JP4802555B2 - 成型用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、コネクタについては、一液型のシリコーン樹脂組成物等を注入硬化させ防水、止水するなどの方法、具体的には、図6に示すコネクタ60のように、成型部61をエチレン・プロピレン共重合体(EPDM)等のゴム部材を使用し、接合部62と導線63を接合する部分に一液型のシリコーン樹脂組成物等を注入する場合が知られているが、一液型のシリコーン樹脂組成物等の硬化時間が長く工場内で1〜2時間程放置しておく必要があるといった問題があった。
特許文献1には、「粘度が10〜500Pa・sであり、圧力が5MPa未満である条件で、吐出成型が可能な芳香族ポリエステル系成型用樹脂組成物。」が記載されており、特許文献2には、「芳香族ポリエステル(a)と、タッキファイヤー(b)と、1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物(c)とを含有する成型用樹脂組成物」が記載されている。
これに対し、本発明者は、老化防止剤等を添加して、粘度の低減の改善を試みたが、老化防止剤を添加しても粘度の低減を抑えることができなかった。
(1)芳香族ポリエステル(a)と、タッキファイヤー(b)と、1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物(c)と、ジエン系ゴムまたはその水添物(d)とを含有し、
上記ジエン系ゴムまたはその水添物(d)の含有量が、上記芳香族ポリエステル(a)100質量部に対して、1質量部超30質量部未満であり、
上記タッキファイヤー(b)の含有量が、上記芳香族ポリエステル(a)100質量部に対して、1〜50質量部であり、
上記ポリオール化合物(c)の含有量が、上記芳香族ポリエステル(a)100質量部に対して、0.5〜50質量部であり、
上記芳香族ポリエステル(a)として、テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルA、および、テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールとポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルBを含有する、成型用樹脂組成物。
(2)190℃における粘度が10〜500Pa・sであり、5MPa未満の圧力で吐出成型が可能である、上記(1)に記載の成型用樹脂組成物。
(3)上記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とセバシン酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルCを含有する、上記(1)または(2)に記載の成型用樹脂組成物。
(4)上記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とε−カプロラクトンとを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルDを含有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
(5)上記タッキファイヤー(b)が、ロジン系タッキファイヤーである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
(6)上記ロジン系タッキファイヤーが、ロジンジオールである、上記(5)に記載の成型用樹脂組成物。
(7)上記ポリオール化合物(c)が、ポリカーボネートジオールである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
(8)上記ジエン系ゴムまたはその水添物(d)が、ニトリルゴム(NBR)である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の成型用樹脂組成物を用いて電子機器端部に防水保護被覆を形成する防水保護被覆の製造方法であって、
上記成型用樹脂組成物を溶融する溶融工程と、該溶融工程により溶融した成型用樹脂組成物を5MPa未満の圧力で電子機器端部に吐出成型する吐出成型工程とを具備する、防水保護被覆の製造方法。
(10)上記(9)に記載の製造方法により得られる防水保護被覆。
以下に、芳香族ポリエステル(a)、タッキファイヤー(b)、ポリオール化合物(c)およびジエン系ゴムまたはその水添物(d)について詳細に説明する。
上記芳香族ポリエステル(a)は、芳香族酸とグリコールとの縮合反応から得られる芳香族ポリエステルであることが好ましい。
このような芳香族ポリエステル(a)としては、具体的には、例えば、テレフタル酸および/またはイソフタル酸を含有する酸成分と、エチレングリコール(以下、「EG」と略す。)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略す。)、ネオペンチルグリコール(以下、「NPG」と略す。)および1,4−ブタンジオール(以下、「1,4−BD」と略す。)からなる群より選択される少なくとも1種を含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルを含有する芳香族ポリエステルが挙げられ、1種単独であってもよく、2種以上を併用するものであってもよい。
