JP5182939B2 - シールド電線の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シールド電線の編組線を電子回路のアース線に接続するためのシールド電線の処理方法に関する。
従来から、下記特許文献1に開示されているシールド電線のシールド処理構造が知られている。
以下、図8〜図11を参照してシールド電線のシールド処理構造を説明すると、一対の樹脂部材41,41は同一部材であり、その各接合面41a,41aには電線延在方向に延びるシールド電線用円弧溝41b,41bが形成されている。また、シールド電線用円弧溝41b,41bに直交して、アース線用円弧溝41c,41cが形成されている。そして、一対の樹脂部材41,41は、互いの接合面41a,41aを突き合わせると、双方の樹脂部材41,41に形成した各突起42,42が、相手側の各穴43,43にそれぞれ挿入される。この挿入により、一対の樹脂部材41,41が一体に組み付けられる。
なお、シールド電線44は、図8に示すように芯線44aを被覆材44b,編組線44c,被覆材44dで覆った構造になっている。また、アース線45は、芯線45aを被覆材45bにより覆った構造になっている。
シールド電線44の編組線44cをアース線45に接続する場合は、シールド電線44を円弧溝41bに挿入するとともに、アース線45を円弧溝41cに挿入する。そして一対の樹脂部材41,41の接合面41a,41aを接合させた後、不図示の超音波ホーンにより超音波加振させ、発生した熱によってシールド電線44の被覆材44d、アース線45の被覆材45bを溶融させて編組線44cとアース線45の芯線45aとを接触させる。
前記構造における作用を図9について更に説明すると、下側の樹脂部材41上にシールド電線44を位置決めし、その上部にシールド電線44と直交するように直線状のアース線45を位置決めする。そして、上側の樹脂部材41を矢印Aに示すように下降させ、アース線45をシールド電線44に押し付けて湾曲させた後、超音波加振し、超音波加振により発生した熱によって被覆材44d,45bを溶融して、図10に示すように編組線44cと芯線45aとを接触させる。
以上のように、編組線44cと芯線45aとが正規に接続された場合は、芯線45aを接地接続することにより、発振等の不所望な現象を未然に防止できる。また、一対の樹脂部材41,41自体も一部が溶融するので、一対の樹脂部材41,41、シールド電線44、アース線45が一体に固化され、シールド電線44やアース線45の抜け等も防止できる。
特開2005−32665号公報
しかし、前記シールド電線の処理にあっては、下記のような問題が生じていた。
即ち、アース線の製造ロットによっては、被覆材45bが硬く湾曲しにくかったり、夏冬の温度差により被覆材45bの硬度が変わったりする。つまり、被覆材45bの硬度は夏には柔らかく、冬には硬くなる傾向がある。
特に、アース線45の被覆材45bの硬度が硬い場合は、シールド電線44の外周に沿って湾曲することができず、溶融が進むに従い図11に示すように編組線44cやアース線45の芯線45aがシールド電線44の芯線44aに接触してしまうことがあった。この場合、短絡状態になって芯線44aが接地されてしまい、正常な回路動作が行われない。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールド電線の編組線とアース線との接続を行う際に、シールド電線の芯線とアース線の芯線との短絡を防止し得るシールド電線の処理方法を提供することにある。
本発明の前述した目的は、下記構成により達成される。
(1) 複数の樹脂部材間に、芯線の外周を編組線及び被覆材で覆ったシールド電線と、芯線を被覆材で覆ったアース線とを重ねて位置決めし、前記複数の樹脂部材間に圧縮力を作用させつつ超音波加振して樹脂部分を溶融させることにより、前記シールド電線の前記編組線と前記アース線の前記芯線とを接触させるシールド電線の処理方法であって、
