上記特許文献1に記載されたフューエルフラップの開閉構造100によると、フューエルフラップ101を閉蓋する場合、プッシュオープンスイッチ103のロッド103aを開方向に付勢する内蔵スプリング、及び、フューエルフラップ101の係止片105の係止孔106に挿入する方向に突出するロック機構107の係止ピン107aに抗して閉蓋する必要があり、操作荷重が大きくなるので、閉蓋操作性の悪化が懸念される。
また、上記特許文献2によれば、ヒンジ116近傍に取り付けられたスプリング117、及び、フューエルフラップ115の舌片115bの係止孔115cに挿入する方向に突出するロック機構119のピン部材119aに抗して閉蓋する必要があり、操作荷重が大きくなるので、上記特許文献1と同様に閉蓋操作性の悪化が懸念される。更に、スプリング117を開方向の付勢力に抗して収縮させてばね受け部118に当接させるので、ばね受け部118及びアウタパネル112に対する過度の荷重入力による応力増加により、これらの部材の耐久性が懸念される。
そこで、フューエルフラップの適切な閉蓋力を確保するためのスプリングの設置例として、例えば図14(a)に燃料供給部120の断面図を示すように、フューエルフラップ121を支持する開閉支軸125の中心からスプリング122の一端122aを係止する固定支軸123を給油口室124内の車体内方側に比較的大きく離間して配置して、フューエルフラップ121の閉蓋時におけるスプリング122の他端122bを係止するフューエルフラップ121に形成される係止部121a及び開閉支軸125と、固定支軸123とのなす角度θを大きく設定することで、比較的引張力の小さいスプリング122であっても閉蓋力を確保することができる。すなわち、図14(a)に示すように、フューエルフラップ121の係止部121aに作用するスプリング122の引張力Pが上記角度θに相応して開閉支軸125方向の分力P2と比較的大きな閉蓋方向の分力P1に設定される。しかし、スプリング122を係止する固定支軸123が開閉支軸125から大きく離間して給油口室124内に設置することに伴って、凹状の給油口室124の奥行きLが大きくなる。
一般に、給油口室124が形成されるアウタパネル126は、プレス加工によって成形され、加工精度及び生産効率の向上の点から給油口室124と一体成形することが望ましいところ、給油口室124を深く形成する場合には、一体成形することが困難となり、給油口室を別に成形した上でアウタパネル126に結合することが必要になる。従って、作業が複雑になり生産効率の低下が懸念される。
一方、図14(b)に示すように、フューエルフラップ131を支持する開閉支軸135の中心から固定支軸133の離間距離を小さくして給油口室134の奥行きLを小さくすると、フューエルフラップ131の閉蓋時におけるフューエルフラップ131に成形される係止部131a及び開閉支軸135とスプリングの一端132aと固定支軸133のなす角θが小さくなり、フューエルフラップ131の係止部131aに作用するスプリング132の引張力Pが上記角度θに相応して開閉支軸135方向の分力P2と比較的小さな閉蓋方向の分力P1が設定される。この場合、フューエルフラップ131の閉蓋力が低下し、走行時の振動等によってフューエルフラップ131が振動して騒音発生やフューエルフラップ131が開放状態となることが懸念される。この対策として引張力の大きなスプリング132を使用してフューエルフラップ131の閉蓋力を確保することも可能であるが、各構成部材に大きな荷重が作用し耐久性の低下を招くとともに、スプリング132の取付作業が困難になり、作業性の低下が懸念される。
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、スプリングの引張力を抑制する構造によって給油口室を小型化してアウタパネルの成形性を向上させ、かつ、取付作業効率及び耐久性を向上させるフューエルフラップの開閉構造を提供することにある。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明によるフューエルフラップの開閉構造は、アウタパネルに凹設された給油口室及び該給油口室の一の側面に近接して設けられた開閉支軸に揺動自在に設けられて該給油口室を開蓋及び閉蓋するフューエルフラップを備え、該フューエルフラップに形成された係止部と前記給油口室内の固定ブラケットに形成されたスプリング係合部との間に張設された板状のスプリングを備えるフューエルフラップの開閉構造において、前記固定ブラケットのスプリング係合部は、前記フューエルフラップの開閉支軸より車体内方に形成され、前記スプリングは、一端に前記係止部に係合するフラップ係合部及び他端に前記スプリング係合部に係合するブラケット係合部がそれぞれ形成されて前記フューエルフラップの閉蓋状態において該フューエルフラップに沿ってC字状に延在して該フューエルフラップを閉方向に付勢するとともに前記フラップ係合部とブラケット係合部との間に前記固定ブラケットに弾性的に圧接して係止するブラケット圧接部を備えた、ことを特徴とする。
この発明によれば、スプリングのフラップ係合部がフューエルフラップの係止部に係合するとともにブラケット係合部が、フューエルフラップの開閉支軸より車体内方に形成された固定ブラケットのスプリング係合部に係合するので、固定ブラケットとフューエルフラップとの間に張設されるスプリングの作用により、フューエルフラップの閉蓋状態においてフューエルフラップに閉方向の付勢力が付与されるとともに、スプリングのブラケット圧接部が固定ブラケットに圧接係止するので該部においても閉保持力が付与され、開閉支軸と固定ブラケットとを近接配置させてスプリングの引張力を小さく抑えることが可能となる。
