JP5178665B2 - 同期電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流モータの位置・速度センサレス制御装置に関わり、特に同期電動機の磁気回路飽和に起因する非線形特性を考慮した制御装置に関する。
交流モータ、特に同期電動機は、小形・高効率という特徴を活かし、家電,産業,自動車等、適用用途を拡大している。特に近年は、更なる小形化の結果として、モータを構成する磁気回路の飽和特性が顕著なモータが出現している。このようなモータでは、従来定数として扱ってきたインダクタンスが電流によって大きく変動するために、位置・速度センサレス制御で重要な磁極位置推定値の誤差が増大する。
こうした課題に対して、磁極位置推定演算に用いる交流モータの電気定数設定値を、電流に応じて変化させる技術が〔特許文献1〕に示されている。この技術は、同期電動機の磁束と電流、または、インダクタンスと電流の非線形な関係を磁束テーブル、または、インダクタンステーブルとして磁極位置推定演算部に持たせ、磁極位置推定精度を改善する技術である。
特開2008−141835号公報
〔特許文献1〕によれば、磁束の飽和特性を、軸間の相互干渉磁束まで考慮した磁極位置推定演算を行うことが可能となり、速度・位置センサレス制御特性の向上が期待できる。しかし、特許文献1では、モータの磁束と電流、または、インダクタンスと電流の非線形な関係を磁束テーブル、または、インダクタンステーブルとして与える必要がある。このため、制御対象とするモータを変更する場合には、その都度テーブルデータを変更する必要があり、制御装置への設定が煩雑となる。また、磁極位置推定精度を向上するには、テーブルサイズを増大する必要が発生する。
これに対して、本発明は、上記の点を考慮してなされたものであり、磁束飽和が顕著で、軸間の相互干渉磁束が多く存在する同期電動機に対しても、数個のパラメータを設定するだけで、速度・位置センサレス制御を実現することを課題とする。
上記課題を達成するために、本発明では、回転子の磁極位置の推定手段を有し、電動機電流検出値を、前記磁極位置の推定手段が出力する推定磁極位置に同期して回転するdq軸直交回転座標軸上のd軸電流検出値とq軸電流検出値とに分離し、前記座標軸上で定義される電力変換器への電圧指令値vdc *,vqc *を各々独立に生成する同期電動機の制御装置において、前記磁極位置の推定手段に設定するモータ特性を表現するパラメータとして、5つの異なる物理的意味を有する数値を設定することを特徴とするものである。
更に、本発明は回転子の磁極位置の推定手段を有し、電動機電流検出値を、前記磁極位置の推定手段が出力する推定磁極位置に同期して回転するdq軸直交回転座標軸上のd軸電流検出値とq軸電流検出値とに分離し、前記座標軸上で定義される電力変換器への電圧指令値vdc *,vqc *を各々独立に生成する同期電動機の制御装置において、前記磁極位置の推定手段に設定するモータ特性を表現するパラメータとして、5つの異なる物理的意味を有する数値を設定し、前記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分の近似式に分数式を用い、前記分数式の分子をモータ固有の定数で構成し、かつ、分母をq軸電流の一次式とd軸電流の一次式の和で構成することを特徴とするものである。
更に、本発明は前記分数式に設定するパラメータは、制御対象とするモータのq軸インダクタンス値の大きさを表すパラメータK4と、q軸インダクタンスのq軸電流に関する飽和度を表すパラメータK6と、q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉度を表すパラメータK5と、q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉を最小化する電流を表すパラメータI0とすることを特徴とするものである。
更に、本発明は前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、モータ特性を表すパラメータをK4,K5,K6,I0、軸誤差をΔθとするとき、前記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分Lq(idc,iqc,Δθ)を(式1)により算出することを特徴とするものである。
更に、本発明は前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、モータ特性を表すパラメータをK4,K5,K6,I0、軸誤差をΔθとするとき、前記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分Lq(idc,iqc,Δθ)を(式2)により算出することを特徴とするものである。
更に、本発明は前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、モータ特性を表すパラメータをK4,K5,K6,I0とするとき、前記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分Lq(idc,iqc)を(式3)により算出することを特徴とするものである。
更に、本発明は前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、dc軸電圧指令値をvdc *、qc軸電圧指令値をvqc *、モータのq軸インダクタンスを表すパラメータをK4,K5,K6,I0、モータの電機子巻線抵抗をR、軸誤差をΔθ、前記電力変換器の回転角速度をω1とするとき、Δθを(式4)により算出することを特徴とするものである。