前記アース線が前記シールド電線の外周面に沿う曲線形状に予め変形され、前記位置決めの際に前記シールド電線と、予め変形させた前記アース線の変形部分とを重ねることを特徴とするシールド電線の処理方法。
(2) 前記アース線の変形部分は、前記シールド電線の線径又は本数の少なくとも一方に対応して設定されることを特徴とする上記(1)に記載のシールド電線の処理方法。
上記(1)の構成によれば、アース線がシールド電線の外周囲の形状に沿うように予め曲線形状に変形されているので、溶融時にアース線の芯線がシールド線の芯線に接することがない。したがって、従来の問題であった、アース線の被覆材が硬いことで超音波加振による溶融時に、シールド電線の芯線とアース線の芯線とが短絡することを未然に防止できる。
上記(2)の構成によれば、シールド電線の線径や本数に合わせてアース線を予め変形させるので、線種、配索位置、配索本数等に関して設計に関しての自由度が向上する。
本発明によれば、複数の樹脂部材間にシールド電線とアース線とを重ねて挟み込み、超音波加振により被覆材を溶融してシールド電線の編組線とアース線の芯線とを接続する際、前記アース線の形状を予め前記シールド電線の外周囲の曲線形状に合わせておく。
したがって、アース線の被覆材が硬くても、アース線の芯線を確実にシールド電線の編組線に接続することができ、シールド電線の芯線とアース線の芯線との短絡を防止できる。
また、アース線の形状は、アース線成形治具によりシールド電線の線径や本数に対応して自在に変形できるので、線種、配索位置、配索本数等に関して設計の自由度が向上する。
以下、本発明に係るシールド電線の処理方法の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るシールド電線の処理方法の実施形態に用いられるアース線成形治具を示す断面図、図2はアース線の変形工程を示す断面図、図3はアース線の変形部の形状を示す側面図、図4はシールド電線の処理装置の要部を示す分解斜視図、図5はシールド電線の編組線とアース線との接続状態を示す断面図である。
なお、本実施形態の説明にあたっては、先ずアース線の成形に関して説明を行い、次いで成形されたアース線を適用したシールド電線の処理について説明する。
本実施形態に用いられるアース線成形治具1は、雄型2と、雌型3とを備えている。雄型2に形成した雄型部2aの形状は、図4に示したシールド電線4の線径とアース線5の線径を考慮して設定される。
即ち、雄型部2aは平板部2bから突出した形状に形成されているが、頂部の断面半円部分はシールド電線4の外周面の略半分と同じ形状に形成されている。そして、雄型部2a全体の高さは、平板部2bからアース線5の略直径に相当する寸法分をシールド電線4の直径に加えて設定される。なお、雄型部2aの一端には、アース線5の成形位置を揃えるための位置合わせ部2cが直立状に形成されている。
一方、雌型3には平板部3aに対し凹状の雌型部3bが形成されている。雌型部3bの半径は、雄型部2aの外形にアース線5の略直径に相当する寸法を加算した寸法になっている。
次に、前記アース線成形治具1によるアース線5の成形作用を説明する。
図1に示すように、雄型部2aと雌型部2bとの間にアース線5を差込み、その先端を位置合わせ部2cの壁面に当接させる。これにより、アース線5の成形位置が決定される。なお、アース線5は、芯線5aを合成樹脂製の被覆材5bにより覆ったものである。
前記工程に続いて、矢印Bで示すように雌型3を下降させ、図2に示すようにアース線5を加圧すると、アース線5は雄型部2aと雌型部3bとの間に形成される隙間G内において湾曲状に成形される。そして、雄型部2aと雌型部3bとを離すと、図3に示すような変形部分5cを有するアース線5が得られる。
次に、図4以下の各図を参照して、前記変形部分5cを有するアース線5を適用したシールド電線の処理方法及び装置について説明する。
先ず、図4を参照して処理装置11の構成を説明する。
