JP5177759B2 - 多価アルコールからの環状エーテル及びヒドロキシケトンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工業的に重要な環状エーテル類やヒドロキシケトン類を、有害な無機酸や固体酸触媒を用いない環境調和型プロセスで、水酸基が3個以上の鎖状飽和炭化水素からなる多価アルコールから合成することを可能とする、当該多価アルコールからの環状エーテル類等の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、高圧の二酸化炭素の存在下で、高温水中で、多価アルコールを効率よく脱水することにより環状エーテル類等を高い回収率、転化率及び生成物収率で製造する方法に関するものである。
本発明は、環境調和型のプロセス技術として、従来技術のような無機酸や固体酸等の高環境負荷型の物質を使用することなく、環境調和型プロセスで、種々の多価アルコールから、工業的に重要な環状エーテル類やヒドロキシケトン類を効率的に得ることができる、当該環状エーテル類等の合成技術に関する新技術を提供するものである。
一般に、環状エーテル類は、溶剤、医薬品原料等に広く用いられている。当該環状エーテル類は、アルコールの脱水により合成することができる。アルコールからの脱水反応においては、反応は、固体酸や無機酸を用いて進行することが知られている。
例えば、工業的には、環状エーテル類であるテトラヒドロフランは、無機酸や固体酸を用いて、1,4−ブタンジオールの脱水素化反応により合成されている(特許文献1、非特許文献1参照)。しかし、工業的生産プロセスでは、環境負荷の大きい有害物質の使用を極力抑え、かつ生成物の分離精製プロセスを簡略化することが可能な、環境調和型の新しい合成技術の開発が強く望まれている。
また、下記の化1の反応式に示すように、医薬品原料として重要な環状エーテル類の一つである3−ヒドロキシテトラヒドロフランは、多価アルコール類の一つである1,2,4−ブタントリオールを固体酸触媒で処理することにより合成することが可能であるが(特許文献2参照)、有害な固体酸触媒を使用することが必須とされている。
Figure 0005177759
また、環状エーテル類の一つであるテトラヒドロフルフリルアルコールは、生分解性が高く、毒性が極めて低いことから、工業的に溶媒として使用されている。テトラヒドロフルフリルアルコールは、フルフリルアルコールの水素化により合成されているが、当該合成法では、その合成工程で担持金属触媒と高圧の水素が必要であることから、より簡便な合成法の開発が望まれている。
多価アルコールの一つである1,2,5−ペンタントリオールを酸触媒で処理することにより、下記の化2の反応式に示すように、環状エーテルであるテトラヒドロフルフリルアルコールやテトラヒドロ−3−ピラノールが得られることが予想される。
Figure 0005177759
一方、近年、循環型社会を構築する観点から、バイオマスの有効利用が強く求められている。このバイオマス利用技術として、例えば、植物油や動物油脂の主成分であるトリグリセリドを原料として、ディーゼル燃料を合成する技術があげられる。
これは、下記の化3の反応式に示すように、トリグリセリドとメタノールとのエステル交換反応により、脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル)を合成するものであるが、反応の際に、多価アルコールの一つであるグリセリンが副生する。
Figure 0005177759
バイオマスの有効利用のために、グリセリンの有効利用も求められているが、その一つとして、下記の化4の反応式に示すように、グリセリンを水素化分解し、1,2−プロパンジオールを合成する技術が提案されている。先行文献では、例えば、活性炭担持ルテニウムとAmberlystとの組み合わせが、グリセリンの効率的な水素化分解に有用であることが報告されている(非特許文献2参照)。
Figure 0005177759
グリセリンからの1,2−プロパンジオールの合成では、下記の化5の反応式に示すように、グリセリンの脱水により、ヒドロキシケトンであるアセトールが得られ、アセトールが水素化されて、1,2−プロパンジオールが生成する。グリセリンの水素化分解反応では、グリセリンからアセトールへの脱水反応が律速であること、固体酸であるAmberlystがグリセリンの脱水に最適であること等が報告されている(非特許文献2参照)。
すなわち、グリセリンの利用技術では、バイオマスの有効利用を高めるために、多価アルコールであるグリセリンの脱水反応に関して、環境調和型で、かつ効率的な脱水法の開発が求められている。
Figure 0005177759
このように、当技術分野においては、環境調和型のプロセス技術として、無機酸や固体酸を用いないで、種々の多価のアルコールから工業的に重要な環状エーテル類やヒドロキシケトン類を高効率的に得ることができる当該環状エーテル類等の新しい合成技術を開発することが強く望まれていた。
特開昭61−040278号公報 米国特許公開第4,539,415号
石油学会編、「石油化学プロセス」、講談社サイエンティフィク、6.1.6 1,4−ブタンジオールおよび関連製品、p.116−120(2001年) 宮澤朋久,国森公夫,冨重圭一,触媒,48巻(2006)479−481
