JP5092310B2 - 成型用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、成型用樹脂組成物に関する。
従来、自動車は、電子部品等を具備する基板を防水等の必要のない場所に配置する場合が多かったが、今後は、基板の使用個数を増やしたり、基板に電気的に接続するコードを短くするために、基板をエンジンルーム内に搭載することが必要とされている。
基板をエンジンルーム内に搭載する場合、基板を封止して、基板に防水性や、油、ガソリン等に対する耐薬品性を付与することが必要となる。
これまでの基板を封止する方法としては、2液型のエポキシ樹脂組成物を使用する方法が挙げられる。
しかしながら、本発明者は、基板を2液型のエポキシ樹脂組成物で封止する場合、養生が必要であり、生産タクトが長いという問題点を見出した。
また、生産タクトを短くするために封止剤としてホットメルト組成物を使用して面積の大きい基板を封止する場合、ホットメルトの材料は通常熱伝導率が低く蓄熱しやすいので、基板が熱劣化を起こし、その結果、電子部品が溶けてしまったり、基板が誤作動を起こしてしまうという問題を見出した。
そこで、本発明は、生産タクトが短く、熱伝導率の高い成型用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、芳香族ポリエステルと、タッキファイヤーと、ポリオール化合物と、ポリオレフィンと、特定の熱伝導率を有する充填剤とを含有し、上記ポリオレフィンおよび上記充填剤の含有量が特定の範囲である組成物が、生産タクトが短く、熱伝導率が高いことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記(1)〜()を提供する。
(1) 芳香族ポリエステル(a)と、タッキファイヤー(b)と、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有するポリオール化合物(c)と、ポリオレフィン(d)と、前記芳香族ポリエステル(a)および前記ポリオレフィン(d)より熱伝導率の高い充填剤(e)とを含有し、
前記タッキファイヤー(b)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して1〜50質量部であり、
前記ポリオール化合物(c)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して0.5〜50質量部であり、
前記ポリオレフィン(d)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部中の5〜40質量部であり、
前記充填剤(e)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して0.1〜100質量部であり、
前記芳香族ポリエステル(a)として、テレフタル酸およびイソフタル酸を含有する酸成分と、エチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種を含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルを含有し、
前記タッキファイヤー(b)が、ロジン系タッキファイヤーであり、前記ロジン系タッキファイヤーが、ロジンジオールであり、
前記ポリオレフィン(d)が、エポキシ基と、カルボキシ基および/または酸無水物基とを有し、前記カルボキシ基がマレイン酸に由来するカルボキシ基であり、前記酸無水物基が無水マレイン酸基であり、
前記充填剤(e)が、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナ、窒化硼素、炭化珪素、酸化ベリリウムおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、成型用樹脂組成物。
(2) 前記芳香族ポリエステル(a)として、テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルAと、
テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールとポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルBと
を含有する上記(1)に記載の成型用樹脂組成物。
(3) 前記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とセバシン酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルCを含有する上記(2)に記載の成型用樹脂組成物。
(4) 前記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とε−カプロラクトンとを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルDを含有する上記(2)または(3)のいずれかに記載の成型用樹脂組成物
(5) 上記(1)〜()のいずれかに記載の成型用樹脂組成物を硬化させることによって得られる硬化物。
) 0.7W/m・K以上の熱伝導率を有する上記()に記載の硬化物。
) 内部に基板を具備する上記()または()に記載の硬化物。
本発明の成型用樹脂組成物は、生産タクトが短く、熱伝導率が高い。
以下、本発明をより詳細に説明する。
まず、本発明の第1の態様の成型用樹脂組成物(以下、「本発明の第1の態様の組成物」ともいう。)は、