より具体的には、下記に示すポリエステルA〜Dを併用(含有)する芳香族ポリエステルが好適に例示される。
ポリエステルBとは、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸との混合物を用い、水酸基成分としてPTMGと1,4−BDとの混合物を用いて、縮合反応により得られるポリエステルをいい、このポリエステルBの溶融状態における流動性を示す尺度である溶融指数(メルトインデックス)(以下、「MI」と略す)は、200℃において10以上であることが好ましく、13〜50であることがより好ましい。ポリエステルBのMIがこの範囲であると、成型時の粘度を低く保ち、成型後の耐熱性が優れる。ここで、上記PTMGは1,4−BDを重合させて得られる重合体であれば特に限定されず、数平均分子量が2000以上であることが好ましく、市販品として三菱化学社製のH−283を用いることができる。
ポリエステルCとは、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸とセバシン酸との混合物を用い、水酸基成分として1,4−BDを用いて、縮合反応により得られるポリエステルをいい、このポリエステルCの190℃での粘度は200〜700Pa・sであることが好ましく、400〜600Pa・sであることがより好ましい。
ポリエステルDとは、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸とε−カプロラクトンとの混合物を用い、水酸基成分として1,4−BDを用いて、縮合反応により得られるポリエステルをいい、このポリエステルDの190℃での粘度は100〜300Pa・sであることが好ましく、150〜200Pa・sであることがより好ましい。
上記ポリエステルA、B、CおよびDの含有割合がこの範囲であるのが、得られる本発明の樹脂組成物の成型時の粘度を低く保ちながら成型後の固化物により高い柔軟性を与えることが可能であり、成型後の固化物の耐油性、耐ガソリン性がより向上するため好ましい。更に、成型後の硬化時間が短く、養生の必要性がないことからも好ましい。
タッキファイヤー(b)は、従来公知のタッキファイヤー(粘着付与剤)を用いることができ、具体的には、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー、石油樹脂系タッキファイヤーが例示される。
上記ロジン系タッキファイヤーとしては、例えば、松ヤニや松根油中のアビエチン酸を主成分とするロジン酸とグリセリンやペンタエリスリトールとのエステル、および、それらの水添物、不均化物が挙げられ、具体的には、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、変性ロジン、ロジンエステル等が好適に例示される。
テルペン系タッキファイヤーとしては、例えば、松に含まれるテルピン油やオレンジの皮などに含まれる天然のテルペンを重合したものが挙げられ、具体的には、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂等が好適に例示される。
石油樹脂系タッキファイヤーとしては、例えば、石油を原料とした脂肪族、脂環族、芳香族系の樹脂が挙げられ、具体的には、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、スチレン系石油樹脂等が好適に例示される。
上記ポリオール化合物(c)は、1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物であって、上記芳香族ポリエステル(a)と上記タッキファイヤー(b)とを相溶させる相溶化剤として働くものであれば特に限定されない。
このようなポリオール化合物(c)としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、更に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプチレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;ポリブタンジエンポリオール、ポリイソプレングリコール等のポリオレフィン系ポリオール;アジペート系ポリオール;ラクトン系ポリオール;ひまし油等のポリエステル系ポリオール等の多価アルコール類;レゾルシン、ピスフェノール等の多価フェノール類が使用可能である。ポリオール化合物(c)は、これらの各ポリオールを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これは、水酸基を2個以上有するポリオール化合物(c)を添加することで、タッキファイヤー(b)が芳香族ポリエステル(a)の非結晶部分に優先的にとり込まれるためであると考えられる。
ここで、上記溶融時に起こる分離とは、成型用樹脂組成物において、芳香族ポリエステル(a)とタッキファイヤー(b)との分離のことである。
したがって、本発明の樹脂組成物は、後述する実施例に示すように、耐ガソリン浸漬後、500および800サイクルの長期のヒートショック試験後、振動を加えた老化試験(振動試験)後においてもエアー漏れを起こすことがないため、コネクタ・ハーネス等の端部の封止剤・防水保護剤として有用であり、また、ポッティング材(電気回路を衝撃、振動もしくは湿気等から守るために、電気回路全体に埋め込まれる充填材)としても有用である。
