JP5184125B2 - 構造部材 - Google Patents

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Description

本発明は、パイプ材をプレス成形により曲げ加工して形成される構造部材に関するものである。
従来、建設機械用キャブのピラーなどに用いられる構造部材として、鋼管などのパイプ(中空断面材)を曲げ加工して形成されるものがある。
そのような構造部材の製造方法として、例えば、特許文献1に、鋼管をロールベンダー(パイプベンダー)で曲げ加工することが提案されている。
そのパイプベンダーでは、複数のロールを曲げスパンや曲げ半径を基に配置し、それらロールの間に、パイプを通過させて曲げ加工するようにしている。
さらに、特許文献1では、パイプを曲げる際に、パイプの曲げ部近傍での変形、座屈を防ぐために、パイプ内に芯材(芯金)を入れて曲げ加工し、曲げ加工後に、芯金をパイプから抜き取るようにしている。
特開平8−252636号公報
しかしながら、上述したパイプベンダーでは、曲げ加工後に、芯金をパイプから引き抜く必要があることから、引き抜きの分だけ工数がかかっていた。芯金は曲げ加工により摩耗するので、パイプの加工精度のバラツキや、芯金の短寿命化などを招いていた。
また、パイプベンダーによる引き曲げには、加工に時間がかかる、大きな成形力が必要であるなどの問題があった。
そこで、図14に示すように、パイプ141の曲げ加工をプレス成形により行うことが考えられるが、しかし、プレス成形はパンチ142によりパイプ141の曲げ部143のみを押圧することから、曲げ部143に応力が集中し易く、曲げ部143に引け(符号S参照)や座屈(符号B参照)などが発生する虞がある。
このような引けや座屈が発生すると曲げ部143付近での構造部材の強度が不足してしまうという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、プレス成形による製造が可能でかつ強度の向上を図った構造部材を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、パイプ材をプレス成形により曲げ加工して形成される構造部材において、上記パイプ材の曲げ加工が施される曲げ部内に、該曲げ部の座屈および引けを防止すべく上記曲げ部における曲げ内側および外側の内壁面を各々支持する芯金部材を挿入して、上記パイプ材を曲げ加工すると共に、上記芯金部材を上記曲げ部と一体的に変形させ、その変形した芯金部材を上記曲げ加工後に上記曲げ部の強度部材とし、上記芯金部材は、上記曲げ部の断面形状と同じ形状の複数の板材を上記パイプ材の軸方向に沿って並べて形成された中子部と、その中子部の上記板材を上記軸方向に連結すると共に、上記曲げ加工により変形する連結部とを有するものである。
好ましくは、上記芯金部材は、上記中子部の上記軸方向長さが上記曲げ部の長さと同じであるものである。
好ましくは、上記芯金部材の中子部が、上記曲げ加工後に、上記曲げ部の内壁に溶接接合されたものである。
好ましくは、建設機械のキャブの一体に形成されたフロントピラー部およびルーフレール部をなすものである。
本発明によれば、構造部材をパイプ材からプレス成形により製造することができ、かつ構造部材の強度を向上させることができるという優れた効果を発揮するものである。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態の構造部材は、例えば、パワーショベルやダンプトラックなどの建設機械のキャブなどに適用される。
まず、図6に基づき建設機械のキャブの概略構造を説明する。
図6に示すように、キャブ61の前部には、左右に離間させて上下に延びる一対のフロントピラー部62が設けられ、フロントピラー部62の間にはキャブ61の前面を覆うフロントウインドウ63が設けられる。図例のフロントピラー部62は、下端から上端に至るにつれ後方に傾斜する。