芳香族ポリエステル(a)と、タッキファイヤー(b)と、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有するポリオール化合物(c)と、ポリオレフィン(d)と、前記芳香族ポリエステル(a)および前記ポリオレフィン(d)より熱伝導率の高い充填剤(e)とを含有し、
前記ポリオレフィン(d)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部中の5〜40質量部であり、
前記充填剤(e)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して0.1〜100質量部である組成物である。
<芳香族ポリエステル(a)>
上記芳香族ポリエステル(a)は、特に限定されず、従来公知の芳香族ポリエステルを用いることができる。
なかでも、脂肪酸とグリコールとの縮合反応から得られる芳香族ポリエステルであることが好ましい。
上記芳香族ポリエステル(a)としては、具体的には、例えば、テレフタル酸および/またはイソフタル酸を含有する酸成分と、エチレングリコール(以下、EGと略す)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、ネオペンチルグリコール(以下、NPGと略す)および1,4−ブタンジオール(以下、1,4−BDと略す)からなる群より選択される少なくとも1種を含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルを含有する芳香族ポリエステルが挙げられ、より具体的には、下記に示すポリエステルA〜Dが挙げられる。
上記ポリエステルAは、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸との混合物を用い、ヒドロキシ基成分としてNPGとEGとの混合物を用いて、縮合反応により得られるポリエステルである。上記ポリエステルAの190℃での粘度は、0.5〜2Pa・sであることが好ましく、0.7〜1.5Pa・sであることがより好ましい。
同様に、上記ポリエステルBは、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸との混合物を用い、ヒドロキシ基成分としてPTMGと1,4−BDとの混合物を用いて、縮合反応により得られるポリエステルである。上記ポリエステルBの溶融状態における流動性を示す尺度である溶融指数(メルトインデックス)(以下、MIと略す)が、200℃において10以上であることが好ましく、13〜50であることがより好ましい。上記ポリエステルBのMIがこの範囲であると成型時の粘度を低く保ち、成型後の耐熱性が優れるため好ましい。ここで、上記PTMGは1,4−BDを重合させて得られる重合体であれば特に限定されず、数平均分子量が2000以上であることが好ましく、市販品として三菱化学社製のH−283を用いることができる。
また、上記ポリエステルCは、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸とセバシン酸との混合物を用い、ヒドロキシ基成分として1,4−BDを用いて、縮合反応により得られるポリエステルである。ポリエステルCの190℃での粘度は200〜700Pa・sであることが好ましく、400〜600Pa・sであることがより好ましい。
上記ポリエステルDは、酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸とε−カプロラクトンとの混合物を用い、ヒドロキシ基成分として1,4−BDを用いて、縮合反応により得られるポリエステルである。ポリエステルDの190℃での粘度は100〜300Pa・sであることが好ましく、150〜200Pa・sであることがより好ましい。
上記芳香族ポリエステル(a)は、上記ポリエステルA、B、CおよびDからなる群より選択させる少なくとも2種を含有していることが好ましく、上記ポリエステルAと上記ポリエステルBとを含有していることがより好ましい。これは、柔軟性、耐熱性、耐薬品性、耐油性および延伸性に優れたポリエステルBと、低粘度で成型性に優れているポリエステルAとを含有させることにより、得られる成型用樹脂組成物の成型時における粘度を低く保ち、更に成型後の固化物に柔軟性を与え、生産タクトがより短くなるという理由からである。また、同様の理由から、上記芳香族ポリエステル(a)は、上記ポリエステルAとポリエステルBと、ポリエステルCおよび/またはポリエステルDとを含有していることが好ましい。
なお、通常、芳香族ポリエステルは、25℃下の条件における熱伝導率が0.2W/m・K以下であることが多い。本発明の第1の態様の組成物に含有される芳香族ポリエステル(a)は、25℃下の条件における熱伝導率が0.2W/m・K以下であるのが好ましい態様として挙げられる。
上記芳香族ポリエステル(a)における上記ポリエステルA、B、CおよびDの含有割合は、上記芳香族ポリエステル(a)の総質量に対して、上記ポリエステルAを10〜50質量%、上記ポリエステルBを10〜50質量%、上記ポリエステルCを0〜30質量%、上記ポリエステルDを0〜30質量%含有していることが好ましく、上記ポリエステルAを25〜45質量%、上記ポリエステルBを20〜40質量%、上記ポリエステルCを0〜20質量%、上記ポリエステルDを0〜25質量%含有していることがより好ましく、上記ポリエステルAを30〜40質量%、上記ポリエステルBを25〜35質量%、上記ポリエステルCを0〜15質量%、上記ポリエステルDを0〜20質量%含有していることが更に好ましい。