更に、本発明は前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、dc軸電圧指令値をvdc *、qc軸電圧指令値をvqc *、モータのq軸インダクタンスを表すパラメータをK4,K5,K6,I0、モータの電機子巻線抵抗をR、軸誤差をΔθ、前記電力変換器の回転角速度をω1とするとき、Δθを(式5)により算出することを特徴とするものである。
更に、本発明は前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、dc軸電圧指令値をvdc *、qc軸電圧指令値をvqc *、モータのq軸インダクタンスを表すパラメータをK4,K5,K6,I0、モータの電機子巻線抵抗をR、軸誤差をΔθ、前記電力変換器の回転角速度をω1とするとき、Δθを(式6)により算出することを特徴とするものである。
更に、本発明は(式1),(式2),(式4),(式5)の右辺演算において利用する前記軸誤差Δθとして、(式4),(式5)の前回演算値を代入することを特徴とするものである。
更に、本発明は(式4),(式5)の演算に際して、ゼロ次ホールド処理により固定した同一の前記d軸電流検出値idc、前記q軸電流検出値iqc、前記dc軸電圧指令値vdc *、前記qc軸電圧指令値vqc *、前記電力変換器の回転角速度ω1を用いて、得られた前記Δθを(式4),(式5)の右辺に繰り返し代入する収束演算を行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、磁束飽和が顕著で、軸間の相互干渉磁束が多く存在する電動機に対しても、電動機の磁束飽和特性を含む数個のパラメータを、制御器に設定するだけで、高精度な速度・位置センサレス制御が実現できる。
本発明の実施形態1による速度制御系。 理想的なPMモータの磁束と電流の関係模式図。 非線形なPMモータの磁束と電流の関係模式図。 軸誤差Δθの定義図。 (式10),(式11)による電流と磁束の関係。 軸誤差推定部(非収束演算方式)。 軸誤差推定部(収束演算方式)。 軸誤差収束過程の説明図。 実施形態1,2における電圧指令生成部の構成。 シミュレーションによる実施形態1の効果。 本発明の実施形態2によるトルク制御系。 本発明の実施形態3による簡易速度制御系。 実施形態3における電圧指令生成部の構成。 本発明の実施形態4による鉄道車両駆動への適用例。 本発明の実施形態5による自動車駆動への適用例。
本発明では、d軸とq軸間の磁束の相互干渉作用までを考慮した軸誤差演算式を制御系に導入する。本発明を説明するために、まず、従来技術での軸誤差演算式を(式7)に示す。
(式7)に示す軸誤差演算式の導出過程は、電学論D、124巻11号、2004年「家電機器向け位置センサレス永久磁石同期電動機の簡易ベクトル制御」(以下、従来技術1と記す)に詳しく記載されているため、省略する。(式7)において、Δθは軸誤差、vdc *はdc軸電圧指令値、vqc *はqc軸電圧指令値、idcはd軸電流検出値、iqcはqc軸電流検出値、ω1はPWMインバータがモータに印加する電圧の回転角速度、Rはモータの電機子巻線抵抗、Lqはq軸インダクタンスである。この〔特許文献1〕では、制御対象とするPMモータのd軸磁束および、q軸磁束には電流に増加に伴う磁束飽和が無く、また、d軸とq軸間の磁束の相互干渉作用も存在しない理想特性を前提としている。このような、理想的なPMモータの磁束と電流の関係模式図を、図2に示す。図2(a)はd軸電流idとd軸磁束Φdの線形関係を示しており、その関係式は、d軸方向の永久磁石磁束をΦmとするとき、(式8)で表現できる。
同様に、図2(b)はq軸電流iqとq軸磁束Φqの線形関係を示しており、その関係式は、(式9)で表現できる。
このように、従来技術1の(式7)に用いるq軸インダクタンスLqは、q軸電流とq軸磁束を関係付ける係数であり、電流とは無関係に一定の値である。
しかし、本発明が制御対象とする非線形性の強いPMモータでは、その磁束と電流は、一般に図3に示す様な関係となる。このとき、(式9)のq軸インダクタンスLqに相当する定数が存在せず、(式7)も適用できないことが分かる。そこで、本発明では、まず、図3(a)に示すiqをパラメータとするd軸電流idとd軸磁束Φdの関係を表す近似関数Φd(id,iq)を、係数K1,K2,K3、および定数I0,φ0をパラメータとして、(式10)で定義する。同様に、図3(b)に示すidをパラメータとするq軸電流iqとq軸磁束Φqの関係を表す近似関数Φq(id,iq)を係数K4,K5,K6をパラメータとして(式11)で定義する。そして、定義した近似関数Φd(id,iq)とΦq(id,iq)とを基に、非線形性の強いPMモータに適用可能な(式7)に代る新しい軸誤差推定式を導出する事とする。
突極性を有する永久磁石同期電動機の電圧方程式は、磁束飽和の有無に関わりなく、回転子に同期したdq軸直交回転座標軸上において、(式12)で表現できる。
(12式)において、vdはモータ端子電圧のd軸方向成分、vqはモータ端子電圧のq軸方向成分、pは微分演算子、ωrはモータの電気角速度であり、モータの永久磁石磁束軸の方向にd軸を、d軸から回転方向に90度進んだ方向にq軸を定義した。
ここで、簡単化として、(式12)における右辺第二項目の過渡項を無視し、(式10),(式11)を代入すると、定常状態における永久磁石同期電動機の電圧方程式(式13)が得られる。
さらに、(式13)において、(式14),(式15)で定義する飽和を考慮したd軸インダクタンスLd(id,iq)、および飽和を考慮したq軸インダクタンスLq(id,iq)で置換えを行うと(式16)に変形できる。
