JP2015138680A - 端子台及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた性能を有する端子台及びその製造方法を提供する。【解決手段】端子台1は、樹脂成形部21を有するハウジング2と、板状のバスバー3と、シール部4とを有している。バスバー3は、樹脂成形部21に埋設された埋設部32及び樹脂成形部21の開口端211から外方に突出した接続部31を一体に備えている。シール部4は、埋設部32と樹脂成形部21との間に存在する隙間5の一部に配され、隙間5を封止している。また、シール部4は、飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部以上の第2ゴム成分とを含有してなる。【選択図】図1
Description
本発明は、端子台及びその製造方法に関する。
例えば自動車用のワイヤーハーネス等の接続に用いられる端子台には、金属製のバスバーとハウジングとを有しており、インサート成形によりバスバーがハウジングの樹脂部分に固定されているものがある。ハウジングの樹脂部分は、通常、金属に接着しにくく、また、成形収縮等による寸法変化を起こし易い。そのため、ハウジングとバスバーとの間には不可避的に隙間が形成される。一方、端子台は、バスバーとハウジングとの間を液密に封止することを要求される場合がある。この場合には、通常、ハウジングとバスバーとの間に、上記隙間を液密に封止するための封止手段が設けられる。
例えば特許文献1には、インサート成形によって、金属製のバスバーと樹脂製のコネクタハウジングとが一体に成形されたコネクタの例が開示されている。このコネクタは、バスバーにおけるコネクタハウジングに埋設される部分に、予めシール部が配設されている。そのため、インサート成形の際にハウジングの樹脂部分とシール部とが接着される。これにより、バスバーとコネクタハウジングとの間の隙間が塞がれ、両者の間が液密に封止されている。
端子台のシール部には、一般に樹脂系の接着剤が用いられている。しかしながら、樹脂系の接着剤は、熱老化が進むと軟化するという問題を有している。そのため、端子台の使用期間が長期にわたる場合には、コネクタハウジングから接着剤が漏出することが懸念されている。近年では、より優れた性能を有する端子台が要求されており、従来の接着剤では、コネクタハウジングからの漏出を抑制することが困難になってきている。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、優れた性能を有する端子台及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、樹脂成形部を有するハウジングと、
上記樹脂成形部に埋設された埋設部及び上記樹脂成形部の開口端から外方に突出した接続部を一体に備えた板状のバスバーと、
上記埋設部と上記樹脂成形部との間に存在する隙間の一部に配され、該隙間を封止するシール部とを有し、
該シール部は、飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部以上の第2ゴム成分とを含有してなることを特徴とする端子台にある。
上記樹脂成形部に埋設された埋設部及び上記樹脂成形部の開口端から外方に突出した接続部を一体に備えた板状のバスバーと、
上記埋設部と上記樹脂成形部との間に存在する隙間の一部に配され、該隙間を封止するシール部とを有し、
該シール部は、飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部以上の第2ゴム成分とを含有してなることを特徴とする端子台にある。
また、本発明の他の態様は、樹脂成形部を有するハウジングと、上記樹脂成形部に埋設された埋設部及び上記樹脂成形部の開口端から外方に突出した接続部を一体に備えた板状のバスバーと、上記埋設部と上記樹脂成形部との間に存在する隙間の一部に配され、該隙間を封止するシール部とを有する端子台の製造方法であって、
飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の未架橋の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部以上の未架橋の第2ゴム成分と、溶剤とを混合してなる接着剤を準備する工程と、
上記接着剤を上記バスバーにおける上記埋設部となる部分に塗布する工程と、
インサート成形により上記樹脂成形部を形成すると共に上記第1ゴム成分及び上記第2ゴム成分を架橋させ、上記接着剤が加熱されてなる上記シール部を上記隙間に形成する工程とを有することを特徴とする端子台の製造方法にある。
飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の未架橋の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部以上の未架橋の第2ゴム成分と、溶剤とを混合してなる接着剤を準備する工程と、
上記接着剤を上記バスバーにおける上記埋設部となる部分に塗布する工程と、
インサート成形により上記樹脂成形部を形成すると共に上記第1ゴム成分及び上記第2ゴム成分を架橋させ、上記接着剤が加熱されてなる上記シール部を上記隙間に形成する工程とを有することを特徴とする端子台の製造方法にある。
上記端子台は、上記埋設部と上記樹脂成形部との間に存在する隙間の一部に配され、該隙間を封止するシール部を有している。そして、上記シール部は、上記第1ゴム成分及び上記第2ゴム成分を上記特定の範囲の比率で含んでなる。上記第1ゴム成分及び上記第2ゴム成分は、上記樹脂成形部に強固に接着すると共に、ハロゲン原子の存在により上記バスバーの埋設部にも強固に接着できる。それ故、上記隙間を液密に封止することができる。
また、上記シール部は、上記第1ゴム成分及び上記第2ゴム成分の両方を含むことにより熱老化の進行が遅くなるため、軟化が抑制される。その結果、上記端子台は、長期間に渡ってシール部の漏出を抑制することができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
つまり、上記第1ゴム成分は、飽和結合のみから構成されているため、熱老化に伴って高分子鎖が切断され、分子量が低下する。そのため、上記第1ゴム成分のみでは、熱老化に伴って軟化するという従来の問題を解決することができない。また、上記第2ゴム成分は、不飽和結合を有するため、熱老化に伴って不飽和結合を架橋点とする架橋結合が形成される。そのため、上記第2ゴム成分のみでは、熱老化に伴ってシール部が硬化し、樹脂成形部及び埋設部から剥離し易くなるおそれがある。
一方、上記第1ゴム成分と上記第2ゴム成分とを共存させると、上記第1ゴム成分の高分子鎖が切断された際に末端に生じるラジカルと上記第2ゴム成分の不飽和結合とが反応することにより、上記第1ゴム成分と上記第2ゴム成分との間に架橋結合が形成されると考えられる。これにより、上記第1ゴム成分の高分子鎖が切断されてなる低分子量成分の生成を抑制できるとともに、上記ラジカルによる連鎖的な高分子鎖の切断を抑制できる。その結果、上記シール部の軟化を抑制することができると考えられる。
また、上記端子台の製造方法においては、未架橋の上記第1ゴム成分と、未架橋の上記第2ゴム成分と、溶剤とを混合してなる接着剤を使用する。そのため、上記溶剤の量を調整することにより、塗布に好適な性状となるように接着剤の粘度を調整することができる。そして、粘度を調整した上記接着剤を用いることにより、上記接着剤を上記バスバー上に途切れなく塗布することができる。その結果、上記接着剤が加熱されてなる上記シール部により、上記隙間を液密に封止することが容易である。
以上のように、上記端子台は、上記隙間を液密に封止でき、かつ、上記シール部の漏出を長期間に渡って抑制することができる。それ故、上記端子台は、優れた性能を有する。また、上記製造方法を用いることにより、上記端子台を容易に作製することができる。
上記端子台において、樹脂成形部には、例えば、ガラス繊維強化された芳香族ナイロン系樹脂やガラス繊維強化されたポリブチレンテレフタレート系樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。これらの樹脂は、耐熱性、絶縁性等の端子台に要求される特性を満足すると共に、シール部との接着性が良好である。それ故、端子台の性能をより向上させることができる。
シール部に含まれる第1ゴム成分としては、例えば、エピクロロヒドリンゴム(CO)、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合体(ECO)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリル酸エステル−2−クロロエチルビニルエーテル共重合体(ACM)等を用いることができる。バスバーとの接着力及び耐熱性の観点から、第1ゴム成分としてエピクロロヒドリンゴムを用いることが好ましい。