従って、開閉支軸と固定ブラケットとを近接配置させることで給油口室を小型化、特に奥行きを小さく設置することが可能となり、給油口室を別に成形してアウタパネルに結合させる必要がなく、給油口室とアウタパネルを一体成形することでアウタパネルの成形性を向上させることができるとともに、給油口室の省スペース化を図ることができる。また、スプリングのブラケット圧接部が固定ブラケットに係合するので、引張力の小さなスプリングを使用しても、閉保持力の高いフューエルフラップの開閉構造を得ることができる。更に、スプリングの引張力によって固定ブラケットや給油口室に過剰な応力を生じさせることもないので、アウタパネルの耐久性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によるフューエルフラップの開閉構造は、請求項1に記載のフューエルフラップの開閉構造において、前記給油口室は、周面及び後面を有する凹状に形成され、前記固定ブラケットは、前記給油口室の後面に結合して車体前後方向に延在する基部及び該基部の各端部から車体外方へ折曲して各先端に移行するに従って互いに漸次離間する第1壁部及び第2壁部を備えたU字状であって、該第1壁部の先端部に前記第2壁部から離間する方向に突状となる湾曲形成されたスプリング圧接部を備え、該第2壁部の先端にスプリング係合部が形成され、前記スプリングは、フック状に形成されて対峙するフラップ係合部及びブラケット係合部によって前記係止部とスプリング係合部に挟持係止するとともに該フラップ係合部からブラケット係合部に移行するに従って、該フラップ係合部に連続形成されてブラケット係合部へ近接する方向に突出する湾曲状の第1突起部、該第1突起部から前記ブラケット係合部側から漸次離間する第1傾斜面を形成するとともに前記ブラケット圧接部となる頂面を介して前記ブラケット係合部に近接する第2傾斜面が連続形成される第2突起部、該第2傾斜面から延在する中間部を介して前記ブラケット係合部が順次連続して一体に形成された、ことを特徴とする。
この発明によると、フューエルフラップの係止部と、フューエルフラップの開閉支軸より車体内方に形成された固定ブラケットのスプリング係合部との間に、スプリングのフラップ係合部とブラケット係合部とが挟持係止するので、フューエルフラップの閉蓋状態においてフューエルフラップに閉方向の付勢力が付与されるとともに、スプリングのブラケット圧接部が固定ブラケットのスプリング圧接部に圧接係止するので該部においても閉保持力が付与され、開閉支軸と固定ブラケットとを近接配置させてスプリングの引張力を小さく抑えることが可能となる。従って、請求項1に係る発明を効果的に実現できる。
また、簡単な構造で部材点数も少なく抑えられるので、車体の軽量化を図ることができるとともに生産コストの低減も図ることができる。
請求項3に記載の発明によるフューエルフラップの開閉構造は、請求項1に記載のフューエルフラップの開閉構造において、前記給油口室は、周面及び後面を有して凹状に形成され、前記固定ブラケットは、前記給油口室の後面と結合して車体前後方向に延在する基部、該基部の各端部から車体外方へ折曲して各先端に移行するに従って互いに漸次離間する第1壁部及び第2壁部を備えたU字状であって、該第1壁部の先端部に前記スプリング圧接部が開口部として形成され、該第2壁部の先端に上記スプリング係合部が形成され、前記スプリングは、前記フラップ係合部及びブラケット係合部がフック状に形成されて互いに対峙する前記フラップ係合部及びブラケット係合部によって前記係止部とスプリング係合部に挟持係止するとともに該フラップ係合部からブラケット係合部に移行するに従って、該フラップ係合部から連続形成されてブラケット係合部へ近接する方向に突出して湾曲する第1突起部、該第1突起部から前記ブラケット係合部側から漸次離間する第1傾斜面を形成するとともにブラケット圧接部となる頂面を介して前記ブラケット係合部に近接する第2傾斜面が連続形成される第2突起部、該第2傾斜面から延在する中間部を介して前記ブラケット係合部が順次連続して一体に形成された、ことを特徴とする。
この発明によると、フューエルフラップの係止部と、フューエルフラップの開閉支軸より車体内方に形成されたブラケットのスプリング係合部との間に、スプリングのフラップ係合部とブラケット係合部とが挟持係止するので、フューエルフラップの閉蓋状態においてフューエルフラップに閉方向の付勢力が付与されるとともに、スプリングのブラケット圧接部がスプリング圧接部として形成された固定ブラケットの開口部に係止するので該部においても閉保持力が付与され、開閉支軸と固定ブラケットとを近接配置させてスプリングの引張力を小さく抑えることが可能となる。従って、請求項1に係る発明を効果的に実現できる。
また、スプリングの第2突起部がスプリング圧接部である固定ブラケットの開口部に嵌合する構成なので、ブラケット圧接部がスプリング圧接部に圧接することによる固定ブラケットの応力増加を抑制することができ、部材の耐久性の更なる向上にも資する。
請求項4に記載の発明によるフューエルフラップの開閉構造は、請求項2または3に記載のフューエルフラップの開閉構造において、前記スプリングの中間部は、前記第2傾斜面に連続するとともに前記フラップ係合部から離間する方向に膨出する曲面部、該曲面部から連続形成されて該フラップ係合部に近接する方向に突出する第3突起部を備え、該第3突起部に連続して前記ブラケット係合部が形成されたことを特徴とする。
この発明によると、スプリングに中間部及びこれに連続する曲面部、第3突起部を形成して有効長を確保することで、スプリングの引張力が抑制されるので、スプリングの取付作業が容易となり、生産効率、作業効率の更なる向上に資する。また、スプリングを付形する加工性を向上させることが可能となる。
請求項5に記載の発明によるフューエルフラップの開閉構造は、請求項1に記載のフューエルフラップの開閉構造において、前記給油口室は、周面及び後面を有して凹状に形成され、前記固定ブラケットは、前記給油口室の後面と結合して車体前後方向に延在する基部と、該基部の端部から車体外方向へ折曲して連続形成される壁部とを有し、該壁部に開口部として形成された前記スプリング圧接部及び先端に前記スプリング係合部が形成され、前記スプリングは、フック状に形成されて対峙するフラップ係合部及びブラケット係合部によって前記係止部とスプリング係合部に挟持係止するとともに前記フラップ係合部及びブラケット係合部から離間する方向に膨出する頂面が形成された突起部からなる前記ブラケット圧接部とを有し、前記フューエルフラップの閉蓋状態においてブラケット圧接部が前記開口部の周縁に圧接することを特徴とする。