上記ポリエステルA、B、CおよびDの含有割合がこの範囲である場合、生産タクトがより短く、得られる成型用樹脂組成物の成型時の粘度を低く保ちながら成型後の固化物に柔軟性を与えることが可能であり、成型後の固化物が耐油性、耐ガソリン性に優れるため好ましい。更に、成型後の硬化時間がより短く、養生の必要性がないことからも好ましい。
また、このような性質を有する本発明の組成物は、耐ヒートショック性に優れ、ヒートサイクル時の被着体の膨張収縮に追従することが可能であるため成型用ホットメルト材として用いることができる。
<タッキファイヤー(b)>
タッキファイヤー(b)は、特に制限されない。例えば、従来公知のタッキファイヤー(粘着付与剤)を用いることができ、具体的には、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー、石油樹脂系タッキファイヤーが例示される。
上記ロジン系タッキファイヤーとしては、例えば、松ヤニや松根油中のアビエチン酸を主成分とするロジン酸とグリセリンやペンタエリスリトールとのエステル、および、それらの水添物、不均化物が挙げられ、具体的には、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、変性ロジン、ロジンジオール等が好適に例示される。
テルペン系タッキファイヤーとしては、例えば、松に含まれるテルペン油やオレンジの皮等に含まれる天然のテルペンを重合したものが挙げられ、具体的には、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂等が好適に例示される。
石油樹脂系タッキファイヤーとしては、例えば、石油を原料とした脂肪族、脂環族、芳香族系の樹脂が挙げられ、具体的には、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、スチレン系石油樹脂等が好適に例示される。
これらのうち、タッキファイヤー(b)としては、得られる組成物が低粘度になり成型しやすくなる点からロジン系タッキファイヤーを用いることが好ましく、具体的には、ロジンジオールを用いることが得られる成型性樹脂組成物の延伸性、ポリオレフィン、金属およびPVCに対する接着性が向上し、更に耐熱性と柔軟性のバランス、耐ガソリン性が良好となる理由からより好ましい。ロジンジオールとしては、具体的には、例えば、パインクリスタル D−6011、KE−615−3、D−6240(いずれも荒川化学工業社製)等が挙げられる。
タッキファイヤー(b)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記タッキファイヤー(b)の含有量は、上記芳香族ポリエステル(a)および上記ポリオレフィン(d)の合計100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。この範囲であると、得られる成型性樹脂組成物の延伸性、ポリオレフィン、金属およびPVCに対する接着性が向上し、更に耐熱性と柔軟性のバランス、耐ガソリン性が良好となる。
<ポリオール化合物(c)>
上記ポリオール化合物(c)は、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有するポリオール化合物であって、上記芳香族ポリエステル(a)と上記タッキファイヤー(b)とを相溶させる相溶化剤として働くものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、更に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプチレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;ポリブタンジエンポリオール、ポリイソプレングリコール等のポリオレフィン系ポリオール;アジペート系ポリオール;ラクトン系ポリオール;ひまし油等のポリエステル系ポリオール等の多価アルコール類;レゾルシン、ピスフェノール等の多価フェノール類が使用可能である。これらの各ポリオール化合物は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリカーボネートポリオール(例えば、ポリカーボネートジオール)、ポリカプロラクトンを用いることが、少量で相溶化剤としての効果が得られるため好ましい。
また、得られる硬化物が耐高温高湿性に優れるという観点から、ポリカーボネートジオールが好ましい。
また、ポリオール化合物(c)の平均分子量は、500〜10000が好ましく、1000〜10000がより好ましく、2000〜10000が更に好ましい。
上記ポリオール化合物(c)の含有量は、上記芳香族ポリエステル(a)および上記ポリオレフィン(d)の合計100質量部に対して、0.5〜50質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部が更に好ましい。この範囲であると、上記芳香族ポリエステル(a)と上記タッキファイヤー(b)とを十分に相溶させ、ポリエステルの物性(耐熱性、柔軟性、耐ガソリン性)を低下させない。
本発明の第1の態様の組成物は、上記タッキファイヤー(b)とポリオール化合物(c)とを含有するため、上述したように、延伸性ならびにポリオレフィン、金属およびPVCに対する接着性が向上し、耐熱性と柔軟性のバランス、更に、溶融時に起こる芳香族ポリエステル(a)とタッキファイヤー(b)との分離が防止され、タッキファイヤー(b)を単独で添加する場合では低下する耐油性、特に耐ガソリン性が良好となる。