キャブ61の後部には、左右に離間させて上下に延びる一対のリアピラー部64が設けられる。リアピラー部64の上端部とフロントピラー部62の上端部とが、前後に延びる左右一対のルーフレール部65により接続され、それらルーフレール部65の間にはキャブ61の天井面を覆うルーフパネル67が設けられる。
フロントピラー部62の上端部が左右に延びるフロントヘッダー部68により接続され、リアピラー部64の上端部が左右に延びるリアヘッダー部69により接続される。フロントピラー部62の下端部が左右に延びるフロントクロスメンバー部70により接続され、リアピラー部64の下端部が左右に延びるリアクロスメンバー部71により接続される。フロントピラー部62の下端部とリアピラー部64の下端部とが前後に延びるサイドメンバー部72により接続される。
図例のキャブ61では、フロントピラー部62とルーフレール部65とが、閉断面形状を有し一体的に形成される。つまり、フロントピラー部62とルーフレール部65とは、溶接などによる継手部がなく連続する一つの中空の構造部材からなる。その一体的なフロントピラー部62およびルーフレール部65が本実施形態の構造部材1により形成される。
図1から図4に基づき本実施形態の構造部材を説明する。
本実施形態の構造部材1は、キャブ(キャノピ)構造部材1であり、曲げ加工されたパイプ材2とパイプ材2の曲げ部3に挿入された芯金部材4とを備える。
具体的には、図1に示すように、構造部材1は、パイプ材2をプレス成形により曲げ加工して形成されるものであり、パイプ材2の曲げ加工が施される曲げ部3内に、その曲げ部3の座屈および引けを防止すべく曲げ部3における曲げ内側の内壁面31(図3参照)および外側の内壁面32を各々支持する芯金部材4を挿入して、パイプ材2を曲げ加工すると共に、芯金部材4を曲げ部3と一体的に変形させ、曲げ加工後に上記変形した芯金部材4を曲げ部3の強度部材としたものである。
図2に示すように、曲げ加工前のパイプ材(以下、ブランクパイプ材という)2aは、矩形(ほぼ正方形)の断面形状を有し、ほぼ直線状に延びる。ブランクパイプ材2aは、例えば、鋼管などから形成される。
そのブランクパイプ材2aが曲げ加工によりほぼ「く」の字状(またはL字状)に成形される。以下、曲げ加工後のパイプ材2を加工後パイプ材2という。
曲げ部3は、ブランクパイプ材2a(および加工後パイプ材2)の長手方向中央に設けられる。加工後パイプ材2では、曲げ部3は、R止まり(直線部と湾曲部の境界)からR止まりまでの部分からなる。
加工後パイプ材2は、下側に突出するように曲げられており、図1および図2において、上側が曲げの内側、下側が曲げの外側となる。
芯金部材4は、曲げ部3(ブランクパイプ材2a)の断面形状と同じ形状の複数の板材5(プレート)をブランクパイプ材2aの軸方向に沿って並べて形成された中子部6と、その中子部6の板材5を軸方向に連結すると共に曲げ加工により変形する連結部をなす結合ピン7とを有する。
図3に示すように、中子部6は、軸方向長さが曲げ加工前の曲げ部3とほぼ同じ長さであり、軸方向に複数の板材5を隙間なく重ね合わせて(積層して)形成される。具体的には、中子部6は、軸方向長さが曲げ加工前の曲げ部3とほぼ同じ長さとなるように、板材5の枚数および/または板厚が設定される。詳しくは後述するが、中子部6は、曲げ加工時に扇状に変形することで、曲げ加工後も曲げ部3と同じ長さの軸方向長さを有する。なお、中子部6は、曲げの余裕代を持たせるために曲げ部3よりも長く形成してもよい。
中子部6の各板材5は、ブランクパイプ材2aの中空部分の形状とほぼ相似な外形形状を有し、ブランクパイプ材2a内に挿入可能なように中空部分よりも僅かに小さく形成される。本実施形態の板材5は、例えば、ブランクパイプ材2aと同じ材質(鋼材など)から形成される。