この発明によると、フューエルフラップの係止部と、フューエルフラップの開閉支軸より車体内方に形成されたブラケットのスプリング係合部との間に、スプリングのフラップ係合部とブラケット係合部とが挟持係止するので、フューエルフラップの閉蓋状態においてフューエルフラップに閉方向の付勢力が付与されるとともに、ブラケット圧接部を有するスプリングの突起部がスプリング圧接部として形成されたブラケットの開口部の周縁に圧接係合するので該部においても閉保持力が付与され、開閉支軸と固定ブラケットとを近接配置させてスプリングの引張力を小さく抑えることができる。従って、請求項1に係る発明を効果的に実現できる。
また、スプリングの突起部がスプリング圧接部である固定ブラケットの開口部に嵌合して開口部の周縁に圧接する構成なので、ブラケット圧接部がスプリング圧接部に圧接することによる固定ブラケットの応力増加を抑制することができ、部材の耐久性の更なる向上にも資する。
更に、スプリングにはフラップ係合部、ブラケット係合部の他にはブラケット圧接部を有する突起部を形成すればよいので、スプリングを付形する加工性が向上するとともに、コスト低減及び作業効率の向上にも資する。
請求項6に記載の発明によるフューエルフラップの開閉構造は、請求項5に記載のフューエルフラップの開閉構造において、前記スプリングは、前記フラップ係合部と前記ブラケット圧接部との間に該フラップ係合部に連続形成されて前記ブラケット係合部に近接する方向に突起する第1突起部、該第1突起部から連続形成されて該ブラケット係合部から離間する方向に突起する第2突起部、該第2突起部から該ブラケット係合部に近接する方向に突出する第1曲面部を有し、前記ブラケット圧接部と前記ブラケット係合部との間に前記フラップ係合部に近接する方向に突出する第2曲面部、該第2曲面部から前記フラップ係合部に離間する方向に突出する第3突起部、該第3突起部から連続形成されて該フラップ係合部方向に突出する第4突起部が連続形成されたことを特徴とする。
この発明によると、スプリングのフラップ係合部とブラケット圧接部との間に第1突起部、第2突起部及び第1曲面部を連続形成するとともに、ブラケット圧接部とブラケット係合部との間に第2曲面部、第3突起部、第4突起部を連続形成して有効長を確保することで、スプリングの引張力が更に抑制されるので、可撓性の高いスプリングを得ることができる。従って、スプリングの取付作業及び作業効率、部材の耐久性及び成形性の更なる向上に資するので、請求項5に係る発明を効果的に達成できる。
この発明によれば、スプリングのフラップ係合部がフューエルフラップの係止部に係合するとともにブラケット係合部が、フューエルフラップの開閉支軸より車体内方に形成された固定ブラケットのスプリング係合部に係合するので、固定ブラケットとフューエルフラップとの間に張設されるスプリングの作用により、フューエルフラップの閉蓋状態においてフューエルフラップに閉方向の付勢力が付与されるとともに、スプリングのブラケット圧接部が固定ブラケットに圧接係止するので該部においても閉保持力が付与され、開閉支軸と固定ブラケットとを近接配置させてスプリングの引張力を小さく抑えることが可能となる。
従って、開閉支軸と固定ブラケットとを近接配置させることで給油口室を小型化、特に奥行きを小さく設置することが可能となり、給油口室を別に成形してアウタパネルに結合させる必要がなく、給油口室とアウタパネルを一体成形することでアウタパネルの成形性を向上させることができるとともに、給油口室の省スペース化を図ることができる。また、スプリングのブラケット圧接部がブラケットに係合するので、引張力の小さなスプリングを使用しても、閉保持力の高いフューエルフラップの開閉構造を得ることができる。更に、スプリングの引張力によって固定ブラケットや給油口室に過剰な応力を生じさせることもないので、アウタパネルの耐久性を向上させることができる。
(第1実施の形態)
次に、図1〜図5を参照して本発明の第1実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10が適用される車両1の側面図であり、図2は、図1におけるI−I線断面図であり、図3は、図2の矢線Aで示す要部の拡大図であり、図4は、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の概略斜視図である。
図示のように、車両1の車両後方部で、かつ、アウタパネルの一部を構成するリヤフェンダーパネル2には、燃料供給部3が形成される。この燃料供給部3は、上面(図示しない)及び下面11aを有するとともに開閉支軸24側の第1側面11c及び第1側面11cに対向する第2側面11dを有する周面と、この周面の車体内方側を閉塞する後面11bとを有し、後面11bと対向する前面は開放されて凹状に形成された給油口室11を備える。給油口室11の後面11bには、給油口12が設けられる。この給油口室11内に設けられた開閉支軸24にフューエルフラップ20が揺動自在に支持されて給油口室11を閉蓋し、フューエルフラップ20及び給油口室11に設けられたプッシュオープンスイッチ13がフューエルフラップ20を閉蓋位置において保持する。そして、給油口室11内に設けられた開閉支軸24の近傍に形成されたブラケット、すなわち、給油口室11の後面11bに一部が結合された固定ブラケット30とフューエルフラップ20との間にはスプリング40が張設されており、後述するようにフューエルフラップ20を閉蓋方向に付勢する。