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上述の諸問題を解決すべく、長年鋭意研究を積み重ねた結果、多価アルコールを高圧の二酸化炭素を加えた高温水、例えば、16.2MPa程度の二酸化炭素分圧を加えた250℃程度の高温水で、多価アルコールを処理することにより、高効率で、工業的に有利な環境調和型プロセスで、環状エーテル類やヒドロキシケトン類を製造できることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水酸基が3個以上の鎖状飽和炭化水素からなる多価アルコールから、環状エーテル類やヒドロキシケトン類を、環境に有害な無機酸や固体酸を用いない環境調和型プロセスで合成することを可能とする当該環状エーテル類やヒドロキシケトン類を製造する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、例えば、16.2MPa程度の二酸化炭素分圧を加えた250℃程度の高温水で、1,2,5−ペンタントリオールを処理することにより、テトラヒドロフルフリルアルコール等を製造することが可能な、環境調和型の多価アルコールの脱水法による、環状エーテル類又はヒドロキシケトン類の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)水酸基を少なくとも3個有する多価アルコールの脱水反応により、環状エーテル又はヒドロキシケトンを製造する方法であって、
1)反応系に所定の圧力の二酸化炭素を導入して、該二酸化炭素と高温水の存在下、無機酸や固体触媒を用いない環境調和型プロセスで、当該多価アルコールを脱水させること、2)その際に、濃度0.01〜10mol/lの多価アルコールの水溶液を用いて分子間脱水反応を抑え、温度50℃の状態で、圧力0.1〜30MPaの二酸化炭素を導入し、反応温度として、200〜400℃で、多価アルコールを脱水させることにより環状エーテル又はヒドロキシケトンを製造すること、を特徴とする環状エーテル又はヒドロキシケトンの製造方法。
)多価アルコールとして、1,2,4−ブタントリオールを用い、環状エーテルとして、3−ヒドロキシテトラヒドロフランを製造する、前記(1)に記載の環状エーテルの製造方法。
)多価アルコールとして、1,2,5−ペンタントリオールを用い、環状エーテルとして、テトラヒドロフルフリルアルコールとテトラヒドロ−3−ピラノールを製造する、前記(1)に記載の環状エーテルの製造方法。
)多価アルコール類として、グリセリンを用い、ヒドロキシケトンとして、アセトールを製造する、前記(1)に記載のヒドロキシケトンの製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、環状エーテル又はヒドロキシケトンの製造方法であって、水酸基を少なくとも3個有する多価アルコールの脱水反応により、環状エーテル又はヒドロキシケトンを製造する方法において、所定の圧力の二酸化炭素と高温水の存在下で、多価アルコールを脱水させることを特徴とするものである。
本発明では、反応温度として、200〜400℃で、多価アルコールを脱水させること、圧力0.1〜30MPaの二酸化炭素を用いること、濃度0.01〜10mol/lの多価アルコールの水溶液を用いること、を好ましい実施の態様としている。
また、本発明では、多価アルコールとして、1,2,4−ブタントリオールを用い、環状エーテルとして、3−ヒドロキシテトラヒドロフランを製造すること、また、多価アルコールとして、1,2,5−ペンタントリオールを用い、環状エーテルとして、テトラヒドロフルフリルアルコールとテトラヒドロ−3−ピラノールを製造すること、また、多価アルコール類として、グリセリンを用い、ヒドロキシケトンとして、アセトールを製造すること、を好ましい実施の態様としている。
本発明は、所定の圧力の二酸化炭素と高温水の存在下で、水酸基が3個以上の鎖状飽和炭化水素からなる多価アルコールを脱水させることを特徴とする、環状エーテル又はヒドロキシケトン化合物の製造方法に係るものである。本発明は、二酸化炭素と高温水を用いて、多価アルコール類から、環状エーテル類やヒドロキシケトン類を合成する方法であって、反応容器内で、多価アルコール類を脱水させて、環状エーテル類やヒドロキシケトン類を得ることを特徴とするものである。
本発明で、原料として用いられる多価アルコールとしては、好適には、3価アルコール、4価アルコール、5価アルコールが例示されるが、鎖状飽和炭化水素の水素原子を水酸基で置換し、かつその水酸基が3個以上の化合物が好適に用いられる。
多価アルコールとしては、具体的には、例えば、グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、へキサントリオール等が好適に用いられる。また、多価アルコールは、水酸基の位置によって異性体が存在する。ここに示した多価アルコールは、本発明に有効に用いることが可能であり、その種類等は、特に限定されるものではない。
多価アルコールを脱水することによって、環状エーテル類やヒドロキシケトン類が得られる。3個以上の水酸基のうち、脱水が起こる組み合わせにより、異性体が生じる。例えば、グリセリンの分子内脱水反応では、アセトールが得られる。
1,2,4−ブタントリオールの分子内脱水反応では、3−ヒドロキシテトラヒドロフランが得られる。1,2,5−ペンタントリオールの分子内脱水反応では、テトラヒドロフルフリルアルコールとテトラヒドロ−3−ピラノールの異性体が得られる。また、多価アルコールの分子間脱水では、鎖状のエーテルが得られる。
本発明では、好適には、例えば、3価アルコールから、環状エーテルやヒドロキシケトンを製造するが、原料としては、3価アルコールに制限されるものではなく、本発明では、水酸基が3個以上の鎖状飽和炭化水素であれば同様に使用することが可能である。