(式16)を、後の式変形が容易となるように、(式17)のように変形する。ここで、(式17)の右辺第3項以降が定常状態での拡張誘起電圧成分に相当する。
(式17)において、定常状態での拡張誘起電圧の大きさを(式18)の如くESxとおくと、非線形性の強いPMモータモデルに対応した拡張誘起電圧表現による電圧方程式が(式19)として得られる。
ところで、位置位置センサレス制御では、実際の回転子位置を検出できない。このため、回転子の推定位置を基準にした座標系で制御を行う。以下では、制御に用いる座標系を仮想回転子座標(dc−qc座標)と呼び、その回転角速度をω1とする。また、回転子位置を基準にしたd−q座標軸と、dc−qc座標軸のずれを、軸誤差Δθとよぶ。軸誤差Δθは、U相からd軸までの角度をθd、U相からdc軸までの電気角をθdcとするとき、(式20)で定義されるように、d−q座標軸からみたdc−qc座標軸の位相角となる(図4)。よって、d−q座標軸からdc−qc座標軸への座標変換には、(式21)に示す座標変換行列Cが適用できる。ここで行列Cは軸誤差Δθの関数であるので、それを明示するために、以下では、C(Δθ)と表記する。また、座標変換行列Cの逆行列C-1は、(式22)となる。更に、これらの行列C(Δθ)、C-1(Δθ)を用いた電圧・電流ベクトルの座標変換例を(式23),(式24)に示す。
次に、上記座標変換行列を利用して、(式19)をdc−qc座標上のモータ電圧方程式に変形する。定常状態を仮定すると、モータの電気角速度ωrとdc−qc座標軸の回転角速度ω1は等しい。そこで、(式19)において、ωr=ω1とし、更に、両辺に左から行列Cを掛けると、(式25)が得られる。
定常状態を仮定すると、モータの電気角速度ωrとdc−qc座標軸の回転角速度ω1は等しい。そこで、(式19)において、ωr=ω1とし、更に、両辺に左から行列Cを掛けると、(式25)が得られ、(式25)に(式23)を代入すると(式26)が得られる。
(式26)に(式15)を代入し、(式24)を用いてLq(id,iq)内のid,iqをidc,iqcに変換すると、非線形性の強いPMモータモデルに対応した仮想回転子座標軸上での電圧方程式が(式27)として得られる。
一方、dc軸電圧指令値vdc *とモータ端子電圧のdc軸方向成分vdcは、軸誤差に関わらず、略一致する。同様に、qc軸電圧指令値vqc *とモータ端子電圧のqc軸方向成分vqcも略一致する。よって、(式27)におけるvdcをvdc *に、vqcをvqc *に置換えし、Δθについて解くと、定常状態における軸誤差推定式が(式28)として求まる。(式28)において、特にΔθが小さい場合には、cosΔθ^≒1,sinΔθ^≒Δθ等の近似が、良好に成立することから、(式29)を軸誤差推定近似式として利用できる。
さらに、Δθが十分に小さく、若干の軸誤差を許容できる場合には、(式28)または(式29)右辺でΔθ^=0とおいた(式30)も利用可能である。
以上導出した3つの軸誤差推定式(式28),(式29),(式30)を用いて速度・位置センサレス制御系を構成すれば、(式10),(式11)がPMモータの非線形特性を正確に表現している限り、PMモータ側の磁束飽和および軸間の相互干渉磁束に関わらず、軸誤差の少ない理想的な制御が期待できる。そこで、(式10),(式11)の近似レベルを、あるモータを例に、磁界解析により算出した目標値と比較してみる。
図5(a)は、横軸にidをとり、iqを0A,100A,200A,300Aと変化させた時の磁束Φdについて、磁界解析により算出した目標値と(式10)の関数式で算出した近似値とを比較したグラフである。また、図5(b)は、横軸にiqをとり、idを−200A,−100A,0A,100A,200Aと変化させた時の磁束Φqについて、磁界解析により算出した目標値と(式11)の関数式で算出した近似値を比較したグラフである。
図5(a),(b)の比較結果より、(式10),(式11)の関数式近似を用いることにより、磁気飽和やdq軸間干渉の影響が強く、非線形な特性のモータであっても、id,iqがd軸磁束φdや、q軸磁束φqへ与える影響を良好に近似できることが確認できる。ゆえに、(式10),(式11)に立脚した(式28),(式29),(式30)の高精度な演算も実現可能である。
以上述べたように、本発明では、磁束と電流の非線形関数を準備し、それらから式変形により導出した、磁束飽和特性を考慮した軸誤差推定演算式を実行することにより、磁束飽和が顕著で、軸間の相互干渉磁束が多く存在するPMモータに対しても、高精度な磁極位置推定に基づく速度・位置センサレス制御を可能とした。
以下、本発明による交流モータの制御装置の実施形態を図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態では、交流モータとして永久磁石型同期電動機(以下、PMモータと略)を用いて説明するが、他のモータ(例えば、巻線型同期電動機,リラクタンスモータ,誘導モータなど)に関しても同様に実現可能である。
〔実施形態1〕