図4に示すように、板材5には、結合ピン7が挿通する結合穴8(図では、丸穴)が形成される。結合穴8は、板材5を軸方向に貫通し、芯金部材4(曲げ部3)の曲げRの内側に偏心し形成される。
すなわち、結合穴8は、中子部6を曲げ部3内に収容したときの板材5の中心(パイプ材2の軸中心)から曲げの内側に偏心(オフセット)させて形成される。図4では結合穴8が、正方形の中心から上側にオフセットした位置に形成される。
結合ピン7は、板材5の結合穴8の内径よりも僅かに小さな外径を有する。結合ピン7と結合穴8との間の隙間は、板材5とパイプ材2との隙間よりも小さく設定される。結合ピン7は、例えば、ブランクパイプ材2aと同じ材質の丸棒材からなる。
結合ピン7は、中子部6を貫通して軸方向に延び、両端部が中子部6から突出する。結合ピン7の両端部には、中子部6の板材5を保持するための鍔部9が各々設けられる。
鍔部9は、板材5の結合穴8よりも大きな外径を有し、軸方向両側から板材5を挟み一体的に保持し、板材5の軸方向の移動を規制する。鍔部9は、例えば、円板状に形成され結合ピン7の両端部に溶着される。
本実施形態では、中子部6の板材5の外周が、曲げ加工後の溶接により、曲げ部3の内壁面(図例では、曲げ内側および外側の内壁面31、32とそれら内側および外側の内壁面31、32を結ぶ他の内壁面33、34)に溶接接合される。
次に、図5に基づき本実施形態の構造部材1を形成するために使用されるプレス機の一例を説明する。
図5に示すように、プレス機51は、上下に昇降可能なパンチ52(上金型)と、そのパンチ52の下方に設けられブランクパイプ材2aを保持するダイス53(下金型)とを備える。
ダイス53は、ブランクパイプ材2aの曲げ部3の軸方向外側の部分を各々保持する。図例では、2つのダイス53が、左右に離間させて各々配置される。各ダイス53の上面には、下方に窪みブランクパイプ材2aを下方から保持する保持溝54が形成される。なお、ダイスは、ブランクパイプ材2aの軸方向に沿って延びる1つのダイスでもよい。
パンチ52は、ブランクパイプ材2aの曲げ部3の上方に位置し、曲げ部3の軸方向長さとほぼ同じ長さ(図5において左右方向の長さ)を有する。
パンチ52の先端部(下端部)には、上方に窪みブランクパイプ材2aの曲げ部3が嵌め入れられると共に、その曲げ部3を下方に押圧するための凹部55が形成される。その凹部55は、成形面をなし曲げ部3の製品形状(曲げ半径など)に応じた形状に形成される。例えば、凹部55の上面が、下方に突出する山型状に形成される。
次に、図1および図2に基づき本実施形態の構造部材1の製造方法を説明する。
本実施形態では、図2に示すように、まず、直管状のブランクパイプ材2aの曲げ部3内に芯金部材4をセットする。具体的には、ブランクパイプ材2aの一端から芯金部材4を挿入し、その挿入された芯金部材4を軸方向中心側に曲げ部3まで移動させて、曲げ部3内に配置、位置決めする。
ここで、芯金部材4の挿入は、結合ピン7が曲げの内側に位置するように芯金部材4の向きを合わせて行う。芯金部材4の移動は、芯金部材4にワイヤやロッドなどの治具を係合させ、その治具を介して芯金部材4を押すもしくは引くことで行う。芯金部材4の配置、位置決めは、中子部6の軸方向中心が曲げ部3の軸方向中心と一致するように行う。
次に、図1に示すように、芯金部材4が挿入されたブランクパイプ材2aを図5のプレス機51によりプレス成形して、曲げ部3を曲げ加工する。
具体的には、パンチ52を下降させて曲げ部3を下方に押圧して曲げ加工すると共に、曲げ部3内の芯金部材4を、曲げ部3と一体的に扇状に変形させる。
これにより、曲げ部3は、曲げ内側が縮むと共に曲げ外側が伸び、全体として「く」の字状に湾曲する。芯金部材4は、結合ピン7が曲げ部3に沿って湾曲すると共に、中子部6の隣接する板材5が、曲げ内側から曲げ外側に至るにつれ隣接する板材5との隙間が大きくなるように互いに離間する。