上記ジエン系ゴムまたはその水添物(d)は、従来公知のジエン系ゴムおよびその水添物を用いることができ、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR、NIR、NBIR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などのジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、耐ガソリン性がより向上する観点から、ジエン系ゴムまたはその水添物(d)としてニトリルゴム(NBR)を用いることが好ましい。
ここで、上記吐出成型は、120〜230℃の範囲で行われることが好ましく、180〜210℃の範囲で行われることがより好ましい。この温度範囲であると、上記吐出成型に用いる成型用樹脂組成物の安定性が向上し、更に溶融時の粘度が上述した範囲内となる理由から好ましい。また、圧力とは、上記吐出成型時において、吐出口から上記成型用樹脂組成物を吐出させる際の圧力のことである。
具体的には、上記吐出成型は、溶融した成型用樹脂組成物を、電子機器端部を入れたモールド内に、5MPa未満、好ましくは1〜4MPaの圧力で、ホットメルトガン、ホットメルトアプリケータ等を用いて吐出し、該モールド内で成型する工程である。またはホットメルトガン、ホットメルトアプリケータで吐出し、ポッティングする工程である。
したがって、本発明の第2の態様に係る防水保護被覆の製造方法を用いれば、低温・低圧力での成型が可能であるため、図1の(A)〜(D)に示すように、剥離部1を有するPVC被覆導線2の封止は、アルミ製のモールド3およびゴムパッキン4を用いた製造装置の使用が可能となり、成型上のコストダウンも図られるため好ましい。具体的には、(C)で示すモールドの形状(アルミ製のモールド3とゴムパッキン4で密閉された状態)で、注入部5(矢印方向)からHM材料を注入し、該HM材料を注入経路6に通し、HM成型用鋳型7に移行させる。その後、該HM材料をHM成型用鋳型7にて成型させ、脱型させることで(D)で示す成型部8を有する成型品の形状となる。
更に、本発明の第2の態様に係る防水保護被覆の製造方法は、用いる本発明の樹脂組成物が長時間溶融状態とした場合であっても粘度低減を抑制することができるため、仮に、溶融工程の後に、吐出成型工程に移行するまでに時間を要した場合であっても、吐出時に粘度を調整する必要がないため有用である。
したがって、上記電子機器端部に形成される防水保護被覆は、金属やポリ塩化ビニル(PVC)との密着性に優れていることが、上記したコネクタ・ハーネスなどの端部、コードとコードの接続部、電子機器の基板などに用いることが可能となる理由から好ましい。特に、アース部分などから水分が浸入してくるような自動車に用いられているハーネスにおいては、図2のハーネス20に示すように、本発明の第3の態様に係る防水保護被覆を成型部21に用いれば、該成型部21を介して接合部22と接合されている導線23を途中で切断したり大気開放部などを設ける作業の必要性がないため、デザイン等の規制も受けず、低コストで量産性に優れているため好ましい。
後述する実施例に示すように、本発明の防水保護被覆は、下記(i)〜(xi)に示す特性を有しているため非常に有用である。即ち、本発明の防水保護被覆は、(i)伸びが500%以上であり柔軟性に優れ、(ii)硬度(ショアD)が40以下であり柔軟性に優れ、(iii)PVCおよび金属との接着性に優れている。また、(iv)成型性に優れ、(v)脱型性に優れ、(vi)120℃の温度で老化後において、エアー漏れや割れがなく、形が崩れることがないため耐熱性に優れている。更に、(vii)ガソリン中、1時間浸漬後において、エアー漏れや割れがなく、形が崩れることがないため耐ガソリン性に優れ、(viii)温度80℃、湿度95%(以下、80℃×95%と略す)の高温高湿下、300時間放置後において、エアー漏れや割れがなく、形が崩れることがないため耐高温高湿性に優れている。また、(xi)界面活性剤50%の食器洗浄用洗剤中、1日浸漬後において、エアー漏れや割れがなく、形が崩れることがないため耐界面活性剤性に優れており、(x)ヒートショック試験(500サイクルおよび800サイクル)後、エアー漏れや割れがなく、形が崩れることがないため耐ヒートショック性に優れ、(xi)振動試験後において、エアー漏れや割れがなく、形が崩れることがないため耐振動性に優れている。
ポリエステルは、目的の酸成分および水酸基成分が含まれていればよく、ポリエステルAとしてユニチカ社製のエリーテルUE3320、ポリエステルBとして東レ・デュポン社製のハイトレル4057、ポリエステルCとしてユニチカ社製のエリーテルUE3410、ポリエステルDとしてユニチカ社製のエリーテルUE3800を使用した。ポリエステルA〜Dの酸成分および水酸基成分のモル比を下記表1に示す。
下記表2に示す組成成分(質量部)でポリエステルA〜Dを含有する芳香族ポリエステル(a)100質量部に対して、下記表2に示す組成成分(質量部)で、タッキファイヤー(b)であるロジン系タッキファイヤー、ポリオール化合物(c)であるポリカーボネート、ジエン系ゴムまたはその水添物(d)であるNBRならびに老化防止剤および加硫剤をニーダを用いて混合し、成型用樹脂組成物とした。