フューエルフラップ20は、フラップアウタ21とフラップインナ22とを備え、フラップインナ22の各辺に形成された図示しないフランジがフラップアウタ21に結合し、これらが協働して閉断面形状に形成される。フラップアウタ22には、開閉支軸24に軸支する軸受けブラケット(図示しない)が形成され、フューエルフラップ20を揺動自在に保持する。また、フラップインナ22には、上辺23a、下辺23b、開閉支軸24側の第1辺23c及び第1辺23cに対向する第2辺23dを有する矩形に開口する係止部23が形成され、後述するスプリング40のフラップ係合部42が係止する。
プッシュオープンスイッチ13は、蛇腹状に成形されたカバーによってスイッチ本体部が被覆されており、閉蓋位置においてフューエルフラップ20を弾性的に保持する。なお、このプッシュオープンスイッチ13は公知技術を適用したものであるので、その詳細な説明を省略する。
固定ブラケット30は、給油口室11の後面11bに結合して車体前後方向に延在する基部35及び、この基部35の各端部にそれぞれ連続形成されるとともに図3の矢線Bで示す車体外方向へ折曲し、各先端に移行するに従って互いに漸次離間する第1壁部31及び第2壁部32を備えた断面略U字状に形成される。
第1壁部31は図3の矢線Cで示す給油口室11の第2側面11d側に形成され、基部33の端部から矢線Bで示す車体外方向へ折曲して連続形成されて第2壁部32から離間する方向に突起して形成されたスプリング圧接部31A、スプリング圧接部31Aから連続形成されて第2壁部32に漸次近接する方向に突起する頂面31Baを有して第1壁部31の先端31Cまで延在する突起部31B、を備えて一体に形成される。
第2壁部32は給油口室11の第1側面11c側に形成され、基部33の端部から矢線Bで示す車体外方向へ折曲して連続形成されるとともに第1壁部31から離間する方向に屈曲する屈曲面32Bを介して第2壁部32の先端まで延在するスプリング係合部32Aを有する。このスプリング係合部32Aは、開閉支軸24に近接配置されるとともに、開閉支軸24より車体内方に形成される。また、第2壁部32には矩形の開口部32Cが形成される。
スプリング40は、板状のばね材によって一端側にフラップ係合部41、他端側にブラケット係合部47を有してフューエルフラップ20に沿って断面略C字状に形成される。フラップ係合部41は、ブラケット係合部47から離間する方向に突出するフック状に形成され、ブラケット係合部48は、フラップ係合部42から離間する方向に突起して頂面47aを介してフラップ係合部41へ近接する方向に屈曲するフック状に形成される。
このスプリング40は、フラップ係合部41からブラケット係合部47に移行するに従って、フラップ係合部41から連続形成されて第2壁部32へ近接する方向に突起する第1突起部42、第1突起部42から連続形成されて第2壁部32から漸次離間する第1傾斜面43aを形成するとともに第1傾斜面43aから連続形成されてブラケット圧接部43bとなる頂面を介して第2壁部32方向へ再度近接する第2傾斜面43cが連続形成される第2突起部43、第2突起部43から給油口室11の後面11bに漸次対向する方向に延在する中間部44、中間部44から連続形成されるとともに矢線Bで示す車体外方向に折曲してフラップ係合部41から離間する方向に突出して延在する曲面部45、曲面部45から連続形成されてフラップ係合部41に近接する方向に突起する第3突起部46を有し、第3突起部46からブラケット係合部47が連続形成される。
また、フューエルフラップ20の閉蓋状態において、スプリング40の一端から他端までのスプリング長は、ブラケット圧接部43bが固定ブラケット30のスプリング圧接部31Aに係合して弾性変形するスプリング長を有して形成される。
更に、スプリング40は、フラップ係合部41側とブラケット係合部47とを互いに離間する方向に作用する力を付与した場合に、フラップ係合部41とブラケット係合部47とが互いに接近する方向に引張力が作用する。また、スプリング40に中間部44、曲面部45、第3突起部46を形成してスプリング40の有効長を確保して、スプリング40の引張力を抑制する。従って、中間部44等を形成せずにスプリング40を形成した場合と対比すると、スプリング40の引張力は抑制され、変形付与が容易になる。
次に、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の各部材の配置構成について説明する。
図3及び図4で示すように、スプリング40のブラケット係合部47は、固定ブラケット30のスプリング係合部32Aに係止し、スプリング40が固定ブラケット30の開口部32Cを挿通する。そして、フラップ係合部41が、フラップインナ22に開口形成された係止部23の第1辺23cに係止する。すなわち、スプリング40のフラップ係合部41及びブラケット係合部47が、フラップインナ22に開口形成された係止部23とブラケット30のスプリング係合部32Cに挟持係止する。
このようにスプリング40を固定ブラケット30及びフラップインナ22に係止させると、固定ブラケット30は給油口室11に結合されているので、スプリング40のブラケット係合部47が固定ブラケット30に係止されてスプリング40の揺動支点となる。揺動自在に取り付けられたフューエルフラップ20のフラップインナ22に係合するフラップ係合部41側がブラケット係合部47から離間する方向に伸長するので、スプリング40にはフラップ係合部41側をブラケット係合部47側に引っ張る力が作用する。このようにスプリング40を取り付けると、スプリング40の引張力Pとこの引張力Pの分力でありフューエルフラップ20を給油口室11の第1側面11c方向に押し付ける力として作用するP2とのなす角θが設定される。すなわち、フラップ係合部41とブラケット係合部47とを結ぶ線分は、フラップ係合部41と開閉支軸24とを結ぶ線分に対して車体内方に位置する。ここにおいて、スプリング40の引張力P及び分力P2、及びフューエルフラップ20を閉蓋方向に付勢する力として作用する引張力Pの分力P1が発生する。
次に、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の作用について説明する。