この曲げ加工の際に、芯金部材4により、曲げ部3における曲げ内側の内壁面31の座屈と、曲げ外側の内壁面32の引けとが抑制、防止される。
すなわち、曲げ部3の加工時に曲げ内側の内壁面31(図3参照)には圧縮力がかかるが、本実施形態では、曲げ内側の内壁面31が、芯金部材4の板材5により支えられるので曲げ外側への変形(図7符号B参照)が抑制され、座屈が防止される。また、曲げ部3の曲げ外側の内壁面32には引張力がかかるが、本実施形態では、芯金部材4の板材5により支えられるので、曲げ内側への変形(図7符号S参照)が抑制され、引けが防止される。
さらに、本実施形態の芯金部材4は、曲げ外側の板材5間が開き、曲げ内側の板材5間が閉じる方向に変形し、その変形した芯金部材4は、パイプ材2(曲げ部3)内にパイプ材2の伸び縮みによる歪により締付けられ固定される。この固定された芯金部材4が、曲げ部3の強度を高めるための強度部材となる。
曲げ加工後、本実施形態では、芯金部材4(強度部材)をより強固に固定するために、曲げ部3内に芯金部材4を接合する。
芯金部材4の接合は、溶接により、曲げ部3の内壁面に芯金部材4の中子部6の板材5を溶着することで行う。溶接方法としては、例えば、加工後パイプ材2の表面側からレーザを照射するレーザ溶接や、加工後パイプ材2に貫通穴を形成する栓溶接などが考えられる。
以上により、本実施形態の構造部材1が得られる。
このように、本実施形態では、芯金部材4を曲げ部3内に固定して強度部材とすることで、構造部材1の剛性を向上させることができる。
すなわち、本実施形態の構造部材1では、曲げ部3内に固定された芯金部材4の各板材5が、加工後パイプ材2の内部を軸方向に区画する隔壁となって構造部材1に節が形成され、構造部材1(特に、曲げ部3近傍)の剛性が高められる。
また、加工後パイプ材2の曲げ部3と芯金部材4とを溶着することにより、曲げ部3と芯金部材4との結合強度が高まり、芯金部材4が加工後パイプ材2から脱落するのを防止できると共に、これによっても構造部材1の剛性を向上させることができる。
その他にも、曲げ加工の際に、曲げ部3を芯金部材4で支えて変形(引け)、座屈を防止することにより、プレス機51による構造部材1の製造が可能となり、パイプベンダーを必要としない。
パイプベンダーによる曲げ加工は、曲げ加工の回転中心と被加工部品(ブランクパイプ材2a)とが離れているために、大きな加工トルクが必要で大型のパイプベンダーが必要となるが、本実施形態によれば小型の汎用プレス機51での加工が可能になる。
また、パイプベンダーによる曲げ加工では、フォーマー、マンドレル、ガイドなどの投資が必要であるが、本実施形態では、曲げ部3近傍を押圧するのパンチ52と、ブランクパイプ材2aを支持するダイス53のみでよく、パイプベンダーに比べて、金型費を低減することができ、投資を抑えることができる。
次に、図7に基づき他の実施形態を説明する。
本実施形態は、芯金部材の中子部の形状が上述した図1の実施形態と異なるもので、それ以外は図1の実施形態と同様となっている。したがって、図1の実施形態と同一の要素については、図中同一符号を付すに止め、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態の中子部71は、パイプ材2の軸方向に沿って並べられた複数の板材5のうち、両端の板材が、他の板材5に比べて板厚の大きな厚板72から形成される。
それら厚板72は、曲げ部3の両端に各々位置し、曲げ加工後の溶接により、厚板72の外周がパイプ材2の内壁面に接着される。
本実施形態では、上述した図1の実施形態と同様の効果が得られ、さらに、曲げ部3の両端に、厚板72による強度の高い節が形成されるので、図1の実施形態よりも構造部材1(曲げ部3)の剛性を向上させることができる。
次に、図8および図9に基づき他の実施形態を説明する。