なお、上記組成成分のニーダによる混合は、200℃下において、4LのニーダにポリエステルA〜Dおよび老化防止剤を粘度が高い順にニーダに投入して行った。2回目以降の投入は、先に投入された組成成分が溶融したことを確認した後に行った。ポリエステルA〜Dおよび老化防止剤を全て投入した後に、ポリオール化合物(c)およびタッキファイアー(b)をこの順で投入した。30分で全ての組成成分を投入し、1時間後に混練物を取り出し、成型用樹脂組成物を得た。
ロジン系タッキファイヤーとして、パインクリスタルKE−6011(荒川化学工業社製)を用いた。
ポリオール化合物(c)として、ポリカーボネートジオール(商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学工業社製)を用いた。
老化防止剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)、フォスファイト系酸化防止剤(HP−10、旭電化工業社製)、ヒンダードアミン敬酸化防止剤(LA−52、旭電化工業社製)を用いた。
加硫剤として、ビスマレイミド(HVA−2、デュポン社製)を用いた。
混練は、ニーダーにて行い、混練終了時に粒状の不溶物が残存する場合を×と評価し、粒状の不溶物がなく、均一に混練できた場合を○と評価した。
粘度測定は、JIS−K7117−1に準拠して行った。B型粘度計(東京計器社製)を用い、得られた各成型用樹脂組成物を成型時の温度にて30分間溶融した後、3号ローターを用いて回転させ、10rpmにおいて粘度測定を行った。
200℃、72時間(200℃×72h)老化後の粘度測定を上述の方法と同様の方法により測定した。
得られた各成型用樹脂組成物を溶融させ、200℃、24時間(200℃×24h)老化および200℃、72時間(200℃×72h)老化後に冷却固化させたそれぞれの成型用樹脂組成物について、各組成成分の混合状態を目視により確認し、ポリエステル(a)とタッキファイヤー(b)とが分離している状態であるものを×、相溶している状態であるものを○とした。
硬度(ショアA)の測定は、JIS Z2246-2000 に準拠して行った。得られた各成型用樹脂組成物の硬度を、A型ショア硬度計を用いて測定した。
柔軟性の評価は、得られた各成型用樹脂組成物を140℃熱プレスにて3mmの厚さに成型し、25mm×100mmに切断することによって試験片を作製した後に、試験片を中心で折り曲げる(試験片の一端を他端に貼り合わせる)180°曲げ試験により行った。曲げにより試験片が折れなかった場合を○と評価し、試験片が折れた場合を×と評価した。
(i)PVC接着性
PVC接着性の測定は、JIS K6256に準拠して行った。3mmの厚さのPVC(商品名:タフニール、タカフジ社製)を25mm×150mmに切り出しPVC試験片とした。PVC試験片に、得られた各成型用樹脂組成物をモールドを用いて図3(A)のように成型し、PVC試験片30と成型用樹脂組成物31とを剥離するように、それぞれに対して図3(B)に示す2つの矢印方向に引張り応力を加える180°剥離試験を行い、該PVC試験片30と成型用樹脂組成物31とが剥がれだしたときの最大引張応力(N/25mm)を測定した。引張り速度は、50mm/minとした。
(ii)金属接着性
幅30mm、長さ150mm、厚さ0.8mmの銅板2枚をそれぞれ長さ75mmの個所で二つ折りにし、該銅板2枚と得られた成型用樹脂組成物(全銅板平面の1/2を覆う)とを図4(A)のように成型し、銅板40と成型用樹脂組成物41とを剥離するように、2枚の銅板40に対して図4(B)に示す2つの矢印方向に引張り応力を加える180°剥離試験を行い、該銅板40と成型用樹脂組成物41とが剥がれだしたときの最大引張応力(N/25mm)を測定した。引張り速度は、50mm/minとし、最大引張応力が50N/25mm以上であれば「○」と評価した。
PVC被覆コードを図1に示すアルミ製のモールドおよびゴムパッキンでの製造装置を用いて成型を行った。
(i)モールド注入性
ホットメルトアプリケーターを用い、エアー圧0.4MPaで、得られた成型用樹脂組成物を注入し、規定の形に成型されるまでの注入時間(秒)を測定した。
(ii)脱型性
上記モールドを用い、得られた成型用樹脂組成物を注入後、形が変形しないようにモールドから脱型できるまでの時間を測定した。
図1に示すアルミ製のモールドおよびゴムパッキンでの製造装置を用いて、PVC被覆コードを成型した成型物(防水保護被覆)を使用し防水性の確認を行った。下記表2中、n=10とは、サンプル数10個で評価したことを表す。
(i)オリジナル
防水性の確認は、得られた成型物を水に浸漬させ、コード側より0.3MPaのエアーを加え、モールド部分からエアー漏れがなければ○とした。
(ii)耐熱性
得られた成型物を120℃のオーブン内に入れ、72時間老化後、上記防水性の確認を行いエアー漏れがなく形状の変化がなければ○とし、エアー漏れや形状の変化がある場合を×とした。
(iii)耐ガソリン性
得られた成型物を50℃のガソリン中へ1時間浸漬させ、上記防水性の確認を行いエアー漏れがなく形状の変化がなければ○とし、エアー漏れや形状の変化がある場合を×とした。
(iv)耐高温高湿性
得られた成型物を80℃×95%の高温高湿オーブンに入れ、300時間老化後、上記防水性の確認を行いエアー漏れがなく形状の変化がなければ○とし、エアー漏れや形状の変化がある場合を×とした。