また、第2ゴム成分としては、例えば、エピクロロヒドリンとアリルグリシジルエーテルとの2元系共重合体や、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテル及びエチレンオキシドの3元系共重合体等を用いることができる。また、ハロゲン原子及び不飽和結合は、同種のモノマーに由来する構造単位に含まれていても良く、別種のモノマーに由来する構造単位に含まれていてもよい。第1ゴム成分との親和性及びバスバーとの接着力の観点からは、第2ゴム成分として、エピクロロヒドリンに由来する構造を含むゴム成分を用いることが好ましい。また、さらに軟化を抑制する観点から、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテル及びエチレンオキシドの3元系共重合体を第2ゴム成分として用いることがより好ましい。
第2ゴム成分は、含有量が多いほどシール部の軟化を抑制する効果が高くなり、より長期間に渡ってシール部の漏出を抑制できる。端子台からのシール部の漏出を抑制する観点から、第2ゴム成分の含有量は、100質量部の第1ゴム成分に対して3質量部以上とする。これにより、端子台からのシール部の漏出を長期間抑制することができ、要求される性能を十分に満足することができる。第2ゴム成分の含有量が3質量部未満の場合には、シール部の軟化が早く進行するため、端子台からシール部が漏出するまでの期間がより短くなる。
一方、第2ゴム成分の含有量が過度に多い場合には、熱老化に伴って硬化するという第2ゴム成分の性質が顕著に現れるため、熱老化が進んだ際に、シール部が樹脂成形部等から剥離するおそれがある。このような問題を回避する観点から、第2ゴム成分の含有量は50質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。
また、シール部は、100質量部の第1ゴム成分に対して5〜20質量部の第2ゴム成分を含有してなることがより好ましい。この場合には、上述したシール部の軟化を抑制する効果を十分に得ることができるとともに、シール部と埋設部との密着性及びシール部と樹脂成形部との密着性の両方が高い状態をより長期間に渡って維持することができる。その結果、埋設部と樹脂成形部との間を長期間に渡って液密に封止することができる。
以上のように、上記端子台は、優れた性能を有するため、過酷な使用条件の下でも埋設部と樹脂成形部との間を液密に封止できると共に、封止された状態を長期間維持することができる。そのため、上記端子台は、一般民生向けに比べてより優れた性能が要求される、自動車用ワイヤーハーネスを接続するための端子台として好適に用いることができる。
次に、上記端子台の製造方法について説明する。上記接着剤は、100質量部の未架橋の第1ゴム成分、3質量部以上の未架橋の第2ゴム成分及び溶剤を混合して作製される。このように、未架橋のゴム成分を用いることにより、溶剤との混合を容易に行うことができ、ひいては均一に混合された接着剤を容易に得ることができる。上記溶剤としては、上述したゴム成分等と均一に混合可能なものであれば、種々のものを用いることができる。
また、接着剤には、必要に応じて上述したゴム成分を架橋させる架橋剤を混合しても良い。第1ゴム成分及び第2ゴム成分の少なくとも一方が自己架橋性を有する場合には、架橋剤を混合しない構成とすることも可能である。また、接着剤には、さらに、フィラーや滑剤等の、一般的にゴムに用いられる添加剤を配合してもよい。
このように構成された接着剤は、インサート成形時に受ける熱及び圧力により、溶剤が揮発すると同時に上述したゴム成分が架橋する。これにより、シール部が形成される。また、樹脂成形部及びバスバーの両方に接触した状態でゴム成分の架橋反応が進行するため、シール部が、バスバー及び樹脂成形部の各々に対して強固に接着される。
(実施例)
上記端子台の実施例について、図1〜図4を用いて説明する。図1〜図4に示すように、端子台1は、樹脂成形部21を有するハウジング2と、板状のバスバー3と、シール部4とを有している。図3に示すように、バスバー3は、樹脂成形部21に埋設された埋設部32及び樹脂成形部21の開口端211から外方に突出した接続部31を一体に備えている。図3及び図4に示すように、シール部4は、埋設部32と樹脂成形部21との間に存在する隙間5の一部に配され、隙間5を封止している。また、シール部4は、後述するように、飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部の第2ゴム成分とを含有してなる。
上記端子台の実施例について、図1〜図4を用いて説明する。図1〜図4に示すように、端子台1は、樹脂成形部21を有するハウジング2と、板状のバスバー3と、シール部4とを有している。図3に示すように、バスバー3は、樹脂成形部21に埋設された埋設部32及び樹脂成形部21の開口端211から外方に突出した接続部31を一体に備えている。図3及び図4に示すように、シール部4は、埋設部32と樹脂成形部21との間に存在する隙間5の一部に配され、隙間5を封止している。また、シール部4は、後述するように、飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部の第2ゴム成分とを含有してなる。