一対の樹脂部材13,13は同一部材であり、各接合面13a,13aには電線延在方向に延びるシールド電線用円弧溝13b,13bが形成されている。また、シールド電線用円弧溝13b,13bに直交して、アース線用円弧溝13c,13cが形成されている。そして、一対の樹脂部材13,13は、互いの接合面13a,13aを突き合わせると、双方の樹脂部材13,13に形成した各突起14,14が、相手側の各穴15,15にそれぞれ挿入されることによって組み付けられるようになっている。
なお、シールド電線4は、図4に示すように芯線4aを被覆材4b、編組線4c、被覆材4dで覆った構造になっている。
また、超音波ホーン16は、図4の下端に示した下側支持台17と、図4の上端に示した超音波ホーン本体18とにより構成されている。下側支持台17及び超音波ホーン本体18は、ともに別個に上下方向に移動自在に設けられている。下側支持台17の上面に樹脂部材13がセットされ、このセットされた樹脂部材13はその接合面13aを上方として保持されるようになっている。
超音波ホーン本体18の下面には樹脂部材3がセットされ、このセットされた樹脂部材3はその接合面13aを下方にして保持されるようになっている。
シールド処理用治具21は、上下方向に貫通された樹脂設置用開口部22を有し、この樹脂設置用開口部22より外側の左右位置に一対の電線挿入溝23,23が設けられ、その幅はシールド電線4を挿入し得るように設定されている。
また、一対の電線挿入溝23,23の入り口は、電線挿入方向に向かって徐々に幅を狭めるテーパ面23a,23aに形成されている。
更に、シールド処理用治具21には、樹脂設置用開口部22より外側位置で、且つ一対の電線挿入溝23,23を結ぶ線に対して直交方向にアース線挿入溝24と基準凹部25とがそれぞれ設けられている。アース線挿入溝24から挿入されたアース線5は、一対の電線挿入溝23,23の略中心位置にセットされるようになっている。
次に、シールド電線の処理方法、即ちシールド電線4の編組線4cをアース線5に接続する処理方法を説明する。
まず、超音波ホーン本体18の下面及び下側支持台17の上面に、上下一対の樹脂部材13,13をそれぞれセットする。また、シールド処理用治具21に形成した一対の電線挿入溝23,23にシールド電線4を挿入する。
次に、シールド処理用治具21のアース線挿入溝24にアース線5を挿入し、アース線2の先端が基準凹部25に当接する位置まで挿入する。これにより、アース線5に予め曲線状に形成した変形部分5cがシールド電線4を跨ぐように位置決めされる。また、シールド電線4と、アース線5とは、電極挿入孔23とアース線挿入溝24の作用により、相互に直交するように位置決めされる。
次に、下側支持台17を上方に、超音波ホーン本体18を下方にそれぞれ移動させ、上下一対の樹脂部材13,13の互いの接合面13a,13aを突き合わせる。
この結果、上下一対の樹脂部材13,13間に、シールド電線4及びアース線5が挟み込まれる。そして、シールド電線4がシールド電線円弧溝13b,13bに、アース線5がアース線用円弧溝13c,13cにそれぞれ嵌まり込むようになる。
また、前記接合面13a,13aの突き合わせにより、突起14,14が穴15,15に挿入され、一対の樹脂部材13,13が相互に位置決めされる。
前記のように、処理装置11を組み付けた後、超音波ホーン本体18と下側支持体17とに圧縮力を作用させながら超音波振動を加えると、シールド電線4の被覆材4dとアース線5の被覆材5bとが振動エネルギーによる発熱によって溶融飛散し、アース線5の芯線5aとシールド線4の編組線4cとが接触状態になる。
これと同時に、一対の樹脂部材13,13の接合面13a,13aの接触部分や、各円弧溝13b,13cの内周面とシールド電線4の被覆材4dとの接触部分、アース線5の被覆材5bとの接触部分が振動エネルギーによる発熱によって溶融する。そして、前記各溶融部分は超音波加振終了後に固化され、一対の樹脂部材13,13、シールド線4及びアース線5が一体に固化される。
以上のようにして、シールド電線4のシールド処理が行われるのであるが、編組線4cとアース線5とは図5に示すように接続される。