本実施形態は、芯金部材4を曲げ部に位置決めするための治具が、上述した図1の実施形態と異なるもので、それ以外は図1の実施形態と同様となっている。したがって、図1の実施形態と同一の要素については、図中同一符号を付すに止め、詳細な説明は省略する。
図8および図9に示すように、本実施形態の治具81は、ブランクパイプ材2aの軸方向に沿って延びブランクパイプ材2a内に挿入可能なガイドピン82と、そのガイドピン82の先端部に設けられ中子部6に係合可能なフランジ83と、ガイドピン82の基端部に設けられブランクパイプ材2aの一端の係合可能なストッパ84とを備える。また、本実施形態の中子部6の各板材5には、ガイドピン82の先端部が貫通するガイド穴85(例えば、丸穴)が形成される。
フランジ83は、例えば、板材5のガイド穴85よりも大径の円板からなり、ストッパ84は、ブランクパイプ材2aの断面よりも大きく形成され、例えば、ブランクパイプ材2aの断面と相似形状の板からなる。
フランジ83とストッパ84とは、ガイドピン82に溶接などで各々接合され、軸方向に所定の間隔を隔てて配置される。具体的には、フランジ83とストッパ84とは、フランジ83からストッパ84までの長さLが、ブランクパイプ材2aの曲げ部3から一端までの長さに一致するように、ガイドピン82に配置される。
ここで、本実施形態では、ガイドピン82とガイド穴85との隙間および結合ピン7と結合穴8との隙間が、パイプ材2の内壁面と中子部6の板材5との隙間よりも小さく設定される。
次に、ブランクパイプ材2a内への芯金部材4のセットおよび位置決めについて説明する。
まず、ブランクパイプ材2aの一端(図8では左端)から芯金部材4を挿入すると共に、その芯金部材4の板材5のガイド穴85に、ガイドピン82を先端から挿入してフランジ83を板材5に当接させる。
次に、ガイドピン82をブランクパイプ材2a内に送り込み、そのガイドピン82に固定されたフランジ83を介して芯金部材4をブランクパイプ材2aの一端から曲げ部3に向けて移動させる。さらに、ストッパ84がブランクパイプ材2aの一端に当接するまでガイドピン82を送り込む。これにより、芯金部材4が曲げ部3に到達して、所定の位置に位置決めされる。位置決め終了後、ガイドピン82は、曲げ加工前に、ブランクパイプ材2aから引き抜かれる。
本実施形態では、上述した図1の実施形態と同様の効果が得られ、さらに、ガイドピン82により、芯金部材4を所望の位置に容易にセットすることができる。
また、ガイドピン82とガイド穴85との隙間、および結合ピン7と結合穴8との隙間が、パイプ材2の内壁面と中子部6の板材5との隙間よりも小さく設定されているので、パイプ材2内に芯金部材4を挿入するときに、容易に挿入することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、様々な変形例や応用例が考えられるものである。
例えば、上述の実施形態では、結合ピン7の両端に円板状の鍔部9を溶着して、中子部6の板材5を保持、固定したが、これに限定されず、結合ピン7の両端をつぶして鍔部9を形成してもよく、また、鍔部9のかわりに結合ピン7の両端を折り曲げて中子部6の板材5を固定するようにしてもよい。
また、連結部は、結合ピン7に限定されず、様々なものが考えられる。例えば、連結部は、ワイヤでもよく、その場合、ワイヤの両端を板材5に溶着してカシメて、中子部6の板材5を保持する。また、連結部は、外周に雄ねじが形成されたボルトでもよく、その場合、ボルトヘッドと、ボルトに螺合させたナットとで中子部6の板材5を挟み保持する。
また、中子部6の板材5の材質は、鋼材以外にも、様々なものが考えられ、例えば、樹脂、非金属材でもよい。
また、図10および図11に示すように、中子部6の板材5の中央部に所定の大きさの穴部10を形成してもよい。この場合、中子部6(芯金部材4)の重量を低減することができる。ここで、穴部10が大きいほど、芯金部材4の重量を低減できるものの強度が低下するので、穴部10の大きさは、重量や強度などを考慮して適宜設定される。