図1は、本発明による同期電動機制御装置の実施形態1の構成を示すブロック図である。図1は、位置・速度センサレスによる速度制御系を構成しており、モータ8に速度指令ω1 *を与える速度指令発生部1と、d軸電流指令値id *を発生するid *発生部4と、ω1 *からPLL制御器13が出力するPWMインバータ7がモータに印加する電圧の回転角速度ω1を減算し速度偏差ωeを出力する減算器2と、ωeに対して比例積分演算を行い、q軸電流指令値iq *を出力する速度制御器3と、id *,iq *およびd軸電流検出値idc,q軸電流検出値iqcおよびω1を入力し、dq座標逆変換部6に対してdc軸電圧指令値vdc *とqc軸電圧指令値vqc *を出力する電圧指令生成部5と、vdc *,vqc *,idc,iqc,ω1を入力し、(式28)または(式29)または(式30)と、パラメータ設定部14から入力されるモータ8のq軸インダクタンス値の大きさを表すパラメータK4,モータ8のq軸インダクタンスのd軸電流からの干渉度を表すパラメータK5,モータ8のq軸インダクタンスのq軸電流に関する飽和度を表すパラメータK6,q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉を最小化する電流を表すパラメータI0,モータの電機子巻線抵抗Rを用いて軸誤差Δθを演算する軸誤差12と、Δθに対して比例積分演算もしくは比例演算を行い、Δθを小さくする制御を行うことで、回転角速度ω1を出力するPLL制御器13と、ω1を積分し、PWMインバータ7がモータに印加する電圧の電気角θdcを出力する積分器15と、vdc *,vqc *を、電気角θdcによって三相交流電圧指令Vu *,Vv *,Vw *に変換するdq座標逆変換部6と、三相交流電圧指令に基づいて三相交流電圧を発生するPWMインバータ7と、PWMインバータ7の出力するU相電流iuを検出する電流検出器10と、PWMインバータ7の出力するW相電流iwを検出する電流検出器9と、検出した電流iu,iwを、電気角θdcによって、PMモータの回転座標系において直交するdc,qc各軸上の成分idc,iqcに座標変換するdq座標変換部11からなる。
次に、電圧指令生成部5の構成について、図9のブロック線図を用いて説明する。図9に示す電圧指令生成部は、杉本英彦 編著「ACサーボシステムの理論と設計の実際」(総合電子出版社)4章記載内容(以下、〔非特許文献1〕と記す)とほぼ同じ構成である。図9において、id *はd軸電流指令値、iq *はq軸電流指令値、idcはd軸電流検出値、iqcはq軸電流検出値である。この従来技術2では、減算器120によりid *とidcのd軸電流偏差Δidを演算し、減算器121によりiq *とiqcのq軸電流偏差Δiqを演算する。次に、ゲイン122において、電流偏差ΔidにPMモータのd軸インダクタンスLdを乗ずることで、d軸磁束偏差ΔΦdを算出する。同様に、ゲイン128において、電流偏差ΔiqにPMモータのq軸インダクタンスLqを乗ずることで、q軸磁束偏差ΔΦqを算出する。こうして得られたΔΦd,ΔΦqは、それぞれ各軸電流偏差Δid,Δiqに対応する各軸磁束成分の補償量と考えることができる。続くゲイン125,131では、それぞれ各軸の磁束偏差ΔΦd,ΔΦqを電流制御応答角周波数ωacr(rad/s)倍し、それぞれ電圧非干渉制御前の電圧指令値vd*,vq*を演算する加算器126,132に入力することで、PMモータの巻線電流磁束を考慮した電流フィードバック制御系を各軸で構成している。一方、ゲインωacr(rad/s)付の積分器123,129は、それぞれ各軸電流偏差Δid,Δiqを入力し、その積分値を電流制御応答角周波数ωacr(rad/s)倍したid′,iq′を出力する。さらにゲイン124,130は、それぞれid′,iq′にモータの電機子巻線抵抗Rを乗じた値を出力し、電圧非干渉制御前の電圧指令値vd*,vq*を演算する加算器126,132に入力することで、PMモータの電機子巻線抵抗による電圧降下を考慮した電流フィードバック制御系を各軸で構成している。さらに、電圧非干渉制御を次の様に構成している。即ち、dc軸電圧指令値vdc *の生成に際して、ゲイン134において、iqcにLqを乗ずることで、q軸磁束Φqを演算し、乗算器135において、Φqにω1を乗ずることで、q軸磁束Φqがd軸方向に発生させる速度誘起電圧Φqω1を演算する。減算器127では、電圧非干渉制御前のd軸電圧指令値vd*からΦqω1を減じたdc軸電圧指令値vdc *を出力する。これにより、PMモータ内部でd軸方向に発生するq軸磁束Φq由来の速度誘起電圧Φqω1を、相殺可能となる。qc軸電圧指令値vqc *の生成に際しても同様であり、ゲイン136において、idにLdを乗ずることで、d軸電流磁束Φidを演算し、加算器137でΦidにd軸方向の永久磁石磁束Φmを加算したd軸磁束Φdを算出し、乗算器138において、Φdにω1を乗ずることで、d軸磁束Φdがq軸と反対方向に発生させる速度誘起電圧Φdω1を演算する。加算器133では、電圧非干渉制御前のq軸電圧指令値vq*にΦdω1を加えたqc軸電圧指令値vqc *を出力する。これにより、PMモータ内部でq軸と反対方向に発生するd軸磁束Φd由来の速度誘起電圧Φdω1を、相殺可能となる。また、図9の電圧指令生成部に設定するモータ特性を表すパラメータLd,Lqには、(式14),(式15)において、id=iq=0とおいた(式31),(式32)を用いる。また、永久磁石磁束Φmには、(式10)において、id=iq=0とおいた(式33)を用いる。