図5(a)〜(d)は、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の動作状態を説明する図である。図5(a)で示すように、フューエルフラップ20が開蓋位置にある場合は、スプリング40の引張力によってフューエルフラップ20は開蓋状態で保持される。
フューエルフラップ20を閉蓋する場合は、開蓋位置から矢線Dで示す閉方向へフューエルフラップ20を押動させると、スプリング40の引張力Pの分力P1がフューエルフラップ20を閉蓋方向へ付勢する力が作用しているので、押動操作時の荷重が軽減されて、図5(b)で示すようにスプリング40の第2突起部43が固定ブラケット30の突起部31Bに圧接する。
この圧接状態において、分力P1の作用及び押動操作によってスプリング40と固定ブラケット30との間でフリクションが発生しスプリング40が弾性変形する。そして、図5(c)で示すように、スプリング40のブラケット圧接部43bが固定ブラケット30の突起部31Bの頂面31Baに到達するとフリクションが最大となり、スプリング40の撓みによる弾性変形も最大となる。
このとき、ブラケット係合部47及びフラップ係合部41は、固定ブラケット30のスプリング係合部32A及びフラップインナ22の係止部23の第1辺23cをそれぞれ起点として係止しているので、フューエルフラップ20の閉動作に追従してスプリング40が揺動する。
フューエルフラップ20が更に押動されると、弾性変形したスプリング40の弾発力でスプリング40のブラケット圧接部43bが固定ブラケット30の第1壁部31の突起部31Bの頂面31Baを乗り越えて、図5(d)で示すように、スプリング40のブラケット圧接部43bが固定ブラケット30のスプリング圧接部31Aに圧接して係止し、フューエルフラップ20は閉蓋位置に到達する。このとき、フューエルフラップ20を介してプッシュオープンスイッチ13を車体内方向へ押圧すると、プッシュオープンスイッチ13によってフューエルフラップ20が閉蓋位置において保持される。
従って、ブラケット圧接部43bが固定ブラケット30の突起部31Bの頂面31Baを乗り越えてスプリング圧接部31Aに係止する際に要する力、及びプッシュオープンスイッチ13がフューエルフラップ20を閉蓋位置に保持する必要保持力以上の力をプッシュオープンスイッチ13に付与することで、フューエルフラップ20は閉蓋して閉蓋位置において保持される。
フューエルフラップ20を開蓋する場合は、フューエルフラップ20を閉蓋方向に押動してプッシュオープンスイッチ13によるフューエルフラップ20の保持を解除する。このときのプッシュオープンスイッチ13の内部に備えられるスイッチスプリング(図示しない)の収縮に伴う弾発力により、固定ブラケット30のスプリング圧接部31Aに係止していたスプリング40のブラケット圧接部43bが、固定ブラケット30の突起部31Bに圧接して、スプリング40と固定ブラケット30との間でフリクションが発生しスプリング40が弾性変形する。
そして、スプリング40のブラケット圧接部43bが固定ブラケット30の突起部31Bの頂面31Baに到達するとフリクションが最大となり、スプリング40の撓みによる弾性変形も最大となる。このとき、ブラケット係合部47及びフラップ係合部41は、固定ブラケット30のスプリング係合部32A及びフラップインナ22の係止部23の第1辺23cをそれぞれ起点として係止しているので、フューエルフラップ20の開動作に追従してスプリング40が揺動する。
弾性変形したスプリング40の弾発力及びスプリング40の揺動により、スプリング40のブラケット圧接部43bが固定ブラケット30の突起部31Bの頂面31Baを乗り越えて、スプリング40と固定ブラケット30との係止が解除される。従って、プッシュオープンスイッチ13によるフューエルフラップ20の閉保持力以上の力をプッシュオープンスイッチ13に付与すると、フューエルフラップ20は開蓋する。
以上のような構成とすることにより、スプリング40のフラップ係合部41がフューエルフラップ20の係止部23に係止するとともにブラケット係合部47が、フューエルフラップ20の開閉支軸24より車体内方に形成された固定ブラケット30のスプリング係合部32Aに係止するので、スプリング40の引張力P及びその分力P1、P2が発生して分力P1がフューエルフラップ20を閉蓋方向に付勢する力として作用する。
そして、この付勢力の作用及び押動操作によってスプリング40のブラケット圧接部43bがスプリング圧接部31Aに圧接係止するので、該部においても閉保持力が付与される。そのため、フューエルフラップ20の高い閉保持力を得ることができるので、開閉支軸24と固定ブラケット30とを近接配置させてスプリング40の引張力を小さく抑えることが可能となる。
従って、開閉支軸24と固定ブラケット30とを近接配置させることで給油口室11を小型化、特に奥行きを小さく設定できるので、給油口室11を別に成形してアウタパネルに結合させる必要がなく、給油口室11とアウタパネルとを一体成形することでアウタパネルの成形性を向上させることができる。その結果、アウタパネルの生産効率の向上、製造コストの削減を図ることができる。また、給油口室11の省スペース化が得られる。
また、上述のように、ブラケット圧接部43bがスプリング圧接部31Aに圧接係止するので、スプリング40の引張力による閉保持力をプッシュオープンスイッチ13の出力よりも小さく設定でき、引張力の小さいスプリング40を使用しても高い閉保持力を得ることが可能となるので、悪路走行時の振動や洗車のエアブロー時に、フューエルフラップ20が開蓋状態となることがない高性能のフューエルフラップの開閉構造10を得ることができる。そして、第3突起部46を形成して有効長を得ることで、スプリング40の引張力が抑制されるので、スプリング40の取付作業が容易となり、生産効率、作業効率の向上に資するとともに、固定ブラケット30や給油口室11に過剰な応力を生じさせることもないので、アウタパネルの耐久性を向上させることができる。
更に、簡単な構造で部材点数も少なく抑えられるので、軽量化を図ることができるとともに生産コストの低減も図ることができる。