本発明では、二酸化炭素圧として、0.1〜30MPaを用いること、高温水として、200〜400℃の高温水を用いること、また、多価アルコールの濃度が、0.1〜10mol/lの範囲であること、を好ましい実施の態様としている。
以下、本発明を具体的に説明するために、1,2,4−ブタントリオール、水、及び二酸化炭素を、容積6mlの反応器に導入して、1,2,4−ブタントリオールを脱水して、3−ヒドロキシテトラヒドロフランを製造する方法を例にとって説明する。
本発明では、脱水反応の温度依存性については、反応系の温度は、300℃程度が好ましいが、反応温度があまりに低ければ、反応速度が低下して、効率のよい脱水物としての環状エーテル類の製造方法とはならない。また、反応温度が極端に高くなれば、ランニングコストが増大し、経済的な製造方法とはならない。本発明では、高温水として、温度200〜400℃の水を用いて、当該反応温度で脱水することが好適である。
本発明では、上記脱水反応の二酸化炭素の依存性については、反応系に導入される二酸化炭素圧は、50℃の状態で、0.1〜30MPaであり、好ましくは0.1〜20MPaであり、より好ましくは5〜20MPaであり、最も好ましくは10〜15MPaである。これらは、使用する多価アルコールの種類、濃度等に応じて、任意に設定することができる。
本発明では、上記脱水反応の多価アルコールの濃度依存性については、反応系に導入される多価アルコール濃度は、0.01〜10mol/lであり、好ましくは0.01〜5mol/lであり、より好ましくは0.1〜3mol/lであり、最も好ましくは0.1〜1mol/lである。
多価アルコールの濃度が大きくなれば、分子間脱水反応が進行して、分子内脱水反応が抑えられるため、有効な方法とはならない。また、濃度が極端に小さくなれば、ランニングコストが増大して、経済的な方法にはならない。これらは、使用する多価アルコール類の種類、反応温度等に応じて、任意に設定することができる。
従来、3価アルコール類を無機酸や固体酸触媒を用いて環状エーテル類やヒドロキシケトン類を合成することが行われていたが、これらの合成法では、環境に有害な無機酸や固体酸触媒を使用することが必須とされており、当技術分野では、その改善が強く要請されていた。これに対して、本発明は、無機酸や固体酸触媒を用いない、低環境負荷型のプロセスで、しかも高い回収率、転化率及び生成物収率で、多価アルコールから工業的に重要な環状エーテル類やヒドロキシケトン類を合成することを可能とするものである。
本明細書において、環状エーテル類やヒドロキシケトン類とは、通常、環状エーテルやヒドロキシケトンとして定義される化合物類の範囲内に含まれる化合物を意味している。本発明の実施の態様においては、本発明を実施するに際し、その反応方法は、バッチ式又は連続流通式のいずれの方法においても実施することが可能である。また、反応の態様は、気−液混合層あるいは超臨界相のいずれの形態でも実施することが可能である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)多価アルコールを、高温水と二酸化炭素を用いて処理することにより、環状エーテルやヒドロキシケトン等の有用化学物質を製造することができる。
(2)環境調和型プロセスで、かつ高効率な多価アルコールの脱水による有用化学物質の製造技術を提供することができる。
(3)多価アルコールから、工業的に重要な環状エーテル類やヒドロキシケトン類を、有害な無機酸や固体酸触媒を用いない環境調和型プロセスで合成することができる。
(4)多価アルコールから、高い回収率、転化率及び生成物収率で、効率よく環状エーテル等を合成することが可能な新しい環状エーテル類やヒドロキシケトン類の合成技術を提供することができる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を説明したものであり、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(回収率、転化率、及び生成物収率の計算)
以下の実施例では、多価アルコールの脱水反応において、回収率、転化率及び生成物の収率を、以下のように計算した。尚、回収率は、すべての反応において、95%以上であった。
(1)回収率
回収率(%)=(回収して得られた水溶液中に含まれる炭素数(mol))/(反応管に仕込んだ多価アルコールに含まれる炭素数(mol))×100
(2)転化率
転化率(%)={1−((回収して得られた多価アルコールモル数(mol))×100/回収率)/(反応管に仕込んだ多価アルコールモル数(mol))}×100
(3)生生物の収率
生成物収率(%)=((回収して得られた生成物のモル数(mol))×100/回収率)/(反応管に仕込んだ多価アルコールモル数(mol))×100
以下の実施例においては、1,2,4−ブタントリオールでは、量(3g)、反応温度(300℃)を固定し、CO圧(0、10又は15MPa)、反応時間(1又は3h)、濃度(0.3又は1mol/l)、をパラメータとした例を示した。
内容積6mlのステンレス製反応管に、0.3mol/lの1,2,4−ブタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に10MPaの二酸化炭素を加え、反応温度300℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,4−ブタントリオールの転化率は、94%であり、3−ヒドロキシテトラヒドロフランの収率は、65%であった。
(比較例1)