(v)耐界面活性剤性
得られた成型物を界面活性剤50%含有の洗剤中へ1時間浸漬させ、上記防水性の確認を行いエアー漏れがなく形状の変化がなければ○とした。
(vi)耐ヒートショック性(500サイクル)
得られた成型物をヒートショック試験機(ES−105LH 日立社製)を使用し、「−50℃×1時間+120℃×1時間」を500サイクル行う条件で老化させた後、上記防水性の確認を行いエアー漏れがなく形状の変化がなければ○とし、エアー漏れや形状の変化がある場合を×とした。
(vii)耐ヒートショック性(800サイクル)
得られた成型物を上記同様、ヒートショック試験機(ES−105LH 日立社製)を使用し、「−50℃×1時間+120℃×1時間」を800サイクル行う条件で老化させた後、上記防水性の確認を行いエアー漏れがなく形状の変化がなければ○とし、エアー漏れや形状の変化がある場合を×とした。
(viii)耐振動試験
得られた成型物のPVC被覆導線(コード)側を固定し、封止側を振動試験機に固定して振動試験を行った。また、この時の振動数は10Hzとし、振動時間は、500時間とした。
振動試験後、上記防水性の確認を行いエアー漏れがなく形状の変化がなければ○とし、エアー漏れや形状の変化がある場合を×とした。
2 PVC被覆導線
3 アルミ製のモールド
4 ゴムパッキン
5 注入部
6 注入経路
7 HM成型用鋳型
8 成型部
20 ハーネス
21 成型部
22 接合部
23 導線
30 PVC試験片
31 成型用樹脂組成物
40 銅板
41 成型用樹脂組成物
50 ハーネス
51 かしめ部
52 接合部
53 導線
54 大気開放部
60 コネクタ
61 成型部
62 接合部
63 導線
Claims (10)
- 芳香族ポリエステル(a)と、タッキファイヤー(b)と、1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物(c)と、ジエン系ゴムまたはその水添物(d)とを含有し、
前記ジエン系ゴムまたはその水添物(d)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)100質量部に対して、1質量部超30質量部未満であり、
前記タッキファイヤー(b)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)100質量部に対して、1〜50質量部であり、
前記ポリオール化合物(c)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)100質量部に対して、0.5〜50質量部であり、
前記芳香族ポリエステル(a)として、テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルA、および、テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールとポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルBを含有する、成型用樹脂組成物。 - 190℃における粘度が10〜500Pa・sであり、5MPa未満の圧力で吐出成型が可能である、請求項1に記載の成型用樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とセバシン酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルCを含有する、請求項1または2に記載の成型用樹脂組成物。
- 前記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とε−カプロラクトンとを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有する水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルDを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
- 前記タッキファイヤー(b)が、ロジン系タッキファイヤーである、請求項1〜4のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
- 前記ロジン系タッキファイヤーが、ロジンジオールである、請求項5に記載の成型用樹脂組成物。
- 前記ポリオール化合物(c)が、ポリカーボネートジオールである、請求項1〜6のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
- 前記ジエン系ゴムまたはその水添物(d)が、ニトリルゴム(NBR)である、請求項1〜7のいずれかに記載の成型用樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の成型用樹脂組成物を用いて電子機器端部に防水保護被覆を形成する防水保護被覆の製造方法であって、
前記成型用樹脂組成物を溶融する溶融工程と、該溶融工程により溶融した成型用樹脂組成物を5MPa未満の圧力で電子機器端部に吐出成型する吐出成型工程とを具備する、防水保護被覆の製造方法。 - 請求項9に記載の製造方法により得られる防水保護被覆。
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