次に、軸誤差推定部12の構成について、図6のブロック線図を用いて説明する。図6は(式28)をブロック線図で表現したものであり、その演算結果は、(式28)に等しい。図6のブロック線図は以下に述べる構成を備える。ゼロ次ホールダー50,51,52,53,54は、それぞれvdc *,vqc *,idc,iqc,ω1を入力し、Ts[秒]間サンプル・ホールドし、出力する、パラメータ設定部14は(式28)の係数に相当する可変ゲイン72,66,67に対して、それぞれK4,K5,K6をゲイン設定し、可変ゲイン77,78に対してパラメータRをゲイン設定し、加算器63に対してパラメータI0を加算する、サンプル遅延器86はリミッタ85が出力した軸誤差Δθの値をTse[秒]間遅延し、Δθbkとして出力する、コサイン関数55はサンプル遅延器86の出力するΔθbkを入力しcos(Δθbk)を出力する、サイン関数56はサンプル遅延器86の出力するΔθbkを入力しsin(Δθbk)を出力する、乗算器57はコサイン関数55の出力するcos(Δθbk)とゼロ次ホールダー52の出力するidcを乗算する、乗算器58はコサイン関数55の出力するcos(Δθbk)とゼロ次ホールダー53の出力するiqcを乗算する、乗算器59はサイン関数56の出力するsin(Δθbk)とゼロ次ホールダー53の出力するiqcを乗算する、乗算器60はサイン関数56の出力するsin(Δθbk)とゼロ次ホールダー52の出力するidcを乗算する、減算器61は乗算器57の出力から乗算器59の出力を減算する、加算器62は乗算器58の出力と乗算器60の出力を加算する、加算器63は減算器61の出力とパラメータ設定部14が出力するパラメータI0を加算する、絶対値演算器64は加算器63の出力値を入力し、絶対値を出力する、絶対値演算器65は加算器62の出力値を入力し、絶対値を出力する、可変ゲイン66は絶対値演算器64の出力を入力し、K5倍して出力する、可変ゲイン67は絶対値演算器65の出力を入力し、K6倍して出力する、加算器68は可変ゲイン66と67の出力を加算する、定数69は値1を出力する、加算器70は加算器68と定数69の出力を加算する、除算器71は定数69の出力する値1を加算器70の出力で除算する、可変ゲイン72は除算器71の出力を入力し、K4倍して出力する、乗算器73は可変ゲイン72の出力とゼロ次ホールダー53の出力するiqcを乗算する、74は可変ゲイン72の出力とゼロ次ホールダー52の出力するidcを乗算する乗算器、乗算器75は乗算器73の出力とゼロ次ホールダー54の出力するω1を乗算する、乗算器76は乗算器74の出力とゼロ次ホールダー54の出力するω1を乗算する乗算器、可変ゲイン77はゼロ次ホールダー52の出力するidcをR倍する、可変ゲイン78はゼロ次ホールダー53の出力するiqcをR倍する、減算器79はゼロ次ホールダー50の出力するvdc *から可変ゲイン77の出力を減算する、減算器80はゼロ次ホールダー51の出力するvqc *から可変ゲイン78の出力を減算する、加算器81は減算器79の出力と乗算器75の出力を加算する、減算器82は減算器80の出力から乗算器76の出力を減算する、除算器83は加算器81の出力を減算器82の出力で除算する、tan-1関数84は除算器83の出力に対してアークタンジェントを演算し出力する、リミッタ85はtan-1関数84の出力に対して−π/2からπ/2の上下限リミット値を設定し出力する。
上記の図6の構成によれば、1演算周期Tse[秒]前の軸誤差を用いて(式28)の右辺を演算することとなるが、演算周期Tseが十分に短いか、または、軸誤差Δθの時間変動が小さければ十分な精度が得られる。特に、急激な加減速や負荷外乱の少ない様な、軸誤差Δθが大きくならない用途においては、(式28)に代えて(式29)を利用することも可能である。この場合、図6のブロック図において、コサイン関数55を定数1に置換えし、サイン関数56をゲイン1に置換えすることで実現できる。これにより、三角関数55,56のみならずコサイン関数55の出力に繋がる乗算器57,58の削除が可能となり、演算処理を軽減できる利点がある。さらに、軸誤差Δθが大きくならない用途においては、(式28)に代えて(式30)を利用することも可能である。この場合、図6のブロック図において、コサイン関数55を定数1に置換えし、サイン関数56をゲイン0に置換えすることで実現できる。これにより、三角関数55,56のみならずコサイン関数55とサイン関数56の出力に繋がる乗算器57,58,59,60と減算器61および加算器62の削除が可能となり、演算処理をさらに軽減できる利点がある。
次に、本実施形態1の効果をシミュレーション結果により示す。図10は、図1に示した本実施形態1の速度制御系において、従来技術1の軸誤差演算式(式7)を軸誤差推定部12に用いた場合と、(式28)を軸誤差推定部12に用いた場合とのシミュレーションによる各部波形である。図10において、左側に示した波形160から波形165までが従来技術1による軸誤差演算式(式7)を用いた結果であり、右側に示した波形166から波形171までが(式28)による波形である。比較においては、軸誤差推定部12以外は構成,条件共に等しくし、時刻0.1[s]で70[N・m]のステップ状負荷トルクを波形160,166の様に与えた。この時のidc変動が波形161と波形167、iqc変動が波形162と波形168であり、何れの電流も(式28)では抑制可能となる。また、このときの速度指令ω1 *は波形163,波形169であり一定値である。一方、ω1は波形164,170であり、(式28)を用いた本実施形態1では変動が小さく安定動作が伺える。最下段のグラフは、推定軸誤差の真の軸誤差からの推定誤差を示しており、(式7)による軸誤差推定誤差165に対して、(式28)の軸誤差推定誤差171は小さくなることが分かる。特に、時刻0.6[s]以降の定常時の軸誤差推定誤差は、(式28)では略ゼロの理想状態となる。よって、図6の軸誤差推定部で構成した、図1に示す本実施形態によれば、磁束飽和が顕著で、軸間の相互干渉磁束が多く存在するPMモータに対しても、高精度な磁極位置推定に基づく速度・位置センサレス制御が可能となる。
〔実施形態2〕