(第2実施の形態)
次に、図6及び図7(a)〜(d)を参照して本発明の第2実施の形態について説明する。図6は、本実施の形態におけるフューエルフラップの開閉構造10の要部断面図であり、図7(a)〜(d)は本実施の形態におけるフューエルフラップの開閉構造の動作状態を説明する図である。なお、図6及び図7において図1〜5と同様の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図示のように、固定ブラケット50は、給油口室11の後面11bと結合して車体前後方向に延在する基部53及び、この基部53の各端部にそれぞれ連続形成されるとともに矢線Eで示す車体外方向へ折曲するとともに、各先端に移行するに従って互いに漸次離間する第1壁部51及び第2壁部52を備えた断面略U字状に形成される。
第1壁部51は矢線Fで示す給油口室11の第2側面11d側に形成され、基部53の端部から矢線Eで示す車体外方向へ折曲して傾斜部51Aを形成するとともに第1壁部51の先端51Bまで延在する。また、この第1壁部51には、スプリング圧接部としての略矩形の第1開口部51Cが形成されている。
第2壁部52は給油口室11の第1側面11c側に形成され、基部53の端部から矢線Bで示す車体外方向へ折曲して連続形成されるとともに第1壁部51から離間する方向に屈曲する屈曲面52Bを介して第2壁部52の先端まで延在するスプリング係合部52Aを有する。このスプリング係合部52Aは、開閉支軸24に近接配置されるとともに、開閉支軸24より車体内方に形成される。また、第2壁部52においても矩形の第2開口部52Cが形成され、スプリング40が挿通される。
次に、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の作用について説明する。
図7(a)で示すように、フューエルフラップ20が開蓋位置にある場合は、スプリング40の引張力によって、フューエルフラップ20は開蓋状態で保持される。フューエルフラップ20を閉蓋する場合は、開蓋位置から矢線Gで示す閉蓋方向へフューエルフラップ20を押動させると、スプリング40の引張力Pの分力P1がフューエルフラップ20を閉蓋方向へ付勢する力が作用しているので、押動操作時の荷重が軽減されて、図7(b)で示すようにスプリング40の第2突起部43が固定ブラケット50の第1壁部51の傾斜部51Aに圧接する。
この圧接状態において、分力P1の作用及び押動操作によってスプリング40と固定ブラケット50との間でフリクションが発生しスプリング40が弾性変形する。そして、図7(c)で示すように、ブラケット圧接部43bが固定ブラケット50の第1開口部51Cの近傍位置に到達するとフリクションが最大となり、スプリング40の撓みによる弾性変形も最大となる。
このとき、スプリング40のブラケット係合部47及びフラップ係合部41は、固定ブラケット50のスプリング係合部52A及びフラップインナ22の係止部23の第1辺23cをそれぞれ起点として係止しているので、フューエルフラップ20の開動作に追従してスプリング40が揺動する。
フューエルフラップ20が更に押動されると、弾性変形したスプリング40の弾発力でブラケット圧接部43bが第1開口部51C内に進入するとともに、スプリング40の弾発力によるわずかな揺れ戻りによって第2突起部43の第2傾斜面43cが固定ブラケット50における第1壁部51の第1開口部51Cの第1開口縁51Caに当接する。その後直ちに、更なる揺れ戻りによって、図7(d)で示すようにスプリング40の第2突起部43の第1傾斜面43aが第1開口部51Cの第2開口縁51Cbに当接して係止し、フューエルフラップ20は閉蓋位置に到達する。このとき、フューエルフラップ20を介してプッシュオープンスイッチ13を車体内方向へ押圧すると、プッシュオープンスイッチ13によってフューエルフラップ20が閉蓋位置において保持される。
従って、ブラケット圧接部43bを固定ブラケット50の第1開口部51Cの近傍位置に圧接させて第1開口部51Cに係止する際に要する力、及びプッシュオープンスイッチ13がフューエルフラップ20を閉蓋位置に保持する必要保持力以上の力をフューエルフラップ20に付与することで、フューエルフラップ20は閉蓋して閉蓋位置において保持される。
フューエルフラップ20を開蓋する場合は、フューエルフラップ20を閉蓋方向に押動してプッシュオープンスイッチ13によるフューエルフラップ20の保持を解除する。このときのプッシュオープンスイッチ13の内部に備えられるスイッチスプリング(図示しない)の収縮に伴う弾発力により、スプリング40の第2突起部43の第2傾斜面43aが固定ブラケット50の第1開口部51Cの第1開口縁51Cbに当接する。その後、スプリング40の第2突起部43の第1傾斜面43aが固定ブラケット50の第1開口部51Cの第2開口縁51Cbに圧接してスプリング40と固定ブラケット50との間にフリクションが発生し、スプリング40が弾性変形する。
このとき、スプリング40のブラケット係合部47及びフラップ係合部41は、固定ブラケット50のスプリング係合部52A及びフラップインナ22の係止部23の第1辺23cをそれぞれ起点として係止しているので、フューエルフラップ20の開動作に追従してスプリング40が揺動する。
弾性変形したスプリング40の弾発力及びスプリング40の揺動により、スプリング40の第2突起部43が固定ブラケット50の第1開口部51Cから抜け出して、スプリング40と固定ブラケット50との係止が解除される。従って、プッシュオープンスイッチ13によるフューエルフラップ20の閉保持力以上の力をプッシュオープンスイッチ13に付与すると、フューエルフラップ20は開蓋する。
以上のような構成とすることにより、スプリング40を第1実施の形態と同様の配置構成とすることで、第1実施の形態と同様に、フューエルフラップ20に閉蓋方向に作用する付勢力を付与する。