図1〜図4に示すように、端子台1のハウジング2は略平板状を呈しており、その中央部に樹脂成形部21が設けられている。また、樹脂成形部21には、複数のバスバー3が貫通配置されている。複数のバスバー3は、埋設部32の幅方向に互いに並んでいる。また、バスバー3は、埋設部32の長手方向がハウジング2の厚み方向を向くように配置されている。なお、以下において、バスバー3の並び方向を「横方向Y」という。また、埋設部32の長手方向を「高さ方向Z」といい、埋設部32の厚み方向を「縦方向X」という。
図1及び図2に示すように、ハウジング2は熱可塑性樹脂よりなる樹脂成形部21を有している。樹脂成形部21は、図1〜図3に示すように、バスバー3の埋設部32を覆う流路壁部212を有している。流路壁部212は、隙間5における開口端211からシール部4に到達するまでの領域よりなるシール部4の流路51を、縦方向X及び横方向Yの四方から覆っている。なお、本例の樹脂成形部21は、ガラス繊維強化された芳香族系ナイロン樹脂より形成されている。
また、本例においては、埋設部32の厚み方向(縦方向X)における流路壁部212の厚み寸法d(図4参照)は3mmである。このように、厚み寸法dを3mm以下にすることにより、端子台1が加熱された際の熱膨張による変形を小さくすることができ、ひいては、縦方向Xにおいて隙間5が過度に広がることを抑制できる。その結果、端子台1が加熱された状態において、シール部4が流路51内を流れる際の抵抗が小さくなることを防止でき、シール部4の漏出をより長期間に渡って抑制できる。また、同じ観点から、埋設部32の厚み方向(縦方向X)における流路壁部212の厚み寸法dを2mm以下とすることがより好ましい。
バスバー3はスズめっきされた銅板より構成されており、図1〜図3に示すように、樹脂成形部21を貫通すると共にインサート成形により樹脂成形部21に固定されている。本例のバスバー3は、長手方向に直交する断面が幅12.5mm×厚み2.5mmの長方形状を呈している。
また、図3に示すように、バスバー3は、樹脂成形部21に埋設された埋設部32の両端に接続部31を有している。各々の接続部31は、ワイヤーハーネス等を締結するための締結孔311及び締結ナット312を有している。
シール部4は、隙間5の一部に設けられ、埋設部32と樹脂成形部21との間を液密に封止している。なお、本例においては、シール部4に含まれる第1ゴム成分として、エピクロロヒドリンゴム(ダイソー(株)製、「エピクロマー(登録商標)H」)を用いている。また、第2ゴム成分としては、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテル及びエチレンオキサイドからなる3元系共重合体(ダイソー(株)製、「エピクロマー(登録商標)CG」)を用いている。
本例の端子台1は、以下の製造方法により作製することができる。まず、100質量部の未架橋の第1ゴム成分、3質量部の未架橋の第2ゴム成分及び溶剤を混合してなる接着剤を準備する工程を実施する。接着剤の詳細な組成は、以下の通りである。
・第1ゴム成分(ダイソー(株)製、製品名「エピクロマー(登録商標)H」);100質量部
・第2ゴム成分(ダイソー(株)製、製品名「エピクロマー(登録商標)CG」);3質量部
・ステアリン酸(花王(株)製、「ルナック(登録商標)S−50V」);3質量部
・酸化マグネシウム(神島化学工業(株)製、「CX150」);3質量部
・架橋剤(川口化学工業(株)製、「アクセル(登録商標)22−S」);1.2質量部
・溶剤;210質量部
なお、溶剤には、トルエン、キシレン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンが含まれている。
・第2ゴム成分(ダイソー(株)製、製品名「エピクロマー(登録商標)CG」);3質量部
・ステアリン酸(花王(株)製、「ルナック(登録商標)S−50V」);3質量部
・酸化マグネシウム(神島化学工業(株)製、「CX150」);3質量部
・架橋剤(川口化学工業(株)製、「アクセル(登録商標)22−S」);1.2質量部
・溶剤;210質量部
なお、溶剤には、トルエン、キシレン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンが含まれている。