即ち、編組線4cの略半周に亘ってアース線4の芯線4aが密着し、編組線4cとアース線4とが確実に接続される。したがって、アース線4の他端を接地接続することにより、シールド電線4の編組線4cが確実に接地され、発振等の不所望な現象を未然に防止することができる。
次に、図6及び図7を参照して前記アース線成形治具の変形例を説明する。
図6はアース線成形治具の変形例を示す断面図、図7はシールド電線の編組線とアース線との接続状態の変形例を示す断面図である。
前記実施形態では、シールド電線として芯線が一本の例を示した。しかし、現状では以下に説明するように、芯線が複数本、例えば2本のシールド電線も多用されている。
このような場合、図6に示すように、アース線成形治具11の雄型部2aと雌型部3bの形状をシールド電線の形状に合わせて変更すればよい。本変形例は、同一の編組線内に2本の芯線を設けたシールド電線5への対応例であるが、雄型部2aと雌型部3bの形状は、図7に断面形状を示したシールド電線4の外周囲の形状に対応している。
この変形例では、アース線5は図6に想像線で示すように変形され、このアース線5を適用して前記同様にシールド電線4についてシールド処理を行う。なお、一対の樹脂部材については、シールド電線4やアース線5を挿入するための円弧溝等の幅が適宜変更される。
この結果、図7に示すようにシールド電線4の編組線4cは、アース線5の芯線5aに確実に接続され、芯線4aの短絡は発生しない。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、線径の異なる複数本のシールド電線についてシールド処理を行う場合、線径や本数に応じて雄型部及び雌型部の形状を変更することにより対応できる。
また、アース線に複数の曲線形状の変形部を形成し、変形部の位置を離すことも可能であり、この場合は所望距離を介して配索される複数のシールド電線を1本のアース線に接地接続することができる。
本発明の実施形態に用いられるアース線成形治具の構成を示す断面図である。 アース線の変形工程を示す断面図である。 変形されたアース線の形状を示す側面図である。 シールド電線の処理装置の構成を示す分解斜視図である。 シールド電線とアース線との接続状態を示す断面図である。 アース線成形治具の変形例の断面図である。 変形例におけるシールド電線とアース線との接続状態を示す断面図である。 従来のシールド電線の処理装置の構成を示す分解斜視図である。 従来のシールド電線のシールド処理工程を示す断面図である。 従来のシールド電線とアース線との接続状態を示す断面図である。 シールド電線とアース線との短絡状態を示す断面図である。
符号の説明
1 アース線成形治具
2 雄型
2a 雄型部
3 雌型
3a 雌型部
4 シールド電線
4a,5a 芯線
4b,4d,5b 被覆材
4c 編組線
5 アース線
11 処理装置
13 一対の樹脂部材
14 突起
15 穴
16 超音波ホーン
17 下側支持台
18 超音波ホーン本体
21 シールド処理用治具
22 樹脂装置
23 一対の電線挿入溝
24 アース線挿入溝
25 基準凹部

Claims (2)

  1. 複数の樹脂部材間に、芯線の外周を編組線及び被覆材で覆ったシールド電線と、芯線を被覆材で覆ったアース線とを重ねて位置決めし、前記複数の樹脂部材間に圧縮力を作用させつつ超音波加振して樹脂部分を溶融させることにより、前記シールド電線の前記編組線と前記アース線の前記芯線とを接触させるシールド電線の処理方法であって、
    前記アース線が前記シールド電線の外周面に沿う曲線形状に予め変形され、前記位置決めの際に前記シールド電線と、予め変形させた前記アース線の変形部分とを重ねることを特徴とするシールド電線の処理方法。
  2. 前記アース線の変形部分は、前記シールド電線の線径又は本数の少なくとも一方に対応して設定されることを特徴とする請求項1に記載のシールド電線の処理方法。
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