これは、ポリオール化合物(c)を添加することで、タッキファイヤー(b)が芳香族ポリエステル(a)の非結晶部分に優先的にとり込まれるためであると考えられる。
<ポリオレフィン(d)>
上記ポリオレフィン(d)は、特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、これらのα−オレフィンの2種以上からなる共重合体、またはこれらのα−オレフィンと他の共重合性単量体との共重合体からなるポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのポリオレフィンの中でも、ポリエチレンが耐ガソリン性に優れる点から好ましい。
また、上記ポリオレフィン(d)は、極性基を有することが好ましい。
一般的にポリオレフィンは低極性であるのに対し、上記芳香族ポリエステル(a)は極性が高いため、本発明の組成物の製造時または製造後において本発明の第1の態様の組成物を長時間溶融させた状態にすると、芳香族ポリエステル(a)とポリオレフィン(d)とが分離し、再度撹拌しても十分に混合できず、接着性が低下する場合がある。一方、上記ポリオレフィン(d)が極性基を有している場合は、長時間溶融後にも分離せず、接着性を維持できる。
上記極性基は、特に限定されず、具体的には、例えば、エポキシ基、カルボキシ基、酸無水物基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルフォン基等が挙げられる。上記ポリオレフィン(d)は、これらの官能基の1種のみを有していてもよく、複数種類の官能基を有していてもよい。
上記極性基としては、極性物との接着性に優れる点から、エポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、エポキシ基がより好ましい。
エポキシ基は、メチレン基に結合している(つまり、グリシジル基)のが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、上記ポリオレフィン(d)は、エポキシ基と、カルボキシ基および/または酸無水物基とを有するのが好ましい。
また、上記カルボキシ基がマレイン酸に由来するカルボキシ基であり、上記酸無水物基が無水マレイン酸基であるのが好ましい。
上記極性基を有するポリオレフィンは、例えば、オレフィンと極性基を有する重合性単量体(例えば、グリシジルメタクリレート)とを共重合する方法等により得ることができる。また、市販品を用いてもよい。
上記ポリオレフィン(d)の含有量は、上記芳香族ポリエステル(a)および上記ポリオレフィン(d)の合計100質量部中の5〜40質量部である。本発明の第1の態様の組成物は、ポリオレフィン(d)をこの範囲で含有するので、生産タクトが短く、ポリオレフィンに対する接着性と、金属およびPVCに対する接着性とのバランスに優れ、耐ガソリン性にも優れる。
これらの特性により優れる点から、上記ポリオレフィン(d)の含有量は、上記芳香族ポリエステル(a)および上記ポリオレフィン(d)の合計100質量部中の10〜40質量部がより好ましく、20〜40質量部が更に好ましい。
本発明の第1の態様の組成物は、ポリオレフィン(d)を特定の割合で含有するので、生産タクトが短く、金属やPVCに対する接着性や耐ガソリン性等の優れた特性を維持しつつ、ポリオレフィンに対する接着性を向上することができる。特に、上記極性基を有するポリオレフィンを用いた場合は、長時間溶融後にも分離せず、接着性を維持できる。
なお、通常、ポリオレフィンは、25℃下の条件下における熱伝導率が0.2W/m・K以下である場合が多い。本発明において、ポリオレフィン(d)は、25℃下の条件下における熱伝導率が0.2W/m・K以下であるのが好ましい態様として挙げられる。
充填剤(e)について以下に説明する。
本発明の第1の態様の組成物に含有される充填剤(e)は、芳香族ポリエステル(a)およびポリオレフィン(d)より熱伝導率が高く、充填剤(e)の含有量は、芳香族ポリエステル(a)とポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して0.1〜100質量部である。
本発明において、充填剤(e)は、芳香族ポリエステル(a)およびポリオレフィン(d)が有する熱伝導率より高い熱伝導率のものであれば、特に制限されない。
通常、芳香族ポリエステル(a)およびポリオレフィン(d)が有する熱伝導率は、25℃下の条件下において0.2W/m・K以下である場合が多いので、本発明において、充填剤(e)は、25℃下の条件下において0.2W/m・Kより高い熱伝導率を有するものであればよい。
充填剤(e)の熱伝導率は、組成物の熱伝導率がより高くなるという観点から、25℃下の条件下において、0.7W/m・k以上であるのが好ましく、10W/m・Kであるのがより好ましく、15W/m・K以上であるのがさらに好ましい。
充填剤(e)としては、例えば、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナ、窒化硼素、炭化珪素、酸化ベリリウム、ダイヤモンド、金属が挙げられる。
なかでも、組成物に混ぜることができ、加熱しても組成物中に溶解することがなく、組成物の粘度を上昇させにくく、組成物の熱伝導率をより高くし、生産タクトをより短くし、絶縁性に優れ、得られる硬化物が放熱しやすくなり、という観点から、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナ、窒化硼素、炭化珪素、酸化ベリリウムおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナがより好ましい。