実施形態1では、(式28)で表現される軸誤差推定式を用いて図1に示す構成の速度制御系を実現した。これに対して、以下説明する実施形態2では、実施形態1と同一構成の軸誤差推定手段を用いて、速度・位置センサレスによるトルク制御系を構成したものである。このため、本実施形態2においても、電圧指令生成部5の構成を示す図9、および軸誤差推定部の構成を示す図6は実施形態1の場合と同一である。図11は本実施形態2の構成を示すブロック図であり、モータ8にトルク指令τ*を与えるトルク指令発生部181と、d軸電流指令値id *を発生するid *発生部4と、トルク指令τ*をトルク定数ktで除算しq軸電流指令値iq *を出力するゲイン180と、id *,iq *およびd軸電流検出値idc,q軸電流検出値iqcおよびω1を入力し、dq座標逆変換部6に対してdc軸電圧指令値vdc *とqc軸電圧指令値vqc *を出力する電圧指令生成部5と、vdc *,vqc *,idc,iqc,ω1を入力し、(式28)または(式29)または(式30)と、パラメータ設定部14から入力されるモータ8のq軸インダクタンス値の大きさを表すパラメータK4,モータ8のq軸インダクタンスのd軸電流からの干渉度を表すパラメータK5,モータ8のq軸インダクタンスのq軸電流に関する飽和度を表すパラメータK6,q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉を最小化する電流を表すパラメータI0,モータの電機子巻線抵抗Rを用いて軸誤差Δθを演算する軸誤差推定部12と、Δθに対して比例積分演算もしくは比例演算を行い、Δθを小さくする制御を行うことで、回転角速度ω1を出力するPLL制御器13と、ω1を積分し、PWMインバータ7がモータに印加する電圧の電気角θdcを出力する積分器15と、vdc *,vqc *を、電気角θdcによって三相交流電圧指令Vu *,Vv *,Vw *に変換するdq座標逆変換部6と、三相交流電圧指令に基づいて三相交流電圧を発生するPWMインバータ7と、PWMインバータ7の出力するU相電流iuを検出する電流検出器10と、PWMインバータ7の出力するW相電流iwを検出する電流検出器9と、検出した電流iu,iwを、電気角θdcによって、PMモータの回転座標系において直交するdc,qc各軸上の成分idc,iqcに座標変換するdq座標変換部11からなる。
以上述べた、本実施形態2によれば、トルク制御系においても、磁束飽和が顕著で、軸間の相互干渉磁束が多く存在するPMモータに対しても、高精度な磁極位置推定に基づく速度・位置センサレス制御が可能となる。
〔実施形態3〕
実施形態1では、速度制御器や、電流制御ループを用いて高精度な速度制御系を構成した。これに対して、本実施形態3では、速度制御器や電流制御系を持たない簡易速度制御系に対して軸誤差推定式(式28),(式29),(式30)を適用する。ちなみに、本実施形態の基礎となる簡易速度制御系については、電学論D、124巻11号、2004年「家電機器向け位置センサレス永久磁石同期電動機の簡易ベクトル制御」に詳しく記載されている。図12は本実施形態3の構成を示すブロック図であり、モータ8に速度指令ω1 *を与える速度指令発生部1と、d軸電流指令値id *を発生するid *発生部4と、ω1 *とPLL制御器13が出力する電気角速度偏差推定値Δω1を加算し回転角速度ω1を出力する加算器192と、d軸電流検出値idcに対してフィルタ処理を行い、q軸電流指令値iq *を出力する一次遅れフィルタ191と、id *,iq *およびω1 *を入力し、dq座標逆変換部6に対してdc軸電圧指令値vdc *とqc軸電圧指令値vqc *を出力する電圧指令生成部190と、vdc *,vqc *,idc,iqc,ω1 *を入力し、(式28)または(式29)または(式30)と、パラメータ設定部14から入力されるモータ8のq軸インダクタンス値の大きさを表すパラメータK4,モータ8のq軸インダクタンスのd軸電流からの干渉度を表すパラメータK5,モータ8のq軸インダクタンスのq軸電流に関する飽和度を表すパラメータK6,q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉を最小化する電流を表すパラメータI0,モータの電機子巻線抵抗Rを用いて軸誤差Δθを演算する軸誤差推定部12と、Δθに対して比例演算を行い、Δθを小さくする制御を行うことで、Δω1を出力するPLL制御器13と、加算器192の出力するω1を積分し、PWMインバータ7がモータに印加する電圧の電気角θdcを出力する積分器15と、vdc *,vqc *を、電気角θdcによって三相交流電圧指令Vu *,Vv *,Vw *に変換するdq座標逆変換部6と、三相交流電圧指令に基づいて三相交流電圧を発生するPWMインバータ7と、PWMインバータ7の出力するU相電流iuを検出する電流検出器10と、PWMインバータ7の出力するW相電流iwを検出する電流検出器9と、検出した電流iu,iwを、電気角θdcによって、PMモータの回転座標系において直交するdc,qc各軸上の成分idc,iqcに座標変換するdq座標変換部11からなっている。また、本実施形態3における軸誤差推定部12の内部構成は、前述した実施形態1の場合と同一である。
次に、電圧指令生成部190の構成について、図13のブロック線図を用いて説明する。図13において、id *はd軸電流指令値、iq *はq軸電流指令値、ゲイン200,202は、それぞれid *,iq *にモータの電機子巻線抵抗Rを乗じた値を出力し、それぞれvdc *およびvqc *を出力する減算器201と加算器203に入力することで、PMモータの電機子巻線抵抗による電圧降下を補償したvdc *およびvqc *を作成している。