そして、この付勢力の作用及び押動操作によってスプリング40のブラケット圧接部43bが固定ブラケット50の傾斜部51Aに圧接して、第2突起部43が固定ブラケット50の第1開口部51Cに進入して係止する。そのため、フューエルフラップ20の高い閉保持力を得ることができるので、開閉支軸24と固定ブラケット50とを近接配置させてスプリング40の引張力を小さく抑えることが可能となる。従って、第1実施の形態と同様の効果を効率的に得られる。
更に、スプリング40の第2突起部43が固定ブラケット50の第1開口部51Cに進入して係止する構成であり、フューエルフラップ20の閉蓋状態においてブラケット圧接部43bが固定ブラケット50を直接圧接しないので、固定ブラケット50の応力増加が抑制される。また、スプリング40のブラケット圧接部43bが固定ブラケット30の突起部31Bを乗り越える際に大きなフリクションが発生する第1実施の形態と対比すると、スプリング40のブラケット圧接部43bと固定ブラケット50との間で発生するフリクションが抑制される。従って、部材の更なる耐久性の向上にも資する。
(第3実施の形態)
次に、図8〜図11を参照して本発明の第3実施の形態について説明する。図8は本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の図1におけるI−I線断面図であり、図9は、図8の矢線Hで示す本実施の形態におけるフューエルフラップの開閉構造10の要部断面図であり、図10は、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の概略斜視図である。なお、図8〜図11において図1〜7と同様の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図示のように、固定ブラケット60は、給油口室11の後面11bと結合して車体前後方向に延在する基部61及び、この基部61の開閉支軸24側の一端に連続形成されるとともに矢線Iで示す車体外方向へ折曲されて連続形成される壁部62を備えた断面略S字状に形成される。
壁部62は、給油口室11の第1側面11c側に形成され、基部61の端部から連続形成されて車体外方向へ折曲して車体外方向へ移行するに従って漸次給油口室11の第1側面11cに近接するとともに給油口室11の第1側面11c方向に屈曲する屈曲面62Bを介して壁部62の先端まで延在するスプリング係合部62Aを有する。このスプリング係合部62Aは、開閉支軸24に近接配置されるとともに、開閉支軸24より車体内方に形成される。また、壁部62にはスプリング圧接部としての矩形の開口部62Cが形成され、後述するスプリング70が挿通される。
スプリング70は、板状のばね部材によって形成され、一端にフラップ係合部71、他端にブラケット係合部79を有する。フラップ係合部71は、ブラケット係合部79から離間する方向に突出するフック状に形成され、ブラケット係合部79は、フラップ係合部71から離間する方向に突起して頂面79aを介してフラップ係合部71に近接する方向に屈曲するフック状に形成される。
このスプリング70は、フラップ係合部71からブラケット係合部79に移行するに従って、フラップ係合部71から連続形成されてブラケット係合部79へ近接する方向に突起する第1突起部72、第1突起部72から連続形成されてブラケット係合部79から離間する方向に突起する第2突起部73、第2突起部73から連続形成されてフラップ係合部71に近接する方向に突出する凹状の第1曲面部74、第1曲面部74からフラップ係合部71及びブラケット係合部79から離間する第1傾斜面75aを形成するとともにブラケット圧接部75bとなる頂面を介して給油口室11の後面11cと対向する第2傾斜面75cが連続形成される第3突起部75、第3突起部75の第2傾斜面75cから連続形成されてフラップ係合部71に近接する方向に突出する第2曲面部76、第2曲面部76からフラップ係合部71から離間する方向に突出する第4突起部77、第4突起部77から連続形成されてフラップ係合部71に近接する方向に突出する第5突起部78を有し、第5突起部78からブラケット係合部79が連続形成される。
また、フューエルフラップ20の閉蓋状態において、スプリングの一端から他端までのスプリング長は、ブラケット圧接部75が固定ブラケット60の開口部62Cに係合して弾性変形するスプリング長を有して形成される。
更に、スプリング70は、一端から連続形成されたフラップ係合部71と他端の近傍に形成されたブラケット係合部79とを互いに離間する方向に作用する力を付与した場合に、フラップ係合部71とブラケット係合部79が互いに接近する方向に引張力が作用する。また、スプリング70に第2突起部73、第1曲面部74、第4突起部77などを形成してスプリング70の有効長を確保して、スプリング70の引張力を抑制する。
次に、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の各部材の配置構成について説明する。
図11で示すように、スプリング70のブラケット係合部79は、固定ブラケット60のスプリング係合部62Aに係止し、スプリング70の第1突起部72、第2突起部73及び第1曲面部74が固定ブラケット60の開口部66を挿通する。そして、スプリング70のフラップ係合部71が、フラップインナ22に開口形成された係止部23の第1辺23cに係止する。すなわち、スプリング70のフラップ係合部71及びブラケット係合部79が、フラップインナ22に開口形成された係止部23と、ブラケット60のスプリング係合部62Aとに挟持係止する。
このようにスプリング70を固定ブラケット60及びフラップインナ22に係止させると、固定ブラケット60は給油口室11に結合されているので、スプリング70のブラケット係合部79が固定ブラケット60に係止されてスプリング70の揺動支点となる。揺動自在に取り付けられたフューエルフラップ20のフラップインナ22に係止するスプリング70のフラップ係合部71側がブラケット係合部79から離間する方向に伸長するので、スプリング70はフラップ係合部71側からブラケット係合部79側へ付勢する。
