JP5185198B2 - 自動車部材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、塩化ビニル樹脂はダイオキシンの発生原因となる等の環境問題から、塩化ビニル樹脂に代わる被覆樹脂として、TPO(熱可塑性ポリオレフィン)や結晶性PP(結晶性ポリプロピレン)等のポリオレフィン樹脂が検討されている。
上記接着剤層は、無水マレイン酸で変性したポリプロピレン樹脂70〜99質量%と、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体及び/又はスチレン−αオレフィン共重合体を1〜30質量%とを混合してなり、
上記接着剤層の厚みは0.1〜10μmであることを特徴とする自動車部材にある(請求項1)。
上記無水マレイン酸で変性したPP樹脂単体は、金属芯材と上記ポリオレフィン樹脂組成物層との初期の密着性を得ることができるが、金属芯材との接着性が低温で著しく低下するものである。
また、上記スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体、及びスチレン−αオレフィン共重合体は、低温環境でも柔軟性を失うことがなく、ひび割れし難い。
また、上記接着剤層は、上記ポリオレフィン樹脂組成物層とも良好な接着性を発揮することができる。
つまり、接着剤層と金属芯材との界面、及び接着剤層とポリオレフィン樹脂組成物層との界面で、良好な密着性を有することができる。
また、上記自動車部材は、上記ポリオレフィン樹脂組成物層により、耐傷つき性を有することができ、押出成形時の残留応力等に起因する使用時のクラック発生を防止することができる。
上記金属芯材としては、例えば、アルミニウム(純アルミニウム及びアルミニウム合金)、ステンレス鋼等からなる金属芯材(形材、条等)を用いることができる。
上記接着剤層の厚みが0.1μm未満の場合には、接着剤層による接着効果を十分に得ることができないおそれがある。一方、上記接着剤層の厚みが10μmを超える場合には、冷熱サイクルを繰り返した際に、接着剤層内での凝集破壊が生じ、接着効果が低下するおそれがある。
そして、上記接着剤層の厚みは、0.5〜5μmであることがより好ましい。
また、上記分散体の塗布は、例えば、バーコーターによるコーティング、ロールコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング等により行うことができる。
また、上記ポリオレフィン樹脂組成物を被覆する前に、脱脂処理を施すことが好ましい。
また、上記ポリオレフィン樹脂組成物の被覆は、例えば、上記金属芯材を樹脂混練押出機に導入して行う方法、ホットプレス方法等により行うことができる。
また、上記分散体を塗布した後、上記変性PP樹脂の融点以上に加熱して乾燥を行い、その後冷却することが好ましい。
また、上記成形加工としては、上記と同様の方法を適用できる。
また、上記樹脂混合体は、無水マレイン酸で変性したポリプロピレン樹脂(変性PP樹脂)を70〜99質量%と、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体及び/又はスチレン−αオレフィン共重合体を1〜30質量%とからなることが好ましい。
また、上記ポリオレフィン樹脂組成物は、TPO(熱可塑性ポリオレフィン)または、結晶性PP(結晶性ポリプロピレン)であることが好ましい。
本例は、本発明の実施例にかかる自動車部材について説明する。
本例では、実施例として8種類の自動車部材(試料E1〜試料E8)を作製し、また、比較例として5種類の自動車部材(試料C1〜試料C5)を作製した。
本発明はこれらの実施例によってのみ限定されるものではない。
そして、試料C1〜試料C5は、上記接着剤層の組成あるいは膜厚が本発明の範囲外となるように作製したものである。
また、接着剤層3を構成する樹脂分散体(分散体e1〜分散体e6、及び分散体c1〜分散体c3)を作製した。
また、ポリオレフィン樹脂組成物層4を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー(EXCELINK1300、MFR170g/10min、230℃、ジェイエスアール(株)製)を用意した。
まず、ポリプロピレン樹脂(MFR10g/10min、230℃)100部に対し、無水マレイン酸15部、キシレン400部を加え、130℃に加熱しながら、窒素ガス雰囲気下で撹拌した。そこに過酸化ベンゾイルの1%キシレン溶液を2時間かけて滴下した。さらに、130℃で60分間撹拌した後、室温まで放冷した。得られた懸濁液をろ過した後、メチルエチルケトンで洗浄し、無水マレイン酸で変性したポリプロピレン樹脂(PP樹脂)を得た。
