JP4683414B2 - 金属製下地材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、近年、森林伐採等の環境破壊,経年変化や品質不良等、木材の持つ諸問題を考慮し、住宅メーカー等では、強度が高くしかも品質が安定しているという理由で、当該下地材として、鋼管等の金属製のものを用いようとしている。
このような強度低下と接触状態の不安定さを解消するために、図4に示すように切除された段差部20に補強部材21を挿入することも行われている。しかし、この補強部材も下地材に対して何らかの態様で固定する必要がある。ビス22や溶接による固定が一般的であるが、いずれにしても手間が増えるためにコスト高となってしまう。
特許文献1には、図5に示すように、金属製角パイプ31の一端側に切欠段差部32が形成された金属製根太30が記載されている。この金属製根太30は、前記角パイプ31の一面33の一側端から所定位置に長手方向と直行する方向に前記一面33からこれに接する相対向する側面34にかけて所定深さの切り込み35を設け、形成されるべき前記切欠段差部32の切り欠き深さに基づき定められた厚さのプレス成型パッド36が金属製角パイプ31内に一旦挿入された後上方から押圧され、大引きへの取付け面37と、当該取付け面37と前記側面34との間にそれぞれ蛇腹状に折り込まれたつば部38を形作った前記切欠段差部32が形成されている。そして、前記プレス成型パッド36は切欠段差部32が形成された後、取り除かれている。
したがって、最も強度低下が大きいと思われる、一般部(切欠いていない部分)Nと切欠段差部32の境界面には実質的な補強がなされていない。このため、この金属製根太30を構造物に用いると、前記境界面部分に応力が集中しやすい。また、成型加工後にプレス成型パッド36を抜き取る必要がある。この際、金属製角パイプの両側の対向板材は蛇腹状の折り曲げ変形時にプレス成型パッドを強い力でかしめた態様となるため、抜き取り時にかなりの牽引力が必要となる。このような要因により、強度的に不安があるばかりでなく、生産性の低下とコストの上昇が懸念される。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、金属製角パイプの端部に段差部が設けられた下地材であって、段差部の形成によっても曲げ強度の低下がなく、むしろ段差部の曲げ強度を高めた金属製下地材を安価に提供することを目的とする。
段差部が形成される側の端部金属製角パイプ内に押圧パッド又は補強材を挿入した後、プレス上金型を押し当てることが好ましい。押圧パッドは成形後抜き取られ、補強材は挿通されたままとなる。
またその製造時にあっても、切り込みを行うことなく一回の押圧で所定形状の段差部が形成され、また製造時に挿入した押圧パッド又は補強材は必ずしも抜き取る必要もないために、全体として簡易な手段で製造できる。
このため、結果として、強度に優れた金属製下地材が低コストで供給でき、基本骨格を金属構造製とした住宅の普及に寄与できる。
本発明の金属製下地材を製造する際は、まず、図7に示すように金属板で形作られた角パイプ51を準備する。パイプの寸法に特に制限はない。断面正方形でも断面長方形でも構わない。金属板の材質及び肉厚を含め、用途(適用箇所)に応じて適宜決められる。金属板としてはアルミニウム合金板でもよいが、鋼板、特にめっき鋼板が好ましい。押出管,溶接管又はかしめ成形管が用いられる。
この押圧パッド52又は補強材のサイズは、前記角パイプ51の内寸法よりも僅かに狭い幅を有するものを用いる。補強材を用いる場合、そのサイズは角パイプ51の内寸法に近似しているほど、後述するかしめ作用が有効に働き、抜け難くなる。高さは得ようとする下地材の段差部高さに基づいて決められる。長さは、形成する段差部長さよりも長くする。
