    [式中、Rは置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいモノシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいポリシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基であり;Rはアルキレン基であり;Yは炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基であり;Zは有機カチオン(ただし下記一般式(w−1)で表されるイオンを除く。)である。]
    Figure 0005186249
    [式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。]
  2. 前記基材成分(A)が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分である請求項1に記載のレジスト組成物。
  3. 前記基材成分(A)が、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(A1)を含有し、該樹脂成分(A1)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項2に記載のレジスト組成物。
  4. 前記樹脂成分(A1)が、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項3に記載のレジスト組成物。
  5. 前記樹脂成分(A1)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項3または4に記載のレジスト組成物。
  6. 含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  7. 支持体上に、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
  8. 下記一般式(b1−1)で表される化合物(ただし、樹脂成分は除く。)
    Figure 0005186249
    [式中、Rは置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいモノシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいポリシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基であり;Rはアルキレン基であり;Yは炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基であり;Zは有機カチオン(ただし下記一般式(w−1)で表されるイオンを除く。)である。]
    Figure 0005186249
    [式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。]
  9. 下記一般式(b0−01)で表される化合物(b0−01)と、下記一般式(b0−02)で表される化合物(b0−02)とを反応させることにより下記一般式(b1−1)で表される化合物(b1−1)を得る工程を含む化合物の製造方法。
    Figure 0005186249
    [式中、Rは置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいモノシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよいポリシクロアルカンから一個の水素原子を除いた基、または置換基としてアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基もしくは酸素原子(=O)を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基であり;Rはアルキレン基であり;Yは炭素数1〜4のアルキレン基またはフッ素化アルキレン基であり;Wはアルカリ金属イオンまたは下記一般式(w−1)で表されるイオンであり;Zは有機カチオン(ただし下記一般式(w−1)で表されるイオンを除く。)であり、Aは非求核性アニオンである。]
    Figure 0005186249
    [式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つは前記炭化水素基であり、R〜Rのうちの少なくとも2つがそれぞれ結合して環を形成していてもよい。]
  10. 請求項8に記載の化合物からなる酸発生剤。
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