また、充填剤(e)は、その形状が球形であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
充填剤(e)の含有量は、組成物の熱伝導率がより高くなり、生産タクトをより短くし、得られる硬化物が放熱しやすくなるという観点から、芳香族ポリエステル(a)とポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して、0.1〜100質量部であるのが好ましく、0.5〜50質量部であるのがより好ましい。
本発明の第1の態様の組成物は、成型性に優れる点から、190℃における粘度が10〜5000Pa・sであるのが好ましく、10〜100Pa・sであるのがより好ましい。
次に、本発明の第2の態様の組成物について以下に説明する。
本発明の第2の態様の組成物は、
芳香族ポリエステル(a)と、タッキファイヤー(b)と、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有するポリオール化合物(c)と、ポリオレフィン(d)と、前記芳香族ポリエステル(a)および前記ポリオレフィン(d)より熱伝導率の高い充填剤(e)とを含有し、
前記ポリオレフィン(d)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部中の5〜40質量部であり、
190℃における粘度が10〜5000Pa・sである成型用樹脂組成物である。
本発明の第2の態様の組成物において含有される、芳香族ポリエステル(a)、タッキファイヤー(b)、ポリオール化合物(c)、ポリオレフィン(d)および充填剤(e)は本発明の第1の態様の組成物と同義である。
また、芳香族ポリエステル(a)、タッキファイヤー(b)、ポリオール化合物(c)、ポリオレフィン(d)の含有量は本発明の第1の態様の組成物と同義である。
充填剤(e)の含有量は、組成物の熱伝導率がより高くなり、生産タクトをより短くし、得られる硬化物が放熱しやすくなるという観点から、芳香族ポリエステル(a)とポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して、0.1〜100質量部であるのが好ましく、0.5〜50質量部であるのがより好ましく、5〜30質量部であるのがさらに好ましい。
本発明の第2の態様の組成物は、190℃における粘度が10〜5000Pa・sであり、作業性、成型性に優れる点から、10〜100Pa・sであるのが好ましい。
本発明の第1および第2の態様の組成物(以下、これらをあわせて「本発明の組成物」ということがある。)は、本発明の目的を損わない範囲で、必要に応じて、例えば、補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等の他滑剤、ワックス類、着色剤、結晶化促進剤、補強繊維等の各種添加剤を配合してもよい。
本発明の組成物は、その製造について、特に限定されず、上記芳香族ポリエステル(a)、上記タッキファイヤー(b)、上記ポリオール化合物(c)、上記ポリオレフィン(d)および充填剤(e)ならびに必要に応じて各種添加剤を、例えばロール、ニーダ、押出し機、万能攪拌機等により混合し製造することができる。
上述した本発明の組成物は、吐出成型が可能な組成物であることが好ましい。
ここで、吐出成型は、吐出成型時において吐出口から成型用樹脂組成物を吐出させる際の圧力が、5MPa未満であるのが好ましく、より好ましくは0.2〜1.0MPa、さらに好ましくは0.3〜0.5MPaである。
また、吐出成型は、120〜230℃の範囲で行われることが好ましく、180〜210℃の範囲で行われることがより好ましい。このような温度範囲である場合、上記吐出成型に用いる成型用樹脂組成物の安定性が向上し、更に溶融時の粘度が上述した範囲内となる理由から好ましい。
本発明の組成物は、生産タクトが短く、熱伝導率が高い。また、ポリオレフィン樹脂、金属およびPVCに対する接着性、耐ガソリン性、延伸性ならびに柔軟性等に優れる。また、低粘度で成型性にも優れている。特に、ポリオレフィン(d)として極性基を有するポリオレフィンを用いる場合、成型用樹脂組成物を長時間溶融した後でも芳香族ポリエステル(a)とポリオレフィン(d)とが分離せず接着性を維持できる。
本発明の組成物を適用することができる被着体としては、例えば、金属、樹脂、ガラス、ガラスエポキシが挙げられる。
本発明の組成物の用途としては、例えば、基板用の封止剤、コネクタ・ハーネス等の端部の封止剤・防水保護剤、ポッティング材(電気回路を衝撃、振動もしくは湿気等から守るために、電気回路全体に埋め込まれる充填材)が挙げられる。
本発明の組成物の使用方法は、特に制限されない。例えば、本発明の成型用樹脂組成物を溶融する溶融工程と、溶融工程後、溶融した成型用樹脂組成物を、内部に例えば基板、導線等が配置された型に吐出成型する吐出成型工程、または基板等に塗布する塗布工程とを具備する方法が挙げられる。ここで、上記吐出成型時または塗布時の圧力は、5MPa未満であるのが好ましく、0.2〜1.0MPaであることがより好ましく、0.3〜0.5MPaであることがさらに好ましい。
上記溶融工程は、本発明の組成物を溶融する工程であり、具体的には、上記成型性樹脂組成物を160〜230℃、好ましくは180〜210℃に加熱して溶融させる工程である。
上記吐出成型工程、塗布工程は、上記溶融工程により溶融した成型用樹脂組成物を、内部に例えば基板、導線等が配置された型に吐出成型または塗布する工程である。