また、中子部6の板材5の間に、一定の間隔があくようにスペーサを挟んでもよい。例えば、曲げ加工の曲げ半径が大きく曲げ部3の軸方向長さが長くなる場合には、曲げ部3にかかる応力(圧縮力、引張力)が小さくなり座屈、引けが発生し難いので、このような場合は、中子部6の板材5の間にスペーサを挟むことで、中子部6(芯金部材4)のコストを低減することができる。
また、パイプ材の断面は、矩形断面に限定されず、丸断面など様々なものが考えられる。例えば、図12および図13に示すように、パイプ材12は、異型断面を有する異型鋼管でもよく、その場合、中子部6の板材13は、異型鋼管12と同様に異型断面に形成することが好ましい。
さらに、図12に示すように、パイプ材が異型鋼管12の場合、異型鋼管12と芯金部材4(板材5)との隙間を、変形可能な部位か否かで調整するようにしてもよい。例えば、図例では、角部Cを変形可能な部位とし、角部Cでの異型鋼管12と芯金部材4との隙間が大きく設定される。より具体的には、異型鋼管12の角部Cに所定の半径で丸み味(R)が付けられており、その角部Cよりも大きな半径で板材13の角部に丸み味(R)が付けられる。
これにより、曲げ加工による歪が変位可能な角部Cに集中するので、他の部材が取り付けられる面部F(断面における辺部)などの変形不可部の歪を低減させることができる。例えば、図6のキャブ61では、フロントウインドウ63やルーフパネル67が取り付けられるフロントピラー部62およびルーフレール部65の面部の精度を向上させることができる。
図1は、本発明に係る一実施形態による構造部材の概略断面図である。 図2は、本実施形態の構造部材の概略断面図であり、曲げ加工前の状態を示す。 図3は、図2のIII部拡大図である。 図4は、図3のIV方向矢視図である。 図5は、本実施形態のプレス機の概略構造図である。 図6は、本実施形態のキャブの概略斜視図である。 図7は、他の実施形態に係る芯金部材の断面図である。 図8は、他の実施形態に係る芯金部材および治具の断面図である。 図9は、図8のIX方向矢視図である。 図10は、本発明の変形例に係る芯金部材の断面図である。 図11は、図10のXI方向矢視図である。 図12は、本発明の変形例に係る芯金部材の断面図である。 図13は、図12のXIII方向矢視図である。 図14は、従来のプレス成形によるパイプの曲げ加工を説明するための図である。
符号の説明
1 構造部材
2 パイプ材
3 曲げ部
4 芯金部材
5 板材
6 中子部
7 結合ピン(連結部)

Claims (4)

  1. パイプ材をプレス成形により曲げ加工して形成される構造部材において、
    上記パイプ材の曲げ加工が施される曲げ部内に、該曲げ部の座屈および引けを防止すべく上記曲げ部における曲げ内側および外側の内壁面を各々支持する芯金部材を挿入して、上記パイプ材を曲げ加工すると共に、上記芯金部材を上記曲げ部と一体的に変形させ、その変形した芯金部材を上記曲げ加工後に上記曲げ部の強度部材とし、上記芯金部材は、上記曲げ部の断面形状と同じ形状の複数の板材を上記パイプ材の軸方向に沿って並べて形成された中子部と、その中子部の上記板材を上記軸方向に連結すると共に、上記曲げ加工により変形する連結部とを有することを特徴とする構造部材。
  2. 上記芯金部材は、上記中子部の上記軸方向長さが上記曲げ部の長さと同じである請求項1記載の構造部材。
  3. 上記芯金部材の中子部が、上記曲げ加工後に、上記曲げ部の内壁に溶接接合された請求項1又は2に記載の構造部材。
  4. 建設機械のキャブの一体に形成されたフロントピラー部およびルーフレール部をなす請求項1から3いずれかに記載の構造部材。
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