また、試料E2に用いる樹脂分散体として、上記変性PP樹脂70部に対し、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体30部を加え、トルエンに分散させた分散体e2を得た。
また、試料E4に用いる樹脂分散体として、上記変性PP樹脂90部に対し、スチレン−αオレフィン共重合体10部を加え、トルエンに分散させた分散体e4を得た。
また、試料E6に用いる樹脂分散体として、上記変性PP樹脂70部に対し、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体15部、スチレン−αオレフィン共重合体15部を加え、トルエンに分散させた分散体e6を得た。
また、試料C2に用いる樹脂分散体として、上記変性PP樹脂65部に対し、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体35部を加え、トルエンに分散させた分散体c2を得た。
また、試料C3に用いる樹脂分散体として、上記変性PP樹脂65部に対し、スチレン−αオレフィン共重合体35部を加え、トルエンに分散させた分散体c3を得た。
次に、得られた金属芯材2に対して、圧縮比3のフルフライト型スクリューを備えた単軸押出機を用い、オレフィン系熱可塑性エラストマー(EXCELINK1300、MFR170g/10min、230℃、ジェイエスアール(株)製)を押出成形により3mm厚さで被覆し、ポリオレフィン樹脂組成物層4を形成し、自動車部材1(試料E1〜試料E6、及び試料C1〜試料C3)を得た。
引き裂き試験は、各試料について、冷熱試験前の試料、及び冷熱試験後の試料について、それぞれ5回ずつ行った。
冷熱試験は、試験材ついて、110℃の温度で30分間加熱した後、−40℃の温度で30分間保持する処理を1サイクルとする冷熱試験を2000サイクル実施することにより行った。
このように、本例によれば、接合強度に優れ、接着力のバラツキを小さくすることができ、使用環境に長時間曝されても界面剥離を生じることのない自動車部材を得られることが分かる。
また、試料C3の接着剤層は、無水マレイン酸で変性したポリプロピレン樹脂の含有量が本発明の下限を下回り、スチレン−αオレフィン共重合体の含有量が本発明の上限を上回るため、冷熱試験前の密着性及び冷熱試験後の密着性のいずれも不合格であった。
また、試料C5は、接着剤層の膜厚が本発明の上限を上回るため、接着剤層による接着性向上効果が十分に得られず、冷熱試験後の密着性が不十分であった。
2 金属芯材
3 接着剤層
4 ポリオレフィン樹脂組成物層
Claims (4)
- 金属芯材と、該金属芯材上に形成された接着剤層と、該接着剤層を介して上記金属芯材に積層されたポリオレフィン樹脂組成物層とからなり、
上記接着剤層は、無水マレイン酸で変性したポリプロピレン樹脂を70〜99質量%と、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体及び/又はスチレン−αオレフィン共重合体を1〜30質量%とを混合してなり、
上記接着剤層の厚みは0.1〜10μmであることを特徴とする自動車部材。 - 請求項1において、上記ポリオレフィン樹脂組成物層は、TPO(熱可塑性ポリオレフィン)または、結晶性PP(結晶性ポリプロピレン)からなることを特徴とする自動車部材。
- 無水マレイン酸で変性したPP樹脂と、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体及び/又はスチレン−αオレフィンとを有する分散体を金属芯材に塗布し、乾燥した後、上記金属芯材の成形加工を行い、その後、上記金属芯材に上記分散体を介してポリオレフィン樹脂組成物を被覆することを特徴とする自動車部材の製造方法。
- 無水マレイン酸で変性したPP樹脂と、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体及び/又はスチレン−αオレフィンとを有する分散体を金属芯材に塗布し、乾燥した後、上記金属芯材に上記分散体を介してポリオレフィン樹脂組成物を被覆し、その後上記金属芯材の成形加工を行うことを特徴とする自動車部材の製造方法。
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