具体的には、上記吐出成型は、溶融した成型用樹脂組成物を、基板等を入れた型(モールド)内に、好ましくは5MPa未満、より好ましくは1〜4MPaの圧力で、ホットメルトガン、ホットメルトアプリケータ等を用いて吐出し、上記モールド内で成型する工程である。またはホットメルトガン、ホットメルトアプリケータで吐出し、ポッティングする工程である。
また、上記塗布は溶融した成型用樹脂組成物を、基板等に、好ましくは5MPa未満、より好ましくは1〜4MPaの圧力で、ホットメルトガンスプレー等を用いて塗布する工程である。
一般的な射出成型では、圧力が40〜120MPa、溶融温度が250〜300℃と高いのに対し、本発明の組成物を用いる場合、圧力が0.3〜0.5MPa、溶融温度が180〜230℃で使用できるため作業性に非常に優れている。
したがって、上述した使用方法を用いれば、このような低温・低圧力での成型が可能であるため、図1の(A)〜(D)に示すように、剥離部1を有するポリオレフィン被覆導線2の封止は、アルミ製のモールド3およびゴムパッキン4を用いた製造装置の使用が可能となり、成型上のコストダウンも図られるため好ましい。具体的には、(C)で示すモールドの形状(アルミ製のモールド3とゴムパッキン4で密閉された状態)で、注入部5(矢印方向)からホットメルト(HM)材料を注入し、上記HM材料を注入経路6に通し、HM成型用鋳型7に移行させる。その後、上記HM材料をHM成型用鋳型7にて成型させ、脱型させることで(D)で示す成型部8を有する成型品の形状となる。
また、低温、低圧での成型が可能であるため、基板上の電子部品等を傷つけることなく成型し、基板全体を防水することができ、かつ、基板や電子部品をケースで覆う必要がないため、製品のコストダウンも図られるため好ましい。
また、従来の2液型のエポキシ樹脂組成物を用いて成型する場合、これを硬化させるために30〜60分程度の硬化時間が必要であった。
これに対して、本発明の組成物を用いれば、成型後の硬化時間が自然冷却で数秒〜数十秒で終了し、数分以内にモールドより脱型することが可能であるため好ましい。具体的には、本発明の組成物を用いれば、成型するためのHM材料の注入時間が10秒で終了し、自然冷却で1分以内にモールドより脱型することが可能であるため好ましい。さらに、脱型後の変形がなく、養生の必要がないことから生産タクトが短く、生産性に優れている。
本発明の組成物から得られる硬化物は、蓄熱しにくく、放熱性に優れる。
本発明の組成物から得られる硬化物の25℃下の条件下における熱伝導率は、0.7W/m・K以上であるのが好ましく、2W/m・K以上であるのがより好ましく、4W/m・K以上であるのがさらに好ましく、10W/m・K以上であるのが特に好ましい。
次に、本発明の硬化物について以下に説明する。
本発明の硬化物は、
本発明の成型用樹脂組成物を硬化させることによって得られるものである。
本発明の硬化物において使用される成型用樹脂組成物は、本発明の成型用樹脂組成物であれば特に制限されない。
また、本発明の硬化物は、蓄熱しにくく、放熱性に優れるという観点から、25℃下の条件下における熱伝導率が、0.7W/m・K以上であるのが好ましく、2W/m・K以上であるのがより好ましく、4W/m・K以上であるのがさらに好ましく、10W/m・K以上であるのが特に好ましい。
本発明の硬化物は、その内部に、例えば、基板、電子部品、コネクタ・ハーネス等の端部を具備することができる。
硬化物が内部に具備することができる、基板、電子部品、コネクタ・ハーネスは、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の硬化物は、その製造について特に制限されず、例えば、上記の本発明の成型用樹脂組成物の使用方法と同様のものが挙げられる。
従来、小さな基板を成型ホットメルトで封止する場合、成型ホットメルトは200℃近い温度で基板に塗布されていた。このような場合基板は小さいので使用する成型ホットメルトの量も少なく、塗布後成型ホットメルトの温度は急激に低下した。
しかしながら、ホットメルトの材料は熱伝導率が小さく、大きな基板を使用する場合これを封止するために必要な成型ホットメルトの量も多くなり、その結果、塗布後成型ホットメルトの温度は低下しにくく、内部に蓄熱して基板を熱劣化させた。
これに対して、本発明の成型用樹脂組成物は熱伝導率が高いので放熱しやすく、このことから、本発明の成型用樹脂組成物を大きな基板に適用する場合、基板を熱劣化(例えば、電子部品の溶解や基板の誤作動)させることなく封止することができる。
また、本発明の成型用樹脂組成物は熱伝導率が高いので放熱しやすく、このことによって組成物が固化するスピードを速め、その結果、生産タクトが短く、得られる硬化物を型等から取り出す際硬化物の変形を防ぐことができる。
また、従来のホットメルトの材料で封止された基板(以下、「封止体」ということがある。)を使用する場合、基板は使用時に通電して発熱するので、従来の熱伝導率が小さいホットメルトの材料では封止体から熱が逃げにくく封止体内に熱が蓄えられてしまうため、基板が暴走してしまうことがある。
これに対して、本発明の成型用樹脂組成物は熱伝導率が大きいので基板の通電時に封止体内での蓄熱を防止することができる。
また、本発明の成型用樹脂組成物は、柔軟性が高く、PP接着性、PVC接着性、金属接着性、成型性および耐ガソリン性に優れる。
このことによって、本発明の成型用樹脂組成物は、基板、電子部品、電線(例えば、オレフィンで被覆されている電線)等と強固に接着することができ、水、油、ガソリン等の浸入を防ぐことができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ポリエステル1〜4)