次いで、別途準備したバスバー3における埋設部32となる部分に接着剤を塗布する工程を実施する。本例においては、塗布時の接着剤の厚みは0.02〜0.3mmの範囲とした。また、塗布後に接着剤を自然乾燥させる工程を実施した。
その後、インサート成形により樹脂成形部21を形成すると共に第1ゴム成分及び第2ゴム成分を架橋させ、接着剤が加熱されてなるシール部4を隙間5に形成する工程を実施する。インサート成形を行うことにより、溶融状態まで加熱された樹脂と接着剤とが接触するため、接着剤が加熱される。これにより、溶剤が揮発すると共に第1ゴム成分及び第2ゴム成分が架橋剤により架橋される。その結果、埋設部32と樹脂成形部21との隙間5にシール部4が形成される。以上により、端子台1を得ることができる。
次に、本例の作用効果について説明する。端子台1は、埋設部32と樹脂成形部21との間に存在する隙間5の一部に配され、隙間5を封止するシール部4を有している。そして、シール部4は、第1ゴム成分及び第2ゴム成分を上記特定の範囲の比率で含んでなる。そのため、端子台1は、隙間5を液密に封止することができる。
また、シール部4は、第1ゴム成分及び第2ゴム成分の両方を含むことにより熱老化の進行が遅くなるため、軟化が抑制される。その結果、端子台は、長期間に渡ってシール部の漏出を抑制することができる。
また、端子台1は、上述の製造方法により作製することができる。そのため、接着剤の粘度を調整することができ、ひいては接着剤をバスバー3上に途切れなく塗布することができる。その結果、接着剤が加熱されてなるシール部4により、隙間5を液密に封止することが容易である。
以上のように、端子台1は、隙間5を液密に封止でき、かつ、シール部4の漏出を長期間に渡って抑制することができる。それ故、端子台1は、優れた性能を有する。また、上記製造方法を用いることにより、端子台1を容易に作製することができる。
(実験例1)
本例は、第2ゴム成分の含有量を種々に変更した端子台1を作製し、性能を評価した実験例である。本例の端子台1(試験体1〜試験体6)は、表1に示す比率で各成分を混合した6種の接着剤(接着剤A〜接着剤F)を用い、実施例1と同様の方法により作製した。なお、試験体5及び試験体6は、試験体1〜試験体4との比較のため、第2ゴム成分を含有しない接着剤E及び第1ゴム成分を含有しない接着剤Fを用いて作製した。これらの6種の接着剤及び試験体を用いて、以下の評価を行った。
本例は、第2ゴム成分の含有量を種々に変更した端子台1を作製し、性能を評価した実験例である。本例の端子台1(試験体1〜試験体6)は、表1に示す比率で各成分を混合した6種の接着剤(接着剤A〜接着剤F)を用い、実施例1と同様の方法により作製した。なお、試験体5及び試験体6は、試験体1〜試験体4との比較のため、第2ゴム成分を含有しない接着剤E及び第1ゴム成分を含有しない接着剤Fを用いて作製した。これらの6種の接着剤及び試験体を用いて、以下の評価を行った。
まず、150℃で1000時間加熱する熱老化処理を施した後の接着剤の伸び及びせん断接着強度を、接着剤A〜接着剤Fのそれぞれについて測定した。測定方法を以下に説明する。
<接着剤の伸び>
接着剤をシート状に成形した後、150℃で30分加熱することにより第1ゴム成分及び第2ゴム成分を架橋させた。その後、得られたシート状の接着剤に上述した熱老化処理を施した。そして、熱老化処理後の接着剤を用いて引張試験を行い、伸びを測定した。その結果を表1に示す。
接着剤をシート状に成形した後、150℃で30分加熱することにより第1ゴム成分及び第2ゴム成分を架橋させた。その後、得られたシート状の接着剤に上述した熱老化処理を施した。そして、熱老化処理後の接着剤を用いて引張試験を行い、伸びを測定した。その結果を表1に示す。
<せん断接着強度>
スズめっきされた銅板及びガラス繊維強化された芳香族系ナイロン樹脂からなる樹脂板が重なっており、重なり部分に接着剤が設けられた、JIS K 6850に規定された形状を有する試験片を作製した。なお、試験片の作製手順は、上述した端子台1の製造方法に準じたものとした。すなわち、まず、スズめっきされた銅板に接着剤を0.03〜0.2mmの厚みで塗布した後、接着剤を乾燥させた。次いで、インサート成形により、接着剤と重なるように樹脂板を形成した。そして、得られた試験片に上述した熱老化処理を施した後、JIS K 6850に規定された方法に準じて引張試験を行い、接着剤のせん断接着強度を測定した。その結果を表1に示す。