さらに、dc軸電圧指令値vdc *の生成に際して、ゲイン204において、iq *にLqを乗ずることで、q軸磁束Φqを演算し、乗算器207において、Φqにω1 *を乗ずることで、q軸磁束Φqがd軸方向に発生させる速度誘起電圧Φqω1 *を演算する。減算器201では、ゲイン200の出力からΦqω1 *を減じたdc軸電圧指令値vdc *を出力する。これにより、PMモータ内部でd軸方向に発生するq軸磁束Φq由来の速度誘起電圧Φqω1 *の補償を行う。qc軸電圧指令値vqc *の生成に際しても同様であり、ゲイン205において、id *にLdを乗ずることで、d軸電流磁束Φidを演算し、加算器206でΦidにd軸方向の永久磁石磁束Φmを加算したd軸磁束Φdを算出し、乗算器208において、Φdにω1 *を乗ずることで、d軸磁束Φdがq軸と反対方向に発生させる速度誘起電圧Φdω1 *を演算する。加算器203では、ゲイン202の出力にΦdω1 *を加えたqc軸電圧指令値vqc *を出力する。これにより、PMモータ内部でq軸と反対方向に発生するd軸磁束Φd由来の速度誘起電圧Φdω1 *の補償を行う。
本実施形態3によれば、実施形態1ほどの制御応答が実現できないものの、速度制御器,電流制御器のゲイン調整を行わずとも、磁束飽和が顕著で、軸間の相互干渉磁束が多く存在するPMモータに対しても、高精度な磁極位置推定に基づく速度・位置センサレス制御が可能となる。
〔実施形態4〕
既に述べた、実施形態2のトルク制御系を、鉄道車両駆動装置に応用したのが、図14に示す本実施例である。本実施例では、架線212からパンタグラフ213を介して受電された直流は、受電フィルタ211を介してPWMインバータ7に入力される。受電フィルタ211は、フィルタリアクトル211aとフィルタコンデンサ211bを備えており、PWMインバータ7からのリプル電流を平滑化する。主幹制御器505は、運転士のノッチ操作をトルク指令τ*に変換して、実施形態2のトルク制御系に入力する。モータ8は、トルク制御系により、トルク指令τ*に略等しいトルクを発生し、図示していないギアを介してレール215上の車輪214を駆動する。
〔実施形態5〕
以上述べた、実施形態2のトルク制御系を、後輪駆動電気自動車に応用したのが、図15に示す本実施例である。本実施例では、二次電池231の直流電圧は、PWMインバータ7に入力される。コントロールユニット(CU)230は、図示していないアクセルペダルの踏み込み量に応じたトルク指令τ*を、実施形態2のトルク制御系に入力する。モータ8は、トルク制御系により、トルク指令τ*に略等しいトルクを発生し、モータ軸220,クラッチ221,クラッチ出力シャフト222,デファレンシャルギア223,後輪車軸224を介して、右後輪228,左後輪229を駆動する。
〔実施形態6〕
以上述べた、実施形態1から実施形態5における軸誤差推定部12に対して、軸誤差Δθの収束演算処理を導入したのが、本実施形態6である。図7は、本実施形態6における軸誤差推定部の構成を示すブロック図であり、図6に対して、収束判定部102と、波線内部処理の実行/停止処理を追加した点が異なる。波線内部処理は、収束判定部102がAct入力端子103に入力するAct_cal信号が1の場合に実行状態となり、0の場合に停止状態となる。また、図7のブロックでは、ゼロ次ホールダー50,51,52,53,54のサンプル周期Tsに対して、波線内部処理の実行周期Tseを短く(Tse<Ts)設定している。このため、サンプル周期Ts間に、軸誤差Δθが大きく変動する場合でも、(式28),(式29),(式30)の右辺に誤差の少ない(時間遅れの少ない)Δθを設定することができる。よって、波線内部の処理をTsサンプル周期でサンプルホールドされたvdc *,vqc *,idc,iqc,ω1を基にTseサンプル周期で実行すると、Δθが次第に一定値に収束する。このときの収束の様子を図8に示す。
図8において、波形110はvqc *、波形111はvdc *、波形112はiqc、波形113はidc、波形114はω1、波形115はΔθ、波形116はAct_calであり、横軸一杯の範囲がサンプル周期Tsである。このため、図8に図示した範囲では、vdc *,vqc *,idc,iqc,ω1は一定値となっている。これに対して、Δθの演算は、サンプル周期Tseで実行されることから、波形115に見る通り、Δθは次第に一定値に近付く結果となる。そして、収束判定部102が出力するAct_calが1から0に変化した時点で、Δθの演算を停止する。このときの、収束判定には、(式34)を用いる。(式34)において、ΔθbkはTseサンプル前の演算値であり、εは収束判定基準となる十分に小さな正数値である。
本実施形態6のように、収束演算による軸誤差Δθを用いれば、軸誤差推定誤差を更に低減することが可能となる。磁束飽和が顕著で、軸間の相互干渉磁束が多く存在するPMモータに対しても、高精度・高応答な速度・位置センサレス制御が可能となる。
1 速度指令発生部
2,61,79,80,82 減算器
3 速度制御器
4 id *発生部
5 電圧指令生成部
6 dq座標逆変換部
7 PWMインバータ
8 モータ
9 W相電流検出器
10 U相電流検出器
11 dq座標変換部
12 軸誤差推定部
13 PLL制御器
14 パラメータ設定部
15 積分器
50〜54 ゼロ次ホールダー
55 cos関数
56 sin関数
57〜60,73〜76 乗算器
62,63,68,70,81 加算器
64,65 絶対値演算器
66,67,72,77,78 可変ゲイン
69 定数
71,83 除算器
84 tan-1演算器
85 リミッタ
211 受電フィルタ
211a フィルタリアクトル
211b フィルタコンデンサ
212 架線
213 パンタグラフ
214 車輪
215 レール
220 モータシャフト
221 クラッチ
222 クラッチ出力シャフト
223 デファレンシャルギア
224 後輪車軸
225 前輪車軸
226 右前輪
227 左前輪
228 右後輪
229 左後輪