本発明の組成物に含有される芳香族ポリエステル(a)について、ポリエステル1としてユニチカ社製のエリーテルUE3320、ポリエステル2として東レ・デュポン社製のハイトレル4057、ポリエステル3としてユニチカ社製のエリーテルUE3410、ポリエステル4としてユニチカ社製のエリーテルUE3800を使用した。ポリエステル1〜4を製造する際に使用される酸成分およびグリコール成分、ならびにこれらのモル比を下記第1表に示す。
Figure 0005092310
(実施例1〜6および比較例1〜3)
下記第2表の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、ニーダを用いて混合し、第2表に示される各成型用樹脂組成物を得た。
得られた各成型用樹脂組成物において、以下に示す各測定行った。結果を下記第2表に示す。
<粘度測定>
粘度測定は、JIS K7117−1に準じて行った。B型粘度計(東京計器社製)を用い、得られた成型用樹脂組成物を190℃にて30分間溶融した後、3号ローターを用いて回転させ、10rpmにおいて粘度測定を行った。
<製造直後の分離>
製造直後の成型用樹脂組成物を冷却固化させたものについて、各組成成分の混合状態を目視により確認し、分離している状態であるものを「×」、相溶している状態であるものを「○」とした。
<硬度(ショアD)>
硬度(ショアD)の測定は、JIS Z2246−2000に準じて行った。得られた成型用樹脂組成物の硬度を、D型ショア硬度計を用いて測定した。硬度が100以下のものを「○」とした。
<柔軟性>
得られた成型用樹脂組成物を冷却固化して、140℃のプレスにて1mmの厚さにプレスし、25mm×100mm×1mmのシート状に切り出し、試験片とした。
この試験片を二つ折りにして、試験片が折れなかったものを「○」とした。
<接着性>
(1)PVCに対する接着性
PVCに対する接着性の測定は、JIS K6256−1999に準じて行った。3mmの厚さのPVC(商品名:タフニール、タカフジ社製)を25mm×150mmに切り出しPVC試験片とした。PVC試験片に、得られた成型用樹脂組成物をモールドを用いて図2(A)のように成型し、PVC試験片30と成型用樹脂組成物31とを剥離するように、それぞれに対して図2(B)に示す2つの矢印方向に引張り応力を加える180度剥離試験を行い、上記PVC試験片30と成型用樹脂組成物31とが剥がれだしたときの最大引張応力を測定した。引張り速度は、50mm/minとした。
なお、試験片を試験機に取り付ける際にPVC試験片30と成型用樹脂組成物31とが剥離し、測定できなかったものを「×」とした。
(2)金属に対する接着性
幅30mm、長さ150mm、厚さ0.8mmの銅板2枚をそれぞれ長さ75mmの個所で二つ折りにし、上記銅板2枚と得られた成型用樹脂組成物(全銅板平面の1/2を覆う)とを図3(A)のように成型し、銅板40と成型用樹脂組成物41とを剥離するように、2枚の銅板40に対して図3(B)に示す2つの矢印方向に引張り応力を加える180℃剥離試験を行い、上記銅板40と成型用樹脂組成物41とが剥がれだしたときの最大引張応力を測定した。引張り速度は、50mm/minとした。
得られた成型用樹脂組成物の金属接着性は、50N/25mm以上の最大引張応力で剥離するものを「○」、試験片を試験機に取り付ける際に銅板40と成型用樹脂組成物41とが剥離し、測定できなかったものを「×」とした。
(3)ポリプロピレン(PP)に対する接着性
コロナ表面処理をしたポリプロピレン(新神戸電機社製:PP−N−BN)を用いた以外は、上記PVCに対する接着性と同様にPP接着性(初期)を測定した。また、PP接着性(初期)試験と同様に作成した試験片を80℃、95%で96時間老化したものについて、同様の方法でPP接着性(耐湿熱)を測定した。
なお、試験片を試験機に取り付ける際にポリプロピレン(PP)試験片と成型用樹脂組成物とが剥離し、測定できなかったものを「×」とした。
<成型性>
PVC被覆導線を用いて、図1に示すアルミ製のモールドおよびゴムパッキンを有する製造装置で成型を行った。
(1)成型性
ホットメルトアプリケーターを用い、エアー圧0.4MPaで、得られた成型用樹脂組成物を注入し、規定の形に成型されるまでの注入時間を測定した。注入時間が10秒以内であるものを「○」とした。
(2)脱型性
上記モールドを用い、得られた成型用樹脂組成物を注入後、形が変形しないようにモールドから脱型できるまでの時間を測定した。注入後、10秒以内にモールドから脱型できるものを「◎」とし、10秒を超えて15秒以内にモールドから脱型できるものを「○」とし、15秒を超えてモールドから脱型したものを「×」とした。
<耐ガソリン性>
得られた成型用樹脂組成物の冷却固化物を、25℃のガソリン中へ72時間浸漬させて、組成物表面の白化の有無を観察した。白化が生じなかったものを「○」、白化が生じたものを「×」とした。
<熱伝導率>
本発明において、熱伝導率の測定は次のとおり行った。
まず、得られた成型用樹脂組成物を縦25mm×横100mm×高さ20mmに切り出し、25℃恒温室に24時間以上置いて、熱伝導率測定用の試験片とした。次に、得られた試験片を用いて熱伝導率をkemtherm QTM−D3(京都電子工業社製)によって25℃恒温室にて測定した。
Figure 0005092310
第2表に示す各成分は以下のとおりである。
・ポリエステル1〜4:上記のポリエステル
・ポリオレフィン:エポキシ基を有するポリエチレン、商品名ボンドファースト7L、住友化学社製
・タッキファイヤー:ロジン系タッキファイヤー、商品名パインクリスタルD−6011、荒川化学工業社製