スズめっきされた銅板及びガラス繊維強化された芳香族系ナイロン樹脂からなる樹脂板が重なっており、重なり部分に接着剤が設けられた、JIS K 6850に規定された形状を有する試験片を作製した。なお、試験片の作製手順は、上述した端子台1の製造方法に準じたものとした。すなわち、まず、スズめっきされた銅板に接着剤を0.03〜0.2mmの厚みで塗布した後、接着剤を乾燥させた。次いで、インサート成形により、接着剤と重なるように樹脂板を形成した。そして、得られた試験片に上述した熱老化処理を施した後、JIS K 6850に規定された方法に準じて引張試験を行い、接着剤のせん断接着強度を測定した。その結果を表1に示す。
次に、接着剤A〜接着剤Fを用いて作製された6種の端子台1(試験体1〜試験体6)について、シール部4の漏出の有無の評価及びシール部4の密着性を評価するためのリークテストを実施した。評価方法を以下に説明する。
<シール部4の漏出の有無の評価>
バスバー3の長手方向が鉛直方向と平行になるように端子台1を固定した。この状態で上述した熱老化処理を端子台1に施し、熱老化処理後におけるシール部4の漏出の有無を目視にて観察した。その結果を表2に示す。
バスバー3の長手方向が鉛直方向と平行になるように端子台1を固定した。この状態で上述した熱老化処理を端子台1に施し、熱老化処理後におけるシール部4の漏出の有無を目視にて観察した。その結果を表2に示す。
<リークテスト>
予め熱老化処理を施した端子台1の樹脂成形部21における一方の開口端211a(図3参照)から流路51内に圧力100kPaの圧縮空気を導入した。そして、他方の開口端211bからの圧縮空気の漏出の有無を判定した。その結果を表2に示す。
予め熱老化処理を施した端子台1の樹脂成形部21における一方の開口端211a(図3参照)から流路51内に圧力100kPaの圧縮空気を導入した。そして、他方の開口端211bからの圧縮空気の漏出の有無を判定した。その結果を表2に示す。
表1及び表2より知られるように、試験体1〜試験体4は、100質量部の第1ゴム成分及び3質量部以上の第2ゴム成分を含んでいるため、熱老化処理を行った後にシール部4が漏出しなかった。また、試験体1〜4は、リークテストにおいて圧縮空気が他方の開口端211bから漏出せず、シール部4は優れた密着性を示した。
一方、第2ゴム成分を有しない試験体5は、熱老化処理を行った後にシール部4が漏出した。また、試験体5及び試験体6は、リークテストにおいて圧縮空気が他方の開口端211bから漏出した。
以上の結果から、シール部4が第1ゴム成分及び第2ゴム成分の両方を含むことにより、長期間に渡ってシール部4の漏出を抑制できることがわかる。また、シール部4は、第1ゴム成分及び第2ゴム成分の両方を含むことにより、樹脂成形部21と埋設部32との間を長期間に渡って液密に封止できることがわかる。
(実験例2)
本例は、熱老化処理の加熱時間を1000時間から1200時間に延長した以外は、実験例1と同様の方法により接着剤及び端子台1の性能評価を行った例である。なお、本例においては、実験例1における接着剤A〜接着剤D及び試験体1〜試験体4を用いて評価を行った。
本例は、熱老化処理の加熱時間を1000時間から1200時間に延長した以外は、実験例1と同様の方法により接着剤及び端子台1の性能評価を行った例である。なお、本例においては、実験例1における接着剤A〜接着剤D及び試験体1〜試験体4を用いて評価を行った。
150℃で1200時間加熱する熱老化処理を実施した後の接着剤A〜接着剤Dの伸び及びせん断接着強度の測定結果を表3に示す。
表3及び表4に示すように、試験体2及び試験体3は、100質量部の第1ゴム成分に対して第2ゴム成分を5〜20質量部含んでいるため、150℃で1200時間加熱する熱老化処理を行った後に、シール部4が漏出しなかった。また、試験体2及び試験体3は、リークテストにおいて圧縮空気が他方の開口端211bから漏出せず、シール部4は優れた密着性を示した。
一方、第2ゴム成分の含有量が3質量部である試験体1は、熱老化処理を行った後に、シール部4が漏出すると共に、リークテストにおいても圧縮空気が他方の開口端211bから漏出した。これは、第2ゴム成分の含有量が試験体2及び試験体3に比べて少ないことにより、シール部4の軟化が早く進行したためと考えられる。
また、第2ゴム成分の含有量が25質量部である試験体4は、熱老化処理を行った後に、シール部4の漏出は起こらなかったが、リークテストにおいて、圧縮空気が他方の開口端211bから漏出した。接着剤Dは、表3に示すように、接着剤B及び接着剤Cに比べて、熱老化処理後の伸びが小さく、かつ、せん断接着強度が高くなっている。すなわち、接着剤Dは、熱老化処理によって接着剤Bや接着剤Cよりも硬くなっていると考えられる。その結果、接着剤Dを加熱してなるシール部4は、樹脂成形部21及びバスバー3から剥離し易くなっていると考えられる。