内容積6mlのステンレス製反応管に、0.3mol/lの1,2,4−ブタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaのアルゴンで置換し、反応温度300℃で1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,4−ブタントリオールの転化率は、72%であり、3−ヒドロキシテトラヒドロフランの収率は、27%であった。
内容積6mlのステンレス製反応管に、0.3mol/lの1,2,4−ブタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に10MPaの二酸化炭素を加え、反応温度300℃で、3時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,4−ブタントリオールの転化率は、100%であり、3−ヒドロキシテトラヒドロフランの収率は、65%であった。
(比較例2)
内容積6mlのステンレス製反応管に、0.3mol/lの1,2,4−ブタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaのアルゴンで置換し、反応温度300℃で、3時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,4−ブタントリオールの転化率は、99%であり、3−ヒドロキシテトラヒドロフランの収率は、67%であった。
内容積6mlのステンレス製反応管に、1.0mol/lの1,2,4−ブタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に15MPaの二酸化炭素を加え、反応温度300℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,4−ブタントリオールの転化率は、92%であり、3−ヒドロキシテトラヒドロフランの収率は、70%であった。
内容積6mlのステンレス製反応管に、1.0mol/lの1,2,4−ブタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に10MPaの二酸化炭素を加え、反応温度300℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,4−ブタントリオールの転化率は、81%であり、3−ヒドロキシテトラヒドロフランの収率は、58%であった。
(比較例3)
内容積6mlのステンレス製反応管に、1.0mol/lの1,2,4−ブタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaのアルゴンで置換し、反応温度300℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,4−ブタントリオールの転化率は、44%であり、3−ヒドロキシテトラヒドロフランの収率は、32%であった。
本実施例では、1,2,5−ペンタントリオールの濃度(1mol/l)、量(3g)を固定し、反応温度(250、300℃)、CO圧(0又は15MPa)、反応時間(15分又は1h)、をパラメータとした例を示した。内容積6mlのステンレス製反応管に、1mol/lの1,2,5−ペンタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に15MPの二酸化炭素を加え、反応温度300℃で、10分処理を行った。
反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,5−ペンタントリオールの転化率は、79%であり、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びテトラヒドロ−3−ピラノールの収率は、それぞれ45、及び7.2%であった。
(比較例4)
内容積6mlのステンレス製反応管に、1mol/lの1,2,5−ペンタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaのアルゴンで置換し、反応温度300℃で、10分処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,5−ペンタントリオールの転化率は、41%であり、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びテトラヒドロ−3−ピラノールの収率は、それぞれ26、及び2.8%であった。
内容積6mlのステンレス製反応管に、1mol/lの1,2,5−ペンタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に15MPの二酸化炭素を加え、反応温度300℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収しガスクロマトグラフで分析した。1,2,5−ペンタントリオールの転化率は、99%であり、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びテトラヒドロ−3−ピラノールの収率は、それぞれ66、及び9.8%であった。
(比較例5)
内容積6mlのステンレス製反応管に、1mol/lの1,2,5−ペンタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaのアルゴンで置換し、反応温度300℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,5−ペンタントリオールの転化率は、97%であり、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びテトラヒドロ−3−ピラノールの収率は、それぞれ62、9.2%であった。