・充填剤1:窒化珪素(熱伝導率:50W/m・K)、宇部興産社製
・充填剤2:窒化アルミ(熱伝導率:170W/m・K)、日本タングステン社製
・充填剤3:炭酸カルシウム(熱伝導率:0.5W/m・K)、丸尾カルシウム社製
・ポリオール化合物:ポリカーボネートジオール、商品名プラクセルCD220、ダイセル化学工業社製
・老化防止剤:イルガノックス1010、チバスペシャルティケミカルズ社製
第2表に示す結果から明らかなように、充填剤(e)を含有しない比較例1の組成物から得られる硬化物は熱伝導率が低かった。
また、充填剤(e)を芳香族ポリエステル(a)とオレフィン(d)との合計量100質量部に対して100質量部より多く含有する比較例2は、粘度が高くなりすぎ作業性に劣った。
また、芳香族ポリエステル(a)およびオレフィン(d)と同じ程度の熱伝導率を有する充填剤として炭酸カルシウム(熱伝導率:0.5W/m・K)を含有する比較例3から得られる硬化物は熱伝導率が低かった。
これに対して、本発明の成型用樹脂組成物(実施例1〜6)は、熱伝導率が高く、比較的低粘度である。
また、本発明の成型用樹脂組成物は、柔軟性が高く、PP接着性、PVC接着性、金属接着性、成型性および耐ガソリン性に優れる。
図1の(A)は、成型前の導線を示す図であり、(B)は、モールドの形状(モールド片面)を示す図であり、(C)は、成型時のモールドの形状を示す図であり、(D)は、成型品の形状を示す図である。 図2の(A)および(B)は、それぞれ、PVCとの接着性を示す斜視図および断面図である。 図3の(A)および(B)は、それぞれ、金属(銅板)との接着性を示す斜視図および断面図である。
符号の説明
1 剥離部
2 ポリオレフィン被覆導線
3 アルミ製のモールド
4 ゴムパッキン
5 注入部
6 注入経路
7 HM成型用鋳型
8 成型部
30 PVC試験片
31 成型用樹脂組成物
40 銅板
41 成型用樹脂組成物

Claims (7)

  1. 芳香族ポリエステル(a)と、タッキファイヤー(b)と、1分子中にヒドロキシ基を2個以上有するポリオール化合物(c)と、ポリオレフィン(d)と、前記芳香族ポリエステル(a)および前記ポリオレフィン(d)より熱伝導率の高い充填剤(e)とを含有し、
    前記タッキファイヤー(b)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して1〜50質量部であり、
    前記ポリオール化合物(c)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して0.5〜50質量部であり、
    前記ポリオレフィン(d)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部中の5〜40質量部であり、
    前記充填剤(e)の含有量が、前記芳香族ポリエステル(a)と前記ポリオレフィン(d)との合計100質量部に対して0.1〜100質量部であり、
    前記芳香族ポリエステル(a)として、テレフタル酸およびイソフタル酸を含有する酸成分と、エチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種を含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルを含有し、
    前記タッキファイヤー(b)が、ロジン系タッキファイヤーであり、前記ロジン系タッキファイヤーが、ロジンジオールであり、
    前記ポリオレフィン(d)が、エポキシ基と、カルボキシ基および/または酸無水物基とを有し、前記カルボキシ基がマレイン酸に由来するカルボキシ基であり、前記酸無水物基が無水マレイン酸基であり、
    前記充填剤(e)が、窒化珪素、窒化アルミ、アルミナ、窒化硼素、炭化珪素、酸化ベリリウムおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、成型用樹脂組成物。
  2. 前記芳香族ポリエステル(a)として、テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルAと、
    テレフタル酸とイソフタル酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールとポリテトラメチレンエーテルグリコールとを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルBと
    を含有する請求項1に記載の成型用樹脂組成物。
  3. 前記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とセバシン酸とを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルCを含有する請求項2に記載の成型用樹脂組成物。
  4. 前記芳香族ポリエステル(a)として、更に、テレフタル酸とイソフタル酸とε−カプロラクトンとを含有する酸成分と、1,4−ブタンジオールを含有するヒドロキシ基成分とを反応させて得られるポリエステルDを含有する請求項2または3に記載の成型用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の成型用樹脂組成物を硬化させることによって得られる硬化物。
  6. 0.7W/m・K以上の熱伝導率を有する請求項に記載の硬化物。
  7. 内部に基板を具備する請求項またはに記載の硬化物。
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