実験例1及び実験例2から知られるように、100質量部の第1ゴム成分に対して3質量部以上の第2ゴム成分がシール部4に含まれることにより、熱老化処理による軟化が抑制され、シール部4の漏出を抑制することができる。また、第2ゴム成分の含有量を5〜20質量部の範囲内にすることにより、シール部4の漏出を抑制するとともに、シール部4と樹脂成形部21との密着性及びシール部4と埋設部32との密着性が高い状態を長期間に渡って維持することができる。その結果、樹脂成形部21と埋設部32との間をより長期間に渡って液密に封止することができる。
1 端子台
2 ハウジング
21 樹脂成形部
211 開口端
3 バスバー
31 接続部
32 埋設部
4 シール部
5 隙間
2 ハウジング
21 樹脂成形部
211 開口端
3 バスバー
31 接続部
32 埋設部
4 シール部
5 隙間
Claims (9)
- 樹脂成形部を有するハウジングと、
上記樹脂成形部に埋設された埋設部及び上記樹脂成形部の開口端から外方に突出した接続部を一体に備えた板状のバスバーと、
上記埋設部と上記樹脂成形部との間に存在する隙間の一部に配され、該隙間を封止するシール部とを有し、
該シール部は、飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部以上の第2ゴム成分とを含有してなることを特徴とする端子台。 - 上記第1ゴム成分はエピクロロヒドリンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の端子台。
- 上記第2ゴム成分は、エピクロロヒドリンに由来する構造を含む共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の端子台。
- 上記シール部は、100質量部の上記第1ゴム成分に対して5〜20質量部の上記第2ゴム成分を含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子台。
- 自動車用ワイヤーハーネスを接続するための端子台であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子台。
- 樹脂成形部を有するハウジングと、上記樹脂成形部に埋設された埋設部及び上記樹脂成形部の開口端から外方に突出した接続部を一体に備えた板状のバスバーと、上記埋設部と上記樹脂成形部との間に存在する隙間の一部に配され、該隙間を封止するシール部とを有する端子台の製造方法であって、
飽和結合のみからなると共にハロゲン原子を含有する100質量部の未架橋の第1ゴム成分と、不飽和結合を有すると共にハロゲン原子を含有する3質量部以上の未架橋の第2ゴム成分と、溶剤とを混合してなる接着剤を準備する工程と、
上記接着剤を上記バスバーにおける上記埋設部となる部分に塗布する工程と、
インサート成形により上記樹脂成形部を形成すると共に上記第1ゴム成分及び上記第2ゴム成分を架橋させ、上記接着剤が加熱されてなる上記シール部を上記隙間に形成する工程とを有することを特徴とする端子台の製造方法。 - 上記第1ゴム成分はエピクロロヒドリンゴムであることを特徴とする請求項6に記載の端子台の製造方法。
- 上記第2ゴム成分は、エピクロロヒドリンに由来する構造単位を含む共重合体であることを特徴とする請求項6または7に記載の端子台の製造方法。
- 上記接着剤は、100質量部の上記第1ゴム成分及び5〜20質量部の上記第2ゴム成分を含有していることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の端子台の製造方法。
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JP2014009951A JP2015138680A (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 端子台及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20170066842A (ko) * | 2015-12-07 | 2017-06-15 | 현대모비스 주식회사 | 시동 발전기 |
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-
2014
- 2014-01-23 JP JP2014009951A patent/JP2015138680A/ja active Pending
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