下金型54としては、被成形角パイプの幅と同じか僅かに広い幅の凹溝55を有するもの、上金型53としては、被成形所望段差部長さと同じ長さで、前記した下金型54の凹溝55幅と同じか僅かに狭い幅を有する押圧面を有するものとする。
開口端から押圧パッド52又は補強材を挿入した被成形角パイプ51を、前記下金型54の凹溝55内に載置し、上面から上金型53を押圧してプレス成形する。
両側面及び上下面が拘束された態様でプレス成形されるため、上面58が平らになった段差部54が形成され、結果として寸法精度に優れた下地材が得られる。
すなわち、押圧パッド52が挿入された態様である図8では、角パイプ51の端部に、上面58とその両側の相対向する側面56との間にそれぞれ蛇腹状に折り込まれたつば部57を有する段差部59が形作られた下地材が成形されている。そして、段差部59の中には押圧パッド52が挿通されており、しかも段差部59の上面58と角パイプ51、すなわち下地材の中央部上面と斜面で連続している。図8(a)の態様から押圧パッド52を抜き取ると下地材が得られる(図8(b))。角パイプの内寸法よりも小さい寸法の押圧パッド52を挿入した場合には、かしめ力はさほど大きくはなく、機械的操作で引き抜くことができる。
蛇腹状のつば部57が形成される際、このつば部57は強い押圧力で補強材60をかしめる態様となるため、角パイプの内寸法に近似した寸法の補強材60は段差部59内で固定されることになる。
そこで、角パイプ51の内側に挿入する補強材60として、その角パイプ内面及び蛇腹状つばの下面と接触する全面に予めゴムシートや樹脂フィルム等の緩衝材を貼り付けたものを用いることもできる。緩衝材が貼り付けられた補強材60を角パイプ51に挿入し、挿入した補強材の上方からプレス成形すると、補強材60の下端部、側面部と角パイプ内面との間、及び補強材の上面と蛇腹状つば57との間の全てに緩衝材が介在されて、振動等による接触音の発生を抑制した下地材となる。
すなわち、音鳴り防止機能を有する下地材が得られることになる。
(1)特開2003−147943号公報で提案された切り込みつぶし形状。
(2)特願2004−669520号で提案した切り込み補強材挿通つぶし形状。
(3)本請求項1の切り込みなしのつぶし形状。
(4)本請求項2の切り込みなしの補強材挿通つぶし形状。
また、参考例として、(5)段差部を形成していない鋼角パイプそのもの、及び(6)上記下地材と同じサイズの木材に切り欠き段差部を形成した従来の下地材、を準備した。
図10に示す結果から、切り込みを入れることなく押圧して形成した段差部を有するもの(3),(4)は、切り込みを入れた後に押圧して形成した段差部を有するもの(1),(2)に比べて、曲げ強さが高くなっていることがわかる。特に補強材を挿入したもの(4)にあっては、曲げ強さが一段と高くなっていることがわかる。
Claims (3)
- 金属製角パイプの端部に所定長さの段差部が設けられた下地材であって、前記段差部の内部に、当該段差部長さよりも長い補強材が挿通されており、前記段差部は上面とその両側の相対向する側面に当該側面部がそれぞれ内方向に蛇腹状に折り込まれて形成されたつば部を有し、前記段差部の上面が下地材中央部分の上面と斜面で連続していることを特徴とする金属製下地材。
- 金属製角パイプを当該角パイプの幅と同じか僅かに広い幅の凹溝を有するプレス下金型内に載置した後、前記角パイプの端部上面に所望段差部長さと同じ長さの押圧面を有するプレス上金型を押し当て、前記角パイプの相対向する側面部をそれぞれ当該角パイプの内方向に蛇腹状に折り込んでつば部を形成することにより、プレス上金型が押し当てられた角パイプ端部上面が当該角パイプの中央部分上面と斜面で連続された段差部を形作ることを特徴とする金属製下地材の製造方法。
- 段差部が形成される側の端部金属製角パイプ内に押圧パッド又は補強材を挿入した後、プレス上金型を押し当てる請求項2に記載の金属製下地材の製造方法。
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