このようにスプリング70を取り付けると、スプリング70の引張力Pとこの引張力Pの分力でありフューエルフラップ20を給油口室11の第1側面11c方向に押し付ける力として作用するP2とのなす角θが設定される。すなわち、フラップ係合部71とブラケット係合部79とを結ぶ線分は、フラップ係合部71と開閉支軸24とを結ぶ線分に対して車体内方に位置する。ここにおいて、スプリング70の引張力P及び分力P2、及びフューエルフラップ20を閉蓋方向に付勢する力として作用する引張力Pの分力P1が発生する。
次に、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の作用について説明する。
図11(a)〜(d)は、本実施の形態に係るフューエルフラップの開閉構造10の動作状態を説明する図である。図11(a)で示すように、フューエルフラップ20が開蓋位置にある場合は、スプリング70は撓んでおらず、開蓋状態で保持される。
フューエルフラップ20を閉蓋する場合は、開蓋位置から矢線Jで示す閉蓋方向へフューエルフラップ20を押動させると、スプリング70の引張力Pの分力P1がフューエルフラップ20を閉蓋方向へ付勢する力が作用しているので、押動操作時の荷重が軽減されて、図11(b)で示すようにスプリング70の第3突起部75の第2傾斜面75cが固定ブラケット60の壁部62に形成された開口部62Cの第1開口縁62Caに圧接する。
この圧接状態において、分力P1の作用及び押動操作によって、スプリング70と固定ブラケット60との間でフリクションが発生しスプリング70が弾性変形する。そして、図11(c)で示すように、スプリング70のブラケット圧接部75bが固定ブラケット60の壁部62に形成された開口部62Cの第1開口縁62Caに到達するとフリクションが最大となり、スプリング70の撓みによる弾性変形も最大となる。
このとき、スプリング70のブラケット係合部79及びフラップ係合部71は、固定ブラケット60のスプリング係合部62B及びフラップインナ22の係止部23の第1辺23cをそれぞれ起点として係止しているので、フューエルフラップ20の閉動作に追従してスプリング70が揺動する。
フューエルフラップ20が更に押動されると、弾性変形したスプリング70の弾発力でスプリング70のブラケット圧接部75bが固定ブラケット60の壁部62に形成された開口部62Cの第1開口縁62Caを乗り越えて、図11(d)で示すように、スプリング70の第3突起部75の第1傾斜面75aが第1開口縁62Caに当接して係止し、フューエルフラップ20は閉蓋位置に到達する。このとき、フューエルフラップ20を介してプッシュオープンスイッチ13を車体内方向へ押圧すると、プッシュオープンスイッチ13によってフューエルフラップ20が閉蓋位置において保持される。
従って、ブラケット圧接部75が固定ブラケット60の開口部62Cの第1開口縁62Caに圧接して開口部62Cに係止する際に要する力、及びプッシュオープンスイッチ13がフューエルフラップ20を閉蓋位置に保持する必要保持力以上の力を付与することで、フューエルフラップ20は閉蓋して閉蓋位置において保持される。
フューエルフラップ20を開蓋する場合は、フューエルフラップ20を閉蓋方向に押動してプッシュオープンスイッチ13によるフューエルフラップ20の保持を解除する。このときのプッシュオープンスイッチ13の内部に備えられるスイッチスプリング(図示しない)の収縮に伴う弾発力により、スプリング70の第3突起部75の第1傾斜面75aが固定ブラケット60の壁部62に形成された開口部62Cの第1開口縁62Caに圧接する。この圧接に伴い、スプリング70と固定ブラケット60との間にフリクションが発生し、スプリング70が弾性変形する。従って、プッシュオープンスイッチ13によるフューエルフラップ20の閉保持力以上の力をプッシュオープンスイッチ13に付与すると、フューエルフラップ20は開蓋する。
そして、スプリング70のブラケット圧接部75bが固定ブラケット60の開口部62Cの第1開口縁62Caに到達するとフリクションが最大となり、スプリング70の撓みによる弾性変形も最大となる。このとき、ブラケット係合部79及びフラップ係合部71は、固定ブラケット60のスプリング係合部62B及びフラップインナ22の係止部23の第1辺23cをそれぞれ起点として係止しているので、フューエルフラップ20の開動作に追従してスプリング70が揺動する。
弾性変形したスプリング70の弾発力及びスプリング70の揺動により、スプリング70のブラケット圧接部75bが固定ブラケット60の開口部62Cの第1開口縁62Caを乗り越えて、スプリング70と固定ブラケット60との係止が解かれる。
以上のような構成とすることにより、第1実施の形態及び第2実施の形態に基づく効果に加えて、スプリング70に第2突起部73、第1曲面部74、第4突起部77などを形成してスプリング70の複数個所に有効長を確保して、スプリング70の引張力を抑制して、第1実施の形態及び第2実施の形態のスプリング70と対比して更に容易に撓ませることが可能となる。従って、スプリング70の取付作業が更に容易となり、作業効率の更なる向上に資する。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第1及び第2実施の形態ではスプリング40に中間部44及びこれに連続する曲面部45、第3突起部46を形成し、第3実施の形態では第2突起部73、第1曲面部74、第4突起部77などを形成して、スプリング70の有効長を確保することを例として説明したが、これ以外の部位に冗長性を持たせて有効長を確保することも可能である。すなわち、スプリングの各部に有効長を形成して引張力に脆弱性を付与するスプリングの成形可能性を提供する。
また、第1〜第3実施の形態のいずれにおいても、車両1の前後方向における車両後部右側面に燃料供給部3が形成された場合を例として説明したが、車両1の前後方向における車両後部左側面に燃料供給部3を形成した場合であっても適用可能である。