230 コントロールユニット
231 二次電池
505 主幹制御器
d * d軸電流指令値
q * q軸電流指令値
dc d軸電流検出値
qc q軸電流検出値
Δθ 軸誤差
ω1 * 速度指令
ω1 PWMインバータ7がモータに印加する電圧の回転角速度
ωe 速度偏差
u * U相電圧指令
v * V相電圧指令
w * W相電圧指令
u U相電流
w W相電流
θdc PWMインバータ7がモータに印加する電圧の電気角
dc *c軸電圧指令値
qc *c軸電圧指令値
4 モータ8のq軸インダクタンス値の大きさを表すパラメータ
5 モータ8のq軸インダクタンスのd軸電流からの干渉度を表すパラメータ
6 モータ8のq軸インダクタンスのq軸電流に関する飽和度を表すパラメータ
0 q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉を最小化する電流を表すパラメータ
R モータの電機子巻線抵抗

Claims (9)

  1. 回転子の磁極位置の推定手段を有し、電動機電流検出値を、前記磁極位置の推定手段が出力する推定磁極位置に同期して回転するdq軸直交回転座標軸上のd軸電流検出値とq軸電流検出値とに分離し、前記座標軸上で定義される電力変換器への電圧指令値vdc *,vqc *を各々独立に生成する同期電動機の制御装置において
    記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分の近似式に分数式を用い、前記分数式の分子をモータ固有の定数で構成し、かつ、分母をq軸電流の一次式とd軸電流の一次式の和で構成し、
    記分数式に設定するパラメータは、制御対象とするモータのq軸インダクタンス値の大きさを表すパラメータK4と、q軸インダクタンスのq軸電流に関する飽和度を表すパラメータK6と、q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉度を表すパラメータK5と、q軸インダクタンスのd軸電流からの干渉を最小化する電流を表すパラメータI0とすることを特徴とする同期電動機の制御装置。
  2. 請求項1において、前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、モータ特性を表すパラメータをK4,K5,K6,I0、軸誤差推定値をΔθとするとき、前記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分Lq(idc,iqc,Δθ)を(式1)により算出することを特徴とする同期電動機の制御装置。
  3. 請求項1において、前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、モータ特性を表すパラメータをK4,K5,K6,I0、軸誤差推定値をΔθとするとき、前記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分Lq(idc,iqc,Δθ)を(式2)により算出することを特徴とする同期電動機の制御装置。
  4. 請求項1において、前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、モータ特性を表すパラメータをK4,K5,K6,I0とするとき、前記磁極位置の推定手段に用いるモータのq軸インダクタンス成分Lq(idc,iqc)を(式3)により算出することを特徴とする同期電動機の制御装置。
  5. 請求項1において、前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、dc軸電圧指令値をvdc *、qc軸電圧指令値をvqc *、モータのq軸インダクタンスを表すパラメ
    ータをK4,K5,K6,I0、モータの電機子巻線抵抗をR、軸誤差推定値をΔθ、前記電力変換器の電気角速度をω1とするとき、Δθを(式4)により算出することを特徴とする同期電動機の制御装置。
  6. 請求項1において、前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、dc軸電圧指令値をvdc *、qc軸電圧指令値をvqc *、モータのq軸インダクタンスを表すパラメータをK4,K5,K6,I0、モータの電機子巻線抵抗をR、軸誤差推定値をΔθ、前記電力変換器の電気角速度をω1とするとき、Δθを(式5)により算出することを特徴とする同期電動機の制御装置。
  7. 請求項1において、前記d軸電流検出値をidc、前記q軸電流検出値をiqc、dc軸電圧指令値をvdc *、qc軸電圧指令値をvqc *、モータのq軸インダクタンスを表すパラメータをK4,K5,K6,I0、モータの電機子巻線抵抗をR、軸誤差推定値をΔθ、前記電力変換器の電気角速度をω1とするとき、Δθを(式6)により算出することを特徴とする同期電動機の制御装置。
  8. 請求項2,3,5、又は6において、(式1),(式2),(式4),(式5)の右辺演算において利用する前記軸誤差推定値Δθとして、(式4),(式5)の前回演算値を代入することを特徴とする同期電動機の制御装置。
  9. 請求項、又はにおいて、(式4),(式5)の演算に際して、ゼロ次ホールド処理により固定した同一の前記d軸電流検出値idc,前記q軸電流検出値iqc,前記dc軸電圧指令値vdc *,前記qc軸電圧指令値vqc *,前記電力変換器の電気角速度ω1を用いて、得られた前記Δθを(式4),(式5)の右辺に繰り返し代入する収束演算を行うことを特徴とする同期電動機の制御装置。
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