内容積6mlのステンレス製反応管に、1mol/lの1,2,5−ペンタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に10MPの二酸化炭素を加え、反応温度250℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,5−ペンタントリオールの転化率は、40%であり、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びテトラヒドロ−3−ピラノールの収率は、それぞれ26、1.3%であった。
(比較例6)
内容積6mlのステンレス製反応管に、1mol/lの1,2,5−ペンタントリオール水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaのアルゴンで置換し、反応温度250℃で、1時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。1,2,5−ペンタントリオールの転化率は、23%であり、テトラヒドロフルフリルアルコール、及びテトラヒドロ−3−ピラノールの収率は、それぞれ20、1.0%であった。
本実施例では、多価アルコールとしてグリセリンを使用し、濃度、量、反応温度(400℃)、反応時間(1.5時間)を固定し、CO圧(0又は15MPa)、をパラメータとした。内容積6mlのステンレス製反応管に、6mol/lのグリセリン水溶液3.0gを入れ、反応管を50℃にした状態で、反応系内に10MPの二酸化炭素を加え、反応温度300℃で、1.5時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、二酸化炭素を放出し、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。グリセリンの転化率は、45%であり、アセトール収率は、1.0%であった。
(比較例7)
内容積6mlのステンレス製反応管に、6mol/lのグリセリン水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaアルゴンで置換し、反応温度300℃で、1.5時間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、ガスクロマトグラフで分析した。グリセリンの転化率は、49%であり、アセトール収率は0.5%であった。
本実施例では、ソルビトールの脱水反応を試みた。反応は、以下の化6の反応式に示される。ソルビトールからの脱水反応により得られるイソソルビドは、利尿剤などとして用いられる医薬品である。また、イソソルビドは、ポリエステルのガラス転移点を高くすることができ、イソソルビドの添加により、耐熱性の高いPETボトルとなることが報告されている。
Figure 0005177759
内容積6mlのステンレス製反応管を利用し、該反応管に、1mol/lのソルビトール水溶液3.0gを入れ、反応管内を0.1MPaのアルゴンで置換し、反応温度250−300℃で、10−60分間処理を行った。反応終了後、反応温度を下げ、反応管内の水溶液を回収し、液体クロマトグラフで分析した。得られた回収物中のソルビトール、1,4−アンヒドロソルビトール及びイソソルビドの単離は、表1のとおりであった。
Figure 0005177759
以上詳述したように、本発明は、多価アルコールから、環状エーテル類及びヒドロキシケトン類を製造する方法に係るものであり、本発明により、高圧の二酸化炭素と高温水を用いて、効率よく環状エーテル類やヒドロキシケトン類を得ることを可能とする多価アルコールの脱水技術を提供することができる。本発明は、従来技術と比べて、より環境負荷を低減して、高効率で、環状エーテル類及びヒドロキシケトン類を製造することを可能とする環境調和型プロセスによる多価アルコールの脱水技術を提供するものとして有用である。

Claims (4)

  1. 水酸基を少なくとも3個有する多価アルコールの脱水反応により、環状エーテル又はヒドロキシケトンを製造する方法であって、
    1)反応系に所定の圧力の二酸化炭素を導入して、該二酸化炭素と高温水の存在下、無機酸や固体触媒を用いない環境調和型プロセスで、当該多価アルコールを脱水させること、2)その際に、濃度0.01〜10mol/lの多価アルコールの水溶液を用いて分子間脱水反応を抑え、温度50℃の状態で、圧力0.1〜30MPaの二酸化炭素を導入し、反応温度として、200〜400℃で、多価アルコールを脱水させることにより環状エーテル又はヒドロキシケトンを製造すること、を特徴とする環状エーテル又はヒドロキシケトンの製造方法。
  2. 多価アルコールとして、1,2,4−ブタントリオールを用い、環状エーテルとして、3−ヒドロキシテトラヒドロフランを製造する、請求項1に記載の環状エーテルの製造方法。
  3. 多価アルコールとして、1,2,5−ペンタントリオールを用い、環状エーテルとして、テトラヒドロフルフリルアルコールとテトラヒドロ−3−ピラノールを製造する、請求項1に記載の環状エーテルの製造方法。
  4. 多価アルコール類として、グリセリンを用い、ヒドロキシケトンとして、アセトールを製造する、請求項1に記載のヒドロキシケトンの製造方法。
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